各怒り対処方略が怒り反すうと抑うつ的反すうに及...

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31 大島 菜帆 *・下津 咲絵 **・伊藤 大輔 * 各怒り対処方略が怒り反すうと抑うつ的反すうに及ぼす影響の検討 本研究の目的は,各怒り対処方略(怒りの表出・怒りの抑制・怒りの制御)が怒り反すう,抑うつ的反すう に及ぼす影響について検討することであった。女子大学生244名を対象に質問紙調査を実施した。分析の結 果,怒り抑制傾向者が怒り反すう,抑うつ的反すうを最も行うことが示された。さらに,怒り反すうの下位 因子(怒り熟考・怒り体験想起・報復思考)を加味して検討した結果,先述と同様に,怒り抑制傾向者が怒り 反すうを最も行いやすいことが示されたが,報復思考を抱きやすいのは怒り表出傾向者であることが示され た。したがって,怒り表出傾向者や,怒り抑制傾向者に対して,怒り反すう,抑うつ的反すうをターゲット とした介入が有効である可能性がある。特に,怒り抑制傾向者に対しては,怒りや抑うつの反すうを低減さ せるような介入,怒り表出傾向者に対しては報復思考に重点をおいた介入の有用性が考えられる。 キーワード:怒り反すう,抑うつ的反すう,怒り対処方略 【問題と目的】 「怒り」とは,欲求不満や想像上で,あるいは 実際に他者から傷つけられた経験,不当な仕打ち をうけたことなどから喚起される,緊張と敵意を 特徴とする情動であり,ネガティブなものとみな されている(VandenBos,2015)。そして,怒りの 増大は,攻撃行動や,対人関係への否定的な影響 をもたらしたり,高血圧や心疾患の罹患率を高め るなど,あらゆる問題を引き起こすことが報告さ れている (Siegman & Smith,1994;Spielberger, Krasner, & Solomon,1998)。そのため,怒りの維 持メカニズムの検討や介入法を確立することが求 められている。 近年,怒りなどの不快感情を昂進させたり,持 続させたりする要因として,怒り反すう(Anger Rumination)が注目されている(八田・大渕・八 田,2013)。怒り反すうとは, 「怒りというネガティ ブな体験に関する非意図的で再帰的な思考に努め る傾向」と定義されている(Sukhodolsky,Golub, & Cromwell,2001)。怒り反すうを行うことで怒 りの原因に注目したり,怒りを感じた場面や出来 事についてリハーサルしたりするため,怒りを増 大させ,持続しやすくなることや怒りの制御不能 性を高めること,攻撃行動をもたらすことが報告 されている(Tice & Baumeister,1993;Rusting & Nolen-Hoeksema,1998;Caprara,Paciello,Gerbino, & Cugini,2007)そして,八田他(2013)は,怒り反すうが怒り 対処方略と関連していることを示している。怒り 対処方略とは,怒り感情を感じた時の対処の仕方 の個人差のことであり,怒りの表出,怒りの抑制, 怒りの制御の3つに分類される(鈴木・橋本・根建・ 春木,2001)。怒りの表出は感じた怒りを他者や 外界に対して向ける傾向であり,攻撃行動と結び つきやすく,その他の感情と比べて,対人関係を 破壊するリスクをもっとも多く含んでいる対処の 仕方である。また,怒りの抑制は感じた怒りをた いていの場合抑制する,もしくは自己に向けて押 し込める傾向であり,抑うつを引き起こすことが 示されている(野口・藤生,2005)。そして,怒り の制御は怒りの抑制のように感じた怒りを単純に 抑え込むのではなく,認知的に対処して建設的に 自制する傾向であり,適応的な対処の仕方とされ *   兵庫教育大学大学院学校教育研究科 **  京都女子大学発達教育学部

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Page 1: 各怒り対処方略が怒り反すうと抑うつ的反すうに及 …repository.hyogo-u.ac.jp/dspace/bitstream/10132/18915/1...32 発達心理臨床研究 第26巻 2020 が低く,抑うつやネガティブ感情の経験頻度が高

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大島 菜帆 *・下津 咲絵 **・伊藤 大輔 *

各怒り対処方略が怒り反すうと抑うつ的反すうに及ぼす影響の検討

 本研究の目的は,各怒り対処方略(怒りの表出・怒りの抑制・怒りの制御)が怒り反すう,抑うつ的反すうに及ぼす影響について検討することであった。女子大学生244名を対象に質問紙調査を実施した。分析の結果,怒り抑制傾向者が怒り反すう,抑うつ的反すうを最も行うことが示された。さらに,怒り反すうの下位因子(怒り熟考・怒り体験想起・報復思考)を加味して検討した結果,先述と同様に,怒り抑制傾向者が怒り反すうを最も行いやすいことが示されたが,報復思考を抱きやすいのは怒り表出傾向者であることが示された。したがって,怒り表出傾向者や,怒り抑制傾向者に対して,怒り反すう,抑うつ的反すうをターゲットとした介入が有効である可能性がある。特に,怒り抑制傾向者に対しては,怒りや抑うつの反すうを低減させるような介入,怒り表出傾向者に対しては報復思考に重点をおいた介入の有用性が考えられる。

キーワード:怒り反すう,抑うつ的反すう,怒り対処方略

【問題と目的】 「怒り」とは,欲求不満や想像上で,あるいは実際に他者から傷つけられた経験,不当な仕打ちをうけたことなどから喚起される,緊張と敵意を特徴とする情動であり,ネガティブなものとみなされている(VandenBos,2015)。そして,怒りの増大は,攻撃行動や,対人関係への否定的な影響をもたらしたり,高血圧や心疾患の罹患率を高めるなど,あらゆる問題を引き起こすことが報告されている (Siegman & Smith,1994;Spielberger,Krasner, & Solomon,1998)。そのため,怒りの維持メカニズムの検討や介入法を確立することが求められている。 近年,怒りなどの不快感情を昂進させたり,持続させたりする要因として,怒り反すう(Anger Rumination)が注目されている(八田・大渕・八田,2013)。怒り反すうとは,「怒りというネガティブな体験に関する非意図的で再帰的な思考に努める傾向」と定義されている(Sukhodolsky,Golub, & Cromwell,2001)。怒り反すうを行うことで怒

りの原因に注目したり,怒りを感じた場面や出来事についてリハーサルしたりするため,怒りを増大させ,持続しやすくなることや怒りの制御不能性を高めること,攻撃行動をもたらすことが報告されている(Tice & Baumeister,1993;Rusting & Nolen-Hoeksema,1998;Caprara,Paciello,Gerbino, & Cugini,2007)。 そして,八田他(2013)は,怒り反すうが怒り対処方略と関連していることを示している。怒り対処方略とは,怒り感情を感じた時の対処の仕方の個人差のことであり,怒りの表出,怒りの抑制,怒りの制御の3つに分類される(鈴木・橋本・根建・春木,2001)。怒りの表出は感じた怒りを他者や外界に対して向ける傾向であり,攻撃行動と結びつきやすく,その他の感情と比べて,対人関係を破壊するリスクをもっとも多く含んでいる対処の仕方である。また,怒りの抑制は感じた怒りをたいていの場合抑制する,もしくは自己に向けて押し込める傾向であり,抑うつを引き起こすことが示されている(野口・藤生,2005)。そして,怒りの制御は怒りの抑制のように感じた怒りを単純に抑え込むのではなく,認知的に対処して建設的に自制する傾向であり,適応的な対処の仕方とされ

*  兵庫教育大学大学院学校教育研究科** 京都女子大学発達教育学部

Page 2: 各怒り対処方略が怒り反すうと抑うつ的反すうに及 …repository.hyogo-u.ac.jp/dspace/bitstream/10132/18915/1...32 発達心理臨床研究 第26巻 2020 が低く,抑うつやネガティブ感情の経験頻度が高

32 発達心理臨床研究 第26巻 2020

が低く,抑うつやネガティブ感情の経験頻度が高いことから(Gross & john,2003),怒り抑制傾向者は怒り表出傾向者よりも抑うつ的反すうを行う傾向が高いのではないかという仮説を立て検証する。 さらに,本研究では,怒り反すうの下位因子も加味して,各怒り対処方略が各怒り反すうの下位因子に及ぼす影響の差について検討する。怒り反すうには異なる側面を持った3つの下位因子が存在しているが,怒り反すうの先行研究では,これらを加味した研究はほとんどない。怒り反すうの下位因子は怒り体験に注意が向けられやすく,分析または省察し続けることを反映した概念である

「怒り熟考」,過去の怒り体験に関する想起しやすさを反映した概念である「怒り体験想起」,怒りの対象となる相手への報復に関する反実仮想思考を反映した概念である「報復思考」に分類される。したがって,怒り反すうには3つの異なる側面があることから,怒りの抑制傾向者は怒りの表出傾向者と比較して,すべての怒り反すうの下位因子を行う傾向があるとは限らない可能性があり,怒り抑制傾向者,怒り表出傾向者で,行う怒り反すうの内容が異なる可能性がある。そこで,本研究では,各怒り対処方略が各怒り反すうの下位因子に及ぼす仮説モデルを作成し,影響の差について検討する。 以上を踏まえ,本研究では,怒り抑制傾向者は怒り表出傾向者よりも怒り反すうを行う傾向が高い(仮説1),怒り抑制傾向者は怒り表出傾向者よりも抑うつ的反すうを行う傾向が高い(仮説2)と仮説を立て検証する。さらに,仮説1について,怒り反すうの下位因子を加味して,共分散構造分析を用い,検討することとする。 怒り反すうの下位尺度同士の関係性については,怒り反すうの下位因子の概念より,怒りの体験想起や怒りの熟考,報復思考を同時に行うのではなく,まず,怒り体験を想起することで,怒り体験について熟考したり,報復思考が浮かぶと考えられるため,怒り体験想起から,怒り熟考,報復思考へ正の影響を及ぼすと考えられる。これらのこ

ている。八田他(2013)によると,怒り表出傾向者と怒り抑制傾向者は,怒り反すう傾向が高く,怒り制御傾向者は怒り反すう傾向が低いことが示されている。しかし,八田(2013)の研究では,怒り反すうと各怒り対処方略の相関関係のみが報告されており,どの怒り対処方略を用いている人が怒り反すうをしやすいかなど,怒り対処方略の違いによる怒り反すうの使用程度の差が示されていない。したがって,本研究では,怒り対処方略における怒り反すう傾向の差を明確にするため,各怒り対処方略が怒り反すうに与える影響の差について検討する必要がある。 例えば,増田(2005)は,怒り抑制傾向者は怒り表出傾向者よりも,怒り反応後に,より多くのいらいら感や腹立たしさを経験することを報告している。また,Bushman(2002)は,怒りを感じた後に,怒り反すうを行う者は,怒り経験とは関係のない別のことを考える者と比較して,怒りが増幅することを示している。つまり,怒り抑制傾向者は,怒り表出傾向者と比較して,怒り反すう傾向があるため,怒り反応後に,怒り感情を経験しているのではないかと考えられる。したがって,怒り抑制傾向者は怒り表出傾向者と比較して,怒り反すう傾向が高いという仮説を立てられる。 また,怒り表出傾向者と怒り抑制傾向者は怒り反すうだけでなく,悲しみなどの他のネガティブ情動についても反すうしやすいことが示唆されている(八田他,2013)。つまり,怒り表出傾向者と怒り抑制傾向者は,抑うつ感情に対する反すう傾向も高いのではないかと考えられる。このことから,怒り対処方略が怒りに対する反すうだけでなく,抑うつ的な反すうにも関連していると考えられる。怒り反すうと同様に,抑うつ的反すうについても怒り対処方略の違いによって使用程度に差があると考えられるため,各怒り対処方略が抑うつ的反すうに与える影響の差についても検討する。 抑うつ的反すうは抑うつ症状の持続に影響を与えることと(Nolen-Hoeksema,1991),感情抑制の使用頻度が高いほど,ポジティブ感情の経験頻度

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33各怒り対処方略が怒り反すうと抑うつ的反すうに及ぼす影響の検討

 抑うつ気分喚起場面における反応パターンを測定する尺度である。本尺度は4つの下位尺度より構成されているが,本研究では抑うつ的反すうの頻度を測定する“否定的考え込み(Negative Rumination;NR)”のみを使用した。合計20項目である。「ほとんどない」から「ほとんどいつも」の4 件法で回答する尺度である。

分析  SPSS Statistics 22およびSPSS Amos 21を用いて統計的分析を行った。 倫理的配慮  質問紙を配布する前に,口頭と文面にて,授業成績とは関係がないこと,回答は任意であり中止が可能であることや,個人が特定されないこと説明した。なお,調査用紙の提出をもって本研究への同意とみなす旨の説明を行った。

【結果】各測定変数の関連 各測定変数の関連を検討するため, Pearsonの積率相関関係を算出した(Table1)。その結果,怒り反すう,抑うつ的反すうは怒りの表出,怒りの抑制と正の相関関係,怒りの制御とは負の相関関係であり,八田他(2013)の先行研究と同様の結果がみられた。また,各変数間の関連が確認されたことから,モデルに投入する要因として適切で

とから,仮説モデルを立てた(Figure 1)。【方法】

手続き 2018年5月~ 6月に,女子大学生262名を対象に無記名式質問紙調査を実施した。すべての質問項目への回答には約15分を要した。その後,不備があった18名を除外し,244名(平均年齢19.08歳,SD=1.07)を分析対象とした。 調査材料 ⑴ 怒り表出尺度(Anger eXpression;AX)(鈴木・春木,1994) 怒りの対処方略を測定するために使用した尺度である。「怒りの表出(anger-out)」9項目,「怒りの抑制(anger-in)」8項目,「怒りの制御(anger-control)」7項目の3つの下位尺度から構成されており,合計24項目である。「全くあてはまらない」から「とてもよくあてはまる」の4件法で回答する尺度である。⑵ 日本語版怒り反すう尺度(Anger Rumination Scale;ARS)(八田他, 2013) 怒り反すう特性傾向を測定する尺度である。「怒り熟考」7項目,「怒り体験想起」6項目,「報復思考」4項目の3 つの下位尺度から構成されており,合計17 項目である。「ほとんどない」から「ほとんどいつも」の4 件法で回答する尺度である。⑶ 日本語版反応スタイル尺度(名倉・橋本, 1999)

【方法】 手続き

2018 年 5 月~6 月に,女子大学生 262 名を対象

に無記名式質問紙調査を実施した。すべての質問

項目への回答には約 15 分を要した。その後,不備

があった 18 名を除外し,244 名(平均年齢 19.08

歳,SD=1.07)を分析対象とした。

調査材料 ⑴ 怒り表出尺度(Anger eXpression;AX)(鈴木・春

木,1994)

怒りの対処スタイルを測定するために使用し

た尺度である。「怒りの表出(anger-out)」9 項目,

「怒りの抑制(anger-in)」8項目,「怒りの制御(anger-

control)」7 項目の 3 つの下位尺度から構成されて

おり,合計 24 項目である。「全くあてはまらない」

から「とてもよくあてはまる」の 4 件法で回答す

る尺度である。

⑵ 日本語版怒り反すう尺度 (Anger Rumination

Scale;ARS)(八田他, 2013)

怒り反すう特性傾向を測定する尺度である。「怒

り熟考」7 項目,「怒り体験想起」6 項目,「報復思

考」4 項目の 3 つの下位尺度から構成されており,

合計 17 項目である。「ほとんどない」から「ほと

んどいつも」の 4 件法で回答する尺度である。

⑶ 日本語版反応スタイル尺度(名倉・橋本, 1999)

抑うつ気分喚起場面における反応パターンを測

定する尺度である。本尺度は 4 つの下位尺度より

構成されているが,本研究では抑うつ的反すうの

頻度を測定する “ 否定的考え込み( Negative

Rumination;NR)”のみを使用した。合計 20 項目で

ある。「ほとんどない」から「ほとんどいつも」の

4 件法で回答する尺度である。

分析 SPSS Statistics 22 および SPSS Amos 21 を用いて

統計的分析を行った。

倫理的配慮 質問紙を配布する前に,口頭と文面にて,授業

成績とは関係がないこと,回答は任意であり中止

が可能であることや,個人が特定されないこと説

明した。なお,調査用紙の提出をもって本研究へ

の同意とみなす旨の説明を行った。

【結果】 各測定変数の関連

各測定変数の関連を検討するため, Pearson の

積率相関関係を算出した(Table1)。その結果,怒り

反すう,抑うつ的反すうは怒り表出,怒り抑制と

正の相関関係,怒り制御とは負の相関関係であり,

八田他(2013)の先行研究と同様の結果がみられた。

また,各変数間の関連が確認されたことから,モ

デルに投入する要因として適切であると判断され

た。

怒りの表出

怒りの抑制

怒りの制御

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34 発達心理臨床研究 第26巻 2020

意な負の影響を与えることが示された(β=-.17, p<.05)。 各怒り対処方略が各怒り反すうの下位因子に及ぼす影響 各怒り対処方略が各怒り反すうの下位因子に及ぼす影響の差について検討するため,Figure1のパス・ダイアグラムに基づき,共分散構造分析を実施した(Figure2)。有意でなかったパスを削除し た 結 果, χ²(3)=.662 (p=.882), CFI=1.000,GFI=.999, AGFI=.994,RMSEA=.000といった高い適合度が得られ,モデルが示された。それは,怒りの抑制から,怒り熟考,怒り体験想起,報復思考に正のパスがみられ(順に,β=.19, p <.001; β=.53, p<.001; β=.18, p<.001),怒りの表出からも,怒り熟考,怒り体験想起,報復思考に正のパス が み ら れ た(順 に, β=.14, p<.001; β=.27, p<.001; β=.25, p<.001)。一方,怒りの制御からは,怒り体験想起に負のパス(β=-.27, p<.001),怒り熟考,報復思考に対しては関連がみられなかった。 また,怒り反すうの下位因子同士の関係性については,仮説モデル通り,怒りの体験想起から,

あると判断された。 各怒り対処方略が怒り反すう,抑うつ的反すうに与える影響 まず,各怒り対処方略が怒り反すうに与える影響について検討するために,各怒り対処方略を説明変数,怒り反すうを目的変数とする重回帰分析を行った(Table2)。その結果,回帰モデルが有意と な り(F(3,240)=42.16, p<.001,調 整 済 みR² =.35),怒りの表出と(β=.36, p<.001),怒りの抑制は,怒り反すうに対して有意な正の影響を与えることが示された(β=.59, p<.001)。一方,怒りの制御は,怒り反すうに対して有意な負の影響を与えることが示された(β=-.24, p<.01)。 次に,各怒り対処方略が抑うつ的反すうに与える影響について検討するために,各怒り対処方略を説明変数,抑うつ的反すうを目的変数とする重回帰分析を行った(Table2)。その結果,回帰モデルが有意となり(F(3,240)=27.89, p<.001,調整済みR² =.26),怒りの表出と(β=.25, p<.001),怒りの抑制は抑うつ的反すうに対して有意な正の影響を与えることが示された(β=.55, p<.001)。一方で,怒りの制御は,抑うつ的反すうに対して有

各怒り対処方略が怒り反すう,抑うつ的反すうに

与える影響 まず,各怒り対処方略が怒り反すうに与える影

響について検討するために,各怒り対処方略を説

明変数,怒り反すうを目的変数とする重回帰分析

を行った(Table2)。その結果,回帰モデルが有意と

なり(F(3,240)=42.16,p <.001,調整済み R²=.35),怒り

表出と(β=.36,p <.001),怒り抑制は,怒り反すうに

対して有意な正の影響を与えることが示された

(β=.59,p <.001)。一方,怒り制御は,怒り反すうに

対して有意な負の影響を与えることが示された

(β=-.24,p <.01)。

次に,各怒り対処方略が抑うつ的反すうに与え

る影響について検討するために,各怒り対処方略

を説明変数,抑うつ的反すうを目的変数とする重

回帰分析を行った(Table2)。その結果,回帰モデ

ルが有意となり(F(3,240)=27.89,p <.001,調整済み

R²=.26),怒り表出と(β=.25,p <.001),怒り抑制は抑

うつ的反すうに対して有意な正の影響を与えるこ

とが示された(β=.55,p <.001)。一方で,怒り制御は,

抑うつ的反すうに対して有意な負の影響を与える

ことが示された(β=-.17,p <.05)。

各怒り対処方略が各怒り反すうの下位因子に及

ぼす影響 各怒り対処方略が各怒り反すうの下位因子に

及ぼす影響の差について検討するため,Figure1 の

パス・ダイアグラムに基づき,共分散構造分析を

実施した(Figure 2)。有意でなかったパスを削除し

た 結 果 , χ²(3)=.662(p=.882),CFI=1.000,GFI=.999,

AGFI=.994,RMSEA=.000 といった高い適合度が得

られ,モデルが示された。それは,怒り抑制から,

怒り熟考,怒り体験想起,報復思考に正のパスが

みられ(順に,β=.19,p <.001; β=.53,p <.001; β=.18,p <.001),怒り表出からも,怒り熟考,怒り体験想起,

報復思考に正のパスがみられた(順に,β=.14,p <.001; β=.27,p <.001; β=.25,p <.001)。一方,怒り制

御からは,怒り体験想起に負のパス (β=-.27,p <.001),怒り熟考,報復思考に対しては関連がみら

れなかった。

また,怒り反すうの下位因子同士の関係性につ

いては,仮説モデル通り,怒りの体験想起から,

怒り熟考,報復思考に正のパスがみられた (順

に,β=.70,p <.001; β=.55,p <.001)。なお,探索的に怒

り熟考から,報復思考へ直接パスを加えるなど,

1 怒り表出 -

2 怒り抑制 -.25 *** -

3 怒り制御 -.48 *** .56 *** -

4 怒り反すう .32 *** .36 *** -.08 -

5  怒り熟考 .27 *** .36 *** -.02 .92 *** -

6  怒り体験想起 .27 *** .31 *** -.11 .94 *** .79 *** -

7  報復思考 .35 *** .28 *** -.10 .78 *** .56 *** .67 *** -

8 抑うつ的反すう .19 *** .39 *** .02 .64 *** .61 *** .60 *** .44 ******p <.001

6 7各測定変数間の相関分析の結果

Table 1

1 2 3 4 5

VIF VIF

怒り表出 .36 *** 1.30 .25 *** 1.30

怒り抑制 .59 *** 1.47 .55 *** 1.47

怒り制御 -.24 ** 1.78 -.17 * 1.78

調整済みR ² .35 *** .26 ***

***p <.001 **p <.01 * p <.05

Table 2 各怒り対処スタイルが怒り反すう,抑うつ的反すうに及ぼす影響

β β怒り反すう 抑うつ的反すう

各怒り対処方略が怒り反すう,抑うつ的反すうに

与える影響 まず,各怒り対処方略が怒り反すうに与える影

響について検討するために,各怒り対処方略を説

明変数,怒り反すうを目的変数とする重回帰分析

を行った(Table2)。その結果,回帰モデルが有意と

なり(F(3,240)=42.16,p <.001,調整済み R²=.35),怒り

表出と(β=.36,p <.001),怒り抑制は,怒り反すうに

対して有意な正の影響を与えることが示された

(β=.59,p <.001)。一方,怒り制御は,怒り反すうに

対して有意な負の影響を与えることが示された

(β=-.24,p <.01)。

次に,各怒り対処方略が抑うつ的反すうに与え

る影響について検討するために,各怒り対処方略

を説明変数,抑うつ的反すうを目的変数とする重

回帰分析を行った(Table2)。その結果,回帰モデ

ルが有意となり(F(3,240)=27.89,p <.001,調整済み

R²=.26),怒り表出と(β=.25,p <.001),怒り抑制は抑

うつ的反すうに対して有意な正の影響を与えるこ

とが示された(β=.55,p <.001)。一方で,怒り制御は,

抑うつ的反すうに対して有意な負の影響を与える

ことが示された(β=-.17,p <.05)。

各怒り対処方略が各怒り反すうの下位因子に及

ぼす影響 各怒り対処方略が各怒り反すうの下位因子に

及ぼす影響の差について検討するため,Figure1 の

パス・ダイアグラムに基づき,共分散構造分析を

実施した(Figure 2)。有意でなかったパスを削除し

た 結 果 , χ²(3)=.662(p=.882),CFI=1.000,GFI=.999,

AGFI=.994,RMSEA=.000 といった高い適合度が得

られ,モデルが示された。それは,怒り抑制から,

怒り熟考,怒り体験想起,報復思考に正のパスが

みられ(順に,β=.19,p <.001; β=.53,p <.001; β=.18,p <.001),怒り表出からも,怒り熟考,怒り体験想起,

報復思考に正のパスがみられた(順に,β=.14,p <.001; β=.27,p <.001; β=.25,p <.001)。一方,怒り制

御からは,怒り体験想起に負のパス (β=-.27,p <.001),怒り熟考,報復思考に対しては関連がみら

れなかった。

また,怒り反すうの下位因子同士の関係性につ

いては,仮説モデル通り,怒りの体験想起から,

怒り熟考,報復思考に正のパスがみられた (順

に,β=.70,p <.001; β=.55,p <.001)。なお,探索的に怒

り熟考から,報復思考へ直接パスを加えるなど,

1 怒り表出 -

2 怒り抑制 -.25 *** -

3 怒り制御 -.48 *** .56 *** -

4 怒り反すう .32 *** .36 *** -.08 -

5  怒り熟考 .27 *** .36 *** -.02 .92 *** -

6  怒り体験想起 .27 *** .31 *** -.11 .94 *** .79 *** -

7  報復思考 .35 *** .28 *** -.10 .78 *** .56 *** .67 *** -

8 抑うつ的反すう .19 *** .39 *** .02 .64 *** .61 *** .60 *** .44 ******p <.001

6 7各測定変数間の相関分析の結果

Table 1

1 2 3 4 5

VIF VIF

怒り表出 .36 *** 1.30 .25 *** 1.30

怒り抑制 .59 *** 1.47 .55 *** 1.47

怒り制御 -.24 ** 1.78 -.17 * 1.78

調整済みR ² .35 *** .26 ***

***p <.001 **p <.01 * p <.05

Table 2 各怒り対処スタイルが怒り反すう,抑うつ的反すうに及ぼす影響

β β怒り反すう 抑うつ的反すう

各怒り対処方略が怒り反すう,抑うつ的反すうに

与える影響 まず,各怒り対処方略が怒り反すうに与える影

響について検討するために,各怒り対処方略を説

明変数,怒り反すうを目的変数とする重回帰分析

を行った(Table2)。その結果,回帰モデルが有意と

なり(F(3,240)=42.16,p <.001,調整済み R²=.35),怒り

表出と(β=.36,p <.001),怒り抑制は,怒り反すうに

対して有意な正の影響を与えることが示された

(β=.59,p <.001)。一方,怒り制御は,怒り反すうに

対して有意な負の影響を与えることが示された

(β=-.24,p <.01)。

次に,各怒り対処方略が抑うつ的反すうに与え

る影響について検討するために,各怒り対処方略

を説明変数,抑うつ的反すうを目的変数とする重

回帰分析を行った(Table2)。その結果,回帰モデ

ルが有意となり(F(3,240)=27.89,p <.001,調整済み

R²=.26),怒り表出と(β=.25,p <.001),怒り抑制は抑

うつ的反すうに対して有意な正の影響を与えるこ

とが示された(β=.55,p <.001)。一方で,怒り制御は,

抑うつ的反すうに対して有意な負の影響を与える

ことが示された(β=-.17,p <.05)。

各怒り対処方略が各怒り反すうの下位因子に及

ぼす影響 各怒り対処方略が各怒り反すうの下位因子に

及ぼす影響の差について検討するため,Figure1 の

パス・ダイアグラムに基づき,共分散構造分析を

実施した(Figure 2)。有意でなかったパスを削除し

た 結 果 , χ²(3)=.662(p=.882),CFI=1.000,GFI=.999,

AGFI=.994,RMSEA=.000 といった高い適合度が得

られ,モデルが示された。それは,怒り抑制から,

怒り熟考,怒り体験想起,報復思考に正のパスが

みられ(順に,β=.19,p <.001; β=.53,p <.001; β=.18,p <.001),怒り表出からも,怒り熟考,怒り体験想起,

報復思考に正のパスがみられた(順に,β=.14,p <.001; β=.27,p <.001; β=.25,p <.001)。一方,怒り制

御からは,怒り体験想起に負のパス (β=-.27,p <.001),怒り熟考,報復思考に対しては関連がみら

れなかった。

また,怒り反すうの下位因子同士の関係性につ

いては,仮説モデル通り,怒りの体験想起から,

怒り熟考,報復思考に正のパスがみられた (順

に,β=.70,p <.001; β=.55,p <.001)。なお,探索的に怒

り熟考から,報復思考へ直接パスを加えるなど,

1 怒り表出 -

2 怒り抑制 -.25 *** -

3 怒り制御 -.48 *** .56 *** -

4 怒り反すう .32 *** .36 *** -.08 -

5  怒り熟考 .27 *** .36 *** -.02 .92 *** -

6  怒り体験想起 .27 *** .31 *** -.11 .94 *** .79 *** -

7  報復思考 .35 *** .28 *** -.10 .78 *** .56 *** .67 *** -

8 抑うつ的反すう .19 *** .39 *** .02 .64 *** .61 *** .60 *** .44 ******p <.001

6 7各測定変数間の相関分析の結果

Table 1

1 2 3 4 5

VIF VIF

怒り表出 .36 *** 1.30 .25 *** 1.30

怒り抑制 .59 *** 1.47 .55 *** 1.47

怒り制御 -.24 ** 1.78 -.17 * 1.78

調整済みR ² .35 *** .26 ***

***p <.001 **p <.01 * p <.05

Table 2 各怒り対処スタイルが怒り反すう,抑うつ的反すうに及ぼす影響

β β怒り反すう 抑うつ的反すう

各怒り対処方略が怒り反すう,抑うつ的反すうに

与える影響 まず,各怒り対処方略が怒り反すうに与える影

響について検討するために,各怒り対処方略を説

明変数,怒り反すうを目的変数とする重回帰分析

を行った(Table2)。その結果,回帰モデルが有意と

なり(F(3,240)=42.16,p <.001,調整済み R²=.35),怒り

表出と(β=.36,p <.001),怒り抑制は,怒り反すうに

対して有意な正の影響を与えることが示された

(β=.59,p <.001)。一方,怒り制御は,怒り反すうに

対して有意な負の影響を与えることが示された

(β=-.24,p <.01)。

次に,各怒り対処方略が抑うつ的反すうに与え

る影響について検討するために,各怒り対処方略

を説明変数,抑うつ的反すうを目的変数とする重

回帰分析を行った(Table2)。その結果,回帰モデ

ルが有意となり(F(3,240)=27.89,p <.001,調整済み

R²=.26),怒り表出と(β=.25,p <.001),怒り抑制は抑

うつ的反すうに対して有意な正の影響を与えるこ

とが示された(β=.55,p <.001)。一方で,怒り制御は,

抑うつ的反すうに対して有意な負の影響を与える

ことが示された(β=-.17,p <.05)。

各怒り対処方略が各怒り反すうの下位因子に及

ぼす影響 各怒り対処方略が各怒り反すうの下位因子に

及ぼす影響の差について検討するため,Figure1 の

パス・ダイアグラムに基づき,共分散構造分析を

実施した(Figure 2)。有意でなかったパスを削除し

た 結 果 , χ²(3)=.662(p=.882),CFI=1.000,GFI=.999,

AGFI=.994,RMSEA=.000 といった高い適合度が得

られ,モデルが示された。それは,怒り抑制から,

怒り熟考,怒り体験想起,報復思考に正のパスが

みられ(順に,β=.19,p <.001; β=.53,p <.001; β=.18,p <.001),怒り表出からも,怒り熟考,怒り体験想起,

報復思考に正のパスがみられた(順に,β=.14,p <.001; β=.27,p <.001; β=.25,p <.001)。一方,怒り制

御からは,怒り体験想起に負のパス (β=-.27,p <.001),怒り熟考,報復思考に対しては関連がみら

れなかった。

また,怒り反すうの下位因子同士の関係性につ

いては,仮説モデル通り,怒りの体験想起から,

怒り熟考,報復思考に正のパスがみられた (順

に,β=.70,p <.001; β=.55,p <.001)。なお,探索的に怒

り熟考から,報復思考へ直接パスを加えるなど,

1 怒り表出 -

2 怒り抑制 -.25 *** -

3 怒り制御 -.48 *** .56 *** -

4 怒り反すう .32 *** .36 *** -.08 -

5  怒り熟考 .27 *** .36 *** -.02 .92 *** -

6  怒り体験想起 .27 *** .31 *** -.11 .94 *** .79 *** -

7  報復思考 .35 *** .28 *** -.10 .78 *** .56 *** .67 *** -

8 抑うつ的反すう .19 *** .39 *** .02 .64 *** .61 *** .60 *** .44 ******p <.001

6 7各測定変数間の相関分析の結果

Table 1

1 2 3 4 5

VIF VIF

怒り表出 .36 *** 1.30 .25 *** 1.30

怒り抑制 .59 *** 1.47 .55 *** 1.47

怒り制御 -.24 ** 1.78 -.17 * 1.78

調整済みR ² .35 *** .26 ***

***p <.001 **p <.01 * p <.05

Table 2 各怒り対処スタイルが怒り反すう,抑うつ的反すうに及ぼす影響

β β怒り反すう 抑うつ的反すう

各怒り対処方略が怒り反すう,抑うつ的反すうに

与える影響 まず,各怒り対処方略が怒り反すうに与える影

響について検討するために,各怒り対処方略を説

明変数,怒り反すうを目的変数とする重回帰分析

を行った(Table2)。その結果,回帰モデルが有意と

なり(F(3,240)=42.16,p <.001,調整済み R²=.35),怒り

表出と(β=.36,p <.001),怒り抑制は,怒り反すうに

対して有意な正の影響を与えることが示された

(β=.59,p <.001)。一方,怒り制御は,怒り反すうに

対して有意な負の影響を与えることが示された

(β=-.24,p <.01)。

次に,各怒り対処方略が抑うつ的反すうに与え

る影響について検討するために,各怒り対処方略

を説明変数,抑うつ的反すうを目的変数とする重

回帰分析を行った(Table2)。その結果,回帰モデ

ルが有意となり(F(3,240)=27.89,p <.001,調整済み

R²=.26),怒り表出と(β=.25,p <.001),怒り抑制は抑

うつ的反すうに対して有意な正の影響を与えるこ

とが示された(β=.55,p <.001)。一方で,怒り制御は,

抑うつ的反すうに対して有意な負の影響を与える

ことが示された(β=-.17,p <.05)。

各怒り対処方略が各怒り反すうの下位因子に及

ぼす影響 各怒り対処方略が各怒り反すうの下位因子に

及ぼす影響の差について検討するため,Figure1 の

パス・ダイアグラムに基づき,共分散構造分析を

実施した(Figure 2)。有意でなかったパスを削除し

た 結 果 , χ²(3)=.662(p=.882),CFI=1.000,GFI=.999,

AGFI=.994,RMSEA=.000 といった高い適合度が得

られ,モデルが示された。それは,怒り抑制から,

怒り熟考,怒り体験想起,報復思考に正のパスが

みられ(順に,β=.19,p <.001; β=.53,p <.001; β=.18,p <.001),怒り表出からも,怒り熟考,怒り体験想起,

報復思考に正のパスがみられた(順に,β=.14,p <.001; β=.27,p <.001; β=.25,p <.001)。一方,怒り制

御からは,怒り体験想起に負のパス (β=-.27,p <.001),怒り熟考,報復思考に対しては関連がみら

れなかった。

また,怒り反すうの下位因子同士の関係性につ

いては,仮説モデル通り,怒りの体験想起から,

怒り熟考,報復思考に正のパスがみられた (順

に,β=.70,p <.001; β=.55,p <.001)。なお,探索的に怒

り熟考から,報復思考へ直接パスを加えるなど,

1 怒り表出 -

2 怒り抑制 -.25 *** -

3 怒り制御 -.48 *** .56 *** -

4 怒り反すう .32 *** .36 *** -.08 -

5  怒り熟考 .27 *** .36 *** -.02 .92 *** -

6  怒り体験想起 .27 *** .31 *** -.11 .94 *** .79 *** -

7  報復思考 .35 *** .28 *** -.10 .78 *** .56 *** .67 *** -

8 抑うつ的反すう .19 *** .39 *** .02 .64 *** .61 *** .60 *** .44 ******p <.001

6 7各測定変数間の相関分析の結果

Table 1

1 2 3 4 5

VIF VIF

怒り表出 .36 *** 1.30 .25 *** 1.30

怒り抑制 .59 *** 1.47 .55 *** 1.47

怒り制御 -.24 ** 1.78 -.17 * 1.78

調整済みR ² .35 *** .26 ***

***p <.001 **p <.01 * p <.05

Table 2 各怒り対処スタイルが怒り反すう,抑うつ的反すうに及ぼす影響

β β怒り反すう 抑うつ的反すう

各怒り対処方略が怒り反すう,抑うつ的反すうに

与える影響 まず,各怒り対処方略が怒り反すうに与える影

響について検討するために,各怒り対処方略を説

明変数,怒り反すうを目的変数とする重回帰分析

を行った(Table2)。その結果,回帰モデルが有意と

なり(F(3,240)=42.16,p <.001,調整済み R²=.35),怒り

表出と(β=.36,p <.001),怒り抑制は,怒り反すうに

対して有意な正の影響を与えることが示された

(β=.59,p <.001)。一方,怒り制御は,怒り反すうに

対して有意な負の影響を与えることが示された

(β=-.24,p <.01)。

次に,各怒り対処方略が抑うつ的反すうに与え

る影響について検討するために,各怒り対処方略

を説明変数,抑うつ的反すうを目的変数とする重

回帰分析を行った(Table2)。その結果,回帰モデ

ルが有意となり(F(3,240)=27.89,p <.001,調整済み

R²=.26),怒り表出と(β=.25,p <.001),怒り抑制は抑

うつ的反すうに対して有意な正の影響を与えるこ

とが示された(β=.55,p <.001)。一方で,怒り制御は,

抑うつ的反すうに対して有意な負の影響を与える

ことが示された(β=-.17,p <.05)。

各怒り対処方略が各怒り反すうの下位因子に及

ぼす影響 各怒り対処方略が各怒り反すうの下位因子に

及ぼす影響の差について検討するため,Figure1 の

パス・ダイアグラムに基づき,共分散構造分析を

実施した(Figure 2)。有意でなかったパスを削除し

た 結 果 , χ²(3)=.662(p=.882),CFI=1.000,GFI=.999,

AGFI=.994,RMSEA=.000 といった高い適合度が得

られ,モデルが示された。それは,怒り抑制から,

怒り熟考,怒り体験想起,報復思考に正のパスが

みられ(順に,β=.19,p <.001; β=.53,p <.001; β=.18,p <.001),怒り表出からも,怒り熟考,怒り体験想起,

報復思考に正のパスがみられた(順に,β=.14,p <.001; β=.27,p <.001; β=.25,p <.001)。一方,怒り制

御からは,怒り体験想起に負のパス (β=-.27,p <.001),怒り熟考,報復思考に対しては関連がみら

れなかった。

また,怒り反すうの下位因子同士の関係性につ

いては,仮説モデル通り,怒りの体験想起から,

怒り熟考,報復思考に正のパスがみられた (順

に,β=.70,p <.001; β=.55,p <.001)。なお,探索的に怒

り熟考から,報復思考へ直接パスを加えるなど,

1 怒り表出 -

2 怒り抑制 -.25 *** -

3 怒り制御 -.48 *** .56 *** -

4 怒り反すう .32 *** .36 *** -.08 -

5  怒り熟考 .27 *** .36 *** -.02 .92 *** -

6  怒り体験想起 .27 *** .31 *** -.11 .94 *** .79 *** -

7  報復思考 .35 *** .28 *** -.10 .78 *** .56 *** .67 *** -

8 抑うつ的反すう .19 *** .39 *** .02 .64 *** .61 *** .60 *** .44 ******p <.001

6 7各測定変数間の相関分析の結果

Table 1

1 2 3 4 5

VIF VIF

怒り表出 .36 *** 1.30 .25 *** 1.30

怒り抑制 .59 *** 1.47 .55 *** 1.47

怒り制御 -.24 ** 1.78 -.17 * 1.78

調整済みR ² .35 *** .26 ***

***p <.001 **p <.01 * p <.05

Table 2 各怒り対処スタイルが怒り反すう,抑うつ的反すうに及ぼす影響

β β怒り反すう 抑うつ的反すう

各怒り対処方略が怒り反すう,抑うつ的反すうに

与える影響 まず,各怒り対処方略が怒り反すうに与える影

響について検討するために,各怒り対処方略を説

明変数,怒り反すうを目的変数とする重回帰分析

を行った(Table2)。その結果,回帰モデルが有意と

なり(F(3,240)=42.16,p <.001,調整済み R²=.35),怒り

表出と(β=.36,p <.001),怒り抑制は,怒り反すうに

対して有意な正の影響を与えることが示された

(β=.59,p <.001)。一方,怒り制御は,怒り反すうに

対して有意な負の影響を与えることが示された

(β=-.24,p <.01)。

次に,各怒り対処方略が抑うつ的反すうに与え

る影響について検討するために,各怒り対処方略

を説明変数,抑うつ的反すうを目的変数とする重

回帰分析を行った(Table2)。その結果,回帰モデ

ルが有意となり(F(3,240)=27.89,p <.001,調整済み

R²=.26),怒り表出と(β=.25,p <.001),怒り抑制は抑

うつ的反すうに対して有意な正の影響を与えるこ

とが示された(β=.55,p <.001)。一方で,怒り制御は,

抑うつ的反すうに対して有意な負の影響を与える

ことが示された(β=-.17,p <.05)。

各怒り対処方略が各怒り反すうの下位因子に及

ぼす影響 各怒り対処方略が各怒り反すうの下位因子に

及ぼす影響の差について検討するため,Figure1 の

パス・ダイアグラムに基づき,共分散構造分析を

実施した(Figure 2)。有意でなかったパスを削除し

た 結 果 , χ²(3)=.662(p=.882),CFI=1.000,GFI=.999,

AGFI=.994,RMSEA=.000 といった高い適合度が得

られ,モデルが示された。それは,怒り抑制から,

怒り熟考,怒り体験想起,報復思考に正のパスが

みられ(順に,β=.19,p <.001; β=.53,p <.001; β=.18,p <.001),怒り表出からも,怒り熟考,怒り体験想起,

報復思考に正のパスがみられた(順に,β=.14,p <.001; β=.27,p <.001; β=.25,p <.001)。一方,怒り制

御からは,怒り体験想起に負のパス (β=-.27,p <.001),怒り熟考,報復思考に対しては関連がみら

れなかった。

また,怒り反すうの下位因子同士の関係性につ

いては,仮説モデル通り,怒りの体験想起から,

怒り熟考,報復思考に正のパスがみられた (順

に,β=.70,p <.001; β=.55,p <.001)。なお,探索的に怒

り熟考から,報復思考へ直接パスを加えるなど,

1 怒り表出 -

2 怒り抑制 -.25 *** -

3 怒り制御 -.48 *** .56 *** -

4 怒り反すう .32 *** .36 *** -.08 -

5  怒り熟考 .27 *** .36 *** -.02 .92 *** -

6  怒り体験想起 .27 *** .31 *** -.11 .94 *** .79 *** -

7  報復思考 .35 *** .28 *** -.10 .78 *** .56 *** .67 *** -

8 抑うつ的反すう .19 *** .39 *** .02 .64 *** .61 *** .60 *** .44 ******p <.001

6 7各測定変数間の相関分析の結果

Table 1

1 2 3 4 5

VIF VIF

怒り表出 .36 *** 1.30 .25 *** 1.30

怒り抑制 .59 *** 1.47 .55 *** 1.47

怒り制御 -.24 ** 1.78 -.17 * 1.78

調整済みR ² .35 *** .26 ***

***p <.001 **p <.01 * p <.05

Table 2 各怒り対処スタイルが怒り反すう,抑うつ的反すうに及ぼす影響

β β怒り反すう 抑うつ的反すう

怒りの表出

怒りの抑制

怒りの制御

怒りの表出

怒りの抑制

怒りの制御

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35各怒り対処方略が怒り反すうと抑うつ的反すうに及ぼす影響の検討

示され,怒り制御傾向者は抑うつ的反すう傾向が低いことが明らかにされた。したがって,不適応な怒り対処方略である怒り表出傾向者,怒り抑制傾向者は,怒りに対する反すうだけでなく,抑うつに対する反すうも行う傾向が高いことが示された。 このように,怒り表出傾向者や怒り抑制傾向者が怒り反すうや抑うつ的反すうを行う傾向が高い理由として,怒り表出傾向者は怒りを攻撃行動などで表出してしまうことにより,後悔などの反すうをしている可能性が考えられる。また,怒り抑制傾向者は,感じた怒りを認知的に対処して建設的に自制するなど,制御せずに抑制してしまうため,反すうを引き起こしてしまうのではないかと考えられる。これらの結果から,怒り表出傾向者,怒り抑制傾向者に対し,怒り反すうの低減や,抑うつ的反すうの低減など反すうを目的とした介入が有効である可能性がある。特に,怒り抑制傾向者に対して怒りや抑うつの反すうを低減されるような介入の有用性が示唆された。 そして,怒り反すうの下位因子を加味し,各怒り対処方略が各怒り反すうの下位因子に及ぼす影響の差について検討した結果,怒り抑制傾向者が怒り表出傾向者よりも怒り体験想起を行い,怒りの熟考や報復思考を抱いていることが示された。仮説通り,怒り反すうの3つの下位因子を同時に行うとは限らず,怒りの体験を想起した後,報復

怒り熟考,報復思考に正のパスがみられた(順に,β=.70, p<.001; β=.55, p<.001)。なお,探索的に怒り熟考から,報復思考へ直接パスを加えるなど,モデルの構成を変えて適合度を検討したが,当初想定したモデルの適合度がより高かった。 

【考察】 本研究の目的は,各怒り対処方略が怒り反すう,抑うつ的反すうに与える影響について検討することであった。 各怒り対処方略が怒り反すうに与える影響の差について検討した結果,これまで,怒り表出傾向者,怒り抑制傾向者の両方が怒り反すう傾向が高いことが示されていたが(八田他,2013),本研究では各怒り対処方略が怒り反すうに与える影響に差があり,怒りの抑制が怒りの表出よりも怒り反すうに与える影響が強いことが示唆された。このことから,怒り抑制傾向者が怒り表出傾向者と比較して,一層,怒り反すうを行う傾向にあると言えるだろう。また,怒りの制御は怒り反すうに負の影響を与えており,怒り制御傾向者は,先行研究と同様に怒り反すう傾向が低いことが明らかにされた。 さらに,各怒り対処方略が抑うつ的反すうに与える影響の差について検討した結果,抑うつ的反すうも同様に,怒り抑制傾向者は怒り表出傾向者と比較して,一層,抑うつ的反すうを行うことが

モデルの構成を変えて適合度を検討したが,当初

想定したモデルの適合度がより高かった。

【考察】 本研究の目的は,各怒り対処方略が怒り反すう,

抑うつ的反すうに与える影響について検討するこ

とであった。

各怒り対処方略が怒り反すうに与える影響の

差について検討した結果,これまで,怒り表出傾

向者,怒り抑制傾向者の両方が怒り反すう傾向が

高いことが示されていたが(八田他,2013),本研究

では各怒り対処方略が怒り反すうに与える影響に

差があり,怒り抑制が怒り表出よりも怒り反すう

に与える影響が強いことが示唆された。このこと

から,怒り抑制傾向者が怒り表出傾向者と比較し

て,一層,怒り反すうを行う傾向にあると言える

だろう。また,怒り制御は怒り反すうに負の影響

を与えており,怒り制御傾向者は,先行研究と同

様に怒り反すう傾向が低いことが明らかにされた。

さらに,各怒り対処方略が抑うつ的反すうに与

える影響の差について検討した結果,抑うつ的反

すうも同様に,怒り抑制傾向者は怒り表出傾向者

と比較して,一層,抑うつ的反すうを行うことが

示され,怒り制御傾向者は抑うつ的反すう傾向が

低いことが明らかにされた。したがって,不適応

な怒り対処方略である怒り表出傾向者,怒り抑制

傾向者は,怒りに対する反すうだけでなく,抑う

つに対する反すうも行う傾向が高いことが示され

た。

怒り表出傾向者や怒り抑制傾向者が怒り反す

うや抑うつ的反すうを行う傾向が高い理由として,

怒り表出傾向者は怒りを攻撃行動などで表出して

しまうことにより,後悔などの反すうをしている

可能性が考えられる。また,怒り抑制傾向者は,

感じた怒りを認知的に対処して建設的に自制する

など制御せずに,抑制してしまうため,反すうを

引き起こしてしまうのではないかと考えられる。

これらの結果から,怒り表出傾向者,怒り抑制傾

向者に対し,怒り反すうの低減や,抑うつ的反す

うの低減など反すうを目的とした介入が有効であ

る可能性がある。特に怒り抑制傾向者に対して怒

りや抑うつの反すうを低減されるような介入の必

要性が示唆された。

そして,怒り反すうの下位因子を加味し,各怒

り対処方略が各怒り反すうの下位因子に及ぼす影

響の差について検討した結果,怒り抑制傾向者が

怒り表出傾向者よりも怒り体験想起を行い,怒り

の熟考や報復思考を抱いていることが示された。

仮説通り,怒り反すうの 3 つの下位因子を同時に

行うとは限らず,怒りの体験を想起した後,報復

思考, 怒り熟考を行う可能性が示唆された。また,

同様に,怒り抑制傾向者が怒り表出傾向者より,

怒りの熟考を行いやすいことが示された。しかし,

報復思考においては怒り表出傾向者の方が怒り抑

怒りの表出

怒りの抑制

怒りの制御

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36 発達心理臨床研究 第26巻 2020

因子ごとに分類して詳細に検討する必要がある。最後に本研究の限界と課題として,本研究では,調査対象者が女性のみであることが挙げられる。怒り反すうは男女差がないとされている研究が多い が(e.g.,Barber,Maltby, & Macaskill,2005), 男性より女性のほうが抑うつ的反すうを行いやすいことや(Johnson & Whisman,2013),男性の方が女性よりも怒りの表出傾向があることから(e.g.,Eagly & Steffen,1986),抑うつ的反すうと怒り対処方略には男女差があることが示されている。そのため,今後は,男性も対象として含め,検討していく必要がある。また,本研究では特性怒りを測定していないため,より臨床的介入が必要な者を対象とするためには,特性怒りも考慮する必要があるだろう。

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思考, 怒り熟考を行う可能性が示唆された。また,同様に,怒り抑制傾向者が怒り表出傾向者より,怒りの熟考を行いやすいことが示された。しかし,報復思考においては怒り表出傾向者の方が怒り抑制傾向者よりも,報復思考を抱きやすいことが示された。したがって,怒り反すうの下位因子を加味した場合は,仮説1と同様,怒り抑制傾向者のほうが怒り反すうを行いやすいと言えるが,報復思考を抱きやすいのは怒り表出傾向者であることが示された。これは,児童青年期の敵意的な認知は,怒りの抑制とは関連が低いが,怒りの表出とは関連が高いと示されている(Steele,Legerski, Nelson, & Phipps,2009)ことから,怒り表出傾向者は怒りの対象となる相手への報復に関する反実仮想思考である報復思考を抱きやすいと考えられる。したがって,怒り表出傾向者に対しては報復思考に重点をおいて介入する必要があると考えられる。 しかし,平野・湯川(2013)による怒り反すう低減を目的としたマインドフルネス瞑想を用いた介入研究で,報復思考のみ低減効果が得られなかったことが示されている。この理由として,「怒り熟考」や「怒り体験想起」は,以前の経験について繰り返し考えてしまう傾向にあるため,通常の抑うつ的反すうと近い概念だと考えられるが,

「報復思考」は,怒りの対象となる相手への報復に関する反実仮想思考であるため,通常の抑うつ的反すうにはない怒り反すう独自の反すう内容である可能性が指摘されている。そして,Ramel,Goldin,Carmona, & McQuaid (2004)は,抑うつ的反すうにはマインドフルネス瞑想が有効であることを報告していることから,報復思考のみ低減効果が得られなかったのではないかと考えられる(平野・湯川,2013)。したがって,報復思考に対する介入方法を検討するのが今後の課題であると言える。 以上のことから,怒り反すうの下位因子は有効な介入方法は異なることが考えられるため,それぞれ異なった側面や性質を持っており,怒り反すうについて扱う際には,怒り反すうの3つの下位

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Examination of the effects of anger coping strategies on anger rumination and depressive rumination

Naho OSHIMA*, Sakie SIMOTSU**, Daisuke ITO*

*Graduate School of Education, Hyogo University of Teacher Education

**Faculty of Developmental Education, Kyoto Woman University

The purpose of this study was to examine the effects of anger coping strategies(anger-out, anger-in, anger-control)

on anger rumination and depressive rumination. We distributed questionnaires to 244 female college students. As a

result of the analysis, it was shown that those who tend to suppress anger ruminates more angry and depressive

events than those who tend to express anger. Furthermore, the subscales of anger rumination (anger reflection,

memories of anger experience, thoughts of revenge), also show the same tendency; it was shown that those who tend

to suppress anger were more likely to ruminate on anger, and that those who tend to have thoughts of revenge are

those who tend to express anger. Therefore, intervention targeting angry and depressive rumination may be effective

for those who tend to express anger and suppress anger. In particular, it may be necessary to intervene to reduce

anger and depressive rumination for those who tend to suppress anger and to focus on thoughts of revenge for those

who tend to express anger.

Key Words : anger rumination, depressive rumination, anger coping strategies