市場と経済a - takasaki city university of economics5月16日(月)...
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市場と経済A 第6回 市場における需要と供給の作用(1)(教科書第4章) 2016年5月16日(月) 担当:天羽正継(経済学部経済学科准教授)
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市場と競争(1)
需要(demand)と供給(supply) 市場経済を機能させ、一つひとつの財・サービスの生産量と販売価格を決定する。
市場(market, シジョウ):一つひとつの財・サービスにおける売り手と買い手の集まり 「市場(イチバ)」のように、特定の場所に組織化されていない。
価格や販売量は、すべての売り手と買い手が市場において相互に影響しあうことを通して決定される。
競争市場(competitive market):多くの売り手と買い手が存在していて、一人の売り手や買い手が市場価格に影響を及ぼさないような市場 市場が完全競争的であるための条件
販売されている財・サービスはすべてまったく同じ
売り手と買い手が多数存在するので、市場価格に影響を及ぼすような単独の売り手や買い手は存在しない
完全競争的な市場においては、売り手も買い手も市場で決まった価格を受け入れるしかないので、価格受容者(プライス・テイカー,price taker)と呼ばれる。
本講義では主として、完全競争的な市場を分析対象とする。
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市場と競争(2)
しかし、実際の市場は完全競争的ではない。 独占市場:売り手が一つしか存在せず、その売り手(独占企業)が価格を決めている市場
寡占市場:売り手が少数しか存在せず、あまり厳しい競争をしていない市場
独占的競争市場:売り手は多数存在するが、それぞれ少しずつ異なる財・サービスを販売している市場
完全に同一の財・サービスではないので、それぞれの売り手は価格をある程度自分で決めることができる。
市場を完全競争的と仮定することは、分析のための単純化。
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需要(1)
需要量:買い手が買いたいと思い、かつ買うことのできる財・サービスの量
価格以外のすべての要因が一定であれば、財・サービスの価格が上昇すると買い手の需要量は減少し、価格が低下すると増加する。 財・サービスに対する需要量は、その価格と負の相関関係にある(需要法則)。
需要表:価格以外のすべての要因を一定に保った場合の、財・サービスの価格と需要量の関係を示した表(スライド5)。
需要曲線:価格を縦軸に、需要量を横軸にとった場合に、価格と需要量の関係を表した右下がりの曲線(スライド5)。
財・サービスに対する個々の買い手の需要をすべて足し合わせたものが、市場の需要(スライド6)。 市場の需要曲線は、個々の買い手の需要曲線を水平に足し合わせることによって得られる(スライド7)。
市場の需要曲線は、価格以外のすべての要因を一定に保った場合に、価格の変化に応じて市場の需要がどのように変化するかを表す。
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需要(2) 5
アイスクリーム アイスクリームの価格 の需要量(ドル) (個)
0.00 120.50 101.00 81.50 62.00 42.50 23.00 0
キャサリンの需要表
アイスクリーム の個数
3.00
2.50
2.00
1.50
1.00
0.50
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
アイスクリーム 1個の価格(ドル) キャサリンの需要曲線
需要(3) 6
アイスクリーム キャサリン ニコラスの価格 の需要量 の需要量(ドル) (個) (個) (個)
0.00 12 7 190.50 10 6 161.00 8 5 131.50 6 4 102.00 4 3 72.50 2 2 43.00 0 1 1
個人の需要量の合計としての市場需要量
市場需要量
需要(4) 7
アイスクリーム の個数
3.00
2.50
2.00
1.50
1.00
0.50
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
アイスクリーム 1個の価格(ドル)
キャサリンの需要曲線
13 14 15 16 17 18 19
ニコラスの需要曲線
市場の需要曲線
需要(5)
価格以外の要因が変化すれば、需要曲線はシフト(スライド9)。 どの価格においても需要量を増やすような変化は、需要曲線を右にシフトさせる(需要の増大)。
どの価格においても需要量を減らすような変化は、需要曲線を左にシフトさせる(需要の減少)。
需要曲線をシフトさせる要因は、所得、関連する財・サービスの価格、嗜好、期待、買い手の数などさまざま(教科書113ページ、表4-1)。
所得や価格が変化した際に(ただし、その他の要因は一定とする)需要量がどのように変化するかによって、財・サービスを分類。 正常財(normal good):所得が増加(減少)すると需要量が増加(減少)する財。
劣等財(inferior good):所得が増加(減少)すると需要量が減少(増加)する財。
代替財(substitutes):一方の財の価格が上昇(低下)すると、他方の財の需要量が増加(減少)する関係にある二つの財。
補完財(complements):一方の財の価格が上昇(低下)すると、他方の財の需要量が減少(増加)する関係にある二つの財。
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需要(6) 9
アイスクリーム の個数 0
アイスクリーム 1個の価格(ドル)
需要曲線 D1
需要曲線 D2
需要曲線 D3
需要の 増大
需要の 減少
供給(1)
供給量:売り手が売りたいと思い、かつ売ることのできる財・サービスの量。
価格以外のすべての要因が一定であれば、財・サービスの価格が上昇すると売り手の供給量は増加し、価格が低下すると減少する。 財・サービスの供給量は、その価格と正の相関関係にある(供給法則)。
供給表:価格以外のすべての要因を一定に保った場合の、財・サービスの価格と供給量の関係を示した表(スライド11)。
供給曲線:価格を縦軸に、供給量を横軸にとった場合に、価格と供給量の関係を表した右上がりの曲線。
財・サービスに対する個々の買い手の需要をすべて足し合わせたものが、市場の供給(スライド12)。 市場の供給曲線は、個々の売り手の供給曲線を水平に足し合わせることによって得られる(スライド13)。
市場の供給曲線は、価格以外のすべての要因を一定に保った場合に、価格の変化に応じて市場の供給がどのように変化するかを表す。
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供給(2) 11
アイスクリーム の個数
3.00
2.50
2.00
1.50
1.00
0.50
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
アイスクリーム 1個の価格(ドル) ベンの供給曲線
アイスクリーム アイスクリームの価格 の供給量(ドル) (個)
0.00 00.50 01.00 11.50 22.00 32.50 43.00 5
ベンの供給表
供給(3) 12
アイスクリーム ベン ジェリーの価格 の供給量 の供給量(ドル) (個) (個) (個)
0.00 0 0 00.50 0 0 01.00 1 0 11.50 2 2 42.00 3 4 72.50 4 6 103.00 5 8 13
市場供給量
個人の供給量の合計としての市場供給量
供給(4) 13
アイスクリーム の個数
3.00
2.50
2.00
1.50
1.00
0.50
0 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
アイスクリーム 1個の価格(ドル)
ベンの供給曲線
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市場の供給曲線
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ジェリーの供給曲線
供給(5)
価格以外の要因が変化すれば、供給曲線はシフト(スライド15)。
どの価格においても供給量を増やすような変化は、供給曲線を右にシフトさせる(供給の増大)。
どの価格においても供給量を減らすような変化は、供給曲線を左にシフトさせる(供給の減少)。
供給曲線をシフトさせる要因は、投入価格、技術、期待(予想)、売り手の数などさまざま(教科書p120,表4-2)。
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供給(6) 15
アイスクリーム の個数 0
アイスクリーム 1個の価格(ドル)
供給曲線 S1
供給曲線 S2
供給曲線 S3
供給の 増大
供給の 減少