そこは新たなる世界。 クラウドコンピューティングが 開催レ … ·...

4
特別講演 どうしたら日本を 元気にできるか 評論家 大宅 映子オープニング ご挨拶 日本ユニシス株式会社 代表取締役社長 井 勝人 基調講演 国際情勢と日本経済 最新ワシントンレポート ハーバード大学諮問委員  日高 義樹雲を突き抜けたら、 そこは新たなる世界。 クラウドコンピューティングが もたらすICTサービスの実感 2009年6月4日~5日、ANAインターコンチネンタルホテル東京で、 「BITS2009(Nihon Unisys Group Business & ICT Strategy Forum)」を開催。 有識者の方々による特別講演やパネルディスカッションをはじめ、 最新のICT技術動向や活用事例を紹介する34のセッション、 企業ビジネスに役立つ各種ICTサービスを実感いただける展示コーナーをご用意し、 2,200名を超える方々にご来場いただきました。 Advanced Executive Stage 6月4日 ICT Solution Stage 6月5日 開催レポート 10 Club Unisys + PLUS VOL.21

Upload: others

Post on 12-Oct-2020

0 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

特別講演 どうしたら日本を 元気にできるか 評論家 大宅 映子氏

オープニング ご挨拶 日本ユニシス株式会社 代表取締役社長  井 勝人

基調講演 国際情勢と日本経済 最新ワシントンレポート ハーバード大学諮問委員  日高 義樹氏

雲を突き抜けたら、そこは新たなる世界。クラウドコンピューティングがもたらすICTサービスの実感2009年6月4日~5日、ANAインターコンチネンタルホテル東京で、「BITS2009(Nihon Unisys Group Business & ICT Strategy Forum)」を開催。有識者の方々による特別講演やパネルディスカッションをはじめ、最新のICT技術動向や活用事例を紹介する34のセッション、企業ビジネスに役立つ各種ICTサービスを実感いただける展示コーナーをご用意し、2,200名を超える方々にご来場いただきました。

Advanced Executive Stage 6月4日 ICT Solution Stage 6月5日

開催レポート

10Club Unisys + PLUS VOL.21

株式会社JTB情報システム取締役 副社長北上 真一氏

株式会社ニッセンホールディングスIT企画部 部長射鹿 良次氏

三井物産株式会社IT推進部 部長中島 透氏

日本ユニシス株式会社常務執行役員 ICTサービス 部門長角 泰志

BITS2009の初日、オープニング

に登壇した代表取締役社長の 

井勝人は、

冒頭で「世界的な不況が続く今こそ、次の

時代を見据えて、グループ一丸となって実力

を鍛えていきます」と決意を語りました。

また、その一環として、2008年度か

らクラウドコンピューティングに注力してい

ると説明。ICT技術の進展によって、コ

ンピュータシステムの「所有から利用へ」とい

う大きな流れが生まれるなか、「利用した

分だけ代金をお支払いいただくというクラ

ウドコンピューティングは、現在のような不

況の時こそ皆さんのコスト削減にお役に立

つと考えます」と、その価値を述べました。

さらに今後は、ICTを通じて地球環

境保全や地域活性化にも貢献していくと

話し、クラウドコンピューティングの活用に

よるCO2排出量削減の効果について述べ

るとともに、現在推進している事例とし

て、青森県での電気自動車向け充電イン

フラシステムの実証実験を紹介しました。

最後に、企業活動として力を入れている

「日本ユニシス実業団バドミントン部」の強

豪選手の活躍に触れ、挨拶を終えました。

初日のセッション終了後に、グループ研

究や論文などユニシス研究会活動のなか

でとくに優れたものに贈られる「エッカー

ト賞」他の表彰式が開催されました。

2008年度のエッカート賞に輝いたの

は、グループ研究・関東13グループでした。

ITと観光という異色の組み合わせで情

報活用を提言した着眼点が評価されたも

のです。

から、導入にあたってのポイントとして、

「ITガバナンスの方針を社内に徹底させ

ることが重要」「経営と技術に精通した人

材育成が求められる」「一般的なクラウド

コンピューティング化とプライベート(企業

内の)クラウドを使い分ける必要がある」

など、実体験に基づく貴重な意見をいた

だきました。

最後に、クラウドコンピューティングは、

コストやリソースの面だけでなく、IT部

門の負担が大幅に軽減することで新たな

業務に取り組めるなど、社員の働き方や

経営にも大きなインパクトをもたらすと

いう可能性に言及し、聴講者の皆様に、実

用化が着実に進んでいくクラウドコン

ピューティングに触れてみてほしいと呼び

かけました。

初日に実施されたパネルディスカッション

では、先進的にクラウドコンピューティング

を検討されている企業の皆様をパネリス

トとしてお招きし、クラウドコンピューティ

ングの概念から、各社の取り組みのなかで

感じられた導入メリットや今後の課題な

どについて、幅広く語っていただきました。

まず、クラウドコンピューティングの説明

として、システム利用の効率化とコスト削

減を図るために、サーバの仮想化などに

よってICTリソースを集約すること、ま

た運用についても無人化・自動化を図って

いくことが必要であり、それによって、IT

部門、経営、あるいはサービスを変革して

いくことが目的であると論じられました。

また、パネリストの皆様には、クラウド

コンピューティングを検討されている立場

エッカート賞

観光から地域活性化を考える

(グループ研究・関東13グループ)

審査委員長賞

システム監査の視点を利用した

新しい視点でのIT投資効果の研究

(グループ研究・関東2グループ)

東北支部活動

2008年度

エッカート賞の表彰式を開催

ユニシス研究会

日本ユニシス株式会社代表取締役社長

 井 勝人

新たな時代の流れを見据えた

日本ユニシスグループのICT

ご挨拶

モデレータ

パネリスト

受賞一覧

パネルディスカッション

活用により何が変わる、何を変える!

実用化した

クラウド

コンピューティング

11 Club Unisys + PLUS VOL.21

アメリカに30年在住し、ハーバード大学

諮問委員を務める日高義樹氏は、まず、

今のアメリカの経済について、「景気は良く

なっており、経済は復調したといえるだろ

う」と述べました。

その理由は、オバマ大統領の基本的な

金融政策にあるとし、「アメリカの優良銀

行に対する特別融資」「アメリカの金融機

関の不良債権を買い取る専門銀行(バッド

バンク)」「地方自治体に対する金融援助」

という3つの政策が上手く機能したと話

しました。この結果、好景気を示すいくつ

かの材料が現れ、経済学者が「アメリカは

最悪の事態を脱した」と評価するととも

に、アメリカ国民のオバマ大統領への信頼

も厚く、2009年4月現在の世論調査

では、64%もの人が支持しています。

しかし日高氏は、アメリカがこれから大

きな問題を抱えることになるだろうと指

摘し、その最大の要因として、オバマ大統

領の就任時に8000億ドルだった政府

発行の通貨を、4兆ドルに増やしたことを

あげます。

「これによってドルが安くなり、赤字が増え

続けています。これを埋めるために、国債

を発行して長期金利を上げざるを得な

い。増税もする。経済が良くなるわけはあ

りません」

そして、もう1つの大きな問題は、金融

機関の機能は正常化したものの、実体経

済は悪い状態のままであることだといいま

す。GDPの減少や失業率・インフレ率の

増加について、その象徴である自動車大手

ゼネラル・モーターズの破綻などをあげな

がら解説しました。

「一時的に景気が良いからといって、政府の

発表やメディアの報道を鵜呑みにするの

は危険です。私は、早ければ今年の暮れに

は不景気に逆戻りすると思います。現在

も赤字が増え続け、実体経済が悪化し続

けている状況に対してオバマ大統領がどん

な対策をとるのか、それがアメリカの運命

を左右することになるでしょう」

日高氏は、これまでにもアメリカの経済

力が低下したことはあったものの、それを

防ぐために過去の大統領は軍事力や外交

力を経済活動に活用してきたといいます。

しかし、軍事問題に詳しくないオバマ大統

領が就任したことで「さらにドルの力は下

がる」と予想します。

「とはいえ、世界を見るとドルの代わりに

なる通貨はありません。したがって、今後

は『コンピュータと食べ物』『ITのソフトと

石油』といったバーター(物物交換)の時代

に入るかもしれません」

そして、バーターの時代になれば、モノや

人が実際に動くこととなり、それらを安全

に行うために軍事力が必要になるといいま

す。そこで問題となるのが、日本のこれか

らのあり方です。日高氏は、

次のように主張しました。

「自分たちで石油や食べ物を

買いにいったり、コンピュータや

技術者を運んでいったりしな

ければならない時に、どうやっ

て安全性を確保するのか。今

までの日本は、軍事問題につい

てアメリカにおんぶに抱っこで

したが、その時代は終わりを

告げるでしょう。日本が一人前

になり、安全を守っていくため

にどうすればいいのか、急速に

答えを出すことが必要です」

これからの時代、

日本の安全を

守っていくために

アメリカの好景気と

今後の不安 国

際情勢と日本経済

日高 義樹氏ハーバード大学諮問委員

1935年生まれ、愛知県出身。東京大学卒業後、NHKに勤務。外信部・ニューヨーク支局長・ワシントン支局長を歴任。NHK審議委員を最後に退職後、ハーバード大学客員教授を勤め、現在はハーバード大学諮問委員。また、ワシントンのハドソン研究所・首席研究員として日米関係の将来性に関する調査・研究に従事している。

基調

講演

〜最新ワシントンレポート〜

12Club Unisys + PLUS VOL.21

評論家の大宅映子氏は、冒頭で「個人

の立場」から発言することの重要性を説

明しました。

数々の審議会委員を歴任してきたご自

身の体験から「会議に参加していても、自

分自身の意見でなく、自分が所属している

組織の立場でものを言う人が多い」と話し

ました。そして、「何かを『変革する』『元気

にする』主人公は個人である」との考えか

ら、そうした組織や団体の大きな声に流

されないためには、一人ひとりの個人が声

をあげていくことが必要だと述べました。

そして、日本の元気がなくなってしまっ

た原因は「官」にあるとしたうえで、国民に

も問題があると指摘します。

「日本には、これまで『お上思想』が蔓延し

ていたと思います。確かに、国にすべてを任

せておけば楽です。何かあった時も国のせ

いにできますから。ただし、追及された側

は、さらに規制を強化して文句を言われ

ないようにします。その繰り返しが、ずっと

日本がたどってきた道なのです」

ただし、こうした官主導による経済政

策が、戦後の日本が貧しかった時代には功

を奏し、その後の日本の復興を支えたとい

います。問題は、世界第2の経済大国に

なっても同じ方法を続けたことだと指摘

します。

「日本の政策は、ずっと『何事も平等に、結

果を同じに』という発想のもとで規制をか

けて進められ、『元気な人をもっと活かす』

策は講じてきませんでした。伸びていくと

ころにお金をかけないのですから、当然、元

気はなくなるわけです」

また、大宅氏は過剰な国民保護にも警

鐘を鳴らしました。

「産地偽装や耐震偽装…何かあるたびに、

国は国民を守るためだといって、いろいろ

な規制をかけます。私は、自由が一番だと

思っていますから、自分の責任で判断した

い。国民にも、『そんなことまでしてくれな

くていい』と声をあげてくれることを願っ

ています」

一方で、大宅氏は、今の日本人は悲観的

な情報を見すぎていて実力以上に自信を

なくしてしまっている、もっと自分たちの国

に自信をもってほしいと呼びかけました。

「世界規模で見ると、日本の質は非常に

高い。自然は美しく、人々は礼儀正しくて

識字率も高い。交通などのシステムも正

確です。素晴らしいところはたくさんある

んです」

こうした日本の良さを認めながら、従来

の右肩上がりの成長が望めないなかで、こ

れからの人生を充実させるために何が必

要かを考えてほしいと訴えます。

「例えば、夕日の美しさや友だちと飲む

コーヒーの美味しさに感動するとか、誰か

に感謝されて心が満ち足りた

とか…。そんなことを集めて

もGDPには出てきません

が、発想を根本的に変え、皆

が日々いきいきと過ごせるこ

とを主眼に考えていく、これ

が今後の日本のあり方なので

はないでしょうか」

そして、日本の元気を取

り戻すには、「この発想の転

換を、一人ひとりがどれだけ

覚悟と責任をもってできる

かにかかっている」としめくく

りました。

従来の発想を転換し

皆がいきいきと

人生を送れる国に

日本が元気に

なるためには

個人が声をあげる

どうしたら日本を元気にできるか

大宅 映子氏評論家

1941年生まれ、東京都出身。国際基督教大学卒業後、PR会社に勤務。1978年から始めたマスコミ活動では、国際問題・国内政治経済から食文化・子育てまで守備範囲広く活躍し、大所高所からの視野と同時に個人の立場で発言する切れ味の良いコメントが好評。これまで、「道路関係四公団民営化推進委員会」、「地球的規模の環境問題に関する懇談会」、「医療保険福祉審議会」、「教育改革国民会議」、「税制調査会」など、数多くの審議会委員を歴任。

特別

講演

13 Club Unisys + PLUS VOL.21