健康な人から病気を学ぶ! 異常音聴診 ... - jst ·...
TRANSCRIPT
1
健康な人から病気を学ぶ!異常音聴診システム
岩手県立大学 看護学部
講師 三浦奈都子
2
異常音聴診演習システム
Iwate prefectural University
➢対象者の呼吸に同期させて、異常な呼吸音(副雑音)を再現する
安価な機器特願2016-020021
3
異常音聴診演習システムの開発経緯
Iwate prefectural University
➢高度化かつ複雑化する医療に対応し得る実践能力を有する人材の育成が求められている。
➢患者層の変化や患者の権利擁護のために、病院などで行われる臨地実習で学生が実践できるケアが減少している現状がある。
➢知識からコンピテンシー重視の教育への改革が進んでいる。
4
異常音聴診演習システムの開発経緯
Iwate prefectural University
➢医学教育モデル・コア・カリキュラム(平成28年度改訂版)
医療安全の観点から臨床現場を想定したシミュレーションによるトレーニングを積む必要性がある。
➢看護教育の内容と方法に関する検討会報告書(平成23年2月厚生労働省)
効果的に技術を習得するために学内でシミュレーション教育を行うことが推奨されている。
5
シミュレーション教育の種類
Iwate prefectural University
➢ タスクトレーニング:技術習得➢ アルゴリズムトレーニング:Basic Life Support➢ シチュエーションベースドトレーニング:
あらゆる臨床の状況を再現して行う
6
現在のシミュレーション教育機器
Iwate prefectural University
OSCE(客観的臨床能力試験)など模擬患者を用いた実技試験やシチュエーションベースド
トレーニングが盛んに実施されている。
模擬患者は健康であるため,副雑音が出せない。
この解決策として,シミュレータを併用したハイブリット・シミュレーションが行われる.
京都科学https://www.kyotokagaku.com/jp/educational/products/detail01/mw28.html
+
7
シミュレーション教育の問題点
Iwate prefectural University
模擬患者とシミュレータを併用したハイブリットシミュレーション
実際の診察の流れを中断することになり不自然
呼吸音を再現するシミュレータは高額
京都科学https://www.kyotokagaku.com/jp/educational/products/detail01/mw28.html
+
8
現在のシミュレーション教育機器
Iwate prefectural University
模擬患者にシールを貼付したり,スーツを着用しその上で聴診すると副雑音が再現される。 Cardionics ; http://www.cardionics.com
9
既存の機器の問題点
シールを貼るため学生に聴診部位を示すことになる
シールはディスポーザブルであり、高額
スーツは聴診できる部位が限られている
スーツは洗濯可能であるが、高額 Cardionics ; http://www.cardionics.com
Iwate prefectural University
10
現在のシミュレーション教育の問題点
患者の呼吸音を再現できる高機能シミュレータ
1体 数百万~1千万円と高額
模擬患者は健康体のため、異常呼吸音
(副雑音)を再現できない
1クラス90名を超える学生 大人数での演習
Iwate prefectural University
11
KINECTを利用して両肩および骨盤の位置を推定する。
聴診器につけた色を追跡し、その座標を求める技術を組み合わせることで、体格に依らず適正位置に聴診器が当てられたかを判断する。
正常音・副雑音を、検出した呼吸周期と同期してイヤホンに流す。
異常音聴診演習システムの概要
Iwate prefectural University
12
異常音聴診演習システムの概要
Iwate prefectural University
KINECT
PC
13
異常音聴診演習システムの概要
Iwate prefectural University
14
聴診演習システムの評価 結果
Iwate prefectural University
測定点 1 2 3 4 5
男子5名 5 5 5 5 5
女子5名 5 5 5 5 5
測定点 6 7 8 9 10
男子5名 5 5 5 5 3
女子5名 5 5 4 3 2
聴診器が身体にあたったことの検知(名)
15
聴診演習システムの評価 結果
Iwate prefectural University
Hip center
Spine
男子8名 女子4名
誤検知率
吸気
0.01 0.05
呼気
0.01 0.05
検知遅延(秒)
吸気
0.46 0.74
呼気
0.67 0.62
吸気と呼気の検知
16
聴診演習システムの評価(学生)
Iwate prefectural University
•胸部のフィジカルアセスメント履修後の1年生6名
聴診部位で呼吸音(正常音,副雑音)が聞こえたか
✓ 聞こえた.5名
聴診器を当てるタイミングと呼吸音
✓ 当てると聞こえた.5名
✓ 当てなくてもやや聞こえた.5名
シミュレータ,学生同士の演習との比較
✓ 同等である(学生同士1名,シミュレータ2名)
✓ 有用である(学生同士4名)
✓ やや有用である(シミュレータ4名)
システムを使用して学習したいか
✓ 今後も使用したい.6名
17
聴診演習システムの評価(学生)
Iwate prefectural University
システムに関する自由記述
✓人と人との関係を学びつつ、副雑音を学ぶことができる。
✓実際の患者のイメージがつきやすい。
✓自然な流れの聴診練習ができる。
✓シミュレーションの幅が広がりそうで興味がある。
×呼吸音の聞こえるタイミングや長さに少し違和感を感じる。
×心臓の音が聞こえないことは違和感を感じる。
18
聴診演習システムの評価(看護師)
Iwate prefectural University
0%
4%
18%
26%
32%
20%
0 0.1 0.2 0.3 0.4
1年~2年
3年~5年
6年~10年
11年~15年
16年~20年
20年以上
看護職経験年数n=50
6%
8%
4%
12%
70%
0 0.2 0.4 0.6 0.8
思わない
あまり思わない
どちらでもない
やや思う
思う
聴診演習システムに興味がある
19
聴診演習システムの評価(看護師)
Iwate prefectural University
4.08% 4.08% 4.08%
32.65%
55.10%
0
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
思わない あまり思わない 変わらない やや思う 思う
これまでの方法と比較して,臨床現場をより良く再現していると思いますか n=49
20
聴診演習システムの評価(看護師)
Iwate prefectural University
2.08% 0% 2.08%
14.58%
81.25%
0
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
0.7
0.8
0.9
6.12%8.16%
4.08%
20.41%
61.22%
0
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
0.7
0.8
0.9
1
思わない あまり思わない どちらでもない やや思う 思う
学生が呼吸音や疾患を学ぶために有用である 看護師が呼吸音や疾患を学ぶために有用である
n=48 n=49
21
聴診演習システムの課題
Iwate prefectural University
学習を深めるためのモード設定
①自己学習モード
正しい聴診位置,聴診時間,呼吸音を示す
②試験モード
正しい手順で,正確に呼吸音を聴取できるか
③シミュレーション・モード
模擬患者および人形を用いた
ハイブリット・シミュレーション
22
聴診演習システムの課題
Iwate prefectural University
学習結果の蓄積
①学習成果の記録
だれが,いつ,なにを,どのように
②個々の学生への関わり
苦手な部分は克服し,優れた部分は伸ばす
③自己学習の促進
結果がみえる、成長がわかる→やる気をうむ
23
聴診演習システムの課題
Iwate prefectural University
検知力の向上
①対象者の呼吸検知の精度向上
呼吸の切り替わりにインターバルがある
②ベッド上でも使用できるように
現状は、座位のみで使用可能
24
聴診演習システムのアウトカム
Iwate prefectural University
健康な人を本当の
(模擬)患者に!
学生
実践能力向上
患者安全
看護師
実践能力向上
25
企業へ期待すること
Iwate prefectural University
学習を深めるためのモード設定
学習結果の蓄積
検知力の向上
上記の課題を解決できるソフトウェアの開発と販売
26
•発明の名称:聴診システム
•出願番号 :特願2016-020021
•出願人 :岩手県立大学
•発明者 :村田嘉利、小山奈都子
遠藤良仁
Iwate prefectural University
本技術に関する知的財産権
27Iwate prefectural University
お問い合わせ先
岩手県立大学 研究・地域連携本部研究・地域連携室
産学公連携コーディネーター上野山英克(うえのやまひでかつ)
E-mai:[email protected]〒020-0611 岩手県滝沢市巣子152-89TEL 019-694-3330 FAX 019-694-3331