實扶的里亜患者ノ臨牀的統計的觀察...

43

臨

牀

實

験

實扶的里亜患者

ノ臨牀的統計的觀察

大

連

療

病

院

(院

長

豊

田

博

士)

山

蔦

海

目

次

第

一章

緒

言

第二章

「ヂフテリー」患者發生ニ就テ

第

一節

發生年別及月別

第二節

年齢トノ關係

第三節

性別トノ關係

第四節

家族的發生

第三章

症状及血清注射量

第一節

病竈別

第二節

季節ト病竈トノ關係

第三節

年齢ト病竈トノ關係

第四節

義膜附著日数

第五節

血清注射病日

第六節

治療血清使用量

第七節

合併症

第八節

再發及再感染

第四章

死亡率

第

一節

季節

ト死亡率

第

二節

性別

ト死亡率

第

三節

年齢

ト死亡率

第

四節

病竈

ト死

亡率

第

五節

血清初

注射病

日ト死亡率

第

六節

合併症

ト死亡率

第

五章

氣管切開

第

一節

氣管切開

ノ頻度

第

二節

氣管切開

ノ病日

第

三節

氣管切開

ノ季節

ト年齢別

第

四節

氣管切開患者初

注射病

日血清使用

量

第

六章

壊疽性

「ヂフテリー」

第

一節

壌疽性

「ヂフテリー」ノ罹患率

第

二節

壌疽性

「ヂフ

テリー」ノ年齢的

關係

第

三節

壊疽性

「ヂフ

テリー」ノ性

別的

關係

山蔦=實扶的里亜患者ノ臨牀的統計的觀察

七○

一

44


七○二

第四節

壌疽性

「ヂフ

テリー」ノ季節的關係

第

七章

「ヂフ

テリー」後麻痺

第八章

血清病

第九章

結論竝主要文獻

第

一章

緒

言

一八

八

三

年

ク

レブ

ス氏

ハ「ヂ

フ

テリ

ー」患

者

ノ義

膜

ヨ

リ桿

菌

ヲ發

見

シ、

之

ヲ其

ノ病

原

體

ナ

リ

ト

發表

シ、翌

一八八

四年

レフ

レル氏此

ノ菌

ノ純培養

ニ成功

シ、

「ヂ

フ

テ

リ

ー」ノ病

原

體

ハ確

定

セ

ラ

ソタ

リ。

一八八八年

ルー及

エルザ

ン兩氏

ハ「ヂフ

テリー」菌毒素ヲ證明

シ、

一八九

二年北

里及

べーリ

ング兩氏

ハ「ヂフテリー」抗毒素血清

ヲ創製

シ、之

ガ

一般

ニ使

用

セ

ラ

ル

、

ニ至

リ「ヂ

フ

テ

リー」患

者

ノ死

亡

率

ハ著

シ

ク減

少

セ

リ

ト雖

、

「ヂ

フ

テ

リ

ー」患者

ノ發生

ハ年

々尚多數

ニシテ

死

亡率

モ未ダ理想

ト

スル

ニ至

ラズ。

余

ハ大連療病院

ニ昭和

六年

ヨリ昭

和十年

ニ至ル五ケ年間

ニ收容

セ

ル「ヂフ

テリー」患

者四百十

五名

ニ就

キ

臨牀的統計的觀察

ヲ試

ミタルヲ以

テ此處

ニ記

第一表患者發生年別

第二表患者發生年別及月別

第三表患者發生月別及性別

45

第四表關東州及大連市内患者發生比較

シ、先人ノ業績ト比較考究シ、將來ニ資セントス。

第

二章

「ヂフ

テリー

」患

者發生

第

一節

發

生年

別

及月

別

年

別

發

生状

況

ヲ

ミ

ル

ニ昭

和

六

年

ヨリ逐

次

患

者

ノ發

生

ガ

増加

シ

ツ

ツ

ア

ル

傾

向

ヲ示

ス。

月

別

ニ之

ヲ觀

ル

ニ

一月

ガ

最

高

位

ヲ

占

メ

次

イデ

十

一、

十

二

月

ノ順

ト

ナ

リ、

季

節

的

ニ觀

ル

ニ冬

期

ニ最

モ多

ク、

夏

期

ニ最

モ少

ナ

シ。

即

秋

期

ヨリ

流

行

シ始

メ冬

期

ニ最

モ流

行

シ春

期

、

夏期

ニ至

リ漸

次

下火

ト

ナ

ル。

關

東

州

内

ニ於

ヶ

ル流

行

状

況

ハ十

一月

最

高

位

ヲ占

メ次

イデ

十

二、

一月

ト

云

フ順

ニナ

リ

八月

ガ

最

モ下

位

ヲ占

ム。

更

ニ南

満

鐵

道

附

屬

地

ニ於

テ

ハ十

二

月

ガ

最

高

位

ヲ占

メ次

イデ

三、

一、

十

一、

二月

ト云

フ順

ニナ

リ、

七

及

八月

ガ

最

モ少

ナ

シ。即

南満

洲

ニ於

テ

ハ

一般

ニ冬

期

ニ流

行甚

ダ

シク、

秋

春

之

ニ次

ギ

夏期

ハ最

モ少

ナ

シ。

併

シ日

本

内

地

ニ於

テ久松

氏

ニ依

レバ

三

月最

モ多

ク、

四

、

二

、

十二

月

ノ

順

ニ

シテ、

多

田

氏

ニ依

レバ

二

、

三

月

最

モ多

ク、

小林

、

林

氏

モ丘ハニ三月

ヲ最

モ多

シト報

告

セ

リ。

又

東

京

警

視

廳

衞

生部

ノ最

近

ノ調

査

ニ依

レバ、

東

京

ニ於

ケ

ル

「ヂ

フテ

リ

ー」ノ月

別

發

生

率

(自

昭

和

七年

至

昭

和

十

一年

五

ケ年間

平均

)ハ春

三

一・九

二

%

、

夏

一五

・○九

%

、

秋

二

二

・七

九

%、

冬

三

○

・二

○

%

ニ

シテ、

春

殊

ニ三

月

ニ最

モ多

ク亜

イデ

冬

秋

夏

ノ順

ナ

リ。

斯

ク

ノ如

ク日

本

内地

ニ於

テ

ハ概

シ

テ春

期

ニ多

ク、

夏

期

少

ナ

キ

モ、

北

海


七○三

46

山蔦

=實扶的里亜患者ノ臨牀的統計的觀察

七○四

第五表關東州ニ於ケル患者發生年別及月別

第六表鐵道附屬地ニ於ケル患者發生年別及月別

道廳衞生課ノ調査報告書

ニ依

レバ、該地ノ發生月

別

(自昭和三年至昭和七

年五ヶ年間平均)

ハ十二

月ラ最高トシ、三、

一、

十

一月

ノ順ヲ示

シ、稍

〓

當地

ノ發生状況

ニ近似

ス。之レ北海道及當地

ト

ハ氣候、其他患者發生ニ

對

スル種々ノ條件

ノ相似

セル點

アルヤ

ニ思惟

セラ

ル(第

一、二、三、四、五、

六及七表参照)。

第

二節

年齢

ト

ノ關係

年齢

ト發生トノ關係

ニ就

キテハ第八表

ニ示

セル如

ク、

一歳未満

ノ者

ハ少ナ

ク(一・二%)、二歳

ヨリ漸

次増加シ、四-五歳

ニ至リ最高

ラ示

シ(一一・三%)、年長者

ニ至

ル程減少

スルモ十五歳以上ノ者

ニテ術八・四%ヲ示

セリ。

之ヲ先入ノ報告

ニ比較

スルニ小林氏

ハ満二歳以上満三歳未満

ヲ最多トシ、林氏

ハ一歳乃至七歳迄

ニ全數

ノ過半數ヲ占ムトシ、有末、皆

47

第七表

「ヂフテリー」患者發生月別比較

(自昭和六年至昭和十年)

川兩氏

ハ三歳

ニ於テ最高ヲ示

ストシ、又警視廳衞生部

ノ調査

ニ依

レバ

(自昭和七年至昭和十

一年)、

一歳

一・四

一%、

二歳八・七二%、

三歳

一

二・三五%、四歳

一一・四八%、五歳

一○・七七%

ニシテ以後漸次減少

セ

リ。又北海道廳衞生課ノ統計

ニ依

レバ

昭和七及八年度

ヲ通ジ

一歳

ヨリ

五歳迄ガ全數ノ五○・八%ヲ占

ム。

斯クソ如ク「ヂフテリー」ハ一歳未満ノ哺乳兒

ニ

ハ少ナクシテ、二-三

歳頃

ニ罹患率最高トナリ、以後漸次減少シ、學齢後

ハ著シク少數トナル

事實

ハ、「ヂフテリー」免疫性

ノ消長ト密接ナル關係

アルヲ知

ル。

第三節

性別トノ關係

患

者

四

一五名

中

男

二

一○

名

(五

○

・六

%)、女

二○

五

名

(四九

・六

%

)ニシテ

男

子稍

〓多

數

ナリ

キ。

多

田

、有

馬

、

久

松

、

井

上、

小林

、

春

日

、有

末

、皆

川其

他

多

ク

ノ諸

氏

ハ男

子ノ方多

シト報告

セルモ、酒井氏

ハ男女殆

ンド同數

トシ、高見氏

ハ女子稍

〓多

シトセリ。

而シテ學齢迄

ハ男子多

ク、八歳

ヨリ女子

ニ多ク、特

ニ十五歳以上

ニ於テハ女子二二名

ニ對

シ男子

一三名ナリ。此ノ事

ハ林、有末、皆川

氏ノ例トモ相似タルモノニシテ、

シック氏反應

ガ女子

ニ高率ナリトノ井上氏及チング

レル氏等

ノ統計ト竝行セリ(第八表参照)。

第

四節

家

族

的發

生

患者四

一五名中家族的發生三○組六十八名アリ。即チ總數ノ

一六・四%

ニ相當

シ内死亡者四名アリ。

一家四名ノモノニ組、三名

ノモノ二組

ニシテ、他

ハ二名宛ナリキ。

家族的發生ノ際特

ニ著明ナル現象

ハ其

ノ病竈

ノ相

一致セルモノ多キ點

ナリ、即

チ三○組中

一九組四十四名

ハ同

一病竈ナリ。

斯ク同胞間

ニ於テ同

一病竈

ノ多數ナルハ、同胞間

ノ家族的集因

ニ依

ルカ、感染「ヂ

フテリー」菌株

ニ依

ルカ或

ハ感染條件

ニ依

ルカ明瞭

ナラズ。


七○五

48

山薦=實扶的里亜患者ノ臨牀的統計的觀察

七○六

第八表患者發生ト年齢トノ關係

第九表病竈別(其一)

第九表病竈別(發生率)(其二)

第

三章

症状

及血清量

第

一節

病竈

別

臨牀上

ノ所見

ニ基キ「ヂフテリー」病竈

ヲ區別

シ之ガ發生數及發生率

ハ第九表其

一ニ示

スガ如

シ。

又之ヲ他

ノ諸報告ト比較

スル

ニ其各

レノ報告

ヨリモ咽頭型多數ナリキ(第九表其二参照)。

第

二節

季節

ト病竈

ト

ノ關係

49

第十表病竈ト月別

第十一表病竈ト年齢

咽頭「ヂフテリー」ハ一、十

一、三、十二月

ノ順

ニシテ概シテ冬期

ニ多

シ。

喉頭「ヂフテリー」及咽喉頭型

モ冬期

ニ多キモ、他型

ノモノハ四季

ノ發生

ニ大ナル差ヲ見ズ(第十表参照)。

第

三節

年齢

ト病

竈

ト

ノ關係

第十

一表

二示

スガ如ク、咽頭型

ハ一年未満

ノモノニハ比較的少數

ナレド以後次第

二増加シ、十歳

ニ於テハ八○・○%以上ヲ占ム。之

ニ

反シ喉頭型

ハ一歳未満

ノモノニ多數


スル傾向ヲ示シ、十

一歳以上

ニテハ唯

一名

アリシニ過ギズ。咽喉頭型

ハ六歳ノ


七○七

50

山蔦

11實扶的

里亜

患者

ノ臨抹的統計的観

察

七〇入

第十二表

血清注射後義膜消失日撒

一八・四%ヲ最高トシ、其

ノ前後

ハ次第

ユ減少

セリ.

(第レ■

表参

照)。

第

四節

義膜

消失

日歎

咽頭

二義膜附著

セル患者

ノ内、咽頭所見ノ正確

二記載サレタルモ

ノ八十

一名

二就キテ観

ルニ、義膜

ノ消失

ハ血清注射後四日目ガ最

多


セリ。

河野氏

ハ第

一病日ヨリ漸次ソノ陽性率減少

シ、第

二週

ヨリ第二週

第十三表血清注射病日

第

五節

血

清

注射

病

日

患者総数四

一五名中血清注射病日ノ明瞭ナルモノ三九九名

二就キテ観

ルニ、

第二病日

二初注射セルモノ最

モ多

クニ六・八%ヲ占メ、次イデ第三病日ノモノ

ニニ・六%、第四病日

ハ=二■

%

ニ減少シ、以後漸次減少ス。嚢病當日

ニ初

注射セルモノハ三〇名

(七・五%)ニシ

テ第五位

ニ位

シ、登病第一

日目ヨリ第

三病日二至ル間

二注射ヲ受ケ

シ者五六・九%ニ

シテ、第十三病日以後

二注射

セシモノ尚十

二名

(二・七%)アリキ。

血清注射病日ト豫後トノ關係ヲ観

ルニ、第二病日及登病當日二注射

ヲ受ケシ

モノノ死亡率ハ低キモ、第三病日

ハ最高(一七・七%)ヲ占メ、第四病日ハ一

五・四%、第五病日

ハニ一・五%、第六病日ハ一二・九%ヲ占ム。

之ヲ他

二比較

スルニ久松氏

ハ第三病日迄

二血清注射

ヲ受

ケシモノハ五三。七

%、多田氏

ハ五五・九%、小林氏

ハ六九・六%ナリト報告セリ(第十三表蓼照〉。

日

二入

ル頃

ハ五

〇

・○

%

ト

ナ

リ、

第

三週

二入

リ

テ

ハ全部

陰

性

トナ

ルト

シ、

多田氏

ハ血清注射後三日以内

ニ四

一・五

%、

七

日以

内

ニ八

八

.

九%、小林氏

ハ十

一日間

ニ九〇・○%義膜ハ消失

スト報告セリ(第+二表参照)。

51

第十四表病竈ト血清量

第十五表年齢ト血清量

第

六笛

治療

血清

使用

量

(イ)病竈

ト血清量。治療血清注

射量

ハ鼻咽喉頭型ノモノ最

モ多

量(平均

一萬二千單位)ニシテ、

鼻膣型ノモノ最

モ少量

(平均五

千三百五十七軍位)

ニシテ總平

均量

ハ六千七百八十三軍

位

ナ

リ。

更

ニ之ヲ全治及死亡患者別

ニ分

チテ觀

ルニ、全治患者血清平均

量五九四七單位

二對

シ、死亡者

二於テハ一○

一六八單位

ニシテ、全治者ヨリ約四○○○單位多量

二使用セリ(第十四表參照)。

(ロ)年齢

ト血清量。年齢ト血清量トノ關係

ハ患者ノ症状

ニ依リテ定メ、年齢ヲ餘

リ考慮

二入

レザ

ルモ可ナリト思考サル。

「ヂフテリー」治療血清量

ハ宮川氏

ハ約九○○○單位、久松氏

ハ六二六○單位、多田氏

ハ七六六七單位、春日、小林氏

ハ六四五四單位ト

報告セリ。

是等ノ報告

ニヨル使用量

ニ比

シ本調査

ノ血清使用量モ先ヅ相當量ナリト信ズルモ可ナラン(第十五表參照)。

第

七

節

合併

症

「ヂフテリー」合併症中最

モ多カリシバ顎下淋巴腺炎

ニシテ八十八例(二

一・二%)アリキ、亞イデ氣管枝炎七十三例(一七・六%)ニシテ内

死亡者

一○名

アリキ。第三位

ハ腎炎ノニ○例

(四・八%)ニシテ内死亡者八名

アリ、又肺炎ヲ併發

セ

シ

モノ

一三例(三・一%)ニシテ内死

亡者九名

アリタリ。

又急性傳染病

ニテ

ハ猩紅熱

ノ七例、麻疹

ノ五例、水痘

ノ三例ガ著明ナリ(第十六表參照)。

第

八節

再

發

及再感

染

山薦=實扶的里亞患者ノ臨牀的統計的觀察

七○九

52

山蔦=實扶的里亞患者ノ臨牀的統計的觀察

七

一○

第十六表合併症

患

者

四

一五名

中

再

發

セ

ル

モノ

(一ケ月

後

)一名

ニシ

テ、

再

感

染

セ

ル

モ

ノ四名

アリ、

既

チ

六

ケ月

前、

九

ケ月

前

、

一年

前

及

二

年前

二

罹

患

セ

ル

各

一名宛

ナ

リ。

第

四

章

死

亡

率

第

一節

季

節

ト

死

亡

率

患

者

四

一五

名

中

死

亡

四

一名

ニシテ死

亡

率

九

・八

%

ナ

リ。

之

ヲ月別

二觀

ル

ニ五

月

一八

・五

%

ニシ

テ最

高

位

ヲ占

メ、

次

イデ

二

月

一

七

・一%

、

三

月

一六

・三%

、

一月

一

一・九

%

ノ類

ナ

リ。

又四季

二分チテ觀

ルニ春期

四二・八%、冬期三八・八%、秋期

一七.九%、夏期九.二%ナつ。

久松氏

二依

レバ死亡率

ハニニ・八%

ヨリ六・二%ノ問

ニシテ、冬期高ク秋期低シト報告

シ.高見氏

ハニ

一.四%

ニシテ冬秋

二高率、有馬

氏及小林氏等

ハ冬期

二高率

ヲ示

シ、春秋

ノ順

二減ジ夏最モ低率ナリト報告セリ。以上ノ如

ク

日本内地

ノ諸氏

ハ各

レモ冬期

ノ死亡率高

シト報ズルモ、余

ノ成績

ニ於テ

ハ之ト異ナリ春期ノ死亡率最高ヲ示セリ(第二表參照)。

第

二節

性別

ト死亡

率

男子患者二

一○名中死亡二七名

(一二・九%)、女子患者二○五名中死亡

一四名

(六・三%)ニシテ、男子ノ死亡率

ハ女子ノ其

レニ比シ約二

位旧強

二相啓田セリ。

之ヲ他

ノ報告

二比較スルニ長尾氏

ハ男女

ノ性

二關係ナシト云ヒ、久松氏及小林氏

ハ女子

二稍

〓高率ナリトシ、林氏、有末氏

ハ男子

ニ

僅

ニ高

シト報ズ

(第三一表參照

)。

第

三節

年

齢

ト死亡率

年齢

ト死亡率トノ關係

ハ三歳

ノ一二

・七%ヲ最高トシ、四止威一九・六%、五歳

一四・九%ノ順

ニシテ九歳以後

ハ漸次減少

セリ。

林氏

ハ五歳ヲ最高トシ、四及三歳之

二次ギ、小林氏

ハ八儀

ヲ最高(三三・三%)トシ、

一歳之

二亞ギ、十三歳以上最

モ低ク

一○・五%.

53

井上氏

ハ一歳ヲ最高トシ、多田氏

ハ一歳

ハ高ク四歳迄漸次下降シか四歳

ヨリ上昇

シ事六及七歳

ニ至リテ最高トナルト報告

セリ

(第八

表參照)

第

四節

病竈

ト死亡率

死亡率最モ高キ

ハ鼻喉頭型ノ五○・○%

ニシテ、次イ

デ

喉頭型二六・○%、咽喉頭型二○・七%.咽頭型六・一%ヲ示セリ。鼻腔型

ハニ

九名、鼻咽喉頭型

ハニ名ナリ

シモ各

レモ死亡者ナシ。

之ヲ他

ノ諸報告ト比較

スルニ、咽頭型

ニ於テハ、久松氏

ハ三・六%、多研氏

ハ八・四%、小林氏

ハ八・三%トシ、

喉頭型

ニテハ久松氏

ハ

ニ九・五%、多田氏

ハ一五・八%、有末氏

ハ一五・五%トシ、咽喉頭型

ニテ

ハ多田氏

ハニ六・五%、有末氏

ハ三三・三%ト報告セリ(第丸

表參照)。

第

五節

血清

注射

病

日

ト死亡率

第三章第五節

(第十表參照)ニ述べシ如ク、第

一及第二病日二注射

セシ者

ノ死亡率

ハ甚ダ低率ナルモ、第三病日

二至リ著

シグ高率ヲ示

シ、第七病日以後再ビ死亡率減少

セリ。

第

六節

合併

症

ト死亡率

最

モ頻發

スル顎下腺炎ヲ合併

セルモノハ一五・九%ノ死亡率ヲ示シ、氣管枝炎ヲ合併

セルモノハ一三・七%、肺炎

ハ六九・二%、腎炎

八

四○・○%ヲ示セリ。

又猩紅熱ヲ合併

セル七名中二名、麻疹

ヲ合併

セル五名中

一名

ハ死亡セリ(第十六表參照)。

第五章

氣

管

切開

第

一節

氣管

切開

ノ頻

度

患者總數四

一五名中喉頭

二病竈ヲ有

セシモノハ八十五名

ニシテ、其中氣管切開ヲ施セルモノ八名既チ全患者ノ

一・九%、

「クループ」例

ノ八・二%

二相當

セリ。

第二節

氣節切開ノ季節

出薦=實扶的里亞患者ノ臨牀的統計的觀察

七

一一

54

山蔦=實扶的里亞患者ノ臨牀的統計的觀察

七

一二

氣管切開

ハ一月二名、十二月二名、三月二名、二月及四月各

一名

ニシ

、

四

季

的

ニ觀

レバ冬

期

五

名、

春

期

三名

トナ

ル。

第三節

氣管切開ノ病日

氣

管

切開

ノ病

日

ハ第

三病

日

ガ半數

(四

名

)ヲ占

メ、他

ハ第

四、

六、

七、

一日目

ノ各

一名

ナ

リ。

第四節

氣管切開ト年齢及性別

四

歳

ノ

モノ三

名

、

五、

九

、

十

二、

十七

及

二

十

六歳

ノ

モ

ノ各

一名

ナ

リ。

性別

ハ男子三名、女子五名ナリキ。

第五節

氣管切開患者ノ初注射病日及使用血清量

血清初注射病日ハ第三病日ノ

モノ七名

ニシテ他

ノ一名

ハ第

十

一病

日

ナ

リ。

血清使用量ハ最高

一七○○○單位

ニシテ、最低八○○○單位、平均

一二五六五單位ナリ。

第六節

氣管一切開ト死亡

氣管切開ヲ施セル八名中死亡六名

ニシテ死亡率

ハ八五・○%ナリ。其ノ中男子

一名、女子五名ナリ。死亡者六名中二名

ハ肺炎ヲ合併

シ、他

ハ氣管切開後

モ呼吸困難消失セズ窒息死

ニ至

レ

ル

モ

ノ

ナ

リ

。

第六章

壊疽性

「ヂフテリー」

患

者

四

一五

名

中壊

疽

性

「ヂ

フテ

リ

ー」二

三名

ニシテ

ソノ罹

患

率

五

・五

ナ

リ。

月

別

ニ之

ヲ觀

ル

ニ

一月

最

モ多

ク四

名

、

次

イデ

ニ月

、

五

、

十

二月

各

三名

、

四、

三、

六.

九

月

各

二名

、

七、

十

一月各

一名

ナ

リ、

既

チ冬

期

ニ多

シ。

年齢

ト罹

患

ト

ノ關

係

ヲ觀

ル

ニ六歳

六名

ニ

シテ最

モ多

ク、

亞

イデ

五歳

四名

、

七歳

三名

ニシ

テ、

三、

八

、

九.

十、

十

二及

十

四歳

ハ各

一名、

十五歳以上

ニ尚四名アリ。

使用血清平均量

ハ九八六

一單位ナリキ。

死

亡

ト

ノ關係

ヲ觀

ル

ニ、

二

三

名中

死

亡

六名

ニシ

テ、

死

亡率

二

六

・一%

ヲ示

セリ。

55

病竈別

ニ分テバ咽頭型

一九名内四名死亡、咽喉頭型三名内二名死亡、咽喉鼻型

一名ナリキ。

河野氏

ハ壊疽性

「ヂフテリー」ハ罹患率五・七%、死亡率六五・○%トシ、

久松氏

ハ罹患率四・一%、死亡率六五・○%、小林氏

ハ前者

一

第十七表血清病ト血清注射後日數

第十入表血清病ト血清量

四・三%、後者三○・六%、有末氏

ハ前者六・五%、後者五○・○%ト報告

セリ。

第

七章

「ヂフ

テリー」後麻痺

患者總數四

一五名中二名

ニシテ發生率○・四八%

ニテ、二名共

二口蓋帆麻痺

ニシテ全治セリ。

第

八章

血清病

「ヂフテリー」ノ治療血清

ヲ使用セ三

九九名中六八名

二於テ血清病ノ發生

ア

リ既發生率

ハ一

七・○%ナリキ。

發熱ヲ伴ヒシモノ三

一名

(四五・六%)ナリ。

關節痛

ヲ件ヒシモノハ僅

ニ一名ナリ。

年齢

ト血清病發生トノ關係

ハ一ー五歳二三・五%、

六ー十歳五

一・五%、

十

一ー十五歳

一九・一

%、十六歳以上四・四%

ニシテ、六歳

ヨリ十歳

ノ間

二血清病頻發

セリ。

血清初注射ヨリ發病迄

ノ日數

ハ七日以内ノモノ最

モ多

ク一二名、五日及六日以内ノモノ各

一○

名、八日以内ノモノ九名

ノ順

ニシテ、第七日目ヲ中心トシテ其ノ前後二日間既チ五ー九日目以

内ノ間

二全血清病數

ノ六九・一%ヲ占ム。又

一週以内デ

ハ六四・七%、

一週間後二週以内

二於テ

ハ三五・三%

ニシテ、本調査

ニ於テハニ週間以後

ニ發生セルモノヲ見ズ

(第十七表參照)。

血清病ト血清注射量トノ關係ヲ觀

ルニ一一○○○單位及

一三○○○單位

ノ間

ニ於テ最モ多數發

生セルモ、

一般

ニ比較的血清量

ノ多量ナルモノ程發生率高キガ如

シ(第十八表參照)。

小林氏

ハ血清病發生率ヲ

一七・六%、發熱

ハ九○・三%、血清病發現

ハ注射後二週以内

二九二.

三%ナリトシ、林氏

ハ發生率

一八・三%、發熱五○・六%、發病

ハ注射後二週以内

二九五.仙ハ%

トシ、有末氏

塗發生率

一一・七%、發熱七五・○%、發病

ハニ週以内ノモノ七六・一%ト報告

セリ。

山蔦＝實扶的里亞患者ノ臨牀的統計的觀察

七

一三

56

山蔦

=實扶的

里亜患者

ノ臨牀的統計的觀察

七

一四

第

九

章

結

論

一、

「ヂ

フテ

リ

ー」患

者

發

生

ハ

一月最

モ多

ク、

十

一月

、

十

二

月

之

ニ次

ギ、

季

節

的

ニ

ハ冬

期最

モ多

ク、

夏

期

最

モ少

ナ

シ。

二、

年

齢

ト發

生

ト

ノ關

係

ハニ

歳

ヨリ漸

次

増加

シ、

四

-

五

歳

ニ於

テ最

モ多

ク

(一

一・三

%)、

年

長

者

ニ至

ル程

減

少

ス。

尚

一歳

未

満

ノ罹

患

率

ハ

一・二

%

ナ

リ。

三、

性

別

ト發

生

ト

ノ關

係

ハ男

子

五

○

・六%

、

女

子

四

九

・四

%

ニシ

テ,

男

子

ハ女

子

ニ比

シ稍

〓多

シ。

四、

家

族

的

發

生

ハ三○

組

六

八

名

ア

リ部

一六

・四

%

ニシ

テ、

病

竈

ノ同

一ナ

ル

モ

ノ

一九

組

四

四名

ナ

リ。

五

、

病竈

別

ニハ咽

頭

型

最

モ多

ク六

七

・二

%

ヲ占

メ、最

モ少

ナ

キ

ハ鼻

咽

喉

頭

型

ニシ

テ○

・五

%

ナ

リ。

六、

季

節

ト病

竈

ト

ノ關

係

ハ咽

頭

型

、

喉

頭型

及咽

喉

頭

型

ハ冬

期

ニ多

ク

、他

型

ハ季

節

ニ依

リ

ソ

ノ發

生數

ニ大

差

ナ

キガ如

シ。

七

、

年齢

ト病竈

ト

ノ關

係

ハ咽

頭

型

ハ幼

小兒

ニ

ハ少

ナ

ク、

十

歳

ニ於

テ最

高

ヲ占

メ、

喉

頭

型

ハ

一歳

未

満

ノ

モノ

ニ最多

ナ

リ。

八、

義

膜

清

失

日數

ハ血

清

注射

後

四

日

目

ガ最

モ多

シ。

九、

血清

初

注

射

病

日

ハ第

二

病

日

最

モ多

ク

(二

六

・八%)、

第

三

病

日二

二

・六%

、

第

四

病

日

一三

・一%

ニシ

テ、

第

一病

日

ヨリ第

三

病

日

ノ三

日

間

ニ注射

ヲ施

行

セ

ル

モノ

ハ五

六

・九

%

ナ

リ。

死

亡

率

ハ第

一及

第

二

病

日

ニ注射

セ

シ

モ

ノ

ハ甚

ダ

低

率

ナ

ルモ三

日

目

ヨリ

ハ死

亡

率

高

ク、

一週

間

ニ至

レバ再

ビ低

率

ヲ示

セリ。

十

、治

療

血

清

使

用量

ハ平

均

六

七

八

三單

位

ニ

シテ、

全治

者

ニ於

テ

ハ五

九

四

七

單

位、

死

亡者

一○

一六

八單

位

ナ

リ

キ。

病竈

別

ニ

ハ鼻

咽

喉

頭

型第

一位

ニシ

テ

(平

均

一二

○○

○

單

位)、

鼻

腔

型

ハ平均

五

一八

○單

位

ニ

シ

テ

最

低

ヲ占

メ、

咽

頭

型

ハ平

均

六

四

八

一單

位

ナリ。

十

一、

合

併

症

ハ顎

下淋

巴

腺

炎

最

モ多

ク、

次

イデ

氣

管

枝

炎、

腎

炎

、

肺

炎

等

ニシテ是

等

ハ豫

後

ニ重

大

ナ

ル關

係

ア

リ。

十

二

、

再

發

ハ

一名

、

再

感

染

ハ四

名

ア

リ。

十

三

、

死

亡數

ハ患

者

總

數

四

一五

名

中

四

一名

即

チ死

亡率

八

・九

%

ナリ。

月

別

ニ觀

レバ

五月

最

モ多

ク

一八

・五%

ニ

シテ、

二月

、

三月

之

二亜

ギ、

十

一月

最

低

ニシテ二

・一%

ナ

リ。

性

別

ニ觀

レバ男

子

一二

・四

%、

女

子

七

・三

%

ニシテ男

子

稍

〓高

シ。

57

年

齢

別

ニ

ハ三

歳

最

高

ノ一二

・七

%

ニシ

テ、

學

齢

兒

童

ニ至

リ

テ著

シク低

率

ト

ナ

ル。

病

竈

別

ニ

ハ鼻

喉

頭

型

最高

ニシテ五

○

・○

%

ヲ占

メ、

次

イデ

喉

頭型

、

咽

喉

頭

型

ノ順

ナリ。

死

亡

者

生存

日數

ハ最

長

十

九

日、

最

短

二

日

ニ

シテ、其

ノ平

均

ハ七

・四

日

ニシテ、

死

亡者

四

一名

中

五

日以

内

ニ死

亡

セ

ルモ

ノ

一六名

(三

六

・六

%)、

一○

日以

内

ニ死

亡

セ

ル

モノ

一七名

(四

一・五

%)、

一五

日以

内

ニ死

亡

セ

ルモ

ノ六名

(一四

・六

%

)、

其

レ

ヨリ以後

ニ死

亡

セ

ルモ

ノ二名

(四

・九

%

)ナ

リ。

十

四、

氣

管

切

開

ハ喉

頭

ニ病

竈

ヲ有

ス

ル八

五

名

中

八名

ニナ

シ

タリ。

即

チ頻

度

ハ八

・二

%、死

亡

率

ハ切開

セ

ル者

ニ對

シ七

五

・○

%

ナ

リ。

季

節

的

ニ

ハ冬期

ニ多

ク、

切開

ノ病

日

ハ八

名

中

四

名

ハ第

三

病

日

ニナ

セリ。

年

齢

ハ四歳

ノ

モノ三

名

ニシ

テ他

ハ

一名

宛

ナ

リ。

男

子

ハ三

名

、女

子

ハ

五

名

切開

セリ。

切開

患

者

ノ初

注

射

病

日

ハ第

三

病

日

ノ

モ

ノ大多

數

ノ七名

ニシテ、

使

用

血

清平

均

量

ハ

一二

五

六

五單

位

ナ

リ。

十

五、

壌

疽

性

「ヂ

フテ

リー」ハ四

一五

名

ノ患

者

中

二

三名

(五

・五

%

)ニ

シテ、

死

亡

率

ハニ

六

・一%

ナ

リ。

年齢

的

ニ

ハ六歳

六名

、

五

歳

四

名、七

歳

三

名

ガ主

ナ

ルモ

ノ

ナリ。

季

節

的

ニ

ハ冬

期

多

シ。

十

六、

「ヂ

フ

テ

リー」後

麻

癖

ハ○

・四

%

ニ

シテ、

全

部

(二名

共)口蓋

帆麻

癖

ニシ

テ全

治

セリ。

十

七、

血

清

病

ハ

一七

・○

%

ニ觀

プ

レ、

發

熱

アリ

シ

モ

ノ四

五

・六%

、

關

節痛

ア

リ

シ

モ

ノ唯

一名

ニ

シテ、血

清

病

發

現

時

期

ハ血清

注射

後

一週

以

内

ニ於

テ六

四

・七

%、

又

十

日目迄

ニ

ハ九

四

・一%

ナ

リ。

擱筆

ニ臨

ミ豊田院長

ノ御校閲

ヲ深謝

ス。

主要文獻

1) 宮川

来次, 日傳會雜誌. 第

2卷. 第

9號. 2) 小林彌毅. 日傳會雜誌. 第

7卷. 第2

號. 3) 久松榮一郎

, 兒科雜誌. 361號. 昭

5年

6月. 4)

有馬純, 兒科雜誌. 343號. 昭

3年

12月. 5) 高見康夫, 兒科雜誌. 363號. 昭

5年8

月. 6) 井上束

. 兒科雜誌. 295號. 大

13年

12月. 7) 井

上束. 兒科雜誌. 334號. 335號

. 昭

3年

3-4月. 8) 酒

井汲

得, 駒込病院第

9及第

10囘報告. 大

6及

7年.

9) 多

田正俊, 東京

醫事新誌. 第

25

年. 第2750號.

10) 春

田有道

, 小林

彌毅, 大阪醫事新誌. 第

1卷, 第

9號

, 第

2卷, 第

1號. 昭

5年

12月. 昭和

6年

1月.

11) 林光一, 日傳會

雜誌

. 第8

卷

. 第

4號. 昭和

9年

10月. 12) 金野巖, 實驗醫報. 第

20年. 第

230號

. 昭

8年

12月. 13) 河

野右

治. 臨牀醫學. 第

15年, 11號

. 昭

2年

12月. 14) 唐擇

光徳

, 和泉成

三, 日本内

科全

書

.「ヂフテ

リー」篇. 15) 有末四郎, 皆

川忠雄, 日本傳染病

學會雜誌. 第10卷. 第

1號. 昭

10

年

10月. 16) 昭和十

一年度警視廳防

疫年鑑. 17) 京都市立京都病院.第十五

囘報

告. 18) 關東廳第二

十六統計書

. 昭和六年

.

19) 關東廳

第

二十七統計書

. 昭和七年. 20) 關東廳

第二

十八

統計書

. 昭和八

年. 21) 關東局第

二十

九統計書. 昭和九年

. 22) 關東局

第三

十統

計書. 昭和. 十年.

山

蔦

=實扶

的里亜患

者

ノ臨牀的統

計的觀察

七

一五

實扶的里亜患者ノ臨牀的統計的觀察...

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