生涯教育コーナーを読んで単位取得を! -...

5
2003 沖縄医報 Vol.39 No.12 -81(1095)- 日本医師会生涯教育制度は、昭和 62 年度に医師の自己教育・研修が幅広く効率的に行 われるための支援体制を整備することを目的に発足し、年間の学習成果を年度末に申告 することになっております。 沖縄県医師会では、自己学習の重要性に鑑み、本誌を活用することにより、当制度の さらなる充実を図り、生涯教育制度への参加機会の拡大と申告率の向上を目的に、新た な試みとして、当生涯教育コーナーの掲載論文をお読みいただき、各論文の末尾の設問 に対しハガキで回答(ハガキは本巻末にとじてあります)された方には日医生涯教育講 座 5 単位を付与することに致しております。 つきましては、会員の先生方のより一層のご理解をいただき、是非ハガキ回答による 申告にご参加くださるようお願い申し上げます。 なお、申告回数が多い会員、正解率が高い会員につきましては、粗品を進呈いたしま す。ただし、該当者多数の場合は、抽選とさせていただきますので予めご了承ください。 広報担当理事 下地武義 生涯教育コーナーを読んで単位取得を! 日本医師会生涯教育制度ハガキによる申告( 5 単位) 生涯教育 の設問に 答える ハガキ で回答 5 単位 付 与 粗 品 進 呈 ●掲載論文を読み 設問に答える ●県医師会に ハガキで回答する ●回答いただいた方に 日医生涯教育講座 5単位付与 ●抽選で粗品進呈

Upload: others

Post on 21-Mar-2021

0 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

Page 1: 生涯教育コーナーを読んで単位取得を! - Med...一方、沢本7)はCD法2)(Cotrel-Duboussetイ ンストゥルメンテーションを用いた後方矯正 術)でCobb角の平均値が術前54.0

2003沖縄医報 Vol.39 No.12

-81(1095)-

日本医師会生涯教育制度は、昭和62年度に医師の自己教育・研修が幅広く効率的に行われるための支援体制を整備することを目的に発足し、年間の学習成果を年度末に申告することになっております。沖縄県医師会では、自己学習の重要性に鑑み、本誌を活用することにより、当制度の

さらなる充実を図り、生涯教育制度への参加機会の拡大と申告率の向上を目的に、新たな試みとして、当生涯教育コーナーの掲載論文をお読みいただき、各論文の末尾の設問に対しハガキで回答(ハガキは本巻末にとじてあります)された方には日医生涯教育講座5単位を付与することに致しております。つきましては、会員の先生方のより一層のご理解をいただき、是非ハガキ回答による

申告にご参加くださるようお願い申し上げます。なお、申告回数が多い会員、正解率が高い会員につきましては、粗品を進呈いたしま

す。ただし、該当者多数の場合は、抽選とさせていただきますので予めご了承ください。

広報担当理事 下地武義

生涯教育コーナーを読んで単位取得を!

日本医師会生涯教育制度ハガキによる申告( 5 単位)

生涯教育 の設問に 答える

ハガキ で回答

5 単位 付 与

粗 品 進 呈

●掲載論文を読み  設問に答える

●県医師会に  ハガキで回答する  

●回答いただいた方に  日医生涯教育講座  5単位付与

●抽選で粗品進呈

Page 2: 生涯教育コーナーを読んで単位取得を! - Med...一方、沢本7)はCD法2)(Cotrel-Duboussetイ ンストゥルメンテーションを用いた後方矯正 術)でCobb角の平均値が術前54.0

2003沖縄医報 Vol.39 No.12

-82(1096)-

特発性側弯症の手術成績

琉球大学医学部 整形外科

新 垣 勝 男、當 眞 嗣 一、金 谷 文 則琉球大学 保健管理センター

高 良 宏 明那覇市立病院 整形外科

屋 良 哲 也

【要旨】

近年、脊椎インストゥルメンテーションの発達により、脊柱変形に対する十分な矯正が可能となってきた。当科では平成8年よりIsola法を導入し、脊柱変形の矯正手術を行っている。今回、Isola法による特発性側弯症の手術成績を調べた。対象はIsola法で後方矯正固定術を行った特発性側弯症の23例で男性6例、女性17例であり、手術時年齢は平均15.9歳、術後経過観察期間は平均2年11ヵ月であった。側弯Cobb角は術前平均56.1°が術後平均15.8°となり、矯正率は平均72.3%で

あった。手術時間は平均7時間23分、術中出血量は平均2,000ml、輸血量は平均1,421mlで、6例に平均800mlの同種血輸血が必要であった。在院日数は平均38日であった。術後合併症が4例(17.4%)に発生したが、インストゥルメントの破損や脊髄麻痺などはなかった。

【はじめに】

特発性側弯症は側弯症の約8割を占め、思春期の女子に好発する。成長期に側弯が進行することが多く、側弯Cobb角が50 を゚超えると成長終了後も進行することが多い。側弯Cobb角が40 程゚度から洋服の上からでも脊柱変形が目立つようになり、より高度になると心肺機能にも影響してくる。このため早期発見、早期治療が重要である。一般的には側弯Cobb角が25 前゚後から装具療法を開始し、成長終了まで行う。しかし、装具療法の効果は脊柱変形進行の予防であり、脊柱変形を矯正するためには手術が必要となる。

近年、脊椎インストゥルメンテーションの発達により、脊柱変形に対する十分な矯正が可能となってきた。当科では平成8年よりIsola法 1)を導入し、脊柱変形の矯正手術を行っている。今回、Isola法による特発性側弯症の手術成績を調べた。

【対象と方法】

対象はIsola法で後方矯正固定術を行った特発性側弯症の23例で男性6例、女性17例である。CD法 2)による術後に側弯が再発した1例を除き、22例は初回手術であった。手術時年齢は11歳~27歳(平均15.9歳)、術後

生涯教育

Page 3: 生涯教育コーナーを読んで単位取得を! - Med...一方、沢本7)はCD法2)(Cotrel-Duboussetイ ンストゥルメンテーションを用いた後方矯正 術)でCobb角の平均値が術前54.0

2003沖縄医報 Vol.39 No.12生涯教育

-83(1097)-

経過観察期間は4ヵ月~6年1ヵ月(平均2年11ヵ月)であった。手術適応は側弯のCobb角が50°以上、または45°以上で成長期のものとし、術前の左右側屈X線像で側弯Cobb角が40 未゚満まで矯正されない4例には前方解離術を併用した。全例、術前に500ml~1,600ml(平均1,126ml)の自己血を準備した。これらの症例で術前後の側弯Cobb角、側弯矯正率、手術時間、出血量、輸血量、在院日数、術後合併症について検討した。

【結 果】

側弯Cobb角は術前47°~78°(平均56.1°)が術後4°~35°(平均15.8°)となり、矯正率は55%~91%(平均72.3%)であった。手術時間は4時間50分~11時間30分(平均7時間23分)であった。術中出血量は414ml~4,185ml(平均2,000ml)であり、輸血量は500ml~2,800ml(平均1,421ml)で、6例で400ml~1,600ml(平均800ml)の同種血輸血が必要であった。在院日数は21日~73日(平均38日)であった。術後合併症は椎弓根スクリューによる神経根障害が1例で再手術により椎弓根スクリューをフックに入れ替えることで治癒した。無気肺が1例、気胸1例、術創表層感染が1例でいずれも保存的治療で

治癒した。インストゥルメントの破損や脊髄麻痺などはなかった。

【症例供覧】

症例1: 6歳時にCobb角31°(Th5-Th12)の側弯症を認め、装具療法を開始した。皮膚のトラブルなどで装具療法が上手く行かず、11歳時にCobb角60°(図1-a)まで進行し後方矯正固定術と胸郭形成術を行った。術後Cobb角は12°となり、肩・肩甲骨の高さ、ウエストラインもほぼ左右対称となっている(図1-b)。症例2: 13歳時にCobb角55°(Th11-L3)の側弯症を認め、手術を勧めたが希望せず。18歳時にCobb角78°(図2-a)まで進行し、前方解離術を併用した後方矯正固定術を行った。術後Cobb角は20°となり、ウエストラインもほぼ左右対称となっている(図2-b)。

【考 察】

ハリントンインストゥルメンテーション 3)

の出現により脊柱変形の矯正手術は飛躍的な進歩を遂げた。その後、固定性や三次元的な矯正を向上させるため、種々の脊椎インストゥルメンテーションが開発されている。手術法は後方法 1)2)3)と前方法 4)に大別され、特

Page 4: 生涯教育コーナーを読んで単位取得を! - Med...一方、沢本7)はCD法2)(Cotrel-Duboussetイ ンストゥルメンテーションを用いた後方矯正 術)でCobb角の平均値が術前54.0

2003沖縄医報 Vol.39 No.12生涯教育

-84(1098)-

発性側弯症では広範囲の矯正が必要なために後方法が選択されることが多い。また、最近では胸腔鏡を用いた手術法 5)も開発されているが手技上の問題や安全性がまだ確立されていない。Isola法はAsherら 1)の開発したISOLAスパイナルインストゥルメンテーションシステムを用いた後方矯正術であり、脊柱変形に対する三次元的な矯正が可能となっている。鈴木6)はIsola法を用いた特発性側弯症の後方矯正術でCobb角の平均値が術前63.9°、術後20.2°となり、矯正率は71.2%と報告している。私たちも鈴木と同様な矯正率を得ている。一方、沢本 7)はCD法 2)(Cotrel-Duboussetインストゥルメンテーションを用いた後方矯正術)でCobb角の平均値が術前54.0°、術後26.0°となり、矯正率は51.7%と報告している。CD法と比較すると、種々の脊椎インストゥルメンテーションの長所を取り入れ、後から開発されたIsola法の方が矯正率では優れている傾向にある。脊柱側弯症手術では創感染、神経合併症、呼吸器合併症、上腸間膜動脈症侯群、偽関節やインストゥルメントの脱転・破損などが主な合併症である。鈴木 6)

は合併症発生率はHarrington法では6%にすぎないがIsola法では12.4%と有意に高く、

手術時間の延長や死腔の増大が原因としている。今回の症例では合併症が4例17.4%に発生しており、1例4.3%は感染であった。脊柱変形に対する手術の際に最も心配されることは脊髄麻痺であるが術中の脊髄モニタリングやwake up testを行うことで脊髄麻痺などの重篤な神経合併症は認めなかった。また、輸血合併症は認めなかったが6例(27%)で同種血輸血を行っており、回収式自己血輸血なども考慮する必要がある。側弯症の手術は手術時間、出血ともに多く、侵襲の大きな手術である。しかし、術後の外来通院などで患者本人の表情が明るくなっていることが多く、術前の体幹変形に対する劣等感の強さが推測され、手術による効果はバランスの良い体幹の獲得だけではなく、精神的な健康も取り戻すことができると考えられ手術の意義は大きいと思われる。

【まとめ】

1. Isola法で後方矯正固定術を行った特発性側弯症の23例を検討した。

2.側弯Cobb角は術前平均56.1°が術後平均15.8°となり、矯正率は平均72.3%であった。

3.術後合併症が4例(17.4%)に発生した

Page 5: 生涯教育コーナーを読んで単位取得を! - Med...一方、沢本7)はCD法2)(Cotrel-Duboussetイ ンストゥルメンテーションを用いた後方矯正 術)でCobb角の平均値が術前54.0

2003沖縄医報 Vol.39 No.12生涯教育

-85(1099)-

が、インストゥルメントの破損や脊髄麻痺などはなかった。

【参考文献】

1) Asher MA, Strippgen WE, Isola spinal implantsystem;principles, design, and applications, In:An HS, Cotler JM eds. Spinal instrumentation,Williams & Wilkins, Boltimore, 1992 PP325-352.

2) Cotrel Y, et al:New universal instrumentation inspinal surgery. Clin Orthop, 277:10-23, 1988.

3) Harrington PR: Treatment of scoliosis;Correction and internal fixation by spine instru-mentation. J Bone Joint Surg, 44(A):591-610,1962.

4) 庄野泰弘、金田清志:脊柱変形に対するinstru-mentation Kaneda anterior scoliosis system(KASS)の応用、脊椎脊髄、11:301-308, 1998.

5) 江原宗平ら:胸腔鏡を利用した脊柱前方矯正固定術-体外矯正・体内固定術、ECIF system-, 脊柱変形, 17:110-112, 2002.

6) 鈴木信正:脊柱変形に対するinstrumentationIsola法, 脊椎脊髄, 11:293-298, 1998.

7) 沢本 毅:脊柱変形に対するinstrumentation特発性側弯症に対するCD instrumentation, 脊椎脊髄, 11:289-292, 1998.

琉球大学医学部整形外科

新 垣 勝 男生年月日:

昭和40年5月4日出身地:

沖縄県那覇市出身大学:

琉球大学医学部平成2年卒

専攻・診療領域

整形外科、脊椎外科

著 者 紹 介

設問)特発性側弯症について誤っているもの

を選んで下さい。

a. 思春期の女子に多い。b.側弯が高度になると心肺機能に影響がでる。

c. 側弯のCobb角が50°以上は手術の適応となる。

d.矯正手術は脊髄麻痺が多い。

Q UE S T I O N!

次の問題に対し、ハガキ(本巻末綴じ)でご 回答いただいた方に、日医生涯教育講座 5 単 位を付与いたします。

O R R E C T N S W E R !

U E S T I O N!

ORRECT NSWER!

C ORRECT

A NSWER!

正解 (4)と(5)

1.論文:「人工膝関節置換術後の大腿骨顆上

骨折の治療経験」

問題:TKA術後の大腿骨顆上骨折に対する手

術療法の長所はどれですか。

1)侵襲が少ない。2)困難な大腿骨の形状の保持。3)偽関節や可動域制限を来し易い。4)強固な内固定。5)正確な大腿骨の形状が得られる。6)感染の危険性。