かかわりの発達心理学 -...
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かかわりの発達心理学
4月10日:イントロダクション
2018年度前期 火曜6限
担当:中間玲子
(nakama@hyogo‐u.ac.jp)
授業予定• 第1回(4/10) イントロダクション
• 第2回(4/17) ヒトとして生まれ人として生きる
• 第3回(4/24) 発達するとはどういうことか
• 第4回(5/1) 生命の芽生えから誕生まで
• 第5回(5/8) 見て・さわって・感じる
• 第6回(5/15) 他者との関係性を築く
• 第7回(5/22) 「いま」「ここ」をこえて
• 第8回(5/29) 自分を知り,自分らしさを築く
• 第9回(6/5) 関わり合って育つ
• 第10回(6/12) 思考の深まり
• 第11回(6/19) 子どもからの卒業
• 第12回(6/26) 大人になるために
• 第13回(7/3) 関わりのなかで成熟する
• 第14回(7/10) 人生を振りかえる
• 第15回(7/17) 発達は十人十色
「たき火」
• かきねのかきねのまがりかど
• たきびだ たきびだ おちばたき
• あたろうか あたろうよ
• きたかぜぴいぷう ふいている
• さざんか さざんか さいたみち
• たきびだ たきびだ おちばたき
• あたろうか あたろうよ
• しもやけ おててが もうかゆい
• こがらし こがらし さむいみち
• たきびだ たきびだ おちばたき
• あたろうか あたろうよ
• そうだんしながら あるいてる
「春よ来い」
• 春よ来い 早く来い
• あるきはじめた みいちゃんが
• 赤い鼻緒の じょじょはいて
• おんもへ出たいと 待っている
• 春よ来い 早く来い
• おうちの前の 桃の木の
• つぼみもみんな ふくらんで
• はよ咲きたいと 待っている
「プロのサッカー選手になりたい」
「年齢」を基準とした人の描き方
• たとえば孔子の『論語』• 15歳志学 学問を志す
• 30歳而立 自信がつき自立する
• 40歳不惑 心に惑いがなくなる
• 50歳知命 天の使命をわきまえるようになる
• 60歳耳順 動揺したり腹を立てたりしないで人の言葉を素直に聞く
• 70歳従心 矩を超えず(思うままにふるまっていて道を外れない)
不老不死(Wikipedia)
• 永久に若く死なないこと[2]。「不死身(いかなる傷、打撃、病気、苦痛にも耐えられる状態)」の類義語[3]。
• 中国人の伝統的な生命観の一つとされており[4]、始皇帝は実際に不老不死の薬を求め、かえって死期を早めた[5]。その他にも不老不死を求める話は後述の通り世界各地にある[6]。西洋では「elixir of life」(エリクサー)という錬金術の霊薬がある[7]。
• 古今東西の賢人は、後述の通り不老不死を求める行為の愚かさについて指摘している[8]。
年齢と共に変わるのは?
• 老いるとは
• ふえる薬と 減る記憶
• この動悸
• 昔は恋で 今病気
不老不死に関する神話・伝承
• メソポタミア:紀元前2000年頃。
• ギリシア神話及び北欧神話
• インド:『リグ・ヴェーダ』(長らく口伝。紀元前18世紀頃からのもの。紀元前12世紀頃に現在の形に)
• 中国:始皇帝(紀元前3世紀ころの人物),漢の武帝の時代(紀元前100年ごろ)
• 日本:『古事記』,『竹取物語』(平安時代初期)
• …「無年齢」
Cf.年齢に関することばのあいまいさ
• フランス語のギャルソン(garçon)• ドイツ語のクナーベ(Knabe)• 英語のボーイ(boy)• 6歳の子どもにも40歳の成人にも使われていた。
• →それらのことばは、社会的地位や役割機能を表していた。• ギャルソンは「少年」という意味と「召使い」という意味を共有していた。
コメニウス(Johannes Amos Comenius,1592‐1670) 第一段階幼児期 6歳迄
母親学校 (家庭での母親の膝) 第二段階少年期 12歳迄
基礎学校 (村の公立国語学校) 第三段階青年前期 18歳迄
ラテン語学校 (都市のギムナジウム) 第四段階青年後期 24歳迄
大学 (王国や邦のアカデミー)
理学”の成立過程
Question 0‐3
• 生まれてから死ぬまでの一生涯をいくつかの時期に分けるとするならば,どのように分けられるだろうか。また,そのように分けた理由は何だろうか。
• それぞれの時期の特徴は?
• それぞれの時期になんと名前をつけますか?
発達段階の例
• 胎児期 受精から出産まで
• 乳児期 出産から1歳6ヶ月頃まで
• 幼児期 1歳6ヶ月頃から6歳頃まで
• 児童期 6歳頃から12歳頃まで
• 青年期 12歳頃から22歳頃まで
• 成人期 22歳頃から死ぬまで
• 成人初期(若年期) 22歳頃から40歳頃
• 成人中期(壮年期) 40歳頃から65歳
• 成人後期(高齢期) 65歳から死まで
• 発達≠何かができるようになること• 上昇的な変化(獲得)だけでなく,下降的な変化(喪失)や停滞を含むものとして発達をとらえる見方
• 成長(獲得)と衰退(喪失)のダイナミックな相互作用。環境に対する個人の適応能力の変化。
• 成長は、量的増大がテーマになるのに対し、発達は、質的変化がテーマになる。
• 生涯発達• 人の受胎から死に至るまでの,生涯を通しての行動の恒常性と変化
「発達」
• 心理学において「発達」とは、個体が時間経過に伴ってその身体的・精神的機能を変えてゆく過程
• →時間の中で人が変化していくさまをとらえようとするもの。
• Develop: des=”undo” + velop =”wrap up”• 私たちは、時間の中で様々に変化していくしくみをもって生まれてくる。• 植物の発芽,胎児の成長
発達の様相とは
• 動物種が長い進化のなかで次世代へと伝えてきた形態・生体・行動などの適応様式• 遺伝によってヒトという種として次世代に伝達される側面
• 現在生活している物理的・社会的環境に適応する様式• 生活様式の中で文化という形式によって伝えられる側面
• 環境には,「はたらきかけ」の側面も存在する
人間の成熟にある二重性• 〈なる〉の論理
• それぞれが、自然に〈なる〉側面をもつ人間の自然性をもつ
• 個人の生成過程• 我々は誰しも個性的な存在であり、個人として発達する面をもっている。
• 〈する〉-〈される〉の論理• その自然な〈なる過程〉は、常に、他者との関係、人間による作為の過程を組み込んだなかで展開する
• 適切な作為との相互作用のもとで実現されるものである。
• そしてこの両側面は,互いに連関しあう• 子どもは養育者と同一化することによって、世界を探索することが可能となり、自然な成長も促される
• この二重性を生きる中で我々は成長をとげている
いずれも相互に不可欠な関係• 生成のプロセスに支えられているが…
• 同時に世話され教育されることによってのみ成り立つ• より正確には、人の発達における自然的生成とは、世話され教育される環境を「平均的に期待可能な環境(average expectable environment)」として前提にしたところに成り立つものである
• 作為のプロセスに支えられているが…• 人為的な行為といえども、(自然的)生成の論理を無視するならば良く為しえない
• 仮に作為の効率のみを一方的に考えたとしても、(自然的)生成の論理に適わぬ限りは良い成果を期待しえない
• 「自然」と「作為」を相互に連関させながら展開させていくことが、教育の目的、すなわちそれぞれの成熟の指標として位置づけられてくる。
「発達心理学」とは
• 生物の一種として生まれた「ヒト」が,
• 社会や文化をまとった「人」として,
• 他者と関わりながら育ち,育てられ,次の世代を育み,死に至るまでの,心の発達の過程を考究する学問