原子力発電部会 新企画担当 第1回 日本原子力学会...

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- 1 - 平成 27 年 6 月 23 日 原子力発電部会 新企画担当 第1回 日本原子力学会 原子力発電部会 社会人と学生の交流セミナー報告 1.はじめに 原子力発電部会では、学会会員、学生、一般の幅広い層に対して、原子力発電の最新 動向を紹介し、原子力発電への理解を深めてもらうこと、原子力発電に興味をもってもらう ことに加えて、社会人と学生の交流の場を提供することを目的とし、平成 13 年度から夏期 セミナーを開催している。しかし、開催地から遠い大学に通う学生は、夏期セミナーに参加 することが難しい。 このため、今年度から、夏期セミナーとは異なる場所で(例えば、夏期セミナーが中部圏 または関西圏で開催される場合は首都圏で)、以下の趣旨で「社会人と学生の交流セミナ ー」(以下、「本セミナー」という。)を開催することとした。 本セミナーは、原子力発電の最新動向を紹介すること、並びに、社会人と学生の交流の 場を提供することを目的として開催する。 本セミナーの所要期間は半日程度とし、3 件程度の講演(福島第一原子力発電所の現 状及び今後の対応、国内原子力発電所における安全対策や防災対策、メーカによる技 術開発動向等についての紹介)とパネルディスカッション(社会人と学生による意見交 換)から構成する。 本セミナーの対象者は、原子力学会員、本セミナー開催地の近郊にある原子力工学 科及び原子力工学研究科に通う学生とする。 2.実施内容 (1) 開催日時: 平成 27 年 6 月 6 日(土) 13:00~17:00 (懇親会 17:10~18:30) (2) 会 場 : 日本原子力発電(株)本店 2 階 第 1~4 会議室 (3) テーマ: 「原子力発電の今後の展望について」 (4) 座 長 : 可児 吉男 先生 (東海大学) (5) プログラム: 添付資料-1 のとおり 3.参加者 全 33 名 (内訳) 学生 : 17 名 正会員: 15 名(座長 1 名、ファシリテータ 1 名、講演者 2 名を含む) 非会員: 1 名(講演者)

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平成 27 年 6 月 23 日

原子力発電部会

新企画担当

第1回 日本原子力学会 原子力発電部会 社会人と学生の交流セミナー報告

1.はじめに

原子力発電部会では、学会会員、学生、一般の幅広い層に対して、原子力発電の最新

動向を紹介し、原子力発電への理解を深めてもらうこと、原子力発電に興味をもってもらう

ことに加えて、社会人と学生の交流の場を提供することを目的とし、平成 13 年度から夏期

セミナーを開催している。しかし、開催地から遠い大学に通う学生は、夏期セミナーに参加

することが難しい。

このため、今年度から、夏期セミナーとは異なる場所で(例えば、夏期セミナーが中部圏

または関西圏で開催される場合は首都圏で)、以下の趣旨で「社会人と学生の交流セミナ

ー」(以下、「本セミナー」という。)を開催することとした。

○ 本セミナーは、原子力発電の最新動向を紹介すること、並びに、社会人と学生の交流の

場を提供することを目的として開催する。

○ 本セミナーの所要期間は半日程度とし、3 件程度の講演(福島第一原子力発電所の現

状及び今後の対応、国内原子力発電所における安全対策や防災対策、メーカによる技

術開発動向等についての紹介)とパネルディスカッション(社会人と学生による意見交

換)から構成する。

○ 本セミナーの対象者は、原子力学会員、本セミナー開催地の近郊にある原子力工学

科及び原子力工学研究科に通う学生とする。

2.実施内容

(1) 開催日時: 平成 27 年 6 月 6 日(土) 13:00~17:00 (懇親会 17:10~18:30)

(2) 会 場 : 日本原子力発電(株)本店 2 階 第 1~4 会議室

(3) テーマ: 「原子力発電の今後の展望について」

(4) 座 長 : 可児 吉男 先生 (東海大学)

(5) プログラム: 添付資料-1 のとおり

3.参加者

全 33 名

(内訳)

・ 学生 : 17 名

・ 正会員: 15 名(座長 1 名、ファシリテータ 1 名、講演者 2 名を含む)

・ 非会員: 1 名(講演者)

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4.実施状況及び結果

4.1 実施状況

福島第一原子力発電所の現状及び今後の対応、浜岡原子力発電所における安全対策

や防災対策、プラントメーカによる国内外原子力への取り組みについて、各事業者(電力会

社及びプラントメーカ)が講演を行った。各講演後、活発な質疑応答が行われた。

また、学生と社会人(大学教員、事業者、研究機関)とのディスカッションにおいては、各

パネラーが積極的に意見を述べた他、パネラー以外の学生からも意見が出された。

(1) 講演 「原子力発電の信頼回復に向けた事業者の取り組みについて」

①福島第一原子力発電所のこれまでの取り組みについて 【東京電力 金森氏】

発電所の概要、地震発生直後の状況、発電所を襲った津波、被災前後状況、津波に

よる被害の状況、発電所の現状、廃止措置などに向けたロードマップ全体イメージ、使用

済燃料プールからの燃料取り出しに向けた取り組み、原子炉からの燃料取り出しに向け

た取り組み、汚染水対策について紹介された。

② 浜岡原子力発電所の安全対策及び防災対策 【中部電力 高原氏】

発電所の概要、原子力発電のしくみ、安全対策(地震対策、津波対策、原子炉及び燃

料プールの冷却機能及び電源の強化対策、重大事故対策)、防災対策について紹介さ

れた。

③ 国内外原子力への取り組み 【東芝 尾崎氏】

福島第一原子力発電所の廃炉に向けた取り組み、国内原子力発電所の再稼働に向

けた取り組み、海外展開に向けた取り組み、新技術を活用した取り組みについて紹介さ

れた。

(2) ディスカッション 「社会人・学生の立場での原子力発電に対する想い」

【ファシリテータ: 北田先生(大阪大学)】

ディスカッションの導入として、学生 7 名が原子力工学を選んだ理由や希望する進路、

原子力発電に対する見方や想いについて述べた。これに対して、ファシリテータ及び社会

人 7 名が自らの経験や意見を述べた。その後は、パネラー以外の学生 5 名からも意見が

出され、新規制基準と事業者の取り組み、国内の原子力発電所が運転を停止している

現在の状況、社会の理解を得るための努力の必要性、いわゆる「核のゴミ」の処理の問

題、原子力に係る技術継承と人材育成等について意見交換が行われた。特に、廃棄物

問題については、活発な議論が行われた。

4.2 アンケート結果

参加者 33 名のうち 21 名から回答を得た(回収率:約 64%、回答者:学生 17 名、社会

人 4 名)。概要は、以下のとおり。アンケート集計結果の詳細を添付資料-2 に示す。

改善に資すべき貴重な意見を得たので、次回の反映事項とする。

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(1) 本セミナーの開催時期及び開催場所等

・ 開催時期については、2 名以外からは「適切」との回答を得た。(1 名は「不適切」、1

名は「わからない」との回答であった。)

・ 開催場所については、全員から「適切」との回答を得た。

・ 開催期間については、2 名を除いて「適切」との回答を得た。(「不適切」と回答した 2

名は、「時間が足りない。」、「もう少し長くても良かった。」という意見であった。)

(2) 講 演

・ 全 3 つの講演に対して 90%以上の方から(うち 2 つは全員から)「満足」との回答を

得た。

(3) ディスカッション

・ 70%以上の方から「満足」との回答を得た。

・ 残り20%強の方からは、「ディスカッションのアイテムについて、準備が不足していた

と感じた。」、「廃棄物についても大事だが、発電についての話をもっと聞きたかっ

た。」、「発言しにくかった。」、「時間が足りなかった。」等の意見があった。

(4) 本セミナーの運営

・ 1 名を除いて「問題なし」との回答を得た。

(5) プログラムの妥当性

・ 全員から「問題なし」との回答を得た。

(7) 本セミナーに対する意見・要望・感想

・ ディスカッションを行うのであれば、事前に学生側の質問を吸い上げておけばよいと

思った。

・ 初回としてはこれでよかったが、次回はより改善をすべき。

・ 原子力発電所の事故についての話が多かったが、最新の技術に関する話をもっと

聞きたかった。

・ 有意義なものだった。

・ 社会人と実際にディスカッションできて、とてもためになった。

・ 今後のモチベーションにつながる良いセミナーであった。 等

(8) 原子力発電部会の活動

・ このような社会人と学生の交流活動を続けてほしい。

・ 他のエネルギー分野についての話は、学生も興味がある。

・ 高速増殖炉の見学会を開催してほしい。

・ このようなセミナーを、大学内でも実施してほしい。 等

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5.おわりに

今回のセミナーには、17 名の学生に参加いただいた。

本セミナーでは、主催者側及び参加者側の負担が大きくならないように開催期間を半日

間に設定し、これまでに開催した夏期セミナーでの経験を踏まえてプログラム(3 つの講演

とディスカッション)を立案した。

アンケート結果によれば、本セミナーのプログラムや内容については肯定的な意見が多

かったが、時間の不足やディスカッションの内容を改善すべきとの意見もあったため、これ

らについては、次回以降の反映事項としたい。

最後に、本セミナー会場及び懇親会場をご提供いただいた日本原子力発電(株)殿、座

長及びディスカッションのファシリテータをお引き受けいただいた可児先生、北田先生、講

演者及びディスカッション参加者各位、そして、セミナーの運営にご協力いただいた日本原

子力発電(株)、(株)東芝、原子燃料工業(株)及び中部電力(株)の関係各位に深く御礼を申

し上げたい。

添付資料

-1: セミナープログラム

-2: アンケート結果

-3: セミナー実施状況

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第1回「社会人と学生の交流セミナー」プログラム

時間 講演題目 講師(所属)

12:30~13:00 <受付>

13:00~13:05 開会

・ 趣旨説明 司会

・ 部会長挨拶 竹野部会長 (日本原子力発電)

13:05~15:20 講演 「原子力発電の信頼回復に向けた事業者の取り組みについて」

(13:05~13:50) (1) 福島第一原子力発電所のこれまでの取り組みについて

金森 章 氏 (東京電力)

(13:50~14:35) (2) 浜岡原子力発電所の安全対策及び防災対策 高原 丈爾 氏(中部電力)

(14:35~15:20) (3) 国内外原子力への取り組み 尾崎 章 氏 (東芝)

15:20~15:30 <休憩>

15:30~16:55 ディスカッション 【ファシリテータ】 北田 孝典 先生(大阪大学)

テーマ: 「社会人・学生の立場での原子力発電に対する想い」

参加者: 座長、学生代表、電気事業者代表、重電メーカ代表、

燃料メーカ代表、研究機関代表

16:55~17:00 閉会

・ ラップアップ 司会

・ 部会長挨拶 金森副部会長 (東京電力)

17:10~18:30 懇親会

添付資料-1

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第1回「社会人と学生の交流セミナー」アンケート結果

1.あなたの職業は?

回答者 21 名

① 学生 17 名(80%)

② 研究機関職員 1 名( 5%)

③ メーカ職員 2 名(10%)

④ 電力会社職員 1 名( 5%)

2.本セミナーの開催時期及び開催場所等について

(1) 開催時期 ① 適切 19 名( 90%)

② 不適切 1 名( 5%)

③ わからない 1 名( 5%)

(2) 開催場所 ① 適切 21 名(100%)

② 不適切 0 名( 0%)

(3) 開催期間 ① 適切 19 名( 90%)

② 不適切 2 名( 10%)

(コメント)

・ 就職活動の時期と重なっている。

・ 時間が足りない。

・ もう少し長くても良かった。折角の機会であり、メーカや電力会社の社員の話をも

っと聞きたかった。

3.本セミナーの内容について

(1) 講 演

ⅰ) 福島第一原子力発電所のこれまでの取り組みについて

① 満足 21 名(100%)

② 不満足 0 名( 0%)

(コメント)

・ 学生にとっては、十分な講演内容であった。

ⅱ) 浜岡原子力発電所の安全対策及び防災対策

① 満足 21 名(100%)

② 不満足 0 名( 0%)

(コメント)

・ 具体的な写真が理解の助けとなった。

ⅲ) 国内外原子力への取り組み

添付資料-2

80%

10%②

5%

5%

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① 満足 20 名(95%)

② 不満足 1 名( 5%)

(コメント)

・ 後半の夢がある技術開発の話が良かった。

・ 福島第一原子力発電所の事故後、それ以前と比較して海外からの引合いがどの

程度減ったかも気になった。

・ 講演時間が長かった。

(2) ディスカッション

ⅰ) テーマ及び内容

① 満足 16 名(76%)

② 不満足 5 名(24%)

(コメント)

・ ディスカッションのアイテムについて、準備が不足していたと感じた。

・ パネラーが偏っていた。

・ 廃棄物についても大事だが、発電についての話をもっと聞きたかった。

・ もう少し分野を狭めた話の方が、話し易かったと思う。漠然としていたため、途中

から話の流れを把握できなかった。

・ 発言しにくかった。

ⅱ) 所要時間

① 満足 14 名(70%)

② 不満足 6 名(30%)

(コメント)

・ 時間が足りなかった。

・ もう少し長くても良かった。

(3) 本セミナーの運営について

① 問題なし 20 名( 95%)

② 改善の余地あり 1 名( 5%)

(4) プログラムの妥当性について

① 問題なし 19 名(100%)

② 改善の余地あり 0 名( 0%)

(5) 本セミナーに対する意見・要望・感想

(コメント)

・ ディスカッションを行うのであれば、事前に学生側の質問を吸い上げておけばよ

いと思った。

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・ パネラーとして参加したが、事前の質問事項が議題に上がらなかったので、準備

していた回答ができなかった。

・ 初回としてはこれでよかったが、次回はより改善をすべき。

・ 原子力発電所の事故についての話が多かったが、最新の技術に関する話をもっ

と聞きたかった。

・ ディスカッションにおいて緊張した。

・ あまり発言できずに、申し訳なかった。

・ とてもためになる意見が聞けて良かった。

・ 有意義なものだった。

・ 社会人と実際にディスカッションできて、とてもためになった。

・ 今後のモチベーションにつながる良いセミナーであった。

4. 原子力発電部会の活動について

(1) 今後実施すべき活動

・ このような社会人と学生の交流活動を続けてほしい。

・ 同じような交流セミナーを実施してほしい。

・ 他のエネルギー分野についての話は、学生も興味がある。

・ 高速増殖炉の見学会を開催してほしい。

・ このようなセミナーを、大学内でも実施してほしい。

(2) その他意見・要望

・ 一般の方と原子力業界の方を繋ぐ存在が、これから大切になると思った。

・ (独)原子力研究開発機構の方の話を聞きたかった。

以 上

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社会人と学生との交流セミナー実施状況

竹野部会長の挨拶

講演 1

(東京電力 金森 章 氏)

添付資料-3

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講演 2

(中部電力 高原 丈爾 氏)

講演 3

(東芝 尾崎 章 氏)

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ディスカッション

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懇親会