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サントリーホール情報誌 Summer 2018 インタビュー 稲垣吾郎 特集 ピアノから 生まれる音楽 7〜10月のコンサート案内

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サントリーホール情報誌Summer 2018

インタビュー 稲垣吾郎特集

ピアノから生まれる音楽7〜10月のコンサート案内

Page 2: 特集 ピアノから 生まれる音楽...サントリーホール情報誌 Summer 2018 インタビュー 稲垣吾郎 特集 ピアノから 生まれる音楽 7〜10月のコンサート案内

ピアノへの憧れ

「静まり返ったコンサートホール、

黒く艶やかに光るグランドピアノを

抱えこむように演奏するタキシード

姿の僕。その熱情に呼応する観客達」

 

稲垣吾郎さんがもうひとつの人生

として夢想する〝ピアニストな僕〟。

今年4月に公開された映画『クソ野

郎と美しき世界』では、天才ピアニス

トの役を演じました。稲垣さんは、ピ

アノやピアニストに対してずっと憧

れのようなものがあったといいます。

「20代の前半に坂本龍一さんと対談

をさせていただいて、それ以来、と

てもかわいがってもらっていたんで

す。レコーディングスタジオに遊び

に行ったり、コンサートにも誘って

いただいたり。坂本さんは大きなコ

ンサートホールで演奏されることも

多かったですが、プライベートでピ

アノのソロコンサートもやっていた

ので、小さなサロンにも聴きに行き

ました。その頃から、クラシックに

してもジャズにしても、ピアノの音

というものにだんだんと惹かれるよ

うになったんじゃないかなと思いま

す。坂本さんは僕にとってクラシッ

クはもちろん、ポップスやロック、

ラテンやブラジル音楽など、あの時

代の音楽を教えてくださった方。も

ちろん自分たちもずっと音楽をやっ

てきていたので、いろいろな音楽が

好きでしたけれど、聴く音楽のジャ

ンルがさらに広がっていったような

気がします」

 

ピアノが気になる存在に︱︱。

 

もうひとつのきっかけとなったの

が2015年、サントリーホールの

ブルーローズで記者発表を行った舞

台『No・9︱不滅の旋律︱』で、

ベートーヴェン役を演じたことでし

た。「第九」の通称で知られる『交

響曲第9番ニ短調作品125』を生

み出すまでの苦難の日々を熱演。

「毎日、ピアノの音に包まれながら

演じさせてもらっていましたから、

その影響はとても大きかったんだと

思います。それですっかりピアノの

虜になってしまったという感じです。

舞台をやる前までは、『熱情』など

の有名な曲を耳にしたことがあるぐ

らいでした。それが、ベートーヴェ

ンを演じることになって、膨大な作

品を聴いていくと、だんだんと〝ピ

アノ・ソナタなら第12番がいいな〟

とか、自分のなかで自然と好きな曲

というのができてくるんですよね」

 

この舞台は、今年11月から再演さ

稲垣吾郎(俳優)

その1

新しい音楽の世界へ

Hibiki Special Interview

Vol.3 Goro Inagaki

国民的人気グループSMAPでの長く充実した期間を経て、

新たな世界へと踏み出した稲垣吾郎さんに、

ご自身と音楽との関わりについて伺いました。

サントリーホールにお越しいただいてのロングインタビューを、

4回にわたってお届けします。 

構成・盆子原明美/撮影・加藤アラタ3 2Hibiki Vol .4Hibiki Vol .4

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いて育ってきたわけでもなく、とく

に知識もないし、ピアノを弾けるわ

けでもないのですが。でも、なんと

なく、ピアノに惹かれるんです」

日常に流れる音楽

 

稲垣さんの日常のなかで、音楽は

さまざまな場面で欠かせないもの。

「朝起きて、最初にやることは音楽

をかけること。ひとり暮らしだから、

なんとなくそれがルーティンのよう

になっていますね。別に寂しいわけ

でもないんです。ただ、ひとりだと

誰かと話すこともないですし、誰か

の会話が聞こえてくるわけでもなく

静かなので。テレビをつけっぱなし

にするのはあまり好きじゃないから、

音楽が流れているとなんとなく落ち

着くような気がします。やっぱりピ

アノの音色はとても心地いいんです

よね。年齢とともに、家の中で激し

い音楽を聴くということはなくなっ

てきたような気がします。そのとき

そのときのマイブームもあります。

あまりこだわらずに、気分によって

変えています。〝絶対にこの曲じゃ

なきゃダメ〟みたいな、強いこだわ

りがありそうに思われがちですが、

意外とそんなことないんですよ。な

にかにしばられてしまうのはイヤだ

から、自由に選びたいなと思います。

今年からツイッターやブログを始め

たのですが、文章を書くときに音楽

をかけていると、なんとなくイメー

ジがわいてくる。セリフを覚えると

きにも音楽をかけていることが多い

ですね。

 

若い頃はいろんな音楽をたくさん

聴いていたし、今でもドライブする

ときには、気分によってヒップホッ

プだったり、ロックだったり、R&

Bを聴くこともあります。ビートの

効いた曲も好きですね。僕は欲張り

だから、いろいろなジャンルをそこ

そこ知ってはいるけれど、ひとつの

ジャンルに造詣が深いということは

まったくなくて。だから、クラシッ

ク音楽はこれからもっと勉強してい

きたいなと思っているんです」

これから始まる

新しいストーリー

 

昨年、開館30周年を機に、7カ月

にわたる大規模改修工事を経て、リ

ニューアルされたサントリーホール

の中を巡りながらのインタビュー。

開場前の大ホールに佇む稲垣さん。

「新しく張り替えられたステージの

床も、とても美しいなと思いました。

これから、たくさんの音楽家の方々

がここで演奏して、その足跡を残し

てゆくんですね。世界から来日する

音楽家の方たちも喜んでくれるホー

ルなのでしょう。ここでぜひ、フル

オーケストラとか聴いてみたいです。

興味はあるけれど、クラシックコン

サートもオペラもバレエも、今まで

ぜんぜん行けていなくて。ここ数年

で時間の流れも変わってきたので、

今はそういうプライベートな時間、

勉強にあてる時間を大切にする時期

かなと思っています。

 

サントリーホールは僕らの歴史と

ほぼ同じ。開館した1986年は、

僕がこの世界に入った年です。そう

考えると、また親しみがわいてきて、

うれしい気持ちになります。僕も、

今まさに第1楽章が始まったという

感じです。これから始まっていくス

トーリーを楽しみにしながら、新し

い地図を描いていきたいですね」

Hibiki Special Interview

Vol.3 Goro Inagaki

稲垣吾郎(いながき ごろう) 1973年12月8日生まれ。SMAPのメンバーとして91年にデビュー。2017年9月に草彅剛・香取慎吾らと共にオフィシャルファンサイト「新しい地図」を開設。日本財団パラリンピックサポートセンターのスペシャルサポーターに就任。サントリービール(株)「オールフリー」CMに現在出演中。主なドラマ出演に、『金田一耕助

シリーズ』『流れ星』『不機嫌な果実』など、主な出演映画に『催眠』『笑の大学』『十三人の刺客』などのほか、19年に主演映画『半世界』が公開予定。舞台では、15年に上演された『No.9-不滅の旋律-』の再演が決定。11月11日(日)~12月2日(日)東京公演

(TBS赤坂ACTシアター)、12月大阪公演、横浜公演、19年1月久留米公演を予定。詳細は公式サイトwww.No9-stage.comにて。

れることが決まっています。

 

振り返ってみると、その前にもす

でにピアノとのある出会いがあった

のだと、稲垣さんは記憶をたどりな

がら続けます。それは20代後半の頃、

テレビのドキュメンタリー番組の企

画で、ショパンの軌跡を巡ってパリ

やスペインのマヨルカ島を訪ねたと

きのこと。

「僕は、旅人、ナビゲーターとして

ショパンにゆかりのある場所を紹介

する役割だったので、そのときに初

めていろいろと勉強しました。ショ

パンが女流作家ジョルジュ・サンド

と一緒に過ごしたマヨルカ島では、

ふたりがひと冬を過ごした修道院で、

実際にショパンが弾いていたという

ピアノを見ることができました。パ

リの家には、リストも訪れ弾いてい

たというピアノがあって。そのピア

ノでショパンは実際に作曲していた

のだと教えてもらったり、とても興

味深く貴重な体験でしたね。今、思

い返してみると、その頃から僕の人

生には、ピアノに惹かれてゆく流れ

のようなものが生まれていたのかも

しれませんね。クラシック音楽を聴

5 4Hibiki Vol .4Hibiki Vol .4

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ピアノが最初につくられたのは、18世

紀初頭のイタリアです。チェンバロやク

ラヴィコードという鍵盤楽器からの発展

型で、ピアノ独自のハンマーで打鍵する

仕掛けによって、幅広い音の強弱の変化

が実現。そして、細かなニュアンスを鍵

盤上で奏者が感情をこめて表現しやすく

なったといいます。その頃すでにヴァイ

オリンやチェロ、オーボエなどは盛んに

演奏されていたそうですから、ピアノは

わりと新参者です。それから300余年。

ドイツ、イギリス、オーストリアなど、

ヨーロッパ各地へ、世界へと広がり、新

たな機能が加えられ、改良が重ねられ、

音域も88鍵まで拡大して定着しました。

並行して作曲家のイマジネーションもど

んどん広がり、さまざまな表現や奏法、

作品様式が生まれてきたのです。

 

そんなピアノの歴史の最先端を体感で

きるのが、8月22日から9月1日まで開

催される現代音楽の祭典、『サントリー

ホール

サマーフェスティバル』です。

いつものクラシック音楽とはまた違う、

コンテンポラリーな感性に出会える場。

なかでも、作曲家・ピアニスト・指揮者

として幅広く活動する才人、野平一郎に

よる「ザ・プロデューサー・シリーズ」

では、彼の新作オペラ『亡命』世界初演

と、現代フランス音楽の魅力に浸る《フ

ランス音楽回顧展》で、ピアノという楽

器の果てしない可能性に刺激されそうで

す。

 

聴き逃せないのが、20世紀後半、パリ

から世界に影響を与え続けた巨星ピエー

ル・ブーレーズの大作『プリ・スロン・

プリ』(9月1日)。日本で演奏されるの

は25年ぶり2度目。生で聴けるのは、一

生に一度の機会かもしれません。

 

野平さんが、高校生のときに初めて触

れた現代音楽も、この曲だったそう。

「よくはわからなかったけれど、このな

かには何かしら重要なものがあると感じ、

洗練された響きに耳を洗われました」

 

その響きは、ピアノの足下にある〝第

3のペダル〟(3本並んだうちの真ん中)

から生み出されるのだそうです。このソ

ステヌート・ペダルこそ、20世紀にピア

ノに加わった新機能。ペダルを踏んだと

きに押した鍵盤の音だけが伸ばされる仕

組みですが、そこで起こる共鳴、残響音

を追求したのがブーレーズなのです。言

葉で説明するのは難しいですが、とにか

くその響きは、まったく新しい感覚を呼

び起こすのだといいます。

ピアノから生まれる音楽

生誕300余年

夏フェスで新感覚

特集鍵

盤の上を流れるように動く指。

エレガントで華やかな響き。

消え入るようなピアニッシモ。

あるいは、両腕を

打ちおろすように奏でられる

激しい音の重なり。

ピアノは、誰もが知っている

楽器でありながら

まだ誰も聴いたことがない音や

表現も秘めている、

広く豊かな音源です。

今号では、そんなピアノに注目。

この夏から秋にかけて

サントリーホールに響く、

魅惑の音色をご紹介します。

「サマーフェスティバルは日本で最もレベルが高く実験的な現代音楽祭だからこそ、自分が生きてきた音楽を表したい」という野平さん。パリ国立高等音楽院で学び、フランス現代音楽の拠点IRCAMで作品を制作してブーレーズと知りあい、影響を受けた音楽家、野平一郎ならではの世界が繰り広げられます。室内オペラは

「今一番やりたかったこと」。男女5人の歌手が、15人近い登場人物を歌い分けるそう。器楽奏者、ピアニスト、歌手が渾然一体となるアンサンブルが聴きどころです。

野平一郎(作曲・ピアノ・指揮)

※サマーフェスティバルの公演情報は12ページへ。7 6Hibiki Vol .4Hibiki Vol .4

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木の楽器であるピアノと、木材を多用

したホールとの響き合いも、聴きどころ。

 

新進気鋭のピアニスト福間洸太朗さん

は、昨秋、サントリーホール大ホールで

の初リサイタルの際、

「ぶどう畑のように四方に広がっていく

空間、宇宙のような広さを感じられるこ

のホールに誘われて、ピアノによる壮大

な世界を描きたいと思いました」

 

と、20世紀前半のロシアの作曲家によ

る作品を数多く演奏しました。

「ロシアの音楽は、感情を包み隠さずに

思う存分出して弾けるんです。ドイツ系

のモーツァルトやベートーヴェンの作品

は、構成や和声の分析、そしてある程度

の理性が求められますし、フランス音楽

は色や香り、肌触りなど直感を大事にし

ます。ロシアものは、魂を揺さぶるよう

な力強いメッセージが何よ

り大切なんです」

 

この秋には、平日昼間の

コンサートシリーズ「とっ

ておき

アフタヌーン」

Vol・8(9月14日)で、

ラフマニノフ『ピアノ協奏

曲第2番』を、日本フィル

ハーモニー交響楽団と共演

します。この曲は、オーケ

ストラとの絡み合いに、な

んともいえない快感がある

そうです。

「ピアノ独奏の鐘の音で始

まり、オーケストラによっ

 

新しい動きは、室内楽にも。

「20世紀以降の作曲家たちは、室内楽を

も定番の形式から解き放ちました。あら

ゆる楽器の組み合わせが試みられました

が、2台のピアノと2人の打楽器奏者と

いう編成は、なんだか絶妙にバランスが

良いのです」

 

と野平さん。トリスタン・ミュライユ

『トラヴェル・ノーツ』はその編成で演

奏されます。2台のピアノは、弾いた音

を長く持続させるダンパー・ペダルを多

用して、時間の経過とともに音を重ねて

いくそうです。ピアノの響きと打楽器の

 

野平さん自身、新作オペラでは、バリ

トン歌手の歌声をピアノに共鳴させる手

法を目論んでいるそうです。『亡命』と

いうテーマ、フィクションとノンフィク

ションを行き来するストーリー、歌手の

歌声とピアノ、器楽奏者の室内楽的絡み

合い……開幕が待ち望まれます。

 

ところで、サントリーホールには、大

ホール、ブルーローズ、リハーサル室や

楽屋も含め12台のピアノがあります。

「手づくりなので1台1台仕上がりが違

うのです。華やかな音色だったり、しっ

とりした音色だったり、音に個性があり

ます。使用頻度も高いので、徹底したメ

ンテナンスが必要とされます」

 

と、最初の1台から見守り続けている

調律師の方は言います。現在主に舞台に

上がるのは、ドイツピアノの流れをくむ

米国のスタインウェイ(88鍵盤)4台と、

ウィーンの老舗ベーゼンドルファー(97

鍵盤)のグランドピアノ。19世紀フラン

スのエラール1867年製も。常に品質

を保ち、本番前には必ず奏者の好みや演

奏形態に合わせて入念に調律、音色を整

えます。前述の現代音楽のような特殊奏

法用の1台も控えています。

室内楽の

新しいかたち 

1台1台の個性

ドラマティック・

ロシア

でしょうか。

 

ピアノ内部の弦の上

う、驚きの奏法も登場しま

ゆる音の在り方を探ります。過剰なノイ

ズに近い音響でありながら、フランス音

楽ならではのセンスのよさ、繊細さが表

れている。その新しい音は、今、若者た

ちに非常にウケています」

 

2台のピアノが、リアルタイムなコン

ピュータシステムにより刻々と電子音響

と絡まっていくという、フィリップ・マ

ヌリ『時間、使用法』も、上記2曲と同

じ8月27日のブルーローズ(小ホール)

で体験できます。なんと濃密な時間!

リア』は、編成はピアノとチェロ

ピアノの足元、右からダンパー・ペダル、ソステヌート・ペダル、ソフト・ペダル。ピアニストの足の動きにも注目です!

ピアノ内部。鋼鉄製の弦に直接触れて音を出す奏法も、現代音楽にはあります。

の時空間が現れるの

にダンベルを転がすとい

す。

「ラファエル・センドの『フュ

と古典的ですが、特殊奏法で、あら

8月27日『フランス音楽回顧展Ⅰ』で演奏するピアニスト、グラウシューマッハー・ピアノ・デュオ(上)、秋山友貴。

「ひとつとして同じ響きはない。

それだけ、ピアノという楽器は

作曲家を誘うのです。難しい理

屈は抜きで、同時代のセンス、

感覚を耳で感じてください」 

リズムが絡まり

あって、どんな旅

© Johannes Grau

※とっておき アフタヌーンの公演情報は15ページへ。9 Hibiki Vol .4

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オーケストラの音をフルに引き出しな

がら、ピアノが主役としてごく自然に目

立っていく。ラフマニノフが天才ピアニ

ストであり、作曲家で指揮者でもあった

からこそできた、不動の名曲です」

 

と、語りにも熱が入ります。一方で、自

分の演奏活動では、まだあまり知られて

いない、演奏される機会の少ない作品も

積極的に取り上げていきたいと言います。

「例えば現代曲は、楽譜という地図をヒ

トリーホールに登場します。それも、彼

女が愛してやまないシューベルトのピア

ノ・ソナタを堪能できるプログラムです。

 

この夏から秋にかけて、様々なピアノ、

ピアニストとの出会いが待っています。

ントに、自分が信じる道を突き進む挑戦

です。聴いてくださる方々にとっても、

先入観なしにどのように受け止められる

かという挑戦だと思います。音楽に対し

て寛容になれるというか、何が起こるか

わからないスリルを楽しむ感じですね」

  

サントリーホールには、ピアノの音色

が毎日のように響き渡ります。

 

10月には、世界で活躍するピアニスト

辻井伸行、ヴァイオリニスト三浦文彰と

いう2人の若い音楽家の思いから新しく

立ち上げられた「サントリーホール 

ARKクラシックス」が開催されます。

辻井・三浦を中心とした室内アンサンブ

ルによるショパン『ピアノ協奏曲第2

番』、三浦友理枝ら華麗な女性演奏家に

よるピアノ・トリオでショスタコーヴィ

チ『ピアノ三重奏曲第2番』、アイスラ

ンド出身の人気ピアニスト、ヴィキング

ル・オラフソンによるコンテンポラリー・

ナイトなど、熱く盛り上がる4日間です。

 

晩秋には、内田光子が2年ぶりにサン

新しい出会い

て波が引き起こされ、その波に揉まれる

ように音楽が進んでいきます。苦悩あり、

ロマンあり。第2楽章ではフルートやク

ラリネットのメロディをピアノが伴奏す

る場面もあります。弦楽器が、ふわーっ

と風やさざ波のように入り込んでくると、

視界の色が変わっていくような感覚にな

り、弾いていて本当に心地よいんです。

聴いている方々にも、その快感をぜひ味

わっていただきたいです。

©Decca-Justin Pumfrey

リサイタルの際は、演奏する作品が作曲された背景や聴きどころを自ら解説する動画を、事前に発信している福間洸太朗さん。ラフマニノフ『ピアノ協奏曲第2番』も、こちらのアドレスから見られます。  http://youtu.be/4OT-BwkPVro

内田光子ピアノ・リサイタルシューベルト・ソナタ プログラム

10月29日 ピアノ・ソナタ第7番/第14番/第20番11月7日 ピアノ・ソナタ第4番/第15番/第21番

『サントリーホール ARKクラシックス』は、8年目を迎える音楽祭ARK Hills Music Weekのオープニング目玉イベントとして、今年から開催されます。10月5〜8日、ソリストとして世界で活躍する演奏家たちが集い、サントリーホールに極上のアンサンブルが響き渡ります。全9公演のなかにはすでに完売している公演もありますが、カラヤン広場でのライブビューイングも予定しています。赤坂アークヒルズ、サントリーホール周辺では、10月5〜13日の期間、様 な々音楽イベントが繰り広げられ、美術館や大使館やホテル、街のあちらこちらで、音楽と出会えます。

良い音楽を聴いたあとは、遅めの美味しい夕食で

感動の余韻を味わいたいもの。サントリーホールから

至近のアーク森ビルでは、コンサートの前後に

優待を受けられるお店があります。

スペイン坂 鳥幸

アーク森ビル1F営業時間 11:30 ~ 14:00

17:00 ~ 23:00 (L.O.22:00)無休☎ 03-6441-3848https://spainzaka-toriko.com/

「鳥幸」のために育てられた高品質の地鶏"八ヶ岳鳥幸地鶏"を、職人が丹精込めて焼き上げるこだわりの焼鳥店です。野菜串やおつまみも充実。厳選されたワインも揃い、ジャズの流れる大人の空間です。コンサートの当日ならばチケット(半券)の提示で、サントリーホー

サントリーホール特別コース

※サントリーホール ARKクラシックスの公演情報は15ページへ。

ル特別コース(¥3,780 税込)を楽しめます。“『Hibiki』を見た”と言うと、乾杯ドリンク

(ザ・プレミアム・モルツまたはスパークリングワイン)を一杯無料でプレゼント。

(2018年9月末まで)

11 10Hibiki Vol .4Hibiki Vol .4

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8月27日(月) 19:00開演 ブルーローズ(小ホール)

野平一郎 オペラ『亡命』世界初演 【チケット料金】一般 5,000円 学生 1,000円

第26回芥川作曲賞受賞記念サントリー芸術財団委嘱作品 渡辺裕紀子『朝もやジャンクション』世界初演第28回芥川作曲賞候補作品

《フランス音楽回顧展 Ⅰ 》昇華/飽和/逸脱〜IRCAMとその後〜 トリスタン・ミュライユ『トラヴェル・ノーツ』日本初演ラファエル・センド『フュリア』日本初演フィリップ・マヌリ『時間、使用法』日本初演

《管弦楽》 【チケット料金】S 4,000円A 3,000円 B 2,000円 学生 1,000円

《フランス音楽回顧展 Ⅱ 》現代フランス音楽の出発点〜音響の悦楽と孤高の論理〜モーリス・ラヴェル(ピエール・ブーレーズ編曲) 『口絵』日本初演フィリップ・ユレル 『トゥール・ア・トゥールⅢ』〜レ・レマナンス〜 日本初演ピエール・ブーレーズ『プリ・スロン・プリ』〜マラルメの肖像〜

【チケット料金】S 4,000円 A 3,000円B 2,000円 学生 1,000円

“現在(いま)”の作品を体感できる東京の現代音楽の祭典

サントリーホール サマーフェスティバル 2018

8月22日(水) 23日(木) 19:00開演 ブルーローズ(小ホール)

8月25日(土) 15:00開演 ブルーローズ(小ホール)

8月26日(日) 15:00開演 大ホール

8月31日(金) 19:00開演 大ホール

9月1日(土) 18:00開演 大ホール

日本初の試み、こどものためのオーケストラ定期演奏会。2018年のテーマはオーケストラが感情を音楽で表現する「音楽と感情」。家族で楽しくクラシック音楽デビューするにもぴったりです。

第66回 怒って(`´) 7月7日(土) 11:00開演 (10:40~ プレトーク) 大ホール

この夏、親子でクラシック音楽と親しむひととき

バークレイズ証券株式会社 特別協賛 東京交響楽団&サントリーホール

こども定期演奏会 2018年シーズン《音楽と感情》

野平一郎 © N.AIDA

イェルク・ヴィトマン © Marco Borggreve

指揮: 沼尻竜典 バリトン:晴 雅彦 司会:坪井直樹(テレビ朝日アナウンサー)モーツァルト オペラ『フィガロの結婚』より 「訴訟に勝っただと?!」ベートーヴェン 無くした小銭への怒り(ロンド・ア・カプリッチョ ト長調)沼尻竜典 オペラ『竹取物語』より「怒りのアリア」 ほか

こども奏者とオーケストラ(2017年シーズン公演より)

指揮 :原田慶太楼 ヴァイオリン:木嶋真優 司会:坪井直樹(テレビ朝日アナウンサー)ラヴェル 『亡き王女のためのパヴァーヌ』チャイコフスキー 交響曲第6番「悲愴」より 第3・4楽章グラス ヴァイオリン協奏曲第1番 より 第1楽章ハイドン 交響曲第45番「告別」より 第4楽章

サントリーホールの「顔」として大ホールの正面に構えるオルガンの仕組みや音色、歴史をよりよく知っていただく夏休み恒例の体験型企画です。「もぐらん隊長とオルガンのひみつ」(小学生対象・4歳以上入場可)は普段は通ることができない場所や舞台の上などを巡ってオルガンについて学び、探検後は演奏とお話を。「おとなのオルガン探検」(小学生以上入場可)は楽器のしくみや魅力をオルガニストが専門的に解説する貴重な機会です。

オルガン:勝山雅世 花澤絢子 おはなし:近藤 岳 ピアノ:谷合千文 ほか

7月21日(土)

サントリーホール 夏休みオルガン企画「それいけ!オルガン探検隊」

第67回 泣いて(T_T) 9月24日(月・休) 11:00開演 (10:40~ プレトーク) 大ホール

【チケット料金】もぐらん隊長とオルガンのひみつ 1,000円

各回定員300名おとなのオルガン探検 1,500円 定員400名

このマークのついた公演は、未来を担うこどもたちや若きプロフェッショナルな音楽家たちに向けたサントリーホールの活動「ENJOY! MUSICプログラム」の一環として開催します。音楽に出会うよろこびの場、音楽を創るよろこびの場、そして、より開かれたホールをめざし、様 な々取り組みを行っています。

コンサート案内201 8年 7〜10月

Concert Information

ザ・プロデューサー・シリーズ 野平一郎がひらく

テーマ作曲家 イェルク・ヴィトマン サントリーホール国際作曲委嘱シリーズNo. 41(監修:細川俊夫)

第28回 芥川作曲賞選考演奏会勝山雅世

<もぐらん隊長とオルガンのひみつ> 1回目 11:00集合 2回目 13:30集合<おとなのオルガン探検> 16:10開演           大ホール

《室内楽》イェルク・ヴィトマン『エチュード』第1巻(第1〜3曲)五重奏曲 ほか

イェルク・ヴィトマン ヴァイオリン協奏曲第2番 世界初演クラリネット独奏のための幻想曲 ほか

【チケット料金】一般 3,000円 学生 1,000円

【チケット料金】一般 2,000円 学生 1,000円

岸野末利加『シェーズ・オブ・オーカー』久保哲朗『ピポ-ッ-チュ』〜パッセージ、フィギュア、ファンファーレ〜坂田直樹『組み合わされた風景』

選考委員:鈴木純明、野平一郎、菱沼尚子指揮:杉山洋一 管弦楽:新日本フィルハーモニー交響楽団

【チケット料金】一般 3,000円 学生 1,000円

【チケット料金】(両公演とも)1回券 3,500円 

特集ページでサントリーホール サマーフェスティバルについて詳しく紹介しています。

売切

13 12Hibiki Vol .4Hibiki Vol .4

Page 8: 特集 ピアノから 生まれる音楽...サントリーホール情報誌 Summer 2018 インタビュー 稲垣吾郎 特集 ピアノから 生まれる音楽 7〜10月のコンサート案内

美術と音楽のコラボレーション

夢の共演の連続で究極の感動を

コンサート案内201 8年 7〜1 0月

Concert Information

【チケット料金】指定 2,000円 U29 1,000円特別ランチセット券 5,500円~スイーツブッフェセット券 5,500円~

オルガンの魅力を気軽でありながらも、存分に味わえるコンサートです。5回目を迎える今回は作・編曲家としても活躍する近藤岳がオルガンを、若手実力派の三浦一馬がバンドネオンを演奏します。ともに空気を送って音を出すふたつの楽器が奏でる“風”の音色をお楽しみください。コンサート前後にANAインターコンチネンタルホテル東京で特別ランチやスイーツブッフェを楽しめる2つのセット券も。U29席(29歳以下のお客様対象)の設定や託児サービス(有料・事前予約)などもご用意しています。

サントリーホールとサントリー美術館とのコラボレーションでお届けする、3〜6歳の子どもたちを対象にワークショップとコンサートで構成された60分プログラム。神崎ゆう子(NHK「おかあさんといっしょ」第16代うたのお姉さん)の案内のもと、世界の踊りの音楽を存分に楽しんでいただけます。

9月17日(月・祝) 13:30開演 大ホール

7月27日(金) 28日(土) 11:00開始 14:00開始 ブルーローズ(小ホール)

サントリーホールのオルガン・カフェ #5~風の魔法、風の音色~

三浦一馬 © ビクターエンタテインメント近藤 岳 © 青柳聡

サントリーアートキッズクラブいろいろドレドレ― 美術と音楽に親しむワークショップ&コンサート ―vol.3 きらきら島のなつまつり

秋の休日、カフェで過ごすようにコンサートを楽しむ

美術と音楽のコラボレーション

指揮 : 川瀬賢太郎 ピアノ:福間洸太朗 バリトン&ナビゲーター:加耒 徹 

ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番 ハ短調チャイコフスキー バレエ音楽『白鳥の湖』より 

メンデルスゾーン ヴァイオリン協奏曲 ホ短調モーツァルト オペラ『フィガロの結婚』序曲 ほか

オッフェンバック オペレッタ『天国と地獄』序曲ファリャ 火祭りの踊り(バレエ音楽『恋は魔術師』より) ほか

指揮 : 角田鋼亮 ヴァイオリン:成田達輝 バリトン&ナビゲーター:加耒 徹「ロマンをめぐる物語 ― “愛”」

おはなしと歌 :神崎ゆう子 演奏 :Music Players おかわり団

オルガン :近藤 岳 バンドネオン :三浦一馬 ナビゲーター :川平慈英

【チケット料金】(両公演とも)S 6,000円 A 4,000円 B 3,000円

「とっておき アフタヌーン」は、日本フィルハーモニー交響楽団とサントリーホールが平日午後をエレガントで豊かに過ごしていただこうと、クラシック音楽の名曲をお届けするコンサートシリーズ。リハーサル体験やホテルオークラ東京からのおもてなしなどのオプションもご用意しています。

アークヒルズとサントリーホールが2011年にスタートさせたARK Hills Music Week。オープニングを彩るコンサート・シリーズとして、今秋からあらたにARKクラシックスがスタートします。アーティスティック・リーダーに、世界で活躍するピアニスト・辻井伸行とヴァイオリニスト・三浦文彰を迎え、サントリーホールを舞台に世界トップクラスのアーティストが競演。アークヒルズの街が音楽であふれます。

「ドラマティック・ロシア!」

Vol. 8 9月14日(金) 14:00開演 大ホール

10月5日(金) 6日(土) 7日(日) 8日(月・祝) 

Vol. 9 2019年 2月26日(火) 14:00開演 大ホール

日本フィル&サントリーホール

とっておき アフタヌーン 2018シーズン

ARK Hills Music Week 2018サントリーホール ARKクラシックス

福間洸太朗 © Mark Bouhiron川瀬賢太郎 © Yoshinori Kurosawa

オーケストラとホールが贈る、平日午後の優雅で豊かなひととき

音楽のある街、アークヒルズで究極の感動を

三浦文彰 © Yuji_Hori辻井伸行 © Yuji_Hori

加耒 徹

日本フィルハーモニー交響楽団 ©堀田力丸

ワークショップの様子

詳細は特設サイトをご覧ください。http://avex.jp/classics/arkclassics2018/

【チケット料金】親子ペア券(3〜6歳のこども1名と保護者1名)2,000円 こども券(3〜6歳)1,000円おとな券(7歳以上の同伴者追加1名)1,500円(限定40枚)

売切

15 14Hibiki Vol .4Hibiki Vol .4

Page 9: 特集 ピアノから 生まれる音楽...サントリーホール情報誌 Summer 2018 インタビュー 稲垣吾郎 特集 ピアノから 生まれる音楽 7〜10月のコンサート案内

プレゼント *A・Bよりお選びください。

B オリジナルチケットホルダー&一筆箋 5名様

サントリーホールの象徴であるエントランスのモニュメントまたはオルガンをデザインした、シックなチケットホルダーと一筆箋をセットで。ショップでも人気の品です。(色は選べません)

A コンサートご招待3組6名様

サントリーホール サマーフェスティバルから《フランス音楽回顧展Ⅱ》公演にご招待いたします。9月1日(土)18:00開演(大ホール)ブーレーズの大曲『プリ・スロン・プリ』を体感してください。

※0570で始まるこの電話番号は、国際電話および一部のIP電話・プリペイド方式の携帯電話からはご利用できません。 ご利用いただけない場合は、03-3584-4402へお電話ください。

【チケットセンター窓口】10:00~18:00 ※18時以降の公演がある場合は開演時刻まで営業/休館日・年末年始は休業

先行発売がご利用いただける「サントリーホール・メンバーズ・クラブ」、公演情報、チケットのご購入など詳細は、サントリーホールホームページをご覧いただくか、サントリーホールチケットセンターにお問い合わせください。

サントリーホールホームページ http://suntory.jp/HALL/サントリーホールチケットセンター Tel. 0570-55-0017

(10:00~18:00 )オペレーターが対応いたします(休館日・年末年始は休業)

サントリーホール情報誌Summer 2018

インタビュー 稲垣吾郎特集

ピアノから生まれる音楽7〜10月のコンサート案内

<サントリーホール情報誌『Hibiki』>サントリーホールは1986年に東京初のコンサート専用ホールとして“世界一美しい響き”をコンセプトに誕生しました。これからもサントリーホールの響きを、より多くの方々にお届けしたい――そんな想いを込めて、情報誌『Hibiki』を発行しています。表紙絵は、海外にも活躍の場を広げている陶芸家・アーティストの鹿児島睦(Makoto Kagoshima)氏による描きおろしです。

夏休みを目前にみなさまはどんな計画をお持ちでしょうか。夏のひととき、サントリーホールで音楽を楽しんでいただければ、と願っています。お届けしましたサントリーホール情報誌『Hibiki』、いかがでしたでしょうか。今後も充実したHibikiをお届けしていきたいと思います。ぜひみなさまのご意見をお聞かせください。アンケートにお答えくださった方の中から抽選で、サントリーホールならではのプレミアムなプレゼントを差し上げます。サントリーホールホームページ http://suntory.jp/HALL/ の応募フォームに希望のプレゼント、アンケートのお答え、お名前・ご住所等をご記入のうえ、ぜひご応募ください。

Q u e s t i o n n a i r e & P r e s e n t

応募フォームはこちらから

サントリーホール情報誌『Hibiki』Vol.4

2018年7月1日発行発行責任者 ● 市本徹雄編集発行 ● サントリーホール〒107-8403 東京都港区赤坂1-13-1TEL. 03-3505-1001(代表)

企画編集 ● サントリーホール/ 株式会社Scapes /内海陽子デザイン ● 中澤睦夫(SAKU CORPORATE DESIGN)

表紙絵 ● 鹿児島 睦印刷製本 ● 共同印刷

サントリーホールディングス株式会社は公益財団法人サントリー芸術財団のすべての活動を応援しています。

サントリーホールホームページへは

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