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CDO(最高データ責任者) に求められる5つの課題 実績に裏付けられた、高価値を生み出すデジタルトランス フォーメーションの実現アプローチ

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Page 1: CDO(最高データ責任者) に求められる5 - Informatica...CDO(最高データ責任者) に求められる5つの課題 実績に裏付けられた、高価値を生み出すデジタルトランス

CDO(最高データ責任者)に求められる5つの課題実績に裏付けられた、高価値を生み出すデジタルトランスフォーメーションの実現アプローチ

Page 2: CDO(最高データ責任者) に求められる5 - Informatica...CDO(最高データ責任者) に求められる5つの課題 実績に裏付けられた、高価値を生み出すデジタルトランス

目次

セクション1: 最高データ責任者(CDO)が抱える課題 03 – 最高データ責任者(CDO)が抱える課題 04 – CDOの優先事項 06 – 成功に必要な5つの重要ポイント 08

セクション2: 5つの重要ポイント 09 – 5つの重要ポイント 10 – 1.社内の連携を確立 11 – 2.ビジネスドライバーとデータを連動させる 14 – 3.変更を管理 17 – 4.ロードマップを作成 21 – 5.データガバナンスを活用 23

パート3: トランスフォーメーションに成功した企業 25 – トランスフォーメーションに成功した企業 26 – 話を聞き、情報を活用し、リードする 27

参考文献 28

インフォマティカについて 29

ヒント:各項目をクリックすると、そのセクション

にジャンプできます。

02

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セクション1

最高データ責任者(CDO)が抱える課題

03

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データはビジネスに力を与えます。データ主導

の企業には、データリーダーの役割が不可欠で

す。他のテクノロジーと同じように、ビッグデー

タも科学的な実験段階から実際のビジネスへと

進化しました。このため、企業はアナリティク

スやインサイトをもたらす異種データストリー

ムを、これまで以上に重視する必要があります。

これまで数十年にわたり、個別のアプリケーショ

ンや画一的な使用事例に依存するサイロ化した

データ管理が行われてきましたが、現在は全社

規模でデータを活用することが必須となってい

ます。こうした進化に伴って生まれたのが、最

高データ責任者(CDO)という新しい役割です。

この役割は、15年以上前、金融サービス業界

において法規制へのコンプライアンスや情報セ

キュリティに関する取り組みを支援する目的で

誕生し、2008年の金融危機を受けて発展しまし

た。データがビジネス戦略や業績にとって重要

な要素になるのに伴い、CDOの役割はすべての

業界に広まっていきました。

CDOの業務は、データを活用して、イノベー

ションの促進、カスタマーエクスペリエンスの

改善、ビジネスインサイトの提供、コンプライ

アンス要件への準拠、その他の重要ビジネス目

標の達成を推し進めることです。

多くの企業では、CDOはこれまでにない役職

か、歴史の浅い役職です。そのため、CDOには

円滑な業務遂行のための明確な定義がありませ

ん。分かりやすいレポート構造や明確でコラボ

レーティブな横のつながり、企業文化への定着

が不十分と感じているCDOや、企業のデータリ

ソースについて実用的な知識を得ていないCDOもいるかもしれません。また独自の予算を持って

いないため、経営幹部を動かしてプロジェクト

予算を獲得しなければならないCDOもいるでしょ

う。このように、CDOにはさまざまな課題が存

在しています。

そして多くの場合、これらの課題はまだ明確に

規定されていません。CDOの役割は未知の領域

であり、通常は行く先を示す地図や道具もほと

んど存在しないのが現状です。

CDOとCIOの関係

最高データ責任者(CDO)と最高情報責

任者(CIO)は補完し合う役割であり、デ

ジタルトランスフォーメーションの価値を

実現するためには互いに重要な存在です。

相互に協力して、価値を実現する統合計

画を策定する必要があります。デジタルト

ランスフォーメーションの成功には、業務

の変革とテクノロジーの変革の両方が必

要です。両者のコラボレーションを進めて

調整することで、CIOが構築した技術力を

CDOが活用し、最も効果的な形で連携さ

せて有意義なビジネス上の成果を引き出す

ことができます。

最高データ責任者(CDO)が抱える課題

04

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CDOは、社内でまだ誰も習得していない能力や

習得の必要性すら認識されていない能力を身に

つけることが求められます。その能力とは、急

速に増加し無秩序に広がる膨大な量のデータを

管理する能力です。業務で使用するさまざまな

トランザクションシステムで作成された大量の

データの他にも、ソーシャルメディアでのイン

タラクションを通じて獲得する多数のインサイ

ト、拡大するモノのインターネット(IoT)、顧

客が企業とやり取りする際に使用するデバイス

の存在があります。こうした新しいデータソー

スは、これまでに例のない課題や機会をCDOにも

たらします。

この電子ブックでは、インフォマティカのプロ

フェッショナルサービス部門が、数年にわたり

多くのCDOと緊密に連携して収集したベストプ

ラクティスと洞察を紹介します。また、ビジネ

ス環境を即座に評価し、ビジネス上の成果を改

善する価値の高いデジタルトランスフォーメー

ションを推進するための、推奨フレームワーク

も説明します。

以下に示すデータ主導イニシアチブのための貴社の計画は?

高度なデータスキルを有する人材の 採用を増やす

コンテンツ管理やデータ管理の 各プログラムを、 統合情報管理プログラムに組み込む

ビジネスフレンドリーなセルフサービス型の 視覚化およびアナリティクスへの投資を増やす

外部データの調達能力を高める

マネジメント文化を変革して定量的な 意思決定を強化する

顧客の単一ビューを導入する

BIや高度なアナリティクスを研究する 組織的なセンター オブ エクセレンス

(COE:中核的研究拠点)を作る

今後12か月以内に実施する予定

実施中/実施済み

実施内容の拡大中/アップグレード中

出典:Forrester社「Global Business Technographics® Data and Analytics Survey, 2015(Global Business Technographicによるデータ/

アナリティクスに関する調査、2015年)」

18%31%

20%31%23%

16%32%24%

17%30%24%

16%32%23%

16%33%22%

22%

16%30%23%

05

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最も高いレベルから見たCDOのミッション、そ

れはデータを競争優位性に変革することです。

CDOの役割に投資をしている企業では、CDOが大きな成功を収めています。Forrester社の調

査によると、CDOを採用し、デジタルトランス

フォーメーションに投資している企業は、意思

決定の改善や顧客の価値向上、効率化や市場

シェアの拡大をはじめ、最も重要となる業績の

向上を達成しています。

この2年間で貴社がデータ管理に対して行った投資はどの ようなメリットをもたらしましたか?

経営幹部の意思決定が 向上した

40%

新しい業務要件を効率的 に満たせるようになった

37%

顧客の価値が向上した 37%

売上全体が増加した 35%

市場シェアが拡大した 33%

顧客へのサービス提供や サポートのコストが減少した

32%

顧客ロイヤリティが向上した 32%

新しい製品/サービスを 開発した

30%

出典:Forrester社「Global Business Technographics® Data and Analytics Survey, 2015(Global Business Technographicによるデータ/アナリティクスに関する調査、2015年)」

CDOの優先事項

06

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戦術的な機会は、数多くあります。一般

的によく見られるCDOの優先事項には以下

のものがあります。

– 信頼できるアナリティクスを通してビジ

ネスインサイトを提供

– 顧客中心主義戦略をサポート

– 法規制へのコンプライアンスとデータ

セキュリティに関するリスクを最小化

– オンプレミス、クラウド、Hadoopの各

環境の重要データをつなぐハイブリッド

なデータ管理をサポート

– 企業のデジタルトランスフォーメーショ

ンの基盤を構築

ただし、データプロジェクトについて手当たり

次第にアプローチしても、フォーカスや優先順

位がしっかり設定されず、良くても局所的な成

功に留まり、かなりの混乱が生じることが考え

られます。すべてのデータイニシアチブの根底

には、サイロ化しているデータを総体的なデー

タエコシステムに統合するという、包括的な目

標が必要です。そうすることで、個別のイニシ

アチブが成功するだけでなく、社内全体で異種

データストリームを使用可能にし、新しいイン

サイトをもたらす基盤を構築することもできま

す。どうすれば、これを実現できるのでしょう

か。適正なアプローチとは体系的なプロセスで

す。ここで紹介する5つの実践的な手順を実施す

ることで、CDOは成功を収めることができるで

しょう。

07

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CDOにとって重要な2つのツールとは、(十分な

量の)データと交渉手腕です。今日のCDOには、

トランスフォーメーションに必要なリソースや

権限が与えられていません。コラボレーション

と啓蒙活動を通じてリーダーシップを発揮しな

ければなりません。

このため、最低限やるべきこととして、自分の

時間を使って自社の市場やビジネス目標、文化

を真に理解する必要があります。また、有能な

トランスフォーメーションリーダーになるため

には、そのための関係も築かなければなりませ

ん。特に、状況を詳しく理解せずに、すぐに表

れる成果(それがどんな成果であっても)に飛

びつきたくなる衝動のまま動くと、すぐに圧倒

され、フォーカスを失うことになります。CDOが新規採用なのか、社内でさまざまな役職を歴

任し豊富な経験があるのかに関係なく、CDOに

就任した最初の30日間は、基礎知識の習得と評

価に励み、従来の固定観念や認識を捨ててくだ

さい。そして、次の30日間はプランニングを行

います。そうすることで、初めて具体的な成果

を積極的に追求できるようになります。

散乱したデータのサイロが原因で混乱や機能障

害が生じる環境から、統合されたエンタープライ

ズデータ環境への移行を支援してきた中で、イン

フォマティカは成功につながる1つの効果的なプ

ロセスを発見しました。デジタルトランスフォー

メーションが単なるテクノロジーの問題ではな

く、以下の要素が必要であることを理解すること

で、このプロセスに沿ってマクロからミクロへと

スムーズに移行できます。

– 業務部門とIT部門がデータに関する共通のビ

ジョンと戦略に基づいて連携

– データ戦略によって実現する説得力のあるビ

ジネスドライバーを特定

– データ主導の企業文化を築く変更管理アプ

ローチを定義

– 業務上の価値を増分的に高める総体的なロー

ドマップやプログラムを開発

– データガバナンスを活用して、データ資産を

管理すると共に説明責任を共有

このプロセスによって、データ戦略について完

全に統合されたビジョンが確立するだけでな

く、データ主導の企業文化を培うことができま

す。デジタルトランスフォーメーションの最大

の課題はテクノロジーではありません。テクノ

ロジーがあまり使用されない、または誤用され

る状況になり、シェルフウェアになってしまうこ

とがないよう、有意義で持続可能な方法で人とプ

ロセスを変えていくことが最大の課題です。

繰り返しますが、社内の別の要職からCDOに就

任した場合でも、さまざまな思い込みを捨てる

ことが大切です。現在のデータの成熟度だけで

なく、貴社のビジョンや戦略、文化を新しい視

点で検討するようにしてください。

成功に必要な5つの重要ポイント

08

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セクション2

5つの重要ポイント

09

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優れたCDOへの過程で重要な5つのマイルス

トーンでは、企業の現状と将来目指すべき方

向性を踏まえて現実的なビジョンを作成し、

持続可能な成功に向けて主導することに重点

を置いています。

CDOとしての最初のステップ、それは現状を

見極めることです。

5つの重要ポイント

1. 社内の連携を

確立

4. ロードマッ プを作成

2. ビジネスドライ バーとデータを 連動させる

5. データガバナ ンスを活用

3.変更を管理

10

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まずCDOがすべきことは、組織の意向を確かめ

ることです。デジタルトランスフォーメーショ

ンがすでに進行中の場合でも(その可能性が高

いでしょう)、ビジョンや戦略、文化について

の思い込みを捨てて、詳しい状況を新たに把握

するよう努めてください。

最初に企業のビジョンを確認する

企業には、どこかの部門が作成した公式のビ

ジョン記述書が存在し、そこには自社社の目指

す姿が描かれています。こうしたビジョンは、

多くの従業員の支持を得られるようにインスピ

レーションあふれるメッセージで出されていた

り、曖昧で感傷的な表現でWebサイトのページ

に書かれていたりします。例えば、「Xサービス

を提供する世界的なリーダー企業になること」、

「Y製品を通じてお客様の生活を変革すること」

などです。しかし、こうしたビジョンでも良い

出発点になります。世界トップレベルのサービ

スとはどのようなものでしょうか。最も大切な

顧客は何を必要とし、何を期待しているでしょ

うか。このビジョンの実現に向けて順調に進ん

でいますか。最終目標をまっすぐ見据えた計画を

策定できるように、貴社(最低でもCEOと役員)

が将来どうなりたいと考えているか正確に把握

することが重要です。

企業のビジョンは、時間を超えて存続し、反響

を生み出す力を持っています。多くの場合、企

業は意欲的なビジョンの達成には予想以上に時

間がかかることに気づくか、途中でそのビジョ

ンを達成するため戦略を変更する場合もありま

す。ただし、ビジョン自体は、市場が壊滅的に

崩壊しない限り長く残る傾向があります。

また、自社に明確なビジョンがない場合やビジョ

ンが古くなっている場合は、今後数年間の戦略

的最優先事項に対するCEOの考えを特定するこ

とから始めてください。この作業は、CDOの活

動と最優先事項を連動させる出発点として適し

ています。

ビジョンから戦略へ

将来を見据えた実行可能なビジョンは、例えば

製品中心主義から顧客中心主義に移行する、ク

ラウド第一のIT戦略を展開する、デュアルチャネ

ルからオムニチャネルの流通に進化するといっ

た、具体的な戦略によって実現します。こうし

た戦略は必ずと言っていいほどデータに大きく

依存し、データ戦略ロードマップを作成するこ

とでさらに進化する可能性があります。

とはいえ、現在の戦略がどのように発案され、ど

のような形で実行中かを確認することが重要で

す。現在、貴社の戦略においてデータはどのよ

うに役立っていますか。データ配信に関連するリ

スクで、CDOが解決できるものはありますか。

これは、経営幹部の視点で見た企業の目標で

す。次に具体的かつ戦術的に考えてみましょう。

データを生成しているのはどのアプリケーショ

ンですか。データはどのような形式でどこに保

存されていますか。このデータの使用目的は何

ですか。データはその目的を達成していますか。

データの所有者に連絡し、その業務内容や実現

してほしいこと、CDOに求める支援について尋

ねてください。

1.社内の連携を確立業務部門とIT部門が、データに関する共通のビジョンと戦略に基づいて連携する

11

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ユーザーの話を聞く

経営幹部の多くは、上層部の他のメンバーと目

標や業績、将来の方向性を話し合うことに多く

の時間を取られています。一般的に、経営幹部

はレポートに簡単に目を通すだけで、データを

実際に使用するわけではありません。社内のIT部門や顧客、データ作成者やデータスチュワー

ドなどの実際のユーザーから話を聞きましょう。

データを使用したり、データを頼りに仕事をし

たりしているユーザー全員と話し合いをしよう

とすれば、社内のあらゆるレベルや職務の人と

会うことになるはずです。こうしたユーザーは

どのような方法でデータを取り込み、活用して

いますか。どのような質問に回答したいと考え

ているでしょうか。重要な価値を提供できるの

はどのようなインサイトですか。仕事の妨げに

なっている問題は何ですか。現在のニーズと問

題点を明らかにしてから、意欲的な新しいデー

タの使い方を推進します。そうすることで、安

定した基盤を築くことができます。

社外の場合、エンドカスタマーやパートナーと

会うことを推奨します。最初のステージで話を

聞けない場合は、具体的な計画をロードマップ

に落とし込む前に実施してください。調査の活

動やプロセス全体を通して、小売店や銀行の顧

客、病院の患者、B2Bのエンドユーザーなど、

バリューチェーンの末端にいる顧客を必ず考慮

するようにします。

12

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支持者を得て、影響力を高める

この探索プロセスの中で、CDOは重要な関係を

構築し信頼性を高めます。社内の利害関係者か

ら、CDOは味方であり、自分たちの成功に配慮し

てくれる人物と認識されることは非常に重要で

す。デジタルトランスフォーメーションは、本

質的に破壊的な活動です。そのため、CDOは、

トランスフォーメーションの成功に向けて協力し

てもらう関係者から意欲を引き出し、友好関係

を築かなくてはなりません。CDOのイニシアチ

ブが自分の目標達成には役立たないと考えるバ

イス・プレジデントは、変革を妨げる存在にな

ります。変革によって自分の仕事が大変になると

感じている最前線のスタッフは、消極的(また

は積極的)な阻害要因になるでしょう。

逆説的な考えですが、完全に社内の人間として

活動するためには、外部の人間の新鮮な視点を

持ち続ける必要があります。企業の中でさまざ

まな要職を経験した後CDOに就任した場合であ

れば、これは特に難しいかもしれません。社内

の人間として探求を行う場合は、「どのように

して、これをやればよいか」を考えがちです。し

かし、コンサルタントの精神を持つ社外の人間

なら、「なぜ、これをやるのか」という疑問を

持つでしょう。これにより、弱点とチャンスを

明らかにできる可能性が高まります。CDOは、

企業が目標達成のために何をしたいかだけでな

く、企業がこれまで試そうとしていないことは

何かを考えます。社外の人間が持つ視点を思い

出し、業界の内外で使用されているベストプラク

ティスに注目しましょう。また、競合他社の行

動からも目を離さないようにしてください。重

要なのは、自社のデータ戦略が差別化要素とな

るか、または自社が後れを取っている場合は競

合他社に追いつくための取り組みになるかを把

握することです。

その結果生まれるのがデータビジョン、つまり

企業目標の達成のためにデータができることに

ついてのコンセプトや原則です。この時点では、

目標の達成方法や優先順位は考えません。次の

フェーズで、トランスフォーメーションのロー

ドマップの方向性を決める優先順位について検

討します。

13

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サイロ化されたデータを見つけ、味方を作った

後は、データビジョンと重要なビジネスドライ

バーを連動させる作業を行います。デジタルト

ランスフォーメーションの方向性について検討

する中で、考えられるイニシアチブがいくつか

挙がってくるはずです。短期間で成果が出るも

のもあれば、より高い価値をもたらすために複

雑なプロセスが必要になるものもあるでしょう。

差し迫ったビジネスニーズを理解することで、

優先順位を決めやすくなります。

企業の戦略的課題を詳細に調べると、経営幹部

がすでに承認している特定の優先事項や行動、

目標が見つかります。そして、全員で進むべき

方向性が見えてきます。

重要なビジネスイベントやビジネスドライバー

には、以下の例があります。

– 新しい製品やサービスカテゴリーの投入。製

品ライン全体の刷新やモバイルアプリの大幅

な機能拡張など。

– 拡張計画。新市場への進出、新しい地域での

工場やビジネス拠点の設立など。

– 合併と買収の予定。日程がすでに決まってい

る取引や、戦略的買収がまだ決定していない

が、来年または18か月以内に優先的に進めら

れる取引など。

– 革新的なプロセスの変更。新規のパートナー

やサプライヤーとの契約など。

– 季節的な要因。小売業者のホリデーシーズン

の繁忙期など。

既存のイニシアチブと連動させて優先順位を決

定することが、データイニシアチブに対する経

営幹部のサポートや利害関係者の関与、予算を

引き出すための最も簡単な方法です。大企業で

は、利害関係者やリーダーと完全な連携体制を

確立することはできないでしょう。しかし、必

須のイニシアチブへの重要なサポートを得るこ

とや、摩擦や意見の相違が残るポイントを把握す

ることが大切です。

2.ビジネスドライバーとデータを 連動させる不可避的なビジネスイベントとビジネスドライバーをデータ戦略と連動させる

14

Page 15: CDO(最高データ責任者) に求められる5 - Informatica...CDO(最高データ責任者) に求められる5つの課題 実績に裏付けられた、高価値を生み出すデジタルトランス

推奨されるベストプラクティスとして、イン

フォマティカのプロフェッショナルサービスコ

ンサルタントは、ビジネス上の優先課題の同期

に役立つ「ビジネスチャンスのヒートマップ」

を使用して、最終的なロードマップにある潜在

的なデータ強化点や大規模なインフラストラク

チャ目標を考慮しながら優先順位を検討します。

企業リスク管理チームが同じようなヒートマッ

プを使用して最大のリスク領域を判断している

ように、このポートフォリオ管理アプローチで

も、データイニシアチブの優先度が分かり、最

高レベルの価値をもたらし、最短でROIが実現さ

れるイニシアチブを見つけることができます。

このヒートマップは、経営幹部と仕事をする上

でも効果的なコラボレーション/コミュニケー

ションツールとなります。優先度を具体的に見

せることができ、指揮者がオーケストラ全体を

見ながら、奏者全員の役割を把握し、音が外れて

いる場所を見つけ出すことができるように企業

の機能全体を確認することができます。

ビジネスチャンスのヒートマップ例

1. 電子証拠開示(eDiscovery) に伴うリスクの減少

2. 顧客満足度の向上

3. コールセンターの 生産性の向上

4. 財務諸表の改善

5. サプライチェーンの最適化

6. グローバルデータの 同期エラーの削減

7. アップセル/ クロスセルの改善

8. 新しいモバイルeコマース チャネルの導入

9. 買収統合の促進

10. 販売地域の連携プロセスの 改善

検討 優先

実験

6 5 4 3 2 1 0

6

5

4

3

2

1

高い 投資と労力 低い

高い

業務上の価値

低い

10

28

17

9

3 5

4

6

無視

15

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全体的なビジョンを具体的な戦略と組み合わせ

る際には、2つの想定期間について考えること

になります。データビジョンには、全社規模の

改善をもたらす総体的な進化が含まれています。

理想的な状態はデータのサイロが存在しない環

境で、新しいデータストリームを取り込み、新

しいインサイトをもたらす新しい方法で既存の

データセットを統合することができます。CDOが目指すのは、「このシステムはあのシステム

と連動できない」とか、「このデータは使用でき

る形式にするまで時間がかかる」などと言う必

要のない環境の企業です。一般的に、こうした

規模のインフラストラクチャ改善には最低3~5年かかり、ビジネスの変更や新しい技術開発に

基づいて更新される可能性があります。

しかし、CDOが作成するデータ戦略はもっと短

い期間を想定しています。CDOに必要なのは30日後、60日後、90日後の具体的な計画であり、6か月後、9か月後、12か月後の達成目標です。た

だし、計画を作成する前に、探索プロセスの重

要な側面を完了しておく必要があります。それ

は、経営幹部の目標やデータの格納先よりも重

要と言ってよい問題を解決することです。

16

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企業データの課題は乱雑な状態を整理すれば解

決できると考えているCDOは、テクノロジーに

重点を置く傾向があります。要件を定義し、新

しいシステムの展開を意欲的に指揮し、簡単な

研修を実施すれば、改善できると考えています。

残念ながら、テクノロジーは万能薬ではありま

せん。テクノロジーは簡単に導入できても、変

更管理という難しい問題が残るからです。いわ

ばジグソーパズルを買うようなもので、100ピー

スでも1,000ピースでも完成させればいいわけで

すが、チームがパズルに関心がないとしたらど

うすればいいでしょうか。他の優先事項に気を

取られていたり、不注意でピースを失くす可能

性があったりする場合はどうでしょうか。パズ

ルを完成させてもそれに対するパフォーマンス

が測定されないために、パズルの存在を無視し

ようとする可能性もあります。さらに、チーム

全員が単純にパズル嫌いだとしたらどうなるで

しょうか。

これが文化です。そして、CDOが企業のデータ

処理方法の変革に着手する時、この企業文化を

管理できるかどうかが最も重要な成功要因とな

ります。このため、目的の変更を定義したロー

ドマップを作成する前に、関連する企業文化や

人手によるプロセスの把握に努めてください。

これで混乱を回避し、新しいプロセスやテクノ

ロジーを広く適用できる計画を作ることができ

ます。

大半のリーダーは、変更管理の必要性を過小評

価しています。長期にわたり広い範囲で変更が

行われる場合、関係者全員の献身的な取り組み

と協力が必要です。調査では、こうした取り組

みに協力的でない従業員が非常に多いことが分

かっています。Gallup社の調査によると、自分の

仕事に「熱意のある」従業員は3分の1しかいま

せん。

Gallup社は次のように報告しています。「従業

員のエンゲージメントは、ビジネス成果と大き

な関わりがあります。(中略)しかし、米国で

働く従業員の大半が、常に「やる気のない従業

員」のカテゴリーに分類されています。こうし

た従業員は敵意を示すわけでも、規律を乱すわ

けでもありません。ただ会社に来て、時間をつ

ぶし、格別な努力をすることなく必要最低限の

仕事しかしていません」そして、これがイニシ

アチブの失敗を招く原因です。自社の文化が、ト

ランスフォーメーションイニシアチブにおいて

大きな負担となる可能性もあれば、強力な推進

力になる可能性もあります。

3.変更を管理データ主導の企業文化を築く変更管理戦略を定義する

17

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McKinsey社は、効果的な変革とは上から押し付

けるものではないと示唆しています。

それには関係者による心からの協力が必要であ

り、管理されたものではなく「自然発生的」なも

のでなくてはなりません。単にロードマップを

作成して、スケジュールを発表すればいいとい

うわけではないのです。

文化を変えることは大変です。もし、CDOのトラ

ンスフォーメーションビジョンに外部からの専

門知識を取り入れるとすれば、その知識を最も

必要とするのは変更管理の分野です。文化を変

える際には、まず共有の価値観や信念として何

をするのか(または何をしないのか)を明確に

示してください。企業文化はその企業にとって

重要なものを示しています。自社の成功にいか

に貢献するのかが分かる具体例を示すようにし

てください。そして、文化は単なるレトリック

ではありません。経営幹部が、企業の価値観を

伝えるメッセンジャーではなく、それを体現す

るロールモデルとなって行動で示さなければなり

ません。

「データ主導」の企業文化とは

一般的に、文化は、社会や共同体が共有す

る習慣、伝統、価値観で定義されます。ビ

ジネスにおける企業文化とは、さまざまな

状況に対する従業員の行動や反応と考える

ことができます。データ主導の企業文化で

は、企業内でデータが広く活用され、従

業員が情報を取得、分析しやすいように

工程や業務が確立されています。さらに従

業員は、自分がデータの利用者であると

同時に、企業のデータ資産の品質や完全

性に対して責任を負っていると考えます。

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Page 19: CDO(最高データ責任者) に求められる5 - Informatica...CDO(最高データ責任者) に求められる5つの課題 実績に裏付けられた、高価値を生み出すデジタルトランス

インフォマティカのプロフェッショナルサービ

スコンサルタントは、デジタルトランスフォー

メーションを促す文化を理解しようとするCDOやその他の経営幹部に役立つ、以下のガイダン

スを発見しました。

現在だけでなく過去にも目を向ける

過去のデータイニシアチブ(または同様のトラ

ンスフォーメーションプロジェクト)はどのよ

うに進められましたか。どのような方法で支持

を得て、トレーニングを行い、適用を促しまし

たか。最適な成果を得られなかったのはどの領

域ですか。その理由は何でしょうか。支持が得

られなかったのは、コミュニケーション不足や

経営幹部の支援不足、不十分なトレーニング、

展開の失敗が原因でしたか。単に関係者全員が

日常業務に追われて忙しかったからですか。意

味のある変更ができましたか。または、新体制

の中で仕事をしなくてはならない従業員から意

見を聞かずに、上の人間が変更内容を決めまし

たか。

社内のすべてのレベルに目を向ける

企業文化について、また変更の適用方法につい

て、経営幹部の意見だけを聞かないようにしてく

ださい。マネージャーやスーパーバイザー、従

業員も企業文化を支えています。CDOはデータ

の活用方法を変えたいと考え、経営幹部はカスタ

マーエクスペリエンスや売上成績などを改善し

たいと考えています。しかし、自分の仕事を完

遂したいと考えている従業員がたくさんいるこ

とを忘れないでください。

正式なプロセスが面倒な場合や、「適正なやり

方」の利点が理解されていなかったり、社内の

価値観として共有されていなかったりする場合、

十分な成果をもたらさない手軽な方法が使われ

るようになります。従業員の業務の進め方を変

更する計画を作成する時には、必ず実際にその

業務を行っている従業員の専門知識を参考にし

てください。

また、経営幹部と従業員がそれぞれ直面してい

る現実には、隔たりがあることを知っておく必

要があります。意思決定に必要なデータを取

得できているか、経営幹部に質問してみてくだ

さい。「はい」と答えるかもしれませんが、そ

のためにデータを急いでまとめるという無駄な

手作業が発生することなどは理解していないで

しょう。複数のシステムからデータを集めようと

裏で担当者が走り回り、データの不一致を解決

し、何とか手動でデータをまとめていることを

経営幹部は知らないまま、頼んだデータを手に

入れています。さらに問題なのは、これが繰り

返し実行可能なプロセスではないことです。同

じことが起きても、同じ結果が得られるとは限り

ません。

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導入とフォローアップを軽視しない

賛同を得た確固としたビジョンがあっても、導

入ステージや稼働日以降に大きな落とし穴には

まる企業があります。例を見てみましょう。

– 経営幹部の支援がない。意欲的なキックオフ

の発表の後に情報が与えられないことも珍し

いことではなく、これは現実的な優先事項が

なく、コミットメントも不十分なことを示し

ています。

– 十分な支持を得られていないため、有意義な

形で適用できない。従業員は変更によって得

られる価値を理解し、それを受け入れる必要

があります。

– 十分なトレーニングがないため、最も意欲的

な支持者まで離れていってしまう。従業員も

やり方を知らなければ、実行することはでき

ません。

– フォローアップが足りないため過去の習慣や

手っ取り早い方法が広まる。

– 従業員のパフォーマンス評価に古い指標が使

用され続ける。CDOが現状維持を奨励する。

CDOだけで文化を変えることはできません。こ

れには、トップダウンの支援とボトムアップの

理解が必要です。

インフォマティカのプロフェッショナルサービ

スコンサルタントは、新しいデータ文化構築の

中核的な価値を説明するワークショップやセッ

ションを実施し、クライアントに基本に立ち

返ってもらうよう努めています。変更管理の成

功には、「この方法でやっていく」と宣言する

以外にも、やるべきことがたくさんあります。

実際、正式なロードマップの作成を始めると、

作業の大部分は文化の人的側面と意図する変更

管理のための計画に費やされるはずです。

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CDOの信頼性は、最終的にロードマップの実行

状況によって決まります。どのような約束をし

たか、スケジュール通りに実行したか、価値を

提供したかということが重要になります。適正

なロードマップを作るために、コンテキストや

コラボレーション、文化に関わる作業を優先さ

せるのはこのためです。

ロードマップは、目的を記録しておくものです

が、コミュニケーションツールとしての役割が

さらに重要になります。「CDO」が製品だとす

れば、ロードマップはカタログです。テクノロ

ジーやプロセスの導入で生まれるビジネス上の

成果を説明する必要があります。その際はビジ

ネスの文脈で話す必要があります。プロジェク

トの立ち上げについてではなく、ビジネス上の

成果を引き出す能力の創出について説明します。

おそらく、CIO以外の経営幹部で、クラウドへの

データウェアハウスの移行を気にかける人はい

ないでしょう。

経営幹部は、変革によってより正確な売上予測が

手に入るか、低コストで迅速に最新情報を取得で

きるかといったことに関心を見せるでしょう。

売上やカスタマーサービス、マーケティングの

各データセットの統合には関心がなく、顧客離

れの減少とウォレットシェアの増加が興味の対

象です。

信頼できるロードマップを作成する2つめの鍵

は、進化の内容を明確に伝えることです。まず

は基本的なことから始めます。従業員が現在の

仕事を遂行する上で必要なデータやアナリティ

クスツールがない場合は、まずはこれらを提供

します。次に、過去に展開したものを土台にし

て導入を進め、バリューチェーン全体の価値を

高める有意義な進化を計画します。ロードマッ

プを示すことで、短期的思考による反発を避け、

長期的な成功を築くことができます。そのため、

ロードマップはこうしたストーリーを伝えるも

のにする必要があります。

最後に、これまで述べてきたように、ロード

マップには、テクノロジーや導入日以外の情報も

記載しなければなりません。CDOの実績につな

がる変更管理の取り組みを反映させた、総合的

なトランスフォーメーション計画を作る必要が

あります。

ロードマップには以下のような具体的な項目を

入れます。

– ロードマップを通じて到達できる状態を示し

た戦略的なビジョン記述書

– 上位レベルのスポンサー、主要な利害関係者

/チームメンバー(DACIまたはRACIの役割分

担表の利用を検討すること)

– 今後数年のプロジェクトスケジュール(開始

日/終了日、コスト、変更管理のような関連

事項)。長期的なスケジュールは概要を、短

期的なスケジュールはより詳細に

– 各イニシアチブの業務上の価値/目標、責

任者、成功評価指標。常に顧客やエンドユー

ザーのメリットを考えること

4.ロードマップを作成業務上の価値を増分的に高める総体的なロードマップやプログラムを開発する

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最後に、注意事項が2つあります。第1に、ロー

ドマップはビジョンと戦略的計画に基づいて実行

されるものであり、経営幹部や重要利害関係者と

連携して優先順位を決定します。直ちに反映さ

れる成果だけを追求するものではありませんが、

短期的な成果も重要です。CDOの信頼性を確立

し、サポートの継続(強化)を実現するために

も、優先度の高い領域で測定可能な成果を短期

間で達成できる包括的なビジョンを作成してく

ださい。

第2に、ロードマップから逸れることなく、新た

なリスク/需要に対応するようにしてください。

柔軟性は重要ですが、短期的な成果を急いで得

るためにロードマップを無視してはなりません。

それではロードマップの意味がなくなります。

Q1 Q2 Q3

リーダーシップ目標と展開について経

営幹部から承認を得る

ビジョンと戦略を更新

する

経営幹部に進捗を報

告する

人と文化スキルと能力のギャッ

プを埋める

データスチュワード

(データ管理/案内人)

の第 1 グループをト

レーニングする

チームのパフォーマン

スを測定し、必要に応

じて調整する

プロセス

データカウンシルや

ワーキンググループの

プロセスを導入する

命名規則、検証、デー

タキャプチャのポリ

シーを定義する

リファレンスアーキテ

クチャを文書化する

インフラストラクチャ

データ品質やビジネ

スグロッサリのための

ツールをインストール

し、試験導入する

レポートシステム全

体でメタデータを統

合する

マスターデータ管理ソ

リューションを導入

する

「CDO」が製品だとすれば、ロードマップは販売カタログです。

そして、良質なロードマップとは進化の内容を明確に伝えるものです。

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ロードマップが完成する頃には、積極的な支持者

となる人もいれば、渋々ながら支持する人も現

れます。しかし、効果的に実施し、成功を維持す

るのは難しいことです。変更管理はプロジェクト

の開始時に役立ちますが、成功の維持と継続的

改善にはガバナンスと説明責任が必要です。

データガバナンス

CDOには、どのようにデータが自社に取り込ま

れ、社内を移動しているか、どこにどのような

形式で格納されているかを把握できるフレーム

ワークが必要です。また、データを分析したり、

意思決定で使用したりする際のプロセスも必要

です。データの中に新しい機会を見つける方法

や、問題や非効率性の改善措置も欠かせません。

データガバナンスは、データ資産の業務上の価

値を保護し最適化するために全社規模で調整す

べき取り組みです。

多くの企業では、データの責任の所在はIT部門

にあります。これは IT部門が、データを取得、

処理、配信するデータベースやアプリケーショ

ン、システムの担当部署になっているためです。

しかし、デジタル企業は、データはあらゆるビジ

ネスプロセス、意思決定、インタラクションを

支える生命線であることを理解しています。真

の所有権は、データによってもたらされるビジ

ネス上の成果を受け取る業務部門が持つべきで

あり、IT部門は重要な協力者にすぎません。

データの価値と適切な責任の所在を理解してい

るCDOは、データガバナンスに対する総体的なア

プローチを確立できます。つまり、繰り返し応

用でき、拡張可能なポリシーやプロセス、標準

を作成して、データを有効に活用します。このア

プローチでは、信頼できるセキュアなデータの

提供ガイドラインが確実に遵守されるよう、役

割と責任を明確にします。

説明責任

データの所有権とプロセスのスチュワードシッ

プを定義することで、継続的な成功に欠かせな

いもう1つの要素、説明責任を明確にできます。

トランスフォーメーションを確実に成功させる

ために最も重要なことは、説明責任の共有です。

ある人が新たに導入中のプロセスやテクノロジー

の責任者となり、別の人がデータ品質の責任を

引き受けます。

さらに違う人が、トランスフォーメーションが

全体的なビジョンおよび戦略との連動性を維持

しているか確認する必要があります。測定方法

や説明責任に関する詳細はロードマップに記載

して多くの人に理解してもらい、全員が個別のイ

ニシアチブとトランスフォーメーション全体の

結果について責任を負う義務があります。

5.データガバナンスを活用データガバナンスを活用し、説明責任を共有する文化を築く

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エリア タスクデータガバナンスプログラム

業務データの所有者

データスチュワード

ソースシステムの所有者

IT管理人 データ設計者

探索

ターゲットデータのプロファイリングと調達

報告先 報告先 責任者 報告先 報告先 報告先

データモデルの管理 報告先 報告先 サポート サポート サポート 承認責任者

定義

ビジネスルールの定義 承認 承認 責任者 協業先 協業先 サポート

主要業績指標の定義 承認 承認 責任者 協業先 協業先 サポート

適用

ソースシステムへのビジネスルールの適用

報告先 報告先 サポート 責任者 サポート 協業先

データ/プロセスの問題解決

報告先 承認 責任者 サポート サポート 協業先

測定と監視

データ品質スコアカードの作成

承認 承認 責任者 報告先 報告先 報告先

データリネージの分析 報告先 報告先 サポート サポート 責任者 協業先

重要な役割と責任を追跡することで、説明責任を共有する文化を築き、維持していくことができます。この文化は、トランスフォーメーションプロ

ジェクトの成功には欠かせない要素です。

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パート3

トランスフォーメーションに成功した企業

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トランスフォーメーションに成功した企業

データは、これまで以上にビジネスの成功を左

右する重要な存在となっており、データやデジ

タルトランスフォーメーションに注目してリソー

スを投入する企業が増えています。

これは、大規模企業においてデータイニシアチ

ブが広がっていることからも分かります。さら

に、さまざまな見出しからは、どこからともなく

現れたデータ主導の破壊的な新興企業が業界全

体を根本的に再編していることが見て取れます。

そして、トランスフォーメーションについて多く

の責任を担うCDOという役割が急増しているとこ

ろにも見て取ることができます。

こうして見た場合、CDOの成功はテクノロジー

やビジネス原則の豊富な知識よりも、関係構

築で決まると言っても過言ではないかもしれ

ません。McKinsey社は次のように述べていま

す。「ソフトスキルを軽視すべきではありませ

ん。80%の時間を人間関係の構築に使っている

というCDOも存在します」

貴社がビジネスインテリジェンス戦略の 策定に際して直面する最大の課題は?

データセキュリティとプ ライバシー

IT部門と業務部門の連携不足

データ量の増加と多様化

社内の関連スキルの 不足または欠如

急速に変化するアナリ ティクス要件やレポート 作成要件

68%

89%

52%

84%

53%

81%

56%

73%

54%

68%

CDOがいない企業

CDOがいる企業

出典:Forrester社「Global Business Technographics® Data and Analytics Survey, 2015(Global Business Technographicによるデータ/アナリティクスに関する調査、2015年)」

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自社の企業戦略が同僚や部下の優先事項にどの

ような影響を与えるのか、細心の注意を払う必

要があります。自社の状況を把握し、関連性の

高い価値ある成果を優先させた計画を策定しな

ければなりません。また従業員と協力し、プロ

セスについて話し合い、データイニシアチブが

浸透して成功が継続しているかを確認すること

も必要です。

専門的な知識を持つエキスパートの協力は不可

欠です。経営幹部は戦略を作成し、部門責任者

やマネージャーはその戦略を現実化します。CIOはテクノロジーとアーキテクチャに関する戦略

(CIOが上司の場合はデータ戦略も)の責任者で

あり、人事部門は変更管理に欠かせない存在で

す。ベンダーやパートナー、コンサルタントは、

プロセス全体や重要エリアについて貴重な情報

を持っている可能性があります。

何よりも忘れてはならないのが、ビジネスの成

功をもたらす存在であるエンドユーザーや顧客、

パートナーです。データとビジネスが不可分の

関係となっている現在、CDOは、企業において

重要な戦略的リーダーとして進化している役割

です。CDOはデータのスチュワード(世話役)

以上の存在であり、実質的に企業自体のスチュ

ワードであると言えます。

話を聞き、情報を活用し、 リードする

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Page 28: CDO(最高データ責任者) に求められる5 - Informatica...CDO(最高データ責任者) に求められる5つの課題 実績に裏付けられた、高価値を生み出すデジタルトランス

参考文献

「必要十分」なデータガバナンス

データ主導のデジタルトランスフォーメーショ

ンにおいて、企業全体のデータ管理状況を確認

することは大切な第一歩です。この電子ブック

では企業向けクラウドデータ管理に必要な最低

限の作業を説明します。

データを競争力に変えるデータガバナンスのた

めの10か条

業務部門と IT部門両方のデータガバナンス推

進者のためのホワイトペーパーで、経営幹部

にデータガバナンスを理解してもらうためのフ

レームワーク、ツール、用語を分かりやすく理

解できます。

CDO向けインテリジェントデータレイク管理ガ

イド

データレイクの優れた効率性と拡張性を背景に、

企業はイノベーションを促進する新しいインサ

イトを迅速に発見しています。このホワイトペー

パーでは、CDOがデータレイクの可能性を最大

限に引き出すための、重要な設計原則について

取り上げています。

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IN18-0917-3284

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デジタルトランスフォーメーションによって我々の期待値が変化していま

す。より良いサービスを、素早く、便利に、低コストで利用したいという

期待が高まっているのです。企業も状況に応じて変化する必要があります。

そしてそのヒントは「データ」にあります。

エンタープライズ向けクラウドデータ管理で世界をリードするインフォマ

ティカは、俊敏性を高め、新たな成長機会を実現するだけでなく、新たな

イノベーションを生み出すことさえ可能にする将来への洞察力を提供しま

す。インフォマティカは、あらゆるデータを徹底的に重視し、企業の成功

に必要とされる汎用性を提供します。

インフォマティカは、企業がこれからのインテリジェントな破壊的イノ

ベーションを推進できるよう、当社が提供するあらゆるサービスを通じて

データの力を継続的に引き出すことを支援します。

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