知的障害児における 性的な行動・マナーに関する...

20
1

Upload: others

Post on 24-Jul-2020

2 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

Page 1: 知的障害児における 性的な行動・マナーに関する …web2.nazca.co.jp/hashiseminar/2011(1).pdf児童に見られる性的な行動・マナー 割合 1 異性の前で下着姿になって着替えをする

1

Page 2: 知的障害児における 性的な行動・マナーに関する …web2.nazca.co.jp/hashiseminar/2011(1).pdf児童に見られる性的な行動・マナー 割合 1 異性の前で下着姿になって着替えをする

▼内容 知的・発達障害児の性的な行動・マナーに関する実態調査

▼調査対象者 小・中・高校生の知的・発達障害児の保護者

▼手続き 保護者に質問紙を配布し、性的な行動・マナーに関する 児童の様子や保護者の考え等を把握する。

▼調査内容 1.障害のある児童に関する基本情報 2.保護者の方の性格について 3.児童の性的な行動・マナーについて 4.保護者の「児童の恋愛、結婚、子育て」に関する考えについて 5.児童のこだわり、興味、過敏性について 6.保護者の方の児童についての悩み、不安について

2

Page 3: 知的障害児における 性的な行動・マナーに関する …web2.nazca.co.jp/hashiseminar/2011(1).pdf児童に見られる性的な行動・マナー 割合 1 異性の前で下着姿になって着替えをする

▼保護者 父親4名 母親106名 計110名

▼児童 男児78名 女児32名 計110名

CP

9%

NP

21%

A

23%

FC

22%

AC

25%

CP(批判的親) 完璧主義者。自分にも他者にも厳しい。 責任感が強く、リーダーシップを発揮する。

NP(養育的親) 他人をいたわり親身になり世話をする。 寛容的な行動、態度を示す。

A(成人) 事実に基づき物事を客観的、論理的に 理解して判断する。

FC(自由な子ども) 感情や欲求を自由に表現し、本能的、 自己中心的に行動する。

AC(順応した子ども) 従順で他者依存的で感化されやすい。 主体性にかけ自己否定的な構えを有する。

自閉症

57% ダウン症

21%

ADHD

9%

知的障害

8%

その他

5%

1度

0%

2度

46%

3度

25%

4度

24%

無所持

5%

小学校低学年

14%

小学校高学年

23% 中学生

44%

高校生

19%

性格特性 (東大式エゴグラムⅡ使用)

障害種別 愛の手帳等級 年代

3

Page 4: 知的障害児における 性的な行動・マナーに関する …web2.nazca.co.jp/hashiseminar/2011(1).pdf児童に見られる性的な行動・マナー 割合 1 異性の前で下着姿になって着替えをする

児童に見られる性的な行動・マナー 割合

1 異性の前で下着姿になって着替えをする 40.0%

1 個室の扉を開けたまま用を足す 40.0%

3 異性と手をつないで行動する 33.3%

3 異性の顔に顔を近づける 33.3%

3 人前で自分の服の中に手を入れる 33.3%

6 人前で服の上から自分の性器を触る 32.4%

保護者が悩んでいる性的な行動・マナー 割合

1 生理の始末が出来ない 60.0%

2 人前で性器を露出する 50.0%

3 人前で床などに性器をこすりつける 46.2%

4 意図的に異性の胸や尻をさわる 33.3%

5 人前で服の上から自分の性器を触る 29.4%

6 異性の服の中をのぞく 28.6%

・24項目の性的な行動・マナーのうち、 保護者が児童に見られていると答えた 性的な行動・マナーの一人当たりの 平均個数は、4.35個であった。 ・保護者によって性的な行動・マナーへの 対応は異なっていた。 ・「生理により衣類やベッドなどを汚す」、 「生理の始末ができない」の生理に 関する項目については、 全ての保護者が許容の対応をとっていた。

児童の性的な行動・マナーに 対する保護者の対応

無理に止める 許容している

平均 32.6% 67.4%

許容の理由 低年齢 未発達 今後指導

平均 22.1% 4.2% 63.6%

4

Page 5: 知的障害児における 性的な行動・マナーに関する …web2.nazca.co.jp/hashiseminar/2011(1).pdf児童に見られる性的な行動・マナー 割合 1 異性の前で下着姿になって着替えをする

・今回調査した小学校低学年から高校生までのすべての 年代の児童に性的な行動・マナーが見られていた。 ・小学校低学年から中学生にかけて児童に見られる 性的な行動・マナーの行為数は増加し、 高校生になると児童に見られる性的な行動・マナーの 行為数は中学生で見られた数の半数程度に減少した。 ・保護者が悩んでいる性的な行動・マナーの行為数は、 小学校低学年時が最も多く、小学校高学年で減少した後、 思春期をむかえる中学生で再び同数程度まで増加し、 その後高校生で半数程度まで減少していた。

児童の性的な行動・マナーに 対する保護者の対応

無理に止める 許容している

小学校低学年の平均 23.4% 76.6%

小学校高学年の平均 24.1% 75.9%

中学生の平均 34.4% 65.6%

高校生の平均 35.1% 64.9%

児童に最も多く見られた 性的な行動・マナー

割合

小学校低学年 異性の前で下着姿になって着替えをする 92.9%

小学校高学年 個室の扉を開けたまま用を足す 60.0%

中学生 生理により衣類やベッドなどを汚す 70.0%

高校生 生理により衣類やベッドなどを汚す 66.7%

保護者が最も悩んでいた 性的な行動・マナー

割合

小学校低学年 人前で床などに性器をこすりつける 100%

小学校高学年 生理により衣類やベッドなどを汚す 100%

中学生 人前で性器を露出する 100%

高校生 小便器を使用時、ズボンを下まで 下げて尻を出した状態で用を足す

33.3%

児童の性的な行動・マナーに 対する保護者の対応

低年齢 未発達 今後指導

小学校低学年の平均 39.8% 0.5% 50.8%

小学校高学年の平均 38.9% 0.5% 51.3%

中学生の平均 6.8% 5.4% 75.0%

高校生の平均 6.8% 5.6% 74.3%

5

Page 6: 知的障害児における 性的な行動・マナーに関する …web2.nazca.co.jp/hashiseminar/2011(1).pdf児童に見られる性的な行動・マナー 割合 1 異性の前で下着姿になって着替えをする

・今回調査した自閉症、ダウン症、ADHD、知的障害の 全ての障害種において性的な行動・マナーが見られた。 ・ADHD児の保護者は他の障害種の保護者よりも 許容的な対応をとっている割合が高く、 自閉症児の保護者は他の障害種の保護者よりも 無理に止める対応をとっている割合が高かった。 ・4つの障害種において平均年齢に大きな差は 無かったが、許容の理由として年齢的な理由を 挙げている保護者がダウン症児・ADHD児の 保護者に多くみられた。

保護者が最も悩んでいた 性的な行動・マナー

割合

自閉症 生理の始末が出来ない 66.7%

ダウン症 異性の匂いを嗅ぐ 100%

ADHD 異性にキスをする 100%

知的障害 人前で床などに性器をこすりつける 100%

児童に最も多く見られた 性的な行動・マナー

割合

自閉症 生理により衣類やベッドなどを汚す 55.6%

ダウン症 小便器を使用時、ズボンを下まで 下げて尻を出した状態で用を足す

53.8%

ADHD 個室の扉を開けたまま用を足す 50.0%

知的障害 生理により衣類やベッドなどを汚す 100%

児童の性的な行動・マナーに 対する保護者の対応

無理に止める 許容している

自閉症 39.6% 60.4%

ダウン症 12.6% 87.4%

ADHD 9.4% 90.6%

知的障害 24.9% 75.1%

児童の性的な行動・マナーに 対する保護者の対応

低年齢 未発達 今後指導

自閉症 16.3% 5.4% 69.1%

ダウン症 34.2% 7.9% 44.3%

ADHD 31.7% 0.0% 68.3%

知的障害 9.6% 5.3% 72.8%

6

Page 7: 知的障害児における 性的な行動・マナーに関する …web2.nazca.co.jp/hashiseminar/2011(1).pdf児童に見られる性的な行動・マナー 割合 1 異性の前で下着姿になって着替えをする

・今回調査した2度、3度、4度の全ての手帳等級に おいて性的な行動・マナーが見られた。 ・障害の程度が重いほど 性的な行動・マナーの行為数は多く見られ、 障害の程度が軽いほど児童に見られる 性的な行動・マナーの行為数は少なかった。 ・障害の程度が重いほど保護者が悩んでいる 性的な行動・マナーの行為数は多く、 障害の程度が軽いほど保護者が悩んでいる 性的な行動・マナーの行為数は少なかった。

児童に最も多く見られた 性的な行動・マナー

割合

愛の手帳2度 生理により衣類やベッドなどを汚す 83.3%

愛の手帳3度 生理により衣類やベッドなどを汚す 66.7%

愛の手帳4度 生理により衣類やベッドなどを汚す 44.4%

保護者が最も悩んでいた 性的な行動・マナー

割合

愛の手帳2度 人前で性器を露出する 66.7%

愛の手帳3度 異性の匂いを嗅ぐ 100%

生理の始末が出来ない 100%

愛の手帳4度 異性にキスをする 100%

意図的に異性の胸や尻を触る 100%

児童の性的な行動・マナーに 対する保護者の対応

無理に止める 許容している

愛の手帳2度の平均 24.5% 75.5%

愛の手帳3度の平均 40.3% 59.7%

愛の手帳4度の平均 36.8% 63.2%

児童の性的な行動・マナーに 対する保護者の対応

低年齢 未発達 今後指導

愛の手帳2度の平均 17.9% 4.1% 67.7%

愛の手帳3度の平均 34.9% 4.6% 45.0%

愛の手帳4度の平均 21.4% 5.8% 48.1%

7

Page 8: 知的障害児における 性的な行動・マナーに関する …web2.nazca.co.jp/hashiseminar/2011(1).pdf児童に見られる性的な行動・マナー 割合 1 異性の前で下着姿になって着替えをする

反対

どちらかと

いえば反対

どちらとも

いえない

どちらかと

いえば賛成

賛成

その他

平均値

一人暮らしをする 人数 26 22 25 10 11 8

2.52 割合 34.4% 14.8% 16.4% 9.8% 11.5% 13.1%

共同で暮らす 人数 2 5 14 35 42 5

4.14 割合 34.4% 14.8% 16.4% 9.8% 11.5% 13.1%

好きな子が出来る 人数 3 8 38 33 16 5

3.54 割合 34.4% 14.8% 16.4% 9.8% 11.5% 13.1%

彼氏彼女が出来る 人数 5 8 42 23 19 6

3.44 割合 34.4% 14.8% 16.4% 9.8% 11.5% 13.1%

二人でデートをする 人数 10 22 37 15 12 7

2.98 割合 12.9% 21.0% 32.3% 14.5% 8.1% 11.3%

男女数人で デートをする

人数 3 6 37 31 17 7 3.57

割合 12.9% 21.0% 32.3% 14.5% 8.1% 11.3%

籍を入れず 彼氏彼女と共に暮らす

人数 32 15 41 5 2 8 2.26

割合 12.9% 21.0% 32.3% 14.5% 8.1% 11.3%

結婚をする 人数 24 13 37 5 12 12

2.65 割合 12.9% 21.0% 32.3% 14.5% 8.1% 11.3%

結婚相手との間に 子供を授かる

人数 49 12 18 5 6 13 1.99

割合 12.9% 21.0% 32.3% 14.5% 8.1% 11.3%

・障害特性的に、 恋愛・結婚・子育ては不可能だと思う。

・現在の子どもの発達状態では、将来のことは考えられ

ない。

・今後どこまで成長できるか分からず考えられない

・人に迷惑をかけずに自立して社会に出ることを望む。

・重度の我が子に人を好きになる感情が、 芽生えるもの

なのかと思うのが本音。

・恋愛は自由にしてほしいが、きちんとした性教育を受け

理解が出来てからが望ましい

・障害のない方と同様にとは思わないが、一人の女性と

して豊かで実りある人生を送ってほしい。

・誰かを愛し、その人と生活が出来るようになればいいと

思うが、今の我が子の様子を見ていると結婚し、親元を

完全に離れて自立することは難しいと思う。

・時期や子供の成長状態によって、考え方は変わる。

・環境に十分恵まれたら結婚もさせてあげたいが現状で

は難しい。

自由記述

8

Page 9: 知的障害児における 性的な行動・マナーに関する …web2.nazca.co.jp/hashiseminar/2011(1).pdf児童に見られる性的な行動・マナー 割合 1 異性の前で下着姿になって着替えをする

一人暮らしをする

友人と共同で暮らす

好きな子ができる

彼氏・彼女ができる

二人きりで

デートをする

男女数人のグループ

でデートをする

籍を入れずに彼氏

彼女と一緒に暮らす

結婚をする

結婚相手との間に

子どもを授かる

小学低学年の平均 2.23 4.38 3.64 3.54 3.08 3.54 2.54 2.77 2.23

小学高学年の平均 2.95 3.95 3.33 3.33 3.00 3.58 2.14 2.95 2.20

中学校の平均 2.37 4.08 3.54 3.42 2.92 3.50 2.30 2.45 1.83

高校生の平均 2.60 4.30 3.70 3.55 3.05 3.74 2.10 2.70 1.95

自閉症の平均 2.23 4.38 3.64 3.54 3.08 3.54 2.54 2.77 2.23

ダウン症の平均 2.95 3.95 3.33 3.33 3.00 3.58 2.14 2.95 2.20

ADHDの平均 2.37 4.08 3.54 3.42 2.92 3.50 2.30 2.45 1.83

知的障害の平均 2.60 4.30 3.70 3.55 3.05 3.74 2.10 2.70 1.95

愛の手帳2度 2.03 4.21 3.50 3.34 2.78 3.43 2.15 2.08 1.47

愛の手帳3度 2.46 4.08 3.27 3.19 2.92 3.63 2.12 2.72 2.04

愛の手帳4度 3.00 3.96 3.67 3.67 3.08 3.54 2.54 3.13 2.59 9

Page 10: 知的障害児における 性的な行動・マナーに関する …web2.nazca.co.jp/hashiseminar/2011(1).pdf児童に見られる性的な行動・マナー 割合 1 異性の前で下着姿になって着替えをする

悩んでいない

昔、

悩んでいた

現在、

悩んでいる

将来

心配である

トイレマナー 人数 22 26 38 28

割合 20.0% 23.6% 34.5% 25.5%

生理指導 人数 30 3 13 20

割合 27.3% 2.7% 11.8% 18.2%

クラスメートとの関係づくり 人数 55 10 21 24

割合 50.0% 9.1% 19.1% 21.8%

異性との関係づくり 人数 66 3 6 36

割合 60.0% 2.7% 5.5% 32.7%

マスターベーション 人数 61 5 10 46

割合 55.5% 4.5% 9.1% 41.8%

性犯罪加害者 人数 68 2 1 29

割合 61.8% 1.8% 0.9% 26.4%

性犯罪被害者 人数 57 3 5 41

割合 51.8% 2.7% 4.5% 37.3%

性的な問題行動 人数 55 3 7 50

割合 50.0% 2.7% 6.4% 45.5%

学習面 人数 25 14 44 30

割合 22.7% 12.7% 40.0% 27.3%

食事マナー 人数 24 19 48 20

割合 21.8% 17.3% 43.6% 18.2%

自傷 人数 57 9 17 16

割合 51.8% 8.2% 15.5% 14.5%

他害 人数 55 11 15 22

割合 50.0% 10.0% 13.6% 20.0%

・言葉の遅れ

・コミュニケーション能力全般

・父親の理解、協力が得られない

・独り言の多さ

・相談場所がないこと

・児童の反抗期

・兄弟げんか

・夜尿症が治らないこと

・体重コントロール

・放課後や休日の過ごし方

・就労

・スカートの女性をじっと見つめてしまう

・ドアを蹴る、叩くなどの行動

・現在の子どもの様子を、自分がなかなか受け

入れられない

・大声を上げて騒ぐこと

など

その他

10

Page 11: 知的障害児における 性的な行動・マナーに関する …web2.nazca.co.jp/hashiseminar/2011(1).pdf児童に見られる性的な行動・マナー 割合 1 異性の前で下着姿になって着替えをする

保護者の性格特性

知的・発達障害児の 恋愛・結婚・子育て に関する保護者の考え

保護者の性格と 性的な行動・マナーに対する許容率、 性に関わる児童の将来についての考えの 3者間に有意な関係は見られなかった。

CP特性の強い 保護者

否定的

肯定的

知的・発達障害児の 恋愛・結婚・子育て に関する保護者の考え

保護者の性格特性

高い

低い

一定の傾向として

・責任感が強い

・厳格である

・厳しい心

・他者に批判的

・理想を掲げる

性的な行動・マナーに 対して保護者が 許容している割合

性的な行動・マナーに 対して保護者が 許容している割合

11

Page 12: 知的障害児における 性的な行動・マナーに関する …web2.nazca.co.jp/hashiseminar/2011(1).pdf児童に見られる性的な行動・マナー 割合 1 異性の前で下着姿になって着替えをする

▼内容 知的・発達障害児の性的な行動・マナーに関する実態調査

▼調査対象者 障害がある児童と関わるボランティアアルバイト・サークル活動含む) の経験がある大学3年生以上の学生

▼手続き 調査対象学生を面接室に呼び、自記式質問紙に回答していただき 学生ボランティアの行動や考えを把握する。

▼調査内容 1.対象学生に関する基本情報 2.実際に対象学生が経験した知的・発達障害児の 性的な事柄に関する保護者からの要望や指示について 3.実際に対象学生が経験した保護者の要望や指示と 自分の価値観が一致しなかった際の対象学生の行動 4.障害者の「恋愛、結婚、子育て」に関する考えについて 5.架空の場面での学生ボランティアの行動・意識について

12

Page 13: 知的障害児における 性的な行動・マナーに関する …web2.nazca.co.jp/hashiseminar/2011(1).pdf児童に見られる性的な行動・マナー 割合 1 異性の前で下着姿になって着替えをする

カウン

セリン

グ・臨床

心理学

31%

特別支

援教育

60%

その他

9%

▼大学生ボランティア 男子学生21名 女子学生35名 計65名

学年

知的・発達障害児と 関わるアルバイト経験

学部3

年生

25%

学部4年

64%

大学院1

年生

6%

大学院2

年生

5%

専攻

経験あり

56%

経験なし

44% 経験あ

96%

経験な

4%

教員

36%

公務員

8%

福祉施設

13%

民間企業

18%

進学

13%

未定

12%

進路希望

知的・発達障害児と 関わるボランティア経験

いる

12%

いない

88%

知的・発達障害児が 家族にいるか否か

13

Page 14: 知的障害児における 性的な行動・マナーに関する …web2.nazca.co.jp/hashiseminar/2011(1).pdf児童に見られる性的な行動・マナー 割合 1 異性の前で下着姿になって着替えをする

要望を受け

た経験があ

48% 経験はない

36%

その他

16%

保護者の指示・要望に従った行動をとった 10名 自分の判断に基づいて異なった行動をとった 6名 困惑してどうすれば良いかわからなかった 3名 周囲の人に相談した 2名 その他 7名

○気に入ったお姉さんに付きまとうため、 相手にしないでほしい ○股間を触ることがあるため、手を外してほしい ○興奮したときは無理に止めないでほしい ○ひらひらしたズボンやスカートは着用しないで ほしい ○女の人と手をつながないでほしい ○女性の胸を触ったら叱ってほしい ○「おっぱい」と連呼したら叱ってほしい ○ズボンに手を入れて性器を触るので制止してほしい ○異性に抱き着くので適当に止めてほしい ○スクール水着に興味が出ているので接触を避けて ほしい ○手をつないだり、腕を組んだりしてくることを拒否 してほしい ○トイレ以外で性器を触った場合は人のいないところ へ連れて行ってほしい など

保護者から受けた性に関わる要望や指示

学生の行動

具体的

で明確

な指示

30%

抽象的

で曖昧

な指示

70%

保護者から受けた性に関わる要望や指示の経験について

保護者から受けた性に関わる要望や指示の内容

14

Page 15: 知的障害児における 性的な行動・マナーに関する …web2.nazca.co.jp/hashiseminar/2011(1).pdf児童に見られる性的な行動・マナー 割合 1 異性の前で下着姿になって着替えをする

○一貫性のない指導は児童を 混乱させるから 6名 ○保護者の意見を大切にしたい 5名 ○社会的マナーを 逸脱しない範囲で従う 4名 ○周囲に迷惑が 及ばない範囲で従う 3名 ○子どもと最も長く関わり理解 しているのは保護者だから 2名 ○自分の考えが絶対に 正しいことはないから 2名 ○子育てに関しては保護者が 一番わかっているはずだから 1名 ○自分は教育者ではないため 1名 ○「遊ぶ」目的の場だったため 1名

保護者の要望と自身の考えが一致しなかった際の学生の行動

○家庭との対応が異なっても 大丈夫か確認して判断する 1名 ○指導者であれば自身の判断に 基づいて行動するが、指導者で なければ保護者の要望に従う。 2名 ○子どもが落ち着いて過ごせるか を考えて判断する。 1名 ○上司や先輩と相談する 1名 ○「叱って・止めて」という要望は 従うが、「許容して」という要望 は内容によって異なる。 1名 保護者の要望に

従う

52%

自身の判断に基

づいて行動する

28%

保護者と相談し

て決断する

7%

その他

13%

○その行為が周囲の迷惑になるから 2名 ○障害があっても許されない行為であれば止める 2名 ○おかしいと思った行為はきちんと止めることが トラブル防止の最善の策 1名 ○自分なりにその子について良いことだと思い指導する 1名 ○あまりにも社会的に外れているような保護者の価値観であれば 受け入れることはできない。 1名

15

Page 16: 知的障害児における 性的な行動・マナーに関する …web2.nazca.co.jp/hashiseminar/2011(1).pdf児童に見られる性的な行動・マナー 割合 1 異性の前で下着姿になって着替えをする

結婚

▼周囲のサポート・理解・制度確立の必要性がある 23名 ▼人として当然の権利である 8名 ▼当人同士の自由な問題である 5名 ▼障害の有無に関わらない問題である 4名 ▼障害の程度によって意見は異なる 3名 ▼周囲のサポートや理解があるならば賛成だし可能である 3名 ▼賛成は出来ないが、否定もしたくない 2名 ▼性についての知識と理解がある場合のみ賛成である 2名 ▼人生で大切な機会を奪うことは良くない 1名 ▼無理であっても気持ちは汲み取り本人にわかるよう説明すべき 1名

全体

▼環境が整えられない限りは難しい 5名 ▼環境が整っているならば賛成したい 3名 ▼結婚は難しいと思う 3名 ▼障害の程度によるが、自立や 知識があれば十分可能だと思う 3名 ▼賛成したい 1名 ▼自由に結婚もしてほしいが 現実的には不可能ではないかと思う 1名 ▼保護者の負担は大きくなると思う 1名 ▼たとえ結婚をしても苦しいことが多く 豊かな人生は送れないのではないか 1名

▼恋愛をすることは自由である 4名 ▼恋愛をすることは好ましいことである 2名 ▼恋愛は障害の有無に関係なく尊重されるべき 1名 ▼周囲もサポートしてあげるべき 1名 ▼正しい知識を指導しそれが理解でき、二人をサポート する体制を築くことができるのであれば可能 1名

▼周囲のサポートがしっかりしていなければできない 9名 ▼賛成したいが現実的には不可能で難しい 7名 ▼障害の程度や自立の程度による 3名 ▼子どもの命に責任が持てなければさせるべきではない 2名 ▼金銭的にも保証がなければ難しい 1名 ▼自分が養っていけなくても子どもを産んでも良いのか悩む 1名 ▼一歩間違えば虐待や育児放棄につながりかねない 1名 ▼障害が遺伝するのであれば悩んでしまう 1名 ▼たとえ子どもを産んでも苦しいことが多く豊かな人生は送れないのではないか 1名

子育て

恋愛

16

Page 17: 知的障害児における 性的な行動・マナーに関する …web2.nazca.co.jp/hashiseminar/2011(1).pdf児童に見られる性的な行動・マナー 割合 1 異性の前で下着姿になって着替えをする

「トイレに入る手前で既に衣服を脱ぎトイレに入る」行為について

記入学生は、上記の行為がみられる児童の担当者であり、活動前に

保護者からその行為に対しては「無理に止めたりしないでほしい。」と要望を受けた。

▼保護者の意見を尊重したいため 8人

▼普段と一貫した対応が望ましいと

考えるため 8人

▼保護者の意見に同意したため 1人

▼止めさせるスキルが 自分にはないように思うため 1人

▼保護者とのトラブルを防ぐため 1人

保護者の指示に

従って行動する

35%

自分の判断に基づ

いて行動する

35%

先輩・上司の判断

に基づいて行動す

14%

児童の年齢や性別

による

8%

子どもの様子によ

3%

自分の立場による

3%

混乱して何も

出来ない

2%

▼社会的マナーは守るべき 12人

▼周囲の目が気になるため 3人

▼定着の危険性・可能性があるため 2人

▼周囲の人の迷惑になるため 1人

▼小学校低学年までは

許容出来る 2人

▼小学校中学年までは

許容出来る 1人

▼男児は小学校中学年、

女児は小学生までは

許容出来る 1人

▼自分の考えだけでは判断出来ないため 2人

▼保護者と自分の意見とどちらを重視すべきか

判断しかねるため他者に判断を委ねたいから 1人

▼先輩の意見を尊重したい 1人

17

Page 18: 知的障害児における 性的な行動・マナーに関する …web2.nazca.co.jp/hashiseminar/2011(1).pdf児童に見られる性的な行動・マナー 割合 1 異性の前で下着姿になって着替えをする

「異性の顔に顔を近付ける」行為について

記入学生は、上記の行為がみられる児童の担当者であり、活動前に

保護者からその行為に対しては「無理に止めたりしないでほしい。」と要望を受けた。

▼保護者の意見に同意したため 5人

▼普段と一貫した対応が望ましいと

考えるため 4人

▼顔を近づける行為がその子の

コミュニケーションの1つだと

思うため、行為を尊重したい 3人

▼保護者の意見を尊重したい 2人

保護者の指示に

従って行動する

41%

自分の判断に基づ

いて行動する

23%

児童の年齢による

16%

行為の相手による

9%

先輩・上司の判断

に基づく

4%

自分の立場による

2%

わからない

5%

▼相手の気持ちを配慮したい 7人

▼社会的マナーは守るべき 5人

▼定着の危険性・可能性があるため 4人

▼本人が相手から嫌われてしまう 可能性が考えられるから 1人 ▼身体が大きくなればマナー違反で 訴えられてしまうこともあるから 1人 ▼保護者から「止めてはダメ」と 言われたわけではないため 1人

▼同団体内であれば

許容できるが、

他団体・他人であれば

無理にでも止める。

2人

▼小学生はスキンシップと捉え許容するが

中学生以上は止める 5人

▼小学校低学年までは仲良くしたい気持ちの

表れととれるが、その年代以上であれば

異性として意識しているように思う。 2人

18

Page 19: 知的障害児における 性的な行動・マナーに関する …web2.nazca.co.jp/hashiseminar/2011(1).pdf児童に見られる性的な行動・マナー 割合 1 異性の前で下着姿になって着替えをする

▼周りが所属団体のみであれば許容、

外部の人がいれば注意する。

2人

「人前で服の上から自分の性器を触る」行為について

記入学生は、上記の行為がみられる児童の担当者であり、活動前に

保護者からその行為に対しては「無理に止めたりしないでほしい。」と要望を受けた。

▼保護者の意見に同意したため 11人

▼保護者の意見を尊重したい 4人

▼自分の判断に自信がない 2人

▼普段と一貫した対応が望ましいと

考えるため 1人

▼自分の立場が指導員でないため 1人

▼社会的マナーは守るべき 5人

▼定着の危険性・可能性があるため 4人

▼周囲からの差別や偏見に つながると思うため 3人 ▼児童に「今はダメ」と 理解してほしいため 3人 ▼周囲の不快感を考慮して 2人

▼経験がないため意見を聞きたい 2人

▼どうしていいかわからない 1人

▼無理に止めて治まるものではないと

思うためどう対応すべきか聞きたい

1人

保護者の指示に

従って行動する

47% 自分の判断に基

づいて行動する

37%

先輩・上司の判

断に基づく

5%

場面による

3%

トイレに連れて

行く

2%

保護者と相

談する

2%

混乱して何も

出来ない

2%

行為の理

由による

2%

▼公共の場であれば止め、一対一の

個別場面であれば保護者の指示に従

う。

1人

▼自慰行為として行っている

ならば止めるが、感覚や癖と

して行っているならば止めな

い。

1人

19

Page 20: 知的障害児における 性的な行動・マナーに関する …web2.nazca.co.jp/hashiseminar/2011(1).pdf児童に見られる性的な行動・マナー 割合 1 異性の前で下着姿になって着替えをする

まとめ

●児童への指導・支援だけでなく、保護者がアクセスしやすい

性について指導・助言・支援を受けられる場を提供していく必要性

●相手への接触や性器露出など性トラブルにつながりかねない行為については、

大事に至る前に専門家や支援者が本人や保護者に指導・助言を行う必要性

●学生ボランティアと保護者の間に密な関係を築く必要性

性的な行動・マナーは善悪の判断の対象ではないため、

それぞれの立場や価値観によって考え方が異なりやすい。

しかし性犯罪や性トラブルを防ぐためにも、

専門家や指導者等の助言や指導を受けながら、

保護者や学生ボランティアが1つのチームとなり、

それぞれの考え方を摺合せて

本人を支えていく体制の必要性がある。

20