女性研究者支援モデル育成 後 評価 「パールの輝き …...1 Ⅰ.計画の概要...

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女性研究者支援モデル育成 事後評価 「パールの輝きで、理系女性が三重を元気に」 機関名:国立大学法人 三重大学 代表者名: 内田 淳正 実施期間:平成20年度~平成22年度

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Page 1: 女性研究者支援モデル育成 後 評価 「パールの輝き …...1 Ⅰ.計画の概要 プログラム: 女性研究者支援モデル育成(後 評価) 課題:

女性研究者支援モデル育成 事後評価

「パールの輝きで、理系女性が三重を元気に」

機関名:国立大学法人 三重大学

代表者名: 内田 淳正

実施期間:平成20年度~平成22年度

Page 2: 女性研究者支援モデル育成 後 評価 「パールの輝き …...1 Ⅰ.計画の概要 プログラム: 女性研究者支援モデル育成(後 評価) 課題:

目次

Ⅰ.計画の概要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・01

Ⅱ.所要経費 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・06

Ⅲ.総括 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・07

Ⅳ.成果

1.本課題に関係する、機関の概要および考慮すべき背景 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10

2.所期の計画(目標)に対する達成状況

(1)採択時コメント等に対する対応 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11

(2)計画(目標)達成状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11

(3)所期の計画どおりに進捗しなかった場合の対処と実績 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14

3.システム改革の成果 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15

4.取組の内容

(1)取組状況・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 16

(2) 取組の詳細・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21

5.実施体制

(1)構築した体制・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・36

(2)組織・機関の長のコミットメント、組織・機関としての支援・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・37

Ⅴ.実施期間終了後における取組の継続性・発展性

1. 平成23年度の継続策 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・38

(1)支援体制(支援室体制、人員等)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・38

(2)各取組の継続状況・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・40

2. 中長期 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・42

3. 「次世代育成支援対策推進法」に基づく一般事業主行動計画の周知と推進状況・・・・・・・・42

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Ⅰ.計画の概要

■プログラム名:女性研究者支援モデル育成(事後評価)

■課題名:パールの輝きで、理系女性が三重を元気に

■機関名:国立大学法人 三重大学

■代表者名(役職):内田 淳正(学長)

■実施期間:3年間

■科学技術振興調整費による実施経費(全期間分):102.2百万円(間接経費込み)

課題概要

機関の現状

【女性研究者の人数及び今後の見通し】

平成 19年 5月、全教員数 723名に占める女性教員数 95名の比率は 13%である。今回取り組む

理系 3 研究科における女性教員の数は 16 名で、比率は 4.3%である。平成 20 年 4 月工学研究科

に女性教員が誕生したことを受け、3年後における 3研究科の女性教員を倍増させ 9%をめざす。

【女性研究者支援に関する現在の取組状況】

男女共同参画推進ワーキング・グループを立ち上げ、シンポジウムや講演会、学内の意識調査を

行った。20 年 4 月から男女共同参画推進委員会を発足。大学病院職員の子供の受け皿として機能

してきた構内保育園を増築し、全学に開かれたものとして準備中。学内のムードル(学内教育用掲

示板)を活用することによって女性研究者のキャンパス拘束時間の軽減を図る方策を検討。

計画構想

【具体的な支援策】

女子高校生を理系進学に目覚めさせ、女子大学院生を多様なキャリアパスにチャレンジするよう

エンカレッジし、女性研究者のキャリア継続を保育園の整備やムードルによる在宅勤務によってサ

ポートしていく。地域連携で県下の女性研究者を元気づけ、地域が元気になる仕組みを作る。

【期待される効果】

上記の推進策の一部を三重県下の理系女子学生、理系研究者を擁する機関と共同して行うこと

によって、大きな枠組みの中で三重大学の理系の女子学生、女性研究者を増やしていくことを狙っ

ている。それは県下における女性研究者への理解を深めるとともに、三重県全体を活性化していく

ことに繋がるものである。

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~パールの輝きで、理系女性が三重を元気に~の実施体制

総務部(総務部長)

役員会

人事チーム

理事5名

三重大学学長

ポスドク

研究補助員4名2名

男女共同参画推進委員会

女性研究者支援室(新設)女性研究者支援室(新設)

男女共同参画推進WG

鳥羽商船高専

鈴鹿工業高専

男女共同参画センターフレンテみえ

三重労働局

四日市大学

鈴鹿医療科学大学

養殖研究所

野菜茶業研究所

三重県教育委員会

県下自治体・NPO

三重大学

達成目標(ミッションステートメント)

育児・介護について、真にその必要に直面し困難を抱える女性研究者に、短時間勤務制の導入

や、代替要員の確保を、学内理解を得つつ進め、3 年後には学内予算での萌芽的施行をめざす。

三重大学がリーダーシップを発揮して、女子中高生のさまざまなウェイクアップ・プログラムや大学

院生の多様なキャリアパス支援を、連携機関と継続、発展させていく。ある程度の女性研究者のプ

ールが形成されれば、機関主導型からネットワークによる人脈主導型へとウエイトを移行させるこ

とが期待できる。

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女子中高生の““ウェイクアップウェイクアップ””

女性研究者の““サポートサポート””

理系女子学生の““エンカレッジエンカレッジ””

進路選択支援進路選択支援女子院生・研究者による出前授業・入試広報高等学校理科研究部会への参画サイエンスキャンプで科学への動機付けウェイクアップ・サポーターからの助言

研究支援研究支援7教育研究機関の女性研究者との交流女子学生ネットコミュニティの形成キャリアパス支援講義・セミナー女子院生の研究テーマ拡大支援

在宅勤務支援在宅勤務支援学内保育園の制度改革と拡充休暇制度の利用促進学内啓発活動やヒアリング

地域連携による女性研究者支援地域連携による女性研究者支援ムードルNetworkによる情報交換キャリアパスに関するDBの共有「フレンテみえ」との共同フォーラム

地域の男女共同参画意識の高揚

チャレンジ支援チャレンジ支援女性研究者パネル展・講演会の開催ワーク&ライフバランス紹介冊子出版フィールド研究活動の環境改善

女性が理系で女性が理系で活躍するための活躍するための環境改善支援環境改善支援

女性医師による地域医療再生支援女性医師による地域医療再生支援女性医師の離職防止支援在宅女性医師のデータバンク作成

男性研究者との意見交換会

男女共同参画に関する勉強会

意識調査アンケートの実施

男性研究者の育児休暇利用促進

女性研究者増加のための啓発・広報

男性教員との懇談会

~パールの輝きで、理系女性が三重を元気に~の実施内容

ミッションステートメント

○提案課題名 「 パールの輝きで、理系女性が三重を元気に 」

○総括責任者名 「 豊田 長康 」

○提案機関名 「 三重大学 」

(1)計画構想の概要

学内環境を大変革することなく、女性研究者は誰も応募してこない時代であることを

認識し、団塊世代の退職の時期を逃すことなく学内改革を進める。

科学技術振興調整費によるプログラムの推進を通して、工学研究科の若手女性研

究者を 6名に増やす。

科学技術振興調整費によって、育児や介護の困難に直面している女性研究者に短

時間勤務制を試行的に導入し、研究支援要員の確保について検討する。

三重県全体で連携してプログラムを遂行し、連携機関間ではもちろんのこと、県や

市とも協力して女性研究者に理解ある環境づくりに努める。

連携機関内の女性研究者が交流することで、学生はより適切な進学のチャンスをつ

かみ、成長していくことができる。また女性研究者自身もキャリアアップを図ることが

可能になる。

個別女性研究者のみならず、連携する教育研究機関として、女性研究者支援に繋

がる講演会を開催できるよう講師の派遣を行い、県下全体での男女共同参画推進

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に寄与する。

(2)実施期間終了時における具体的な目標

三重大学理系 3 研究科における女性教員を倍増(16 名増)させ、比率 9%をめざす。

その際に、意思決定機関にかかわることのできる教授ポストを占める女性教員を 5

名にする。

3研究科の博士課程進学女子学生を毎年 20名は育成し、研究職へのアプローチを

行う。

振興調整費により確保した研究者を、十分能力を見定めた上で正規雇用にしてい

く。

産休・育休等の研究者の在宅勤務支援を、インターネットVPNの導入により可能と

する。

連携機関における女性研究者の研究環境を改善し、昇進等の公平な措置が図られ

るようにするとともに、各機関における女性研究者の増加も図る。

(3)実施期間終了後の取組

連携で行ってきた部分については、7機関の持ち寄りで経費節約を図る。

三重大学に専用サーバーを設置し、ムードルで学内・連携機関間のコミュニケーシ

ョンの継続。

女性研究者支援室の業務は、三重大学男女共同参画推進室に吸収して支援を継

続する。

県の男女共同参画センターとのイベント開催、女子中高生の啓発活動を継続してい

く。

本学附置施設を利用し女子中高生のサマーキャンプを、連携機関とともに継続す

る。

(4)期待される波及効果

全県的なレベルで、科学技術分野において活躍を望む女子学生を発掘し、同分野

の女性研究者の増加によって、地域の活性化が期待される。

三重大学が率先して、女性研究者に対するグッド・プラクティスを示すことは、県下

への波及効果を期待することができる。

連携する教育研究機関においても、女性研究者の研究環境改善に寄与することが

できる。

地域との連携を強く打ち出した女性研究者支援モデルは、他の地方大学に対する

先駆的モデルとして機能することが期待できる。

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採択時コメント

三重大学を中心に7機関が連携してプログラムを遂行していくことが高く評価された。

終了後には、本提案の成果をもとに大学を拠点とした地域における連携システムのモデル

を構築することができ、多大な波及効果が期待できる。また、ムードルネットワーク(学

習・会議支援ソフト)など、ITを積極的に活用した施策も評価された。自主取組みも明

確になっており、大学として前向きに取組む姿勢が感じられる。

なお、連携における各機関の具体的な役割分担について、早急に具体的内容、計画等を

策定したうえで推進していただきたい。さらに、雇用した博士研究員のプログラム終了後

のキャリアパスを明確にすること。

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Ⅱ.所要経費

(単位:百万円)

20年度 21年度 22年度 備考

1.人件費

(1)特任教授 0 3.5 8.8 業務担当

(0名) (1名) (1名) 21年 10月より

(2)特任講師 0 1.5 0 業務担当

(0名) (1名) (0名) 21年 4月~6月迄

(3)キャリア支援員 4.2 7.8 8.9

(3名) (4名) (3名)

(4)事務補佐員 3.3 6.0 3.3

(3名) (2名) (3名)

(5)パールリーダー 1.7 1.8 1.5

(26名) (21名) (20名)

(6)行事実施補助員 0 0.3 0.4

(0名) (30名) (33名)

2.業務実施費

(1)消耗品費 2.5 3.1 0.9

(2)国内旅費 0.6 0.9 0.6

(3)諸謝金 0.6 0.3 0.2

(4)雑役務費 2.1 2.5 2.2

(5)外国人等招聘旅費 1.7 0 0

(6)会議開催費 0.2 0.1 0.1

(7)通信運搬費 0.1 0.2 0.1

(8)印刷製本費 1.4 1.4 2.9

(9) 消費税相当額 0.5 0 0

3.設備備品費

Moodleシステム及び管

理用クライアント

0.3

0

0

4.間接経費 5.7 8.8 9.0

計 24.9 38.2 38.9 総計 102.2

自己資金

(1)人件費及び業務実施費 0 1.0 0.1

(2)保育園建設費 49.0 7.0

計 0 50.0 7.1 総計 57.1

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Ⅲ.総括

1.目標達成度

ミッションステートメントに掲げた「実施期間終了時の具体的な目標」については、目標数値が 23年度当

初にずれ込む部分もあったが、理系 3研究科の女性教員を倍増させて比率 9%をめざす、教授ポストに 5

名、博士課程進学女子学生 20名などの目標を基本的に達成できたと考えている。

またミッションステートメントに掲げた計画構想の概要についても、目標とするところは概ね達成できた。

学内環境の変革については、三重県の男女共同参画センター所長として長年にわたって県の男女共同

参画行政を牽引し、広い人材ネットワークを持つ、最強の人材を男女共同参画コーディネーターとして事

業年度2年目から迎えることができ、遅まきながら大幅に進捗を図ることが出来た。本学の進める事業が

県全体にわたって連携を組むものであることから、そうしたコーディネーターの協力は本事業にとって大き

な力となった。

また女性研究者の学内環境整備として育児休業制度と短時間勤務制度の創設を平成 21 年度から男

女共同参画推進専門委員会で検討し、22年度から施行することになった。

ゼロからスタートした工学部の女性研究者については、工学研究者は 2 名となり、女子学生・院生の身

近な存在となった。また女性研究者による講義をアピールするために、本事業連携機関の女性研究者に

非常勤講師として出講してもらい、受講生から高い評価を得ることができた。

本事業の個別連携機関の女性研究者の増加や環境改善等の全体的プログラム遂行については、ミッ

ションステートメントの目標としてはとくに上げていないが、「地域連携で目標達成へ!」を合言葉に 7 連

携機関の理系女性研究者を全体で 51名から 80名に増やし、当初予定にはなかった県の研究所の女性

研究者も巻き込んで連携の輪を広げ、また理系女性研究者たちをそれぞれの市町との連携へと発展さ

せることもできた。

2.システム改革の成果

20 年 7 月に「三重大学男女共同参画宣言」を発出し、本事業の拠点である女性研究者支援室の運営、

事業展開を行った。さらに、大学全体の男女共同参画を推進するため、男女共同参画担当学長補佐で

あった室長を、女性研究者支援担当の学長補佐として支援室業務に専念させ、全学的には男女共同参

画コーディネーターを起用することになった。これによって、担当理事の下、全学の男女共同参画推進専

門委員会(コーディネーター担当)と、理系分野の女性研究者の増加をポジティブ・アクション的に推進す

る女性研究者支援室(担当学長補佐)とが車の両輪となり、学内の改革を一体的に進めていく体制が整

った。

3.取組の妥当性・効率性

本学の事業は、一方で学内の女性研究者を増やすこと、そのための理解ある環境を整えることをめざ

し、もう一方で連携機関の女性研究者も増やすことをめざした。おおむね成果を上げることができたので、

妥当性と効率性については、実施の枠の中ではひとまず評価できるものであったと考える。

4.波及効果

地域の研究教育機関との連携を掲げて女性研究者の育成・支援をめざすということは、「支援モデル

育成事業」のなかでは珍しく、また県の男女共同参画センターとの連携も注目されるところとなった。地域

との連携にメリットが大きい主として地方大学から、訪問や問い合わせを受けた。

県の男女共同参画センターの情報宣伝力は本プログラムの周知に大きな役割を果たしてきており、県

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民の中に理系女性研究者という存在を認識してもらうことになった。それとともに支援室で作成した『ワー

ク・ライフ・バランス』冊子(理系女性の紹介冊子)は、身近な女性研究者のロールモデルを県内の中学、

高校、高専学生に知ってもらう情報源となった。

本プログラムの連携機関である鈴鹿工業高専と鈴鹿医療科学大学が、連携して平成 23 年度の「女子

中高生の理系進路選択支援事業」に採択されたのは、連携機関間の新たな連携の誕生であり、大きな波

及効果として挙げられる。また鈴鹿高専には、23年度 4月から「女性総合サポート室」が開設された。

連携機関全体の意識変化は、22年度 10月に開催した女性研究者支援事業連携機関連絡協議会シン

ポジウム「連携が開く女性研究者の未来」の開催以降にいっそう顕著になった。連携機関の長による共同

宣言の採択は、さらに目的意識を強めることになり、三重大学では 23 年 4 月あるいは 5 月採用の理系 3

研究科所属の研究者は 7 名を数える。養殖研究所はその名称を増養殖研究所と変更し、若干の組織替

えにより、女性の主幹研究員が 23 年度 4 月に増え、鳥羽商船高専は 22 年度の理系教員1名の採用に

続き、23年度4月から理系ではないが、やはり女性研究者がきわめて少ない経済学で女性の特任助教を

採用して、女性研究者の増加に意欲を燃やしている。鈴鹿高専も理系女性研究者 1 名を 4 月に採用し

た。

連絡協議会シンポジウム開催後の 2 つの大きなイベントはフレンテフォーラムでのワークショップ「女性

研究者のワーク・ライフ・バランス」と、三重大学主催の「大学改革シンポジウム」であったが、22 年度当初

から関係を築き上げてきた県の理工系研究所の女性研究者も巻き込む催しとなって、点から面への広が

りとなった。「理系女性が三重を元気に」ということから言えば、それぞれの機関が市町との連携を築いて

いくことも重要である。鈴鹿医療科学大学と鈴鹿高専はともに、鈴鹿市男女共同参画センター「ジェフリー

すずか」と連携を構築した。また南では増養殖研究所、三重県水産研究所、鳥羽商船高専の女性研究

者が一致して志摩市のプログラムに協力する持続的な体制が形成された。

5.実施体制の妥当性

女性研究者支援室と男女共同参画推進専門委員会が担当理事の下に置かれ、支援室室長は、学長を

委員長とする男女共同参画推進委員会の委員であり、理事を委員長とする同専門委員会の副委員長で

もあったので、学内での男女共同参画推進の状況を十分に把握し協力して事業推進に当ることが出来た。

とくに男女共同参画コーディネーターとは緊密に連絡を保ち、相乗的な効果を発揮することができた。連

携機関との体制については、連携機関連絡協議会のもとに置かれているが、その下の専門部会は機関

長の集まりとは別に、若い研究者が集いのびのびと活動ができ、実施体制としては妥当であったと考えて

いる。

6.実施期間終了後における取組の継続性・発展性

女性研究者支援室の事業の多くは、平成 23年度 4月に新たに設立される男女共同参画推進室によっ

て継承される。さらに生物資源学研究科と工学研究科では、全学の男女共同参画推進室とはべつに、研

究科長の下に男女共同参画推進委員会をおき、オープンキャンパスや附帯施設を使う事業、さらにそれ

ぞれの研究科内の女性研究者・女子学生へのきめ細かな配慮へと動き出している。

男女共同参画推進室では、女性研究者連携機関連絡協議会の共同宣言の内実を重要任務と考え、

連携の継続・発展を推進する。本モデル育成事業の当初からの連携機関ならびにその後に拡大を図っ

た県の理工系研究所の女性研究者の中からコアメンバーを決め、推進室との間で協議して、連携で行う

事業を進めていく。

工学研究科と生物資源学研究科では、全学の男女共同参画推進専門委員会とは別に、平成 23年度 4

月からそれぞれの研究科長直属の男女共同参画推進室が設立され、それぞれの部局の実情を考慮しな

がら、女子理系進学者と女性教員の増加および女子学生と院生ならびに女性教員の環境整備にも努め

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る。とくに生物資源学研究科は、連携機関の野菜茶業研究所と増養殖研究所との事業の継続、ならびに

生物資源学研究科の附置施設を使った女性高校生のためのフィールドサイエンスツアーなどの事業を継

続する。

県の男女共同参画センターとの連携事業については今後も継承されるし、連携機関との事業のうち、関

係する市町に引きうけてもらった事業もある。 したがって、実施期間終了後すべての事業を男女共同参

画推進室のみで継承するわけではないが、三重大学全体の事業推進について十分に把握し、統括して

いくことになる。

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Ⅳ.成果

1.本課題に関係する、機関の概要および考慮すべき背景

三重大学は昭和 24年 5月に新制大学として設置された。昭和 44年には工学部が新設され、昭和 47

年に三重県立大学から医学部・水産学部が移管され、平成 16年 4月には 5学部を擁する国立大学法人

三重大学となり、県内唯一の国立大学法人として三重県内の学術をあらゆる面からリードしていくことが期

待される大学である。

本学の男女共同参画への取り組みの拠って立つところは、本女性研究者支援モデル育成事業が

まさに採択され開始された平成 20 年 7 月 24 日に三重大学長によって発出された「三重大学男女

共同参画宣言」にある。本事業は、とくに男女共同参画が遅れた理系分野において女性研究者の

増加と支援を図り、また三重大学を中心とする地域連携で事業推進をしようとするものであった

が、学内全般の男女共同参画も始まったばかりで、本学においては個別理系分野の事業推進を起

爆剤として全学の男女共同参画の推進も図っていくという同時進行的スタイルになった。

本学の提案は、三重大学内における理系女性教員の増加や理系女子学生や大学院生の増加に留ま

ることではなく、県内に広く散在する理系女性研究者の増加と活性化をめざすものである。

県内で女性研究者が育っていくためには、三重県全体に根強く残る保守性を少しでも変えていく必要

があった。平成 12年に「男女共同参画基本計画」が閣議決定され、間もなく三重県男女共同参画推進条

例が制定された。これは全国でも 4番目の早さであったが、南北にきわめて長い地域的広がりは、性によ

る固定的な役割分担意識を根強く残存させることになった。たとえば平成 21年の調査による女性の職業

への関わり方に関する県民意識調査では、「中断なし就業の支持」が三重県は 19.6%で、全国平均

45.9%の半分にもならない低さである。こうした女性の就労に対する消極的な見方は、県内で女性研究

者がのびのびと活躍することを困難にしており、これを変えるには、地域ぐるみでなければ不可能である。

それでは県の中心に位置する三重大学は男女共同参画について、県の先進的な動きと連動していた

かといえば、そうではなく学内は外の社会とは別であった。「男女共同参画基本計画」の閣議決定をうけ

て名古屋大学では検討委員会が設置され、平成 15年には全国に先駆けて男女共同参画室が創設され

た。しかし本学は、平成 19年度にようやく広報担当を兼務する男女共同参画担当の学長補佐をたて、担

当理事のもと同年 9月にようやくワーキンググループが作られるという状況であった。こうなると学内だけで

の発展というより、先を行く県の状況をむしろ大学内へ引き込む必要があると思われ、とりわけこの時期か

ら三重県男女共同参画センターとの連携を模索し始めた。県内の大きな人材供給源である大学が変わっ

ていけば、県内にもたらされるメリットは絶大である。男女共同参画センターにとって、大学との新しいパ

ートナーシップというのは全国的にもまだ珍しく、意外にあたらしいチャレンジであった。

本学が連携を特色とする提案を考えたのは、三重大学の規模(平成 19年教員数 723名)とも関係して

いる。大学全体としては、教育学部や人文学部それに看護学科もあるので全体として女性教員は応募時

に 13%存在したものの、工学部は創立からすでに 40年ほど経過していたが、その間に女性教員は皆無

であった。したがって 3研究科の女性教員の比率は 4.3%に過ぎなかった。県内唯一の国立大学法人と

いっても、事業対象となるのは理系で医学系研究科、工学研究科、生物資源学研究科の3研究科だけな

ので(採択 2年目に地域イノベーション学研究科が設立された)、1大学に限定して事業を推進しても、県

内全体への波及効果を期待することはきわめて難しい。

理系女性研究者の増加と支援をめざすという先進的なプログラムに、男女共同参画推進室の設置もみ

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ぬまま応募することは、いささか無謀なチャレンジであった。しかし、キャンパスは 1つであり、附属病院の

全面的建て替えにともない保育園の増築の話も上がっていて、新しい事業に取り組む好機であると考え

られた。遅くとも事業終了時に、女性研究者支援室を包摂する形で三重大学男女共同参画室を設立す

ることができれば、学内改革を前進させることができるに違いないと考えられた。

さらに応募時点で鈴鹿工業高等専門学校は、19年度 4月に一挙に 4名の女性工学博士が着任すると

いう快挙を成し遂げていて、女子寮も有する高専における女性教員の存在意義を強く意識することにな

った。三重大学が「女性研究者支援モデル育成事業」に応募し、鈴鹿工業高専は「女子中高生理系進路

支援事業」に応募しともに採択されれば、県内での盛り上がりが期待できると考えた。そうした動きは県内

のもう一つの高専にも、2つの独立行政法人も、そして理系学部を擁する 2つの私立大学にも大きな影響

を与えることができると期待された。

2.所期の計画(目標)に対する達成状況

(1)採択時コメント等に対する対応

採択コメントで「連携における各機関の具体的な役割分担について、早急に具体的内容、計画等を策

定したうえで推進していただきたい。さらに雇用した博士研究員のプログラム終了後のキャリアパスを明確

にすること」が示された。これについては、二つの高等専門学校については、研究者をめざす女子高専

学生を増加させることをめざす。具体的には、三重大学で最先端の研究に触れて、研究の楽しさを経験

してもらう。二つの独立行政法人については、女性研究者を増やすことは人事案件にかかわることなので、

高専とは違う役割、すなわち三重大学の学生が国立の研究所における女性研究者の活躍について情報

を提供する。一般公開日を通して、広く女性研究者の存在を知ってもらう。二つの私立大学においては、

それぞれ女性研究者の採用に学長のイニシアティヴを発揮してもらう。「支援モデル育成事業」に関係す

る各種講演会やシンポジウムには積極的に参加してもらうよう要請した。

雇用した博士研究員の終了後のキャリアパスについては、本人の意向を踏まえて就職の機会がもてる

ようにサポートする。女性研究者支援室の事業として多彩な講師を招く機会があるので、人脈を広げるよ

う積極的に応援することとした。結果的に1名は連携機関に就職、1名は三重大学に就職した。他の1名

は出身国に帰国し、自己都合で雇用期間途中で1名、年度末に1名が退職した。

(2)計画(目標)達成状況

【ミッションステートメントに関する分】

①計画(目標):

平成 19年 5月現在の全教員数およびそれに占める女性教員数はそれぞれ 723名と 95名で、そ

の比率は 13%であった。このうち、医学系(看護学科を除く)、工学および生物資源学の理系 3

研究科の女性教員数は 16名で、比率は 4.3%であった。(a)平成 22年度末における 3研究科

の女性教員を倍増させて比率を 9%とし、(b)機関の意思決定に関わることのできる教授を 5

名とする。

①達成状況:

(a)事業最終年度の平成 23 年 1 月、3 研究科の女性研究者は 25 名の 6.9%になり、これに

生物資源学研究科教育担当特任講師 1 名を加えると 26 名(7.2%)である。以上の段階では目

標値を達成していないが、その後の 3研究科の懸命の努力により、平成 23年 4月 1日付で、医

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12

学系研究科で講師および助教をそでぞれ1名ずつ、生物資源学研究科で特任助教 2 名の計 4 名

を採用し、また 5 月 1 日付で、工学研究科で教育担当の特任助教 2 名と特任准教授 1 名を採用

した。これらを加算すると 33名の 8.9%となり、本目標は達成できたと判断している。

(b)事業開始前に女性教授は医学系と生物資源学の両研究科に各 1名の計 2名であったが、

終了時には医学系研究科 3名と生物資源学研究科 2名の女性教授となり計 5名で、目標を達成

した。さらに本学では、学長の強いリーダーシップによって平成 23年度から、女性理事が誕生

することになった。これは女性研究者支援事業連携機関連絡協議会シンポジウムにおいて、学

長が「女性の理系研究者は増えた。次はトップリーダーまで登っていくロールモデルを作れる

かである。・・・学長補佐には女性がいるので、副学長・理事にもなるべきと思っている。そう

でないと、女性研究者支援は長続きしない」との意思を表明し、実行したものである。また 23

年度から大学の経営評議会にも女性委員が誕生した。

②計画(目標):

応募時の理系 3 研究科女子学生の博士後期(博士)課程入学者は医学系 11 名、工学 1 名、

生物資源学 2 名の計 14 名であった。計画では、(a)入学者を毎年 20 名は育成し、(b)研究

職へのアプローチを行う。

②達成状況:

(a)事業開始の平成 20 年度の理系 3 研究科博士後期(博士)課程入学者数は医学系 10 名、

工学 3 名、生物資源学 6 名の計 19 名に増加し、事業 2 年目の 21 年度はそれぞれ 13 名、3 名、

4 名の計 20 名となり、目標を達成した。最終年度はそれぞれ 11 名、3 名、5 名の計 19 名とな

り、目標値に 1 名及ばなかった。しかし不況の中、目標に近い数値を維持できたことで、ほぼ

目標達成と評価できよう。とくに女性が少ない工学研究科において、ここ 2 年間に女子大学院

生の数に増加傾向が認められる。

(b)理系女子大学院生の研究職へのアプローチに関しては、エンカレッジ(女子大学院生キ

ャリア形成)プログラムとして、学会参加支援と学術論文投稿支援を行うとともに、パールリ

ーダー制による女子大学院生約 20名を非常勤職員として毎年雇用し、彼女たちが企画するエン

カレッジセミナーやウェイクアップ(次世代女性研究者育成)プログラムの活動等を通して自

己啓発していく機会を提供するなど、多種多様な支援を行ってきた。生物資源学研究科が平成

23 年 4 月 1 日付けで採用した女性教員 2 名のうちの 1 名は、平成 21 年度採用のパールリーダ

ーで、同年度に本事業の国際学会参加の支援も受け、博士の学位を取得している。他の 1 名は

本支援室のキャリア支援員である。

③計画(目標):

女性研究者の出産・育児・介護と研究の両立を促進する研究支援の一つとして、本女性研究者

支援室が理系博士研究員(ポスドク)2~3名をキャリア支援員として雇用し、(a)支援を必要

とする女性研究者に派遣する制度を設けることと、(b)キャリア支援員については、十分能力

を見定めた上で正規雇用していく。

③達成状況:

(a)支援員の派遣制度については、平成 21 年 7 月に「出産・育児・介護と研究の両立を促

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進するための研究支援制度」を定め、それを実施した。

(b)平成 20年度から 22年度までの 3年間に支援室で雇用した博士研究員は延べ 5名で、こ

れまでに 3 名が中途退職し、事業終了時には 2 名が在籍した。退職者のうちの 2 名は自己都合

によるものであったが、他の 1 名は平成 21 年 11 月 1 日付けで連携機関の鈴鹿医療科学大学の

正規教員(助手)として就職した。連携機関への就職は、本学がモデルとしてめざしている機

関連携による情報交換や研究環境改善の成果である。在籍者のうちの 1 名は、本事業終了直後

の平成 23年 4月 1日付で、本学生物資源学部の特任教員(助教)として正規雇用された。また

非常勤講師として鈴鹿高専に出講することにもなった。したがって、これら 2 名については、

本事業におけるキャリアパス効果があった。もう 1 名の在籍者は外国人(中国)で、事業終了

後に本国へ帰国した。

④計画(目標):

女性研究者の出産・育児・介護と研究の両立を促進するもう一つの支援策として、(a)研究者

の在宅研究の支援を、インターネットVPNの導入により可能にするとともに、(b)大学病院

職員の子供の受け皿として機能してきた構内保育園を増築し、全学に開かれたものとするため

の準備を進めることを目標とした。

④達成状況:

(a)在宅研究支援のVPNは、平成 21年 4月から、本学の全教職員が利用可能となっている。

また平成 21年度から男女共同参画推進専門委員会の制度整備ワーキンググループが中心となっ

て育児短時間勤務を検討し、その対象者を小学校 3 年生までの児童を持つ教職員にまで拡大す

るとともに、多様な勤務状態がとれる個別対応型の制度も平成 22年度から導入し、この面から

の支援体制を整えた。

(b)応募時には保育園増築の話しであったが、新しい敷地に 2 階建の新保育園を建設した。

それによって、収容定員を 40名から 65名へ増大し、平成 21年 7月 1日から、園児 5名分を全

学に開かれたものとして広く学内から公募して支援体制を整えた。

⑤計画(目標):

連携機関における女性研究者の研究環境を改善し、(a)昇進等の公平な措置が図られるように

するとともに、(b)各機関における女性研究者の増加も図ることを目標とした。

⑤達成状況:

(a)鈴鹿工業高等専門学校は本事業開始と同時に、そしてその翌年も文部科学省の「女子中

高生の理系進路選択支援事業」に採択され外に向けて熱心であると共に、女子学生・女性教員

のサポートについては、女性総合サポート室を 23年度 4月に開設し学内教育研究環境の改善に

も積極的である。野菜茶業研究所も、平成 21年度に上部組織の独立行政法人農業・食品産業技

術研究機構がこのモデル育成事業に採択されたため、機構全体で女性研究者の環境改善に取り

組んでいる。これらの機関長が一堂に会して平成 22 年 10 月に女性研究者支援事業連携機関連

絡協議会シンポジウムを行ったことは、全機関に好影響をもたらし、パネルディスカッション

で示された各機関の長の考え方とその集約としての「理系女性が三重を元気に」の共同宣言文

からも明らかなように、各連携機関は女性研究者の増加と支援に意欲的である。なお、「昇進等

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の公平な措置・・」については、シンポジウムにおける各機関長の発言にもあるように、連携

機関の基本は「女性の採用に努力する」ことはもちろん、「若手女性研究者を育成」し、「女性

研究者が意思決定の場にも入るべき」と、女性研究者支援を積極的に進める姿勢を明確にして

おり、今後の昇進等女性研究者の環境改善に向けた大きな前進といえる。

(b)各機関における女性研究者は、7 機関全体で応募時に 51 名であったのが 22 年度末には

80名へと増加したのは、各機関長の積極的姿勢の反映であり、目標を達成していると判断した。

【提案書に関する分】(ミッションステートメント達成へのプロセスで同時に達成されたものは除く)

⑥計画(目標):

女性研究者の在宅勤務支援としてムードル上のコミュニティの構築と IT環境サポートを行う。

⑥達成状況:

ムードル上に「コフレ」という会員制のサイトを構築し、女性研究者は ID とパスワードを設定して自由に

参加できるようにした。このコフレ上には、女性研究者支援室で開催した講演会やシンポジウムの映像

もアップしてあり、講演者のパワーポイントスライドを見ながら講演を視聴できる。ムードルの活用を促す

ように、連携機関連絡協議会専門部会でも実際の講習会を実施したり、ムードルのチャットだけでは少

し物足りなくて、スカイプを併用して会議に加わってもらったりして、少しずつ広まっている。現在のとこ

ろ登録者数は 80名を超えており、目標はまずまず達成できた。「コフレ」の活用はイベントの直後を除

いて今一つであるが、その理由として考えられるのは、ムードル上の関係を構築するには、まず実際に

会って交流することが前提としてあり、面識なくいきなりムードル上の関係構築は難しいということである。

それと、「コフレ」のサポートに専念できる人材がないと活発な運営はむずかしい。学内の IT環境サポ

ートについては、応募時点に比べると格段の進歩があり、現在は希望者すればインターネットVPNによ

るアクセスが可能である。

⑦計画(目標):

女性医師による地域医療再生支援の一環として、女子医学生のエンカレッジと女性医師の離職防止を

行う。

⑦達成状況:

本事業と直結するテーマではないが、本学医学系研究科地域医療学の教員のもと、問題の重要性に

鑑みてぜひとも推進すべきと考えていたが、当該教員の退職によって影響を受けることになった。しか

し NPO法人 MMC卒後臨床研修センターや三重県医師会の「女子医学生、研修医等をサポートする

ための会」と協力することによって、一定程度の効果を上げることができた。

(3)所期の計画どおりに進捗しなかった場合の対処と実績

ミッションステートメントの「実施期間終了時における具体的な目標」とはしていないが、目標達成のための

プロセスとして工学部の女性助教を5%程度(6名程度)にすることを構想していた。しかし、期間中に採用

できた工学系助教は2名であった。その対処として、①工学研究科において外国語教育ならびに企業と

のコーディネートなどを行う教育担当の女性教員3名(特任准教授1名と特任助教2名)を雇用した。②連

携機関から理系女性研究者に非常勤講師として工学部で講義をしてもらうシステムを作った。③全学の

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男女共同参画推進専門委員会とは別に、工学研究科長直属の男女共同参画推進委員会を設置して、6

専攻科から委員を出して、女子学生・女性研究者の増加に努めることを明確な目標とした。

3.システム改革の成果

組織改革

本プログラム開始と共に女性研究者支援室を創設し、プログラムの推進に当たるとともに、連携で事業

推進を行う本プログラムの特色から、女性研究者支援事業連携機関連絡協議会とその専門部会を設置

した。その一方で、本学では学長と役員等で構成される男女共同参画推進委員会とその下部組織として

学部等からの教員によって構成される専門委員会は存在していたが、実務を担う男女共同参画室は設

置されないままに経過してきた。

事業開始 2年目に三重大学男女共同参画コーディネーターを起用し、専門委員会のなかに①コア人

材育成WG、②制度整備WG、③環境整備WGを立てて教員が実働部隊の役割をある程度負担しながら、

学内の男女共同参画を推進し、ひいては女性研究者の増加も後押しする形になった。女性研究者支援

モデル育成事業終了にあたって、その業務を引き継ぎ三重大学における一層の男女共同参画推進のた

めには、委員会に留まることなく推進室の設置は必須要件であった。

こうした状況に鑑みて、学長の強力なイニシアティヴのもと平成 23年 4月 1日より、男女共同参画推進

室が設置されることになり、担当理事の下で活動を開始し始めることになった。3年間のプログラム推進の

成果として、理系女性研究者に特化した女性研究者支援室から、全学的な男女共同参画室が設置され

ることになったのは、大学としてもっとも大きな組織改革である。

意識改革

1)本学では応募の時点で本プログラムの存在、およびその意義はほとんど知られておらず、初年度は半

年間に 3回もの講演会を開催して、学内外の意識改革を促そうとした。1回目は女性研究者自身による

もの、2回目は科学技術政策担当者によるもの、そして最後に男女共同参画の県のトップによる

講演会を行い本プログラムの周知に努めた。21年度、22年度にも 1回ずつ啓発講演会を開催した。

2)平成 21年度からは男女共同参画推進専門委員会が担当理事によって活発に機能しはじめ、あらたに

着任した男女共同参画コーディネーターによって、アンケート調査や部局ごとの説明会が行われ、とくに

理系分野では本プログラムの意義がより具体性をもって浸透していくことになった。

3)本学においては、JSTのプログラムオフィサーの訪問が理系3研究科の意識改革を促したとも考えてい

る。初年度は女性研究者支援室関係者のみで訪問調査を受けたが、2年目からは理系 3研究科の副研

究科長も陪席し、さらに最終年度 6月にはプログラムオフィサーが、形は表敬訪問であったが 3研究科長

から直接に事情を聴取され、意識改革にプラス効果があった。

4)県内の連携機関とプログラムを進める上で、学内だけの意識改革ではなく県内に広く本プログラムの

意義を周知していくために、県の男女共同参画センターの協力も得られた。また1)で記した初年度 3回

の講演会の内 2回は学外で行い、学内学外との連携強化、意識改革の推進を図った。連携プログラムと

して、連携機関全体におよぶ意識改革のハイライトは、最終年度 10月に行った女性研究者支援事業連

携機関連絡協議会シンポジウムであった。連携機関の長からは、本プログラムを通して明らかに意識が変

わったことが表明された。女性研究者支援事業連携機関による共同宣言を採択したあと、さらに半年間を

プログラムの充実と継続の期間とすることができた。

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勤務制度改革

本学の実情に見合うような「育児短時間勤務制度」を平成 22年度 4月から導入した。資格は小学 3年

生終了時までの子を養育する教職員とし、資格の取得回数に制限を設けていない。また 1日の勤務時間、

1週間の勤務時間、4週間ごとの勤務時間を条件的に満たせば個別に働き方を設定できる。これは曜日

によって個別の事情に対処することを可能にした個別対応型といえる。

育児・介護休業法の変更を踏まえ出産・育児の支援制度の利用を促すリーフレット『ワーク・ライフ・バラ

ンスのすすめ』を作成して、育児短時間勤務制度の利用を分かりやすく解説し、それに関連して取得でき

る休暇について周知した。

支援システム構築

出産・育児・介護により研究時間の確保が困難となっている女性研究者に、プログラム期間中は女性研

究者支援室から研究支援員を派遣してサポートを行った。学会参加支援、学術論文投稿支援も行った。

優秀なポスドクによる支援は大いなる援助となるが、支援を受ける側としては雑用を頼みにくいという面も

あり、最終年度後半はアルバイト学生の雇用として、費用を支援室で負担した。これは事業継続の点から

も可能性を広げるもので、事業終了後は部局でTA、RAを優先的に付けることで合意が得られている。

女性研究者採用増加策

本学は平成 19年 2月にホームページ上に「女性教員雇用率の向上をめざして」と題して以下の内容を

アップした。「三重大学では、採用に際して従来より男女共同参画基本法に則って、能力や業績(研究、

教育、社会的貢献等)に基づいて公平に審査を行ってきましたが、さらに女性研究者の積極的な応募を

望んでいます(平成 19年 2月 21日 教育研究評議会決定)。」

工学部の過去の採用人事を調べると、たしかに女性の応募がそもそもないという場合もきわめて多いの

であるが、時代はもはや応募を待っている時代ではないことを認識してもらい、採用人事に際し、積極的

な人材探しを促しプログラム最終年度にはかなりの女性研究者の採用に至った。

4.取組の内容

(1)取組状況

実施状況

実施日 取組内容

実施期間以前の主な取組

平成 19年 9月 27日

平成 19年 9月 28日

平成 19年 12月 5日

理事(企画・評価担当)のもとに三重大学男女共同参画ワーキンググ

ループを設置、9 月 27 日に第1回の会議を開催

タイのタマサート大学東アジア研究所カトレア・ペッシン副所長を招

き「男女共同参画ミニ・シンポジウム」を開催

男女共同参画に関するアンケートをムードル上で実施し、平成 20 年

2 月 8 日に結果の公表

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平成 19年 12月 10日

平成 20年 2月 17日

平成 20年 4月 1日

塩満典子(お茶の水女子大学学長特別補佐)講演会開催

三重県内の理系女性研究者の集い開催(三重県男女共同参画センター

にて)

三重大学男女共同参画推進委員会、男女共同参画推進専門委員会発足

「理系女子学生キャリア支援科目・未来予想図」開設

実施期間の主な取組

平成 20 年 7 月 1 日 「パールの輝きで、理系女性が三重を元気に」事業開始

平成 20 年 7 月 24 日 三重大学長「三重大学男女共同参画宣言」

平成 20 年 7 月 24 日 女性研究者支援室の設置

平成 20 年 7 月 25 日 女性研究者支援室会議

平成 20 年 8 月 2 日 キックオフ・シンポジウム(記念講演・連携機関現状報告)の開催

平成 20 年 8 月 18 日 第 1 回 PL 会議

平成 20 年 8 月 23 日 養殖研究所の一般公開事業への参加

平成 20 年 8 月 29 日 女性研究者支援事業関係者会議

平成 20 年 8 月 29 日 鈴鹿高専「女子中高生の理系進路選択支援事業」イベント協力

平成 20 年 9 月 29 日 第 1 回 女性研究者支援室・室員会議

平成 20 年 10 月 4 日 啓発講演会 有本建男「男女共同参画とイノベーション」及び連携機

関パネル展の開催、講演会終了後に連携機関女性研究者懇談会

平成 20 年 10 月 6 日 第 2 回 女性研究者支援室・室員会議

平成 20 年 10 月 20 日 第 3 回 女性研究者支援室・室員会議

平成 20 年 10 月 29 日 第 7 回 PL 会議

平成 20 年 11 月 1 日 野菜茶業研究所の一般公開事業参加・支援事業紹介・研究紹介

平成 20 年 11 月 1 日 ミニオープンキャンパスで理系女子高校生の進学相談会の開催

平成 20 年 11 月 7 日 日本まんなか 4 県(福井・岐阜・滋賀・三重)女性研究者情報交換会

平成 20 年 11 月 8 日 日本まんなか共和国:男女共同参画フォーラムに参加(室長講演)

平成 20 年 11 月 10 日 第 4 回 女性研究者支援室・室員会議

平成 20 年 11 月 25 日 第 5 回 女性研究者支援室・室員会議

平成 20 年 12 月 8 日 第 6 回 女性研究者支援室・室員会議

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平成 20 年 12 月 20 日 国際シンポジウム ①科学技術分野における女性研究者のためのア

ジア・コラボ・フォーラム開催; ②ポスター・セッションの開催

平成 20 年 12 月 24 日 第 7 回 女性研究者支援室・室員会議

平成 21 年 1 月 13 日 第 8 回 女性研究者支援室・室員会議

平成 21 年 1 月 20 日 啓発講演会(鈴山雅子)「理系分野における男女共同参画」

平成 21 年 1 月 27 日 PL エンカレッジ 第 1 回パソコン技術講習会

平成 21 年 2 月 9 日 第 9 回 女性研究者支援室・室員会議

平成 21 年 2 月 10 日 PL エンカレッジ 第 2 回パソコン技術講習会

平成 21 年 2 月 24 日 PL 出前実験補助

平成 21 年 2 月 25 日 PL エンカレッジ 第 3 回パソコン技術講習会

平成 21 年 3 月 10 日 鈴鹿工業高専・鳥羽商船高専と三重大学との交流プログラム

平成 21 年 3 月 13 日 PL エンカレッジ 第 4 回パソコン技術講習会

平成 21 年 3 月 16 日 第 10 回 女性研究者支援室・室員会議

平成 21 年 3 月 24 日 鈴鹿工業高専と鳥羽商船高専のジョイントプログラム

平成 21 年 4 月 3 日 PL エンカレッジ 第 5 回パソコン技術講習会

平成 21 年 4 月 21 日 第 11 回 女性研究者支援室・室員会議

平成 21 年 4 月 22 日 第 1 回 女性研究者支援事業連携機関連絡協議会開催

平成 21年 4月 27日 PLエンカレッジ 第 6回パソコン技術講習会

平成 21年 5月 12日 PLエンカレッジ 第 7回パソコン技術講習会

平成 21年 5月 19日 第 12回 女性研究者支援室・室員会議

平成 21年 5月 20日 PLエンカレッジ 第 8回パソコン技術講習会

平成 21年 6月 12日 PLエンカレッジ 第 9回パソコン技術講習会

平成 21年 6月 22日 第 13回 女性研究者支援室・室員会議

平成 21年 6月 26日 PLエンカレッジ 第 10回パソコン技術講習会

平成 21年 7月 9日 PL出前実験 フリースクール三重シューレ(津)

平成 21年 7月 17日 第 1回 女性研究者支援事業連携機関連絡協議会専門部会開催

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平成 21年 7月 21日 第 14回 女性研究者支援室・室員会議

平成 21年 7月 27日 フィールドサイエンス 演習林ツアー

平成 21年 7月 28日 フィールドサイエンス 練習船「勢水丸」ツアー

平成 21年 7月 29日 PLエンカレッジ 第 11回パソコン技術講習会

平成 21年 8月 26日 PL企画エンカレッジセミナー懇談(鈴山雅子・本学コーディネーター)

平成 21年 8月 29日 フィールドサイエンス 農場ツアー

平成 21年 8月 29日 養殖研究所 一般公開事業への参加

平成 21年 9月 6日 第 15回 女性研究者支援室・室員会議

平成 21年 9月 14日 支援室企画エンカレッジセミナー講演会(林弥生・金城学院大学教授)

平成 21年 10月 6日 啓発講演会 第 1 部 有賀早苗「活かし育てよう、女性研究者」

第 2部 学長と女性研究者の本音トーク

平成 21年 10月 6日 PL企画エンカレッジセミナー懇談(武田裕子・本学医学系研究科教授)

平成 21年 10月 13日 第 16回 女性研究者支援室・室員会議

平成 21年 11月 4日 第 17回 女性研究者支援室・室員会議

平成 21年 11月 7日 工学部・生物資源学部・女性研究者支援室 ミニオープンキャンパス

平成 21年 11月 7日 野菜茶業研究所 一般公開事業への参加

平成 21年 11月 14日 三重県男女共同参画フォーラム・ワークショップ講演会(連携機関合同)

平成 21年 11月 28・29日 PL出前実験 青少年のための科学の祭典(三重大学)

平成 21年 12月 9日 第 2 回 女性研究者支援事業連携機関連絡協議会開催

平成 21年 12月 21日 第 18回 女性研究者支援室・室員会議

平成 22年 1月 25日 PL 企画エンカレッジセミナー講演会(小川亜希子・鈴鹿高専&鈴山雅子

本学コーディネーター);支援室企画エンカレッジセミナー講演会(三浦有

紀子・東京大学先端科学技術研究センター産学連携コーディネーター)

平成 22年 1月 26日 支援室企画エンカレッジセミナー個別相談会(メンター 三浦有紀子)

平成 22年 2月 13日 津市男女共同参画フォーラム「わあむ津」パネル展

平成 22年 2月 18日 第 19回 女性研究者支援室・室員会議

平成 22年 3月 8日 支援室企画エンカレッジセミナー講演会(平井朝子・在ドイツ研究員)

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平成 22年 3月 9日 鈴鹿工業高専・鳥羽商船高専と三重大学との交流プログラム

平成 22年 3月 18日 第 20回 女性研究者支援室・室員会議

平成 22年 4月 22日 第 21回 女性研究者支援室・室員会議

平成 22年 5月 25日 第 1回 女性研究者支援事業連携機関連絡協議会専門部会開催

平成 22年 6月 4・5日 三重県男女共同参画センター・フレンテまつり 県民向けパネル展

平成 22年 6月 12日 PL 出前授業補助(高大連携東紀州講座 三重県立木本高校)

平成 22年 6月 14日 キャリアカフェ「出前リアルコフレ」(三重県保健環境研究所との交流)

平成 22年 6月 18日 キャリアカフェ「出前リアルコフレ」(三重県水産研究所との交流)

平成 22年 6月 28日 連携機関女性教員による工学部特別講義(白木原香織・鈴鹿高専)

平成 22年 7月 9日 連携機関女性教員による工学研究科特別講義(白木原香織・鈴鹿高専)

平成 22年 7月 16日 第 22回 女性研究者支援室・室員会議

平成 22年 7月 22日 農研機構との共催エンカレッジセミナー講演会

平成 22年 7月 27日 フィールドサイエンス 演習林ツアー

平成 22年 7月 30日 PL企画エンカレッジセミナー講演会(先輩 PLによる)

平成 22年 8月 3日 工学部オープンキャンパス 女子高校生の理系進路相談

平成 22年 8月 9-10日 フィールドサイエンス 水産実験所キャンプ

平成 22年 8月 10日 生物資源学部オープンキャンパス 理系進路相談&連携機関研究紹介

平成 22年 8月 19-20日 フィールドサイエンス 農場・野菜茶業研究所キャンプ

平成 22年 8月 28日 養殖研究所 一般公開事業への参加

平成 22年 9月 9日 キャリアカフェ「出前リアルコフレ」(三重県農業研究所との交流)

平成 22年 9月 13日 キャリアカフェ「出前リアルコフレ」(三重県工業研究所との交流)

平成 22年 9月 28日 日本熱測定学会との共催講演会

平成 22年 9月 29日 第 23回 女性研究者支援室・室員会議

平成 22年 10月 8日 志摩市男女共同参画研修会への講演者派遣(養殖研と水産研究所)

平成 22年 10月 19日 PL企画エンカレッジセミナー講演会: 就職活動対策ワークショップ

平成 22年 10月 21日 女性研究者支援事業連携機関連絡協議会シンポジウム: 記念講演(朴

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木佳緒留神戸大学教授)/連携機関長によるパネルディスカッション

平成 22年 10月 21日 PL 出前授業補助(愛知県立津島高校)

平成 22年 10月 22日 キャリアカフェ「出前リアルコフレ」(鈴鹿医療科学大学)

平成 22年 10月 23日 三重短期大学地域連携「高山講座」 本学支援事業紹介パネル展

平成 22年 11月 4日 第 24回 女性研究者支援室・室員会議

平成 22年 11月 6日 野菜茶業研究所 一般公開事業への参加

平成 22年 11月 13日 三重県男女共同参画フォーラム・ワークショップと「出前リアルコフレ」ラン

チョンミーティング(7連携機関、三重県理工系 4研究所、三重大学)

平成 22年 11月 27-28日 PL出前実験 青少年のための科学の祭典(三重大学)

平成 22年 12月 1日 第 25回 女性研究者支援室・室員会議

平成 22年 12月 11日 三重大学主催「大学改革シンポジウム 地域の活性化と男女共同参画の

推進」 事業紹介パネル展とリアルコフレ ランチョン交流会

平成 23年 1月 18日 連携機関女性教員による工学部特別講義(粟屋かよ子・四日市大学)

平成 23年 1月 19日 連携機関女性教員による工学部特別講義(北岡ひとみ・鈴鹿医療科学)

平成 23年 1月 22日 鈴鹿工業高専・鳥羽商船高専と三重大学との交流プログラム

平成 23年 1月 29日 第 26回 女性研究者支援室・室員会議

平成 23年 2月 9日 第 2回 女性研究者支援事業連携機関連絡協議会専門部会拡大委員会

開催(7連携機関、三重県理工系 4研究所、三重大学)

平成 23年 3月 14日 パールの輝きをもつ理系女性研究者の表彰

平成 23年 3月 15日 三重大学男女共同参画推進専門委員会主催「報告会&講演会」

平成 23年 3月 23日 第 55回 PL会議

平成 23年 3月 30日 第 27回 女性研究者支援室・室員会議

PL会議はほぼ月に2回のペースでプログラム期間中行われ55回に達した。表には初回と最終回のみ記

載した。また若手女性研究者の交流の機会として22年度から学内で開催するリアルコフレと学外に出か

けて開催する出前リアルコフレは合計19回(詳細は22年度報告書に記載)に達した。

(2)取組の詳細

(a) 女性研究者キャリアアッププログラム

①ニーズの概要

提案書では、女性研究者支援室で雇用したキャリア支援員が、学内の女性研究者が出産・育児・介護等

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の理由で研究継続が困難である場合に支援に行くことを想定していた。しかし、そもそも女性研究者の数

が少なければ対象となる被支援者は存在しない。本学では常勤の若い女性教員の多くは独身あるいは

結婚していても子供がいなくて、対象となる女性研究者はほとんどいない状況であった。そのため、支援

対象を本学に勤務する理系3研究科と地域イノベーション学研究科(平成21年度新設の学部を持たない

独立の研究科)に所属する女性研究者で、常勤・非常勤を問わないこととした。

②取組(施策)の内容

プログラムは平成21年度7月に両立促進のための支援制度を設け、支援期間を平成21年9月1日から平

成22年3月31日とし、支援時間を月~金曜日の9:00~17:00 の間とし週10時間以内とした。公募の結果

医学系研究科学術振興会特別研究員と生物資源学研究科産学連携研究員の各1名の支援を決定して

キャリア支援員を派遣した。両名とも育児が理由である。平成22年度もほぼ同様な体制で公募を行い、医

学研究科学術振興会特別研究員と同研究科教務職員の支援を行った。前者は6歳の子育て中であり、

後者は同居の義父が要介護状態であった。

③取組(施策)の成果

21年度の両立促進支援では、2名の研究者にそれぞれ60時間と59時間の支援を提供した。支援に出向

いたポスドクの能力は高く、RT-PCR解析が未経験という被支援者は経験豊富な支援員から多大な恩恵

を受けたことを、感謝をもって報告した。他方、大量データ解析の支援を受けた被支援者からは「完璧な

仕事をしていただき感謝している」と評価されている。22年度も前者は継続して支援を受け、117.5時間の

支援を受けた。このうち前半31.5時間はキャリア支援員が、後半86時間は当該研究室の女子大学院生が

支援を行い、院生の支援アルバイト費用を支援室で負担した。22年度のもう1名の被支援員は61時間の

支援を受け、初期の目的を達した。

④取組(施策)の評価・検証

21年度、22年度続けて支援を受け、その効果がもっとも顕著であった学術振興会特別研究員の女性研

究者は、研究支援でデータ処理や実験の補助を受けて研究が進み予想通りの研究成果が得られ、その

成果が認められて23年度4月から本学の地域イノベーション学研究科の特任助教に採用された。現在、さ

らなる研究の発展に向け、科学研究費補助金「研究活動スタート支援」の獲得を目指している(8月に採

用が決定された)。

表 1 女性研究者に対するキャリア支援の所要額

直接経費 間接経費

21年度 119時間×1900円=226,100 円

22年度 (31.5時間+61時間)×1900円=175,750 円 86時間×900=77,400 円

直接経費については、合計4名のキャリア支援員の時間給の目安で計算した。

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(b) 女性研究者・女子大学院生学会参加支援・論文投稿支援

①ニーズの概要

学会参加支援や論文投稿支援については、当初の計画にはなかったものである。本事業初年度12月20

日に開催された「科学技術分野における女性研究者のためのアジア・コラボフォーラム」は、本学の交流

協定締結5大学から女性研究者を招き、参加者100名余を得てシンポジウムを行い、理系3研究科に所属

する大学院生43名による研究成果の英文ポスター発表会も開催した。さらに翌日は招聘5大学女性研究

者と女子院生とでスタディ・ツアーを行った。これは成果の発信に関して本学理系女子院生にきわめて大

きな刺激をもたらし、本企画を全面的に遂行支援したキャリア支援員からの積極的な提案とも相まって、

21年度から急遽予算を計上して取り組んだものである。言うまでもなく、これはミッションステートメントに盛

り込んだ「女子大学院生を研究職へとアプローチすること」に大きな意味を持たせることでもある。

②取組(施策)の内容

募集要項の作成や応募者の審査・選定方法などをめぐって協議を必要とし、21年度の募集開始は7月に

行い実施は9月からとなった。半期であったが学会参加について女性研究者から3名の応募、女子大学

院生からは20名の応募があった。女性研究者の採択は、女子大学院生と分けないで審査し学会発表未

経験者を優先したために、21年度の採択がゼロになってしまい、論文投稿支援の方法も含め、22年度に

全体を見直すことになった。論文投稿支援の応募は女性研究者からゼロ、大学院生から4名の応募があ

った。

21年度は学会参加費用の全額を支援したが、22年度は国際学会20万円、国内学会3万円と限度額を決

め、女性研究者と女子大学院生を別々に審査した。論文投稿についても22年度は全面支援を改め、論

文の外国語校閲費用のみの支援にとどめ、投稿から査読をへて要する長期間の対応を回避することにし

た。それによって、より多くの応募者のニーズに応えられるようになった。

③取組(施策)の成果

21年度、22年度の支援の採択結果は表に示した通りである。支援を受けた大学院生からは「経済的な問

題で進学や学会参加を躊躇している学生が多いことは事実であり、制度を継続によって積極的に研究者

への道に進もうとする人材が増えるだろう」「参加費用が高額で参加をためらったが、支援を受けられて今

後の人生の励みとなるような経験ができ感謝している」といった報告が多数寄せられた。

また論文投稿についても「博士の学位取得にかかわる論文であったので、支援が受けられて非常に助か

った」「投稿支援が得られ、光栄に思うとともに研究のモチベーションもあがった」など、成果発信が次への

意欲に繋がっていった。

表 2 学会参加支援および論文投稿支援の対象者数

年度 対象者 研究支援 学会参加支援 論文投稿支援

21年度 女性研究者 2名 ― ―

女子大学院生 ― 国内 7名 海外 1名 3名

22年度 女性研究者 2名 国内 3名 海外 1名 1名

女子大学院生 ― 国内 15名 海外 3名 4名

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表 3 学会参加支援および論文投稿支援の所要額

年度 研究支援 学会参加支援 論文投稿支援

21年度

経費

直接経費

226,100 円

間接経費

国内 34万円 海外 17万円

間接経費

45万円

22年度

経費

直接経費

175,750 円

間接経費

77,400 円

間接経費

国内 45万円 海外 68万円

間接経費

14万円

④取組(施策)の評価・検証

21年度にカナダで開催された国際会議に支援室からの全面的な助成を受けて参加した大学院生は、支

援終了後の報告書に「支援を受けたことにより、国際学会での発表業績が増え、・・・学位取得後の助成

金獲得の申請に対して有利になる可能性がある」と記していた。実際その院生は昨年度の研究生の間に

助成金の申請を行い、平成23年度笹川科学研究助成(財団法人日本科学協会)に採択された。また23

年4月から本学生物資源学研究科の特任助教として採用されている。またシンガポールで開催の国際会

議で口頭発表を行った修士2年生の学生は、本学電気電子工学科でも指折りの優秀な学生ながら、家庭

の事情もあって博士課程には進学しなかった。しかし大企業の本社研究員として修士の時の画像処理研

究をそのまま生かせる職に付き、今後仕事を継続する中で博士取得をめざす意欲に燃えている。

また論文投稿支援者の中から優秀な業績に対し、「パールの輝きをもつ理系女性研究者」として顕彰を

おこなった。

(c) 育児短時間勤務制度の導入

①ニーズの概要

平成21年度4月から三重大学では男女共同参画推進専門委員会が実質的な活動を始め、平成21年8~

9月に三重大学の教職員に対し「男女共同参画に関する意識調査」が実施され、68.9%の高い回答率を

得た。その調査に基づき課題解析が行われた結果、検討すべき課題の筆頭に挙げられたのは、育児・介

護支援のための弾力的な休業制度であった。こうした制度についても、制度の整備だけでは不十分で、

いかに利用しやすいものにするかが課題であるとされた。これを踏まえ育児・介護支援のための弾力的な

休業形態づくりに取り組むことを目標に検討が重ねられた。検討の内容は、取得できる期間、勤務形態、

代替職員、適用要件、その他について制度整備ワーキンググループから提案が行われ、平成22年度か

ら導入の見通しとなった。

②取組(施策)の内容

本学で導入する育児短時間労働制度では「小学校3年生終了時まで」とし、勤務形態は曜日によって勤

務時間を自由に設定できる「個別対応型」とした。利用しやすい制度とするためには代替職員を保障する

ことが必須であり、規定に「代替職員の採用ができる」の文言を盛り込んだ。適用要件として在職期間等

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の要件は設けない。配偶者が常態的に子を養育できる場合も利用可とした。

③取組(施策)の成果

実際に育児短時間勤務制度を利用した人の数

育児短時間勤務制度利用教職員数 平成 22年度 11人

平成 23年度 13人 (4月末現在)

④取組(施策)の評価・検証

女性研究者でこの制度を利用した人はまだいないし、育児短時間勤務制度を導入して 1年経過したばか

りなので、評価・検証は難しい。しかし、学内全体の労働環境の整備は女性研究者にとって絶対に必要

なことである。

(d) 学内保育施設の整備

①ニーズの概要

平成21年度に行った三重大学における男女共同参画に関するアンケートは3部からなりⅠ.回答者の属

性、Ⅱ.男女共同参画に関する質問、Ⅲ.子育てに関する質問とした。Ⅱで仕事と家庭の両立に必要な

こととして職住接近など14項目を訊ねているが、保育施設の拡充は「非常に必要である・必要である」の

合計で94%を占めた。Ⅲで大学からの支援、学内保育所、学童保育所等について質問している。

学内保育所を大いに必要とするもの、あれば望ましいとするもので90%を超えているが、その比率が子

育て期の教職員に高いという訳ではない。この比率は本人の必要とは切り離して考えるべきことで、比率

すなわち保育園の需要という訳ではない。しかし、現状で需要が少ないから整備は不要ということではけ

っしてなく、他大学の事例でも整備されれば子供を積極的に持ちたいと考える研究者は存在し、女性研

究者の増加をめざすためのニーズというより、必須の制度整備である。

②取組(施策)の内容

本プログラムが開始された頃は、現状のさつき保育園の増築が検討されていたが、大学トップと病院側と

の非常なる努力によって、大幅な定員増で新築することになった。新さつき保育園は平成22年4月6日に

開園式を実施した。木造二階建て延べ344㎡で、収容定員を従来の40名から65名にし、新たに病児室を

設置した。設備面では、さまざまな安全配慮型の設計とした。本学の新さつき保育園建設費として、

49,810千円工面し、更に園庭の整備費等も初期投資した。病院側の配慮で、医学部・附属病院以

外の教職員も利用可能となり、60名を附属病院分とし、全学分を5名とし、空き定員が生じた場合

は、双方の合意により互いに使用できるとした。

新さつき保育園の概要

事業開始 平成 22 年 4 月 1 日

保育対象 本学に勤務する教職員の子(0 歳児から小学就学前まで)

保育定員 65 名(内訳 0・1 歳児 18 名 2 歳児歳児 18 名 3 歳児 9 名 4・5 歳児 20)

保 保育体制 4クラスを設置 4 月 1 日時点園児数内訳 0・1 歳児 13 名 2 歳児 14 名

3 歳児 9 名 4・5 歳児 20 名

保育時間 基本 7:30~18:30、 土曜保育 8:00~18:30

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延長保育 18:30~20:30、 夜間保育 20:30~翌 7:30

図 1 新さつき保育園の全容とその開所式

③取組(施策)の成果

看護師、医学部関係者以外の一般女性研究者向けには、女性研究者支援室のホームページで、園児

募集を行ったが、初年度は7月に公募が始まり、タイミングのまずさもあり、応募者はなかった。そこで、男

女共同参画推進専門委員会ではリーフレット『ワーク・ライフ・バランスのすすめ』を作成し、その中に学内

保育園の園児を随時募集していることを明記して、相談窓口を明らかにした。これを全教職員に配布し周

知した。しかし、問い合わせはあっても、残念ながら23年度も入園者はゼロである。

④取組(施策)の評価・検証

いまだ入園者がいないのは残念であるが、気長に取り組むべきことと考えている。またこのまま利用者が

いない状況が続くのであれば、その原因を調査する必要があり、利用しやすい制度にする工夫が求めら

れると考えている。

(e) 連携機関の女性研究者のネットワーク構築

①ニーズの概要

本プログラムは三重大学以外の県内6つの研究教育機関と連携して女性研究者の増加をめざそうとする

ものであるが、残念なことに、三重大学で行ったような(a)のキャリアアップをそのまま他機関に持ち込み

金銭的な支出を伴う形で他機関の女性研究者を支援することが出来ない。県内に散在して孤立している

女性研究者が互いの存在を知り元気になれること、他機関の取り組みを知って、女性研究者に期待され

ている現状を知ってもらうことは、研究を進める上でも励みになる。

②取組(施策)の内容

初年度と最終年度に三重大学と連携機関の女性研究者を紹介する理系女性研究者紹介冊子を作製し

た。最終年度は初年度の連携機関のバージョンアップに留まらず、県内の4つの理工系研究所紹介並び

に所属の女性研究者の紹介も行った。こうした理系女性研究者の紹介は、パネル展という形でも継続し

た。本プログラムで対外的にアピールする意図をもって行うイベント、たとえば春のフレンテ祭りや秋のフ

ォーラム、県のさまざまなイベントなど、あらゆる機会を捉えて連携機関の女性研究者をパネル展示の形

で紹介した。

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理系の女性研究者が皆無であった鳥羽商船高専へは、鈴鹿工業高専から 3名の女性教員(いずれも工

学博士)に女子学生に向けて出前講義を行ってもらい、女性研究者から高専生が受ける刺激を先生たち

にも感じとってもらった。女性教員の少ない三重大学工学研究科・工学部においては、22年度に連携機

関の女性教員 3名による特別講義の 4科目 5コマを実施し、次年度はこれを増やす計画である。生物資

源学研究科においても、同様の特別講義を次年度から実施する。ロールモデルの提供としての意義は大

きい。

鈴鹿工業高専と鳥羽商船高専の女子学生を三重大学に招いて、最先端の実験研究を体験してもらうイ

ベントは毎年行った。その際、学生の引率で高専の教員も三重大学を訪れることになり、高専生の高度な

体験学習と共に、教員の交流の場ともなった。

独立行政法人の養殖研究所と野菜茶業研究所には、それぞれの一般公開日に三重大学から女性教員

やパールリーダーが参加して交流を深めるとともに、三重大学生物資源学部のオープンキャンパスのとき

には、養殖研究所と野菜茶業研究所の両方から女性研究者が参加し、三重大学側と共に、女性研究者

の存在をアピールし研究者同士の交流の場ともなった。また野菜茶業研究所の上部組織の独立行政法

人農業・食品産業技術研究機構が同じモデル育成事業を平成21年度から開始し、野菜茶業研究所の尽

力で22年度にはその機構と本学との共催エンカレッジセミナーが実現した。遠く筑波の女性研究者との

交流で、ネットワークは大きく広がり、本学生物資源学研究科の院生には素晴らしいロールモデルの提示

となった。

女性研究者のネットワーク作りに支援室ムードル上のサイトである「コフレ」を立ち上げ、それはそれで

活用はされたが、やはり実際に会って話をする機会があって初めてそうしたサイトも生き生きとしたものに

あるのであって、サイトだけで十分な活用にはならないことが分かってきた。そこで仮想現実「コフレ」の現

実版ということで「リアルコフレ」という小規模な研究者の交流昼食会を支援室隣の会議室で合計13回行

った。また、これを大学の外で行う場合を「出前リアルコフレ」と名付けて、合計6回開催した。

③取組(施策)の成果

県内の女性研究者の存在というのはほとんど認識されることなく過ぎてきたが、プログラム開始以降にお

いては冊子による紹介、パネル展示による紹介を通して県内ではきわめてよく知られる存在になった。1

大学内のことではないので、県内全体で女性研究者が横のつながりをもつとともに、広い県内のそれぞ

れの市町で根を張って活躍していくことも大いに期待される。その意味で冊子はデータベース的役割も

果たし、それぞれの女性研究者は地域の貴重な人材として評価を得ている。

連携機関の女性研究者は東大や日大で開催された「女性研究者支援システム改革プログラム事業合同

シンポジウム」に共に参加し、交流を深めるとともに、見聞を大いに広めてもらった。学会に参加しても男

性ばかりというのとは違って、とても勇気づけられたとのことである。

工学部の女性専任教員がなかなか採用できない状況で、連携機関の理系女性教員による講義は、予

想を大きく上回る評判であった。本学工学部女子学生にとって、教壇に立つ非常勤講師は「カッコイイ」

存在であり、大きな刺激となったことがアンケート結果からも明白である。

一般的な「リアルコフレ」の開催メンバーは、ほとんどが若く任期付きの研究者数名であり、情報交換の

楽しいひと時を提供することになった。時にイベントと重ねても開催した。「出前リアルコフレ」は連携機関

や県の研究所の女性研究者との交流を深める場になった。

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④取組(施策)の評価・検証

連携機関に留まらず、県の理工系研究機関に所属する女性研究者も「出前リアルコフレ」やイベント参加

を通して親しい仲間となり、県内のめぼしい理系女性研究者の多くをネットワークに取り込むことができ

た。

図 2 左:連携機関の女性研究者数の推移 右:連携機関と県の研究所の分布(カッコ内は

女性研究者数)

(左側のグラフの縦軸は理系女性研究者の在籍人数を示す。)

22年10月21日連携機関連絡協議会のシンポジムは、それぞれの連携機関に所属する女性研究者が見

守る中で行われた。全ての機関長が壇上から発するメッセージはそれぞれの機関の女性研究者によって

熱い思いで受け止められた。

図 3 連携機関連絡協議会(左端から室長、学長、7連携各機関長)

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図 4 連携機関による共同宣言

本プログラムの連携機関である鈴鹿工業高専と鈴鹿医療科学大学は、三重大学のこの事業をともに推

進した 3年間の実績をアピールして平成 23年度の「女子中高生の理系進路選択支援事業」に、「続け、

理系の卵たち!描け、貴女(あなた)の未来予想図!2011」を掲げて応募し、見事採択された。これは

連携機関間の新たな連携の誕生であり、大きな波及効果として挙げられる。また鈴鹿高専には、23年度4

月から「女性総合サポート室」を開設し、在学中の女子学生のみならず広く卒業生の相談にも応じる予定

である。開設の経緯については、県内で本プログラムが開催するさまざまなイベントに高専卒業者も参加

して、昔と違って女性教員が数多く学内に存在するようになった母校とのつながりを強く願うようになったこ

とにも一因が求められる。

県の理工系研究所の所長とも面談しているが、とくに農業研究所長と工業研究所長は女性研究者に

大きな期待をし、協力的である。県の研究所の女性研究者は、これまで横のつながりが一切なく(同一研

究所内でも互いの存在を知らない場合もあった)、この取り組みによって同じ理系研究職の県職員どうし

で繋がりをもつことができた。理系女性研究者で課長職の女性は県内に三重県保健環境研究所にしか

いない。工業研究所は若手から中堅まで存在するが、若手ばかりの農業研究所の女性たちにとって、あ

るいは 1人だけの水産研究所の女性にとって、専門分野を超えたロールモデルの発見となった。

連携機関と県の研究所の女性研究者が、「広がれ、輝く理系女性! 7連携機関から三重県中へ」とし

て2月に事業終了後の協議を行ったとき、全員からネットワークの継続は絶対とされた。

本学が進める地域連携は、地方大学へのモデルになりうるものとして、申請準備中の静岡県立

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大学および本事業の採択を受けた香川大学から訪問調査を受けた。また、平成 22年 12月 11日開

催の本学の大学改革シンポジウムに、同じく採択機関の山形大学の男女共同参画推進担当者が参

加し、同日開催の本支援室の「リアルコフレ」にも出席して多くの情報交換を行い山形大学 Taro-

ニューズレターに本学の事業とくに地域連携の成果等が紹介された。さらに、平成 23年には採択

機関の大阪府立大学女性研究者支援センターのセンター長ほか 1 名から調査訪問を受けた。3 月

24日に秋田大学男女共同参画推進室コロコニの室長から訪問調査を受ける予定であったが震災の

ため中止となった。

(f) 三重県男女共同参画センター・フレンテみえを拠点とする全県的展開

①ニーズの概要

応募以前から大学教育の中でジェンダー論や女性学といった講義はあったが、三重大学としての男女共

同参画の取り組みは皆無で、大学内における推進にセンターのアドヴァイスを必要としたのみならず、全

県的取り組みに県の男女共同参画センターとの連携は不可欠であった。

②取組(施策)の内容

三重県内の理系女性研究者の存在を広く知ってもらうために、県の男女共同参画センターとの連携は本

プログラムにきわめて重要であった。事業開始直後から、センターが発行する広報誌『フレンテみえ』は三

重大学のこの新しい事業を紹介し、事業に関わる7つの連携機関を紹介する連載もスタートさせた。県内

はもちろん全国的な配布ルートを確立している年4回毎回1万部の広報誌が、毎号何か本事業に関係す

る記事を掲載してくれたのは、理系女性研究者の問題を知ってもらうのに効果的であった。20年度の秋

のフォーラムは福井・岐阜・滋賀・三重の4県から480名が集うイベントが開催されたが、これら4県のなかで

三重県がはじめて大学と密接な連携を組んで科学技術分野の男女共同参画にチャレンジし始めたという

ことで、これを他の3県にアピールした。県の男女共同参画センターの事業としてきわめて斬新な取り組み

で、内閣府からも注目されるところとなった。また、センター長による「理系分野における男女共同参画」と

題する講演会を学内で開催し、理系女性研究者が増え彼女たちが活躍する大学にしていくためには、三

重大学全体でまず男女共同参画意識を高める必要があることを広く認識してもらうことができた。

21年度は連携機関の女性研究者と共にワークショップをフレンテで開催した。総合テーマが「歴史」と

いうことで「女性研究者の源流を訪ね、今とこれからを考えよう!」をテーマに、一般県民の集う場で理系

女性研究者の存在をアピールした。東京の科学博物館で開催された「なでしこたちの挑戦」のパネル展

の一部も、お茶の水女子大学ジェンダー研究センターから借り受けて再現した。22年度の秋のフォーラム

も前年に引き続き連携機関の女性研究者でワークショップを開催した。今年度は事業開始時期から連携

を組んできた6つの機関の女性研究者に加え、一歩踏み出して県の理系研究所の女性研究者も一緒に

なって「女性研究者のワーク・ライフ・バランス」をテーマに取り組んだ。

③取組(施策)の成果

こうした県内まるごとという取組は、「パールの輝きで、理系女性が三重を元気に」という事業名とともに県

内に広く知られるようになり、まさにその名の通り三重を元気にする方向に動き出すことが出来た。それは、

事業の連携機関のみならず女性研究者が活躍する県の理系研究所4つも仲間になることによって大きく

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前進した。大学主催事業として板東久美子氏を迎えて学内で開催された「大学改革シンポジウム~地域

の活性化と男女共同参画の推進~」において、それは集約的に発揮された。講堂ロビーにブースを開設

した県内の企業や団体に、ほぼ本学の事業は周知されており、県内の理系女性研究者が市町の男女共

参画センターとも連携していく基盤が作られた。志摩市ではこれに先立ち、市立中学校で開催する男女

共同参画研修会を、女性の活躍が遅れている理系分野の女性研究者の登場によって、しっかり進めよう

ということで計画された。連携機関の女性研究者と県の水産研究所の女性研究者に講師を依頼し、その

結果は大好評をえることとなり、講演会の一部始終は地元のテレビの取材をうけて放映された。意を強くし

た志摩市は次年度以降に関し市の費用で同様な啓発講演会を継続開催することを決定した。このように、

県の男女共同参画センターとの共同は、理系女性研究者がそれぞれの市町でロールモデルとして受け

入れられていく大きな広がりとなった。鈴鹿市では、市の男女共同参画センターと本事業連携機関の鈴

鹿医療科学大学・鈴鹿高専の理系女性研究者との間に絆が作られた。四日市市男女共同参画センター

はもりあ四日市は、四日市大学、三重県工業研究所(四日市分室)、三重県保健環境研究所の理系女性

研究者と繋がりを築きつつある。

④取組(施策)の評価・検証

県内に1つしかない国立大学法人が、きわめて南北に長い三重県全体で理系女性研究者をアピールし、

県の活性化につながるような活動を展開するには、県の男女共同参画センターと今後も緊密に連携し

て事業を進め、さらにその繋がりをそれぞれの市町へと降ろしていくことが重要である。県の男女共同

参画センターの秋のフォーラムにおける女性研究者によるワークショップはほぼ定番となり、今年度も知

恵を絞ってさらなる前進につなげたい。

図 5 7連携機関+4研究所の女性研究者合同ワークショップ

(g) 大学院生の育成

①ニーズの概要

女性研究者の裾野を広げるには、理系研究者をめざす女子大学院生を増やさなければならない。しかし

女性研究者の少ない現状で、女子大学院生はロールモデルとし、また相談できる女性教員に出会うこと

が困難であり、キャンパス内で孤立していた。そうした中、大学院生の横のつながりを強化し、就職に向け

てのスキルを磨いたり、専門の研究に限らない研究者として将来に向けた多くの経験を積んでいくことが

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32

望まれていた。

②取組(施策)の内容

多くの機関では相談(メンタリング)という形式で行われることを、本学では東北大学のサイエンスエンジェ

ルや名古屋大学のあかりんご隊を参考に、大学院生をパールリーダーという非常勤職員に雇用し、自立

した女性研究者となる活動を支援した。女性研究者支援室の室員の専任教員の中からとくにパールリー

ダー担当者を決め、彼女たちの指導に当たった。

担当者は A(医学系研究科 女性講師、21年半ばに海外へ転出)、B(工学研究科 男性助教)、C(工

学研究科 男性講師)、D(生物資源学研究科 男性准教授)、E(生物資源学研究科 女性准教授)、F

(生物資源学研究科 男性助教 21年度から他研究科へ)という構成で、21年度からは、女性研究者支

援室のキャリア支援員も、積極的に PLの指導に関与した。

③取組(施策)の成果

担当者となった若手教員の熱心な指導で、3年間のプログラム期間中ほぼ毎月 2回定期的に PL会議を

開催し、その回数は全部で 55回に達した。持ち回りで議事録を作り、外部で開催される講演会などに参

加して勉強の機会とし、必ず定例の会議でメンバーに還元し PL共有の財産としていった。また定例会議

は、会議のみにとどまることなく、その延長での互いの情報交換の場となり、教員やキャリア支援員との相

談の場でもあった。またそうした会議のほかに、PL担当教員のボランティアでパソコン技能講習会も 11回

開催され、自分たちのHPを立ち上げることもできた。PLは、女性研究者支援室で開催する講演会やイベ

ントを積極的に支えた。支援室開催のイベントは、連携機関である養殖研究所や野菜茶業研究所の一般

公開事業、県の男女共同参画センター・フレンテのイベント、オープンキャンパス、フィールドサイエンスツ

アーやキャンプ、連携機関である鈴鹿工業高専と鳥羽商船高専との交流イベント、青少年のための科学

の祭典など、どれも PLの参加なしには考えられないものである。彼女たちはそうした取り組みを通して、

研究だけでなくさまざまな体験を通して成長した。

また女性研究者支援室では、彼女たちの研究環境の向上にも取り組んできた。初年度は、医学系研

究科からの強い要望で、女性用休憩・救護室(1か所)と解剖実習後の着替えなどが出来る簡易更衣室

(4か所)を新規に設置した。 また生物資源学部・生物資源学研究科の附帯農場管理棟1階の女子トイ

レを和式2か所を、洋式4か所に増設・改修をおこなった。次年度は、女子学生の実習に使用するのみな

らず本事業のフィールドサイエンスツアーで宿泊施設を使用することもあって、農場の宿泊施設の改装を

行った。これに要した費用は下に記した。

表 4 女性研究者のための研究環境整備の所要額

竣工日 事項名 経費(円) 支出科目

20

2009.

03.13

生物資源学研究科 FS ゙センター附帯農場地域コミニ

ティー施設・女子屋外便所設置工事経費

6,825,000

23,362,500

女性支援間接

経費

施設営繕工事

30,187,500

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33

21

2010.

03.30

生物資源学研究科 FS ゙センター附帯農場学生宿

泊棟食堂改修(電気工事)経費

199,500

162,750

女性支援間接

経費

生物資源目的

積立金

2010.

03.26

生物資源学研究科 FS ゙センター附帯農場学生宿

泊棟食堂改修(機械工事)経費

441,000

1,722,000

女性支援間接

経費

生物資源目的

積立金

2010.

03.29

生物資源学研究科 FS ゙センター附帯農場学生宿

泊棟食堂改修(建物補修工事)経費

1,134,000

262,500

女性支援間接

経費

生物資源目的

積立金

農場学生宿泊棟食堂改修経費(女性支援間接

経費) 計

〃 改修経費(学部負担予算

経費) 計

合計

1,774,500

2,147,250

3,921,750

④取組(施策)の評価・検証

最初は支援室のイベントのサポートのための出動することが多かったが、彼女たちの協議の中から、招き

たい講師の選定をおこなって、独自の講演会やワークショップを開催するように成長していった。PL企画

のエンカレッジセミナーやウェイクアップ・プログラムは連携機関の若い女性研究者を講師とした

り、他大学に就職した先輩であったり、さらには就職活動対策のために講師を招聘したりで、支援室が啓

発活動として招いた講師とは全く異なっており、支援室の目線とは異なるところで自己成長が図られた。

支援室での取り組みを通して、女性研究者をめざす博士修了者のキャリアパスも広がった。本学

博士課程を修了した2名については、民間企業に自分の研究にマッチした研究職を求めるために4

月から本学の特定事業研究員 科学技術振興調整費(イニベーション創出若手研究人材育成)「イ

ノベータ養成のためのサンドイッチ教育」の研究に従事している。

(h) 啓発講演会の開催

①ニーズの概要

本学においては、本事業がスタートした平成20年7月にようやく「三重大学男女共同参画宣言」が発出さ

れるという状況で、理系女性研究者を支援する外枠はほとんど欠落した状態であった。そのため、本事業

を周知し、全学的な理解を得るために啓発講演会は必須事項であった。

②取組(施策)の内容

全学規模の講演会は20年度に3回、21年度に1回、22年度に1回行った。ただし、21年度からは、男女共

同参画推進専門委員会もワーク・ライフ・バランスをテーマとする講演会を開催し、女性研究者支援室も

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協力して取り組んだ。

表 5 啓発講演会一覧

年度 講演名 講師 参加者 特記事項

20年

好きな仕事を続けよう 大隅典子

東北大学教授

学長、理事、連携機

関の長ほか56名

キックオフ・シンポジウム

連携機関の現状紹介も。

男女共同参画とイノ

ベーション

有本建男

RISTEX長

学長、理事、連携機

関の長ほか70名

連携機関の発表と交流会も

開催。パネル展も開催。

理系分野における男

女共同参画

鈴山雅子

参画センター長

理事、研究科長ほ

か98名

女性職員に課長補佐すら不

在ということで職員も参加。

21年

活かし育てよう、女性

研究者

有賀早苗

北大副理事

学長、理事、工学・

生資研究科長ほか

97名

講演後、34名の参加を得て

「学長と女性研究者との本音

トーク」を開催。

22年

モデル育成事業から

次のステップへ

朴木佳緒留

神戸大学教授

学長、理事、連携機

関の長全員、研究

科長ほか112名

講演後、連携機関の長による

シンポジウム開催、共同宣言

の採択。パネル展開催。

上記の講演会を上回るイベントとしては、20年度12月開催の「科学技術分野における女性研究者のため

のアジア・コラボフォーラム」の開催が特筆に値する。本学の交流締結校5大学から女性研究者を招いて、

学長をはじめ約100名規模の参加で開催。同時に大学院生による研究成果のポスター発表会を行い、ポ

スター賞を選定して顕彰した。

このほかとしては、22年度12月開催の「大学改革シンポジウム 地域の活性化と男女共同参画の推進」

において、生涯学習局長 板東久美子氏の講演会が重要であった。理系女性による地域活性の点から

も有意義であった。

③取組(施策)の成果

21年度の有賀氏の講演会は、学長や生物資源学研究科長の参加のほか、工学研究科長、工学副研究

科長、工学6専攻長全員、さらに参加者の半数は工学研究科教職員学生が占めるという、やや異例な参

加者構成で行われた。

女性教員の採用が当時まだ1名でしかなかった工学研究科上げての取り組みとして評価できる。またこの

あと引き続き行われた「学長と女性研究者との本音トーク」は、男性には遠慮してもらって行われた。この1

年後に行われた朴木佳緒留氏の講演会では、共同宣言の採択が行われ、最終的には学長の強いリーダ

ーシップでミッションステートメント達成を成し遂げることができた。朴木佳緒留氏の講演は、全員の連携

機関長参加の中で行われ、ユーモアを交えながらもかなり辛口の講演部分もあり、各連携機関のトップを

大いに刺激したに違いないと考えられる。

④取組(施策)の評価・検証

学長、研究科長が講演会に出席することによって、事業への取り組み姿勢が大きく変化していき、実際に

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ミッションステートメント達成に向けて多大な協力を得られたことが、何よりの評価であり検証であると考え

ている。

(i) 女子医学生のエンカレッジと女性医師の離職防止

①ニーズの概要

南北に長い三重県では、とくに鳥羽以南については慢性的な医師不足に悩まされてきた。応募当初に本

学医学系研究科地域医療学の女性教員からの提案で、医学研究科の女子学生、開業医となった女性な

どを対象に取り組みを考えた。

②取組(施策)の内容

本事業開始 1年後に地域医療学の女性教員(医師)の退職によって、当初の思惑通りには進まないこと

は明らかになった。しかし、三重県では平成 16年の新医師研修制度の導入に向けて卒後研修と医療を

支えるNPO法人MMC(Mie Medical Complex)卒後臨床研修センターが設立され、研修医・指導医・病院

間の情報提供などさまざまなサポートを提供してきている。幸いなことに事務局はキャンパス内の三重大

学付属病院にあり、女子学生や研修医も気軽に相談できる状況である。また女性医師も相談することによ

って、仕事を縮小したり、職住の接近を図ったりで、離職防止にも効果を発揮している。また三重県医師

会では平成 19年度から「女子医学生、研修医等をサポートするための会」を立て、毎年秋にワークショッ

プやシンポジウム、講演会などを開催している。平成 20 年度からは、本学女性研究者支援室も後援して、

会の情宣や情報の掲載に協力している。さらに 21年度からは会場を本学医学部に移したことによって、

医学生の参加がしやすくなったのは、大きなメリットである。

表 6 医学研究科の取り組み(平成 20年以降 女性研究者支援室共催事業)

タイトル 場所 参加者

平成 19年 「キャリアもパーソナル・ライフも大切に」 津市センターパレス 36名

平成 20年 「私のワーク・ライフ・バランスの見つけ方」 アスト津 62名

平成 21年 「先輩教えて!医師の生活:仕事・趣味・家族」 三重大学医学部 182名

平成 22年 講演「期待される女性医師像とは」?

ワークショップ「異なる立場から女性医師の

キャリアを考える」

三重大学医学部 111名

③取組(施策)の成果

内閣府男女共同参画局が平成20年に「女性の参画加速プログラム」に重点的取組分野としてあげたのは、

女性医師、女性研究者、女性公務員である。この3つは重なっており、医師にして研究者、医師にして公

務員といったことを考えれば、同じ大学内のキャンパスで、女性医師の問題はもっと取り組むべき問題で

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ある。医学系大学院の学生でなく、医学部を卒業して医師をめざす女性たちにも、本事業の取り組みを

理解してもらうことができたのは一つの成果である。また、三重県医師会は、「女子医学生、研修医等をサ

ポートするための会」を明確に継続していく予定で、23年度には本事業の支援室長に講演依頼があり、

重点的取組3分野は連携して進めていくことになろう。

④取組(施策)の評価・検証

まだ十分に検証できる段階にはないが、女子医学生にとって女性医師のロールモデルを知ることは、大

きな励みになっていることは確かである。またこのイベントを通した繋がりは本学男女共同参画推進室に

継承されて、医学部・病院全体の男女共同参画に発展させるべきで、こうした一体的な取り組みも1キャン

パスの地方大学だからこそ可能と考えられる。

5. 実施体制

(1)構築した体制

図 6 実施体制図

他のプログラムとの連携としては、表の中には入っていないが、支援室で助成した博士課程修了者は、先

端研究助成基金助成金「最先端次世代研究開発支援プログラム」や科学技術振興調整費(イニベ

ーション創出若手研究人材育成)「イノベータ養成のためのサンドイッチ教育」等の研究員として

活躍している。

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(2)組織・機関の長のコミットメント、組織・機関としての支援

組織・機関の長のコミットメント

本事業は学長を総括責任者とする重要な事業として位置づけられるべきものであったが、事業

開始時にようやく「三重大学男女共同参画宣言」が発出されたばかりであり、学内の男女共同参

画意識も十分でないところで、理系分野におけるいわばポジティブ・アクションを行おうとして

も、容易に理解は得られなかった。しかし、2 年目から理事を委員長とする男女共同参画推進専

門委員会と女性研究者支援担当学長補佐を室長とする女性研究者支援室の両方を男女共同参画コ

ーディネーターがまさに巧みにコーディネートして事業は進みだした。また男女共同参画コーデ

ィネーターが三重大学における男女共同参画の取り組みについて、すべての部局で説明会を開催

したことも全学的な後押しに繋がった。理系 3 研究科において女性研究者を登用することについ

ては、それぞれの研究科長の積極的な取り組みに負うところが大きい。そして学長のリーダーシ

ップによって重要な突破口が開かれ、ミッションステートメントをほぼ達成することが出来た。

学長は、さらに女性研究者支援を持続的に進めていくためには、大学執行部に女性研究者が登用

されるべきであるとして、23 年度 4 月に女性理事を誕生させた。

連携機関についても、それぞれの機関の長のコミットメントは不可欠であった。鈴鹿医療科学

大学の学長は、キックオフ・シンポジウムの席で、これからの医療科学は女性の活躍に期待がか

かっているとして、学長自ら学内の理系女性研究者数を調べて披露し、その数を増加させる方策

についての抱負を述べた。そして同大学は大幅に女性研究者の数を伸ばした。独立行政法人であ

る養殖研究所と野菜茶業研究所については、研究者は全国的なレベルで転勤があり、女性研究者

の増減はやむを得ない面があるが、理解や支援については機関の長の熱意に頼っており、「共同宣

言」を踏まえて、機関の長のコミットメントは明確である。

組織・機関としての支援

女性研究者支援室は、初年度総務チーム、人事チーム、職員チームの支援を受けて始められた。

しかしながら、支援室業務に専念して事業を進める人材を大学事務の経験者の中から配置するこ

とができず、本部事務からの支援はあっても困難を経験した。しかし、2 年目には特任教授の着

任を得て状況は改善し、最終年度には支援室業務と男女共同参画推進に専念する特任職員を企画

総務部から得て、事態は大いに改善した。

女性研究者の分野別・職階別の割合等の公表状況

三重大学企画総務部広報チームが担当し毎年発行している『国立大学法人三重大学概要』にデ

ータとして公表している。ただし、女性の数が内数としてカッコ書きで明記されるようになった

のは、平成 20 年度からである。理系 3 研究科にかかわる数値については、女性研究者支援室のホ

ームページ上で公表している。

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Ⅴ.実施期間終了後における女性研究者支援の継続性・発展性

1.平成23年度の継続策

(1)支援体制(支援室体制、人員等)

本学の女性研究者支援モデル育成事業については、採択直後の平成 20 年 7 月 24 日に発足し

た女性研究者支援室とその年の 4 月 1 日に発足した男女共同参画推進専門委員会とが両輪をな

す形で進めてきた。本事業終了と同時の平成 23年 4月 1日から、男女共同参画推進室を設置・

開設して本支援室を発展的に解消し、その事業を継続発展させた。(男女共同参画推進室機構図

及び構成員を下図に示す)

さらに、全学の男女共同参画推進専門委員会とは別に、生物資源学研究科では平成 21年度か

ら総務委員会男女共同参画部会を設けてさまざまな事案に対処してきており、平成 23年 4月 1

日からは研究科長直属の生物資源学研究科男女共同参画推進室を設置し、フィールドサイエン

スの担当と兼務する形であるが推進室業務を行う特任助教を雇用した。工学研究科でも「工学

研究科としての男女共同参画の推進に向けた意思表明である」として、平成 23年度から工学研

究科長直属の男女共同参画推進専門委員会を発足させ、6 専攻科から委員を送り、工学部へ進

学してくる女子学生増と女性教員増を目標として活動を始めた。女性研究者支援モデル育成事

業を通して研究科の活性化を図る道筋が明確になり、男女共同参画推進室と部局との連携事業

が出来つつあるといえる。

図 7 男女共同参画推進室の体制図

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表 7 平成 23 年度三重大学男女共同参画推進室構成員(H23.4.1現在)

職 名

氏 名

備 考

室 長(兼務)

企画総務部長

小 新 敏 充

副室長(専任)

特任一般職員

諸 岡 眞

室 員(専任)

再雇用職員

太 田 和 志

室 員(兼務)

学内共同教育研究施設等

特任教授

花 見 槇 子

委員会委員から併任

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室 員(兼務)

人文学部准教授

石 阪 督 規

委員会委員から併任

室 員(兼務)

教育学部 教授

中 島 喜代子

委員会委員から併任

室 員(兼務)

工学研究科教授

冨 田 昌 弘

委員会委員から併任

室 員(兼務)

工学研究科助教

宇 野 貴 浩

委員会委員から併任

(継承事業担当)

室 員(兼務)

生物資源学研究科教授

常 清 秀

委員会委員から併任

室 員(兼務)

人文学部准教授

江 成 幸

学長が指名

室 員(専任)

コーディネーター

客員教授

鈴 山 雅 子

(2)各取組の継続状況

女性研究者支援室では、事業終了に伴い活動を男女共同参画推進室での継承を円滑に行うために、

23年 2月 9日に県の理工系研究所の女性研究者の参加も求め、連携機関連絡協議会専門部会拡大委

員会を「広がれ、輝く理系女性! 7連携機関から三重県中へ」として開催し、県内女性研究者のネットワ

ークのいっそうの発展について協議した。4月以降は三重大学男女共同参画推進室が中心となり世話役

委員と相談しながら事業を進めていくことを確認した。その際にムードル活用による女性研究者の交流の

充実を今後さらに図っていくために、委員会当日はムードルのチャットとスカイプの併用で三重大学と鈴

鹿工業高専を結び、所用で高専に留まらざるを得ない委員も会議に参加した。

図 8 連携機関連絡協議会専門部会拡大委員会(ムードルのチャットとスカイプの併用)

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連携機関連絡協議会で採択された「女性研究者支援事業連携機関による共同宣言」を基盤に、連携

事業は三重大学男女共同参画推進室が担っていくことになるが、県の男女共同参画センターでこれまで

行ってきた事業、春のフレンテまつりや秋のフレンテフォーラムなどは、推進室とセンターと女性研究者の

間で協議して進められることになる。また個々の連携機関と市町との連携事業についても、本学参画推進

室とともに県の参画センターとがサポートしていく。

女性研究者支援室で行ってきた三重大学の個別事業については、そのままの継続が無理でも、以下

のような再編によって可能な限り事業継続を図る。その方法等については、それぞれの研究科長と相談

を重ねた上で提案されてきたものである。工学研究科と生物資源研究科には、それぞれ全学の男女共同

参画推進委員会とは別に、研究科長直属の男女共同参画委員会が設置されており、女子学生と女性研

究者の増加をはかり、学生・大学院生および女性研究者の環境整備も進めていくことになっている。

出産・育児・介護等で支援を必要とする女性研究者に対しては、工学研究科と生物資源学研究科に

おいては、それぞれの部局のティーチングアシスタントやリサーチアシスタントを優先的に付けることが約

束されている。医学系研究科では、個々の教室内の互助によってカヴァーする。

オープンキャンパスにおける女子高校生の進路相談については、工学研究科も生物資源学研究科もそ

れぞれの男女共同参画委員会ですでに活発な活動を進めており、それぞれ工夫に富んだイベントを計

画していくことになっている。

連携機関である野菜茶業研究所と増養殖研究所(23年度から養殖研究所を改め増養殖研究所)の一

般公開日への参加の取り組みはこれまで通り継続することが、生物資源学研究科で決定されている。

フィールドサイエンスツアーについては、生物資源学部の農場、演習林、船、水産実験所がローテー

ションを組み、4年に一回ずつの割合で、公開講座を開催する。たとえば 23年度は農場の当番で、参加

者の公募を行い、支援室で行ってきた女子高校生 20名ほどを、応募者の中から特別枠として確保すると

している。

鳥羽商船高専と鈴鹿工業高専と三重大学とのいわゆる高専交流プログラムについては、三重大学の

高大連携事業の一環として行うことを、教育担当の副学長(高大連携事業委員長)との間で協議している。

高校生対象に行うサマーセミナーの交流事業を高専に対しても案内を行う。すでに案内を送付している

今年度のサマーセミナーについては、追加募集とする。

今年度三重大学に男女共同参画推進室が開設されたので、共通教育に「男女共同参画推進 基礎

編」の科目をたて、その中の 2コマを理系分野の女性研究者支援事業について解説することにしている。

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(3)資金計画

VI(3)に記載した。

2.中長期

学長は、23 年の年頭挨拶で①教養教育の更なる充実、②産学官民で地域の知の拠点を目指す、

③国際交流の質の向上、④女性教職員の積極的な登用を取り上げて抱負を述べた。とりわけ女性

教員数(比率)については、国の男女共同参画基本計画 2020年 30%、国立大学協会目標 2010年

20%を踏まえ、本学の女性教員数(比率)の目標を中期 20%、長期目標を 30%超にすべきである

との認識を示した。本学の男女教員数の著しい格差を積極的に改善することができるよう、トッ

プとしてのリーダーシップを発揮すると言明した。

中期計画及び年度計画には、教育研究活動等の機能や成果を高めるため、個々の教育職員が持

つ能力や個性の伸長に向けた取組を充実するとともに、年齢、性別、国籍に配慮した教員人事に

努め、多様で優れた教員組織を編成する。とくに外国人教員、女性教員を増加させるための職場

環境等の整備が掲げられ、外国人教員・女性教員の増加を図ると記述されている。

本学の具体策としては、女性教員の増加に向けて、次世代育成支援対策推進法の改正に伴い、

男女共同参画推進専門委員会において、就業制度や職場環境改善等の取組について検討し、第三

次となる「三重大学一般事業主行動計画」を策定したほか、平成 20年度より実施してきた県内高

等教育機関との連携事業「パールの輝きで、理系女性が三重を元気に」が終了したことから、男

女共同参画推進専門委員会における各種事業の企画を踏まえ、女性研究者育成事業の支援組織で

あった「女性研究者支援室」を発展的に解消し、平成 23年4月より「男女共同参画推進室」の設

置を決定した。さらに、平成 23年度からの執行部交代に際し、本学として初めてとなる女性理事

1名(環境・国際担当)の配置を決定し、「三重大学男女共同参画宣言」に基づく事業の推進を明

確化した。今後、男女共同参画推進室は女性研究者育成事業を継承する事業を含めて、学生・教

職員を対象に意図的・計画的・継続的に男女共同参画を推進することになる。

3.「次世代育成支援対策推進法」に基づく一般事業主行動計画の周知と推進状況

三重大学では、人事行政の一環で第1次及び2次の一般事業主行動計画を策定していたものを次

世代育成支援対策推進法の改正に伴い、三重大学男女共同参画推進専門委員会において就業制度

や職場環境改善等の取組について検討し、第三次となる「三重大学一般事業主行動計画」を策定

し、三重労働局へ届け出たものである。改正の骨子は、ワーク・ライフ・バランス推進を目標に、

全ての教職員が仕事と子育てを両立させ、働きやすい環境をつくる。期間は平成22年4月1日から

平成25年3月31日までの3年間とし、目標及び対策として、子育てを行う労働者等の職業生活と家

庭生活との両立を支援するための雇用環境の整備を掲げ、教職員の育児参加を更に支援する。男

性の育児休業の職場環境作りをし、積極的に取得を促進する。働き方の見直しに資する多様な労

働条件の整備について、時間外労働の縮減に取り組む。子供を育てる職員が働きやすい環境を作

るため、学内保育施設・託児施設の設置等の支援を鋭意検討するとした。次世代育成支援対策推

進法の改正趣旨に則り、審議経過を明らかにし、公表はホームページや、掲示板への縦覧はもと

より、各部局説明会を男女共同参画推進専門委員会のコアメンバーが中心になり下記のとおり開

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催し、本学一般事業主行動計画の周知を図った。

表 8 本学各部局説明会一覧

部 局 実 施 日 場 所

生物資源学部 平成 22年 10月 13日 大会議室(教授会室)

事 務 局 平成 22年 11月 2日 総合研究棟メディアホール

人文学部 平成 22年 11月 10日 学部教授会室

工学部 平成 22年 11月 10日 学部大会議室

医学部・附属病院 平成 22年 11月 10日 教授会室

教育学部 平成 22年 12月 14日 学部会議室

学内共同利用施設 平成 22年 12月 27日 図書館 3F会議室