研究開発段階の遺伝子組換え生物等の第一種使用規...

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- 1 - 研究開発段階の遺伝子組換え生物等の第一種使用規程の申請に係る 学識経験者からの意見聴取会合(平成 30 年度第 1 回) 議事録 1.日時 平成 31 年 3 月 6 日(水) 13 時 52 分~16 時 50 分 2.場所 文部科学省東館 17 階 研究振興局会議室 (東京都千代田区霞が関 3 丁目 2 番 2 号) 3.出席者 (委 員) 篠原主査、大澤主査代理、阿部委員、有江委員、上口委員 刑部委員、加藤委員、陶山委員、吉田委員 (事務局) 文部科学省廣谷専門職、文部科学省前澤安全対策官 環境省岡本係長 4.議題 (1)研究開発段階の遺伝子組換え生物等の第一種使用規程の申請に係る検討について ・広範な病害抵抗性イネ(BSR1 遺伝子発現イネ)(Oryza sativa L. PR1-BSR1) ・広範な病害抵抗性イネ(BSR1 遺伝子発現イネ)(Oryza sativa L. Ubi7-BSR1) ・広範な病害抵抗性イネ(BSR1 遺伝子発現イネ)(Oryza sativa L. ZmUbi-BSR1) ・スギ花粉ペプチド含有イネ(7Crp2mALSOryza sativa L.)(Os7Crp1, Os7Crp2) ・シンク能改変イネ(OsCKX2/Gn1a改変イネ系統) Oryza sativa L. NIAS18-OsCas-Gn1a) ・シンク能改変イネ(OsCKX2/Gn1a改変イネ系統) Oryza sativa L. NIAS18-CDA-Gn1a) (2)その他

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Page 1: 研究開発段階の遺伝子組換え生物等の第一種使用規 …広範な病害抵抗性イネ(BSR1遺伝子発現イネ) (Oryza sativa L. PR1-BSR1) 資 料1-2:第一種使用規程承認申請書及び生物多様性影響評価書

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研究開発段階の遺伝子組換え生物等の第一種使用規程の申請に係る

学識経験者からの意見聴取会合(平成 30年度第 1回)

議事録

1.日時 平成 31年 3月 6日(水) 13時 52分~16時 50分

2.場所 文部科学省東館 17階 研究振興局会議室

(東京都千代田区霞が関 3丁目 2番 2号)

3.出席者

(委 員) 篠原主査、大澤主査代理、阿部委員、有江委員、上口委員

刑部委員、加藤委員、陶山委員、吉田委員

(事務局) 文部科学省廣谷専門職、文部科学省前澤安全対策官

環境省岡本係長

4.議題

(1)研究開発段階の遺伝子組換え生物等の第一種使用規程の申請に係る検討について

・広範な病害抵抗性イネ(BSR1遺伝子発現イネ)(Oryza sativa L. PR1-BSR1)

・広範な病害抵抗性イネ(BSR1遺伝子発現イネ)(Oryza sativa L. Ubi7-BSR1)

・広範な病害抵抗性イネ(BSR1遺伝子発現イネ)(Oryza sativa L. ZmUbi-BSR1)

・スギ花粉ペプチド含有イネ(7Crp、2mALS、Oryza sativa L.)(Os7Crp1, Os7Crp2)

・シンク能改変イネ(OsCKX2/Gn1a改変イネ系統)

(Oryza sativa L. NIAS18-OsCas-Gn1a)

・シンク能改変イネ(OsCKX2/Gn1a改変イネ系統)

(Oryza sativa L. NIAS18-CDA-Gn1a)

(2)その他

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5.配布資料

資 料 1-1:第一種使用規程承認申請書及び生物多様性影響評価書

広範な病害抵抗性イネ(BSR1遺伝子発現イネ)

(Oryza sativa L. PR1-BSR1)

資 料 1-2:第一種使用規程承認申請書及び生物多様性影響評価書

広範な病害抵抗性イネ(BSR1遺伝子発現イネ)

(Oryza sativa L. Ubi7-BSR1)

資 料 1-3:第一種使用規程承認申請書及び生物多様性影響評価書

広範な病害抵抗性イネ(BSR1遺伝子発現イネ)

(Oryza sativa L. ZmUbi-BSR1)

資 料 2:第一種使用規程承認申請書及び生物多様性影響評価書

スギ花粉ペプチド含有イネ(7Crp、2mALS、Oryza sativa L.)

(Os7Crp1, Os7Crp2)

資 料 3-1:第一種使用規程承認申請書及び生物多様性影響評価書

シンク能改変イネ(OsCKX2/Gn1a改変イネ系統)

(Oryza sativa L. NIAS18-OsCas-Gn1a)

資 料 3-2:第一種使用規程承認申請書及び生物多様性影響評価書

シンク能改変イネ(OsCKX2/Gn1a改変イネ系統)

(Oryza sativa L. NIAS18-CDA-Gn1a)

参考資料 1:遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する

法律の概要及び関連省令等の抜粋

参考資料 2:遺伝子組換え生物等の第一種使用等による生物多様性影響評価実施要領

参考資料 3:遺伝子組換え生物の第一種使用規程の申請に対する学識経験者からの意

見聴取会合の進め方について及び学識経験者の名簿

参考資料 4-1:ゲノム編集技術の利用により得られた生物であってカルタヘナ法に規

定された「遺伝子組換え生物等」に該当しない生物の取扱いについて

参考資料 4-2:ゲノム編集技術を活用される方へ

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6.議事

【廣谷専門職】 それでは、少し早いですけれども、研究開発段階の遺伝子組換え生物

等の第一種使用規程の申請に係る学識経験者からの意見聴取会合平成 30年度第1回を始め

させていただきます。

本年度、11 月に改選がありまして、新たに学識経験者として、名古屋大学の上口先生、

東北大学の陶山先生に御出席いただいておりますので、一言ずつ御挨拶いただけますよう

お願いします。

それでは、上口先生、お願いします。

【上口委員】 名古屋大学の上口です。よろしくお願いします。私は植物生理というと

ころで専門になっております。それから、今の研究はイネのCRISPR/Casを使ったいろいろ

な研究をしておりますので、何かお役に立てばいいかなと考えております。よろしくお願

いします。

【廣谷専門職】 陶山先生、お願いします。

【陶山委員】 東北大学の陶山と申します。専門は、主に森林を相手にした分子生態学

ということで、DNA分析を使った生態学なんですけれども、その辺りでお役に立てればと思

っています。よろしくお願いします。

【廣谷専門職】 また、事務局においても人事異動等ございましたので、改めて御紹介

させていただきたいと思います。

私は昨年の 4月 1日で本職を拝命しております、文科省の廣谷でございます。

また、環境省より岡本外来生物対策室係長、あとは、文科省より前澤安全対策官が出席

しております。

それでは、事務局を代表しまして、前澤安全対策官より御挨拶申し上げます。

【前澤安全対策官】 文部科学省研究振興局ライフサイエンス課安全対策官の前澤でご

ざいます。本日は、学識経験者の先生方には、御多忙の中この会合に御出席いただきまし

て、誠にありがとうございます。

遺伝子組換え技術につきましては、いわゆるカルタヘナ法の規制の下に医療や工業など

様々な分野への応用が進んでいるところでございますけれども、文部科学省では、研究開

発段階の使用についての審査を担当してございます。

本会合は、この枠組みの一環として、遺伝子組換え生物等の第一種使用規程について、

生物多様性影響の観点から法の共管省である環境省とともに皆様の御意見を伺うものでご

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ざいます。今回は、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構からの遺伝子組換

えイネに係る 6件の使用について御審議を頂きます。

また、会合の最後になりますけれども、先生方ももう御案内と思いますが、このカルタ

ヘナ法の枠組みにつきましては、特に近年のゲノム編集技術につきまして、これをどう扱

うかということを環境省さんの方でずっと御議論しておられまして、今年初めですか、取

りまとめがされておりますので、その御報告と、それから、今後文科省のこの担当の研究

というところにどのような対応が必要かということを最後に御説明差し上げたいと考えて

おります。

先生方におかれましては、本日ちょっと長丁場の会合となり大変お手数をお掛けいたし

ますけれども、御専門の立場から御意見を賜りますよう改めてお願いいたしまして、私の

挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

【廣谷専門職】 それでは、本日の議題は、国立研究開発法人農研機構から申請があり

ました研究開発段階の遺伝子組換え生物等の第一種使用規程に係る検討です。

お手元の資料を確認させていただきます。最初に議事次第がございまして、その後、座

席表、資料 1-1から 1-3、資料 2、資料 3-1から 3-2、参考資料が 1、2、3とございま

して、最後に参考資料 4-1、4-2というふうに続いてございます。会合の途中で構いませ

んので、何か不備等ございましたら事務局に申し付けくださいますよう、よろしくお願い

いたします。

また、委員の先生方におかれましては、申請書の中に黄色で塗り潰されている箇所があ

るかと思います。その部分については非公開となっておりまして、傍聴者の方々には伏せ

た状態で出しているところでございます。その関係で、発言に御注意いただけますと幸い

でございます。

また、会合冒頭の頭撮りはここまでとさせていただきます。

傍聴者の方々におかれましては、事務局からその他指示があった場合には、これに従っ

ていただきますようお願いいたします。

なお、本日、伊藤委員、辻本委員におかれましては、御都合により御欠席との御連絡を

頂戴しております。

それでは、今後の議事につきまして、篠原主査、お願いいたします。

【篠原主査】 審議に当たっては、参考資料 1の「遺伝子組換え生物等の第一種使用規

程の申請に対する学識経験者からの意見聴取会合の進め方について」の 2に基づきまして、

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会議、議事録及び会議資料は公開とさせていただきたいと思います。なお、公開の対象と

なる会議資料は、資料 1から 3及び参考資料 1から 4となっています。

それではまず初めに、農研機構からの申請、資料 1-1 から 1-3、広範な病害抵抗性イ

ネについて、学識経験者の皆様の御意見をお伺いしたいと思います。

申請の方は、申請者席にお移りください。

<申請者、申請者席へ移動>

【篠原主査】 それでは、事務局より説明お願いします。

【廣谷専門職】 それでは、最初の議事案件についてですけれども、資料 1-1から 1-

3 まで 3件まとめて説明させていただきます。1-1を使って主に説明をして、1-2、1-3

は、その違いについて御説明したいと考えております。

それでは、まず資料 1-1 をごらんください。

最初のページ、申請者、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構。

遺伝子組換え生物等の種類の名称、広範な病害抵抗性イネ(BSR1 遺伝子発現イネ)。

第一種使用等の内容、隔離ほ場における栽培、保管、運搬及び廃棄並びにこれらに付随

する行為。

第一種使用等の方法につきましては、農研機構内の 3か所のほ場で行うこととしており

ます。

なお、以降の申請 6件につきましても、名称以外全て共通しております。

続けます。使用期間、承認日から平成 36年 3月 31日まで。

隔離ほ場の施設としましては、最初に、部外者の立入りを防止するために金属製のフェ

ンスを設置すること。隔離ほ場であること、部外者は立入禁止であること及び管理責任者

の氏名を明示した標識を正面入り口の見やすい場所に掲示すること。隔離ほ場で使用した

機械、器具及び靴等を洗浄するための洗い場を設置し、水田については、組換えイネの流

出を防止するための設備を有する排水系を設置すること。次のページに行きまして、野生

動物等の接触を防ぐため、遅くとも出穂期までには防鳥網を、栽培は慣行法に準じ、気象

等に対応して防風網又はビニルハウス等の設置を行う場合があるとのことです。

隔離ほ場の作業要領ですけれども、最初に、イネ以外の植物が隔離ほ場内の使用区画で

生育することを、除草管理等により最小限に抑制すること。イネを隔離ほ場外に運搬・保

管する場合については、拡散防止措置を実施すること。イネの栽培終了後、保管しない籾

あるいは稲わらを含む地上部、イネの残さ及びひこばえについては、ほ場内で不活化をす

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ること。隔離ほ場内で使用した機械、器具、靴等は、作業終了後、隔離ほ場内で洗浄する

こと。そして、最後に、施設の維持及び管理を適切に行うということです。すいません、

最後に、生物多様性影響が生ずる恐れがあると認められるに至った場合については、別に

定める緊急措置計画書に基づいて速やかに対処をするということでございます。

次、続きまして、影響評価書の方に移りたいと思います。おめくりいただきまして、目

次の次のページ、3 ページ目からになってきます。第一、生物多様性の影響の評価に当た

り収集した情報としまして、宿主又は宿主の属する分類学上の種に関する情報というのが

あります。こちらなんですけれども、昨年度のイネの案件で御承認いただいたものから統

計のデータ等をリバイスしたものとなっていまして、例年一緒ということもございまして、

割愛させていただきます。

今回説明させていただくのは、めくっていただいて 8ページ目からです。遺伝子組換え

生物等の調製等に関する情報というのがございます。供与核酸に関する情報をごらんいた

だければと思います。供与核酸の発現カセットの構成及び構成要素の由来というのが下の

表 2 にございまして、こちらにカセットが 2 つございます。1 つ目が、遺伝子発現カセッ

ト 1としまして、ハイグロマイシン抵抗性遺伝子を導入したカセットになっております。

35Sプロモーターがありまして、その下流にHPT、ハイグロマイシン耐性遺伝子、その下に

nosターミネーターが付いているというものになってございます。2 つ目のカセットには

PR1bプロモーター、これはイネ由来の感染誘導性のプロモーター領域となってございまし

て、その下流にBSR1完全長cDNA、これはイネ由来の遺伝子であって、翻訳産物は、イネの

病害抵抗性を制御するリン酸化酵素遺伝子。その下に 35Sとnosのターミネーターがくっ付

いているというものでございます。

この後説明させていただく 1-2と 1-3は、プロモーターのこのPR1bの部分が変わって

いるというところが違いでございます。

次のページの 9 ページ目です。構成要素の機能でございます。最初に、発現カセット 1

を導入することによってハイグロマイシン耐性を有するということ、そして、発現カセッ

ト 2によってイネ由来のBSR1を病原菌感染に応答して発現することが期待されるというも

のでございます。こちらなんですけれども、閉鎖系温室内で既に広範な病害抵抗性を発揮

しているということがこれまでの研究で明らかにされつつあって、野外環境でも同様であ

るということが期待されているというものでございます。

BSR1について更に詳しく御説明をしたのが、次のハのBSR1の性質についてというところ

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になっています。BSR1というのは、病原菌由来成分に対するイネの防御応答において重要

な役割を果たす受容体様細胞内タンパク質リン酸化酵素遺伝子となっておりまして、過去

の実験で、過剰発現させた遺伝子組換えイネは、いもち病、白葉枯病、ごま葉枯病等に対

して非常に強い抵抗性を示しているということが分かっています。

次のページをおめくりいただきまして、ベクターに関する情報となっております。こち

らのベクターのマップについては未公表データについて非開示となってございます。こち

らのベクター自身は塩基数 13.3kbになっておりまして、大腸菌とアグロバクテリウムを含

む広範囲の細菌で保持できるシャトルベクターになっていまして、スペクチノマイシン耐

性を付与するというものでございます。

次のページ、11ページなんですけれども、遺伝子組換え生物等の調製方法というところ

です。ロ、宿主内に移入された核酸の移入方法は、アグロバクテリウム法によって行って

おります。今回の組換え生物の育成の経過としましては、プラスミドを保持したアグロバ

クテリウムをイネ種子胚盤由来のカルスに感染させて、ハイグロマイシン選抜培地で選抜

をして、再分化させることで再分化当代、T0世代を取得しております。その後更に自殖し

て、自殖種子T1 系統群及び、更に自殖を行ってT2 系統群を得ております。得られたT1 あ

るいはそれ以降の後代については、アグロバクテリウムの残存性の確認作業を行っている

ので、これ以降についてはアグロバクテリウムが残存はしていないというものでございま

す。12ページ、ニの手前になるんですけれども、今回の隔離ほ場栽培では、こうした除菌

後の後代種子を使用するということを予定しております。

続きまして、ニ、第一種使用等を行う系統についてです。本申請は、広範な病害抵抗性

の表現型がより自然な環境であるほ場栽培で観察されるかどうかについて解析することを

目的としておりまして、具体的には、次の 1、2、3にございますけれども、草丈、稈長、

有効分げつ数等の生育調査とか、病害抵抗性調査、そして、収量性調査を予定しておると

いうものでございます。今回の組換えイネでは、最大 20系統程度の栽培を計画していると

ころでして、次ページから具体的な説明に移りたいと思います。

13 ページなんですけれども、(4)細胞内に移入した核酸の存在状態及び当該核酸による

形質発現の安定性というところでございます。イ、移入された核酸の複製物が存在する場

所ということで、先ほど説明があった系統のうち、T1 世代の種子 36 粒をハイグロマイシ

ンを含む培地に播種をして、発芽個体数を計数し、ハイグロマイシン抵抗性の分離を観察

したところの結果が表 3になってございます。表 3のデータ自身は非開示となってござい

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ますが、分離比自体は、単一優性遺伝子の分離比 3対 1に適合したということでございま

して、移入した核酸が宿主の染色体上に存在しているということが判断されたと記載され

ております。

続きまして、14ページ、ロです。移入された核酸の複製物のコピー数及び複数世代にお

ける伝達の安定性ということで、T3世代 2系統についてサザンを行っております。サザン

の結果が、14ページの下の図 2のところになっております。トータルDNAに対してHindIII

で処理をして、HPT領域をプローブとしてしてサザンを行ったというものでございます。文

章の方にお戻りいただきまして、一番上の行の末尾です。組換えイネ中に 2~4コピー移入

されているということを確認しております。

次のページ、15ページ、ハです。個体間及び世代間での発現の安定性としまして、前出

の表 3に示したように、ハイグロマイシンに対する抵抗性が複数個体で観察されているこ

とから、個体間、世代間での発現が安定しているということが確認されているということ

です。

次の(5)ですけれども、組換え生物の検出及び識別の方法についてです。供与核酸の配列

に基づいて設計したプライマー対を用いてPCRを行うことあるいはサザンを行うことによ

って検出が可能ということで、それぞれ必要となるトータルDNAの量は 50 ナノグラム、1

マイクログラムというふうに記載がございます。

次の(6)ですけれども、宿主との相違です。イ、今回の組換えイネは、宿主と異なり、抗

生物質ハイグロマイシン耐性を有するということ、また、イネBSR1 遺伝子発現カセットを

持っていることによって、いもち病、白葉枯病及びごま葉枯病といった病害に対する広範

な抵抗性が付与されていて、図 3は閉鎖系温室でのいもち病検定の結果でありますけれど

も、宿主と比較して抵抗性であることを示しているというものでございます。

16ページに具体的な抵抗性のデータがございます。こちら、データ自身は、黄色く、な

ので、非開示ということになっておりますが、結果としては、宿主と比較して抵抗性があ

るということでございます。

次のロですけれども、形態及び生育の特性としまして、先行して得られた系統について、

閉鎖系温室における達観における観察では、特筆すべき形態学的な差異は認められなかっ

た。なお、稈長、穂数、草型、分げつ数等の形態形質について、また、出穂期、開花期、

発芽特性等の生育特性等の生育特性については、承認後、隔離ほ場試験において調査を行

うというものでございます。

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続きまして、生育初期における低温耐性です。これまで申請されてきた組換えイネにお

いて、意図せず低温耐性が付与された事例は知られていないということ、また、3)、成体

の越冬性、越夏性については同様に、組換えイネについてこれまで意図せず越冬性が付与

された事例は知られていないということ。4)についてですけれども、実験指針に基づいて

交雑防止措置やモニタリング措置をとりつつ栽培するものであって、1)から 4)共通するん

ですけれども、これまで承認された組換えイネと同様に、野生動植物と競合・交雑させず

に栽培試験を行うものであるから、こうしたデータがなくとも生物多様性への影響評価を

行うことは可能であると記載がございます。

5)番、種子の生産量、脱粒性、休眠性及び発芽率です。屋内栽培における栽培管理に当

たって、休眠性、発芽率について特筆すべき差異は認められなかった。また、脱粒性につ

いては、次のページの表 5のとおり、脱粒がなかったことから、脱粒性難というふうに判

断をしております。

続けます。7)有害物質の産生性です。選抜マーカーであるHPTタンパク質は、同じタンパ

ク質を含むワタOCT102 系統について、過去に組換えDNA技術応用食品及び添加物の安全性

審査の手続を経た生物として公表されているところもございまして、同タンパク質に毒性

があるとは考えにくいという記載がございます。

また、BSR1 タンパク質ですけれども、毒性があるという報告はないということ、また、

既知のアレルゲン及び毒性タンパク質の相同性がないかを調査するため、ネブラスカ大学

の既知のアレルゲンデータベースに対して検索を掛けたところ、次のページ、19ページ冒

頭ですけれども、検索の結果、既知のアレルゲン及び毒性タンパク質と類似の配列は認め

られなかった。

また、本遺伝子組換えイネの産生する物質がほかの植物に与える影響を比較するため、

いわゆる後作試験、鋤込み試験、後作土壌及び細かく刻んだ葉を混合した土壌でレタスの

発芽率及び生育の比較を行ったところ、表 5、表 6 に示すとおり、組換えイネと宿主の間

で有意差が認められなかった。このことから、この組換えイネは、宿主と比較して有害物

質の産生性に変化がないと推察されると記載がございます。

おめくりいただきまして、21 ページです。3.遺伝子組換え生物等の使用等に関する情

報です。こちらは、冒頭、第一種使用規程と同様の記載になってございますので、割愛さ

せていただきます。

23ページの考察に移ります。第二、項目ごとの生物多様性影響の評価ということでござ

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います。1..競合における優位性、(1)影響を受ける可能性のある野生動植物の特定としま

して、本遺伝子組換えイネは、抗生物質であるハイグロマイシン耐性であるが、選抜に有

効な高濃度の抗生物質が自然条件下に存在することは考えられず、野生植物に対する競合

性を付加することは考えられないということ。また、BSR1遺伝子発現カセットの移入によ

って、様々な病害に対する抵抗性が付与されていることは期待されるが、野生植物との競

合性については、宿主イネ本来の生活サイクルや繁殖様式、形態的・生理的形質といった

種固有の特性に大きく依存していること。また、これらの性質が大きく影響を受けていな

いということから、自然条件で本遺伝子組換えイネの競合性が高まるとは考えられないと

いうふうに記載がございます。

また、次のページに行きまして、2パラ目です。当該一種使用等についてですけれども、

隔離ほ場では組換えイネの持ち出しを防止する施設・措置を講じていること、また、十分

な隔離距離の確保といった種子・花粉の散逸防止策を講じていることから、隔離ほ場の外

部にある野生植物と競合することはない。以上のことから、競合における優位性に起因し

て影響を受ける可能性のある野生植物等は特定されないと書いてございます。

これを受けて、(4)、以上より、競合における優位性に関して影響を受ける可能性のある

野生植物などが特定されなかったことから、生物多様性影響が生ずる恐れはないと判断を

しております。

続きまして、2..有害物質の産生性についてです。(1)本遺伝子組換えイネ及び宿主につ

いて、後作試験、鋤込み試験を行ったが、アレロパシー物質生産性に有意差は見られなか

ったとあります。また、BSR1 についてですけれども、こうしたタンパクに対して毒性があ

るという報告はなく、また、既知のアレルゲンと構造的に類似性のある配列は認められな

かったこと。また、選抜マーカーであるHPTタンパク質についてですけれども、既にこれを

発現する作物が安全性審査の手続を経た生物として公表されていること。また、本申請は、

フェンスで囲まれた環境で行い、出穂期までに防鳥網を設置することから、比較的大型の

動物や鳥類は接触できないこと。万が一イネに接触する小動物等に対して影響があったと

しても、影響を受ける可能性のある小動物等は隔離ほ場に来訪するものに限定されること

ということから判断しまして、影響を受ける可能性のある野生動植物等は特定されないと

結論付けております。

これを受けまして、26 ページ、(4)、以上の結果から、有害物質の産生性に関して、生

物多様性への影響が生ずる恐れはないと判断しております。

Page 11: 研究開発段階の遺伝子組換え生物等の第一種使用規 …広範な病害抵抗性イネ(BSR1遺伝子発現イネ) (Oryza sativa L. PR1-BSR1) 資 料1-2:第一種使用規程承認申請書及び生物多様性影響評価書

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最後に、3.交雑性についてです。我が国には、交雑可能な近縁野生種であるO.nivara

とO.rufipogon等がないことから、影響を受ける野生動植物等が特定されないということを

受けまして、次のページ、(4)、交雑性において生物多様性影響が生ずる恐れはないと判断

をしております。

最後、28ページ、第三、生物多様性影響の総合的評価です。ここは結論だけ、下段の部

分です。最後のパラグラフですけれども、競合における優位性、有害物質の産生性及び交

雑性について、影響を受ける可能性がある野生動植物等は特定されないことから、第一種

使用規程に従った隔離ほ場内での承認された範囲での限定された使用を行った場合には、

生物多様性影響を生ずる恐れはないと判断しております。

続きまして、ほかの資料 1-2、1-3の説明に移ります。こちらは違いのみ説明いたしま

す。

資料 1-2 の 8 ページ目をおめくりください。遺伝子カセット 2 のBSR1 遺伝子の上流の

プロモーターの部分が、Ubi7プロモーターに変わっているというところが違いでございま

す。

続きまして、13ページです。こちら、手法は変わらないんですけれども、移入された核

酸の複製物が存在する場所として表 3のデータが変わってございますが、今回の場合も分

離比はきちんと 3対 1に適合しているということが分かっております。

続きまして、14ページ、サザンの結果です。こちらも同じくT5世代 2系統についてサザ

ンを行った結果、1コピー移入されているということを図 2より確認をしております。

続きまして、16ページ目です。こちら、いもち病班数のデータになってきます。同じく

宿主と比較して抵抗性があるということが観測されております。

更に 18 ページ、こちらは脱粒性のデータになってきます。Ubi7 の系統であっても脱粒

性は宿主と変わらず難であるということが分かっております。

最後に、19ページ目です。こちら、後作試験と鋤込み試験のデータです。同じようにレ

タスの種をまいて確認したところ、同じように発芽率、新鮮重及び下胚軸長が変わらない

ということから、有害物質の産生性に変化がないということが推察されると書いておりま

す。

続きまして、資料 1-3です。こちらも確認する箇所は同じでありまして、8ページ目に

なっております。遺伝子発現カセット 2のところですけれども、同じくBSR1の上流のプロ

モーターが、トウモロコシ由来のUbiプロモーターに変わっております。

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13ページ目ですけれども、同じく分離比が 3対 1に適合しているということ。

次の 15ページをおめくりいただくと、サザンの結果がこういうふうになっております。

T4 世代 2系統でのサザンの結果、1コピー入っているということが分かったというもので

ございます。

続きまして、16ページ、こちらはデータ自身が見える状態にはなっておりますけれども、

同じく宿主と比較して抵抗性であるということを示しております。

18ページ目、脱粒性のデータですけれども、こちらも宿主と変わらず難であるというこ

と。

最後に、20ページです。後作・鋤込み試験ですけれども、こちらも宿主と変わらないと

いうことが分かったので、有害物質の産生性に変化がないと推察されるというものでござ

います。

説明は以上です。

【篠原主査】 それでは、1-1から 1-3までありますが、3つまとめて議論を進めたい

と思います。本案件について、項目ごとに区切って意見を伺いたいと思います。なお、実

験に係る事実関係は、お二人いらっしゃいますが、申請者へ、法令上の整理等は事務局に

意見をお願いします。御自由に発言されて構いません。

まず初めに、生物多様性影響評価の第一の 1、宿主又は宿主の属する分類学上の種に関

する情報、生物多様性影響評価書のうち、1-1から順に意見を伺いたいと思います。この

ところ毎年イネの審査をやっていますが、もし何か御意見があればお願いいたします。多

分 1-1から 1-3まで同じような書きぶりになっているかと思います。

よろしいですか、この部分は。

それでは続いて、第一の 2 で遺伝子組換え生物等の調製等に関する情報、8 ページから

ですけれども、御意見ありますでしょうか。3つまとめてお願いします。

1-3の 15ページ、コピー数を 1コピーと判断されていますが、サザンの結果を見ると、

上の方にスターみたいなシグナルが出ています。これは汚れですよね。

【農研機構】 そうですね。これ、X線フィルムで見ているんですけれども、明確に 1

コピーであって、これ、ちょっと汚いですけれども、汚れになっています。

【篠原主査】 1 コピーと判断された理由は、ほかの制限酵素の組合わせでカットとし

たデータを持っていて、どう見ても 1コピーだという判断を結論付けているのでしょうか。

【農研機構】 いや、これは実はHindIIIだけでカットしているんですけれども、バンド

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がやっぱり 1つですので、制限酵素サイトからチェックしても、これは 1コピーとしか考

えられないというふうなことで判断しています。

【篠原主査】 分かりました。

どうぞ。

【有江委員】 せっかくなので。この 3つ独立で多分審査をすることで比較する問題じ

ゃないかもしれないんですけれども、プロモーターを変えることで発現量が変わっている

と思うんです。それで、ざっと見たところ、1-3のいもちの病斑数というのはほかのもの

よりも抑えられているような感じがするんですけれども、これはやっぱり発現量が 1-3

のものが多い?

【農研機構】 基本的に 1-3で使ったトウモロコシのユビキチンプロモーターが最初に

やったんですけれども、これ、WRKY45とか我々の研究所のデータの蓄積がありまして、イ

ネでは最も強い部類のプロモーターで、WRKY45のときも、これが非常に強過ぎていろいろ

な副作用が考えられたので、今回使っているようなPR1bとかOsUbi7 のプロモーターとかを

用いることにしましたので。それで、メイズユビキチン、ZmUbiがプロモーター活性がやっ

ぱり一番強いと考えられますので、その結果、一番強い抵抗性が出たと考えております。

【有江委員】 BSR1の発現量と病害抵抗性というのはパラレルであるというようなこと

は、レセプターなんですよね。

【農研機構】 BSR1は、レセプターの下流にいるリン酸化酵素になります。

【有江委員】 これの発現量と病害抵抗性がリンクはしていいんですね。するというデ

ータはあるんですか。

【農研機構】 そうですね、BSR1、最初にトウモロコシのユビキチンプロモーターで発

現させたときも、リアルタイムPCRとかでこの 2系統は非常に発現が高かったんですけれど

も、そうじゃないような系統だと抵抗性はちょっと弱めですので、そういう意味では高生

産すると抵抗性があるというふうな感じの状況になっております。

【有江委員】 実際、室内実験等で発現量というのは見られているんですか。

【農研機構】 はい。リアルタイムPCRとかでは見ています。

【有江委員】 そのときにやはりこれが一番発現量が多いですね、BSR1は。

【農研機構】 3つのプロモーターでということですね。

【有江委員】 はい。

【農研機構】 その 3つのプロモーターを同時に比べてやった実験はないんですけれど

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も、温室のときとかそれぞればらばらでやって、それぞれ発現しているというのは確認は

しているんですが、同時に 3つを比較したことはまだございません。

【有江委員】 分かりました。すいません、承認に直接関係ないですけれども。

【篠原主査】 どうぞ。

上口委員、何か。

【上口委員】 これ、1 は誘導性のだったと思うんですけれども、そういう何か状況に

あったときに誘導すると。ほかのはユビキタスに出るものですけれども、そういうものの

影響というか、そういうことは特にないんでしょうか。

【農研機構】 ユビキタスに出て何か害を及ぼしたりとかって、そういう意味でしょう

か。

【上口委員】 害というより、いろいろな表現型に対する違いとかというのはないと書

かれてありますが。

【農研機構】 OsUbi7の場合は発現がそれほど強くないんですけれども、一番強いメイ

ズユビキチンの場合は、どこかでちょっと書いていたと思うんですけれども、これ、発芽

率が減少するというふうなそういう副作用はあります。そういうものがあったものですか

ら、プロモーターを変えて、変えることによってそういう発芽率の減少がなくなったとい

うのが今回の結果で、それで、3 つセットで隔離ほ場ではどうなるかを見てみたいと考え

ているところです。

【上口委員】 ありがとうございました。

【篠原主査】 ほかに。

【大澤主査代理】 いいですか。本質的な問題ではないんですが、いもち病抵抗性のと

ころで、単純な話で、t検定やっていますよね。

【農研機構】 はい。

【大澤主査代理】 原品種 1つで 2つ比べてやって、それでt検定それぞれやるのはおか

しい。ダネットとか原品種と 3つを一遍に比べたのか。それぞれ別の実験だったら、原品

種を 2回使っちゃっていることになっているし。統計的な方法の問題。

【農研機構】 この比較は、t検定でやるのがふさわしくないという?

【大澤主査代理】 そういうことです。本質的にはt検定なんですけれども、対象とA、B

とあって対象と比べたいときは、ダネット検定とかいうのがふさわしいかなと。

【農研機構】 分かりました。

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【大澤主査代理】 それぞれ全部t検定でやっているわけじゃないから、間違ってはいな

いんですけれども。

【農研機構】 これは多分、例えばZmUbiのやつだと、系統 5のやつと原品種でやったと

きのt検定で有意差が出た。

【農研機構】 そうです。原品種と……。

【農研機構】 原品種と 9でやったときにも有意差が出たというt検定です。

【農研機構】 そういうことです。

【大澤主査代理】 それは分かっているんですけれども、それを同時に実験したときは、

そういう検定はしないですよという。ダネットかな。本質的にはt検定なんですけれども。

同じなんですけれども、対象品種と処理A、処理Bがあって、対象品種とそれぞれを比べた

いというときは、ちょっとした補正が入るわけなんですけれども、その方が正しいかなと。

【農研機構】 勉強不足でした。どうもありがとうございます。

【大澤主査代理】 あともう一つ。

【篠原主査】 どうぞ。

【大澤主査代理】 よく分からないんですけれども、ちょっと教えてほしいんですけれ

ども、このメイズのユビキチンを入れたときのT-DNA分離というのが 3 対 1 ぎりぎりで外

れそうじゃないですか。これは別に 0.5%で合っているから全然問題ないんですけれども、

これぐらいそんなずれることあるのという単純な。ちょっと教えてほしいんですけれども。

【農研機構】 ここは、メイズのユビキチンの場合ですよね。

【農研機構】 表 3と表 4の 2つがあるんですね。

【農研機構】 これ、御指摘のように、さっきちょっと申し上げましたけれども、メイ

ズユビキチンの場合に限っては、発芽率が落ちてしまうんですね。発芽率が落ちるので、

そのバイアスが掛かって、表 3ではかなりおかしなデータになった、ぎりぎりのデータに

なりましたので、それで、発芽しない状況で見たのが表 4で、発芽しない状況でDNAで見た

ところ非常にきれいに分離したので、それで、問題ないのかなと判断した次第です。

【大澤主査代理】 分かりました。了解です。

【篠原主査】 ほかにございますか。それでは、次……。

【大澤主査代理】 ちょっとごめんなさい。やっぱりそこはもうちょっと分かりやすく

書いた方がいいかな。今のところ、発芽率というのを今聞いたらそれですぐ了解したんで

すが、この流れは、分かった人が書いている感じですかね。表 3で自殖後代も分離したこ

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とは分かったんだけども、発芽率が低かったため、PCRでのという、何ですかね。ほかはや

らないわけですよね。

【農研機構】 ほかは発芽率が十分高かったので問題ないんですが、例えば遺伝子が入

っているものだけが発芽率が低いとかいうようなバイアスがあったらいけないので、それ

で、遺伝的にどうかというのを表 4で見たんですけれども、通常、発芽率が問題ない場合

は……。

【大澤主査代理】 見ないですよね。

【農研機構】 そういう必要はないと思うんですね、PCRで見る必要は。

【篠原主査】 それでは、次へ行きます。3 の遺伝子組換え生物等の使用等に関する情

報、21ページからです。

【加藤委員】 すいません、前のところで 1つよろしいですか。すいません。

【篠原主査】 どうぞ。何ページか言って。

【加藤委員】 19ページです。表 5と 6。これ、このデータからいくと、有害性がない

ということですが、お伺いしたいのは、この実験の根拠というのを。例えば表 5でいくと、

イネ 1 個体を 5 か月栽培した土を使われています。それから、表 6 は、3 個体分の葉を重

量比 5%で混合されています。この 5%と、その前の部分の、何か根拠があってこれを使わ

れているんでしょうか。例えばこれ、別の数字を使うと差が出るんでしょうか。

【農研機構】 今回こういうふうにやったのは、実は私たちの研究所は、先ほどもちょ

っと申し上げましたけれども、WRKY45とか別の遺伝子をずっとやっていた蓄積がございま

す。WRKY45というのも、今回と同じように病害抵抗性のイネの遺伝子を発現させたものだ

ったものですから、正直に申し上げますと、その申請書で書かれていて通っていたのと全

く同じような条件を想定して今回行ったというのが正直なところでございます。前任者の

で通っていたので、この条件でやればいいのかなと思ってやった次第です。

【加藤委員】 分かりました。

【篠原主査】 もちろんそれは何かを参考にして、これまで生物資源研、農研機構で皆

さんがやってきた手法にのっとってやっているわけでしょう。

【農研機構】 そうですね。

【篠原主査】 そうですよね。

【加藤委員】 だけど、これ、1個体だったり、5%というのが根拠がないと、この実験

自体の意義付けというのがどうなんでしょうか。

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【農研機構】 多分ネガティブコントロールというか、ポジティブコントロールみたい

な事例が、例えば生物多様性影響評価をするときに有害であったというようなものがあっ

て、そこのポイントとそろえるということができれば望ましいとは思うんですけれども、

多分そういうものは存在しないので、こう言っては何ですけれども、ある条件でやってみ

るしかないのかなというふうに。とことんまで差が出る条件を追求するのが目的ではない

かと思ってはおります。

【加藤委員】 結構です。

【篠原主査】 いいですか。

はい。

【吉田委員】 済みません、今のに関連で。それぞれ 2系統ずつ組換えの系統を使って

らっしゃると思うんですけれども、例えば今の表 5、表 6のようなところでは、1系統分の

データしかお示ししていませんけれども、それは、ないけれども本当はやっていてという

ことなのか、それとも、1 つの系統だけのデータを示せば十分というふうにお考えになっ

ていらっしゃるのかお聞かせください。

【農研機構】 それも今までの事例にのっとってやったような気がしますが……、ちょ

っと待ってください。

そうですね、PR1bとUbi7については 2系統ずつ実際やっていまして、同じような感じで、

WRKY、以前の申請書でたしか 1つ出ていたと思ったので、それと同じような形で 1つ出し

たんですけれども、Ubi7については、これは 1系統で行って、それで、1系統の結果を出

したという形になります。ごめんなさい、Zea maysユビキチンの場合は 1 系統で行いまし

た。

【篠原主査】 本当はもっとたくさん調べているということはないですか?

【農研機構】 PR1bとUbi7 は 2系統ずつ調べて、そのうち 1系統を出しているというの

はありますけれども。

【篠原主査】 例えばいろいろな交配家系を持っていて、T3ぐらいまでやっていますよ

ね? そういう家系の中で代表的な結果をここに示してはいるけれども、それ以外の、例

えば抵抗性のなかった弱かったものとか、そういうものについては調べてないのですか?

【農研機構】 ただ、アレロパシーに関しては……。

【篠原主査】 調べるは結構大変だから。

【農研機構】 そうなんです、組織を集めたりするのが結構大変なので、最終的な段階

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のものを基本的に使っております。

【篠原主査】 分かりました。確かにね。

【農研機構】 我々としても、有害物質の産生性に差があるものを探すのが目的ではな

いというところもございました。

【篠原主査】 分かります。

じゃ、次に行きますが、先ほど言ったように、遺伝子組換え生物等の使用等に関する情

報、21ページから。何か御意見ありますでしょうか。

多分ここはないですよね。

それでは、第二の項目ごとの生物多様性影響の評価、23ページからですが、生物多様性

影響評価書の 23ページからについて御意見ございますか。3つのイベントで書きぶりはほ

ぼ同じ、全く同じだと思いますけれども。

それでは、第三の生物多様性影響の総合的評価、28ページ以降について御意見ございま

すか。

【大澤主査代理】 よろしいですか。ちょっと戻ります。交雑性のところの雑草イネの

記述が、これ、前も何か引用してくださいと言ったような。要するに、場合があると。雑

草イネにいろいろあると考えられているが、交雑に由来すると考えられると、ずっと、誰

がどういうふうにそれを考えたのかが分からないの。引用があるなら引用すべきかなと。

【農研機構】 それは 3ページ。

【篠原主査】 26ページですか?

【大澤主査代理】 26ページのところ、3ページにあるの?

【篠原主査】 3ページ?

【農研機構】 雑草イネですよね。宿主の性質のところに引用があるかな。

【大澤主査代理】 なかったように。

【農研機構】 多分、3ページにこれに対応するところがあるので、ここに……。

【大澤主査代理】 ああ、ここね。

【農研機構】 ここをまた引くということになりますかね。

【篠原主査】 リファレンスの 2番、3番が該当しますかね。

【大澤主査代理】 これ、マル 2に書いてあるので、余りこう。だから、ここで引用で

特定しちゃっているんだから、ここは、考えられる、考えられるじゃなくて、断定しちゃ

っていいんですよねということ。

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【農研機構】 そうですね。

【大澤主査代理】 この記述だと、申請者が推定しているみたいになっちゃうので、明

確に 3ページのマル 2で引用して書いてあるので、その書きっぷりでそのまま持ってくれ

ばいいのかなと思います。

【農研機構】 ありがとうございます。

【大澤主査代理】 由来するとされているとか、そういうふうにしないと、断定ができ

ないじゃないですか、関係ないというふうに。

すいません。以上です。

【篠原主査】 総合評価のところで何かありますか。 ここのところはちゃんと断定し

て書いていますよね。「生じる恐れはないと判断した」と。

【大澤主査代理】 いいと思います。

【篠原主査】 ここは毎回同じだからな。

どうでしょうか。全体を通して何か聞き忘れたところ等あれば、再度御意見をお願いし

たいのですが。

それでは、本審査案件について、皆様からの意見のまとめに移りたいと思いますが、よ

ろしいでしょうか。

これ以降は、申請者の方は後ろの控え席へお戻りください。

<申請者、控え席へ移動>

【篠原主査】 それでは、事務局より説明をお願いします。

<資料配付>

【廣谷専門職】 今、事務局より配付をさせていただいておりますのは、今回御議論い

ただいたことの取りまとめの意見の案でございます。

【篠原主査】 1-1から 1-3まで 3つ分あると思いますが。

【廣谷専門職】 案件の右上に、意見案 1、2、3 とございまして、それぞれ資料 1-1、

1-2、1-3に対応した状況になっております。意見案 1を中心に御説明させていただけれ

ばと思います。

1、第一種使用規程の承認の申請者、遺伝子組換え生物等の種類の名称及び第一種使用等

の内容。

名称、広範な病害抵抗性イネ(BSR1遺伝子発現イネ)(Oryza sativa L. PR1-BSR1)。

(2)第一種使用等の内容、隔離ほ場における栽培、保管、運搬及び廃棄並びにこれらに付

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随する行為。

(3)申請者は農研機構でございます。

2、当該申請に対する意見。

(1)生物多様性影響評価の結果について。本遺伝子組換えイネは、pBR322 をもとに構築

されたpZH1のT-DNA領域をアグロバクテリウム法により導入し作出されている。本遺伝子

組換えイネには、ハイグロマイシン耐性を付与する大腸菌由来のHPT遺伝子及びイネ由来の

感染誘導性プロモーターであるPR1bの下流にイネ由来の病害抵抗性を制御するリン酸化酵

素をコードするBSR1遺伝子等が導入されている。

1.競合における優位性。イネは、我が国における農耕の歴史とともに存在し、これまで

の経験から通常の使用法の範囲で扱う限り、水田や畑地で野生化、雑草化するおそれは極

めて少ない。

本遺伝子組換えイネは、BSR1 遺伝子発現カセットの移入により、いもち病等の病害に対

する抵抗性が付与されていることが期待されるが、野生植物との競合性は、宿主イネ本来

の生活サイクルや繁殖様式、形態的・生理的形質といった固有の特性に大きく依存してい

ることから、自然条件で、本遺伝子組換えイネの競合性が高まることは考えられない。

本遺伝子組換えイネは、ハイグロマイシンに対する耐性が付与されているが、ハイグロ

マイシンが自然環境下に高濃度で存在することは無いため、同物質への耐性を有すること

が、競合における優位性を付与するとは考え難い。

更に、本申請では、本遺伝子組換えイネについて、第一種使用規程に従って使用等し、

隔離ほ場外への意図しない持ち出しを防止することとしている。

これらのことから、隔離ほ場における本遺伝子組換えイネの第一種使用等により影響を

うける可能性のある野生動植物等は特定されず、競合における優位性に起因する生物多様

性影響が生じるおそれはないとの申請者による結論は妥当であると判断した。

おめくりいただきまして、2.有害物質の産生性。

本遺伝子組換えイネは、イネの病害抵抗性を制御するリン酸化酵素をコードするBSR1遺

伝子を発現するが、同酵素に毒性があるという報告はなく、既知のアレルゲンと構造的に

類似性のある配列は認められなかった。

HPTタンパク質は、同タンパク質を含む生物が組換えDNA技術応用食品及び添加物の安全

性審査の手続を経た生物として公表されている。

また、本遺伝子組換えイネについて、レタス種子の発芽率等を評価指標とした後作試験

Page 21: 研究開発段階の遺伝子組換え生物等の第一種使用規 …広範な病害抵抗性イネ(BSR1遺伝子発現イネ) (Oryza sativa L. PR1-BSR1) 資 料1-2:第一種使用規程承認申請書及び生物多様性影響評価書

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及び鋤込み試験を行ったが、本遺伝子組換えイネと宿主イネの間に有意な差は認められな

かった。

更に、本申請では、本遺伝子組換えイネについて、第一種使用規程に従って使用等し、

隔離ほ場外への意図しない持ち出しを防止することとしている。

これらのことから、隔離ほ場における本遺伝子組換えイネの第一種使用等により影響を

受ける可能性のある野生動植物は特定されず、有害物質の産生性に起因する生物多様性影

響が生じるおそれはないとの申請者による結論は妥当であると判断した。

3.交雑性。

野生種イネであるO.nivara、O.rufipogon等は、栽培種イネ(O.sativa L.)の近縁野生

植物であり、交雑することが知られているが、これら近縁野生植物が我が国に自生すると

いう報告はない。

更に、本申請では、本遺伝子組換えイネについて、第一種使用規程に従って使用等し、

隔離ほ場外への意図しない持ち出しを防止することとしている。

これらのことから、隔離ほ場における本遺伝子組換えイネの第一種使用等により影響を

受ける可能性のある野生動植物等は特定されず、交雑性に起因する生物多様性影響が生じ

るおそれはないとの申請者による結論は妥当であると判断した。

(2)生物多様性栄養評価書を踏まえた結論。

以上を踏まえ、本遺伝子組換えイネを第一種使用規程に従って使用等した場合に生物多

様性影響が生ずるおそれはないとした生物多様性影響評価書の結論は妥当であると判断し

た。

残りの学識経験者意見案 2、3につきましては、違いの部分だけお伝えいたします。

まず 2の方なんですけれども、1の(1)の名称の部分、名称が変わっていますということ。

2 の(1)の真ん中部分、プロモーターの説明がございますが、ここがUbi7になっているとい

うところが違いでございます。

3につきましても場所は同様でございます。2の部分については更に、由来がトウモロコ

シ由来というふうに変わっているというところが違いになってございます。

御説明は以上です。

【篠原主査】 それでは、御提案いただいたような案文でよろしいでしょうか。何か御

意見あれば。

はい、どうぞ、阿部委員。

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【阿部委員】 ささいなことですが、意見案の 3番目のものに関しては、恐らく申請書

に従えば、ユビキチン 7の 7は必要ないのではないかと。

【廣谷専門職】 すいません、失礼しました。大変失礼しました。

【阿部委員】 そうすると、1番のところ、2番の(1)の 4行目のプロモーターの説明の

ところと 2か所修正。

【廣谷専門職】 ありがとうございます。

【篠原主査】 ほかに。

それでは、今の修正を事務局にお願いして。いいですね。もう一度、各委員に送ってい

ただきますか。そこのタイプミスというか脱字ですので。昨日読んでいて、私は気付きま

せんでした。

それでは、修文なしということで処理させていただきます。今、阿部委員からの御指摘

のあった点だけは直していただければと思います。

この案のとおりにしますけれども、事務局から修正した点についてお送りいただかなく

てもいいということで処理させていただきますので、どうぞよろしくお願いします。

大体 1時間 5分でここまで来ていますけれども、10分ぐらい休憩を取ってもよろしいで

すか。事務局の説明が一番長いからお疲れでしょうし、10分ぐらい休憩を取ります。5時

までには終わらせるように私も進行させますので。それでは、3 時 5 分から再開というこ

とでお願いします。

( 休憩 )

【篠原主査】 それでは、再開したいと思います。次は、農研機構からの申請ですが、

スギ花粉ペプチド含有イネについて、学識経験者の皆さんの意見をお伺いします。

申請者の方は、申請者席へお願いします。

<申請者、申請者席へ移動>

【篠原主査】 事務局より本資料の説明をお願いいたします。

【廣谷専門職】 それでは、資料 2について御説明差し上げたいと思います。こちらで

すけれども、前の申請書と共通する部分も多いですので、ところどころ省略させていただ

ければと思います。

申請者、農研機構。

遺伝子組換え生物等の種類の名称ですが、スギ花粉ペプチド含有イネになってございま

す。

Page 23: 研究開発段階の遺伝子組換え生物等の第一種使用規 …広範な病害抵抗性イネ(BSR1遺伝子発現イネ) (Oryza sativa L. PR1-BSR1) 資 料1-2:第一種使用規程承認申請書及び生物多様性影響評価書

- 23 -

使用等の内容以下の内容については、全て今回の申請案件共通でございますので、割愛

させていただきます。

最初のイネの情報も割愛させていただきます。8ページ目、2.遺伝子組換え生物等の調

製等に関する情報ということで、供与核酸に関する情報が表 2に書いてございます。カセ

ット 3 つが挿入されておりまして、1 つ目が 7Crp遺伝子発現カセット 1 です。GluB-1 プ

ロモーターで、イネ胚乳での転写を誘導するプロモーターです。その下流にシグナルペプ

チド、7Crp、こちらについては後ほど詳しく御説明しますけれども、機能としては、スギ

花粉中のタンパク質、Cryj1、Cryj2 由来で、ヒトのスギ花粉抗原特異的T細胞が認識す

る 7か所の配列を連結させた人工ペプチドをコードする配列となってございます。あと、

またシグナル配列があって、GluB-1ターミネーターとなっております。

2 つ目のカセットは、7Crp遺伝子発現カセット 2 となってございます。ここの違いにつ

いてですけれども、ターミネーターがGluB-4 ターミネーターになっているというところ

が違いでございます。

9ページ目、最後に、2mALS遺伝子発現カセットとなってございます。カルス選抜プロモ

ーターの下流に 2mALS、2点変異型アセト乳酸合成酵素遺伝子ですけれども、これが入って

おりまして、最後に 10kDaプロラミンターミネーターが入っております。

おめくりいただきまして、10ページ目、構成要素の機能でございます。本遺伝子組換え

イネは、以前の表 2に示した 2連結した 7Crp遺伝子発現カセットの働きによって 7Crpタン

パク質を胚乳特異的に発現するというものでございます。7Crpタンパク質は、スギ花粉中

の花粉症の原因となる抗原タンパク質Cryj1及びCryj2 に含まれており、ヒトのスギ花粉抗

原特異的T細胞により認識されるアミノ酸配列の部分を発現させたペプチドとなっており

ます。

具体的には図 1が分かりよいかと思いますので、次の 11ページをごらんください。この

7Crpですけれども、スギ花粉アレルギーを引き起こす抗原として同定されているスギ花粉

抗原タンパク質Cryj1、Cryj2 に対して、スギ花粉抗原特異的なT細胞によって認識されるT

細胞エピトープがこの中で計 7か所あるということが知られています。このうち、一連の

アレルギー反応に必要とされる抗原特異的IgE抗体との結合性をなくして、T細胞の認識部

位だけを取り出し順番を入れ替えたものというものが、ざっくりですけれども、7Crpとな

っておりまして、具体的には図 1のとおりとなってございます。

10 ページ目に戻りまして、表 3 の下、「また」からです。また、表 2 に示しております

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2mALS遺伝子発現カセットは、ちょっと飛ばしまして下の部分、イネカルスにアセト乳酸合

成酵素、除草剤のビスピリバックナトリウムの耐性が付与されるということで、同除草剤

によるカルス選抜が可能になるというものになってございます。

12ページですけれども、ベクターに関する情報ということです。先ほど申し上げたとお

り、以下のとおり、7Crpのカセットが 2連結した状態のものとなってございます。

13 ページに特性がございます。こちらもトータル 17.1kb、T-DNA領域は 10.5kbのもの

となっており、大腸菌及びアグロバクテリウムにおけるシャトルベクターとなってござい

まして、スペクチノマイシン耐性を付与するものです。

(3)遺伝子組換え生物等の調製方法です。ロ、移入方法ですが、アグロバクテリウム法に

よっております。

ハ、遺伝子組換え生物等の育成の経過です。基本的な流れは先ほどと同様なんですけれ

ども、プラスミドを保持したアグロバクテリウムをイネ種子胚盤由来のカルスに感染させ

て、ビスピリバックナトリウムを含む選抜培地で選抜をして、イネの再分化当代、T0世代

を取得しております。このうち、サザンブロット解析を行って、T-DNAが 1コピー挿入さ

れていると推定される系統を選抜し、自殖後代T1系統群を取得しております。更に、アグ

ロが残存していないということを確認した個体から自殖後代T2、T3 及び原品種の「どんと

こい」とT1 を掛け合わせたF1、あるいは更にF1 同士を掛け合わせたF2 を作製しておりま

す。この隔離ほ場栽培試験では、こうした除菌後の後代種子を使用するということも記載

されております。

ニ、第一種使用等を行う系統についてです。今回の申請は、隔離ほ場で以下の 3つにつ

いて解析することを目的としております。具体的には、草丈、稈長、有効分げつ数等の生

育調査、7Crpタンパク質の発現量調査及びラットを用いた安全性調査、導入遺伝子の効果

の安全性の検証を行うことを目的としております。今回、最大 5系統程度の栽培を計画し

ているとのことです。

次の 15ページに移りまして、(4)細胞内に移入した核酸の存在状態及び当該核酸による

形質発現の安定性についてです。イ、移入された核酸の複製物が存在する場所としまして、

作製したF2世代において、2mALS遺伝子の有無を、PCR解析を行って移入した核酸の有無を

確認しました。その結果は表 4のとおりになってございますけれども、移入した核酸の分

離はメンデル分離に適合していることが確認された。そのため、移入した核酸が染色体上

に存在するということが考えられたと記載があります。

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次のロですけれども、こちら、移入された核酸の複製物のコピー数等の話です。T1系統

のサザンブロット解析を実施して、目的の核酸が遺伝子組換えイネ中に 1コピー移入され

ているものを選抜しております。その結果が図 3でございまして、下の方にあります。こ

ちらもトータルDNAに対してHindIIIで消化して、ALS領域をプローブとしてサザンを行って

おります。

次、17ページです。ハからですけれども、個体間及び世代間での発現の安定性としまし

て、T1からT3のトータルDNAをテンプレートとしてPCRを行っております。その対象領域と

しましては、図 4ですけれども、7Crp遺伝子のコード領域及びその上流配列部分にプライ

マーを設計しており、PCR増幅によって導入遺伝子の存在を確認し、複数世代で伝達されて

いることを確認しております。

続きまして、その中段、(5)遺伝子組換え生物等の検出及び識別の方法です。こちらは先

ほど同様、トータルに対してプライマー対を用いることによって、PCRあるいはサザンによ

って検出、識別が可能であるというものでございます。

(6)宿主との相違でございます。イ、今回の遺伝子組換えイネ種子T1からT3の全タンパ

ク質のイムノブロット解析を行ったところ、結果は図 5、6になっております。次のページ

です。7Crpタンパク質の複数世代における種子での発現が確認されたとともに、茎、葉、

根での発現が確認されなかったというものになってございます。また、この相違ですけれ

ども、選抜マーカーが入っておりますので、ビスピリバックナトリウム等のスルホニルウ

レア系の除草剤耐性が付与されています。

18ページ下段のところは先の申請と基本的に一緒ですので、20ページに移りたいと思い

ます。こちら、脱粒性のデータがございますけれども、原品種と同じく脱粒性難であると

いうこと。

7)の有害物質の産生性です。本遺伝子組換えイネの種子中に蓄積する 7Crpタンパク質は、

種子中では難溶性の種子貯蔵タンパク質として蓄積しているため、イネのその他の代謝に

関わる酵素の基質となることことや、酵素活性を有するとは考えにくいということ。また、

GluB-1 プロモーターによって種子でのみ発現を誘導していることから、種子以外では発

現を誘導しないということになっています。そのため、7Crpタンパク質がイネのこれらの

組織の代謝系を変化させるということは考えにくいというものでございます。

また、7Crpタンパク質が既知のアレルゲンとの相同性がないかを調査するため、相同性

検索を先ほどの申請と同じように検索を行ったところ、次のページをめくっていただいて、

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21 ページの 5行目からですけれども、検索の結果、7Crpタンパク質は、スギ花粉アレルゲ

ン及び類似の既知の花粉アレルゲンとの相同性を示したというものでございます。7Crpタ

ンパク質は、スギ花粉中の花粉症の原因となるCryj1とCryj2に含まれるスギ花粉症アレル

ゲン由来であるということから当然相同性を示すものではございますけれども、これまで

の研究から、スギ花粉アレルギー患者のIgE抗体との結合性を示さないということが明らか

にされており、アレルギー反応を引き起こす可能性は極めて低いということが考えられて

おります。

また、選抜マーカーでは、2mALSというのはイネの自然変異体が産生するものと同等であ

るということ、また、既知のアレルゲンとの相同性の有無を 7Crpと同様に調査をしたとこ

ろ、類似の配列は認められなかったということが分かっております。

続きまして、後作試験、鋤込み試験を先ほどと同様に行ったところ、結果が次のページ

になってございます。いずれの試験においてでも、レタスの発芽率、幼根長及び下胚軸長

に有意差はなく、有害物質の産生性に差がなかったということが分かっております。

それでは、25ページの考察の方に移りたいと思います。項目ごとの生物多様性影響の評

価です。1.競合における優位性ということで、影響を受ける可能性のある野生動植物の特

定でございます。本遺伝子組換えイネに移入された 7Crpタンパク質は、種子にのみ蓄積し、

ほかの形態・生理形質及び代謝系に影響を与えるとは考えにくく、野生植物に対する競合

における優位性を高めることは考えにくい。

また、2mALS遺伝子についてですけれども、カルスにおいては除草剤であるビスピリバッ

クナトリウム塩に耐性でありますけれども、通常の植物体内では発芽後は耐性を示さない

こと、また、ビスピリバックナトリウム塩が自然条件下で高濃度で存在するということは

ないため、同物質への耐性を有することが、競合において優位に働くとは考え難い。

また、今回のイネも、第一種使用規程に従って隔離ほ場に限定して使用等をするもので

あることから、最後の部分、以上の結果、競合における優位性に起因して影響を受ける可

能性のある野生植物等は特定されないということです。

26 ページ、(4)、これを受けまして、以上より、競合における優位性に関して影響を受

ける可能性のある野生植物などが特定されなかったことから、生物多様性影響が生ずる恐

れはないと判断したということでございます。

2.、有害物質の産生性です。(1)、本遺伝子組換えイネ及び宿主について、後作・鋤込み

試験を行ったが、アレロパシー物質生産性に有意差は見られなかったということ。また、

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イネの種子には 7Crpタンパク質が蓄積することから、アレルゲンデータベースを用いて類

似性検索及びシーケンスアライメントを行ったところ、スギ花粉アレルゲン及び類似の既

知の花粉アレルゲンとの相同性を示した。しかし、7Crpタンパク質は、ヒトT細胞が認識す

るエピトープのみで構成されており、スギ花粉アレルギー患者のIgE抗体との結合性を示さ

ないことが既に明らかにされており、アレルギー反応を引き起こす可能性は極めて低いと

考えられているということでございます。

また、2mALSについてですけれども、イネ自然変異体が産生するものと同等であり、また、

シーケンスアライメント、類似性検索を行っても、既知のアレルゲンと構造的に類似性の

ある配列は認められなかったということ、また、限定された隔離ほ場において栽培を行う

ものであるということから、最後、以上から判断して、影響を受ける可能性のある野生動

植物等は特定されないということでございます。

これを受けまして、(4)、生物多様性影響が生ずるおそれの有無等の判断としまして、以

上の結果より、有害物質の産生性に関して影響を受ける可能性のある野生動植物等は特定

されず、生物多様性への影響が生ずる恐れはないと判断をしております。

最後、交雑性の部分です。先ほど御審査いただいた部分と文章は全く同じですので、同

じ箇所を修正する必要があるとは考えておりますけれども、先の申請と同様に、我が国に

は交雑可能な近縁野生種が自生しているという報告がないことから、影響を受ける野生動

植物等は特定されないということです。以上を受けまして、(4)、以上から、影響を受ける

可能性のある野生動植物等は特定されず、本遺伝子組換えイネ及びその後代の第一種使用

等により生物多様性影響が生ずる恐れはないと判断したとしております。

最後、29ページ、総合的評価の部分です。一番下のパラグラフです。これらを踏まえて、

競合における優位性、有害物質の産生性及び交雑性について、影響をうける可能性がある

野生動植物等は特定されないことから、次のページですが、第一種使用規程に従った隔離

ほ場内での承認された範囲での限定された使用を行った場合には、生物多様性影響を生ず

る恐れはないと判断したというものでございます。

説明は以上になります。

【篠原主査】 それでは、本案件についても、項目ごとに区切って意見をお伺いします。

なお、先ほどと同様に、実験に係る事実関係は提出者へ、それから、法令上の整理等は事

務局に意見をお伺いします。

多分ないとは思いますけれども、まず第一の 1で、宿主又は宿主の属する分類学上の種

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に関する情報について、1ページ目からですけれども、御意見ありますでしょうか。

ないようですので、2番目、遺伝子組換え生物等の調製等に関する情報、8ページ目から

ですが、意見ございますでしょうか。ありませんか。

これは本質的なことではないんですけれども、このT細胞エピトープというのは、慈恵医

大と感染症研究所等で初めて同定されたものだと私は記憶しています。結合したエピトー

プの順番は、何かいろいろやって、試行錯誤でやってこういう順番になったんですか。

【農研機構】 いろいろなものを作ったとは聞いています。ただ、基本的にはこれは製

薬メーカーが最終的にこの形が一番いいだろうということで選んだものを、使用許諾を頂

いてこのものを作製したということですので、我々の部屋でこの組合せについて多様な研

究をしたということではございません。

【篠原主査】 分かりました。これは本質的なことではありませんので。

ほかに何かありますか。

はい、どうぞ。

【刑部委員】 すいません、大したあれじゃないかもしれないんですけれども、18ペー

ジの図 5 のイムノブロットなんですけれども、2 つの系統を見てらっしゃって、世代間の

発現量ですが、CRPの 1 番の方がT1、T2、T3 でちょっと発現が変わってくるんですけれど

も、これは原因が何か分かってらっしゃったりするんでしょうか。

【農研機構】 基本的に発現量については、導入部位等で発現の強弱が出てくるという

ことがございます。それから、冬季に栽培した種子に関しては発現量が若干高くなるとい

うことが言われています。それからあと、栽培期間が、晩生というか比較的長期間の栽培

をするとタンパク含量が下がる。いろいろなことがあってタンパク含量の温室内での発現

量は調べることが難しいんですけれども、基本的にはきっちり発現しているということを

確認し、最終的にはなるべくきれいに発現して高いものを選びたいということで、そうい

う目的もございまして幾つかの系統を栽培するということにしております。

【大澤主査代理】 今の御質問は、T1、T2、T3で強くなってない? という。

【刑部委員】 だんだん強くなっていくように一見見えてしまうので。

【大澤主査代理】 そう見えるんですという。

【農研機構】 これですか。そういう意味ですか。

【刑部委員】 それがもし意味があるのであればと。

【農研機構】 種子のサイズ等も微妙に変わってきてしまいますので。あと、T1、T2、

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T3 で栽培時期が違いますので、これで一概にT3で高くなったとか、そういうことを言うこ

とはなかなか難しいかなと。

【篠原主査】 分析は同時にやっているんだよね。

【農研機構】 はい、これも含めて。

【篠原主査】 種子のストック期間が違うということですか?

【農研機構】 T1 を育てたときの時期とT2 を育てたときの時期とT3 を育てたときの時

期が違いますので、それだけで発現量が変わってきてしまいますので、発現量の比較とい

うことであれば、T1、T2、T3 を同じ時期に栽培して比較しないとなかなか発現量の比較は

難しいということです。これはT1 を育てて、そのまますぐT2 で、T3 なので、栽培時期の

栽培条件等の違いで若干発現量に差があるように見えているのではないかと私は考えてお

ります。

【刑部委員】 分かりました。

【篠原主査】 ほかにありますか。

【加藤委員】 7)番のところで、図でいうと 22ページ。さっきのところで、適当な実験

ができないからということだったのと、アレロパシーの影響がない、差がないと言われる

にはやっぱりちょっと気になりますので。例えばこの表 7ですが、これ、この濃度でされ

ているんですけれども、適当なコントロールはないですか。

【農研機構】 昨年と同じ試験ということで実施しているんですが……。

【加藤委員】 いやいや、コントロールは、何も入れてない、土だけにレタスの発芽試

験をしたコントロールはありませんか。

【農研機構】 そういう実験もしているんですが……。

【加藤委員】 というのは、稲わらを粉にして土に混ぜてレタスを植えたりすれば、き

ちっと適正な濃度であれば、イネはたくさんのフェノール性物質やモミラクトンを含んで

いますので、必ず抑制されます。その抑制が出た濃度であれば、それと比較して差がない

というのであれば、ある程度適切な濃度を使われているのかとそういう判断ができるんで

すが、この表だけだと、さっきお答えがあったんですけれども、ちょっと違うなと思った

ので、お伺いしています。

【農研機構】 昨年も同様の質問を受けて、当然コントロールとして入れてないものを

やって、きちんとこの条件で、抑制が起きていることを確認している条件で試験を実施し

ていると。

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【加藤委員】 そういうお答えをしてもらったらよかったんですね、さっき。

【農研機構】 イネは確かに相当鋤込みをすると生育阻害が出るので、確かに生育阻害

が出る濃度で実験をしているという答えをするべきでした。

【大澤主査代理】 そのデータ出してもおかしくないですよね。何でデータ出さない?

【農研機構】 昨年も同様の質問があって、あえて記載しなくてもいいということにな

ったので、全く同じ形でデータを出させていただいているんですが。

【上口委員】 ポジコンというか、ちゃんとした比較データがある方が、ちゃんとした

データ、ちゃんとした場所、そういう領域のところで出しているということになるんじゃ

ないでしょうか、と思いますが。

【加藤委員】 発芽率 100%というのは、これもちょっと驚くような値ですよね。

【農研機構】 非常に新しい種を使用し、かつ目視で、明らかにいい種と悪い種という

のは、レタスの場合、比較的判断がしやすかったので、なるべく悪い種はじいて、そして、

選んだものをまいたところ、100%でした。

【篠原主査】 これも基本は藤井義晴さんの開発された方法でやっているんでしょう?

違いますか?

【農研機構】 はい、そうです。

【加藤委員】 その藤井法には濃度は書かれているんでしょうか。

【篠原主査】 書いてあるはずですよ。

【加藤委員】 書いてありますか。

【農研機構】 それに合わせているので。

【篠原主査】 リファレンスには必ず藤井さんの論文を入れていますよね。

【農研機構】 はい。なので、論文にはちゃんとアレロパシーが起きる条件での試験と

いうことで書かれています。

【加藤委員】 いいです。

【篠原主査】 次回申請するような場合には、今お二方から意見が出たように、ポジテ

ィブコントロールというか、そういうものを表現するような工夫をされるとより良くなる

と思います。基本的にやっていることは、藤井さんの方法でやっているのであれば問題は

ないと私は信じています。

【大澤主査代理】 評価のポイントが、要するに、宿主と変わらないかどうかを見るの

で、そういう面でポジコンをどう扱うか難しいんですけどね。宿主も抑制されている、組

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換え体も同等ほど抑制されている、したがって、その影響はないというようなロジックを

ちゃんと作らないといけないのかなと。

【農研機構】 文章的には……。

【大澤主査代理】 だから、ポジコンの扱い方ですよ、コントロールの。もし入れるな

らば、そういうことですね、加藤先生、多分。

【加藤委員】 はい。

【大澤主査代理】 要するに、もともとイネを鋤込んだら、抑制されちゃうんですよと。

だけども、組換え体入れても同じ程度の抑制ですよと。したがって、過剰な影響はないと

判断するというのがロジックなので、そういう方がかえって素直。

【農研機構】 イネの阻害作用と同程度、宿主と同程度の阻害作用と言えば……。

【大澤主査代理】 宿主の阻害作用と同程度、それ以上のものではないというようなの

が、多様性影響評価のスタンダードですね。

【上口委員】 別に大したことじゃないんですけれども、16ページの図 3のサザンです

けれども、この左側ですけれども、基本的に同じところにバンドが出ているんですけれど

も、バンドの濃さが違うということで、HindIIIはこの中では切れないんですね。

【農研機構】 切れないです。

【上口委員】 切れないということは、形質の出方によって違うところにバンドが出て

くる。

【農研機構】 そういうことになります。

【上口委員】 たまたまこれがワイルドと似たような場所だったというところ?

【農研機構】 そうです。ワイルドタイプの上側のマイナーな非特異と思われるバンド

のところと偶然一致した。

【上口委員】 ということですね。

【農研機構】 私たち、この系統に関しましてはNGS解析を済ませておりまして、まず間

違いなく 1コピーだろうということも確認しております。

【篠原主査】 このサザンの結果はきれいですね。イネだったら、このぐらいの結果出

せますよね。

【農研機構】 実験者の腕にもよります。

【篠原主査】 続いて、3 の遺伝子組換え生物等の使用等に関する情報について、意見

ございますか。これはないですか?先ほどもほとんどなかったと思います。

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続いて、項目ごとの生物多様性の評価、25ページから、意見はございますか。

はい、どうぞ。

【吉田委員】 本質的なことではないんですけれども、ALSの遺伝子発現に用いたプロモ

ーターが胚で発現を誘導するということだと、後代の種子を使っても、一応発芽はビスピ

リバックに耐性だということなんでしょうか。

【農研機構】 その比較実験をしましたところ、ワイルドタイプとトランスジェニック

で差はありませんでした。実は胚の初期で強い発現があって、後期になるとすっと下がっ

てくるんです。そのせいで、多分完熟種子の胚には余り残っていないのではないかと考え

ております。

【吉田委員】 ありがとうございます。

【篠原主査】 それでは、第三の生物多様性影響の総合的評価まで含めて何か御意見あ

りますでしょうか?全体を通してでも構いませんので。

意見がないようなので、本案件について、意見のまとめに移りたいと思いますが、よろ

しいでしょうか。

それでは、申請書の提出者の方は、後ろの控え席へ御移動ください。

<申請者、控え席へ移動>

【篠原主査】 それでは、事務局より説明をお願いします。

<資料配付>

【廣谷専門職】 またこちら方からお配りしております意見案でございます。

第一種使用規程の承認の申請者、種類、名称等ですけれども、まず(1)名称が、スギ花粉

ペプチド含有イネ(7Crp、2mALS、Oryza sativa L.)となっております。

第一種使用等の内容ですけれども、隔離ほ場における栽培、保管、運搬及び廃棄並びに

これらに付随する行為。

申請者は農研機構でございます。

2、当該申請に対する意見です。

(1)生物多様性影響評価の結果について。

本遺伝子組換えイネは、pBR322 をもとに構築されたpCSP2mALS-GWのT-DNA領域をアグ

ロバクテリウム法により導入し作出されている。

本遺伝子組換えイネには、スギ由来のスギ花粉抗原特異的T細胞が認識する 7か所の配列

を連結させた人工ペプチドをコードする 7Crp遺伝子及びイネ由来の 2点変異型アセト乳酸

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合成酵素遺伝子等が導入されている。

1.競合における優位性。

イネは、我が国における農耕の歴史とともに存在し、これまでの経験から通常の使用法

の範囲で扱う限り、水田や畑地で野生化、雑草化するおそれは極めて少ない。

本遺伝子組換えイネは、胚乳特異的プロモーターにより 7Crp遺伝子の発現が制御されて

おり、遺伝子産物である 7Crpタンパク質は種子のみ蓄積し、他の形態・生理形質及び代謝

系に影響を与えることは考えにくく、野生植物に対する競合における優位性を高めること

は考えにくい。

本遺伝子組換えイネは、除草剤であるビスピリバックナトリウム塩に対する耐性が付与

されているが、ビスピリバックナトリウム塩が自然環境下に高濃度で存在することはない

ため、同物質への耐性を有することが、競合における優位性を付与するとは考え難い。

更に、本申請では、本遺伝子組換えイネについて、第一種使用規程に従って使用等し、

隔離ほ場外への意図しない持ち出しを防止することとしている。

これらのことから、隔離ほ場における本遺伝子組換えイネの第一種使用等により影響を

受ける可能性のある野生動植物等は特定されず、競合における優位性に起因する生物多様

性影響が生じるおそれはないとの申請者による結論は妥当であると判断した。

次のページです。2.有害物質の産生性。

本遺伝子組換えイネは、種子中に蓄積する 7Crpタンパク質を蓄積している。7Crpタンパ

ク質はスギ花粉アレルゲン及び類似の既知の花粉アレルゲン(各種ヒノキ科針葉樹の花粉

アレルゲン)のみと相同性を示したが、これまでの研究において 7Crpタンパク質はスギ花

粉アレルギー患者のIgE抗体との結合性を示さないことが明らかにされており、アレルギー

反応を引き起こす可能性は極めて低いと考えられている。

2mALSタンパク質はイネ由来のALSタンパク質の 2つのアミノ酸を置換することで、イネ

の自然変異体と同一の配列を導入したものであり、既知のアレルゲンとの類似の配列は認

められなかった。

また、本遺伝子組換えイネについて、レタス種子の発芽率等を評価指標とした後作試験

及び鋤込み試験を行ったが、本遺伝子組換えイネと宿主イネの間に有意な差は認められな

かった。

更に、本申請では、本遺伝子組換えイネについて、第一種使用規程に従って使用等し、

隔離ほ場外への意図しない持ち出しを防止することとしている。

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これらのことから、隔離ほ場における本遺伝子組換えイネの第一種使用等により影響を

受ける可能性のある野生動植物は特定されず、有害物質の産生性に起因する生物多様性影

響が生じるおそれはないとの申請者による結論は妥当であると判断した。

マル 3、交雑性。

野生種イネであるO.nivara、O.rufipogon等は、栽培種イネ(O.sativa L.)の近縁野生

植物であり、交雑することが知られているが、これら近縁野生植物が我が国に自生すると

いう報告はない。

更に、本申請では、本遺伝子組換えイネについて、第一種使用規程に従って使用等し、

隔離ほ場外への意図しない持ち出しを防止することとしている。

これらのことから、隔離ほ場における本遺伝子組換え組換えイネの第一種使用等により

影響を受ける可能性のある野生動植物等は特定されず、交雑性に起因する生物多様性影響

が生じるおそれはないとの申請者による結論は妥当であると判断した。

(2)生物多様性影響評価書を踏まえた結論。

以上を踏まえ、本遺伝子組換えイネを第一種使用規程に従って使用等した場合に生物多

様性影響が生ずるおそれはないとした生物多様性影響評価書の結論は妥当であると判断し

た。

以上になります。

【篠原主査】 それでは、この御提案いただいたような案文でよろしいでしょうか。も

し何か御意見があればお願いします。

何も意見がないようなので、このままで行きたいと思います。

それでは、お配りした資料の案のとおりとしますが、これで修正なしということで、

事務局から修正案を頂くこともないかと思います。

では、次に移ります。もう休憩取らないでこのまま行きますので、よろしくお願いしま

す。それでは、農耕機構からの申請、資料 3-1 及び 3-2、シンク能改変イネについて、

御意見を伺いたいと思います。

申請者の方は、申請者席へお移りください。

事務局より本資料の説明をお願いします。

<申請者、申請者席へ移動>

【廣谷専門職】 それでは、資料 3-1、3-2について、2件まとめて御説明いたします。

申請者は、同じく農研機構から。

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遺伝子組換え生物等の種類の名称につきましては、シンク能改変イネとなっております。

以降の項目については、これまでの申請と同じですので、評価書 8ページ目へおめくり

いただければと思います。

評価書 8ページ目でございます。2.遺伝子組換え生物等の調製等に関する情報としまし

て、1.供与核酸に関する情報です。今回この組換えイネの中に入っておりますのは、以後

のカセットになってございます。3つのカセットが入っております。1つ目のカセットが、

OsCas遺伝子が入ったものになっておりまして、2連結の 35Sプロモーターの下流に核移行

シグナルや、イネに対してコドンを最適化したOsCas9 遺伝子、そして、ターミネーターが

くっついているというものになっております。

次の 9ページに、発現カセット 2としまして、ガイドRNAが入ったものになっておりまし

て、OsU6-2プロモーターの下にガイドRNAが入っているという状況でございます。発現カ

セット 3が、ハイグロマイシン抵抗性遺伝子が入ったものになっていまして、35Sプロモー

ターやハイグロマイシン耐性遺伝子が入っているというものになってございます。

9 ページ目の下の構成要素の機能です。ここからのページの部分については、前回ある

いは前々回もCRISPRの説明があったと思いますので、こちらは今回時間の都合割愛させて

いただいて、今回の対象となる遺伝子について説明を差し上げたいと思います。

13ページになります。ニ、OsCKX2/Gn1a遺伝子について。今回、化膿レンサ球菌由来の

CRISPR/Cas9システムによって特異的変異挿入ターゲットとなったOsCKX2/Gn1a(サイト

カインオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼ 2遺伝子)ですけれども、これはサイトカイニン

の分解反応を触媒する酵素をコードしているというものでございます。本酵素は側鎖を切

断し、アデニンと側鎖由来のブテナール化合物を生ずるものでございまして、シロイヌナ

ズナやイネ、トウモロコシ等での研究から、CKXは多重遺伝子族を構成しており、各遺伝子

で発現場所や発現様式が異なることが明らかになっている。OsCKX2/Gn1aはイネの花の分

裂組織などで発現しており、既存品種の「ハバタキ」では、本遺伝子の変異による発現レ

ベルが下がることで花芽の分裂組織中のサイトカイニン分解活性が低くなるため、サイト

カイニン含量が局所的に増加し、細胞分裂活性を高めたことから花の数が増加し、結果的

にイネの籾数が増加したものと考えられております。また、ノックアウト型の変異遺伝子

が中国の「5150」系統でも見つかっておりまして、この系統の形態学的特性として、「ハバ

タキ」以上の一穂籾数や枝梗数の増加が報告されております。

次、14ページ、ベクターに関する情報でございます。ベクターマップについては、以下

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のとおりでございます。

15ページに移りますけれども、組換え生物等の調製方法としまして、ロ、今回もアグロ

バクテリウム法によって移入をしているということでございます。

ハ、育成の経過についてです。これまでの申請と同様に、アグロバクテリウムをイネ種

子胚盤由来のカルスに感染させて、選抜培地で選抜を行って、イネ再分化当代、T0世代を

取得しております。この後更に、温室内で自殖させて、自殖種子T1系統群を得ておりまし

て、そこから更に、自殖後代T2系統群を取得しております。15ページ一番下、本隔離ほ場

栽培では、アグロバクテリウムが残存していないことを確認した系統のT2世代以降の種子

を使用するということが記載されております。

16ページ、ニ、第一種使用等を行う系統についてです。今回の隔離ほ場での試験におい

ては、1番、CRISPR/Cas9により創生された変異挿入の有無に関する調査であったり、草

丈、稈長、有効分げつ数等の生育調査。また、乾物重量、一穂籾数、種子稔実率、千粒重

等の収量性を調査することを目的としております。

その中で、本遺伝子組換えイネ系統後代では、最大 40程度の系統選抜を目的とした栽培

を計画しているとのことです。今回使用する系統のうち、「北陸 193 号」を原品種とした系

統につきまして、こちら、非開示の情報がありますけれども、フレームシフトによりスト

ップコドンが導入されて、OsCKX2/Gn1aの機能が破壊されたと推定される系統「16-51-

15b」を用いるということでございます。

次、17ページです。(4)、イ、移入された核酸の複製物が存在する場所ということです。

次のページ、図 3に、HPT配列を利用したPCR増幅によって導入遺伝子の有無を確認してお

ります。この結果から、図 3に示すように、自殖後代で導入遺伝子を持つ個体と持たない

個体が分離して出現しているということから、移入した核酸が宿主の染色体上存在してい

ると判断されたと記載があります。

次、18 ページです。「加えて」というところですけれども、サザンの結果、系統ごとに

異なるサイズの移入核酸のバンドが検出されているということで、こちら、図 4にサザン

の結果を記載しております。Dra1で切った後、OsCas9 の遺伝子断片をプローブとして検出

しております。こちらは制限酵素認識部位までの距離が様々であるということを反映した

ものであり、宿主染色体の任意の位置に移入された場合の典型的なパターンであるという

ことから、染色体上にあるというふうに記載しております。

また、次のページ、19ページ、ロです。コピー数ですが、今回のサザンの結果から、ハ

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プロイド当たり 1~3コピーであるということが推察されるという記載がございます。

その次、19 ページ下のハ、個体間及び世代間での発現の安定性です。T0 及びT1 世代の

緑葉におけるノーザンブロット解析を行った結果が、次の 20ページ、図 5になってござい

ます。同一系統の世代間、個体間で安定して発現しているということが、この結果から分

かるということでございます。

また、(5)、組換え生物等の検出及び識別の方法です。前段、PCRを行う、あるいはサザ

ンを行うというところについては、これまでの申請と同様の記載となってございます。2

パラ目からが追加されたものになっております。「加えて」からですけれども、移入遺伝子

の働きによって生じた、ターゲット遺伝子に挿入された変異は、仮に移入遺伝子が分離世

代で抜け落ちたとしても、挿入変異部位のシーケンス解析によりその有無を検出すること

は可能であると記載がございます。

20 ページ下、(6)宿主との相違、イです。本遺伝子組換えイネについてですけれども、

抗生物質耐性、ハイグロマイシン耐性を持つということで、次の 21 ページですけれども、

Cas9遺伝子の転写レベルでの発現が認められているということ、また、Cas9システムの働

きによって、OsCKX2/Gn1a遺伝子への 2本鎖切断に伴う修復過程での変異挿入により、酵

素機能低下又は酵素機能欠損を生じることから、結果的にイネの一穂籾数や枝梗数の増加

が期待できるというものになってございます。今回使っております「16-53-13a」系統の

ように 2塩基欠失の変異が生じた場合には、フレームシフトが起こり、機能欠損となるこ

とが期待されるというものでございます。

次のパラグラフですけれども、先のページにもありましたけれども、既存品種である「ハ

バタキ」においては、転写レベルの発現低下をもたらす変異によってOsCKX2/Gn1aの活性

が低下しており、中国の「5150」系統では、構造遺伝子上の変異によってOsCKX2/Gn1aの

機能が欠損しているということが分かっております。

また、CRISPR/Cas9システムの働きによる標的座位以外の変異挿入、いわゆるオフター

ゲットについて、CRISPR-Pソフトを用いてオフターゲットの候補となる配列について検索

をしたところ、オフターゲットスコアが 1.0を超えるものについては、インタージェニッ

ク領域であったりとか、イントロン配列上に変異挿入をもたらす領域であるということを

確認しているということです。また、21 ページ、最後のパラグラフ、「加えて」というと

ころですけれども、本評価書に記載した系統の生理学的又は生態学的特性及び同一の手法

で作出された系統の達観評価において、一穂籾数や枝梗数以外の変化は、これまでに認め

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られていないということでございました。

23ページ目、形態・生育の特性です。先行して得られた系統について、温室における観

察では、登熟後期の草丈、稈長、穂長、有効分げつ数に示すように、特筆すべき形態学的

差異は認められなかった。これは表 3から 6に示しております。一方、表 7、8、9に示す

とおり、温室で生育させた本遺伝子組換えイネの一穂当たりの 1 次枝梗数、2 次枝梗数、

一穂籾数は、宿主のそれよりも有意に変化をしているということでございます。表 7、8、

9 については 24ページに記載がございます。

しばらく飛ばしまして、25 ページです。5)種子の生産量、脱粒性、休眠性及び発芽率の

ところでございます。この組換えイネを温室栽培したところ、休眠性、発芽率に特筆すべ

き差異は認められなかったこと、また、脱粒性については、これまでの申請と同じように

確認をしたところ、表 10に示すとおり、宿主、親と変わらず脱粒性は中であるということ

が分かっております。

更に、26ページ、7)有害物質の産生性です。選抜マーカーであるHPTタンパク質ですが、

BSR1 の系統のときと話は同じですけれども、このタンパク質を発現したワタが既に審査・

公表されているということ、飛びまして、Cas9タンパク質に毒性があるという報告はなく、

既知のアレルゲンと構造的に類似性のある配列は認められなかったということが分かって

おります。また、後作・鋤込み試験を同様に行っておりまして、表 11、12のとおり、記載

がございます。こちらは 27ページです。こちらも宿主と比較して、有害物質の産生性に変

化がないと推察されると記載がございます。

続いて、考察の方に行きます。30ページです。第二、項目ごとの生物多様性影響の評価

です。1.、競合における優位性、(1)影響を受ける可能性のある野生動植物の特定です。本

遺伝子組換えイネは、ハイグロマイシン抵抗性遺伝子発現カセットを有し、選抜に有効な

高濃度の抗生物質が自然条件下に存在することは考えられないため、野生植物に対する競

合における優位性を付加するとは考えられないこと。また、Cas9発現カセットの移入によ

って、今回のGn1aの変異挿入によってGn1a酵素機能低下又はノックアウトになることで、

一穂籾数や枝梗数等のシンク容量が変化することが期待できますけれども、野生植物との

競合における優位性は、宿主イネ本来の生活サイクルや繁殖様式、形態的・生理的形質と

いった種固有の特性に大きく依存しているということ。

また、次のページ、31ページですけれども、その他の性質について、OsCas9遺伝子発現

カセットの移入によって、意図した形質以外について大きく影響を受けていないというこ

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とから、自然条件で本遺伝子組換えイネ又はその後代系統の競合における優位性が高まる

とは考えられないということ。また、本申請は、本遺伝子組換えイネ後代を第一種使用規

程に従い隔離ほ場に限定して使用するものであることから、その結果、最後ですけれども、

競合における優位性に起因して影響を受ける可能性のある野生植物等は特定されないとい

うふうに記載がございます。

これを受けて、(4)、以上より、競合における優位性に関して影響を受ける可能性のある

野生植物などが特定されなかったことから、生物多様性影響が生ずる恐れはないと判断し

ております。

めくりまして、32 ページ、有害物質の産生性ですけれども、(1)影響を受ける可能性の

ある野生動植物の特定。2 パラ目からです。本遺伝子組換えイネ及び宿主について、後作

試験及び鋤込み試験を行ったが、ほかの植物に対するアレロパシー物質生産性に有意差は

見られなかったこと。また、Cas9 タンパク質に毒性があるという報告はこれまでになく、

また、既知のアレルゲンと構造的に類似性のある配列は認められず、既知のアレルゲン性

についても想定されないということ。また、選抜マーカーであるHPTタンパク質は、同タン

パクを含むワタが既に審査・公表されていることから、同タンパク質に毒性があるという

ことは考えにくいこと。

また、CRISPR/Cas9システムによって特異的変異挿入ターゲットとなったOsCKX2/Gn1a

についてですけれども、既にその発現が減少した変異型遺伝子が既存品種である「ハバタ

キ」で見つかっており、また、ノックアウト型については中国の「5150」で見つかってい

ることから、今回の組換えイネについても同様であるということが考えられております。

また、次の 33ページですけれども、本申請は、限定された隔離ほ場において栽培を行う

ものであることから、下に行きまして、以上から判断して、影響を受ける可能性のある野

生動植物等は特定されないということでございます。

これを受けて、(4)生物多様性影響が生ずるおそれの有無の判断ということですけれども、

以上の結果より有害物質の産生性に関して生物多様性への影響が生ずる恐れがないと判断

をしております。

最後、34ページ、交雑性のところです。こちらについても、これまでと一緒ですけれど

も、我が国には交雑可能な近縁野生種が自生しているという報告がないことから、影響を

受ける野生動植物等は特定されない。これを受けて、(4)、交雑性に関して、生物多様性影

響が生ずる恐れはないと判断しております。

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35ページが総合評価になっております。以上、競合における優位性、有害物質の産生性、

交雑性について、影響を受ける可能性がある野生動植物等は特定されないことから、36ペ

ージ、最後の部分、隔離ほ場内での承認された範囲での限定された使用を行った場合には、

生物多様性影響を生ずる恐れはないと判断したというふうにございます。

続きまして、資料 3-2に移ります。違いの部分だけ御説明させていただければと思いま

す。まず名称、シンク能改変イネ。変わったところというのが、Oryza sativa L.の後のNIAS18

-、ここがCDAになってございます。こちらは、CDAという名前からもありますとおり、デ

アミナーゼを使った案件になってございます。

評価書の 8ページ目から説明いたします。今回変わったところですけれども、発現カセ

ット 1が変更しております。ここがCas9だったのが、nCas9-CDA遺伝子発現カセットにな

っておりまして、プロモーターの下流に付いているのが、Os nCas9 となっております。こ

れはイネのコドン最適化をしたCas9で、更にDNA2本鎖切断活性を失ったものでニッカーゼ

活性を持つものでございます。また、その後ろにLinker配列をつなげまして、ヤツメウナ

ギ由来のCDA遺伝子で、核移行シグナルやUgi遺伝子がくっついてございます。

発現カセット 2、3は共通なので、次は 14ページです。このボックスの部分については、

今回未公表データについて非開示なんですけれども、今回切断の対象となる配列の位置を

示しております。今回切断の対象となるのは、OsCKX2/Gn1aのうち 5か所、対象は 5か所

になっております。理由は後段で示しますが、本申請はこのうち 5 番目の変異を挿入した

系統で評価を行っております。

17ページに移ります。ニ、第一種使用等を行う系統についてです。中段部分、本遺伝子

組換えイネ系統後代では、最大 40程度の系統選抜を目的とした栽培を計画しているという

ことです。今回、「日本晴」を原品種とした系統としているとのことですけれども、そのう

ち、4 行下がって、「16-39-22b」という系統を使って評価を行うということです。その

行う理由についてですけれども、以下、4.読み上げます。

1つが、交雑可能な野生植物が我が国には存在しないこと。

1つが、導入変異がアミノ酸置換やフレームシフト等の変異を導入する可能性もあるが、

それによりコードする変異型OsCKX2/Gn1aの酵素活性が野生型タンパク質の活性を超える

ことは考えにくいこと。仮に酵素活性が高まったとしても、幼穂原基特異的に発現する遺

伝子であり、表現形質として一穂籾数に代表される穂の形態変化以外に影響を及ぼすこと

は考えにくいこと。加えて、各系統のOsCKX2/Gn1a遺伝子内のターゲット部位の変異につ

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いて、塩基配列は確認済みであること。

そして、ここですけれども、ここにデータを示さなかった系統、残りの 4系統について

も、同じ遺伝子に対し酵素活性が変化するように変異導入した場合には、程度の差はある

ものの同様の傾向が観察されていること。

また、隔離ほ場で行うことから、今回は「16-39-22b」で評価を行っているということ

です。

そのまま 18ページです。(4)、イ、移入された拡散の複製物が存在する場所としまして、

ゲノムDNAにHPT配列を利用してPCR増幅によって導入遺伝子の有無を確認しております。こ

れが図 4がその結果になります。また、先ほどと同様にサザンも行っておりまして、その

結果を図 5に示しております。この両方の結果から、染色体上に組換えカセットが入って

いるだろうということが結論付けられております。

また、ロです。図 5の結果から、これらの系統はハプロイド当たり 1~3コピー入ってい

るだろうということが推察されるということです。

また、次のページ、ハ、個体間及び世代間での発現の安定性についてです。ノーザンブ

ロット解析を行って、個体間、世代間で発現が安定していることが確認されております。

この結果が図 6になっております。

めくっていただきまして、23ページです。こちら、形態及び生育の特性というところで

ございます。今回、先行して得られた系統について、温室における観察では、登熟後期の

草丈、稈長、穂長、有効分げつ数については、先ほど同様に特筆すべき形態学的な差異は

認められませんでした。一方で、表 7、8、9に示すとおり、温室で生育させた組換えイネ

の一穂当たりの 1 次枝梗数、2 次試行数、一穂籾数は、宿主のそれよりも有意に変化をし

ているということでございます。ここにデータを示さなかった 4系統についても同様の傾

向が観察されているというものでございます。

25ページに移ります。種子の生産量、脱粒性、休眠性及び発芽率です。今回屋内栽培を

行ったところ、休眠性、発芽率に特筆すべき差異は認められなかったこと。また、脱粒性

について調査を行ったところ、表 10のとおり、宿主と同様の脱粒性難であったということ

が分かっております。

また、最後のデータの部分ですけれども、27ページです。本組換えイネを後作土壌及び

鋤込み試験を行ったところ、有意差がなかったものですから、有害物質の産生性について

変化がないと推察されるということでございます。

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説明は以上になります。

【篠原主査】 それでは、こちらも同じように、項目ごとに区切って意見をお伺いしま

す。先ほどと同様に、実験に関する事実関係は本申請書の提出者へ、法令上の整理等は事

務局に意見をお伺いします。

3-1 と 3-2 まとめてやりますので、御了承ください。まず宿主又は宿主の属する分類

学上の種に関する情報。これは大体同じですのでこれは飛ばして、8 ページからですが、

遺伝子組換え生物等の調製等に関する情報について、御意見はありますでしょうか。

どうぞ。

【上口委員】 サイトカイニンオキシダーゼを下がらなくするということだと思うんで

すけれども、サイトカイニンは基本的にイネの生育にずっといろいろ必要だと思うんです

けれども、これはこのタイプのCKX2というのが多分花芽のところで発現するかということ

だったんですけれども、ほかにほとんど発現する場所はないんでしょうか。形質に何か影

響が出るということはないんでしょうか。

【農研機構】 まさに名古屋大の方で発見された、「ハバタキ」から発見されたGn1、CKX2

なんですけれども、これまでに育種上でも「ハバタキ」型、ノックダウン型というのは育

種利用されていて、その中で特段、1次枝梗、2次枝梗の増加に伴う籾数の増加以外には、

今のところ大きな形態変化としては認められていないというのがこれまでの知見というこ

とになります。

【上口委員】 実際、籾数は増えて、実際、詰まるというところではどうなんでしょう

か。

【農研機構】 詰まるというのはいわゆる登熟歩合ということになると思うんですけれ

ども、ここがやはりこれまでの日本の国内での育種でも問題になっている部分で、ちょっ

と込み入った話になりますけれども、ソースキャパシティ、いわゆる光合成産物の供給量

が見合わないと幾らシンクを増やしても中が詰まらないという現象は、Gn1 を使った場合

の特有の現象でもあるということになります。

【上口委員】 あと、「北陸 193号」と、こっちが「日本晴」ですけれども、これは何か

目的があって違う宿主を使われているんですか。

【農研機構】 はい。目的が違っていて、これはいわゆるノックアウト型がCas9 になる

わけですけれども、やはりソースキャパシティを意識しながら宿主を選んでいるというこ

とになります。やはり光合成産物の供給量というものを意識しながら原品種を選定するこ

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とになります。供給量が少なければやはりノックダウン、供給量が多ければノックアウト

まで行けるんじゃないか等を考慮しながら選んでいるということになります。

【上口委員】 ありがとうございました。

【篠原主査】 刑部委員、オフターゲットのところは大丈夫ですか?

【刑部委員】 事前にin silicoで選抜されたということですので、記載で十分かと思い

ました。

【篠原主査】 ほかにございますか。

【大澤主査代理】 よろしいですか。「日本晴」の方で、「16-39-22b」でいろいろデー

タを取っていると。あとのA4つはほぼ同等な変異があるので、これでよかろうと。それは

いいんですけれども、大分後に、23ページには、もう一つのアミノ酸置換とか出てくるん

です。要するに、何が言いたいかというと、どれを対象にどういう評価をしているのかと

いうのがこれでは混乱しませんかと。

【農研機構】 大澤先生がおっしゃっているのは、5 個作っているのに、それぞれの表

のものがどれを基準に作られているかを……。

この記載については改変したはずでしたよね。

【農研機構】 これはそこまではいじってないです。

表 3から表 9までにあるものに関しては、先行して得られた系統、未公表データにつき

非開示のものについてということです。「16-39-22b」というのが先行してデータを取得

した系統で、23ページに記載した変異を入れたものになります。

【大澤主査代理】 それは申請者は分かっていても、これ、ぱっと読んだ限りにおいて

は分からないので、そこをちゃんと、どういう系統でどういうふうにつながりがあって、

どういうふうに見たのというのが少し分かるように整理していただけないかなと。

【農研機構】 書きっぷりの方にするか、それとも、表 3、表 4 とことごとく入れてお

くかというのを、どっちかで対応させていただきます。

【大澤主査代理】 そうそう。どっちに入れるか。じゃないと、この文言が入らないは

ずですよね。

【農研機構】 はい。

【農研機構】 申し訳ない。

【篠原主査】 どうされますか。それは表を足しますか。それとも、図表で説明するか、

文章で説明するか。

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【農研機構】 それぞれの表の宿主が先行系統のこれを使っているということを各表に

明示するという方向で行きたいと。

【篠原主査】 はい。それでよろしいですね。

【大澤主査代理】 はい。

【篠原主査】 どうぞ。

【陶山委員】 コメントなんですけれども、先ほどから度々話が出ているレタスの鋤込

みの話なんですけれども、27 ページですけれども、これだったらいいなと思うんですね。

何が違うというと、さっきのは 100%、100%でしたよね。さっきのやつをどうこう言うつ

もりは全くないので、コメントということで押さえていただければいいんですが、この場

合は、だから、発芽しないものがあるという状態なので、考え方によっては、ちゃんとア

レロパシーをディテクトできる材料を使っているというふうにも読めるので、これだった

ら、さっきのポジコンを使えという話も、やってもいいんですけれども、やらなくてもい

いような気が僕はするんですね。

さっきの 100%、100%となると、しかも、種を選んだとおっしゃっていたので、そうな

ると、ディテクトできないような状態じゃないの? という言い方もできてしまうので、

テストとしてはこちらの方が素直に読み取れると思います。なので、今後のということで

コメントで、このように、ポジコンを作るか、ポテンシャルとしてディテクトできる材料

を使ってますよというのが分かる材料を使った試験をしてもらうかという、どちらかだと

思います。

【篠原主査】 どうでしょうか? それは。

【農研機構】 農研機構の事務局としてコメントなんですけれども、先ほどの 7Crpのス

ギ花粉ペプチド含有イネの方については、ちょっとプロトコールが違うんですね。こっち

はアガロースを担体にしてやっていたりとか、研究室によって流儀が微妙に違うので、多

分……。

【大澤主査代理】 私もコメントしようと思うんですけれども、多分この 3つのイベン

トというか、全部違うんですよ。レタスは同じなんですけど、レタスということでは。要

するに、播種後 5 日後の明所、気温 27 度というのと、暗所、25 度で 3 日間で、しかもア

ガロース、今のは播種 5日後。一番すごいのは、最初のやつは播種 14日後。だから、別の

イベントなのでそれを横に比べる必要は全くないんですけれども、同じ機構でやっぱりそ

こら辺は、何をもってレタスのアレロパシーを見ているんだというのは、ラボの癖じゃ困

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るなという。特徴では。

つまり、どのステージを見るかでその影響は違いますよね。初期は物すごく効くけれど

も、ちょっとすると追いついちゃうとかいろいろあるので、そこは是非。今回においては

全くそれぞれ別イベントなので、イベントの中の 1、2、3はそろっているので、それは問

題ないと思うんですけれども、是非そこは今後検討していただいた方がいいかなと。

【農研機構】 ありがとうございます。

【大澤主査代理】 今、機構の事務局としてとおっしゃったので、あえて言いますが。

【農研機構】 恐らくこの申請書を串刺しにして比較しようと思ったら……。

【大澤主査代理】 いやいや、そうじゃない。比較をしてほしいということではないん

です。

【農研機構】 おっしゃることは分かります。

【大澤主査代理】 いろいろなレベルでいろいろなアレロパシーの検定をされているよ

うに見えてしまうと。結果としては何ら問題ないと思うんですけれども……。

【農研機構】 見せ方、見え方。

【大澤主査代理】 見せ方というか、見え方というか、これを公開された人がいろいろ

見たときに、都合のいいデータを、差がないところを取っているかのように誤解を招くん

です。ですから、みんな大体標準で。それで、先ほどほかの先生が言われたように、アレ

ロパシーはもともとイネにあるわけで、それも含めて出しちゃった方が、それで、何日後

明所でこの方法で評価しましたという方が、公開したときには分かりやすい。これから次

のときでいいと思うんですけれども。

【農研機構】 機構の中で標準化みたいなことはしていきたいなと思います。

【大澤主査代理】 違うと、そういう言い方は失礼ですけれども、うがった見方をされ

ることもなきにしもあらずなので。まあ、分かりませんけどね。データとしてそれぞれ独

立なので、合っていると言えば合っているんです。

【農研機構】 ありがとうございます。

【篠原主査】 農環研も生物資源研も名前がなくなり、農研機構に統合されたわけです

ので、やはり何か考えた方が良いかもしれません。よろしくお願いします。今後で結構な

ので、検討していただければと思います。

【加藤委員】 ちょっと助け舟を出したいんですけれども、発芽率に関しましては、先

ほど種を選ばれた場合は 100%に多分なったと思うんですけれども、この 85 というのは、

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別にアレロパシーが効いていて 85になったわけではなくて、普通に買ってきた種を普通の

状態でまけば、多分この値になっているんですよね。だから、種が採取年によっても数値

が異なってくると思いますので、やっぱり完全に統一することは不可能かなと思いますの

で、さっきおっしゃったように、コントロールを少しきちんと書けば、疑いようがないデ

ータになるのかなと思います。

【陶山委員】 私もそう思って、全部同じにするのは大変だと思うし、それよりもやっ

ぱりそれぞれの中で担保されていればいいだけなので、コントロールがあれば多分納得は

されると、恐らくはそう思います。だから、どちらでもいいとは思うんですけれども、と

にかくちゃんとディテクトできていますよということさえそれぞれが担保できればいいと

思います。

【農研機構】 ありがとうございます。

【農研機構】 何年か連続で多様性影響評価をしている者としては、先ほど大澤先生言

われたとおり、何がコントロールになるべきものなのかといった場合は、やはり宿主とい

うのがこの生物多様性評価上はこれがコントロールになりますので、そこにもう一個別口

のものを入れるかどうかは、やはり書きっぷりと、あとは、もう一個上の表の表 11の方で

は、これは稲わらを入れていないんですね。前の後作なので、そのままの土壌で。そうす

ると、当然、新鮮重は上がるわけですね。これがいわゆるポジコンに近いもの、本当に稲

わらの粉末、ましてや粉末を入れたら当然抑制は受けてしまうので、新鮮重は落ちるんで

すね。そこでもう、これは抑制状態が掛かっているというふうに見ることもできるかもし

れません。

【加藤委員】 ただ、それは違う実験ですから……。

【農研機構】 そのとおりです。そうですね。

【篠原主査】 次回以降少し工夫して申請していただければと思います。数字で表さな

くても書きぶりで十分対応可能と思いますので。是非御検討ください。

【農研機構】 はい。

【篠原主査】 それでは、遺伝子組換え生物等の使用に関する情報、それから、そこも

多分御意見はないかと思いますが、第二の項目ごとの生物多様性影響の評価、それから、

第三の生物多様性影響の総合的評価、併せて何か御意見あればお願いします。

ないようですので、皆様からの意見のまとめに移りたいと思います。よろしいでしょう

か。本日はずっとイネの話なので、大きな違いはないように思われますが。

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それでは、事務局より説明をお願いします。

<申請者、控え席へ移動>

<資料配付>

【廣谷専門職】 今からお配りしておりますのは、3-1、3-2 に対応する意見案 5、6

になってございます。意見案 5を中心に御説明を差し上げます。

1 の(1)名称ですけれども、シンク能改変イネ(OsCKX2/Gn1a改変イネ系統)(Oryza

sativa L. NIAS18-OsCas-Gn1a)になってございます。

第一種等の内容ですけれども、隔離ほ場における栽培、保管、運搬及び廃棄並びにこれ

らに付随する行為。

申請者は農研機構でございます。

2、当該申請に対する意見としまして、生物多様性影響評価の結果について。

本遺伝子組換えイネは、pBR322 をもとに構築されたpZD202のT-DNA領域をアグロバクテ

リウム法により導入し作出されている。

本遺伝子組換えイネには、イネの植物ホルモン関連遺伝子であるOsCKX2/Gn1a中の配列

を改変するよう設計した化膿レンサ球菌由来のCas9 遺伝子及びハイグロマイシン耐性を

付与する大腸菌由来のHPT遺伝子等が導入されている。

1.競合における優位性です。イネは、我が国における農耕の歴史とともに存在し、これ

までの経験から通常の使用法の範囲で扱う限り、水田や畑地で野生化、雑草化するおそれ

は極めて少ない。

本遺伝子組換えイネは、Cas9 発現カセットの移入により、宿主イネと比較して一穂籾数

及び枝梗数が有意に変化をしていましたが、OsCKX2/Gn1a酵素の機能低下又は欠損の結果

として期待される変化であり、既存の品種の値を越える変化ではない。

本遺伝子組換えイネは、ハイグロマイシンに対する耐性が付与されているが、ハイグロ

マイシンが自然環境下に高濃度で存在することは無いため、同物質への耐性を有すること

が、競合における優位性を付与するとは考え難い。

更に、本申請では、本遺伝子組換えイネについて、第一種使用規程に従って使用等し、

隔離ほ場外への意図しない持ち出しを防止することとしている。

これらのことから、隔離ほ場における本遺伝子組換えイネの第一種使用等により影響を

受ける可能性のある野生動植物等は特定されず、競合における優位性に起因する生物多様

性影響が生じるおそれはないとの申請者による結論は妥当であると判断した。

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おめくりいただいて、2.有害物質の産生性です。本遺伝子組換えイネは、Cas9タンパク

質を発現し、イネ中のOsCKX2/Gn1a酵素の機能低下又は欠損をもたらしているが、既知の

アレルゲンと構造的に類似性のある配列はない。

また、HPTタンパク質は、同タンパク質を含む生物が組換えDNA技術応用食品及び添加物

の安全性審査の手続を経た生物として公表されている。

また、本遺伝子組換えイネについて、レタス種子の発芽率等を評価指標とした後作試験

及び鋤込み試験を行ったが、本遺伝子組換えイネと宿主イネの間に有意な差は認められな

かった。

更に、本申請では、本遺伝子組換えイネについて、第一種使用規程に従って使用等し、

隔離ほ場外への意図しない持ち出しを防止することとしている。

これらのことから、隔離ほ場における本遺伝子組換えイネの第一種使用等により影響を

受ける可能性のある野生動植物は特定されず、有害物質の産生性に起因する生物多様性影

響が生じるおそれはないとの申請者による結論は妥当であると判断した。

3.交雑性。野生種イネであるO.nivara、O.rufipogon等は、栽培種イネ(O.sativa L.)

の近縁野生植物であり、交雑することが知られているが、これら近縁野生植物が我が国に

自生するという報告はない。

更に、本申請では、本遺伝子組換えイネについて、第一種使用規程に従って使用等し、

隔離ほ場外への意図しない持ち出しを防止することとしている。

これらのことから、隔離ほ場における本遺伝子組換え組換えイネの第一種使用等により

影響を受ける可能性のある野生動植物等は特定されず、交雑性に起因する生物多様性影響

が生じるおそれはないとの申請者による結論は妥当であると判断した。

(2)生物多様性影響評価書を踏まえた結論として、以上を踏まえ、本遺伝子組換えイネを

第一種使用規程に従って使用等した場合に生物多様性影響が生ずるおそれはないとした生

物多様性影響評価書の結論は妥当であると判断した。

意見案 6の方ですけれども、変更点のみ申し上げます。

1つ目が名称で、OsCasだった部分がCDAに変わっていること。

また、当該申請に対する意見、2ですけれども、(1)の部分で、導入遺伝子の由来、遺伝

子名が変わってございます。また、その文末のところですけれども、また、本申請では、

OsCKX2/Gn1a中の 5か所をそれぞれ塩基置換した計 5系統として申請をしているというこ

とを追加しております。

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それ以外、名称の部分でCDAというふうに変えてはございますけれども、中身に変更はご

ざいません。

以上です。

【篠原主査】 ありがとうございました。

いかがでしょうか。何か御意見あれば、お願いいたします。

【大澤主査代理】 いいですか。これ、間違いではないんですけれども、競合における

優位性で、一穂籾数、枝梗数が有意に変化していたが、期待される変化であり、既存の品

種の値を越える変化ではないという。何が言いたいかというと、何か変じゃないかって感

じがしますね。本文の中では、既存のイネ品種間の値の範疇という言い方をしているんで

すけれども、このやった効果、効果としては認めるけれども……、分かりました。いいで

す。ぱっと初めて読んだとすると、何か効果あるのと思ったんだけど、そういう意味では

なくて、有意に変わったんだけども、それは、既存のものであると言ったときは、通常、

だから、多様性に影響はないよという文脈で使うわけですよね。

【廣谷専門職】 そうですね。

【大澤主査代理】 そういう意味で使っているんだけども、これからもっと籾数とかど

んどん増えた場合は影響あるのという。要するに、既存の見たことないようなものがぽん

と増えたとしたらどうなんだろうなと思って、この文言って要るかと思ったわけです。こ

の提案書では全く問題ない。いいです。意味は分かりました。分かりましたけれども、将

来もっとすごいのが、ボーンと種が増えたとかいったら影響あるのかといったら、やっぱ

りないんだろうと。それはイネにおいてそういう籾数とか増えても影響はなかろうという

方が……、分かります? 想定してないものが変化することがあるわけです。今までのGM

でも。でも、その形質って、ファミリアリティの中で判断しますよと言っているわけです

ね。この場合は、ターゲットとしたものがファミリアリティの中ですよと言っちゃってい

るような、何かちょっと、すいません、本質とずれるかもしれないんですけれども、ちょ

っと残念な感じがするんですよ、書かれ方が。

【廣谷専門職】 今回の場合ですと、確かにこの評価の中でも、既存の品種の範疇にあ

るので問題ないだろうということも書いてあるのと、あと、先生おっしゃったようなファ

ミリアリティの部分で、イネの生物として競合における優位性が発揮されるような、生物

多様性影響を生ずるぐらいまで競合における優位性を高めてしまうようなことというのは、

イネの宿主本来の繁殖様式とかそういったところが大いに関係するのでという文章も書い

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てあるので、引用すべき、生物多様性影響として書くべきなのは多分そこなんだろうと思

うので、多分既存の品種の値を越える変化ではないというところをそれに差し替えてしま

う……。

【大澤主査代理】 か、皆さん先生方が、これで……。競合性ということに関してのみ、

競合における優位性についてのみ切り取れば、この文言でも間違ってはいないんです。言

っていること分かります?

【廣谷専門職】 はい。

【大澤主査代理】 先ほど説明者がいるときに言えばよかったんですが、それも。

【廣谷専門職】 そうですね。

【大澤主査代理】 このイベントに関してはこれでもいいかなと思います。ちょっと気

になったので。そういう意味で確認です。このままで私としても結構です。すいません。

ちょっと茶々を入れたみたいになっちゃいましたけれども、すいません。

【篠原主査】 何かほかにございますか。

【刑部委員】 すごい微細なことで申し訳ないんですけれども……。

【篠原主査】 もちろん、微細でも結構です。

【刑部委員】 遺伝子とタンパク質をイタリックで書き分けていらっしゃるようなんで

すけれども、そうじゃない部分が散見するので。遺伝子なのにイタリックじゃないとか、

そういうのを直していただければと思いました。

【廣谷専門職】 失礼しました。

【篠原主査】 例えばそれはどこでしょうか?

【刑部委員】 例えばですね。失礼しました。意見案 5の方だと、真ん中ぐらいにCas9

遺伝子があるんですが、これ、イタリックがないので、した方がいいのかなと、そういう

のが。

【廣谷専門職】 そうですね。

【上口委員】 OsCKX2/Gn1a酵素と書いてあるけれども……。

【刑部委員】 酵素がイタリックであるとか。

【廣谷専門職】 これはイタリックじゃないですね。失礼しました。

【刑部委員】 裏側にもございました。御訂正ください。

【廣谷専門職】 そうですね。失礼しました。

【篠原主査】 それでは、この案文、御提案いただいた内容でほぼ良いということでよ

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ろしいですか。今御指摘いただいたプレーン・イタリックの問題は、もう一度点検してい

ただくということで。

どうされますか。最終確認するために、各委員に、今日お休みの方も 2名いらっしゃい

ますので、もう一度送ってもらいましょうか?お送りしないでもよろしいですか?

確認のために委員の方々に再度送付してください。

【廣谷専門職】 それでしたら、念のため、御報告というような形でお送りさせていた

だきます。

【篠原主査】 はい。遺伝子、酵素、タンパク質の区別はもう一度事務局にお任せして

修正、確認していただいて、各委員の方々に最終案をもう一度お送りいただくということ

でよろしいですね。ありがとうございました。

これで本日の議事は終了させますが、そのほか、事務局の方から何かあれば、お願いい

たします。

【廣谷専門職】 それでは、まず私の方から。本日、修正が 1点、雑草イネの記載の部

分について大澤先生から御指摘いただいた部分、これは交雑性の部分での記載だったと記

憶しておりますけれども、ここの記載については修正が必要ですので、修正後、今回、す

いません、意見案の部分と併せて、先生方に御報告という形でやらせていただければと思

います。

私の方からは以上です。

【篠原主査】 どうぞ。

【岡本係長】 環境省の岡本と申します。最後の資料として付けております参考資料 4

-1について簡単に説明させていただきます。

昨年、環境省の中央環境審議会の下で検討会を立ち上げまして、ゲノム編集によって得

られた生物の取扱いについて検討をしてまいりました。その結論が今般取りまとめられま

したので、2 月 8 日環境省としましてその結果を関係省庁を通じて関係者の方々に周知し

ていくこととしました。

内容としましては、資料 4-1の最後のページに横表で付けておりますが、カルタヘナ法

に照らしまして、ゲノム編集によって出来たものがカルタヘナ法の規制対象になるか、な

らないのかというところを整理しまして、宿主の細胞外で加工した核酸を移入したもので

あればカルタヘナ法に係りますし、移入していない若しくは移入したものが残存していな

いことが確認されたものについてはカルタヘナ法の対象外となります。

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対象外となったものについても、何もしないということではなくて、新しい技術ではあ

るので、情報を集めて今後の対策に生かしていこうということで、対象外になったものに

ついても情報提供を求めていきますというのが今回の内容です。

ただし、遺伝子組換えと同様に、拡散防止措置の取られた施設で扱う場合については情

報提供の必要はありませんが、開放系で使う場合については、事前に主務官庁に情報提供

をしていただくことになります。

どういった情報が必要かというところは、この通知の 2枚目のところに、情報提供する

項目ということで、基本的にはどういった種のどういった遺伝子を改変して、どういう方

法で行ったのか、どういう形質の変化があったのか・なかったのか、用途、最終的に生物

多様性影響があるのか・ないのかといったところの考察について情報提供を頂きたいとい

うことで皆さんに周知をしていくところでございます。

以上です。

【廣谷専門職】 それで、1点、文科省としてなんですけれども、環境省から平成 31年

2 月 8 日にこういった通知がございまして、各大学あるいは当省所管の研究所はじめ周知

をさせていただいたところではあるんですけれども、今後、具体的にどのような情報を求

めるべきかと。様式の話もありますし、また、二種の環境で今まで使っていたもので、大

臣確認を要していたものは拡散防止措置が定められていないけれどもどうするんだという

ような話もあったりしますので、今後、研究分野では、ゲノム編集で作られたものをどう

取り扱うかという具体的な通知のようなもの、それを現在作成中でございまして、それは

追って第 2弾としてお知らせすべく現在検討しているところでございます。めどが立ちま

したら、また御報告申し上げたいと思っております。

以上です。

【篠原主査】 それは文科省傘下の大学・研究機関に対しては、文科省から周知させる

ということですね。

【廣谷専門職】 はい。ですし、また、今回いらっしゃった農研機構さんもそうですけ

れども、他省庁で所管している研究機関の方にも周知ができるように、他省庁と周知の仕

方は協力してやっていきたいとは思っております。

【篠原主査】 それから、今度こういうように変わりましたよというようなアナウンス

を徹底させるために、例えば北海道地区だとか東北地区というような範囲で誰か専門家が

そこで説明するというようなことは考えていますか。

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【廣谷専門職】 未定ではありますが、例えば当省で例年開催している説明会や、他の

機関で開催している説明会の場で私の方から説明する機会もございますし、またその範囲、

場所は広げて周知をしていきたいとは考えております。

【大澤主査代理】 多分主務官庁の扱いが難しくて、多分今度の機構が研究目的だとい

うことで、遺伝子組換えと同等に、飽くまでも研究レベルですと言った場合は、これまで

どおりにやはり文科省、環境省というところにお伺いを立てると。やはり実用化に向けて

は農水、環境にお伺いを立てる。多分その流れを説明しないと、みんな、どこに持ってい

っていいか分からなくなるので、それは遺伝子組換えと多分同等の流れの中で。場合によ

っては、それ、遺伝子組換えですということになるわけですよね。

【廣谷専門職】 はい。

【大澤主査代理】 きちんと精査した結果。そうすると、そのラインで乗らなければい

けないのかなと思うので、そこら辺の周知も必要かなと思います。

【廣谷専門職】 ありがとうございます。

【大澤主査代理】 これ、ここで議論するあれではないので。ですけども、今後、場合

によっては、これ、遺伝子組換えに使うわけですから、遺伝子組換え生物等に該当する場

合はやはりここで審議ということになるわけですよね。

【廣谷専門職】 はい。

【篠原主査】 その情報提供だけというのも、そのまま報告だけ上がれば、各省庁の事

務局が大変になるだけではありませんか? どこかが、これで本当に良いのという判断を

する必要性はないですか?

【廣谷専門職】 確かに、今回出した情報提供だけで判断が難しい場合については更な

る情報提供を求めることもできるということはできておりますし、また、やはり科学的な

部分については事務局だけでは難しい場合もございますので、それはまた学識経験者の方

に御相談差し上げるということになるかと思うんですけれども、もちろんこの一種の委員

会というのはカルタヘナ法に基づく審査の会議ですので、ここで審査という形はできない

とは思っています。また別の形で御相談させていただけると大変有り難いと思っておりま

す。

【篠原主査】 事務局スタッフがたくさん配置されているならば、事務局だけで全てで

きると思いますが、そんな人数も多くない中で、やはりオーバーワークになりませんか?

余計なことかもしれません。

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ほかに何かありますか。特になければ、これで終わりにしてよろしいでしょうか。

ちょっと大変でしょうけれども、最終確認をして、各委員にもう一度最終案を提示して

ください。よろしくお願いします。

【廣谷専門職】 承知しました。

【篠原主査】 どうもありがとうございました。長時間にわたりましたけれども、本日

はこれで終了させていただきます。

―― 了 ――