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Intellectual Property Report 2008 知的財産報告書 2008 キッコーマングループ

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Page 1: 知的財産報告書 2008 - キッコーマン ホームページKIKKOMAN CORPORATION Intellectual Property Report 2008 本報告書について キッコーマンでは、2005年より、毎年「知的

Intellectual Property Report 2008

知的財産報告書 2008キッコーマングループ

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 キッコーマンは、17世紀以来積み上げてきた伝統と、時代を洞察する革新性を経営風土とし、会社創立以来90年余の活動を行ってきました。トップブランドとしてのキッコーマンしょうゆはもとより、国内においては、和風調味料、デルモンテ、マンジョウ、マンズワインなど、おいしさと健康を大切にした、多くの製品をお届けしています。海外においては、日本の味・しょうゆを世界の味にすべく努力を重ね、「キッコーマン」(KIKKOMAN)ブランドのしょうゆは、世界各地の工場から100以上の国々に出荷され、それぞれの国の食生活を味わい深いものにしています。 キッコーマングループは2008年4月に、グループがこれからめざしていく姿を示した将来ビジョン「グローバルビジョン2020」を発表しました。また、新コーポレートブランドマークと新コーポレートスローガンを2008年6月より日本および海外のグループ各社で導入し、グローバルに展開しています。 今後、グローバルな競争を勝ち抜き、成長を持続するためには、革新(イノベーション)と差別化(ディファレンシエーション)を意図した研究開発・技術開発が不可欠となります。キッコーマングループは、国内の研究開発本部と商品開発本部に加えて、グローバルな研究開発体制の充実を図るため、2005年アジア(シンガポール)、2007年欧州(オランダ)の開設に続き、2008年9月北米(アメリカ・ウィスコンシン州)に3つ目の海外研究開発拠点を開設いたしました。 これらのグローバルな研究開発のなかで生まれる各種知的財産権は、事業を支える強力な基盤であり、キッコーマングループの競争力の源泉であります。キッコーマングループでは事業戦略、研究開発戦略と一体化した知的財産戦略を経営戦略の中核のひとつと位置づけ、今後も一層重要視していく所存です。本知的財産報告書を通じ、キッコーマングループのこのような姿勢についてご理解頂ければ幸いです。

ご あ い さ つ

代表取締役社長 COO代表取締役会長 CEO

KIKKOMAN CORPORATIONIntellectual Property Report 2008

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KIKKOMAN CORPORATIONIntellectual Property Report 2008

本報告書についてキッコーマンでは、2005年より、毎年「知的財産報告書」を公表しております。本年も各ステークホルダーの皆様に向けて、キッコーマングループの事業、研究開発および知的財産に関する方針と取り組みを開示します。本報告書では、事業戦略に深く関わる知的財産、なかでも特許や商標に関してわかりやすく記載しています。

参照ガイドライン経済産業省の「知的財産情報開示指針」

報告対象組織本報告書は、原則として国内外で事業を行うキッコーマングループ[キッコーマン(株)および連結子会社<2008年3月現在>]を報告対象組織としています。本報告書の文中では、キッコーマン(株)を「キッコーマン」または「当社」と表記しています。それ以外の場合は具体的な対象会社を明示しています。

報告対象期間2007年4月~2008年3月一部に2007年3月以前、2008年4月以降の報告を含んでいます。

発行年月2008年10月前回発行:2007年9月次回発行予定:2009年10月

本報告書には、キッコーマングループの過去と現在の事実だけでなく、発行時点における計画や見通しにもとづく将来予測が含まれています。将来予測は、記述した時点で入手できた情報にもとづく仮定あるいは判断です。将来の事業活動の結果や事象が予想とは異なったものとなる可能性があります。

目 次 C O N T E N T S

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11

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事業モデルと事業セグメント

中核技術と技術の強さ

研究開発と事業戦略の方向性

研究開発と知的財産の概略

研究開発・知的財産組織図、研究開発協力・提携

知的財産管理

知的財産ポートフォリオに対する方針

特許群の事業への貢献

ライセンス関連活動の事業への貢献

商標とブランド

知的財産に関するリスク対応情報

123456789

1011

ごあいさつ

会社概要

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KIKKOMAN CORPORATIONIntellectual Property Report 2008

GLOBAL VISION 2020

 キッコーマングループは、昨年の米国進出50周年を契機に、「グローバルビジョン2020」を策定しました。「グローバルビジョン2020」は、5つの企業価値の源泉を基本に、2020年を目標と

するキッコーマングループの「目指す姿」およびそのための「基本戦略」を定めたものです。キッコーマングループの「目指す姿」として3つの目標を、また、「目指す姿」を実現するための柱となる4つの基本戦略を掲げています。

グループの将来ビジョン

目指す姿

● キッコーマンしょうゆをグローバル・スタンダードの調味料にする● 食を通じた健康的な生活の実現を支援する企業となる● 地球社会にとって存在意義のある企業となる

グローバルビジョン2020 概念図

グローバルビジョン2020 基本戦略

東洋食品卸世界戦略

日本食の拡大を追い風に、世界にネットワークを広げる

しょうゆ世界戦略

高収益のビジネスモデルを世界へ広げる 健康関連

事業戦略企業買収などにより、

バイオ、健康食品を拡大する

デルモンテ事業戦略

日本及びアジア・オセアニア地域での展開を強化する

しょうゆ世界戦略東洋食品卸世界戦略デルモンテ事業戦略健康関連事業戦略

海外しょうゆビジネスモデル世界ネットワーク

研究開発力・技術開発力ブランド力

企業の社会的責任

グローバル人事戦略グローバル財務戦略グローバルR/D戦略

組織・体制基本戦略

企業価値の源泉

事業を支える基盤 知的財産

1事業モデルと事業セグメント

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KIKKOMAN CORPORATIONIntellectual Property Report 2008

 キッコーマングループは、日本の食文化の中心的役割を果たしてきた「しょうゆ」を国内および海外に展開することを核とし、以下に掲げる5つの企業価値の源泉を複合的に組みあわせることにより独自の事業モデルを構築しています。

1 海外しょうゆビジネスモデル 日本の食文化に根ざした調味料「しょうゆ」を世界トップブランドとして世界各地の食文化と融合しながら市場を開拓し、製造・販売拠点を設け、品質をコアとした競争力により、高収益を持続しています。2 世界ネットワーク しょうゆ製造販売とともに東洋食料品卸のネットワークを世界各地に構築し、日本食の浸透を追い風に市場を拡大するとともに流通ノウハウを蓄積しています。3 研究開発力・技術開発力 しょうゆ醸造で培った醸造技術、微生物利用技術等とともに、国内外のグループ会社の研究開発部門、さらに資本業務提携による外部技術の獲得によりグループの開発力を向上させています。4 ブランド力 伝統と品質に支えられた安心と信頼のブランドとして、国内外の流通および消費者に認知されています。5 企業の社会的責任 企業の社会的責任を果たすとともに、食文化の国際交流、食育、地域貢献を実施しています。

 本報告書においては、知的財産との関係で、3 研究開発力・技術開発力、4 ブランド力を中心に記載します。

 キッコーマングループの事業セグメントには、「食料品製造・販売」「食料品卸売」「コカ・コーラ」および「その他」があります。「食料品製造・販売」事業セグメントは、しょうゆ部門、つゆ・たれ等のしょうゆ関連調味料部門、トマト加工品・野菜果実飲料等のデルモンテ部門、みりん・ワイン等の酒類部門と、豆乳飲料・業務用食材・米国市場における健康食品等のその他食料品部門からなります。「その他」の事業セグメントは、機能性食品素材、医薬品原料、臨床診断薬の製造販売等からなります。

※ 連結子会社である利根コカ・コーラボトリングが中心となり、千葉、茨城、栃木3県を販売エリアとし、コカ・コーラ等の清涼飲料を販売しています。

事業モデルを支える強み 事業セグメント

キッコーマングループ事業セグメント

食料品製造・販売

キッコーマングループ

その他

食料品卸売

コカ・コーラ※

しょうゆ部門

しょうゆ関連調味料部門

デルモンテ部門

酒類部門

その他食料品部門

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 キッコーマングループの代表的中核技術は、醸造技術および食品加工技術であり、さらに関連の中核技術として微生物利用技術、酵素開発技術、食品開発技術、健康機能素材開発技術、分離・精製技術、食の安全技術等があります。 これらの中核技術は、しょうゆとその関連商品をはじめとした「食料品製造・販売」事業セグメントの各部門および「その他」の事業セグメントのバイオ分野で活用されています。中核技術をベースに、商品の高付加価値化を推進するとともに、技術面における革新と差別化を推進し、競争力のある新商品を生み出しています。

 しょうゆ醸造技術 キッコーマンは、しょうゆ醸造技術の向上・しょうゆ醸造工程の改良に長年取り組んでいます。 具体的には、原料処理・圧搾・火入れ工程における食品加工技術、製麹・仕込・発酵・熟成工程等において微生物を高度にコントロールし「色」「味」「香り」を向上させる醸造技術、微生物利用技術、および、麹菌(キッコーマン菌等)・乳酸菌・酵母を含む各種微生物の探索・育種・機能向上技術等があげられ、キッコーマングループの強みである基盤技術を構成しています。

 野菜果実の加工・栽培技術 キッコーマングループの日本デルモンテは、野菜・果実に関して、発酵技術を含めた多くの加工技術および栽培技術を蓄積しています。栽培技術の具体例としては、植物ウイルスの感染を防除する

植物ウイルス防除技術、植物新品種を生み出す育種技術があげられます。

 ワイン醸造・ぶどう栽培技術 キッコーマングループのマンズワインは、ワインの醸造、ぶどうの栽培技術等に関する多くの技術・ノウハウを蓄積しており、それらが複合的にワインの品質を高めています。日本の風土で育ったぶどうを用いて世界に誇れるワインを志向した「国産ぶどう100%プレミアムワイン」の製造等にも、それらの技術・ノウハウが集約されています。

 食の安全技術 キッコーマングループは、食に携わる企業として、お客様に安心していただける商品を提供し続けるために、分析技術の維持・向上に努め、商品のさらなる品質向上をめざしています。 キッコーマングループは、「安全な原材料の使用」を食の安全を守るための最重要課題のひとつと捉え、すべての原材料を対象に、原産国などのトレースはもとより、残留農薬の分析法確立、アレルギー物質の調査・確認などについて徹底的にチェックし、安全性・法規適合性を確保するよう努めています。 また、食品衛生法改正に伴う残留農薬等ポジティブリスト制度の導入に対応して、一般に使用されることが多い約300種類の農薬について一度に分析可能な分析法を確立しています(2006年「日本醤油協会技術センター技術賞」受賞)。アレルギー物質については、原材料の自主検査によって表示内容の信頼性を高めています。

中核技術

技術の強さ

ソラリスの最高峰「ソラリス マニフィカ 2002」(限定品)

日本デルモンテが開発したウイルス耐性リンドウ

残留農薬分析

2中核技術と技術の強さ

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KIKKOMAN CORPORATIONIntellectual Property Report 2008

高付加価値しょうゆ機能性

しょうゆ用途別しょうゆ

しょうゆしょうゆ

キッコーマングループの技術基盤領域と事業展開

トマト加工品

健康食品チルドスープ

豆 乳しょうゆ関連調味料しょうゆ関連調味料

つゆ・だし調味料

肉用調味料

具材入り料理の素

飲用ワイン

調理加工用ワイン

みりん

酒類酒類

機能性食品素材 衛生検査

試薬

臨床診断用酵素

バイオバイオバイオ

発酵工学

植物育種学

植物病理学

薬 学

醸造学 食品衛生学微生物学

生化学

酵素学

食品加工学

栄養学

食品工学栽培学

食品科学

分析化学 有機化学生物学 医学・獣医学

微生物利用技術

酵素開発技術

その他技術

醸造技術

食の安全技術

食品加工技術

分離・精製技術

食品開発技術

健康機能素材開発技術

デルモンテデルモンテ

その他食料品その他食料品

果汁飲料野菜飲料

リキュール

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KIKKOMAN CORPORATIONIntellectual Property Report 2008

 キッコーマングループでは、当社の研究開発本部および商品開発本部を中心に、しょうゆの基礎から応用に至る研究開発をはじめとした幅広い研究開発活動を行っています。「食と健康」の分野でお客様のニーズに応えるべく、独創的な新商品開発と継続的な品質向上を追求する新技術開発を目的に、多岐にわたる研究開発テーマを選定しています。 2007年度のキッコーマングループの研究開発費は、「食料品製造・販売」事業と「その他」の事業の研究開発に関するものであり、その額は約38億円となっています。

 しょうゆ部門 国内では、収益力向上をめざしたしょうゆの高付加価値化を進めています。安定成長期に入っている北米では、高付加価値化と業務・加工用のさらなる開拓を進めます。

 欧州では、主要市場の深耕とロシア、中東欧の開拓を進めるとともに、今後も2桁成長をめざします。また、アジアについては、お客様の嗜好が高品質に向かうことを期待し、10年後の成長を支える市場として考え、本醸造しょうゆを浸透させていくとともに、中国、インド市場の開拓を重要視します。 上記地域別事業戦略の推進のため、収益力向上をめざしたしょうゆの高付加価値化、品質向上および製造における効率化に向けて、醸造工程に関わる技術開発を進めていきます。

 しょうゆ関連調味料部門 キッコーマンブランドをしょうゆから和風調味料の分野へと広げ、確固たる地位の構築をめざして、焼肉のたれの開発、麺つゆ・鍋つゆ類の開発、より加工度が高く簡便性の高い商品群である「うちのごはん®」の新シリーズとして「混ぜごはんの素」の開発、加工・業務用調味料等の新商品開発を積極的に行っています。

「食料品製造・販売」事業

基本戦略 しょうゆ世界戦略

欧 州● 2桁の成長を維持する● 主要市場の深耕● ロシア、中東欧市場の開拓

日 本● 成熟期● 高付加価値● しょうゆ関連調味料拡大

アジア● 本醸造しょうゆの定着● 中国、インド市場の開拓

アフリカ● 助走期間 南 米

● 助走期間

北 米● 安定成長期● 高付加価値化● 業務・加工用の開拓

高収益のビジネスモデルを世界へ広げる金額シェア No.1

高収益を上げてきた「しょうゆのビジネスモデル」を世界に広げていく「しょうゆ世界戦略」は、「グローバルビジョン2020」の核となります。2020年の目標として、売上3000億円、しょうゆの販売量100万KLをめざし、これにより、しょうゆの数量世界シェアにおいて12%、金額シェアにおいて世界No.1となります。

GLOBAL VISION 2020

3研究開発と事業戦略の方向性

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KIKKOMAN CORPORATIONIntellectual Property Report 2008

 デルモンテ部門 飲料・調味料等の開発、トマト等の植物新品種の育種、植物ウイルス防除技術開発を行っています。 新しい価値を提案する野菜飲料「ラクベジ®」シリーズは、キッコーマンの醸造・発酵技術と、日本デルモンテの野菜・果実の調達力・研究開発力の融合から生まれました。

 酒類部門 みりんの製造工程に関わる技術開発、料理酒、リキュールの新商品開発を行っています。ぶどう品種や栽培法、醸造法等にこだわり、「ソラリス®」に代表される高付加価値化に重点をおいたワイン、国産ぶどう100%使用の「四季旬香®」等の新商品開発を行っています。

 その他食料品部門 豆乳飲料、業務用食材、健康食品等の開発を行っています。国内においては、豆乳の新商品

開発に取り組んでいます。また、北米において、しょうゆに次ぐ収益の柱として、豆乳事業および健康食品事業に取り組んでいます。企業買収等も視野に入れて、健康関連事業の拡大をはかり、「食と健康」の分野で成長を果たすことをめざします。

 バイオ分野 ヒアルロン酸・アルギン酸類の開発、健康機能食品・素材の研究開発、臨床診断用酵素の開発、食品衛生検査用キット等の開発を継続的に行い、高い収益性をめざします。

 上述の全事業領域にわたり、キッコーマングループは生産性の向上および品質の向上を推進しています。特に安全性に関しては、厳しい社内体制を設けてチェックしており、そのための各種検出技術の開発にも継続的に取り組んでいます。

「その他」の事業

しょうゆ醸造で培ってきた微生物利用技術や健康機能素材開発技術、食品加工技術等と、日本の食文化の中心的役割の中で培ってきた豊富なノウハウを活かし、「食と健康」の分野で成長を果たすことを目指します。国内では、臨床診断や衛生検査の分野で展開を行っており、海外では企業買収により健康食品事業を展開していますが、これらの成長を果たすとともに、新たな企業買収も視野に入れて、健康関連事業の拡大をはかります。

基本戦略 健康関連事業戦略 企業買収などにより、バイオ、健康食品を拡大する

醸 造

食品加工 健康機能素材開発

酵素開発食の安全

微生物利 用

バイオ・健康食品食 品

食と健康

調味料加工食品 健康食品

診断用酵素

衛生検査飲 料 東洋食品

GLOBAL VISION 2020

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KIKKOMAN CORPORATIONIntellectual Property Report 2008

 キッコーマングループは、各研究開発で得られた成果について技術に関するノウハウを蓄積するとともに、国際的な事業戦略に対応した強力な特許網を構築するための積極的な特許出願を行っています。たとえば、しょうゆの各製造工程における課題に見合った集中的な特許取得は、主力商品であるしょうゆの高い市場占有率を維持する大きな要因のひとつとなっています。 グローバルに展開する「食料品製造・販売」事業においては、主力商品についての特許網を強化するため、2004年より、数多くあるノウハウのうち、権利化することが事業上有効であると判断したノウハウについて、国際的視点からの戦略的な特許出願を行っています。

 また、「その他」事業のバイオ分野においても、他社に先駆けて特許を出願し、権利を確保することが効果的であると考え、積極的に権利化する戦略をとっています。 当社の特許保有方針は、製品・事業の実態に合わせて適宜取捨選択して、より強固で先進的な特許網を維持するというものです。 保有特許の絞込みとあわせたこのような戦略の結果、より強固な特許に守られた確実なコア技術群がつくられるものと考えています。 今後も、事業戦略、研究開発戦略、知的財産戦略を三位一体として展開し、知的財産活動に取り組んでいきます。

 国内には、研究開発本部と商品開発本部があり、しょうゆ、しょうゆ関連調味料、バイオを中心とした当社独自の基盤技術の研究開発および商品開発を行っています。 国内の研究拠点に加えて、アジアの伝統的な食品や素材をベースに、安全で高品質な食品の商品化に向けた研究・開発を行うため、アジア(シンガポール)に海外研究開発拠点を開設しています。 また、欧州市場のニーズに、より即した商品を開発するため、2007年10月に欧州(オランダ)に海外研究開発拠点を開設しました。 このほか、キッコーマングループの研究開発は、日本デルモンテ研究開発本部、マンズワイン研究開発部、流山キッコーマン商品開発部、紀文フードケミファ中央研究開発部、宝醤油研究開発室において行われています。

 日本デルモンテでは、飲料、調味料等の開発、植物ウイルス防除等に関する技術開発と植物新品種開発を、マンズワインでは飲用ワイン、調理加工用ワイン、リキュール等に関する技術開発と商品開発を、流山キッコーマンではみりん等に関する技術開発と商品開発を、紀文フードケミファでは豆乳、ヒアルロン酸やアルギン酸類等に関する研究開発、技術開発および商品開発を、宝醤油ではたれ等の総菜用の加工調味料ならびに唐揚粉等の粉製品の商品開発を、それぞれ行っています。

研究開発組織について

4研究開発と知的財産の概略

5研究開発・知的財産組織図、研究開発協力・提携

KIKKOMAN USA R&D LABORATORY,INC.(キッコーマン USA R&Dラボラトリー)

 2008年9月、北米ウイスコンシン州マジソン市に開設されたキッコーマンの3つ目の海外研究開発拠点です。ウイスコンシン大学との共同研究開発をはじめ、各機関と連携をはかり、その研究資源を活用しながら、キッコーマンの独自技術に基づく北米市場向け商品開発を行います。

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KIKKOMAN CORPORATIONIntellectual Property Report 2008

 当社では、知的財産部を本社スタッフ部門のひとつに位置づけ、キッコーマングループの知的財産戦略を統合的かつ強力に推進する体制をとっています。グループ会社の研究開発組織ごとに配置された知的財産担当者を通じて情報交換と支援を行い、グループ内の連携強化をはかっています。

シンガポール国立大学 当社は、シンガポール国立大学(NUS)と共同で、キッコーマン・シンガポールR&Dラボラトリーを開設しています。当社の醸造・発酵技術とNUSの機能性食品に関する科学的知見を活かした共同研究の成果としてアジア市場向けの漢方薬入りしょうゆを開発しました。ワーヘニンゲン大学(オランダ) 当社は、2007年10月、オランダ東部のワーヘニンゲン市に、キッコーマン・ヨーロッパR&Dラボラトリーを開設しました。 同市周辺は、フードバレー(Food Valley)と称される、欧州有数の食と健康に関する知識と情報の集積地です。ラボラトリーは、このフードバレーで中心的役割を担うワーヘニンゲン大学の関連施設内に置かれています。フードバレーの研究資源を活用し、キッコーマンの独自技術に基づく欧州市場向けの新商品開発を進めることにより、順調に成長中の欧州市場での、さらなる成長をめざします。理研ビタミン 当社と理研ビタミンは、2008年6月、業務提携基本契約を締結しました。双方のブランドと研究開発力・技術力の融合、共同調達など幅広い分野での協業をめざします。

知的財産組織について 研究開発協力・提携について

キッコーマングループにおける研究開発・知的財産組織図

キッコーマン

日本デルモンテ

研究開発本部

KIKKOMAN SINGAPORE R&DLABOLATORY PTE.LTD.(2005.10 開設)

KIKKOMAN EUROPE R&DLABOLATORY B.V.(2007.10 開設)

KIKKOMAN USA R&DLABOLATORY,INC.(2008.9 開設)

マンズワイン

研究開発部

流山キッコーマン

商品開発部

紀文フードケミファ

中央研究開発部

宝醤油

研究開発室

財団法人野田産業科学研究所

 1942年、当社からの基金をもとに設立され、発酵化学、特に麹菌と耐塩性微生物に関する基盤研究と、研究助成事業を行っています。しょうゆ醸造における微生物の種類と役割の解明に関する数多くの成果は、業界全体のしょうゆの品質向上に貢献しています。

当所主催の「バイオテクノロジー教室」

知的財産部

研究開発本部

商品開発本部

緑の線は知財の情報交換および支援の関係を示す

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KIKKOMAN CORPORATIONIntellectual Property Report 2008

 研究・開発の成果である技術について取得した特許権等の知的財産権は、キッコーマングループの重要な経営資源です。キッコーマングループの知的財産の管理は、当社知的財産部が一元的に行っています。 知的財産の権利化に関しては、調査から出願検討打合せ、出願書類準備、出願まで、適正かつ迅速な手続きを行っています。出願後は権利化までの手続対応を行い、権利化後は適切な時期に関連の研究開発部門および事業部門等に情報を示し、また助言を行っています。

 知的財産部から社内への情報発信としては、社内各部門への電子メールによる定期的な情報提供および知的財産部ウェブサイト(社内イントラネット)があります。また、個別の出願案件や問い合わせに対する調査・情報提供・注意喚起・啓蒙活動等を随時行っています。 社外との共同研究開発に際しては、秘密保持契約、共同研究開発契約、特許共同出願契約等の作成・締結または支援を行っています。キッコーマングループの重要な知的財産である各種情報が外部に流出しないように常に留意し、監視を強化しています。

 特許・商標等に関する他社との係争を防ぐため、

キッコーマングループでは研究開発テーマ設定から事業化段階まで継続的な調査を実施し、実施技術や製品が他社権利を侵害することのないよう留意しています。

 当社は、従業員の職務発明等を奨励するための制度として、従来より職務発明等に関する規程を設け、運用しています。この規程では、従業員が行った職務発明等について、特許等の権利を会社に譲渡すること、その対価を出願時、登録時、実績発生時に支払うことを定めています。

 知的財産戦略に関しては、必要に応じ他の部門に出向き、説明の機会を設けています。 また、研究開発部門の研究員を主たる対象として、日本知的財産協会等が主催する外部研修への参加を呼びかけ、知的財産権制度の理解度向上や、特定分野に関する特許明細書作成等の実務能力の向上をはかっています。知的財産への関心の高まりを反映して、受講希望者は年々増加しています。新入社員に対しては、入社時に知的財産全般に関する研修を行っています。

情報管理

職務発明制度

知的財産マインドの育成

係争対策

6知的財産管理

7知的財産ポートフォリオに対する方針

 キッコーマングループは、事業や研究開発の「選択と集中」を行う際に、事業の将来的な発展可能性と制約条件を予測してその方向性を決定しています。そのための判断材料のひとつとして、自社の持つ研究開発ポテンシャル、自社や

競合他社が有する知的財産等を分析しています。これらの知的財産ポートフォリオ管理を行うことにより、集中的に特許取得を行う分野を特定し、将来性を見込んだ戦略的な知的財産権取得を進めています。

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KIKKOMAN CORPORATIONIntellectual Property Report 2008

 キッコーマングループは、権利化することによる事業への貢献度が大きいと判断した発明については、独占的に実施する目的で積極的に出願し、権利取得を目指しています。また、他社により権利化されるとキッコーマングループでの実施に大きな制約が生じると判断した場合には、他社による権利化を阻止するための防衛的な出願を行う場合もあります。 キッコーマングループの過去5年の保有特許件数の推移は下記のとおりです。

 キッコーマングループでは、グループ全体の保有特許について、毎年の権利維持あるいは放棄に関する棚卸し等の定期的な見直しをはかり、知的財産の質を維持しています。その結果、2008年3月31日現在の国内保有特許の実施率(実施件数/保有件数)は約65%に増加しています。特許庁知的財産活動調査結果によれば、日本の食品業界における実施率は2005年度は44%、2006年度は48%であり、当社の数値はこれを大きく上回っています。過去5年の国内保有特許の実施率の推移は図に示すとおりです。

 事業分野ごとに技術を目安として分類した保有特許の内訳は、「食料品製造・販売」事業セグメントの各部門におけるしょうゆ、しょうゆ関連調味料、デルモンテ、酒類、その他食料品がそれぞれ約19%、8%、5%、4%、9%を占め、「その他」の事業セグメントが55%となっています。なお、「その他」の事業セグメントの大半を占めるバイオには、今後さらなる成長が期待される機能性食品素材等を含む技術が含まれています。

 キッコーマングループは、しょうゆをはじめとする食品開発・製造および食の安全に関する蓄積された技術・ノウハウを保有し、これを重要な知的財産と位置づけると同時に、商品群ごとに関連する各種技術を権利化することで市場における競争優位性を支えることを重視しています。たとえば、継続的にトップシェアを維持しているしょうゆについての高い国内特許占有率は、高い技術力を反映し、業界首位の維持に貢献しています。

8特許群の事業への貢献

保有特許件数の推移年 度

日 本海 外

192120

190127

194118

224180

218202

2003 2004 2005 2006 2007

ホタルの光で迅速・高感度な清浄度検査

 ホタルの発光(ルシフェラーゼ反応)を応用し、ATPを指標として、清浄度を高感度で測定する方法です。 手指や器具に付着したわずかな汚染も迅速・簡便に検出できるため、食品加工現場の食中毒事故防止、病院内の衛生環境向上等の目的で、清浄度検査としては最も支持されています。 キッコーマンでは早くからルシフェラーゼの開発に着手し、清浄度検査を含む各種の応用へと展開した研究開発・技術開発を進めるとともに、国内外において複数の特許権を取得しています。

国内保有特許の実施率の推移

70

60

50

40

30

202005 2006 2007

(%)

(年度)2003 2004 当社開発商品の一例

「ATPふき取り検査システム」

*ATPふき取り検査は、「食品衛生検査指針 微生物編」 (厚生労働省監修)に収載されています。

しょうゆ19%

その他55%

しょうゆ関連調味料 8%

デルモンテ 5%

酒類 4%

その他食料品 9%

国内保有特許の内訳

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KIKKOMAN CORPORATIONIntellectual Property Report 2008

10 商標とブランド

 キッコーマングループは、グループ保有の知的財産については独占的に実施・使用することが重要であると考えています。ただし、一定の要件を満たした知的財産については、許諾先の企業を選別の上、実施・使用の許諾を行っています。

 また、キッコーマングループの事業に貢献すると予測される知的財産については、他者からライセンスを受ける場合もあります。

9ライセンス関連活動の事業への貢献

 2008年6月から、キッコーマングループは、新コーポレート・マークと新コーポレート・スローガンを国内外のグループ会社で導入し、グローバルに展開しています。このコーポレートブランドの根幹には、キッコーマンの約束「こころをこめたおいしさで、地球を食のよろこびで満たします。」があります。この約束は、事業に取り組む姿勢や事業を通じて消費者の皆様に提供していく価値を明文化したものです。

 コーポレート・マーク

 「かよいあうこころ」のイメージをデザインし、のびやかでやわらかな書体、「やさしさ・ぬくもり・親しみやすさ」を表現する小文字を用いています。国内外で長年使用してきた六角形マークの組み合わせは、「革新」と「伝統」を融合していくキッコーマングループの意志を表します。オレンジ色のブランドカラーは、太陽や炎、大地や豊穣を感じさせ、「健康・若々しさ・活力」を象徴し、食欲を増進させる色です。 今回のコーポレート・マークの変更は、前回の変更から21年ぶりとなります。

 コーポレート・スローガン

 「おいしい記憶」 は、食にまつわる体験を通じて積み重ねられます。楽しさやうれしさといった食卓での時間や雰囲気。こころもからだもすこやかになっていきます。地球上のより多くの人がしあわせな記憶を積み重ね、ゆたかな人生をおくれるようお手伝いをしていきたい、という想いを込めています。

 「season」 には、日本語で 「季節」 という意味のほかに、「時間を重ねさせる」「趣を添える」 「味付けをする」という意味があります。このスローガンにはseasoningという言葉を通じて、「あなたの人生を、味わい深くゆたかにする」という想いが込められています。

 コーポレートブランドは、キッコーマングループ総体のブランドとして位置づけられ、国内・海外の展開を含め、キッコーマングループ全体の「傘」となるブランドです。

コーポレートブランド

日本語のコーポレート・スローガン

グローバルなコーポレート・スローガン

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KIKKOMAN CORPORATIONIntellectual Property Report 2008

②コーポレート・スローガン

「おいしい記憶」 は、食にまつわる体験を通じて積み

重ねられます。楽しさやうれしさといった食卓での時

間や雰囲気。こころもからだもすこやかになってい

きます。地球上のより多くの人がしあわせな記憶を

積み重ね、ゆたかな人生をおくれるようお手伝いを

していきたい、という想いを込めています。

「season」 には、日本語で 「季節」 という意味のほ

かに、「時間を重ねさせる」 「趣を添える」 「味付けを

する」という意味があります。このスローガンには

seasoningという言葉を通じて、「あなたの人生を、

味わい深くゆたかにする」という想いが込められて

います。

 新コーポレートブランドのグローバルな展開をは

じめとする、キッコーマン・グループのブランド戦略

は、経営企画室を中心として、関係部門との連携の

中で推進されています。知的財産部は、商標権等の

権利取得・保護等の法的側面から、ブランド戦略を支

援しています。

 キッコーマン・グループのブランドは、キッコーマ

ン・グループの企業価値や、提供する商品やサービ

スの価値を象徴し、キッコーマン・グループの事業拡

大と発展に貢献する、重要な無形資産です。

 中でも、「キッコーマン」の語および六角形のマー

クは、キッコーマン・グループのブランドを表現する

中心的要素です。これらの要素を含む関係会社の社

名から、消費者や流通関係者、社会等のステークホ

ルダーは、それらの会社をキッコーマン・グループと

一体とみなし、キッコーマン・グループの経営責任が

及ぶものと考えます。また、これらの要素を含む

個々の商品のパッケージから、それらの商品の品質

をキッコーマン・グループの品質基準によるものとと

らえ、キッコーマン・グループの製造責任が及ぶもの

と考えます。このような重要性から、キッコーマン・グ

ループでは、「キッコーマン」の語および六角形マー

クの使用に関しては、国内外を問わず、特に厳しい管

理を行っています。

 今後も、長年蓄積されたブランドへの信頼を維持

し、さらに高めていくため、厳しい社内基準の下での

パッケージデザイン確認、使用に関する取り決め・契

約、品質管理体制の確認等を継続していきます。ま

た、第三者による違法または不適切な使用を監視

し、その防止につとめ、万一それらが見られた場合

は、対応する法令等にもとづき、厳格な対応をとって

いきます。

 キッコーマングループは、「キッコーマン」「デルモンテ」をはじめとした商品群を展開し、各商品群のブランドを「商品群ブランド」と位置

づけています。 新コーポレートブランドの導入に伴い、「キッコーマン」「デルモンテ」「マンジョウ」「マンズワイン」の4つの商品群については、各ブランドの約束およびスローガンを策定しています。

 キッコーマングループの過去5年の保有商標件数の推移は下記のとおりです。商品のライフサイクルにあわせて保有する権利の見直しを行い、維持あるいは放棄の判断を行っています。

 たとえば、1912年に日本で商標登録された「六角形に萬のマーク」および「KIKKOMAN」ロゴタイプは世界113ヶ国で商標登録されています(2008年3月31日現在)。

商品群ブランド

[ 約束 ]こころをこめたおいしさで、世界の食卓にしあわせの輪を広げます。

太陽がくれたおいしさで、毎日を元気な笑顔でいっぱいにします。

こだわり続ける伝統の技で、こころのこもった味づくりをお手伝いします。

日本の風土とともに育むワインで、日常の食卓に華やぎをお届けします。

各商品群ブランドマークとスローガンおよび約束

商標権について

「   」および「KIKKOMAN」ロゴタイプ商標登録状況

登録国(113ヶ国)

保有商標件数の推移年 度

日 本海 外

877485

914494

938494

1017507

1031518

2003 2004 2005 2006 2007

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KIKKOMAN CORPORATIONIntellectual Property Report 2008

 商品商標は、キッコーマングループの商品を安心して選んでいただくための、技術で差別化された個々の商品の顔として機能します。「うちのごはん®(和風そうざいのもと)」「ラクベジ®

(飲料)」「ソラリス®(ワイン)」等、商品の種類別に、また、「Pearl®(豆乳、米国)」「萬字®

(しょうゆ、中国)」等、販売国別に選定し、必要に応じて適切な権利化を行います。

商品商標

商品商標の一例

商品群ブランド 商品商標

「特選丸大豆しょうゆ」「本つゆ®」「うちのごはん®」「わが家は焼肉屋さん®」「ゆずか®」

「有機トマトケチャップ」「ラクベジ®」「野菜とらなきゃ®」

「芳醇本みりん」「純米生みりん」「梅かすが®」

「ソラリス®」「ハーベスト®」「モン フレール®」「ポリフェノリッチ®」

(しょうゆ・しょうゆ関連調味料)

(飲料、野菜果実加工品)

(みりん、和酒)

(ワイン)

キッコーマン

デルモンテ

マンジョウ

マンズワイン

 グループ会社の惣菜小売事業「くいしん坊万才!®」などの役務商標も、キッコーマングループの事業を支える重要な知的財産です。東洋食品卸売事業は、2004年以来ウォルマートの

アジア食品カテゴリーアドバイザーを努めているグループ会社のJFCが中心となり行っています。JFCは、各メーカーとの強力な提携関係を活かし、数々のブランド品をJFCの名の下にお届けしています。

役務商標

しょうゆに次ぐ第二の柱となる戦略として重視しています。海外での日本食ブーム、日本政府による日本の食文化普及支援等の追い風を活かし、蓄積されたノウハウを活用して、世界No.1の東洋食品卸としての地位をより強固なものとします。米国、欧州という既存の物流拠点の強化に加え、南米、南欧、中東欧、中近東、中国、東南アジア等へと拠点を拡大していく予定です。

基本戦略 東洋食品卸世界戦略 日本食拡大を追い風に世界にネットワークを広げる東洋食品卸世界No.1

既存拠点拠点展開予定エリア

JFC-UK

JFC-FR

JFC- EU

JFC北京JFC香港

PER

JFC-HO

JFカナダCH

BA NYATHT

JFCメキシコ

BNE

JFハワイ

JF オーストラリアJFC-NZ

太平洋貿易

中東欧

南欧

中近東

中国

東南アジア

南米

GLOBAL VISION 2020

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KIKKOMAN CORPORATIONIntellectual Property Report 2008

 当社は1990年に、グローバル・ブランド「デルモンテ」のアジア・オセアニア地域における商標使用権・販売権を永久的に取得しています。

専用使用権について

アジア・オセアニア地域の商標使用権を活かし、国内および海外での展開をはかります。タイおよび中国の生産拠点を活用し、商品の競争力を向上させていきます。中国では、生産拠点と合わせて販売拠点を構築し、本格的に参入することを課題とします。国内では、グループ経営資源を活用し、飲料事業の成長およびチルド分野への本格進出をはかります。

基本戦略 デルモンテ事業戦略 日本およびアジア・オセアニア地域での展開を強化する

対象外

対象外

中国工場

Del Monte Asia

生産拠点販売会社

日 本● グループ経営資源(紀文フードケミファ、日本 デルモンテ)を活用し、飲料、チルドへ本格進出

アジア・オセアニア● タイ、中国の製造拠点活用し、競争力を向上● 中国市場への本格参入

Siam Del Monte

 キッコーマングループのコカ・コーラ事業では、連結子会社である利根コカ・コーラボトリングを中心として、千葉・茨城・栃木県エリアにおける清涼飲料の製造・販売を行っています。当事業においては、ザ コカ・コーラ カンパニーの許諾を受けて、「コカ・コーラ®」「ジョージア®」「アクエリアス®」等のブランド力を背景に、積極的な事業促進活動を行っています。

事業促進活動における他社ブランドの活用

GLOBAL VISION 2020

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KIKKOMAN CORPORATIONIntellectual Property Report 2008

 2008年3月31日現在、知的財産に関し、国内および海外における訴訟はありません。

11 知的財産に関するリスク対応情報

ブランド保護

 新コーポレートブランドのグローバルな展開をはじめとする、キッコーマングループのブランド戦略における知的財産部の役割は、商標権等の権利取得・保護等の法的側面からの支援を行うことです。 キッコーマングループのブランドは、キッコーマングループの企業価値や、提供する商品やサービスの価値を象徴し、キッコーマングループの事業拡大と発展に貢献する、重要な無形資産です。 中でも、「KIKKOMAN」の語および六角形マークは、キッコーマングループのブランドを表現する中心的要素です。また、これらの要素を含む個々の商品のパッケージから、お客様は、それらの商品の品質をキッコーマングループの品質基準によるものととらえ、キッコーマングループの製造責任が及ぶものと考えます。このような

ブランド管理 重要性から、キッコーマングループでは、「キッコーマン」「KIKKOMAN」および六角形マークの使用に関しては、国内外を問わず、特に厳しい管理を行っています。

 キッコーマングループのブランドを模倣する商標権侵害に対しては監視・対応を強化し、特にアジア地域を中心とする積極的な対策活動を継続しています。2007年度は、中国当局に中国各地(広東省広州市、北京市等)の模倣品製造工場および卸売業者などの摘発を要請し、その結果、約20の業者が行政摘発されました。模倣品に対しては、今後とも断固たる姿勢で臨んでいきます。

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KIKKOMAN CORPORATIONIntellectual Property Report 2008

主な連結子会社 <国内> 北海道キッコーマン株式会社 流山キッコーマン株式会社 日本デルモンテ株式会社 マンズワイン株式会社 株式会社紀文フードケミファ 利根コカ・コーラボトリング株式会社 株式会社太平洋貿易 平成食品工業株式会社 江戸川食品株式会社 宝醤油株式会社 <海外>KIKKOMAN FOODS, INC.KIKKOMAN SALES USA INC.JFC INTERNATIONAL INC.KIKKOMAN FOODS EUROPE B. V.KIKKOMAN TRADING EUROPE GmbHJFC INTERNATIONAL (EUROPE) GmbHKIKKOMAN (S) PTE. LTD.KIKKOMAN TRADING ASIA PTE LTD.DEL MONTE ASIA PTE LTD.SIAM DELMONTE COMPANY LIMITEDCOUNTRY LIFE LLCKI NUTRICARE,INC.JAPAN FOOD CANADA INC.KIKKOMAN AUSTRALIA PTY. LIMITED 

主な関連会社 <国内> ヒゲタ醤油株式会社 株式会社紀文フレッシュシステム コカ・コーラ イースト ジャパン プロダクツ株式会社 <海外> 統萬股 有限公司 昆山統万微生物科技有限公司

会社概要(2008年3月31日現在)

しょうゆ、しょうゆ関連調味料、デルモンテ、酒類、その他東洋食品等の仕入れ・販売コカ・コーラ等清涼飲料の製造・販売等医薬品原料、不動産賃貸、物流、レストラン、臨床診断薬、機能性食品素材等

食料品製造・販売

食 料 品 卸 売コ カ ・ コ ー ラそ の 他

内容事業区分主な事業内容

キッコーマン株式会社〒278-8601千葉県野田市野田2501917年(大正6年)12月7日 茂木友三郎 染谷光男 11,599百万円 413,938百万円 7,348名

社 名本 社 所 在 地

設 立代表取締役会長CEO代表取締役社長COO資 本 金連 結 売 上 高連 結 従 業 員 数

役員および主な連結子会社名は、2008年4月1日現在の情報です。

売上高推移

2003 2004 2005 2006 2007

(百万円)

(年度)

2003 2004 2005 2006 2007(年度)

440,000

400,000

360,000

320,000

0

334,656

344,625

359,906 392,611

413,938

■営業利益 ■経常利益

営業利益/経常利益推移

2003 2004 2005 2006 2007

(百万円)

(年度)

24,000

21,000

18,000

15,000

0

15,428 16,649

17,350

当期純利益推移(百万円)12,000

10,000

8,000

6,000

0

9,287

9,487

10,125

10,739

11,447

17,847

17,059 18,557

21,646

20,983

23,854

22,388

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発行2008年10月

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キッコーマングループ 知的財産報告書2008Intellectual Property Report 2008

キッコーマン株式会社 知的財産部〒278-0037 千葉県野田市野田399TEL:04-7123-5551 FAX:04-7123-5553http://www.kikkoman.co.jp

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