水稲栽培基礎講座 - 鳥取県三朝町役場 · 水稲栽培基礎講座...
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水稲栽培基礎講座
土づくり・病害虫編
倉吉農業改良普及所
土壌の3要素とは?
〇窒素(N)
・タンパク質、葉緑素などの主要成分
・生育を促進し、養分吸収、光合成を盛ん
にする
〇りん酸(P)
・分げつを促進する
・光合成を促進する
・根張りが良くなり、稲体を強くする
〇カリ(K)
・タンパク質や炭水化物の合成と移動に
関係
・茎葉を丈夫にし、倒伏や病気に対する
抵抗性を強める
その他の栄養素①
〇ケイ酸
・根の活力が高まり、倒伏に強くなる
・登熟が良くなり、米の品質が向上する
〇鉄(Fe)
・欠乏することで、生育不良、秋落ちの
原因となる
・根腐れの防止になる
その他の栄養素②
〇マンガン(Mn)
・欠乏することで、生育不良、秋落ちの
原因となる
・植物の光合成を助け、葉緑素の生成に
効果がある
〇マグネシウム(Mg)
・葉緑素の働きを高め、光合成を盛んにする
・米の粘りが増し、食味向上につながる
まずは、土づくりが重要です。根を深く
15cmの深耕が理想!
三朝町内の水田土壌断面(本泉)
作土層(0~19cm)
土に粘りがあり、わずかに砂が混じる
下にいくほど粘りが強く、しまっている
水持ちは良い
有機物を活用しよう
種 類成分含有率(%) 肥効率(%)
窒素 リン酸 カリ 窒素 リン酸 カリ
牛ふん堆肥 0.37 0.68 0.52 30 80 60
鶏ふん堆肥 2.16 2.50 3.75 50 80 60
豚ふん堆肥 0.68 0.73 1.13 30 80 60
<堆肥>
<植物質の有機質肥料>
種 類 窒素(%) 無機態窒素(%)
なたね油かす 6.5 3.2
米ぬか 3.3 1.6
大豆かす 8.5 5.4
有機物を使う時の注意点
○堆肥の使用
牛ふん堆肥1トンの場合 窒素約1.1kgを入れたことになる
→ その分、減肥する
○有機質肥料の使用
・窒素成分量に注意
・効果が現れるのが遅いため、早めに散布
施肥体系
【一般施肥体系】
この体系は、元肥、第1穂肥、第2穂肥を組み合わせたものです。
【一発施肥体系】
この体系は、元肥一発肥料を使用し、省力化を目的としたものです。
気象条件、天候によっては、追肥が必要な場合があります。
定期的に良品堆肥を施用し、土づくりを進めましょう。
※堆肥は1~2トン/10aを秋から春のうちに施用し、耕耘
散布する資材は、JA鳥取中央水稲栽培ごよみをご参考ください。
いもち病によるずり込み症状
葉いもちの病斑強い 伝染力 弱い
急性型病斑形:楕円形色:暗緑色、灰白色
停止型病斑形:紡錘形色:中央 灰色
周辺 褐色
褐点型病斑形:点色:褐色
補植用の置き苗が発生源になる!!
葉から穂へ移行する
穂首いもち
いもち病防除の基本
○種子の更新、種子消毒の実施
○育苗箱施用剤の散布(播種時又は田植時)
○補植用の置き苗の処分(ほ場外持ち出し)
○出穂前後の予防防除
三朝町内ではこんな被害も・・・
ごま葉枯病です。
ごま葉枯病の発生原因と対策は?
〇カリ、鉄、ケイ酸、マグネシウムなどの欠乏
【対策】
カリ、鉄、ケイ酸などを含む土壌改良材を投入
する。
〇根腐れの発生(有毒ガスの発生)
【対策】
硫酸分を含む肥料(硫安など)の施肥を控える。
適切な水管理を実施する。
右の株が鉄を投入したところ、根の張りが旺盛
土壌改良材の各種要素含有率
肥料名
アルカリ分
鉄 けい酸
石灰
マグネシウム
マンガン
ほう素
その他
Fe Si Ca Mg Mn B
ミネラルG 40 15 18 36 2 3 0.1 P2%,K0.4%他
シリカサポート1号 32 11 20 1 P3%
けい酸加里 5 34 12 4 0.1 K20%
マルチサポート2号 3 20 12 0.2 0.2 Zn、Cu微
カメムシ類による被害(斑点米)
ホソハリカメムシなど大型のカメムシ類による被害
アカスジカスミカメなど小型のカメムシ類による被害
ホソハリカメムシ クモヘリハリカメムシ
斑点米をおこすカメムシ類①
アカスジカスミカメ アカヒゲホソミドリカスミカメ
斑点米をおこすカメムシ類②
稲への移動経路は?
穂が出るイネ科雑草を好む
カメムシ防除の基本
○カメムシの繁殖場所を少なくする。
(こまめに畔草刈りの実施)
○出穂後の予防防除