精神保健福祉領域におけるピアスタッフの役割につ...

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33 精神保健福祉領域におけるピアスタッフの役割について 由紀夫 The Role of Peer Staff in the Mental Health Field Yukio EMA はじめに 精神の障害という経験を自らの治療や回復だ けでなく、同じ障害を持つ他者のために生かそ うとする活動は、自助グループなどで以前から 行われていた。しかし近年になって、その活動 を雇用関係に基づく報酬を伴う仕事として展開 するピアスタッフが注目されている。 ピアスタッフは、障害当事者でありながら職 員でもあるという新たな関係性をサービスの利 用者や障害当事者ではない専門職にもたらすこ ととなった。 筆者は、前著「ピアスタッフとソーシャルワー カーの関係性に関する一考察」において日本の 精神保健福祉領域のピアスタッフと精神保健福 祉士をはじめとするソーシャルワーカーとの関 係性についての考察を行った。その中でピアサ ポートを既存の精神保健福祉システムに組み 込むのではなく、ピアスタッフと専門職との協 働作業としてとらえ、ピアを主体としたリカバ リー概念に則ったピアサポートに専門職の側が 組み込まれていくことを提案した(江間,2016)。 本論文では、ピアスタッフという存在を現在 の日本の精神保健福祉システムの中でどのよう に位置付け、その有効性を高めていくべきかに 焦点を当て、今後のピアスタッフの位置付けと それに対応する精神保健福祉士等の相談援助職 のあり方について考察を行う。 方法 ピアスタッフの系譜として、自助グループ、 ピアサポート、ピアスタッフ等に関する文献を 基にそれぞれの活動の持つ特性を分類して検討 し、ピアスタッフの望ましいあり方について考 察する。また筆者が2016年度内に参加したピア スタッフに関する研修での経験を基に実際にピ アスタッフに関わっている人々の意向について 検討する。 なおピアに関しての用語であるが、本論文で は、単に精神障害のある人々について「当事者」 あるいは「障害当事者」とし、当事者同士の支 援活動を行っている場合を「ピア」と表記する。 「ピアサポート」については、ピアによる支援 活動全般とその実践者を指し、ピアスタッフは ピアサポートを有償で行っている者を示すこと とする。(ただし、引用文等では原文の表現を 重視する。) Yukio EMA 福祉心理学科(Department of Social Work and Psychology)

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Page 1: 精神保健福祉領域におけるピアスタッフの役割につ …精神保健福祉領域におけるピアスタッフの役割について 35 ち」でケアをするという意味も含んでいると考

33

精神保健福祉領域におけるピアスタッフの役割について

江 間 由紀夫*

The Role of Peer Staff in the Mental Health Field

Yukio EMA

はじめに

 精神の障害という経験を自らの治療や回復だ

けでなく、同じ障害を持つ他者のために生かそ

うとする活動は、自助グループなどで以前から

行われていた。しかし近年になって、その活動

を雇用関係に基づく報酬を伴う仕事として展開

するピアスタッフが注目されている。

 ピアスタッフは、障害当事者でありながら職

員でもあるという新たな関係性をサービスの利

用者や障害当事者ではない専門職にもたらすこ

ととなった。

 筆者は、前著「ピアスタッフとソーシャルワー

カーの関係性に関する一考察」において日本の

精神保健福祉領域のピアスタッフと精神保健福

祉士をはじめとするソーシャルワーカーとの関

係性についての考察を行った。その中でピアサ

ポートを既存の精神保健福祉システムに組み

込むのではなく、ピアスタッフと専門職との協

働作業としてとらえ、ピアを主体としたリカバ

リー概念に則ったピアサポートに専門職の側が

組み込まれていくことを提案した(江間,2016)。

 本論文では、ピアスタッフという存在を現在

の日本の精神保健福祉システムの中でどのよう

に位置付け、その有効性を高めていくべきかに

焦点を当て、今後のピアスタッフの位置付けと

それに対応する精神保健福祉士等の相談援助職

のあり方について考察を行う。

方法

 ピアスタッフの系譜として、自助グループ、

ピアサポート、ピアスタッフ等に関する文献を

基にそれぞれの活動の持つ特性を分類して検討

し、ピアスタッフの望ましいあり方について考

察する。また筆者が2016年度内に参加したピア

スタッフに関する研修での経験を基に実際にピ

アスタッフに関わっている人々の意向について

検討する。

 なおピアに関しての用語であるが、本論文で

は、単に精神障害のある人々について「当事者」

あるいは「障害当事者」とし、当事者同士の支

援活動を行っている場合を「ピア」と表記する。

「ピアサポート」については、ピアによる支援

活動全般とその実践者を指し、ピアスタッフは

ピアサポートを有償で行っている者を示すこと

とする。(ただし、引用文等では原文の表現を

重視する。)

�*�Yukio�EMA 福祉心理学科(Department�of�Social�Work�and�Psychology)

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東京成徳大学研究紀要� ―人文学部・応用心理学部― 第24号(2017)

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結果

1.ピアサポートの系譜

 北米における当事者活動の歴史には、クリ

フォード・ビーアズの精神衛生運動、ファウン

テンハウスにおけるクラブハウスモデル、アル

コール依存症の自助グループであるAAの活動、

精神障害の当事者活動であるオルタナティブな

どが知られている。ここではこれらの中から

ビーアズ、AA、オルタナティブの三つについ

て注目し、ピアサポートのあり方について検討

したい。

1-1.クリフォード・ビーアズの功績

 精神保健福祉の歴史において、精神障害の当

事者による言動が専門職や社会の関心を強く引

き、一つの運動にまで発展させた最初の功労者

としてクリフォード・ビーアズ(以下、ビーア

ズ)の名を挙げることこができるだろう。

 ビーアズは、精神科病院への入院体験を手

記とした『わが魂にあうまで』(原題はA�Mind�

That�Found�Itself�-�An�Autobiography)の著者で

あり、アメリカ精神衛生運動の創始者として知

られている。

 精神衛生運動自体は、一種の社会運動であり、

障害の当事者が当事者を支援するピアサポート

とは異なるものではあるが、『わが魂にあうま

で』の記述には、ビーアズが同じ病を経験した

者として、精神科病院にいる人たちを救いたい

との思いに突き動かされていく姿が見られる。

例えばビーアズは、退院後に多くの友人や知人

と会い、「精神病院に閉じ込められている人た

ちの苦難を和らげるために、正気の人たちがな

すべき義務について多くを語りました」として

いる(ビーアズ,2003)。また精神衛生運動を始

める前の思いとして「自由を得てからも、まだ

病院にいる人たちのことを決して忘れたわけで

はありません」(ビーアズ,2003)とあり、こう

した思いが著書の出版やその後の運動の動機と

なっていることがわかる。

 精神衛生運動は、精神疾患の予防や治療を主

な目的とした運動であったが、その土台には、

こうした「入院を経験した仲間」としての動機

があった。そして『わが魂にあうまで』は、多

くの国で長く読まれることとなり、社会に対し

て精神障害の当事者の言葉を価値あるものとし

て認めさせた。

 ビーアズの精神衛生運動は、A.マイヤーな

どの著名な医師や資産家なども協力者となり、

1909年には、全国精神衛生委員会を設立する(江

畑,2003)。この運動には、医師をはじめとして

多くの専門家が賛同しており、その代表者とし

てビーアズが位置付けられているのは、彼の個

人的な資質もさることながら、当事者としての

立場も大きなものであったと考えられる。

 当事者として活動を始め、精神医療だけでな

く様々な分野の人々を動かして運動を展開し、

専門家も含めた運動の中心人物として位置付け

られたビーアズは、ピアスタッフの社会的地位

を考えたときに一つの可能性を示した点で大き

な功績があるといえよう。

1-2.AAにみる自助グループにおけるピアサ

ポートのあり方

 ビーアズの活動をマクロな観点からのピアサ

ポートの源流と考えると、自助グループの活動

は、1対1あるいはグループでピアがピアを支

えるミクロな観点でのピアサポートの源流と考

えることができよう。

 自助(self�help)という言葉からは、「自分で

自分を助ける」という意味がとらえられるが、

ここでいう「自分」とは、単に自分自身を示す

のではなく、「他者」である専門職によってケ

アを受けるのではなく、当事者である「自分た

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精神保健福祉領域におけるピアスタッフの役割について

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ち」でケアをするという意味も含んでいると考

えられる。

 そして専門職だけに頼らず自分自身で問題を

解決(自助)しようとする人が集まっている場

所が自助グループである。

 Alcoholics�Anonymous(以下、AA)は、アル

コール依存症者の自助グループとして知られて

いる。アルコール依存症に対しては、現代の医

学においても再び問題なく飲酒できるような治

癒に至ることは困難であり、飲酒をしないで生

活を続ける断酒の継続が治療の目標となる。そ

れゆえ医療の現場においても治癒ではなく回復

という言葉が用いられる。AAや断酒会といっ

た自助グループは、この回復に大きな力を持つ

ことが知られている。

 アルコール依存症者の自助グループでは、

ミーティングと呼ばれる集会が各地で開かれて

おり、基本的に自らの飲酒に伴う体験談を一人

ずつ語っていく形式が取られる。ミーティング

で語るか語らないかは参加者の自発性に委ねら

れている。誰かが話しているときは、他の参加

者は聞き役であり、個々に感想をコメントした

り議論をしたりすることはなく、「言いっぱな

し、聞きっぱなし」が守られるようになってい

る。こうした構造は、AA�の独自のプログラム

である12ステップを用いたミーティングであっ

ても同じであるⅰ。

 ミーティングで自らの体験を語り続けること

が断酒の継続につながるという点が「自助」で

あることだが、そこに集うメンバーを同じ経験

を持つ仲間として認識し、共感やつながりの意

識が互いの断酒への動機付けを強めるという点

ではピアサポートと共通する部分もある。

  さ ら にAAで は、 ス ポ ン サ ー シ ッ プ

(sponsorship)と呼ばれる仲間同士の援助関係

が設定されている。AAが発行しているリーフ

レットによれば、その起源としては、AAの

創始者であるビルが飲酒欲求に襲われたとき

に同じアルコール依存症者でありもう一人の

創始者でもあるボブを見つけて話を聞いても

らったことで再飲酒を免れたというAAの誕生

となったエピソードが紹介されている(A.A.�

Grapevine,1983)。

 AAの12ステップやスポンサーシップに関す

る解説書を書いているマキューによれば、スポ

ンサーシップとは、スポンサーが問題と解決策

と行動のプログラムであるステップを案内し、

スポンシーを回復に導くことであるという(マ

キュー ,2015)。

 通常、AAメンバーは自分が主に通うグルー

プの中で自分より長く断酒生活を送っている人

をスポンサーに選び、スポンサーになってくれ

るよう依頼をする。スポンサーは必要なときに

相談を受け、助言を与える役割を担うが、スポ

ンサーになってもらってもメンバー同士の関係

は対等であるとされ、報酬も発生しない。

 AAにとってスポンサーシップは、AAに初

めて来た人を受け入れ、断酒の生活に導くた

めの役割を果たすだけでなく、長い断酒生活

(sobriety)を支えるパートナーシップとなるも

のである。

1-3.オルタナティブに見るピアサポートのあ

り方

 1970年 代 に 展 開 さ れ た 自 立 生 活 運 動

(Independent�Living�Movement)は、障害があっ

ても自立した生活を保障する社会を求める運動

であった。

 オルタナティブは、自立生活運動の影響も受

けて登場した精神障害者自身による支援活動で

ある(チェンバレン,1996)。その原点は、先述

のビーアズが明らかにしたような精神医療によ

る虐待や抑圧から、人としての権利を取り戻す

活動であり、ファウンテンハウスの活動が示し

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たような当事者主体による支援活動の流れを汲

んでいる。

 オルタナティブという名称に現れているよう

に、既存の専門家による医療や保健、福祉に対

するアンチテーゼであり、障害を経験した仲間

による「もう一つの」支援活動を位置付けよう

とするものであった。

 精神医療が治安維持的な側面を持ち、本人の

意思によらない強制入院の制度を持っているこ

とや、精神科病院の閉鎖性・密室性から数々の

虐待や権利侵害が行われてきたことを背景にし

ているため、その活動は時にラジカルであり、

既存の専門職の側からは敬遠されることもあっ

た。

 しかし次第にこれらの活動の中から、既存の

専門職に対する批判や抗議ではなく、自らの回

復に焦点を当てた活動が生まれていく。それは

治療や治癒といった概念自体が専門家によって

作られたもので自分たちが経験している生活の

実態とは違ったものであることの発見であり、

専門職によって規定された治療ではなく、自分

たちが実感できる回復に焦点を当てていく転換

となった(オーヘイガン,1999)。

 彼らが用いるようになったサバイバーやリカ

バリーといった言葉は、それまでの精神障害に

対する用語が疾患や障害を指していたのに対

し、障害を持ちつつも生活者として現にこの社

会で暮らしている自分たち自身を指すものとし

てとらえることができる。

 サバイバーは精神障害や抑圧的な精神医療・

保健福祉サービスから生き延びたことを意味し

ており、リカバリーは病者や障害者としての存

在から、主体性を持った一人の人として人生を

回復させた人であることを意味している。この

ことは、医療や保健福祉の専門家から評価され

るのではなく、自分たち自身で自分たちのこと

を定義し、新たな生活を見出すことと、そのた

めに必要な支援を定義し直す活動を生み出して

いる。

 オルタナティブやサバイバー、リカバリーと

いった当事者を主体にした活動は、専門家から

押し付けられた治療やリハビリテーションでは

なく、自分たち自身が主役となって人生を生き

るための支え合いと知恵の共有を重視するよう

になった。

 彼らは病気をどう治すのかではなく、病気と

付き合いつつもどう生きるのかに焦点を当て、

互いに支えあうピアカウンセリングやピアサ

ポートを実践している。またWRAPに見られる

ように自分たち自身が元気に生活できるような

方法を互いに共有する手段を見出していくこと

となったⅱ。

2.ピアスタッフに関する二つの研修から得ら

れたもの

2-1.障害福祉サービス事業所での研修から

 2016年8月、千葉県内のAサービス事業所(以

下、A事業所)において、ピアスタッフに関す

る研修会が開催された。この研修会では、A事

業所でピアスタッフを目指している当事者、ピ

アスタッフの雇用を検討しているA事業所の運

営者、他の事業所で実際に働いているピアス

タッフに加え、筆者も教育・研究の現場からと

いうことでパネラーの一人として参加させてい

ただいた。研修会に参加したのは、A事業所の

サービス利用者とその家族、A事業所で働く精

神保健福祉士等のスタッフで、パネリストの発

表の後に参加者を交えてのディスカッションが

行われた。

 調査研究を目的とした参加ではなく、あくま

でパネリストの一人としての参加のため、ここ

では参加者が語った内容のメモを基に得られた

知見を報告するだけに留めたい。なお、本論文

における掲載については、研修会の主催者であ

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精神保健福祉領域におけるピアスタッフの役割について

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るA事業所の責任者に了解を取り、発表された

当事者の方にも了承をいただいている。

 パネリストとなった当事者の方は、既に地域

の自助グループの中心的メンバーとして活動さ

れており、他の利用者からの相談を受けたり、

グループでの話し合いを経験されたりしてい

る。しかし実際にピアスタッフとして働くと考

えた際に、果たして自分にその能力があるのか

と自問されていた。ピアスタッフに対しては、

高い共感能力と支援する力の両方が必要である

と考えているが、自分自身がピアならではの視

点を持ち得ているのか、ピアとの間での人間関

係を構築できるのかなどが心配であるとのこと

であった。また具体的な仕事内容がイメージで

きないこともピアスタッフを目指す上での不安

であると話されていた。

 A事業所の運営者は、事業の責任者であり、

雇用側でもある立場から、自分たちの活動の目

標としてリカバリーの空間づくり、回復の場づ

くりがあり、そのためにピアスタッフの雇用が

力になると考えているとの報告があった。その

一方でピアスタッフを就労の場の一つとも考え

ているが、具体的にどんな仕事内容なのか、現

在の事業所内にどのような改革が必要なのかが

提示できていないことを課題として挙げられて

いた。

 ここでは、利用者、雇用者共にピアスタッフ

の可能性と課題とを含んだ内容の話となってい

ることに注目したい。両者ともにピアスタッフ

の役割や可能性については、共通したものを

持っていると考えられる。それは利用者を中心

とした支援の在り方であり、それを可能とする

場の存在である。

 しかしながらそれに対する思いの面では、雇

用側は、ピアスタッフの可能性の部分に期待を

寄せているが、施設の体制としてそれを受け入

れる準備ができていないことを課題とし、利用

者の側はピアスタッフの役割を実現できるかど

うかに不安を感じている。すなわち両者がピア

スタッフの意義として感じている部分がピアス

タッフの導入に関しての障壁となっているので

ある。

 これに対し、既に他の事業所でピアスタッフ

として活躍されている方からは、具体的にピア

スタッフの雇用に関する問題を解決してきた経

緯が説明された。その事業所では、仕事をして

いく上でピアスタッフとそれ以外のスタッフと

は特に線引きはなく、ピアスタッフとして働く

際には、徐々に仕事を増やしながら対応してい

く方法を取っているという。既存のスタッフ(精

神障害の経験のないスタッフ)とピアスタッフ

との関係では、良い意味での緊張感があり、異

質な存在がプラスに働く効果があるとのことで

あった。

 ピアスタッフと一般の利用者との関係では、

一部には同じ立場であるはずのピアから指図は

されたくないと離れていった人もいるが、数は

多くないとのことであった。

 この研修会では、精神障害のある人を家族に

持つ方々も参加されており、ディスカッション

では、そうした家族の立場からの発言も多かっ

た。ここではその詳細を紹介することはできな

いが、筆者が受けた印象を述べておきたい。

 家族にとってもピアスタッフの活動は関心が

高く、他の地域での実践について調べていた方

もいた。ただ家族にとってのピアスタッフは、

より就労の場としての意味合いが強いように感

じられた。精神障害者の雇用率が高まっている

とはいえ、まだまだ一般の就労が難しい状況に

ある中で精神障害の体験そのものが就労に役立

つ場があるとすれば、家族の期待が大きくなる

ことは当然のことといえよう。またピアスタッ

フの勤務先は、必然的に精神保健福祉サービス

に関係している場となるため、就労のストレス

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による病状の変化に対しても何らかの支援や配

慮を期待することができ、他の一般企業等より

も安心感があるものと思われる。

 さらにピアスタッフの雇用に関して、複数名

の雇用の必要性やピアではない既存の職員のピ

アスタッフに対する意識の問題などに対する具

体的な指摘も出されている。こうした指摘は、

ピアスタッフとなる障害当事者の側の問題では

なく、受け入れる環境の側の問題であるといえ

るが、これらの問題が解決されればピアスタッ

フの雇用はかなり具体性を帯びてくることが研

修会の中で共有されていた。

 

2-2.全国ピアスタッフの集い

 全国ピアスタッフの集いは、日本における精

神保健福祉分野のピアスタッフの団体である日

本ピアスタッフ協会が主催するピアスタッフと

ピアスタッフに関心を持つ研究者、専門職の

全国集会である。2012年にピアサポートの研

究者が中心となって第1回が開催された(相

川,2013a)。その後2013年、2014年と実行委員

会形式で実施されて来たが、2014年に日本ピア

スタッフ協会が設立されたことから第4回から

はよりピアスタッフ中心の集会として開催され

ることになったⅲ。

 第5回ピアスタッフの集いは、平成28年11月

12日~13日、神奈川県立保健福祉大学を会場と

して開催された。筆者も分科会の発表者として

参加したが、ここでは一参加者としての立場か

ら感じられたことを報告したい。

 会場が神奈川県ということもあり、関東地方

からの参加が多かったようだが、北は東北から

南は九州まで全国各地から300名近い参加者が

集まり、ピアスタッフに対する関心が高まって

いることが実感できた。

 初日のメインプログラムであるシンポジウム

では、研究者、訪問診療を行っている診療所の

精神科医、精神保健福祉士であると同時にピア

スタッフの雇用主である障害福祉サービス事業

の経営者、実際にピアスタッフとして働いてい

る当事者らが登壇し、それぞれの立場からピア

スタッフへの思いを語った。

 このシンポジウムで特徴的だったのは、研究

者や医師、雇用主らの発表がピアスタッフの活

動内容や有用性に焦点を当てたものだったのに

対して、ピアスタッフである当事者の方は、ピ

アスタッフになるまでの経緯と実際に勤務する

中で考えてきたピアスタッフのあり方について

語られたことだった。その話の中には、日本ピ

アスタッフ協会で行われたピアスタッフのワー

クショップでの話題も含まれており、仲間たち

とピアスタッフの存在について話し合った成果

についても報告されていた。

 印象的だった言葉のいくつかを例示すると

「(ピアスタッフは)マスコットではなく労働者

である」、「雑用ではなく、仕事の先に人がい

る」、「専門職に取り込まれるのではなく、自ら

の専門性を持つ」など、ピアスタッフが対人援

助を行う独自の専門職であると位置付けるもの

があった。また、ピアスタッフのあり方として

「市民でありたい」、「市民として市民に働きか

ける」、「弱肉強食の社会に働きかける力となる」

など、より広い視点からピアスタッフであるこ

との意義を感じさせられる言葉もあった。

 その後の分科会でも、ピアスタッフの今後の

あり方や専門職との関係、報酬など雇用の問題

についてなど様々なテーマが挙げられ、活発な

議論が行われていた。二日間の参加を通して感

じられたこととしては、参加されているピアの

一人ひとりが強い関心を持ち、ピアスタッフの

今後に期待しているということであった。集い

の中で多くのピアの方々と話をさせていただく

機会を得たが、それらの人々がピアであること

に自信を持って語っていると感じさせられた。

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精神保健福祉領域におけるピアスタッフの役割について

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考察

1.ピアサポートの系譜から考える三つのタイプ

 相川は、日本におけるピアサポートの実践を

ソロモンの分類にならって①当事者運営サービ

ス、②当事者パートナーシップサービス、③被

用者としての当事者、の三つに分けて分類し、

現在の日本のピアサポーターの多くが被用者と

しての当事者に当たるとする。

 また、ピアサポートの先行研究のレビューを

基にピアサポーターの概念的背景をセルフヘル

プ・ピアサポート、権利擁護、就労・働くの三

つに分類しており、これらに共通する理論基盤

にリカバリーがあるとしている(相川,2013b)。

 相川の分類は、報酬を伴うピアサポートに関

する分類となっているが、ここでは報酬につい

ては今後の課題とし、専門職やピア同士の関係

性に注目した場合の分類を考えてみたい。

1-1.オルタナティブタイプ

 ビーアズの活動やオルタナティブの活動が目

指していることは、精神障害のある人たちが置

かれている状況の改善であり、既存の精神医療

や保健福祉サービスの変革であった。

 精神衛生運動は、精神障害の問題に社会の関

心を集めることで状況の改善を図ろうとした。

オルタナティブは、医学的な治癒や治療といっ

た概念ではなく、個々の人生の意味に焦点を当

てたリカバリー概念を生み出し、専門職主導で

はない障害当事者による支援を展開している。

さらに当事者の権利擁護の観点から、精神医療

や精神保健福祉システムが持つ権力性に対して

は強く抗議する姿勢を見せ、社会変革をも意図

した運動を展開する。

 このように障害当事者の権利擁護と社会変革

を目指したピアサポートの形態をオルタナティ

ブタイプとする。

1-2.自助グループタイプ

 AAのスポンサーシップは、自助を土台にし

つつ断酒経験の長い者が、新人のメンバーを導

き、支える仕組みである。新人にとっては飲酒

のリスクの高い時期を安定して乗り越えられる

ようにし、相談役となる者にとっては、自己の

断酒の継続を強めていく効果があるとされてい

る。AAのスポンサーシップは、あくまで仲間

との繋がりによる一人ひとりの断酒の継続にの

み焦点を当てており、社会変革のような意図は

含まれていない。そのため医療などの専門職と

の関係も対立関係ではなく、グループの独自性

は保ちつつも回復の目的が合致する部分では協

力体制を持つ。

 こうした個人の回復を中心としつつグループ

の目的達成を重視した形態を自助グループタイ

プとする。

1-3.ピアスペシャリストタイプ

 近年では、これまで見てきたピアとしての立

場や経験のみを重視したピアサポートとは別に

アメリカのピアスペシャリストや日本のピアサ

ポート専門員のように規定の講習等を受講した

上で認定される仕組みが登場している。ピアサ

ポートが一般化していく中で、その位置付けや

待遇に差が大きく、必ずしも安定した雇用がな

されていないことが問題となってきた。そうし

た背景からピアスタッフの地位を明確にするた

めにも認定資格が求められるようになり、ピア

スタッフの養成カリキュラムが作成された(精

神障がい者ピアサポート専門員養成のためのテ

キストガイド編集委員会,2015)。

 このように一定の研修と認定制度の上で精神

保健福祉システムの中で援助者として位置付け

られ、報酬と義務を伴う形態をピアスペシャリ

ストタイプとする。

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東京成徳大学研究紀要� ―人文学部・応用心理学部― 第24号(2017)

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1-4.三つのタイプの特徴とピアスタッフのあ

り方

 これら三つのタイプについて考えられる特徴

をまとめてみた(表1)。

 当事者主体と権利擁護を最も強く実現しよう

とするのはオルタナティブタイプであると考え

られるが、既存の専門職との対立が生じやすい

ため、雇用や報酬の点で困難が残る。

 既存のサービスの中に組み込まれるようなこ

とはこのタイプの活動の本質を変えてしまう可

能性もあり、専門職の権威や権力に対抗する力

となる特色を維持するためには、従来の精神保

健福祉システムとは距離を保った独自の支援で

あることが必要となるだろう。

 自助グループタイプは、当事者主体を重視し

つつ、専門職とは協力関係の位置にあり、ピ

ア同士の関係も対等性を保っている。AAでは、

グループの原則として活動から報酬を得ること

を禁じているが、これは金銭に対する欲求が飲

酒への危険を高め、グループの目的をも脅かす

ことを防ぐためであると考えられる。

 しかしその一方でアルコール依存症や薬物依

存症の回復を目的としたリハビリテーションの

施設では、自助グループの原理に基づいた支援

が展開され、断酒や断薬の経験の長い当事者が

職員として活躍していることが多い。薬物依存

症のリハビリ施設として知られているダルク

(DARC)のように職員のほとんどが当事者で

ある場合もある。依存症関係の場合は、断酒の

ように目標とするものが明確であり、依存対象

から離れた生活を長く送っていることに対する

信頼と現在も依存の問題に向き合い続けている

という共感を得やすいのではないだろうか。こ

れに関しては、今後さらに検討してみたい。

 ピアスペシャリストタイプは、リカバリー概

念が発達している北米ではオルタナティブや自

助グループの理念も含んだ形で当事者の権利擁

護と専門職との協働の両面を発展させていく可

能性が高いと考えられる。しかしながら依然と

して医療の力が大きく、地域移行も十分に進ん

でいない日本の場合は、専門職側の意識の変革

がなければ、その活動は既存の精神保健福祉医

療の枠内に押し込められてしまう可能性もあ

る。この点は今後さらに検討されるべき課題で

あろう。

 三つのタイプは、どれが正しいというもので

はなく、それぞれの特徴を生かした活動が今後

も続けられていくものと思われる。現在は、ピ

表1. ピアスタッフのタイプ別特徴

オルタナティブタイプ 自助グループタイプ ピアスペシャリストタイプ

特徴 当事者の権利を重視。既存の精神保健福祉に対抗するピアサポート。

同じ経験をした仲間としての関係を重視。互いに助け合 う 存 在 と し て の ピ ア サポート。

ピアサポートに関する研修を受講するなど一定の条件がある。認定制度に基づいたピアサポート。

当事者同士の関係

あ く ま で 対 等 な 関 係 を 重視。

経験の違いはあるものの対等な関係を重視。

理念上は対等だが認定による差別化が行われる。

専門職との関係

当事者の権利を脅かす場合には強く対立。

グループとしての自律性は保ちつつ協力関係を持つ。

基本的には協働だが、被用者として管理下に入ることもある。

雇用及び報酬の課題

独自性とピアの対等性を維持するためには、既存の精神保健福祉システムとは別のシステムが必要。

グループの独自性を保つためには、既存の精神保健福祉システムとは別のシステムが必要。

既存の精神保健福祉システムの一部として導入しやすい。

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精神保健福祉領域におけるピアスタッフの役割について

41

アスペシャリストタイプに注目が集まっている

が、オルタナティブや自助グループのタイプの

意義と重要性も忘れてはならない。

2.ピアスタッフのもう一つの可能性ー教育と

コンサルティング

 ピアスタッフの障害当事者としての経験は、

サービス利用者に対するピアとしての役割だけ

でなく、その経験自体を資源として専門職に対

する教育的な役割を担う際にも有効であろう。

実際に精神保健福祉士等の専門職の養成課程や

現任者の研修などにおいて障害当事者が自ら

の経験を語るような取り組みも見られるように

なっている。

 谷中は、やどかりの里での活動の中で利用者

と共に各地の研修会に赴き、利用者を講師とし

て語らせることを早くから始めていた(やどか

りの里,1978)。べてるの家のメンバーたちによ

る講演活動は、単に当事者の語りという枠を超

えて「当事者研究」という新しい取り組みを広

めている(浦河べてるの家,2005)。

 今回報告したA事業所のピアスタッフに関す

る研修や、全国ピアスタッフの集いなどからも

明らかなように直接的な語りの場がピアスタッ

フと既存の専門職や家族等の関係者の双方に与

える影響は大きい。A事業所の例では、ピアス

タッフの導入に関してピアである当事者と雇用

側となる専門職それぞれが感じていた不安が既

にピアスタッフとして働いていた人の報告と助

言によって解消される方向へと話が進んでいっ

た。ピアスタッフの集いでは、シンポジウムや

分科会の場でピアとしての思いが共有される

ことで互いにエンパワーされている姿が見られ

た。

 この他にも専門職養成の授業の一環で当事者

をゲストスピーカーとして招いてその体験を学

生たちに伝えてもらう場を設けているソーシャ

ルワークの教育者も多いだろう。久保は、ソー

シャルワーク教育に当事者が参画することの意

義について、ソーシャルワークが構造的に不利

な状況に置かれている人々に目を向け、そのリ

アリティから問題を把握する特色を持っている

とし、そのための共感的理解を当事者による授

業で養うことができるとしている。また当事者

の語りの位置付けとして、当事者が語られる対

象から語る主体となることでソーシャルワーク

を学ぶ学生たちが将来当事者とのパートナー

シップを構築していくためにも意義があるとし

ている(久保,2011)。

 久保の指摘はピアスタッフが教育に参画する

際の重要な意義を指摘しているが、あくまで「参

画」であるところに限界があるように思われ

る。専門職教育が前提にあり、その一部に当事

者がその経験を語り伝えるという位置付けにと

どまっているのである。これは久保の論文がピ

アサポートやピアスタッフを実施している当事

者ではなく、広く障害当事者全体を視野に入れ

た内容であるゆえの限定的な記述であると考え

られる。

 ピアスタッフが教育に関与する場合、その立

場は単に障害当事者であるというだけでなく、

現場で支援を実践している援助者であり、当事

者と援助者の両面を持って支援に関わる独自の

立場を経験しているものとなる。この独自の立

場性を活かした教育を可能とするには、単なる

ゲストスピーカー的な扱いではなく、協働すべ

き専門職として相当の時間をかけた機会を設け

る必要があるだろう。もし可能であれば教育カ

リキュラムの中に明確に位置付けていくことが

望ましいと考える。

 それはピアスタッフをゲストとしてではな

く、教育者として位置付けることでもある。障

害当事者としての経験とピアスタッフとしての

実績を精神保健福祉における学問的な業績の一

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東京成徳大学研究紀要� ―人文学部・応用心理学部― 第24号(2017)

42

つとして位置付けるための基準や評価方法が問

われることとなるが、今後もっと考慮されるべ

き意義のあることではないだろうか。

 利用者との対等性は、ソーシャルワーク教育

において重要な理念であり、目指すべきことで

ある。しかし教育の場において対等性を示すに

は、教育の体制の中にももっと当事者が存在す

るべきではないだろうか。ピアスタッフを師と

する経験は、障害当事者ではない学生にとって、

利用者との対等性を学ぶ良い経験となるであ

ろうし、何より障害当事者でもある学生にとっ

ては重要なロールモデルとなることが考えられ

る。

 さらには学生への教育だけでなく、実践現場

における教育的な立場も今後重要になってくる

と思われる。すでに精神保健福祉士等の専門職

としての資格を取得している障害当事者も増え

てきている。筆者の知人にもそうした人々がい

るが、彼らは専門職としての知識と技術に加え

て障害当事者としての経験も兼ね備えている存

在である。

 現状では、ピアスタッフの雇用に関しては、

医療機関への受診の時間の確保や病状や障害へ

の影響を抑えるなどピアスタッフ自身の障害者

として面への配慮が注目されているように感じ

られるが、障害当事者としての経験の部分を生

かしていくための積極的な配慮も必要であろ

う。

 具体的には、障害当事者としての知識や経験

を非当事者である専門職に対してコンサルティ

ングする役割や、現任者に向けた研修などの講

師といったものが考えられる(図1)。

 こうした教育的業務を報酬に加算することが

できれば、ピアスタッフの収入や職場での地位

の向上にも繋がることであろう。

今後の課題

 ピアスタッフの効果については、今後も様々

な研究が行われていくことと思われるが、地域

移行への効果や再入院率といった従来の指標だ

けでは、制度的な背景や退院後のケアのレベル

などピアスタッフ導入以外の要素が大きく、十

分な成果が得られにくいこともあるだろう。

 しかしながらピアスタッフが活躍していくこ

とで障害というもの自体への見方が変わり、精

神医療や精神保健福祉のあり方が大きく変わっ

ていくことは期待できる。ピアスタッフの導入

の意義は、そうした数値に表れにくい面も含め

て検討していく必要がある。

 精神障害に対する偏見の除去や専門職養成に

おける援助関係のとらえ直し、チームアプロー

チのあり方など多くの場面においてピアスタッ

フの活動が影響を与えてくることを考えると、

従来の指標からだけではなく、より幅広い観点

でピアスタッフの効果に対する研究が求められ

てくることだろう。

 加えて既に養成が進められているピアサポー

ト専門員の教育内容や資格取得後の研修、雇用

側に対する研修や既存の専門職に対する研修な

どピアスタッフに対する理解を深めていく取り

組みも欠かせない。

 「全国ピアスタッフの集い」のようにピアス

タッフと関係者の交流を深める機会も重要であ

図1.ピアスタッフの教育的役割の可能性

Page 11: 精神保健福祉領域におけるピアスタッフの役割につ …精神保健福祉領域におけるピアスタッフの役割について 35 ち」でケアをするという意味も含んでいると考

精神保健福祉領域におけるピアスタッフの役割について

43

る。そうした機会を通して今後は、既存の専門

職の側の視点だけではなく、ピアスタッフの側

の視点も含めた形での実証的な研究が深められ

ればと考える。

注釈

ⅰAAに関する歴史やプログラムについては、

AAのGeneral�Service�Officeのホームページを

参照した。http://www.aa.org(2016年11月確認)

ⅱWRAP:�アメリカの精神障害当事者でもある

研究者のM.E.コープランドによって開発され

たプログラム。Wellness�Recovery�Action�Plan

の略で「ラップ」あるいは「元気回復行動プ

ラン」として知られている。日本ではWRAP

の表記で用いられることが多いため本文でも

略語を用いた。

http://mentalhealthrecovery.com(2016年11月 確

認)

ⅲこれらの経緯は、日本ピアスタッフ協会のサ

イトよりリンクされた各年度の集いの報告書

に記載されている。

http://peersociety.jimdo.com(2016年11月確認)

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