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総合科学の基礎C 哲学思想の基礎 2019/04/12 はじめに:哲学とは何か

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  • 総合科学の基礎C

    哲学思想の基礎

    2019/04/12

    はじめに:哲学とは何か

  • 10ケタの学生番号を記入

    10ケタの学生番号を鉛筆でマーク

    名前 今日の日付 哲学

    マークシートの記入要領

    ここに注意!

    小テストなどに使います。

  • この授業の目的

    • 西洋哲学の基本概念を取り上げ、哲学がどのような問題意識から、どのような問題を扱ってきたのかを概説する。

    • 毎回、授業内容を受けて考えたことを書くことで、論理的な文章を書く能力の獲得を目指す。

    • 提出は、「総合科学入門講座」と同様、manabaを利用します。 • 書くべき内容も同様です。感想でなく、論説文を。 ① 授業の要点をまとめる。 ② 意見・質問等を書く。

    ③ 意見の根拠、質問する理由を書く。質問の場合には、自分なりの解答とその根拠も書く。

  • 授業の概要

    • 歴史的にみると、自然科学は哲学から派生したものである。自然科学における研究の問題意識や前提は、哲学に由来するものが多い。例えば、「自然法則の実在」や「実験的方法による証明」など。

    • しかし、それらの前提は、哲学において論争となってきた。「実在と現象」「個物と普遍」「実体と形相」など、西洋哲学の基本概念を講義することで、自然科学を含む西洋思想の構造を説明する。

  • 授業のウェブページ

    • 「総合科学入門講座」のページにリンクがあります。 • http://web.ias.tokushima-u.ac.jp/shin-kokusai/philosophy/top.html

    http://web.ias.tokushima-u.ac.jp/shin-kokusai/philosophy/top.htmlhttp://web.ias.tokushima-u.ac.jp/shin-kokusai/philosophy/top.htmlhttp://web.ias.tokushima-u.ac.jp/shin-kokusai/philosophy/top.htmlhttp://web.ias.tokushima-u.ac.jp/shin-kokusai/philosophy/top.htmlhttp://web.ias.tokushima-u.ac.jp/shin-kokusai/philosophy/top.htmlhttp://web.ias.tokushima-u.ac.jp/shin-kokusai/philosophy/top.htmlhttp://web.ias.tokushima-u.ac.jp/shin-kokusai/philosophy/top.html

  • Manabaへの入り口

    次回から配布資料は

    木曜の昼までにウェブページに掲示するので、

    自分で印刷して持ってきてください。

  • 全体的な構成(予定)

    はじめに

    1)哲学とは何か

    存在論

    2)存在の何が問題か

    3)イデア論

    4)カテゴリー論

    5)質料形相論

    神学

    6)キリスト教と哲学

    7)アリストテレスの神学

    8)トマス・アクィナスの神学

    9)神と人との逆転

    認識論

    10)デカルトの心身二元論

    11)マルブランシュの解決

    12)バークリの解決

    13)感情の大逆転

    おわりに

    14)知識の体系

    15)全体のまとめ

  • 今日の話の要点

    ①現代における哲学の直系の子孫の一つは自然科学である。

    ②もともと哲学はすべての学問を含むものだった。

    ③哲学を学ぶことで、自然科学・民主主義・資本主義など、現代社会の枠組みを生みだした西洋の世界観を理解することができる。

    ④西洋の世界観の根本にはbe動詞がある。

  • 哲学とは何か

    • 「自然科学は客観的で正しい、哲学は主観的でいかがわしい」

    • 「当たり前のことをあえて難しく言ってケムに巻くもの」

    • 「人それぞれに哲学がある」

    • 「変人」

    →自然科学は哲学の直系の子孫

  • たとえば、

    デカルト:「われ思う、ゆえにわれあり」

    →解析幾何学の祖

    →慣性の法則

    ニュートン:万有引力の法則

    →「自然哲学の数学的諸原理」

    • 19世紀になるまで、「自然科学」に相当する言葉は「自然哲学」

  • アリストテレスの「哲学」の範囲

    • 論理学、物理学、形而上学、動物学、心理学、天文学、気象学、政治学、倫理学…

    →何でもやっている。

    • 近代にいたるまで、「哲学」はおよそすべての学問領域を含むものだった。

    • 西洋的な諸学問すべての根底に哲学がある。 – 「和魂洋才」と言いますが、やはり「魂」を理解する必要がある。

    →いつ頃から、科学と哲学が分かれたのか?

  • 手がかり①:Philosophyの訳語

    • Philosophy=philia(愛)+sophos(知) – ソクラテス(BC.470頃~399)とその周辺の人たち

    • 江戸時代の蘭学者や英学者たち:「理学・物理学・理科」

    • 明治時代初め:西周「哲学」

    –周敦頤『通書』志学篇「士希賢。賢希聖。聖希天」より。

    –井上哲次郎『哲学辞彙』(1881年):science=理学、科学。physics=物理学

  • 手がかり②:Scientistの誕生

    • ウィリアム・ヒューウェル(1834年)

    – -ist=狭い分野の専門家。

    – Scientist=「専門バカ」的なニュアンス

    • 近代的な大学が成立し、学者が大学教授に。

    –学問が専門に分科した。

    • トマス・ハクスリー(19世紀後半)

    – 「Scientistは汚い言葉」「電気死刑(electrocution)みたいなもの」

  • それ以前の哲学者は

    • デカルト(1596-1650):小金持ち

    • ホッブズ(1588‐1679):貴族の家庭教師

    • マルブランシュ(1638-1715):修道士

    • ライプニッツ(1646-1716):図書館長

    • カント(1724-1804):大学教授

    →このあたりから、学者が大学教授に。

    →哲学と科学が分かれ、科学が専門分科したのは19世紀半ば。

  • Be動詞的世界観

    • 哲学の探求する対象=「存在」

    • 存在にかかわる哲学用語:存在、本質、実在、実体、現実…=being, essence, substance, existence, reality…

    →多くがBe動詞起源。

    – being=be動詞

    – essence=esse(ラテン語のbe動詞)

    – substance=ギリシア語のbe動詞「ウーシアー」

  • 存在論=being論

    • be動詞は、何を意味しているのか?

    – 「(物として)ある」と「~だ」

    • そんなに単純ではない。

    – A pen is on the table.

    – A pen is a writing instrument.

    – Justice is good.

    – This is a pen.

    – This pen is red.

    – This pen is good.

  • “is B”のプラトン

    • プラトン「イデア論」:個物とは別に、個物をその種類にしている「イデア」がある。

    – Socrates is a man.

    – ソクラテスは死ぬ。=Socrates is not a man.

    – 「人間」は死んだり変化したりしない。

    → “is B”の方が、本来のbeingだ。

  • “A is”のアリストテレス

    – Socrates is a man.

    – Socrates is white.

    – Socrates is ugly.

    – Socrates is in the square.

    • 述語が示すものは、ソクラテスに従属する。

    →A isの方が本来のbeingだ。

  • プラトン対アリストテレス

    • その後の哲学は、プラトン対アリストテレスのせめぎあい。

    –みなさんは、アリストテレスの方がもっともらしいと思うのでは?

    • しかし、自然科学の世界観は、プラトン的。

    – 「現象の背後に、普遍的な自然法則が実在する」

  • 今日の宿題

    • 授業へのコメントをmanabaで送信。

    • 締め切りは火曜日の17時。(総合科学入門の宿題の次の日)。

    • 授業のまとめ、意見・質問、それらの根拠と理由、質問の場合は自分なりの回答とその根拠。

    • 今後の授業は、みなさんからのコメントを中心に進めます。

    • 次回から、配布資料を自分で印刷するのを忘れないように。