第4章 エネルギー原理 - saga-u.ac.jptoshi1.civil.saga-u.ac.jp/aramakig/text/k4.pdfε u p0...
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x
1P
第4章 エネルギー原理
仕事
1次元の場における仕事は次式で定義できる。
仕事=力×移動量
力と移動量が同じ向きの時 正の仕事
力と移動量が逆向きの時 負の仕事
2P
1P2P
右の片持ちばりに の力が載荷してつり合っ
ているとする。さらに、荷重 を載荷すると
2つの力は次の仕事をする。21 , PP
P
1δ 2δ21 , PP
P
1P のなす仕事 11δP+
2P のなす仕事 22δP−
モーメントのなす仕事は次式で与えられる。
仕事=モーメント×回転角
y
P
δ
1次元の場合
2,3次元の場合
力 が変位 との間になす仕事は、ベクトルの内積で表さ
れる
P δ
仕事= αcosδPδP ⋅=⋅
α
2つの力と変位が独立であることに注意してほしい21 , PP
荷重と変形とのなす仕事
δ
0P
0δP
0P
0δ
右図のように片持ちばりに荷重が載荷したよ
うな場合は、荷重と変位の間には関係がある。
荷重と変形の関係が右図のような曲線で与えら
れる場合の仕事量は次のようになる。
δ
P
0P
0δ
xP
xδxdδ
荷重 が載荷したときの微小変位による仕事 xxdP δxP終的に が載荷したときの仕事量は
∫= 0
0
δδ xxdPW
0P
仕事量は曲線の下側の面積を表す。
特に、フックの法則が成り立つ弾性体の場合は
0
00
0
2
00 2
δδδ δδδδ ⎥
⎦
⎤⎢⎣
⎡=== ∫∫ x
xxxx kdkdPW
xx kP δ=
2200
20 δδ Pk==
(4.3)
4-1
(4.1)
(4.2)
(4.4)
(4.5)
図-4.1
図-4.2
ε
u
0P0δ
ζσ
変形前
x
xΔ
A
xΔu
xσ
uu Δ+
xσ
変形後
σ
ζεζεd
右図のように断面積 の柱に引っ張り力が
作用しているとする。固定端から の位置の
微小部分の応力のなす仕事は
( )uudAudAdw xx Δ+×+×−= σσ
dvxdAxuudA xxxx εσσσ =Δ
ΔΔ
=Δ=
棒全体では
∫=V xx dvW εσ
ただし は微小体積を、 は体積全体
に対する積分を意味している。
dv V
∫=ζ ζζ εσ dvdW
右図のような応力とひずみの関係が与えられるときは
として、ひずみ曲線に沿って積分しなければならない。
特に弾性体の場合は
∫=V
dvW 0021 εσ
0σ
0ε
応力のなす仕事とひずみエネルギー
応力のなした仕事量と同じ大きさのエネルギーがひずみエネ
ルギーとして物体の中に蓄えられる。
仮想仕事の原理
実系(与系)
仮想系
iP
iv
応力 xσ
jP
ひずみ xε
応力 xσ
ひずみ xε
ある構造物に力がかかってつり合っている。こ
の系を実系と呼ぶ。同じ構造物に全く別の力が作
用した系を仮想系と呼ぶことにしよう。実系と仮
想系の間で次の式が成り立つことが知られている。
実系の力と仮想系の変位のなす仕事=仮想ひずみエネルギー
仮想ひずみエネルギーとは、実系から応力を、
仮想系からひずみエネルギーを用いて考えた仮
想のひずみエネルギーのことである。
仮想仕事の原理は次のように書くことができ
る。
∫∑ =⋅V xxii dvvP εσ
仮想仕事の原理は弾性体に限らず成立するが、ここでは弾性ばりの場合を考えてみよう
yI
M
z
xx =σ
yEIM
E z
xxx ==
σε
実系 仮想系 yI
M
z
xx =σ
yEIM
E z
xxx ==
σε
曲げモーメント xM
xM曲げモーメント
(4.10)
(4.6)
図-4.4
(4.7)
(4.8)
(4.9)
(4.11)
(4.12)
(4.13)
(4.14)
4-2
図-4.3
図-4.5
( ) ∫∫ ∫∫∫∑ ==⋅==⋅l
z
xxl A
z
xxV
z
x
z
xV xxii dx
EIMMdxdAy
EIMMydAdx
EIMy
IMdvvP 2
2εσ
弾性ばりの仮想仕事の原理式
∫∑ =⋅l
z
xxii dx
EIMMvP
実系と仮想系を入れ替えても同様に成立する(補仮想仕事の原理)。弾性ばりの場合は
∫∑ =⋅l
z
xxii dx
EIMMvP
ポテンシャルエネルギー 小の原理
弾性体において、次のようなポテンシャルエネルギー関数を定義する。
iiV xx vPdv ⋅−=Π ∑∫ εσ21
「弾性体においては、ポテンシャルエネルギー関数が 小になるように変形する」
というのがポテンシャルエネルギー 小の原理である。
弾性はりの応力とひずみは次のように得られる。
ydx
vdEyI
M x
z
xx 2
2
−==σ2
2
dxvdEIM x
zx −= ydx
vdE
xxx 2
2
−==σεより
iiVxx vPdAdxy
dxvdy
dxvdE ⋅−⎟⎟
⎠
⎞⎜⎜⎝
⎛−⎟⎟
⎠
⎞⎜⎜⎝
⎛−=Π ∑∫ 2
2
2
2
21
はりのポテンシャルエネルギー関数は
iiVxz vPdx
dxvdEI
⋅−⎟⎟⎠
⎞⎜⎜⎝
⎛=Π ∑∫
2
2
2
2ポテンシャルエネルギー関数
Π
関数
xvポテンシャルエネルギー関数 は、関数 をインプッ
トすると値がでてくる箱を意味し、氾(はん)関数と呼ば
れる。一般の関数 は値 を入れると値がでてくる
装置を意味している
値
xvΠ
氾関数
関数
)(xf
値
x値
関数
)(xf x
カスチリアーノの定理
氾関数 の第1項はひずみエネルギー を表すので、 は次の
ように書ける。
ii vPU ⋅−=Π ∑変位及び荷重が独立であるなら、ポテンシャルエネルギー関数 が 小になることから
カスチリアーノの第1定理
ii
PvU
=∂∂
カスチリアーノの第2定理
ii
vPU
=∂∂
Π U Π
Π
(4.15)
(4.16)
(4.17)
(4.19)
(4.21)
(4.20)
(4.22) (4.23)
4-3
図-4.6
例題4-1
P1
l
− − Pl
与系
仮想力系
M Pxx = −
− − lM xx = −
+
M MEIx x
z
PlEI z
2
図
A
B片持ばりの自由端 に集中荷重 が載荷されている。
自由端 の鉛直変位 を仮想仕事の原理を用いて求
めよ。ただし, とする。
(解) 与えられた系を与系と呼ぶ。 初に与系の曲
げモーメントを求めよう。
M x
Qx
x
点回りのモーメントのつり合いよりx
− − =Px M x 0
(時計回り正)
(1)
M Pxx = −ゆえに
(2)
次ぎに仮想力系を考える。今求めたいものが 点
の鉛直方向の変位 なので,変位方向に単位荷重
1を載荷した系を仮想力系とする。この系の曲げ
モーメントは与系の曲げモーメントを参考にして次
式で与えられる。
δ A
M xx = − (3)
与系と仮想力系との間で(補)仮想仕事の原理
式をたててみよう。
130
2
0
3
⋅ =− −
= =∫ ∫δ Az
l
z
l
z
Px xEI
dx PEI
x dx PlEI
( )( )(4)
M MEI
Pxx x
z
= 2
放物線
B
y ax= 2
H
A BH=13
A BH=23
放物線の上下部分の面積
仮想力系として鉛直変位方向に単位荷重を与えた
のは,左辺の項が変位 だけになることをねらっ
たものである。
δ A
式(4)の右辺項は 図の面積を求めたものである。M M
EIx x
z
放物線の上下部分の面積が右図のように与えられるこ
とを参考にすると式(4)は面積計算から容易に求め
ることができる。
P
AEI constz =
A
A Pδ AA
4-4
図-4.7
図-4.8
例題4-2
右図の張り出しばりの 点に集中
荷重 が載荷したときの を
求めよ。
A B C
l a
与系
−
P
− Pa
A B C1
仮想力系1
与系の曲げモーメント
− − a
+ Pa 2
Pa l2
3Pa 3
3
A B C1
仮想力系2
− − 1
Pa+
Pal3
Pa 2
2
M Mx x 図
M Mx x 図
AB C1
仮想力系3
++ 1
与系の曲げモーメントは右図のように与えられる。
点の変位 を仮想仕事の定理を用いて
求めるには, 点鉛直方向に が載荷した系
を仮想力系として用いる。
仮想力系の曲げモーメントは簡単に右図の
ように描ける。
与系の曲げモーメント図と仮想力系1の曲
げモーメント図の積, 図は2本の放
物線で描ける。仮想仕事の式は次のように与
えられる。
EI constz =
CCδC
1
M Mx x
1 13 3
2 3
⋅ = +δCzEI
Pa l Pa( )
= +PaEI
l az
2
3( ) (1)
次ぎに 点のたわみ角 を求めよ
う。 点に単位のモーメント荷重を載荷
した系を仮想力系として用いる。与系と
仮想力系の曲げモーメント図の積を用い
て 点のたわみ角が求まる。
θCCC
C
1 13 2
2
⋅ = +θCzEI
Pal Pa( )
= +PaEI
l az6
2 3( ) (2)
点のたわみ角 を求めるには仮想力
系3を用いる。曲げモーメント図は右図の
ようになる。積分を用いて が次式で与
えられることを確かめて下さい。
θ Az
PalEI
= −6
(3)
θ A
θ A
A
δ θ θC C A, ,PA
4-5
図-4.9
図-4.10
l la b
P
DA B
C
例題4-3
右図のゲルバーばりについて以
下の問いに答えよ。
1)各支点の鉛直反力を求めよ。
2)せん断力図及び曲げモーメン
ト図を描け。
3) 点のたわみ角 、 点のたわみ角 、 点のたわみ 及び 点のたわみ角 を求めよ。A B D Cθ AθB θCδ D
(解答)
la
P
DA B
ゲルバーばりを解くコツは、 初に中間ヒンジのごく右か左で切断することである。中間ヒ
ンジでは曲げモメントがゼロであることを 大限に利用しようと言うわけである。ここでは、
中間ヒンジのごく右側で切断する。切断面には軸力とせん断力と曲げモメントを考えなければ
ならないが、そのうちの曲げモメントはゼロである。また水平方向の荷重がないので軸力もゼ
ロとなる。
b
C
RARB
RC
QD QD
右側部分における力のつり合いを考える。
Vi∑ = 0 より(下向き正)
− − =Q RD C 0
M i∑ = 0 より(時計回り正)
(1)
C点まわりの
Q bD ⋅ = 0
Q D = 0(2)
式(1)に代入して
R QC D= − = 0 (3)
左側部分における力のつり合いを考える。
M i∑ = 0 より(時計回り正)
B点まわりの
R l P aA ⋅ + ⋅ = 0
Vi∑ = 0 より(下向き正)
− − + =R R PA B 0 (4)
(5)
R PalA = − (下向き)
(6)
式(4)に代入して
( )R Pl
a lB = + (上向き) (7)
4-6
図-1.10
図-1.11
l la b
P
DA B
C
DA B
C
1
R PalA = −
( )R Pl
a lB = + R C = 0
x
M Pal
xx = −
+
−
1
M l xlx =−
与系の曲げモーメント図
仮想力系1
仮想力系1の曲げモーメント図
各支点の反力が求まったの
で与系の曲げモーメント図は
右図のように簡単に求まる。
θ Aを求める
支点 に単位モーメントを載荷
した系を仮想力系1とする。この
系の曲げモーメントは右図のよう
に求められる。
(補)仮想仕事に原理より
A
1× = ∫θ Ax xM MEI
dx
( )= − −∫Pa
EIlx l x dx
l
2 0
= − −⎡
⎣⎢
⎤
⎦⎥
PaEIl
x l xl
2
2 3
02 3
= −PalEI6 (反時計回り)
DA
BC
1
− 1
M xlx = −
仮想力系2
仮想力系1の曲げモーメント図
θB を求める
支点 に単位モーメントを載荷
した系を仮想力系2とする。この
系の曲げモーメントも右図のよう
に求められる。
仮想仕事に原理より
B
1× = ∫θ Ax xM MEI
dx
= ∫Pa
EIlx dx
l
22
0
= +PalEI3 (時計回り)
4-7
図-4.12
DA B
C
1
仮想力系1
仮想力系1の曲げモーメント図
DA
BC
1
1
仮想力系2
仮想力系1の曲げモーメント図
+
−
−
δ D を求める
中間ヒンジ点 に単位荷重を
載荷した系を仮想力系3とする。
この系の曲げモーメントは与系と
相似形になるので容易に求まる。
仮想仕事に原理より
D
1× = ∫δ Dx xM MEI
dx
= ⋅ ⋅ + ⋅ ⋅⎧⎨⎩
⎫⎬⎭
1 13
13
2 2
EIpa l pa a
( )= +PaEI
a l2
3 (下向き)
a
ab
θC を求める
支点 に単位モーメントを載
荷した系を仮想力系2とする。こ
の系の曲げモーメントも右図のよ
うに求められる。
仮想仕事に原理より
B
1× = ∫θCx xM MEI
dx
= − ⋅ + ⋅⎛⎝⎜
⎞⎠⎟
1 13
13
2 2
EIPab
a Pab
l
(反時計回り)( )= − +PaEIb
a l2
3
bPa 2
−
+
2Pa
4-8
図-4.13
問題 1
A BP
CP
D
la a
E (中央点)右図の両側張り出しばりの両端に集中荷重
を載荷したときの を仮想仕事の
原理を用いて求めよ。
δ θ θ δC C A E, , ,
EI constz =
学籍番号 氏名
(解答)δ Cz
PaEI
a l= +2
62 3( ) θC
z
PaEI
a l= − +2
( ) θ Az
PalEI
= −2
θ Dz
PalEI
= −8
年 月 日
P
4-9
図-1.14
α
4m
3m
AB
C
kN60
右図のような2本の部材(member)で構成され
るトラスの 節点における変位を仮想仕事の定理を
用いて求める。以下の問いに答えなさい。
1)節点の近傍で仮想的に切断して力のつり合いを考える。部材に生
じている軸力を引っ張り力を正として、それぞれ とすると、
水平及び垂直方向の力のつり合いから次式が得られる。
L A B D A C
V i∑ = 0
辺長厚さ断面積 236cm一様断面
)/(100.2 27 cmNE ×=
cm10cm1
例題4-4
1)各部材の軸力を求めよ。
2) 点の鉛直変位を仮想仕事の原理を用いて求めよ。
3) 点の水平変位を仮想仕事の原理を用いて求めよ。
A
AA
A
kN60
切断
α
DAC
LABより
Hi∑ = 0
0sin60 =⋅+− αACD
)(1003560 kNDAC =×=∴
D LAC AB⋅ + =cosα 0
)(8054100cos kNDL ACAB −=×−=⋅−= α
(1)
(2)
(3)
6.053sin ==α
8.054cos ==α
(4)
α
4m
3m
AB
C
1
2) 節点の鉛直変位を求めるために右図のような仮想力系を
与える。
A
A
1
切断
α
ACD
ABL
各部材の軸力は簡単に求められる
DAC =53
LAB = −54
トラスの場合の仮想仕事は次のように与えられる。
P dV NA
NEA
dA dlP V Alδ σε∑ ∫∑ ∫∫∑= = ⋅
⎛⎝⎜
⎞⎠⎟ ⋅
一様断面だと仮定すると
P NNEA
lPδ∑ ∑=
(6)
(7)
仮想仕事の原理より
( )⎭⎬⎫
⎩⎨⎧
⋅⎟⎠⎞
⎜⎝⎛−−+⋅⋅==⋅ ∑ 4
45805
35100111
EAlNN
EAAVδ (8)
)(171.03360.2
3710103
370036100.2
1 237 cmAV =
××=××⎟
⎠⎞
⎜⎝⎛
××=δ (9)
(5)
図-4.15
図-4.17
4-10
図-4.16
A
1
切断
α
ACD
ABL
仮想仕事の原理より
( )( ){ }418050100111 ⋅−−+⋅⋅==⋅ ∑ EAlNN
EAAHδ (13)
( ) )(0444.0360.2
2.3101032036100.2
1 237 cmAH =
×=××
××=δ (14)
V i∑ = 0 より
Hi∑ = 0
0=ACD
01 =+ ABL
1−=ABL
(10)
(11)
(12)
4-11
図-4.18
A B
lθA
例題4-5
右図の片持ばりの 点のたわみ 及びた
わみ角 をカスチリアーノの定理を用いて
求めよ。
θB
P
xM x
右図の 点回りのモーメントのつり合いより
PxM x −=x
ひずみエネルギーは次のように与えられる。
( ) dxPxEI
Ul
∫ −=0
2
21
カスチリアーノの第2定理を用いて 点のたわみは次のように求められる。A
( )( )EI
PlxEIPdxxPx
EIPU
ll
A 331 3
0
3
0=⎥
⎦
⎤⎢⎣
⎡=−−== ∫∂
∂δ (3)
(1)
(2)
δ A
次にたわみ を求めよう。カスチリアーノの第2定理を用いようとしても、
点にモーメント荷重が載荷していないので、このままではこの定理は使えない。
点に仮のモーメント荷重 を載荷する。このとき曲げモーメントは次式で与えら
れる。
A
xM x0M
PPxMM x −= 0 (4)
ひずみエネルギーは次式で与えられる。
( )UEI
M Px dxl
= −∫1
2 00
2
ひずみエネルギーをモーメント荷重 で偏微分すると 点のたわみ角が求まる。
( )( ) ⎟⎟⎠
⎞⎜⎜⎝
⎛−=−== ∫ 2
111 2
00 00
PllMEI
dxxPMEIM
U l
A ∂∂θ
(5)
(6)
EIPl
A 2
2
−=θ
実際にはモーメント荷重 は作用していないのでゼロとおいて
A
(7)
Aθ
AAδ
(反時計回り)
(時計回り)
P
A 0M
0M
0M
4-12
図-4.19
図-4.20
図-4.21
AB
l
θA例題1-6
右図の片持ばりの 点のたわみ角
及びたわみ をカスチリアーノの定
理を用いて求めよ。
AθM 0
M 0x
M x右図の 点周りのモーメントのつり合いより
M Mx = 0
x
ひずみエネルギーは次のように与えられる。
UEI
M dxl
= ∫1
2 02
0
カスチリアーノの第2定理を用いて 点のたわみ角は次のように求められる。A
θ ∂∂A
lUM
MEI
dx M lEI
= = =∫0
0
0
0
(1)
(2)
(3)
δ A
次にたわみ を求めよう。カスチリアーノの第2定理を用いようとしても、
点に集中荷重が載荷していないので、この定理は使えないように思える。
ここで1つの工夫をしよう。 点に仮の外力 を載荷する。このとき曲げモーメ
ントは次式で与えられる。
A
A P
xM xM 0
PM M Pxx = −0 (4)
ひずみエネルギーは次式で与えられる。
( )UEI
M Px dxl
= −∫1
2 00
2
ひずみエネルギーを荷重 で偏微分すると 点のたわみが求まる。
( )( )δ ∂∂A
lUP EI
M Px x dxEI
M l Pl= = − − = − +
⎛
⎝⎜
⎞
⎠⎟∫
1 12 300
02 3
(5)
(6)
EIlM
A 2
20−=δ
実際には荷重 は作用していないのでゼロとおいて
P A
P
(7)
Aδ
AAδ
(上向き)
(時計回り)
4-13
図-4.22
図-4.23
図-4.24
E
l
Pa−
constEI =
a a
P P
A BC
D
例題4-7
右図の両側張り出しばりに
ついて以下の問いに答えよ。
1) 点の鉛直変位を仮想仕事の原理及びカスチリアーノの原
理を用いて求めよ。
2) 点(中央点)の変位を仮想仕事の原理及びカスチリアーノ
の定理を用いて求めよ。
(a)与系の曲げモーメント 図
Pa−
a−
(b)仮想力系の曲げモーメント 図
1
C
2Pa
(c) 図
1
E
la a
P P
A BC
D
初に仮想仕事の原理を用いて
求めてみよう。与系の曲げモーメ
ントは(a)図のように得られる。
さらに 点に単位集中荷重を
載荷した系を仮想力系とすると、
曲げモーメント図は(b)図のよ
うに求められる。
xx MM
xM
xM
(d)仮想力系の曲げモーメント 図xM
4l
4Pal
−
(e) 図xx MM
仮想仕事の原理より
lPalEIE ⋅⎟
⎠⎞
⎜⎝⎛−⋅⋅=⋅
42111 δ
EIPal
E 8
2
−=δ
同様に、 点に単位集中荷重を
載荷した系をもう1つの仮想力系と
すると、(d)図のような曲げモー
メント図が求められる。
仮想仕事の原理より
⎟⎠⎞
⎜⎝⎛ ⋅+⋅=⋅ lPaaPa
EIC22
21
3111 δ
( )laEI
PaC 32
6
2
+=δ
E
(1)
(2)
C
C
図-4.25
C
4-14
図-4.26
区間
E
lconstEI =
a a
P P
A BC
Dこの問題をカスチリアー
ノの定理を用いて解いてみ
よう。
これから解く方法は誰も
が考えつきそうなやり方で
すが、この方法は正しくな
いのです。それでも敢えて
やってみましょう。Pa−
(a)与系の曲げモーメント 図
Pa−
xMひずみエネルギーは次式で与えられる。
( ) ( ) dxPaEI
dxPxEI
Ula 2
0
2
0 21
212 ∫∫ −+−×=
( )( ) ( )( )dxaPaEI
dxxPxEIP
U la
C −−⋅+−−⋅×=∂∂
= ∫∫ 002
212
212δ
カスチリアーノの定理より 点の鉛直変位は次のように得られる。
( )laEI
PaEI
lPaEIPa
EIlPadxx
EIP a
3233
22 2232
0
2 +=+=+= ∫
この変位は仮想仕事の原理で求めた変位の2倍になっている。どちらが正しいのだろう。結
論からいうと上記の方法は間違っているのです。
その原因は「独立性」にあります。両端に載荷している荷重 は同じ文字を用いているの
で、一方が大きくなると、他方も大きくなることになる。2つの荷重は相関を有していること
になる。力で偏微分するとき独立な力であることが条件です。
正しく求めるためには次のような手法を用いなければなりません。
E
l
constEI =
a a
1P2P
A BC
D
aP1−
(a)与系の曲げモーメント 図
aP2−
xM
右図の示すように左の荷重と
右の荷重を別の文字を用いて表
すことにする。
曲げモーメントを求めよう。
AC −
AR
( ) 021 =++−⋅ aPlaPlRA
B 点周りのモーメントの釣り合いより
( )1
21 Pl
aPPRA −−
=
1P
1x
111xPM x −=
1P
2x
A
ARa
区間BA−( )
221
12x
laPPaPM x
−+−=
4-15
図-4.27
図-4.28
1P
3x
区間DB −
323xPM x −=
点の変位は次式で与えられる。
dxP
MMEIP
U a xxC ∫ ⎟⎟
⎠
⎞⎜⎜⎝
⎛∂∂
=∂∂
=0
11
1δ
( )( ) 220 221
1110 1111 dxx
laaax
lPPaP
EIdxxxP
EIla
⎟⎠⎞
⎜⎝⎛ +−⎭⎬⎫
⎩⎨⎧ −
+−+−−= ∫∫
この時点で と考えてよいので、
( )laEI
PaEI
lPaEI
PaC 32
623
223
+=+=δ
PPP == 21
C
上に求めた解は、仮想仕事の原理で求めた解と一致する。カスチリアーノの定理を用
いるときはなにで偏微分しているかによく注意しておかなければならない。
2)各自で試みてみてほしい。
4-16
図-4.29
Δ
例題4-8
右図の系について以下の問いに答えよ。
M 0
x
l
AB
Δ
M 0
A
1) 点の鉛直反力を として、 点
の曲げモーメント を求めよ。
2)曲げモーメントを用いてひずみエ
ネルギーを表せ。
3)カスチリアーノの定理を用いて不
静定力 を求めよ。
M x
Qx
x
X
(解答)
1)右図において、 点回りのモーメントのつり合いより
M =∑ 0 (右回り正)
M Xx M x0 0+
4)曲げモーメント図およびせん断力図を描け。
5)はりの微分方程式を用いてたわみおよびたわみ角を示す式を求めよ。
− =ゆえに
M M Xxx = +0
2)ひずみエネルギーは次式で与えられる。
( )UEI
M dxEI
M Xx dxx
l l= = +∫ ∫
12
12
2
0 02
0
3)カスチリアーノの定理より、ひずみエネルギーを外力 で偏微分したものは 点の鉛直変
位を与える。
点の鉛直変位はゼロなのでA
X A
( )∂∂UX EI
M Xx xdxEI
M x X xEI
M l X ll
l
= + = +⎡⎣⎢
⎤⎦⎥
= +⎛⎝⎜
⎞⎠⎟=∫
1 12 3
12 3
000
0 2 3
0
0 2 3(3)
∴
(1)
(2)
X Ml
= −32
0
4)式(4)を式(1)に代入して曲げモーメン
ト式を得る。
(4)
M M Ml
xx = −003
2
またせん断力は曲げモーメント式を微
分して求めることができる。
−32
0Ml
M 0
M0
2
曲げモメント図
−
+
せん断力図
−Q dM
dxMlx
x= = −32
0
(5)
(6)
A X xM x
X
x
4-17
図-4.30
図-4.31
図-4.32
5)はりの曲げ微分方程式は次のように表される
EI d vdx
M M Ml
xx
2
2 003
2= − = − +
両辺を積分して
(7)
EI dvdx
M x Ml
x C= − + +00 2
134
EIv M x Ml
x C x C= − + + +0 2 0 31 22 4 (9)
(8)
x = 0 で v = 0 ②① x l= v = 0で
境界条件は次のように表される。
境界条件①より
C2 0=
境界条件②より
C M l1
0
4=
ゆえに、たわみおよびたわみ角を示す式は次のように得られる。
vEI
M x Ml
x M l x M lEI
xl
xl
xl
= − + +⎛⎝⎜
⎞⎠⎟= ⎛
⎝⎜⎞⎠⎟
− ⎛⎝⎜
⎞⎠⎟
+ ⎛⎝⎜
⎞⎠⎟
⎛
⎝⎜⎜
⎞
⎠⎟⎟
12 4 4 4
20 2 0 3 0 02 3 2
θ = = − + +⎛⎝⎜
⎞⎠⎟= ⎛
⎝⎜⎞⎠⎟− ⎛
⎝⎜⎞⎠⎟+
⎛⎝⎜
⎞⎠⎟
dvdx EI
M xMl
xM l M l
EIxl
xl
1 34 4 4
3 4 100 2 0 0
(10)
(11)
(12)
4-18
例題4-9
右図のリングの曲げモーメントの分布を求める。
以下の問いに答えよ。
1)水平軸上の曲げモーメントを とお
き、 軸から の任意の点の曲げモー
メントを求めよ。
2)部材全体のひずみエネルギーを求め、
水平軸上のたわみ角がゼロであることを
用いてカスチリアーノの定理を適用して、
を求めよ。
3)ひずみエネルギーを荷重で偏微分して
載荷点の変位を求め、載荷方向のリング
の開き を求めよ。
M 0
x
x
θ
θ
M 0
問題を解く前に対称性について検討しておこう。
この問題は明らかに 軸及び 軸について対称で
ある。 軸で切断して考える。切断面にはそれぞれ
軸力、せん断力及び曲げモーメントが作用している。
曲げモーメント及び軸力は対称性を保持しているが、
もし 軸上でせん断力が作用していると考えると、
作用反作用の原理により右図のようになり、上下の対
称性が保証されない。すなわちこの問題では、 軸
上のせん断力はゼロとなる。
x yx
x
x
M 0
N 0Q0
また、対称性と上下方向の力のつり合いより
P
P
P
P
N P0 2=
1)角度 の点 で切断してみる。その点には軸力、せん断
力及び曲げモーメントが生じている。 点周りのモーメント
のつり合いより次式を得る
M 0
N P0 2=
Mθ
Nθ
Qθ
θ•
r
r r− cosθ
EI const=
O
C
CθC
( )M M P r rθ θ− + − =0 20cos
ゆえに
( )M M P r rθ θ= − −0 2cos
(1)
(2)
(3)
δ
4-19
図-4.33
図-4.34
2)曲げ変形だけを考えたときのひずみエネルギーは次式で与えられる。
UEI
M dll
= ∫1
22
θ (4)
式(3)で示したように は 軸上の曲げモーメント の関数なので、
∂∂
∂∂θ
θUM EI
MMM
dll
0 0
1= ∫
Mθ x M 0
式(3)より
∂∂
θMM 0
1=
(5)
(6)
なので
( )∂∂
θ θπU
M EIM P r r rd
000
24 12
1= ⋅ − −⎛⎝⎜
⎞⎠⎟⋅ ⋅∫ cos
= − +⎛⎝⎜
⎞⎠⎟
= −⎛⎝⎜
⎞⎠⎟ +
⎡
⎣⎢
⎤
⎦⎥
∫4
2 2
42 2
0
2 2
02
0
2 2
0
2
EIM r d
EIM r
Pr Pr cos
Pr Pr sin
θ θ
θ θ
π
π
= −⎛⎝⎜
⎞⎠⎟ +
⎡
⎣⎢
⎤
⎦⎥ =
42 2 2
00
2 2
EIM r Pr Prπ
より
Pr182.0212Pr
0 =⎟⎠⎞
⎜⎝⎛ −=
πM
(7)
(8)
次に荷重載荷方向ののびを考えてみよう。ひずみエネルギーを荷重 で偏微分するとそ
の点の変位が求まる。リングの半分を考えて、ひずみエネルギーを荷重で偏微分するとその
点の移動量になるので、リングののびはリング全体のひずみエネルギーを荷重 で偏微分
すれば求まることになる。
P
P
δ ∂∂
∂∂θ
θ= = ∫UP EI
MMP
dll
1
( )∂∂ π
π θθMP
r= −
22cos
( )M P r rθ πθ
πθ
ππ θ= −⎛
⎝⎜⎞⎠⎟− − = − + = −
Pr cos Pr Pr cos Pr ( cos )2
1 22 2 2
2
ゆえに
(9)
ここに
(10)
(11)
4-20
( ) ( )∂∂ π
π θπ
π θ θπU
P EIr rd= ⋅ − ⋅ − ⋅∫4 1
22
22
02 Pr cos cos
( )= − +∫Pr cos cos
3
22 2
02 4 4
EId
ππ θ π θ θ
π
= ⋅ − +⎡⎣⎢
⎤⎦⎥
= −⎡⎣⎢
⎤⎦⎥=
Pr
Pr . Pr
3
22
3 3
44 2
42 0 149
EI
EI EI
ππ π π π
ππ
cos
cos
sin
2
02
02
0
2
1 22
214
2
4
θ θ
θ θ
θ θ
π
π
π
π
⋅
=+
= −⎡⎣⎢
⎤⎦⎥
=
∫
∫
d
d
(12)
M 0 0182= . Pr
N P0 2=
P
ゆえに求めるリングの広がりは次式で与えられる。
EI
3Pr149.0=δ
4-21
図-4.35
EI const=
P
v
P
右図のように、片持ばりの自由端に集中荷重が載
荷したときの変形を求める。以下の問いに答えよ。
1)はりの微分方程式を用いて、はりの変位及びた
わみ角を示す式を求めよ。
2)近似関数として
を用い、ポテンシャルエネルギー 小の原理を用
いて、変位を示す式を求めよ。
l x−曲げモーメント は、 点で切断した
時の右側部分のモーメントのつり合いより
M xx
M xQxM P l xx + ⋅ − =( ) 0
M P l xx = − ⋅ −( )
EI d vdx
P l x2
2 = + ⋅ −( )
右図の片持ばりの変形微分方程式は次式で与
えられる。
M P l xx = − ⋅ −( )曲げモーメント図
−
両辺を で積分する。
EI dvdx
Plx Px C= − +2
12さらに積分して、
EIv Plx Px C x C= − + +2 6
3
1 2
(1)
(2)
(3)
(4)
x
境界条件: x = 0 で v = 0dvdx
= 0
境界条件を代入すると となるので求める解は、C C1 2 0= =
EIv Plx Px= −
2 6
3
(5)
(6)
(7)v PlEI
xl
xl
= ⎛⎝⎜
⎞⎠⎟
− ⎛⎝⎜
⎞⎠⎟
⎛
⎝⎜⎜
⎞
⎠⎟⎟
3 2 3
63
l
x
例題4-10
~v a a x a x a x= + + +0 1 22
33
1)
2)問題の片持ばりのポテンシャルエネルギー関数は次式で与えられる。
[ ]Π =⎛⎝⎜
⎞⎠⎟ −∫ =
EI d vdx
dx P vx x l2
2
2
2
(8)
近似関数として次の3次関数を用いる
~v a a x a x a x= + + +0 1 22
33
でたわみとたわみ角がゼロであるとの境界条件を代入するとx = 0a a0 1 0= =
となるので、境界条件を満たす3次曲線の候補は次式で与えられる。
(9)
(10)
~v a x a x= +22
33
図-4.36
4-22
図-4.37
d vdx
a a x2
2 2 32 6~= +
をポテンシャルエネルギー関数に代入すると次式を得る。
( ) ( )33
220
232 62
2lalaPdxxaaEI l
+−+=Π ∫
境界条件を満たす変位関数の2階微分
小の条件は一般座標 それぞれで微分してゼロとなればよいので、a a2 3,
(11)
∂∂Πa2
0= よりEI
Pllala2
322
232 =+
∂∂Πa3
0= より a l a l PlEI2
23
33
26
+ =
これを解いて
(12)
a PlEI2 2
= a PEI3 6
= −
上式を式(15)に代入すると
(13)
(14)
(15)
~v PlEI
x PEI
x= −2 6
2 3
~v PlEI
xl
xl
= ⎛⎝⎜
⎞⎠⎟
− ⎛⎝⎜
⎞⎠⎟
⎛
⎝⎜⎜
⎞
⎠⎟⎟
3 2 3
63
上式は曲げの微分方程式を用いて求めた解と一致する。
(16)
4-23
EI d vdx
M P xx
2
2 2= − = −
例題4-11
右図に示す系について以下の問いに答えよ
l
B
P
A
l2 CEI constz =ただし,
Δ Δ1)はりの曲げ微分方程式を用いてたわみ及びたわ
み角式を求めよ。
2)ポテンシャルエネルギー 小の定理を用いてた
わみ及びたわみ角式を求めよ。
3)近似式として正弦関数を用いて近似解を求め、精度を検証せよ。
P
Ax C
Δ M xP2
(解答)
1) 点の曲げモーメントを求める。
M P xx = 2はりの曲げ微分方程式に代入すると
両辺を積分して
(1)
(2)
EI dvdx
P x C= − +4
21
EIv P x C x C= − + +12
31 2
x = 0 で v = 0 ① ②x l=
2 で
境界条件は次のように与えられる dvdx
= 0
(3)
(4)
境界条件①より C2 0=
境界条件②より C Pl1
2
16=
(5)
(6)
たわみ及びたわみ角式は次式で与えられる。
vEI
P x Pl x PlEI
xl
xl
= − +⎛⎝⎜
⎞⎠⎟ =
⎛⎝⎜
⎞⎠⎟− ⎛
⎝⎜⎞⎠⎟
⎛
⎝⎜⎜
⎞
⎠⎟⎟
112 16 48
3 432 3 3
(7)
⎟⎟⎠
⎞⎜⎜⎝
⎛⎟⎠⎞
⎜⎝⎛−=⎟⎟
⎠
⎞⎜⎜⎝
⎛+−==
2222
41
41641
lx
EIPlPlxP
EIdxdvθ
上式は中心点から左半分で定義されていることに注意しよう。
(8)
中心点のたわみおよび 点のたわみ角は次式で与えられる。
v PlEI
=3
48 EIPl
A 16
2
=θ(9) (10)
x
C
4-24
図-4.38
図-4.39
2)3次曲線を仮定する。この場合も中心点から左側だけを規定する式であることに注意してほしい。
~v a a x a x a x= + + +0 1 22
33
境界条件を代入する。
境界条件①より a0 0= a a l a l1 2 323
4= − −境界条件②より
(11)
(12)
上の関係式を式(12)に代入すると、境界条件を満たす3次曲線式は次のように表される。
( )~v a x lx a x l x= − + −⎛⎝⎜
⎞⎠⎟2
23
3 234
(13)
[ ]2
2
2
2
2lxl
vPdxdx
vdEI=−⎟⎟
⎠
⎞⎜⎜⎝
⎛=Π ∫
3次曲線式をポテンシャルエネルギー関数
に代入してその 小となる条件より係数 を求めよう。a a2 3,
(14)
= +a N a N2 2 3 3
上式は既知の関数 と任意の係数 との積の形をしている。 を基底関数
(Base Function)、 を一般座標(General Function)とよぶ。
N N2 3, a a2 3, N N2 3,a a2 3,
d vdx
a a x2
2 2 32 6~= + [ ] 3
3
2
2
2 44~ alalv l −−= (15)
を式(14)に代入して積分区間を考慮すると、次のポテンシャルエネルギー関数を 小にすればよい。
( ) ( )laaPldxxaaEI l
32
222
0 32 462
22 +++⋅=Π ∫
小の条件は一般座標 それぞれで微分してゼロとなればよいので、a a2 3,
∂∂Πa2
0= よりEI
Pllala4
342
232 −=+
(16)
∂∂Πa3
0= よりEI
Pllala4
333
33
22 −=+
(17)
(18)
a a2 3, に関する連立方程式を解いて
a2 0= a PEI3 12
= − (19)
ゆえに求める解は次式で表される。
( ) ⎟⎟⎠
⎞⎜⎜⎝
⎛⎟⎠⎞
⎜⎝⎛−⎟
⎠⎞
⎜⎝⎛=−−=⎟
⎠⎞
⎜⎝⎛ −−=
332323 43
4834
4843
12~
lx
lx
EIPlxlx
EIPxlx
EIPv (20)
4-25
3)正解が得られる関数の形がわからないものは多い。その時は正解値を求めることをあきらめ
て、初めから近似解を求めることを目標にする方が良い場合も多い。すなわち、基底関数に性
質のよくわかった 関数を用いて近似解を求める。そんな例題をやってみよう。
近似解の基底関数として正弦関数を用いる。
~ sinv A ml
xmm
M
==∑ π
1 (21)
上式はフーリエ(Fourier)級数と呼ばれるもので、数学、力学にしばしば登場する有名な級
数である。
級数の項を多くとれば正解値に限りなく近づくことは分かっているが、今回は、1項だけとっ
て、精度を検討してみよう。
上式をポテンシャルエネルギー関数式(14)に代入すると次式を得る。
Π = ⎛⎝⎜
⎞⎠⎟
⎛⎝⎜
⎞⎠⎟
−∫EI
lA
lx dx PA
l
2
4
1
2
0 1π πsin
∂∂ΠA1
0= よりEI
lA
lxdx P
l
22
4
12
0
π π⎛⎝⎜
⎞⎠⎟
⋅ =∫ sin
(22)
(23)
sincos
sin2
0 00
1 2
2 22
2π
π
ππ
lxdx l
xdx x l x
lll l
l
∫ ∫=−
= −⎡⎣⎢
⎤⎦⎥
=
正弦関数の2乗の積分は次のように表される。
(24)
EIl
A l Pπ⎛⎝⎜
⎞⎠⎟
⋅ ⋅ =4
1 2
式(23)に代入すると
A PlEI
PlEI1
3
4
32 0 02057= =π
. (25)
中央点の変位は次のように得られる。
[ ]~ sin .v Al
l A PlEI
l2
1 1
3
20 02057= ⋅ = =
π
正解値は次式で与えられる。
[ ]v PlEI
PlEI
l2
3 3
480 02083= = .
(26)
(27)
非常によい近似が得られていることが理解できるでしょう。しかし、変形曲線がよく近似
しているかどうかは、たわみ角、曲げモーメント分布等をもう少し検証してみる必要があり
ます。
4-26
Δ
例題4-12
右図の系について以下の問いに答えよ。 M 0x
vl
A B1)たわみを以下の3次式で表す。
v a a x a x a x= + + +0 1 22
33
点の境界条件を満足する式を求めよ。A B,
2)ポテンシャルエネルギー 小の原理を用いてたわみおよびたわみ角を表す式を求めよ。
3)曲げモーメントおよびせん断力は次式で与えられる。
M EI d vdxx = −
2
2Q EI d v
dxx = −3
3
上式より曲げモーメントおよびせん断力を求め、曲げモーメント図およびせん断力図を描け。
(解答)
v a a x a x a x= + + +0 1 22
33
1) 点の境界条件は次のように与えられる。A B,x = 0 で v = 0 ③①
dvdx
= 0 ②
x l= v = 0で
点のたわみおよびたわみ角は次式で与えられる。x
dvdx
a a x a x= + +1 2 322 3
(1)
(2)
境界条件式①②より
a a0 1 0= = (3)
境界条件式③より
a a l2 3= −(4)
境界条件を満たすたわみおよびたわみ角は次のように与えられる。
dvdx
a lx a x a x l x= − + = − −2 3 2 33 32
3 ( )
v a lx a x a x l x= − + = − −32
33
32 ( ) (5)
(6)
2)ポテンシャルエネルギー関数は次式で与えられる。
Π =⎛⎝⎜
⎞⎠⎟ − ⎡
⎣⎢⎤⎦⎥∫
=
EI d vdx
dx M dvdx
l
x2
2
2
2
0 00
上式に
(7)
d vdx
a l a x a l x2
2 3 3 32 6 2 3= − + = − −( ) dvdx
a lx
⎡⎣⎢
⎤⎦⎥
==0
32
(8)
を代入して
4-27
図-4.40
( )Π = − −∫EI a l x dx a M l
l
22 33
2
0 3 02( )
ポテンシャルエネルギー関数は次式で与えられる。
この関数を 小にする条件は
(9)
( )( )∂∂Πa
EI a l x l x dx M ll
330 0
22 3 2 3 0= − − − =∫ ( ) ( )
4 332
0 02a EI l x dx M l
l( )− =∫
(10)
(11)
a MEIl3
0
4=
v MEIl
x l x= − −0 2
4( )
求める解は
dvdx
MEIl
x l x= − −0
42 3( )
M EI d vdx
EIMEIl
l xM
ll xx = − = − − −⎛
⎝⎜⎞⎠⎟= −
2
20 0
23
23( ) ( )
3)次に曲げモーメントおよびせん断力を求めよう
(12)
( )l
MaEIdx
vdEIQx 236 0
33
3
−=−=−=
lM2
3 0−
M 0
M0
2
曲げモメント図
−+
−
求める曲げモーメント図およびせん断力
図は右図のようになる。
せん断力図
4-28
図-4.41
問題 2 右図の系について以下の問いに答えよ。
学籍番号 氏名
M 0
1)2はりの微分方程式を用いて変位および
たわみ角を示す式を誘導せよ。
2)たわみの近似式として~v a a x a x= + +0 1 2
2
を用いる。ポテンシャルエネルギー 小の原理を用いて係数 を求めよ。
A
B
a a a0 1 2, ,
3)また、たわみの近似式として次の余弦関数を含む式を用いる。
v
l
~ cosv al
x= −⎛⎝⎜
⎞⎠⎟1 1
2π
ポテンシャルエネルギー 小の原理を用いて係数 を求め、 点のたわみを正解値と
比較し、精度を検討せよ。
a1 B
ヒント:モーメントのなす仕事は で与えられる。M B0θ
年 月 日
x
4-29
図-4.42