第3章 シミュレーション - tdk product center · シミュレーション–差動] ......

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第3章 シミュレーション

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第3章シミュレーション

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パルス応答シミュレーション[シングルエンド](設定)デジタル伝送で利用されるパルス波は、基本周波数とその高調波を含んでいます。高周波の信号は、基板上の短い伝送線路などからも簡単に放射されるため、不要輻射の原因となります。そのため、チップビーズなどを使って、デジタル信号としての品質を保ちつつ、高調波成分のみを減衰させる手法がとられています。

Step1 Step3[シミュレーション/ツール]タブの[パルス応答シミュレーション–シングルエンド]ボタンをクリック

DUTとして、製品リストでMMZ1005B121Cを選択

Step2 各条件(入力波形、ダンピング抵抗、ドライバ、レシーバ、伝送線路、観測点など)を設定(ここでは既定値のまま)

Step4 [シミュレーション実行]ボタンをクリック

伝送波形 スペクトラム

29

Result

パルス応答シミュレーション[シングルエンド](結果)

フィルタなし

ダンピング抵抗

MMZ1005B121Cチップビーズ1個でオーバー /アンダーシュートを抑制

(参考)MMZ1005D121C+ダンピング抵抗(100)ダンピング抵抗を組み合わせることで、リンギングを抑制し、かつ高周波成分を大きく減衰

(参考)MMZ1005D121Cリンギングが発生

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パルス応答シミュレーション[差動](設定)USBやHDMIなどの近年の高速シリアル伝送には、差動伝送方式が採用されています。差動伝送は、外来ノイズに強く、高速伝送化に向いていますが、伝送線路が非対称であったり、スキュー(差動信号の時間的なずれ)などによりコモンモード成分が発生します。コモンモード電流は小さな電流でも大きな不要輻射の原因になるため、これらを抑制するためにコモンモードフィルタが利用されます。

Step1 Step3[シミュレーション/ツール]タブの[パルス応答シミュレーション–差動]ボタンをクリック

DUTとして、製品リストでACM3225-102-2Pを選択

Step2 各条件(入力波形、出力/入力インピーダンス、伝送線路、観測点など)を設定(ここでは既定値のまま)

Step4 [シミュレーション実行]ボタンをクリック

31

伝送波形 伝送波形(コモンモード成分のみ)

Result

ACM3225-102-2Pスキューを抑制して伝送信号を改善(コモンモード成分のみを大きく減衰)

(参考)MMZ1608R102A チップビーズは差動伝送には不適

パルス応答シミュレーション[差動](結果)

フィルタなし

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TDRシミュレーション[差動](設定)TDR(Time Domain Refl ectometry)は、ステップパルスを回路に入力し、その反射波から回路の特性インピーダンスを求める手法です。特に数百MHz以上の信号を扱う場合は、伝送線路やそこで使用する部品もできるだけ整合していることが求められます。

Step1 Step3[シミュレーション/ツール]タブの[TDRシミュレーション–差動]ボタンをクリック

DUTとして、製品リストでACM2012H-900-2Pを選択

Step2 各条件(システムインピーダンス、入力パルスなど)を設定(ここでは既定値のまま)

Step4 [シミュレーション実行]ボタンをクリック

33

Result

(参考)標準タイプ

TDRシミュレーション[差動](結果)

例:HDMI スペック85~115

ACM2012H-900-2P高速差動伝送用として、ほぼ100に整合

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直流電流によるインダクタの温度上昇(設定)電源回路で使用されるインダクタには大きな直流電流が流れることがありますが、インダクタの巻線抵抗によって電力を消費するため、インダクタそのものの温度が上昇します。インダクタの温度は、電流値の2乗に比例して上昇しますので、実使用の際にも特に注意が必要です。

Step1 Step3[シミュレーション/ツール]タブの[その他のシミュレーション–温度上昇]ボタンをクリック

[インダクタ]タブで周囲温度を設定(熱抵抗と直流抵抗は、選択されている製品の参考値が自動で入力されます)

Step4 [シミュレーション実行]ボタンをクリック

Step2 製品リストでVLC6045-100Mを選択

・ 熱抵抗とは、インダクタで1W消費したときに、上昇する温度のことをいいます。つまり、この値が小さければ小さいほど、大電流が流れた時に温度が上昇しにくいことを表します。

35

Result

25°C

周囲温度:–20°C

直流電流によるインダクタの温度上昇(結果)

105°C

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交流電流(リップル)による積層セラミックコンデンサの温度上昇(設定)積層セラミックコンデンサは、周波数が高くなるとインピーダンスが小さくなるため、大きな高周波電流が流れることで、コンデンサそのものの温度が上昇します。特に整流後の平滑コンデンサとして使用する場合に、大きなリップル電圧によって、コンデンサの温度が上昇する場合がありますので、注意が必要です。

Step1 Step3[シミュレーション/ツール]タブの[その他のシミュレーション–温度上昇]ボタンをクリック

[コンデンサ]タブで、各条件(電源インピーダンスなど)を設定(熱抵抗は、選択されている製品の参考値が自動で入力されます)

Step2 製品リストでC4532X5R1H155Kを選択

Step4 [シミュレーション実行]ボタンをクリック

・ 熱抵抗とは、コンデンサで1W消費したときに、上昇する温度のことをいいます。つまり、この値が小さければ小さいほど、大電流が流れた時に温度が上昇しにくいことを表します。

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Result

200kHz

交流電流(リップル)による積層セラミックコンデンサの温度上昇(結果)

500kHz

周波数:100kHz

38

静電気放電シミュレーション(設定)静電気として、数kVといった電圧が瞬間的に放電されることで、LSIが壊れてしまうことがありますが、この対策としてチップバリスタがよく使用されます。チップバリスタは通常はコンデンサのように振る舞いますが、ある電圧以上が印加されると、急激に抵抗が減少して、電流が流れる非線形素子です(2章:チップバリスタの電流vs.電圧特性参照)。この部品を、グランドとの間に挿入することで、大きな電圧が印加されたときに、LSIに大電流が流れて壊れてしまうことを防ぎます。

Step1 Step3[シミュレーション/ツール]タブの[その他のシミュレーション–静電気放電(バリスタ)]ボタンをクリック

CRモデルを設定(ここでは既定値のまま)

Step4 [シミュレーション実行]ボタンをクリック

Step2 製品リストでAVR-M1005C080MTAABを選択

39

Result

フィルタなし→負荷に大電圧が印加

チップバリスタ→大幅に電圧を抑制

静電気放電シミュレーション(結果)

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NTCサーミスタシミュレーション(設定)NTCサーミスタは、温度によって抵抗値が変わるため(2章:NTCサーミスタの抵抗vs.温度特性参照)、温度センサとして利用されます。一般的には、NTCサーミスタといくつかの抵抗器と組み合わせて、そこに電圧を印加し、その出力電圧の変化から温度を判別する手法がとられます。

Step1 Step3[シミュレーション/ツール]タブの[その他のシミュレーション–NTCサーミスタ]ボタンをクリック

各条件(回路、入力電圧、抵抗値など)を設定(ここでは既定値のまま)

Step4 [シミュレーション実行]ボタンをクリック

Step2 製品リストでNTCG104BH103Hを選択

41

Result

R1=1k

NTCサーミスタシミュレーション(結果)

20k

傾きが大きいほど、温度に対する感度が良好ということ

Max.

Min.

Typ.

5k