第3章 免震設計・制震設計を実現する装置 - …第3章...

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第3章 免震設計・制震設計を実現する装置 3.1 免震支承って何? 3.1.1 支承の役割とその移り変わり (1)支承の歴史 日本における橋梁用支承は,1870 年頃(明治時代初期)から使用され始めていたことが知 られています.この頃の支承は,鋼材から構成される鋼製支承であり,鋼橋で用いていた2 枚の鋼板を重ね合わせて滑らせる構造,鋼棒などで移動を拘束する構造,ロッカーやローラ ーを使用することにより桁の移動・回転に追従させる構造でした.しかし,技術基準等も存 在しておらず,現在の支承構造とはほど遠いものでした. 1930 年頃(昭和時代初期)からは,比較的支間の長いゲルバー橋などにコンクリートロッ カー支承が使用され,1950 年代ではコンクリート橋にも鋼製支承である線支承が多く使用さ れました.その後,伸縮量(遊間)の大型化,材料や機能の多様化,橋梁形式の多様化等に 伴い,数多くのの鋼製支承が開発されていきました. 一方,ゴム支承は 1950 年にフランスより輸入されまして,国鉄大阪環状線天王寺駅舎で使 用されたクロロプレン(CR)ゴム系のパッド型ゴム支承が使用されたのが初めてとなりま す.当初は上下に鋼製部品を使用しない構造が主流であり,水平力はアンカーバーで受け持 ち,ゴム支承とは別置きで対応する構造となっておりました.ゴム支承はゴム構造の単純さ, 施工の簡便さから,主に固定・可動式のコンクリート橋梁で数多く採用されました.また地 震時水平力分散ゴム支承は,1974 年に建設省近畿地方建設局管内宿院高架橋で 1.5km の PC 連続桁橋に使用されたのが最初となります.この時は天然ゴム(NR)の積層ゴム支承が適用さ れました.免震ゴム支承は鉛入り積層ゴム支承(LRB)が 1990 年に静岡県宮川橋で,高減衰 ゴム支承(HDR)が 1993 年に栃木県山あげ大橋で採用されたのが最初となります. 1995 年に発生した兵庫県南部地震では,各構造物に甚大な被害をもたらしました.橋梁に おいても例外ではなく,橋脚の倒壊,橋桁の落下等,多数の橋梁で大きな被害が生じました. 被害状況の分析の結果,支承部の損傷により上部および下部構造に大きな損傷を受けている ケースが多かったですが,ゴム支承を使用した橋梁については損傷が軽微であったという特 徴的な事柄が見受けられました.このことより翌年改訂された道路橋示方書・同解説では, 地震時保有耐力法および免震橋の規程によりゴム支承の採用を図ったこと,さらに 2002 年に おける改訂では地震時水平力分散構造を持つ橋,および免震橋においては動的解析照査を実 施するほか,支承部を構造部材として取り扱うことになったことから,よりゴム支承が適用 しやすい環境となり,支承部材としての大きな転換期となりました.そして鋼橋,コンクリ ート橋問わず,ゴム支承は数多くの橋梁に採用され,現在に至っております. また 2004(平成 16)年に改訂された道路橋支承便覧では,道路橋示方書・同解説の内容を 補完する形で機能一体型の支承だけではなく,機能分離型の支承の考え方が記載されました. これは支承部に要求される機能ごとに独立した構造体を設け,これらが集合して支承部の役 割を担う構造体となる支承のことを言います.現在はこれに基づき,建設コストの抑制や長

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第3章 免震設計・制震設計を実現する装置

3.1 免震支承って何?

3.1.1 支承の役割とその移り変わり

(1)支承の歴史

日本における橋梁用支承は,1870 年頃(明治時代初期)から使用され始めていたことが知

られています.この頃の支承は,鋼材から構成される鋼製支承であり,鋼橋で用いていた2

枚の鋼板を重ね合わせて滑らせる構造,鋼棒などで移動を拘束する構造,ロッカーやローラ

ーを使用することにより桁の移動・回転に追従させる構造でした.しかし,技術基準等も存

在しておらず,現在の支承構造とはほど遠いものでした.

1930 年頃(昭和時代初期)からは,比較的支間の長いゲルバー橋などにコンクリートロッ

カー支承が使用され,1950 年代ではコンクリート橋にも鋼製支承である線支承が多く使用さ

れました.その後,伸縮量(遊間)の大型化,材料や機能の多様化,橋梁形式の多様化等に

伴い,数多くのの鋼製支承が開発されていきました.

一方,ゴム支承は 1950 年にフランスより輸入されまして,国鉄大阪環状線天王寺駅舎で使

用されたクロロプレン(CR)ゴム系のパッド型ゴム支承が使用されたのが初めてとなりま

す.当初は上下に鋼製部品を使用しない構造が主流であり,水平力はアンカーバーで受け持

ち,ゴム支承とは別置きで対応する構造となっておりました.ゴム支承はゴム構造の単純さ,

施工の簡便さから,主に固定・可動式のコンクリート橋梁で数多く採用されました.また地

震時水平力分散ゴム支承は,1974 年に建設省近畿地方建設局管内宿院高架橋で 1.5km の PC

連続桁橋に使用されたのが 初となります.この時は天然ゴム(NR)の積層ゴム支承が適用さ

れました.免震ゴム支承は鉛入り積層ゴム支承(LRB)が 1990 年に静岡県宮川橋で,高減衰

ゴム支承(HDR)が 1993 年に栃木県山あげ大橋で採用されたのが 初となります.

1995 年に発生した兵庫県南部地震では,各構造物に甚大な被害をもたらしました.橋梁に

おいても例外ではなく,橋脚の倒壊,橋桁の落下等,多数の橋梁で大きな被害が生じました.

被害状況の分析の結果,支承部の損傷により上部および下部構造に大きな損傷を受けている

ケースが多かったですが,ゴム支承を使用した橋梁については損傷が軽微であったという特

徴的な事柄が見受けられました.このことより翌年改訂された道路橋示方書・同解説では,

地震時保有耐力法および免震橋の規程によりゴム支承の採用を図ったこと,さらに 2002 年に

おける改訂では地震時水平力分散構造を持つ橋,および免震橋においては動的解析照査を実

施するほか,支承部を構造部材として取り扱うことになったことから,よりゴム支承が適用

しやすい環境となり,支承部材としての大きな転換期となりました.そして鋼橋,コンクリ

ート橋問わず,ゴム支承は数多くの橋梁に採用され,現在に至っております.

また 2004(平成 16)年に改訂された道路橋支承便覧では,道路橋示方書・同解説の内容を

補完する形で機能一体型の支承だけではなく,機能分離型の支承の考え方が記載されました.

これは支承部に要求される機能ごとに独立した構造体を設け,これらが集合して支承部の役

割を担う構造体となる支承のことを言います.現在はこれに基づき,建設コストの抑制や長

期間供用を見据えた維持管理を考慮した機能分離型支承(鉛直荷重支持型支承,水平荷重支持

型支承)が開発され,採用されております.

なお,ゴム支承は海外においても,オーストラリアのメルボルンで 1880 年代より鉄道橋用

として使用されたパッド型支承,イギリスのペルハム橋に使用された 1957 年製造のパッド型

支承,などの使用事例が報告されており,世界的にも広く使用されてきました.

(2)支承の設置場所および目的

支承は上部構造と下部構造の接点に配置される構造部材であり,上部構造から伝達される

死荷重,活荷重等などの鉛直荷重,地震や風などの横荷重を確実に支持し,下部構造へ伝達

することを目的としています.また,活荷重や温度変化などで発生する上部構造の水平変位,

たわみによる支点部の回転変位に対しても円滑に追随することが求められています.そして,

地震時には橋梁全体の耐震性能を高めるために減衰機能やアイソレート機能が求められてい

ます.

(3)支承に要求される機能

支承に要求される機能としては,基本的な機能と,振動に対する付加的な機能に分けるこ

とが出来ます.

1)基本的な機能

支承の基本的な性能としては,「荷重伝達機能」と「変位追随機能」が挙げられます.こ

の機能は,支承という部材にとっては非常に重要な機能です.なお,各機能については道

路橋支承便覧にも定義されておりますので参照ください.

①荷重伝達機能

荷重伝達機能とは,上部構造に作用する荷重を確実に下部構造へ伝達する機能のことで

あり,更に「鉛直荷重支持機能」と「水平力支持機能」に細分することが出来ます.鉛直

荷重支持機能とは「鉛直方向力を支持し,上部構造を所定の高さに保持するための機能」,

また水平力支持機能とは「水平方向力を支持し,上部構造を所定の位置に確保するための

機能」と定義されています.

②変位追随機能

変位追随機能とは,上部構造の移動や回転などの変位に追随し,上部構造と下部構造の

相対変位を吸収させる機能のことであり,更に「水平移動機能」と「回転機能」に細分す

ることが出来ます.水平移動機能とは「上部構造と下部構造の間に生じる水平変位に追随

するための機能」である.また上部構造には荷重の載荷によってたわみやねじれ変形が生

じ,支承部には回転変位が生じますが,回転機能は「この回転変位に追随し吸収するため

の機能」を指します.

2)振動に対する付加的な機能

支承は基本的な機能の他に,エネルギーを吸収する機能,下部構造と上部構造を絶縁す

る機能などが求められる場合があります.これらはそれぞれ「減衰機能」,「アイソレート

機能」,「振動抑制機能」と区分することが出来ます.

①減衰機能

減衰機能としては,部材が変形した時の材料の力学的特性である非線形を利用した履歴

減衰(鉛材料,高減衰ゴム材料等),部材間の摩擦を利用した摩擦減衰(すべり支承,摩擦

ダンパー等),粘性材料を利用した粘性減衰(粘性ダンパー等)などがあります.いずれも

振動のエネルギーを吸収する機能であり,地震力の低減を期待しています.

②アイソレート機能

アイソレート機能は,支承部において上部構造を水平方向に柔らかく支持することで地

震時の固有周期を長期化し,地震力を低減することを目的とした機能です.部材間のすべ

りによる方法と,ゴムのせん断変形による方法があります.

③振動抑制機能

橋梁の振動抑制を目的として,支承とは別に上部構造と下部構造との間に振動抑制装置

を設置する場合があります.これにより交通振動の低減が期待でき,道路周辺の環境対策

改善に繋げることが出来ます.適用される振動抑制装置としては,構造物に発生する振動

エネルギーを構造物の相対速度に比例した減衰力で逸散させるエネルギー吸収装置(粘性

ダンパー,摩擦ダンパー等),付加質量の固有振動数を構造物の固有振動数に同調させた同

調質量減衰器等があります.

(4)支承の種類

支承は上部構造の重量を支持すると同時に,回転変位に追従する機能を併せ持たなければ

ならず,設計された橋梁の形式,要求される性能毎に以下の種類に区別することが出来ます.

1)ゴム支承

①可動支承

・可動型ゴム支承

ゴムのせん断変形により水平方向の変位に追従させることとした支承で,ゴム支承と上

部構造,下部構造を鋼製部品で固定する構造となっています.特にゴムのバネ効果を期待

するものではありません.

・すべり型ゴム支承

上面にすべり面(PTFE:四フッ化エチレン樹脂)を配置したゴム支承と,研磨したステ

ンレスの上沓との組み合わせによって滑らせることにより,水平方向の変位に追従させる

こととを目的とした支承です.摩擦力以上の水平力が発生せず,上下部構造が大きな相対

変位を持つ場合にも対応可能となるなことが特長となります.

・パッド型ゴム支承

可動型ゴム支承と同一の構造ですが,固定用の鋼製部品を必要とせず,比較的小規模

な橋梁に,直接沓座に置いて用いられる支承です.

②固定支承

ゴム支承を用いた固定支承は,可動型ゴム支承,またはパッド型ゴム支承と構造的に同

一なゴム支承を使用しますが,ゴム支承は固定機能を有していないので,別途アンカー装

置,変位制限装置などの固定装置により水平変位を拘束する必要があります.

③水平力分散支承

ゴム支承のせん断剛性を利用して,地震時の上部構造の慣性力を複数の下部構造に分散

伝達させることを目的とした支承です.耐震設計上想定される慣性力に抵抗出来るように

ゴム支承と上部構造,下部構造を鋼製部品で固定する構造となっています.

④免震支承

免震支承は水平力分散支承と同様にせん断剛性を利用したアイソレート機能と,エネル

ギー吸収による減衰機能を併せ持ったゴム支承であり,現在は下記の2種類の支承が採用

されています.

・鉛プラグ入りゴム支承(Lead Rubber Bearing 以下,LRB)

ゴム支承の内部の上下貫通孔に鉛プラグを圧入したゴム支承であり,地震時にはゴム

支承のせん断変形に併せて鉛プラグが弾塑性変形することにより,地震時のエネルギ

ーを吸収する機能を持っています.

・高減衰ゴム支承(High Damping Rubber Bearing 以下,HDR)

ゴム自体で高い減衰性能を発現するように特殊薬品配合したゴム材料を使用したゴム

支承であり,せん断変形に伴い内部のゴムが地震時のエネルギーを吸収します.

2)鋼製支承

鋼製支承は鋼部材からなる支承であり,従来から一般的な支承として使用されてきまし

た.また用途に応じて多くの機能と種類があり,極めて大きな反力,大きな水平移動量,

負の反力の支持などに優れた適用性があります.そして荷重伝達機能,水平移動機能,回

転機能などを機械的機構により実現するため,ゴム支承に比べて高い鉛直剛性,大きな回

転吸収量を持つという特長を持っています.

しかし,支承の種類によっては水平移動方向や回転方向に制約があり,水平移動機能や

回転機能を受け持つ支圧面に摩耗や腐食が生じると作動不良となることがあります.また

兵庫県南部地震においては,想定以上の地震動の作用により,支承本体もしくは各部材の

破損,変形,割れなどの被害が発生しました.このことから,使用する材料としては,じ

ん性の高い材料を使用するなどの注意が必要となります.

3.1.2 免震支承の代表的な構造

免震橋や免震建物とは,構造物を「ゴムのような柔らかいもの」や「氷のように滑りやす

いもの」の上に載せておき,地震の揺れを免れるように構造物を支える技術です.すなわち,

構造物の下に積層ゴム支承や滑り支承を配置することで,地震による揺れや地震力を適当に

受け流すように配慮した構造を免震構造と言っており,構造物の形(橋や建物やその配置ス

ペース)などの制約の中で支承の構造が多種多様な形となっています.

現在,橋や建物では LRB(図 3.4.2(b))や HDR(図 3.4.2(a))と言われる積層ゴム支承

が多く用いられています.

また,近年では氷ほどではないですが,適度に小さな摩擦力を持つ滑り材料を利用した

すべり系の免震支承が,超大型橋の免震支承などにも実用されています.いずれの場合も,

地震による揺れや力を確実に免震させるため,構造物と免震支承を何らかの方法や構造で固

定することに変わりは有りません.

(1)支承の使用目的と構造の例

支承は,一般的に(a)上部構造物(橋では橋桁,自動車や電車や人,建物では建物や家具

や人)の重さを支えるための基礎の一部として用いられますが,それ以外に(b)自動車や電車

の走行時などの桁のたわみによる支承部の回転を吸収する(c)橋の温度変化等による伸び縮

みに追随することが必要となります.その中で橋の伸び縮みに対して,一方は固定し,他方

は伸縮させる橋に用いる支承を固定・可動型支承と言います.このような支承構造にゴム支

承や鋼製支承が古くから用いられています.

このような構造に用いられるゴム支承は,一般にパッド型ゴム支承と言う積層ゴムを下部

構造上に単純に置き,その上に構造物を建設するだけのものであった(c),(d).

図 3.2.1 橋の支承に必要な機能の例(地震以外の機能)

(a) 鋼製支承(固定) (b)鋼製支承(可動)

(c)ゴム支承(積層ゴム) (d)ゴムパッド

図 3.2.2 固定・可動支承の構造図

一方,一般的な建物では支承を用いることはありませんでしたが,一般住宅の土台石や古

い建物の柱を支える土台石は支承と言っても良いかもしれません.その目的は図 3.2.1 の(a)

のように建物の重さを支えることであり,風や地震に対する先人達の知恵であったと考えら

れます.しかし,建物では橋梁で考えているような支承を用いるようなことはありませんで

した.これは,建物では,図 3.2.1 に示す(b)回転(c)伸縮を考慮する必要がないため,建物

の重さを支えることのみで良いと考えられていたためです.

(a)寺院の基礎 (b)ギリシャ神殿の柱の基礎 (c)戸建て住宅の基礎

写真 3.2.1 建物の支承部の一例

(2)免震支承の構造例

橋では,一般に地震に対して,図 3.2.1 に示す機能に加えて地震による大きな水平力を固定

側で受け持たせる一点固定方式といわれる構造の橋が多く用いられておりました.しかし,

1995 年兵庫県南部地震では,一点固定の橋や剛構造(地震力をガッシリとした大きな硬い構

造で受け止めようとする構造)の建物に大きな被害が発生しました.そのことから,地震の

力を受け流したり地震のエネルギーを軽減し吸収するような,ゴムを用いた免震支承が橋の

設計で用いられるようになりました.このとき,支承が単に下側の構造と上側の構造の間に

置かれているだけでは地震の力をきちんと受け持つことができないため,支承本体は上部構

造や下部構造と一体として動くために,次に示すような構造となっています.詳細について

は,“3.4 免震装置の基本性能,適用方法と効果”でも説明します.

1)橋の場合

橋の場合には,道路橋示方書で免震橋(免震支承を含む)について必要な基準が定めら

れており,支承の細かな構造や建物への取付け方法などが示されています.

基本的に,免震支承は構造物に取り付けられる際,地震による力に対してボルトや溶接

などで確実に固定でき,もしもの場合には取替ができるような構造であることが求められ

ています.橋の免震支承の場合,建物に比べて狭い設置寸法や面積や狭い空間に取り付け

られるケースがほとんどです.ゴム支承本体は正方形や長方形が多く用いられています.

橋の免震支承の据え付け環境は外気にさらされる環境です.紫外線やオゾンの影響,北

海道から沖縄までの温度条件の違いなど,様々な環境にさらされながら 100 年程度の使用

を目安として用いられています.そのような環境に対しても配慮した免震支承の構造を目

標としています.

これら,一般的な免震支承の構造例を図 3.2.3(a)~(c)に示します.図(a)は車の走

行方向(橋軸方向という)と橋の側面方向(橋軸直角方向という)のどちらの地震に対し

ても水平方向に動く事のできる構造の免震支承です.図(b)は,橋が地震を受けた際に橋軸

直角方向にあまり大きく動くと困る場合に,橋軸直角方向の動きを制限する部材を設けた

構造の例です.図(c)は橋の重量を支えるものと橋の動きや減衰を行う部材をその用途別に

分けた機能分離型免震支承構造の例を示します.いずれの構造であっても,地震の力を上

部構造と下部構造に確実に伝えるための固定部材を設けており,橋がコンクリート系か鋼

製かによって,それと締結する方法が六角ボルト・ナットや溶接,アンカーボルト等にな

ります.

(a)免震支承構造の例-1 (b)免震支承例-2(変位制限付)

橋軸直角方向 橋軸方向

<拡大図>

すべりプレート

荷重支持板(ゴム支

ストッパー部(上面:PTFE)

(下面:SUS316)

(c)機能分離型免震支承(すべり)の例

図 3.2.3 免震支承の構造例

(a)免震支承構造の例-1 (b)免震支承例-2(変位制限付)

(c) 機能分離型免震支承(すべり)の例

写真 3.2.2 免震支承の写真の一例

2)建物の場合

建物の場合は,基礎部に支承を配置するようなことは考えられていませんでしたが,建

築での免震構造のアイデアは相当に以前からありました.しかし,実用化されたものはほ

とんどなく,1975 年頃に積層ゴム(免震ゴム支承)が登場して以降,実用化が検討されま

した.平成7年1月に発生した兵庫県南部地震では,数多くの建築物に甚大な被害が発生

し,建築物の倒壊により多くの死者がでました.この教訓から,大地震による建築物の倒

壊の危険性を少なくし,被害を 小限に抑える方法として免震装置を建物にも用いること

の有効性が認められるようになりました.

写真 3.2.3 地震による建物の被害状況の例

1981 年に建築基準法施行令の構造計算規定が改正され,これまで取り入れられていなか

った大規模地震動に対する設計などの項目が新たに加えられることにより,建築分野の中

規模建物にも免震装置が用いられるようになりました.建物での免震装置は建物重量を支

え,大地震による建物の速く激しい揺れをゆっくりとした揺れになるよう制御しています.

建物の固有周期としては,3秒以上の長周期とする場合がほとんどです.これは,橋のよ

うに温度などによる橋の伸び縮みや自動車荷重による桁の回転,更に桁端部の隙間(伸縮

遊間という)を気にしなくても良いためです.橋の場合には,桁端の隙間を余り大きく出

来ないことから,固有周期は1秒から2秒以内程度とし,減衰性能にも大きく期待してい

ます.建物の免震構造の概念図を図 3.2.4 に,免震装置(免震ゴム支承)を図 3.2.5 及び

写真 3.2.3 に示します.

図 3.2.4 建物の免震装置の設置観念図

図 3.2.5 免震ゴム支承 写真 3.2.3 免震ゴム支承

免震装置の形も橋と異なり,設置や移動方向に制約が無いため図 3.2.5,写真 3.2.3 に

示すように円形の積層ゴムが用いられています.その他,建物では免震装置と共に橋で言

う機能分離型免震支承も多く用いられています.支承材としてすべり支承が,減衰材とし

て写真 3.2.4 や図 3.2.6 の部材が用いられています.

写真 3.2.4 積層ゴム支承と鋼棒ダンパー 図 3.2.6 鉛材ダンパー

橋梁や建物に用いられる免震支承は,上部構造と免震支承及び下部構造を確実に固定し,

地震の力や水平移動を確実に伝達するという目的は同じである.しかし,橋と建物では温

度による伸縮や回転,更に設置スペースなどの制約による見た目の構造や,使用するゴム

材料等の見た目ではわからない違いも有ります.

3.2 ダンパーって何?

3.2.1 身近なダンパー

(1)私たちの身の回りにあるダンパー

ダンパーは,土木構造物や建築物だけでなく,私たちの身の回りでも活躍しています.代

表的な例としては,玄関などの扉用建具であるドアクローザーや,自動車のサスペンション

などが挙げられます.ドアクローザーには,バネとオイルダンパーが内蔵されています.扉

を強く閉じた際にドアクローザーが無い場合は非常に大きなスピードで扉が閉まることにな

ってしまいます.その際,衝撃力で“バタン”という騒音が発生するだけでなく,これが繰

り返されることで扉自体やその周辺構造が早い時期に損傷してしまうかもしれません.ドア

クローザーがあることで扉を閉める際の衝撃力を緩和することができます.その結果,ゆっ

くりと閉まることになりますので安全性や耐久性が向上します.

自動車のサスペンションでは,スプリングによって自動車本体の位置を保持し,さらにス

プリングが伸縮することで路面の凹凸を吸収します.スプリングは伸縮することで吸収した

エネルギーを,再び元の位置に戻ることによって解放しようとします.このとき,スプリン

グ部分にダンパーが無ければ,凹凸によって生じた揺れが繰り返し自動車本体に作用するこ

ととなります.長い時間揺れ続けることとなり,非常に乗り心地が悪い車となってしまいま

す.ダンパーがあることで,繰り返される揺れの大きさ自体を小さくするとともに,揺れる

時間をも短くすることが可能となります.

その他,機械産業分野ではプレス機械や鍛造機械などにもダンパーが適用されていますし,

新幹線の車両間にもダンパーが設置されています.新幹線の高速化に伴い,より後尾側車両

の水平方向揺れ(蛇行)が大きくなります.その揺れを低減し乗心地を向上させることを目

的として車体間ダンパーが設置されています.

ダンパーには,外部からの力によってダンパー自体が“伸縮”や“曲げ変形”,“せん断変

形”をすると,その力を吸収して揺れを小さくしたり,繰り返し生じる揺れを短い時間で収

めるといった特徴があります.

このようにダンパーは,私たちの日常生活に『安全』や『快適さ』を与えてくれています.

(2)機械分野で発展したダンパー

ダンパーは,土木・建築分野で使われる前は,機械分野で多く使われてきました.その代

表が自動車のサスペンションです.

自動車のサスペンションは,スプリングにより免振状態とし,その自由振動を抑えるため

にダンパーを用います.適切なスプリングとダンパーを選定することにより,乗り心地を良

くしたり,タイヤの接地性能やコーナーリング性能を向上させたりすることが出来ます.さ

らに,F1 などモータースポーツの興隆により,セミアクティブサスペンション(振動エネル

ギーの一部を利用して抵抗力を調整するダンパー)やアクティブサスペンション(電子制

御により抵抗力を調整するダンパー)も開発されて,振動制御分野は大きく発展しました.

機械振動の除去には TMD(Tuned Mass Damper)が広く使われており,大きな効果を発揮して

います.TMD は,バネとおもりからできており,機械の振動とおもりの振動を同調させるこ

とによって,振動を機械本体からおもりに逃がすものです.機械の振動とおもりの振動を同

調させることができると,おもりは機械と逆方向に揺れます.その結果,おもりから機械に

伝わる力は,常に機械の振動を止めようとする方向に働き,振動低減に役立ちます.ただし,

機械とおもりの振動をうまく同調させることができないと逆に振動が大きくなってしまうこ

図 3.2.3 新幹線の車両間ダンパ

新幹線車両間ダンパ

図 3.2.2 自動2輪車のサスペンション

スプリン

ダンパー (スプリング内

図 3.2.1 ドアクローザ

ドアクローザ

ともあります.そこで,一般的には,バネだけでなく粘弾性体などのダンパーとセットで用

いており,発生する振動数が変動しても振動を低減できるようにしています.

図 3.2.4 TMD のイメージ

(3)機械分野から建築分野へ

建設分野へ制振構造が取り込まれたのは,橋梁などの土木分野より建築分野が先でした.

建築での制振構造は主に,風揺れ対策と地震対策の2通りがあります.

風揺れに対策としての制振には,おもに前述の TMD が用いられています.1986 年に千葉

ポートタワー(千葉県)で用いられて以降,展望塔などを中心に設置されましたが,1990 年

頃からは,事務所用途やホテル用途の超高層ビルにも用いられるようになりました*).また,

TMD を進化させたものといえる AMD(Active Mass Damper)も,1989 年の初適用以降多くの実

積があります*).AMD は,おもりを電子制御で強制的に駆動し,その反力で建物の振動を制

御する制振構造であり,小さなおもりでより大きな効果が得られるという特長があります.

地震対策としての制「震」は,層間ダンパーを用いたものが主流です.層間ダンパーとは,

各階において床位置の梁と天井位置の梁をつなぎ,その間にダンパーを組み込んだものです.

各階の床と天井の間で生じる変形に対してダンパーが“伸縮”や“曲げ変形”あるいは“せ

ん断変形”することとなりますが,その時ダンパーは地震エネルギーを消費しながら動きま

す.地震エネルギーをダンパーが消費することで,結果的に地震による相対変位は小さく抑

えられます.層間ダンパーには,鋼材系ダンパー,摩擦系ダンパー,粘性系ダンパー,ゴム

系ダンパーなどのあらゆる種類のダンパーが用いられています.層間ダンパーの初適用は

1984 年の日立本社ビル(東京)でしたが,1988 年にソニックシティ(埼玉県)で適用されて

以降,急速に増えていきました*).現在では,超高層ビルのほとんどに制振構造が採用されて

います.また,層間ダンパーの適用は,戸建住宅においても増えています.

モ ー タ モ ー タ

バネ

おもり

図 3.2.5 層間ダンパーの取り付け方法例

(4)建築分野から橋梁分野へ

橋梁の分野においても,斜張橋や吊橋の風揺れ対策として,制振技術を利用することはす

でに一般的です.

斜張橋や吊橋は主塔と呼ばれる高い塔からケーブルにより桁を吊っているため,揺れやす

い柔構造となっています.強い風が吹くと,橋上にいる人が不快感を覚えるだけでなく,自

動車などの走行性に影響を及ぼすとともに,落橋にもいたる場合すらあります.実際に 1940

年にアメリカの吊橋「タコマナローズ橋(Tacoma Narrows Bridge)」は,強風のため崩壊いた

しました.このような振動を低減させるためのひとつの方法として,TMD があります.TMD は,

図のように,水平方向の振動が大きな主塔の頂部や鉛直方向の振動が大きい桁の中央部に配

置します.このような使い方は,建築構造物に対する風揺れ対策と同じです.

また,桁を吊り上げているケーブルも風の作用により,振動いたします.この振動は,利

用者へ不安感を与えるだけでなく,取付部の疲労破壊を招きます.この振動を抑制するため

には,ケーブル同士をオイルダンパーでつなぎ,そこでエネルギーを吸収させるという方法

がよく用いられています.

写真 3.2.1 タコマナローズ橋の崩壊

ダンパー

ダンパー

ダンパー

ブレース型 Y 型ブレース 間柱型

(a) 斜張橋の風揺れ対策に用いられる TMD

(b) ケーブル振動抑制のために設置されるダンパー

図 3.2.6 斜張橋に用いられるダンパー

一方,建築分野ではすでに一般的になっている地震対策としての制震構造では,橋梁にそ

のまま用いることが困難です.建築構造物用の層間ダンパーに比べて,橋梁用のダンパーは

以下のような点で要求される性能が厳しくなっています.土木構造物に制震構造を適用する

ためには,これらの課題をクリアーしなければなりません.

1)耐久性・耐候性

建築構造物の層間ダンパーは風雨にさらされないところに設置するのが一般的ですが,

橋梁に設置するダンパーは風雨にさらされ,また,沿岸部では海水に起因する塩化物イオ

ンも飛来します.このような環境では,錆びやすいため,建築構造物のダンパーをそのま

ま用いることはできません.さらに,建築物は,設備の陳腐化から 50 年程度で取り壊すこ

とが多いですが,橋梁は 低 100 年使います.

以上のことから,橋梁用のダンパーは,耐久性・耐候性を備えていなければなりません.

2)変形可能な長さ

建築構造物用層間ダンパーの変形可能な長さは,階高に応じて設定するため,数 cm 程度

あれば十分な場合がほとんどです.一方,橋梁の場合には,使い方が様々であることから,

必要な変形可能長さも様々です.例えば,上部構造である桁と橋台・橋脚間に設置される

場合は,数 10cm~1m 程度の変形可能な長さが必要となることもあります.これまで,変形

可能な長さが大きく安定した減衰性能を有するダンパーは製造が困難でしたが,近年は,

開発が進んでおり,橋梁への適用も増えています.

3)抵抗力

建築構造物において,層間ダンパーは各階に設置するとともに,各階においても複数個

設けるのが一般的です.よって,個々のダンパーはそれほど大きな抵抗力は必要とされま

せんでした.一方,橋梁は線状の構造物であるため,設置スペースが狭く,取り付けられ

る場所が限定されています.よって,設置できるダンパーの個数は限定されており,ダン

パー一基が負担する抵抗力が大きくなるケースもあります.

4)信頼性

建築構造物のように柱や梁が多くある構造物は,部材のうちのいくつかが破壊しても全

体が崩壊に至ることはありません.このように,破壊しても全体の崩壊につながらない部

材を持つ構造を不静定構造と言い,破壊しても全体の崩壊につながらない部分の数を不静

定次数と呼びます.(厳密な定義は構造工学の教科書を参考にしてください.)建築構造物

は不静定次数が高く,数多くのダンパーを用いるため,いくつかのダンパーがまったく効

果を発揮しなかったとしても,建物全体の挙動に与える影響は必ずしも大きいとは言えま

せん.一方で,橋梁の不静定次数は非常に少ないため,ダンパー1個の不具合は橋梁全体

の挙動に大きく影響を与えてしまいます.よって,橋梁に用いるダンパーには,建築分野

以上の信頼性が求められます.

我が国には,古い耐震基準で設計された橋が多数あり,耐震補強工事がここ数年重点的

に実施されてきました.その多くは,橋脚を鋼板や鉄筋コンクリートで巻きたてるという

方法がとられています.しかし,中には,河川内や山岳地帯にあるため,橋脚を補強でき

ないケースが多々あります.また,そのほかにも,もともとの耐震性能が非常に低く橋脚

の補強だけでは必要な性能を確保できない場合や,補強が困難である基礎の耐震性能が低

い場合などもあります.そのような橋に対しては,ダンパーを適用して地震による揺れを

小さく抑えることで,必要性能を満たすことが期待できます.

新しく作る橋梁に対しても,制震構造は有効です.長引く不況から税収は減少するとと

もに,福祉関係予算が増加する社会情勢においては,構造物は低コストで作らなければな

りません.ただし,人命にかかわることですから,性能を下げることはできません.制震

構造であれば,このコストと性能を両立できます.長さ 168mの 3 径間ラーメン橋梁に対

して行った試算によると,制震構造とすることで,橋脚のコストは 7.8%削減でき,地震時

の応答変位(揺れの振幅)も 30%低減することが可能です*).

図 3.2.7 橋梁に適用された制震ダンパー

制震ダンパー ダンパー伸縮方向

3.2.2 橋梁への適用

(1)ダンパーの主な適用方法

ダンパーは,主として3つの機能を有しています.減衰機能(エネルギー吸収機能),ヒュー

ズ機能(分担力調整機能),短周期化機能(高い剛性による弾性支持機能)です.

図 3.2.8 ダンパーの持つ3つの機能

これらの機能を利用したダンパーの適用方法としては,主に大きく分けて4つの方法があり

ます.

1)上部構造と下部構造をダンパーでつなぐ方法

2)隣接げた同士の位相差改善を目的とした適用方法

3)部材の一部をダンパーに置き換える方法

4)橋脚や高架橋自体を制震構造とする方法

以下に,それぞれの適用方法について説明いたします.

1)上部構造と下部構造をダンパーでつなぐ方法

ダンパーの代表的な適用方法は,上部構造(橋桁)と下部構造(橋脚や橋台)をダンパ

ーでつなぐ方法です.可動支承やゴム支承,免震支承などと組み合わせて使います.

このときのダンパーの働きを,図 3.2.9 の例で示します.従来の構造でダンパーがない

場合を想定し,100 に相当する地震力が上部構造に作用したと仮定します.その際 100 の

地震力はそのまま支承を介して下部構造に伝達されます.一方,上部構造と下部構造を結

ぶようにダンパーを設置し,このダンパーの抵抗力が 20 の地震力に相当する場合,100 の

地震力は 20 だけ支承を介さずに直接下部構造に伝達されます.残りの 80 はそのまま上部

構造から支承を介して下部構造に伝達されるかというとそうではなく,ダンパーが持つ減

衰効果によって 80 であったものが 60 などに低減されることとなります.低減された 60 が

支承を介して下部構造に伝達されることとなります.従来構造と比較するとダンパーを設

けることで支承では 100 から 60,下部構造では 100 から 80 に地震力が低減される結果と

なります.

変形についても,同様に考えられます.ダンパーがない構造であれば,支承にも下部構

造にも 100 の地震力がかかるので,それぞれで 100 の力に見合った変形が発生します.全

体の変形としては,下部構造の変形と支承の変形の足し算となります.一方,ダンパーを

組み合わせた場合は,下部構造には 80 の地震力ですから,変形量も 80 の力に見合った大

きさになります.支承は 60 の地震力ですから,同様に 60 の力に見合った大きさになりま

短周期化機能(高剛性での支持機能)

ヒューズ機能(分担力調整機能)

減衰機能(エネルギー吸収機

能)ダンパーの機能

す.よって,下部構造の変形と支承の変形を足し合わせた全体の変形も小さくすることが

できます.なお,このときダンパーの変形は,支承の変形と同じなので,足し合わせる必

要はありません.

図 3.2.9 ダンパーの持つ2つの効果

このような使い方は,新しく作るときはもちろん,耐震補強にも使えます.耐震補強の

例を2例挙げます.

支持条件が,一方が固定支承,一方が可動支承という単純桁構造において,可動部にダ

ンパーを設置すると,制震構造とすることができます(図 3.2.10).補強前は全ての地震

時水平力を固定支承側の橋脚が受け持っていたのに対し,可動支承側にダンパーを設ける

ことでダンパー抵抗力分だけ固定支承側の橋脚の負担を軽減することが可能になります.

さらに,ダンパーが持つ減衰機能によっても,固定支承側橋脚の負担は軽減されます(減

衰機能).ダンパーの抵抗力を,可動支承側の橋脚の耐力に見合うだけとしておけば,可動

支承側の橋脚が壊れることもありません(ヒューズ機能).結果的に固定支承側橋脚がうけ

る地震力は大幅に低減することとなり,橋脚を補強する必要がなくなります.

図 3.2.10 耐震補強材料としてのダンパーの適用

:想定地震力

100

減衰効果(履歴減衰)

上部構造

ゴム支承

下部構造

2020

80

60

60

20

80

地震時の履歴

抵抗力

変位

最大抵抗力

履歴減衰

(減衰効果)

耐震補強=可動支承+ダンパー

分担力調整機能と減衰機能

可 動 支 固定支

ダンパー (橋脚の耐力に見合う抵抗

図 3.2.11 は,既設の鋼製支承を免震ゴム支承に取替えることで長周期化を図り,免震支

承の持つ減衰性能によって橋梁全体系の耐震性を確保しようとする方法です.ダンパーを

つけずに免震ゴム支承にすると免震橋梁となりますので,固有周期は長くなり地震による

力を小さくすることはできます.しかし,反対に地震時変位が大きくなってしまい,既設

の桁端部遊間以内に地震時変位を収めることが困難となってしまいます.すると,桁端部

の遊間を確保するための改良工事が必要になるなど,非常に高価な耐震補強となってしま

います.

このような場合,桁端部等に橋軸方向に向けてダンパーを設置すれば,ダンパーの持つ

高い減衰性能により橋軸方向の地震時変位を小さく抑えることが可能となります.よって,

桁端部の遊間拡幅のための改良工事は必要ありません.なお,橋軸直角方向に対しては遊

間の問題はありませんので,免震支承のみで耐震性を満足させることが可能です.

図 3.2.11 地震時変位の抑制を主目的としたダンパーの適用方

このような方法と似ている方法に,免震構造の機能分離型構造があります.機能分離型

構造とは,橋げたの重量などの鉛直荷重を支持する荷重伝達機能やアイソレート機能およ

び復元機能はゴム支承に期待し,減衰機能はダンパーに期待する方法です.機能分離構造

には,それぞれの期待する機能に対して,個別の装置をそれぞれ合理的に設計することが

可能になるという利点があります.また,不測の事態が生じ,一方の装置が損傷すること

で機能が損失された場合でも,もう一方の機能は存続し続けるといった利点もあります.

ところで,この構造は免震構造でしょうか?制震構造でしょうか?実は,同じ構造で免

震構造も制震構造も可能です.積極的に固有周期を長くしたらそれは免震構造ですし,積

極的に減衰を大きくしたらそれは制震構造となります.よって,図 3.2.13 のように免震と

も制震とも言える領域というのは当然出てきます.免震と制震の間に明確な区分けはあり

ません.

ちなみに,一般に「耐震」と区分されている鉄筋コンクリート橋脚も実は制震の考え方

を取り入れて設計されています.鉄筋コンクリート橋脚は鉄筋が降伏して伸び縮みするこ

とで減衰します.言うなれば,後述する鋼材系のダンパーを内蔵しているのと同じです.

しかし,鉄筋コンクリート橋脚が多くのエネルギーを吸収した場合は,大規模な補修が必

鋼3径間連続橋

Fix. Fix. Mov. Mov.

免震支承 免震支承 免震支承 免震支承

ダンパー ダンパー

既設支承 拘束条件

取替えて新規に

設置した支承

要となってしまいます.そこで,補修が不要な(または必要としても 小限の)ダンパー

を設け,ダンパーで積極的に減衰させる構造を制振構造と呼んでいます.

図 3.2.12 支承部の機能分離構造

図3.2.13 免震設計と制震設計の違い

2)隣接げた同士の位相差改善を目的とした適用方法

図 3.2.14 のように規模が大きく異なる橋梁が隣接している場合,橋げた同士が地震時に

位相差によって衝突してしまうケースが考えられます.このような場合,それぞれのけた

同士をダンパーで結ぶことにより,橋げた間の地震時相対変位を小さくすることが可能と

なります.その結果,桁が橋脚の上から落ちないようにする桁がかりを短くすることがで

きますし,桁遊間を小さくできるので,伸縮装置(桁遊間で道路を平らに保つ構造)を小

型化することができます.

減衰性能

短 長 固有周期

水平力分散設計

免震構造

制震構造

小 大 応答変位

固定可動設計

それぞれの機能に

対し,個別の装置を

合理的に設計可能

機能分離構造=ゴム支承+ダンパー

荷重支持+水平変位追随機能 減衰機能+短周期化機能

積層ゴム支承

ダンパー ダンパー

積層ゴム支承

図 3.2.14 隣接げた同士の位相差改善を目的としたダンパーの適用

3)部材の一部を制震部材に置き換える方法

例えば,トラス橋の斜材を制震ブレースに置き換えた構造です.トラス各部材に過大な

断面力が生じるのを防ぐ(ヒューズ機能)とともに,地震時エネルギーを吸収して,全体

の振動を低減する働き(減衰機能)があります.トラス部材の一部として利用するため,軸

降伏型の鋼製ダンパーが多く用いられています.

図 3.2.15 制震ブレースを適用したトラス橋の例*)

図 3.2.16 軸降伏型の鋼製ダンパー*)

4)橋脚や高架橋自体を制震構造とする方法

橋脚や高架橋に制震効果を持たせた構造です.ラーメン構造の橋脚や高架橋にダンパー

つきのブレースを入れた構造が一般的です.小規模な地震に対しては,ブレースは弾性体

として働くため,剛性を高めて変形を小さくします(短周期化機能).大規模な地震に対し

ては,ダンパーが機能することで,減衰を高める(減衰機能)とともに,基礎に過大な力

A径間 B径間

位相差の改善

相対変位の低減

遊間の縮小と伸縮装置の小規模化

桁遊間

ダンパー

が入るのを防ぎます(ヒューズ機能). 鉄道構造物において,地震時の走行安全性の向上

のために変位を抑制する目的とされるケースもあります.

図 3.2.17 の例は,ブレースの交点に鋼製パネルダンパーを組み込んだときの概念図です.

ダンパーには,鋼製パネルダンパーのほか,軸降伏型鋼製ダンパーなど様々なものが用い

られます.

図 3.2.17 制震橋脚の例*)

これまでに挙げた4つの適用方法は,どの方法においてもダンパーの持つ減衰機能(エネ

ルギー吸収機能),ヒューズ機能(分担力調整機能),短周期化機能(高い剛性による弾性

支持機能)の3つの機能を複合的に利用することで耐震性を確保している方法となります.

耐震構造や免震構造とは異なるメリットが発揮されます.

一方で,ダンパーを用いて制震構造とする際には注意しなければならないこともあります.

その 1つが桁の温度変化の影響です.桁は,普段でも温度変化により伸び縮みしています.

粘性系のダンパーはこのようなゆっくりした動きには抵抗しないのが普通ですが,鋼材系

ダンパーや摩擦系ダンパーはゆっくりした動きにも抵抗するため,温度変化によって橋脚

に荷重が発生する場合があります.あらかじめ,温度変化に対して十分な考慮が必要とな

ります.

メンテナンスの問題もあらかじめ考慮しておかなければなりません.普段は役に立たない

ものだからといってメンテナンスがいい加減ですと,地震時に確実に機能してくれないか

もしれません.よって,点検方法についてもあらかじめ計画し,点検通路の確保なども必

要となります.また,地震後に交換が必要なダンパーもあります.そのようなダンパーは,

交換のしやすさも考えて計画しなければなりません.

品質管理についても気をつけなければなりません.耐震構造は工事の各段階を見ただけで

ある程度性能を知ることができます.免震構造は,完成後に小さな振動を計測すれば,免

震装置の効果を確認することができます.しかし,制震装置は,ダンパーを見てもダンパ

ーの性能はわかりませんし,小さな振動を計測しても制震構造の性能を直接把握すること

は困難です.品質管理計画においては,ダンパーの特性や制震構造とする目的などを考慮

し,慎重に行う必要があります.

3.3 免震装置・制震装置の選定方法例

地震時の支承部相対変位だけをとにかく小さくしようとした場合,大きなダンパー抵抗力

を適用すれば,構造全体系がより剛体に近づいていくこととなるため相対変位は小さく抑え

ることが可能となります.しかし,地震時エネルギーを効率的に吸収することに着目した場

合,ダンパー抵抗力には 適値が存在します.図 3.2.29 に示すように,ダンパー抵抗力が小

さすぎても大きすぎても,地震エネルギーをダンパーが吸収する量は小さくなってしまい,

もエネルギーを多く吸収することができる 適な値が存在することとなります.

この 適値については,様々な抵抗力を適用して試計算を行うことで得ることができます.

図 3.2.29 ダンパー抵抗力・変位・エネルギー吸収関係

3.4 免震装置の基本性能,適用方法と効果

免震構造の主な目的はこれまでにも述べてきた通り,『地震動からの絶縁(ISOLATION)』,『地

震エネルギーの低減(DAMPING)』です.具体的な免震装置には多くの種類,分類方法があると

思いますが,ここでは下記のように分類・定義し,以降は橋梁において『免震支承』として

定義されている積層ゴム系免震支承を用いた免震装置についてその構造,基本特性,履歴モ

デル,各種依存性などについて記載します.

免震装置

復元力有

復元力無

鉛プラグ入りゴム支承

高減衰ゴム支承

すべり支承

天然ゴム系支承

減衰力有

減衰力無

積層ゴム系免震支承

図 3.4.1 免震装置の分類

ダンパー抵抗力は最

適値が存在する! (エネルギー吸収量

が最大となる位置)

ダン

パー

エネ

ルギ

ー吸

収量

ダンパー抵抗力 R

支承

部応

答変

位δ

エネルギー吸収量応答変位

小 大

(1)免震支承の取付位置

橋梁において免震支承は主に橋桁と橋脚の間に設置されます(図 3.4.2 参照).

図 3.4.2 免震支承の取付位置の例

(2)免震支承の概略構造

高減衰ゴム支承と鉛プラグ入りゴム支承の概略構造を図 3.4.2 に示します.

(a)高減衰ゴム支承 (b)鉛プラグ入りゴム支承

図 3.4.3 免震支承の概略構造

両免震支承共に鋼板とゴムの積層構造から成り立っていて,ゴム部分が水平方向に柔らか

く変形することにより大きな加速度を持つ地表面からの地震動を受け流します.また,受け

流しきれずに構造物に伝達された地震エネルギーはゴム自身(高減衰ゴム支承の場合)または

鉛プラグ(鉛プラグ入りゴム支承の場合)が変形することでその一部を吸収します.

ゴムと鋼板の積層構造になっているのは,以下の相反する特性を要求されるためです.

①常時には上部構造物の重量を支持するために鉛直方向には一定の硬さが必要となります.

②地震時には地震エネルギーを受け流し,吸収するために水平方向に一定の柔らかさが必要

となります.

上鋼板

下鋼板

内部鋼板 内部ゴム(高減衰ゴム)被覆ゴム

鉛プラグ

内部ゴム(天然ゴム)

もしも鉛直方向に柔らかいと・・・

~~~~~~~~~

ドスン!

~~~

ドスン!

~~~~~~

橋梁のかけ違い部などで段差が発生して車両等の通行に支障が生じます.また,もちろん

水平方向に柔らかくなければ地震時のエネルギーを受け流すという免震支承としての役割を

果たさなくなります.これらの 2 つを解決するために考え出されたものが積層構造なのです.

鉛直方向の硬さについては・・・

鋼板で更にゴムを刻みます⇒拘束面積が増えるためさらに変形しづらくなります

ゴム単体だと圧縮により際限なく変形します

変形しづらい鋼板とゴムを接着します⇒拘束されるため変形しづらくなります

鋼板で更にゴムを刻みます⇒拘束面積が増えるためさらに変形しづらくなります

ゴム単体だと圧縮により際限なく変形します

変形しづらい鋼板とゴムを接着します⇒拘束されるため変形しづらくなります

図 3.4.5 積層構造が鉛直方向の硬さへ与える影響

図 3.4.6 積層構造が水平方向の硬さへ与える影響

ゴム単体でも積層構造にしても水平方向の硬さは変わりません.つまり,積層構造にする

ことで鉛直方向に硬く,水平方向には柔らかいという免震支承の要求特性を満たすことがで

きるのです.

(3)免震支承の基本特性

免震支承は,常時に所定の上部構造物を積載してもそれに耐えられるかなどを確認する「鉛

直圧縮性能」と地震時に想定される地震動が来た際に所定の柔らかさを発揮できるかなどを

確認する「水平せん断性能」があります.その時の変位と荷重の関係を図 3.4.7 に示します.

(a)鉛直圧縮性能 (b)水平せん断性能

図 3.4.7 免震支承の基本特性

この時の水平せん断性能が免震支承の も重要な性能となります.図 3.4.7 でその中の主

な重要要素を示します.

図 3.4.7 水平せん断性能における重要要素

:免震支承のせん断剛性,すなわち水平方向の硬さを表す直線です.この傾きが大 きいほど免震支承は硬いということになります. :免震支承の減衰性能,すなわち免震支承が吸収する地震エネルギーの量を表しま す.この面積が大きいほど免震支承は上部構造物に伝達される地震エネルギーを 小さく出来ることになります.

(4)免震支承の各種依存性

免震支承の水平方向の主な依存性について,以下の表 3.4.1 に示します.

-400

-300

-200

-100

0

100

200

300

400

-150 -100 -50 0 50 100 150

水平変位

鉛直変位

-400

-300

-200

-100

0

100

200

300

400

-150 -100 -50 0 50 100 150

水平変位

表 3.4.1 免震支承の各種依存性(水平特性)

項目 依存性判定 力学特性要約

せん断ひずみ

依存性 ふつう

低ひずみ域では硬く,ひずみが大きくなるにつれて柔らか

くなり,約 100%ひずみ付近を超える辺りから安定してくる.

また,約 250%ひずみ付近から再度ハードニング(安定してい

たせん断剛性が急激に上がる現象)が発生し始める.

面圧依存性 小さい 面圧が高くなるに従い,若干柔らかくなる傾向にある.

温度依存性 ふつう~

大きい

低温では硬く,高温では柔らかくなる傾向にある.

繰返し依存性 ふつう

エネルギー吸収を行うゴム自身または鉛プラグの温度上昇

を伴うため,繰返し回数とともに柔らかくなってくる.ただ

し,加振後に十分な休止時間を取り,再び加振するとほぼ同

等の硬さに回復する傾向にある.

振動数依存性 大きい 振動数が大きくなるに従い,硬くなる傾向にある.

3.5 制震装置の基本特性と適用方法

3.5.1 主なダンパーの種類と構造

ダンパーは,主に鋼材系ダンパー,粘性系ダンパー,摩擦系ダンパー,ゴム系ダンパーな

どに分けられます.当初,建築分野において鋼材系ダンパーが主流であり 1980 年代初頭から

研究・開発が進められていました.その後,粘性系,摩擦系,ゴム系と多種のダンパーが開

発されてきました.

図 3.5.1 ダンパーの種類

以下に,各系のダンパーの基本特性や適用方法について説明します.

3.5.2 鋼材系ダンパー

鋼材の塑性変形を利用し,塑性ひずみ量(変位量)により,発生する抵抗力が定まる変位

依存型のダンパーです.

例えば,針金を強く折り曲げると変形し,曲がったままの形状となります.それを塑性変

形といい,針金を変形させるために用いた力のエネルギーは,熱エネルギーとなります.こ

ダンパーの種類

・鋼材系ダンパー

・粘性系ダンパー

・摩擦系ダンパー

・ゴム系ダンパー

・軸降伏型ダンパー

・せん断降伏型ダンパー・・・等

・粘性体充填型ダンパー

・粘性せん断抵抗型ダンパー・・・等

・積層構造型ダンパー

・筒型摩擦ダンパー 等

・縦置き型免震ゴムダンパー

・横置き型免震ゴムダンパー・・・等

のように,鋼材系ダンパーは,鋼材の塑性変形によるエネルギー吸収により減衰を付加しま

す.すなわち,塑性化の状態によってダンパーの特性が決まるため,材質や形状を工夫して

特性をコントロールしたりします.材質としては,一般的に鋼構造物で使用される一般構造

用鋼(SS 材),溶接構造用鋼(SM 材),建築構造用鋼(SN 材),などが使用されていました.

しかし近年は,減衰性能のばらつきに大きな影響を与える降伏点ばらつきや伸び性能などの

力学特性を改善した,ダンパー専用の鋼材であるダンパー用鋼(LY100,LY225 など)が使用

されています.鋼材系ダンパーの代表的な履歴曲線は,図 3.5.1 に示すような軌跡を描きま

す.鋼材の降伏の方法には,せん断変形によるものと曲げ変形によるものと引張圧縮による

ものがあります.そのため,降伏方法によりせん断降伏型,曲げ降伏型,軸降伏型の 3 種類

に分類されます.

変位(mm)

抵抗

力(k

N)

図 3.5.1 鋼材系履歴曲線の例

(1)せん断降伏型ダンパー

せん断降伏型ダンパーは,ウェブのようなパネルが面内方向にせん断変形し,塑性変形す

ることで振動エネルギーを吸収するダンパーです.建物の梁や柱とブレース材などとの取り

付け部や橋梁の支承取り付け部などに使用されます.建築分野では主にシアリンク型や間柱

型などで設置され,橋梁では上部構造と下部構造間の支承部近傍に適用されています.

図 3.5.2 シアリンク型の設置方法 図 3.5.3 間柱型の設置方法

せん断降伏型の構造例を図 3.5.2~図 3.5.4 に,適用例を図 3.5.5,図 3.5.6 に示します.

せん断降伏型は,鋼板の上下をボルトにより部材へ結合させて,せん断変形を生じさせるタ

イプや H 形鋼のフランジ部分にフレームを接触させてせん断変形を生じさせるタイプなどが

あります.

図 3.5.2 せん断降伏型構造例 1 図 3.5.3 せん断降伏型構造例 2

図 3.5.4 せん断降伏型構造例 3

図 3.5.5 せん断降伏型適用例

図 3.5.6 せん断降伏型適用例

(2)曲げ降伏型ダンパー

曲げ降伏型ダンパーは,建物の基礎と建物の柱などをつなぐダンパーとして多く使用されま

す.

曲げ降伏型の構造例を図 3.5.7,図 3.5.8 に,適用例を図 3.5.9,図 3.5.10 に示します.曲

げ降伏型は,上側のプレートと下側のプレートとの間に,屈曲した鋼材をボルトなどにより

設置し,この鋼材に曲げ変形を与えます.

図 3.5.7 曲げ降伏型構造例 1 図 3.5.8 曲げ降伏型構造例 2

図 3.5.9 曲げ降伏型適用例 1 図 3.5.10 曲げ降伏型適用例 2

(3)軸降伏型ダンパー

軸降伏型ダンパーは,建築分野では主に層間ダンパーとしてブレース型で設置され,橋梁

では上部構造と下部構造との間やトラス橋などの対傾構や横構に使用されています.

軸降伏型の構造例を図 3.5.11~図 3.5.13 に,適用例を図 3.14,図 3.15 に示します.軸降

伏型は,棒状の鋼材を橋梁などの適用箇所に対し,上下左右に取り付けます.そして,エネ

ルギー吸収材料として,ダンパー長手方向に配置された芯材と呼ばれる鋼材の引張圧縮によ

り変形を与えます.この変形によって降伏,すなわち塑性変形することにより振動エネルギ

ーを吸収するダンパーです.なお,鋼材は繰返し引張圧縮を受けることによって面外方向へ

変形(座屈)してしまうことから,芯材の周囲を座屈拘束管などで覆います.

図 3.5.11 軸降伏型構造例 1

3.5.3 摩擦系ダンパー

(1)摩擦系ダンパーの概略構造

摩擦系ダンパーは,物質間に働く摩擦を利用したダンパーです.摩擦面に面圧を発生させる

機構,摩擦面の形状や材質,設置形態などからいくつかのタイプに分けられます.

図 3.5.16 に示すように,摩擦面同士を一定の力で接触させた状態で,支圧板またはしゅう動

板の片方または両方が移動するときに生じる 2 面間の摩擦を利用して,構造物の地震などに

よる揺れを摩擦熱に変換することによって減衰効果を得る構造となっています.

図 3.5.17 のように,支圧板に挟まれたしゅう動板を右方向に引っ張ると,力の入れ始めは

動きません.これは,しゅう動面に作用する摩擦力が,抵抗力として支圧板に作用している

ためです.しゅう動板を引っ張る力が摩擦力よりも大きくなると,しゅう動板が右方向にす

べり始めます.

支圧板

しゅう動面

N(垂直抗力)

抵抗力

H引張力

支圧板に作用する垂直抗力

抵抗力

図 3.5.16 摩擦系ダンパーの模式図の例 図 3.5.17 摩擦系ダンパーの作動状況の例

摩擦力の算定については,粘性ダンパー等の抵抗力発生メカニズムのように明確に理論式

を構築することは非常に困難となります.そのため,経験則として,接触面に作用する圧縮

力と,摩擦材として使用する材料と相手材の関係やすべり速度等の条件などから決定される

摩擦係数を乗じることで,摩擦力を算定しています.

摩擦系ダンパーは,いつ起こるか分からない地震に対して,常に安定した摩擦力が得られ

る構造でなければなりません.しかし,使用するすべり材の種類によっては温度,速度,滑

動距離,すべり面に作用する面圧などによって摩擦力が変化する場合があります.したがっ

て,常に安定した摩擦係数が得られるすべり材を選定することと,しゅう動面に常に安定し

た力を作用させる構造にすることが重要です.実際に使用されている摩擦系ダンパーの例を

図 3.5.18~図 3.5.20 に示します.

図 3.5.18 のダンパーは,皿ばねを利用して安定した軸力ですべり板を摩擦材に押し付けま

す.その結果,安定した摩擦力を保持することが可能な機構となっています.

図 3.5.19 のダンパーは,構成部材そのものの剛性を利用して,摩擦力の安定化を図ってい

るタイプです.鋼管の周りにすべり材(ステンレス材)を巻き,その外側から摩擦材が貼り

付けられた 2 つ割りのパイプ材を抑えつけるような構造となっています.

その他,リング内径より少し太い芯棒をリングにはめ込むことで,リングの締付力を利

用して摩擦力を発生させるダンパーや,構造物の荷重を利用して摩擦力を発生させるすべり

系支承があります.

図 3.5.18 皿バネ使用タイプ摩擦ダンパー

図 3.5.19 加圧パイプ使用タイプ摩擦ダンパー 図 3.5.20 リング型摩擦ダンパー

(2)摩擦系ダンパーの基本特性および履歴モデル

摩擦系ダンパーの基本特性は,しゅう動板を動かした時の摩擦力と変位の関係で評価され

ます.摩擦系ダンパーの履歴曲線は,一般的には図 3.5.21 のようにしゅう動面が動き出すま

では剛性が無限大の剛塑性型にモデル化することができます.

摩擦系ダンパーを,積層ゴム支承などのアイソレーターと組み合わせて使用する場合の履

歴曲線は,図 3.5.22 のようなバイリニア型にモデル化することができます.

すべり量(変位)

摩擦力

図 3.5.21 摩擦系ダンパーの剛塑性型履歴曲線の例

すべり量(変位)

摩擦力

すべり量(変位)

摩擦力

(a) 硬化性剛塑性型 (b) 硬化性弾塑性型

図 3.5.22 摩擦系ダンパーのバイリニア型履歴曲線の例

(3)摩擦系ダンパーの適用箇所

摩擦系ダンパーは,しゅう動面にすべりが発生するまではダンパーとして機能しません.

したがって,摩擦系ダンパーを適用する位置は橋梁の形式によって異なりますが,地震など

によって部材間に相対変位が生じる個所になります.桁橋では,桁端と下部構造との間に取

り付けて,地震による上部構造の移動量を小さくするとともに下部構造に作用する上部構造

の慣性力の低減を図るなど,また,アーチ橋では,斜材や横構に取り付けて地震によって部

材に作用する力の低減を図るなどの使い方があります.取付け例を図 3.5.23 に示します.

上部構造

橋 台摩擦系ダンパー

(a) 桁橋の取付け例 (b) ブレースへの取付け例

(c) すべり系支承の取付け例

図 3.5.23 摩擦系ダンパーの取付け例

3.5.4 粘性系ダンパー

粘性系ダンパーは,粘性体の抵抗力を利用してエネルギー吸収を図るダンパーです.抵抗

力の発生原理別に,大きく2つのタイプに分けられます.1つは封入された充填材の流動抵

抗力を利用したタイプ(シリンダー型ダンパー),2つ目は粘性体のせん断抵抗力を利用した

タイプです.

(1)シリンダー型ダンパー

1つめの充填材封入タイプは,一般に図 3.5.24 のような構造であり,ドアクローザーやサ

スペンションに使用されているオイルダンパーもこれに含まれます.抵抗力設計式は,封入

された充填材,シリンダーとピストン部との隙間部,ロッド径などを主な要因として決定さ

れます.シリンダー内部に封入される充填材としては流体が充填されることが多く,ピスト

ンが往復することにより充填材の流動が起こり,流動抵抗力が発生します.抵抗力は粘性体

の移動する速度に依存し,また粘性体の種類や装置の形状により特性値が異なります.一般

的に自身の復元力(弾性剛性)はほとんど無い為,粘性ダンパー+積層ゴム支承,身近なと

ころでは自動車のサスペンションのように粘性ダンパー+スプリングといった具合にばね要

素と複合で構造物等に使用されています. も実績が多く,一般的に知られているのがシリ

ンダー型オイルダンパーです.シリンダー構造内に充填された粘性体がオリフィスを通過す

る際,抵抗力を生じこれを利用したものです.

構造物の相対変位を利用するため,構造物同士が隣接した箇所,つまり橋梁では上部構造

と下部構造に挟まれた支承部周りに取り付けられます.

各種粘性系ダンパーの取り付け例を以下に挙げます.

図 3.5.24 充填材封入タイプダンパー概略図

図 3.5.25 シリンダー型オイルダンパー

図 3.5.26 適用事例 1

図 3.5.27 適用例 2

図 3.5.28 適用例 3

(2) 粘性せん断ダンパー

2つめの粘性せん断抵抗力タイプは,壁型や多層型,回転筒型に分けられます.壁型は,

外部容器とその間に挿入された内部抵抗板から構成されます.外部容器と内部抵抗板の隙間

は数 mm 程度で構成され,その狭い隙間には粘性体が充填されます.多層型は,外部容器の中

に挿入された固定および可動の抵抗板が多層の粘性せん断面を構成し,壁型と比較するとせ

ん断面積は小さいですが,複数構成されていることで大きな抵抗力を発揮できる構造となっ

ています.その他,回転筒型タイプの粘性系ダンパーもあります.いずれのタイプも,ダン

パーに生ずる相対変位を外部容器と抵抗力板,または固定板と可動板の相対変位に置き換え,

その際に生じる充填材の粘性せん断抵抗力をダンパーの抵抗力として利用したものです.

図 3.5.29 壁型せん断抵抗力タイプ設置状況写真

図 3.5.29 壁型せん断抵抗力ダンパーの動き

図 3.5.31 壁型せん断

粘性せん断ダンパーの抵抗力-変位関係の履歴曲線は,図 3.5.32 に示すように滑らかな楕

円となります.抵抗力-速度の関係は,図 3.5.33 のように放物線状となります.抵抗力は速

度に依存します.速度が0の時,抵抗力は0となります.

抵抗力

変位

抵抗力

速度

図 3.5.32 抵抗力-変位 図 3.5.33 抵抗力-速度

3.5.5 ゴム系ダンパー

ゴム系ダンパーは,ダンパーの設置形態から大きく2つのタイプに分けられます.1つは横

置きタイプ,2つめは縦置きタイプです.いずれのタイプも,一般的に橋梁の免震設計の中

で使用されている免震支承,すなわち高減衰ゴム支承や鉛プラグ入り積層ゴム支承をダンパ

ーとして利用しているものです.免震ゴムダンパーは,主に橋梁で適用されています.

(1)横置きタイプ免震ゴムダンパー

横置きタイプでは,上部構造を支える支承が設置されている支点の間,すなわち横桁の下

などに設置されます.また,下部構造から鋼製のブラケットを張り出し,支点位置から橋軸

方向に移動した位置に設置するケースもあります.

図 3.5.34 横置き免震ゴム 図 3.5.35 横置き免震ゴムダンパー

(ブラケット張出型)

(2)縦置きタイプ免震ゴムダンパー

縦置きタイプでは,横置きタイプと同様に支点以外の位置に設置され,積層ゴム本体の平

面部分が縦方向になるよう設置されるタイプです.下部構造側架台と積層ゴム本体,中間プ

レート,中間プレートと上部構造を結ぶケーブルなどで構成されます.ダンパー1箇所に対

して積層ゴム本体が中間プレートを介して複数基使用されます.上部構造の相対変位量がケ

ーブルを介して中間プレートに伝達され,その結果積層ゴム本体がせん断変形することで大

きな抵抗力を発揮するタイプのダンパーです.

図 3.5.36 縦置き免震ゴムダンパー

(3)免震ゴムダンパーと免震支承の違い

免震支承と免震ゴムダンパーの大きな違いは,上部構造である橋げたの重量(鉛直荷重)

鋼製ブラケッ

を支えるか否かが重要なポイントとなります.すなわち,免震ゴムダンパーでは,縦置き横

置きのいずれの場合でも,下部構造である橋脚に上部構造の鉛直方向荷重を伝えないように

工夫されて設置されます.免震支承は,地震時に機能するだけでなく,通常状態の中で橋げ

たの重量を支え,さらには自動車が走行する際に発生する荷重を支持するとともに様々な変

位量をも吸収する機能を有しています.その結果,免震支承は地震時に必要な条件だけでな

く通常時の条件をも満足するよう設計する必要があり,設計の自由度としては比較的小さく

なります.一方,免震ゴムダンパーは鉛直荷重を支持しませんので,桁が温度変化によって

移動する水平変位量の条件さえクリアできれば,その他は地震時の条件のみで寸法決定する

ことが可能となり,設計の自由度は比較的高いということとなります,すなわち,免震支承

と比較して非常に大きな水平剛性を持つような設計をすることも可能となります.

3.6 免震装置・制振装置の品質管理および適用実績紹介

3.6.1 免震装置

(1)品質管理

免震装置では,一般的に以下のような検査を実施することで品質管理を実施しています.

表 3.6.1 免震装置の品質管理項目

性能検査は免震装置としての性能を確認する検査です.性能検査である周期,温度および

面圧依存性確認試験,耐久試験は,免震装置適用物件ごとに実施することは設備面や時間的

な制約から非常に困難となります.よって,一般的には免震装置製造会社の技術資料を確認

することで代替されています.また,表中に示す以外の依存性を有する場合,その依存性に

ついても事前に性能検査を行った結果を技術資料にて確認する必要があります.比較的大き

な依存性を有する場合,それが設計に反映されていることを確認する必要があります.

製品検査は,免震装置適用物件ごとに使用する免震装置が性能を満足していることを確認

品質管理項目 検査内容 立会検査

基本性能 基本性能試験 製品検査 ○

依存性

周期依存性試験 性能検査 -

温度依存性試験 性能検査 -

面圧依存性試験 性能検査 -

耐久性能 圧縮疲労性能試験 性能検査 -

せん断疲労性能試験 性能検査 -

寸法・外観

鋼材寸法 製品検査 -

組立寸法 製品検査 ○

外観目視 製品検査 ○

する検査です.製品検査である基本性能確認試験,寸法外観検査は免震装置全数に対して実

施されるのが一般的です.基本性能確認試験は,製品の水平剛性および減衰性能が,設計で

期待している目標水準を満足できていることを確認することが目的です.

また寸法・外観検査では,部品レベルでの寸法が公差内となっているか,製品組立後の寸

法が公差内となっているか,外観に耐食性や機能面に影響を及ぼす異常が無いかなどの目視

検査を行います.

立会い検査では,複数の製品の中から任意に選定した製品について,基本性能確認試験,

組立寸法検査,外観検査を行います.

これらの検査を実施することで,免震装置としての品質を確保しています.

図 3.6.1 に示すような 2 軸試験機(鉛直,水平同時載荷)に免震装置を設置し,一定鉛直荷

載荷状態で所定の水平変位を免震装置にあたえて,その水平剛性と減衰性能を測定します.

大型の免震装置ではφ1000mm を超えるものもあるため,大型の 2 軸試験機が必要なる場合も

あります.

(a) 2 軸試験機① (b) 2 軸試験機②

図 3.6.1 免震装置性能評価用 2軸試験機

(2)橋梁への使用実績

免震装置は,以下のような箇所に適用されています.

(a)橋梁全景 (b)適用免震装置

図 3.6.2 鋼 2 径間連続箱桁橋への適用実績

免震装置

(a)橋梁全景 (b)適用免震装置

図 3.6.3 PC5 径間連続箱けた橋への適用実績

3.6.2 制震装置

(1)品質管理

制震装置では,一般的に以下のような検査を実施することで品質管理を実施しています.

表 3.6.2 制震装置の品質管理項目

性能検査はダンパーとしての性能を確認する検査です.性能検査である速度および温度依

存性確認試験,耐久試験や安定性確認試験は,ダンパー適用物件ごとに実施することは設備

面や時間的な制約から非常に困難となります.よって,一般的にはダンパー製造会社の技術

資料を確認することで代替されております.また,表中に示す以外の依存性を有する場合,

その依存性についても事前に性能検査を行った結果を技術資料にて確認する必要があります.

比較的大きな依存性を有する場合,それが設計に反映されていることを確認する必要があり

ます.

品質管理項目 検査内容

立会検査鋼材系 摩擦系 粘性系 ゴム系

基本性能 材料特性試験 性能確認試験

書類検査(材料特性)

製品検査(性能確認)

製品検査(性能確認)

製品検査(性能確認)

依存性 速度依存性試験 性能検査 性能検査 性能検査 性能検査 -

温度依存性試験 性能検査 性能検査 性能検査 性能検査 -

耐久性能 耐久性試験 性能検査 性能検査 性能検査 性能検査 -

安定性能 安定性能試験 性能検査 性能検査 性能検査 性能検査 -

寸法・外観

鋼材寸法 製品検査 製品検査 製品検査 製品検査 -

組立寸法 製品検査 製品検査 製品検査 製品検査 ○

外観目視 製品検査 製品検査 製品検査 製品検査 ○

図 3.6.1 速度依存性と温度依存性のイメージ図

書類検査・製品検査は,ダンパー適用物件ごとに使用するダンパーが性能を満足している

ことを確認する検査です.

鋼材系ダンパーでは,書類検査で材料の機械的性質を確認,製品検査で寸法・外観検査確

認を,ダンパー全数に対して実施されるのが一般的です.鋼材系の場合,材料特性がダンパ

ー性能に直結するため,材料の機械的性質と寸法確認を基本性能の確認としています.

その他のダンパーでは,製品検査である基本性能確認試験,および寸法外観検査をダンパ

ー全数に対して実施するのが一般的です.基本性能確認試験は,製品の抵抗力およびストロ

ークが,設計で期待している目標抵抗力および変位量を満足できていることを確認すること

が目的です.図 3.6.2 に示すような試験機に製品であるダンパーを設置し,試験機を加振す

ることでダンパーを強制的に伸縮させます.そのときに発生する抵抗力が,目標とする抵抗

力の±10%以内(ダンパーの種類や施主ごとに異なります)である製品が合格品となります.

試験時の正負交番加振量は,設計で想定している変位に相当する量を加振します.その際,

目標抵抗力を発生しながらスムーズに動作していることも確認します.

速度依存性や温度依存性を有するダンパーの場合,試験で得られたデータを標準温度や定

格抵抗力を発生する速度に補正した値が目標抵抗力の±10%以内であるかを確認することと

なります.

図 3.6.2 試験装置概略図

また寸法・外観検査では,部品レベルでの寸法が公差内となっているか,製品組立後の寸法

が公差内となっているか,外観に耐食性や機能面に影響を及ぼす異常が無いかなどの目視検

査を行います.

立会い検査では,複数の製品の中から任意に選定した製品について,鋼材系ダンパーでは

ミルシート確認,組立寸法検査,外観検査を,その他のダンパーでは基本性能確認試験,組

立寸法検査,外観検査を行います.

これらの検査を実施することで,ダンパーとしての品質を確保しています.

速度 温度

アクチュエーター ダンパー ロードセル 反力壁 反力架台

正負交番加振

ダンパーの伸

図 3.6.3 ダンパー公開試験時風景写真

(2)橋梁への使用実績

鋼材系ダンパー適用例を示します.鋼材系ダンパーは,以下のような箇所に適用されてい

ます.

図 3.6.4 桁端部への取付例 図 3.6.6 橋脚下部工への取付例

図 3.6.5 鋼桁への取付例 図 3.6.7 トラス構造への取付例 粘性系ダンパー(シリンダー型)適用例を示します.粘性系ダンパー(シリンダー型)は

以下のような箇所に適用されております.

図 3.6.8 3径間 PC 連続斜張橋外観 図 3.6.9 粘性系ダンパー取付状況

図 3.6.10 3径間連続鋼トラス橋 図 3.6.11 粘性系ダンパー取付状況

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_01.jpg

41) http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:Door5779.JPG

42) http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:700-df.JPG