第2編 弁護士の活動状況...弁護士白書 2017年版 101 第 2編 2-2-1 民事事件...

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101 弁護士白書 2017 年版 2 2-2-1 民事事件 第 2 編 弁護士の活動状況 簡易裁判所の通常民事訴訟事件における弁護士等の関与状況 事件数については 2000 年以降増加傾向にあったが、2011 年以降減少している。近年事件数増加金銭目的とするえのうち過払金等事件(貸金業者する過払金返還請求訴訟等)影響けてい るとされるが、事件数今後さらに減少していくものとわれる。弁護士等関与状況については、当事 者本人によるものの割合くをめている司法書士法改正(2003 年4月 1 日施行)により、一定研修修了、法務大臣認定けた法書士、簡易裁判所における訴訟代理権等付与されることになった。2003 年7月 28 日、第1回認 定考査合格した 2,989 人司法書士法務大臣より認定され、業務開始しているその後、2017 年4 月1日現在、計1万 6,512 人司法書士認定けている、2016 年簡易裁判所通常民事訴訟事件における弁護士及司法書士関与状況である事件総数(件) 弁護士等を付けた割合(%) 司法書士等を付けた割合(%) 当事者本人による割合(%) 107,151 266,673 303,927 386,833 550,798 329,379 17.1 9.5 10.2 12.4 22.3 20.0 8.2 19.3 8.2 82.9 90.5 89.8 79.8 58.9 72.8 0.0 10.0 20.0 30.0 40.0 50.0 60.0 70.0 80.0 90.0 100.0 0 100,000 200,000 300,000 400,000 500,000 600,000 700,000 1991 1996 2001 2006 2011 2016 (%) (件) (年) (単位:件) 事件の種類 総 数 弁護士又は司法書士を付けたもの 当事者本人 によるもの 双    方 一    方 金銭を目的とする訴え 320,130 18,337 157 3,222 40 25,834 17,344 15,877 3,475 235,844 うち過払金等以外 179,031)(14,6839316011)(9,385527)(9,700)(2,128)(142,344過払金等 141,099)(3,65464)(3,06229)(16,449)(16,817)(6,177)(1,34793,500建物を目的とする訴え 4,133 124 4 45 5 1,077 1,518 47 6 1,307 土地を目的とする訴え 1,973 104 8 35 19 433 1,032 40 2 300 その他の訴え 3,143 120 2 12 3 439 128 119 10 2,310 総     数 329,379 18,685 171 3,314 67 27,783 20,022 16,083 3,493 239,761 【注】1. 本頁の数値は、最高裁から提供を受けた資料によるもの。 2. 少額訴訟から通常移行したものを含む。 3. 司法書士関与事件は 2003 年からの統計数値である。 4. 2004 年 4 月より簡易裁判所の事物管轄が 90 万円から 140 万円に引き上げられた。 5. グラフにおける「弁護士等を付けた割合」とは、双方又は一方に弁護士が、「司法書士等を付けた割合」とは、双方 又は一方に司法書士が付いた割合である。 資料2-2-1-10 民事第一審通常訴訟事件の弁護士等選任率の推移(簡易裁判所) 資料2-2-1-11 訴えの目的別弁護士等の関与状況(簡易裁判所・2016 年)

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Page 1: 第2編 弁護士の活動状況...弁護士白書 2017年版 101 第 2編 2-2-1 民事事件 第2編 弁護士の活動状況 簡易裁判所の通常民事訴訟事件における弁護士等の関与状況

101弁護士白書 2017年版

第2編

2-2-1 民事事件第 2編 弁護士の活動状況

❹ 簡易裁判所の通常民事訴訟事件における弁護士等の関与状況 事件数については 2000 年以降増加傾向にあったが、2011 年以降減少している。近年の事件数の増加は金銭を目的とする訴えのうち過払金等事件(貸金業者に対する過払金返還請求訴訟等)の影響を受けているとされるが、事件数は今後さらに減少していくものと思われる。弁護士等の関与状況については、当事者本人によるものの割合が多くを占めている。

 司法書士法の改正(2003 年4月 1 日施行)により、一定の研修を修了し、法務大臣の認定を受けた司法書士に、簡易裁判所における訴訟代理権等が付与されることになった。2003 年7月 28 日に、第1回認定考査に合格した 2,989 人の司法書士が法務大臣より認定され、業務を開始している。その後、2017 年4月1日現在で、計1万 6,512 人の司法書士が認定を受けている。 次の表は、2016年の簡易裁判所の通常民事訴訟事件における弁護士及び司法書士の関与の状況である。

事件総数(件) 弁護士等を付けた割合(%)司法書士等を付けた割合(%) 当事者本人による割合(%)

107,151

266,673 303,927

386,833

550,798

329,379

17.19.5 10.2 12.4

22.3 20.0

8.2

19.3

8.2

82.990.5 89.8

79.8

58.9

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10.0

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300,000

400,000

500,000

600,000

700,000

1991 1996 2001 2006 2011 2016

(%)(件)

(年)

(単位:件)

事件の種類 総 数

弁護士又は司法書士を付けたもの

当事者本人によるもの

双    方 一    方

双方

弁護士

原告側弁護

士・被告側

司法書士

原告側司法

書士・被告

側弁護士

双方

司法書士

原告側

弁護士

原告側

司法書士

被告側

弁護士

被告側

司法書士

金銭を目的とする訴え 320,130 18,337 157 3,222 40 25,834 17,344 15,877 3,475 235,844 うち過払金等以外 (179,031)(14,683) (93) (160) (11)(9,385) (527)(9,700)(2,128)(142,344)   過払金等 (141,099)(3,654) (64)(3,062) (29)(16,449)(16,817)(6,177)(1,347) (93,500)建物を目的とする訴え 4,133 124 4 45 5 1,077 1,518 47 6 1,307土地を目的とする訴え 1,973 104 8 35 19 433 1,032 40 2 300その他の訴え 3,143 120 2 12 3 439 128 119 10 2,310総     数 329,379 18,685 171 3,314 67 27,783 20,022 16,083 3,493 239,761

【注】1.�本頁の数値は、最高裁から提供を受けた資料によるもの。   2.�少額訴訟から通常移行したものを含む。   3.�司法書士関与事件は2003年からの統計数値である。   4.�2004年 4月より簡易裁判所の事物管轄が90万円から140万円に引き上げられた。   5.�グラフにおける「弁護士等を付けた割合」とは、双方又は一方に弁護士が、「司法書士等を付けた割合」とは、双方

又は一方に司法書士が付いた割合である。

資料2-2-1-10 民事第一審通常訴訟事件の弁護士等選任率の推移(簡易裁判所)

資料2-2-1-11 訴えの目的別弁護士等の関与状況(簡易裁判所・2016 年)

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102 弁護士白書 2017年版

� �以下は、簡易裁判所を第一審とする民事事件のうち、「金銭を目的とする訴え」について、「過払金等以外」と「過払金等」に分け、それぞれ弁護士等の選任状況をみたものである。 過払金等以外の事件は、司法書士と比べ弁護士の関与している割合が高いが、全体的に選任率は低調である(資料 2-2-1-12)。他方、過払金等事件は、2003 年の司法書士法の改正以降、司法書士の代理人選任率が増加し弁護士を上回っていたが、近年減少傾向にあり、その差もなくなりつつある(資料2-2-1-13)。

【注】1.�数値は、最高裁から提供を受けた資料をもとに、日弁連が作成したもの。   2.�「原告側に弁護士を付けた割合」とは、原告側弁護士(被告側司法書士)と原告側のみ弁護士を付けたものを足し

て算出した割合である。   3.�「原告側に司法書士を付けた割合」とは、原告側司法書士(被告側弁護士)と原告側のみ司法書士を付けたものを

足して算出した割合である。   4.�過払金等事件とは、「不当利得返還請求事件」、「過払金返還請求事件」等、不当利得返還請求を内容とする事件名

が付された事件をいう。

233,547

294,915

202,097 179,031

2.0 2.2

4.4

8.2

2.6 2.8

4.9

5.3

0.5 0.4 0.4 0.4

0.0

2.0

4.0

6.0

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0

40,000

80,000

120,000

160,000

200,000

240,000

280,000

320,000

360,000

400,000

2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016

(%)(件)

(年)

過払金等以外既済事件数(件) 双方に弁護士を付けた割合(%)原告側に弁護士を付けた割合(%) 原告側に司法書士を付けた割合(%)

142,066

315,030

210,784

141,099

1.7 1.1 2.1 2.6

14.4

23.4

20.2

11.7

19.0

33.9

21.8

14.1

0.0

5.0

10.0

15.0

20.0

25.0

30.0

35.0

40.0

0

50,000

100,000

150,000

200,000

250,000

300,000

350,000

400,000

2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016

(%)(件)

(年)

過払金等既済事件数(件) 双方に弁護士を付けた割合(%)原告側に弁護士を付けた割合(%) 原告側に司法書士を付けた割合(%)

資料2-2-1-12 民事第一審通常訴訟事件の金銭を目的とする訴えのうち過払金等以外事件の弁護士等選任状況(簡易裁判所)

資料2-2-1-13 民事第一審通常訴訟事件の金銭を目的とする訴えのうち過払金等事件の弁護士等選任状況(簡易裁判所)

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103弁護士白書 2017年版

第2編

2-2-1 民事事件第 2編 弁護士の活動状況

                              

【注】�数値は、最高裁から提供を受けた資料によるもので、地裁・簡裁ともに少額訴訟から通常移行したものを含まない。交通事故発生件数は警察庁HP『平成29年警察白書』「交通事故発生状況の推移」による。

資料2-2-1-14 交通事故損害賠償請求事件の新受件数の推移(地方裁判所・簡易裁判所)

資料2-2-1-15 民事第一審通常訴訟事件のうち交通事故損害賠償請求事件の弁護士選任率の推移(簡易裁判所)

【注】1.�最高裁から提供を受けた資料をもとに、日弁連が作成したもの。   2.�少額訴訟から通常移行したものを含む。   3.�「弁護士等を付けた割合」 とは、双方又は一方に弁護士が、「司法書士等を付けた割合」とは、双方又は一方に司法書士が

付いた割合である。

2015年2014年2013年2012年2011年2010年2009年2008年2007年2006年2005年2004年2003年〔簡裁〕交通事故損害賠償新受件数 19,47317,96115,42814,50812,81311,41311,0709,5468,1826,7344,5823,8113,252

〔地裁〕交通事故損害賠償新受件数

14,68413,49412,22411,3029,5998,9258,2637,3837,2557,4487,0157,1697,006

交通事故発生件数(人身事故のみ) 536,899

2016年

20,766

15,690

499,201573,842629,033665,157692,084725,924737,637766,394832,704887,267934,346952,720948,281

948,281

499,201

0

200,000

400,000

600,000

800,000

1,000,000

1,200,000

0

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

30,000

35,000

40,000

交通事故発生件数(件)

損害賠償新受件数(件)

10,258 10,980 11,597

14,182 15,43716,929

19,333 20,338

22,412

25,810

27,652

31,455

34,15736,456

地裁と簡裁の新受件数合計

交通事故発生件数(人身事故のみ)

4,373 4,957

6,035 7,792

9,404 10,433

11,719 12,537

13,249

15,170 15,675

17,658 20,65519,559

60.3

86.3 92.8 94.5

0.2 0.8 0.5

39.5

1.1

13.1

6.9 5.3

0.0

10.0

20.0

30.0

40.0

50.0

60.0

70.0

80.0

90.0

100.0

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2,000

4,000

6,000

8,000

10,000

12,000

14,000

16,000

18,000

22,000

20,000

310280023002

(%)(件)

(年)2016

事件総数(件) 弁護士等を付けた割合(%)司法書士等を付けた割合(%) 当事者本人による割合(%)