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CONFIDENTIAL アレロック顆粒 0.5% 2 部(モジュール 2: CTD の概要(サマリー) 2.5 臨床に関する概括評価 協和発酵キリン株式会社

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CONFIDENTIAL

アレロック顆粒 0.5%

第 2 部(モジュール 2): CTD の概要(サマリー)

2.5 臨床に関する概括評価

協和発酵キリン株式会社

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アレロック顆粒 0.5% 2.5 臨床に関する概括評価

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略号及び用語の定義一覧

略号一覧 略号 略していない用語

AD Atopic dermatitis(アトピー性皮膚炎) AR Allergic rhinitis(通年性アレルギー性鼻炎) IC50 Median inhibit concentration(50%阻害濃度) NONMEM Nonlinear mixed-effect modeling(非線形混合効果モデルソフトウェア) PPK Population pharmacokinetics(母集団薬物動態)

用語の定義一覧 用語 定義

ALT Alanine aminotransferase(アラニンアミノトランスフェラーゼ) AST Aspartate aminotransferase(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ) AUC0-12 投与後 12 時間までの血漿中薬物濃度―時間曲線下面積 BA バイオアベイラビリティ CL/F みかけの全身クリアランス CLR 腎クリアランス Cmax 高血漿中薬物濃度 FAS 大の解析対象集団 FDA 米国食品医薬品局 HERG Human ether-a-go-go related gene ka 吸収速度定数 MAO モノアミン酸化酵素 MedDRA/J ICH 国際医薬用語集日本語版 PT MedDRA/J における基本語 SOC MedDRA/J における器官別大分類 tmax 高血漿中薬物濃度到達時間 V/F みかけの分布容積

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アレロック顆粒 0.5% 2.5 臨床に関する概括評価

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目次

目次 ............................................................................................................................................3 2.5 臨床に関する概括評価(臨床概括評価) ................................................................................ 4 2.5.1 製品開発の根拠 ........................................................................................................................ 4 2.5.1.1 製品開発の臨床的・科学的背景 ........................................................................................ 4 2.5.1.2 臨床試験計画及び臨床試験データパッケージ ................................................................ 8 2.5.1.3 治験相談(1.13-3)............................................................................................................ 13 2.5.1.4 申請を行う効能・効果、用法・用量 .............................................................................. 15 2.5.2 生物薬剤学に関する概括評価 .............................................................................................. 17 2.5.2.1 アレロック®錠 .................................................................................................................... 17 2.5.2.2 アレロック®顆粒 ................................................................................................................ 17 2.5.3 臨床薬理に関する概括評価 .................................................................................................. 18 2.5.3.1 アレロック®錠 .................................................................................................................... 18 2.5.3.2 アレロック®顆粒 ................................................................................................................ 20 2.5.4 有効性の概括評価 .................................................................................................................. 22 2.5.4.1 アレルギー性鼻炎(5.3.3.2-6, 5.3.5.1-1, 5.3.5.2-1, 5.3.5.2-3) ....................................... 23 2.5.4.2 皮膚疾患に伴う瘙痒(5.3.3.2-6, 5.3.5.1-3, 5.3.5.2-3) ................................................... 25 2.5.5 安全性の概括評価 .................................................................................................................. 30 2.5.5.1 非臨床試験の安全性情報 .................................................................................................. 30 2.5.5.2 安全性の評価に用いた臨床試験 ...................................................................................... 30 2.5.5.3 曝露状況及び対象となった小児被験者集団 .................................................................. 30 2.5.5.4 有害事象 .............................................................................................................................. 31 2.5.6 ベネフィットとリスクに関する結論 .................................................................................. 38 2.5.6.1 本剤の臨床的位置づけ ...................................................................................................... 38 2.5.6.2 安全性.................................................................................................................................. 40 2.5.7 参考文献 .................................................................................................................................. 42

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アレロック顆粒 0.5% 2.5 臨床に関する概括評価

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2.5 臨床に関する概括評価(臨床概括評価)

2.5.1 製品開発の根拠 KW-4679(一般名:オロパタジン塩酸塩)は、19 年に協和発酵工業株式会社(現、協和発

酵キリン株式会社)にて合成された化学構造上は両性化合物であり、主作用であるヒスタミン

H1受容体拮抗作用に加えて、トロンボキサン及びロイコトリエン等のメディエーターの遊離抑

制作用、更にアレルギー炎症の増悪因子であるタキキニンの遊離抑制作用も併せ持つ抗アレル

ギー薬である。オロパタジン塩酸塩は、本邦において錠剤の開発が進められ、既に成人のアレ

ルギー性鼻炎、蕁麻疹及び瘙痒性皮膚疾患に対して有用性が認められ、2000 年 12 月 22 日に効

能・効果「アレルギー性鼻炎、蕁麻疹、皮膚疾患に伴う瘙痒(湿疹・皮膚炎、痒疹、皮膚瘙痒

症、尋常性乾癬、多形滲出性紅斑)」、用法・用量「通常、成人には 1 回オロパタジン塩酸塩

として 5 mg を朝及び就寝前の 1 日 2 回経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。」

として医薬品製造承認を取得し、2001年3月にアレロック®錠2.5及び5として発売されている。 小児のアレルギー性疾患は低年齢化又は遷延化傾向にあることより1)、成人で高い有効性が示

されているオロパタジン塩酸塩を小児アレルギー疾患への治療に適正に使用できるようにする

ことは、臨床的な意義が高いと判断した。小児適応の承認申請にあたり、7 歳以上の小児アレ

ルギー患者を対象に臨床試験を実施し、有効性及び安全性が確認されたことより、アレロック®

錠 2.5 及び 5 は承認事項一部変更承認申請を行い、2010 年 7 月に承認を取得した。。 今回、新たに 2 歳以上の小児を対象に、服用しやすい剤型であるアレロック®顆粒 0.5%(以

下、KW-4679G 又は本剤)の臨床試験を実施し、有効性及び安全性が確認されたことより、本

製造販売承認申請を行う。

2.5.1.1 製品開発の臨床的・科学的背景 7 歳以上の小児患者を対象とした小児アレロック®錠試験及び 2 歳以上 6 歳以下の小児患者を

対象とした本剤の臨床試験は、通年性アレルギー性鼻炎(AR)及びアトピー性皮膚炎(AD)

の小児患者を対象に実施した。AR は、花粉症に代表される季節性アレルギー性鼻炎と比べ季節

的な影響を受け難く、小児においては季節性アレルギー性鼻炎よりも有病率が高い2)。また、瘙

痒を伴う代表的な小児皮膚疾患である AD は、皮膚症状の悪化を防ぐには瘙痒を抑制すること

が重要であり、小児期に瘙痒のコントロールを行うことで、難治化や重症化を防ぐことができ

るとされている3)。このように AR 及び AD は、小児アレルギー疾患に対する有効性及び安全性

を確認する上で適切な対象であり、オロパタジン塩酸塩の主作用であるヒスタミン H1受容体拮

抗作用を考えると、これらの疾患に対して評価することで成人と同様の効能・効果の検討が可

能と考えた。 以下に、小児の AR 及び AD の概略とともに薬物療法での本剤の位置づけ及び臨床的意義に

ついてまとめた。 1)AR

小児 AR の有病率は 0 歳から 4 歳で 4.0%と低年齢から認められ、5 歳から 9 歳で 22.5%、10歳から 19 歳で 36.6%と報告されている2)。 小児 AR の症状は、成人と同様にくしゃみ、鼻汁及び鼻閉の 3 症状が中心で4)、その症状を引

き起こす主要な物質の一つがヒスタミンである。ヒスタミンは鼻粘膜表層に分布する肥満細胞

の表面における抗原抗体反応により肥満細胞から放出され、鼻粘膜の知覚神経終末、血管の反

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アレロック顆粒 0.5% 2.5 臨床に関する概括評価

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応としてくしゃみ、鼻汁及び鼻閉を引き起こす2)。特に、抗原曝露直後のくしゃみ及び鼻汁の発

現にヒスタミンが大きく関与している。小児ARの特徴はハウスダストが主な抗原であること、

鼻腔が狭いため鼻粘膜の腫脹により鼻腔が閉塞し、鼻閉症状が起こりやすいこと、鼻汁が水性

だけではなく粘膿性のものがあること、副鼻腔炎の合併が多いこと等である4,5)。一般に、小児

AR の診断と薬物療法は成人に準じて行われている6)。AR の重症度と病型の組合わせによる薬

物療法の選択方法を表 2.5.1.1-1に示した。 この中で、ヒスタミンの関与が大きい鼻症状であるくしゃみ及び鼻汁を主訴とする「くしゃ

み・鼻漏型」の治療薬として、第 2 世代抗ヒスタミン薬が挙げられる。第 2 世代抗ヒスタミン

薬は、ヒスタミン H1受容体拮抗作用に加え、他の化学伝達物質の遊離抑制作用を持ち、弱いな

がらも鼻閉に対する効果もあり、効果の持続時間も長い薬剤である。また、末梢組織のヒスタ

ミン H1受容体へ主に結合し、脳内への移行性が低いため、中枢性鎮静作用の少ないことが特徴

であり7,8)、本剤もこれに含まれる。

表 2.5.1.1-1 AR の治療9) 重症度 中等症 重症

病型 軽症 くしゃみ・

鼻漏型

鼻閉型又は鼻閉

を 主とする充全型

くしゃみ・ 鼻漏型

鼻閉型又は鼻閉

を 主とする充全型

鼻噴霧用ステロ

イド薬 +

第 2 世代抗ヒス

タミン薬

鼻噴霧用ステロ

イド薬 +

抗 LTs 薬又は抗

PGD2・TXA2薬 必要に応じて点

鼻用血管収縮薬

を治療開始時の

5~7 日間に限っ

て用いる。

①第 2 世代抗ヒ

スタミン薬 ②遊離抑制薬 ③Th2 サイトカ

イン阻害薬 ①、②、③のいず

れか一つ。

①第 2 世代抗ヒ

スタミン薬 ②遊離抑制薬 ③Th2 サイトカ

イン阻害薬 ④鼻噴霧用ステ

ロイド薬 ①、②、③、④の

いずれか一つ。 必要に応じて①、

②、③に④を併用

する。

①抗 LTs 薬 ②抗 PGD2・TXA2

薬 ③鼻噴霧用ステ

ロイド薬 ①、②、③のいず

れか一つ。 必要に応じて①

又は②に③を併

用する。 鼻閉型で鼻腔形態異常を伴う症例で

は手術 特異的免疫療法

治療

抗原除去・回避 症状が改善してもすぐには投薬を中止せず、数ヵ月の安定を確かめて、ステップダウンしていく。 遊離抑制薬:ケミカルメディエーター遊離抑制薬 抗 LTs 薬:抗ロイコトリエン薬 抗 PGD2・TXA2薬:抗プロスタグランジン D2・トロンボキサン A2薬

2)AD

小児 AD の有病率は、4 ヵ月で 12.8%、1 歳 6 ヵ月で 9.8%、3 歳で 13.2%、小学 1 年で 11.8%、

小学 6 年で 10.6%と報告されている10)。AD の重症・難治症状は、急性悪化した皮膚症状を治療

せずに放置していたとき及び長期にわたり不十分な治療を行っていたときに起こるとされ3)、成

人の難治性 AD への移行を抑えるには小児期の適切な治療が重要であると考えられている。ま

た、皮膚症状の悪化を防ぐには瘙痒を抑制することが重要であり、瘙痒の起因物質の一つであ

るヒスタミンの受容体拮抗作用を有する本剤の有効性が期待される。

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アレロック顆粒 0.5% 2.5 臨床に関する概括評価

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痒みを伴う皮膚疾患は、AD の他にも蕁麻疹及び皮膚疾患(湿疹・皮膚炎、皮膚瘙痒症)があ

る11)。痒みは末梢性のものと中枢性のものに分類されるが、そのほとんどは末梢性のものであ

る。末梢性の痒みは皮膚に多く存在する細い無髄神経である C 繊維により求心性に伝達すると

考えられている。末梢性の痒みのレセプターは表皮-真皮境界部に存在する自由神経終末で、

その活性化により痒みが生じると考えられている。その活性化の起因物質の一つであるヒスタ

ミンは、蕁麻疹で血管透過性亢進と血管拡張作用を起こし、痒みを惹起する中心的な役割を果

たしている。よって、オロパタジン塩酸塩はヒスタミン H1受容体拮抗作用等を有することから、

瘙痒を抑制することができると考えた。小児において、瘙痒を伴う代表的な皮膚疾患は AD で

あり、AD の瘙痒に対する有効性が確認されることによって、蕁麻疹及び他の皮膚疾患に伴う瘙

痒に対しても同様な有効性が期待できると考えた。なお、成人では慢性蕁麻疹を対象とした比

較試験を実施しているが、小児では患者が少なく実施は困難と考えた。 AD の薬物療法の基本例を図 2.5.1.1-1に示した。 薬物療法の中心は、炎症の抑制を目的としたステロイド外用薬であり、重症度、皮疹の部位

及び年齢等に応じて選択する。また、皮膚症状の悪化を防ぐには瘙痒を抑制することが重要で

あり、抗ヒスタミン薬及び抗アレルギー薬は止痒効果を期待して、外用薬治療を補助する治療

と位置づけられ、本剤もこれに含まれる。

軽症 中等症 重症 重症 外用薬 外用薬 外用薬 外用薬

・保湿・保護を目的

とした外用薬 ・ステロイド外用薬 全年齢: マイルド以下 (必要に応じて)

・保湿・保護を目的

とした外用薬 ・ステロイド外用薬

2 歳未満: マイルド以下

2~12 歳: ストロング以下

13 歳以上: ベリーストロング

以下

・保湿・保護を目的

とした外用薬 ・ステロイド外用薬

2 歳未満: ストロング以下

2~12 歳: ベリーストロング

以下 13 歳以上: ベリーストロング

以下

→ ←

・保湿・保護を目的

とした外用薬 ・ステロイド外用薬

2 歳未満: ストロング以下

2~12 歳: ベリーストロング

以下 13 歳以上: ベリーストロング

以下 内服薬 内服薬 内服薬 内服薬

・必要に応じて 抗ヒスタミン薬 抗アレルギー薬

・必要に応じて 抗ヒスタミン薬 抗アレルギー薬

・必要に応じて 抗ヒスタミン薬 抗アレルギー薬

・必要に応じて 抗ヒスタミン薬 抗アレルギー薬

経口ステロイド (必要に応じて一時

的に) →:十分な効果が認められない場合(ステップアップ) (原則として一時入院) ←:十分な効果が認められた場合(ステップダウン)

図 2.5.1.1-1 AD の薬物療法の基本例12)

このように、小児の AR 及び AD に対する薬物療法では成人と同様、第 2 世代抗ヒスタミン薬

(抗アレルギー薬)が必要とされている。小児への適応を有する第 2 世代抗ヒスタミン薬を表 2.5.1.1-2に示した。

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アレロック顆粒 0.5% 2.5 臨床に関する概括評価

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その治療薬の選択にあたっては、治療効果だけではなく副作用と薬物相互作用に対する配慮

が必要とされている13)。 オロパタジン塩酸塩は、他のヒスタミン H1受容体拮抗作用を示す薬剤に比べて、成人の AR

で、特に鼻閉に対する高い改善効果を有すること、また、成人の慢性蕁麻疹で、高い瘙痒消失

効果を有することが認められている。前述のとおり、小児の AR は、成人と同様にくしゃみ、

鼻汁及び鼻閉の 3 症状が中心で、鼻閉症状が起こりやすいなどの特徴を有する。また、小児の

AD は、難治化及び重症化を防ぐためには小児期に瘙痒のコントロールが重要であると考えられ

ている。よって、成人で高い有効性が示されているオロパタジン塩酸塩を、小児の AR 及び ADに代表されるアレルギー疾患への治療に適正に使用できるようにすることは、臨床的な意義が

高いと判断した。また、同種同効薬に比して薬物相互作用が少ない薬剤であり、小児患者に対

してより安全に使用できるものと考えた。

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アレロック顆粒 0.5% 2.5 臨床に関する概括評価

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表 2.5.1.1-2 小児に適応を有する第 2 世代抗ヒスタミン薬 一般名

(製品名) 剤型販売開始

年月 効能・効果 用法・用量 薬物相互作用

DS 1987/10 ケトチフェンフ

マル酸塩 (ザジテン®) Sy 1985/7

気管支喘息、アレルギー

性鼻炎、蕁麻疹、湿疹・

皮膚炎、皮膚そう痒症

0.06 mg/kg を 1 日 2 回

中枢神経抑制剤、

抗ヒスタミン剤、

アルコール オキサトミド (セルテクト®) DS 1987/6

気管支喘息、アトピー性

皮膚炎、蕁麻疹、痒疹 0.5 mg/kg を 1 日 2 回

中枢神経抑制剤、

アルコール

Sy 1997/6 気管支喘息 0.12 mg/kg を 1 日 2 回

メキタジン (ゼスラン®、 ニポラジン®) 細 2001/7

アレルギー性鼻炎、じん

麻疹、皮膚疾患に伴う瘙

痒(湿疹・皮膚炎、皮膚

瘙痒症)

0.06 mg/kg を 1 日 2 回

中枢神経抑制剤、

抗コリン作用を

有する薬剤(三環

系抗うつ剤、MAO阻害剤等)、メト

キサレン、アルコ

ール

アレルギー性鼻炎 0.25~0.5 mg/kgを 1 日 1 回 エピナスチン塩

酸塩 (アレジオン®)

DS 2005/3 蕁麻疹、皮膚疾患(湿疹・

皮膚炎、皮膚そう痒症)

に伴うそう痒

0.5 mg/kg を 1 日 1 回

塩酸フェキソフ

ェナジン (アレグラ®)

2007/1 (30 mg錠) 2006/10 (60 mg錠)

アレルギー性鼻炎、蕁麻

疹、皮膚疾患(湿疹・皮

膚炎、皮膚そう痒症、ア

トピー性皮膚炎)に伴う

そう痒

7歳以上12歳未

満:30 mg を 1日 2 回 12 歳以上:60 mg を 1 日 2 回

制酸剤(水酸化ア

ルミニウム・水酸

化マグネシウム

含有製剤)、エリ

スロマイシン

DS 2008/1

3 歳以上 7 歳未

満:5 mg を 1 日

1 回 7 歳以上:10 mgを 1 日 1 回

ロラタジン (クラリチン®)

錠、

R 錠2007/10

アレルギー性鼻炎、蕁麻

疹、皮膚疾患(湿疹・皮

膚炎、皮膚そう痒症)に

伴うそう痒 7 歳以上:10 mgを 1 日 1 回

エリスロマイシ

ン、シメチジン

錠 2009/4 7歳以上15歳未

満:5 mg を 1 日

2 回

セチリジン (ジルテック®)

DS 2009/4

アレルギー性鼻炎、蕁麻

疹、皮膚疾患(湿疹・皮

膚炎、皮膚そう痒症)に

伴うそう痒

2 歳以上 7 歳未

満:2.5 mg を 1日 2 回 7歳以上15歳未

満:5 mg を 1 日

2 回

ピルシカイニド

塩酸塩水和物

DS:ドライシロップ剤、Sy:シロップ剤、細:細粒剤、錠:錠剤、R 錠:レディタブ錠

2.5.1.2 臨床試験計画及び臨床試験データパッケージ オロパタジン塩酸塩の小児適応拡大にあたり、錠剤(アレロック®錠)及び服用しやすい顆粒

剤(アレロック®顆粒 0.5%)の臨床試験を計画した。 初に健康成人男性を対象にアレロック®顆粒 0.5%(以下、本剤)とアレロック®錠のバイオ

アベイラビリティ比較試験(G0401 試験)を実施し、本剤とアレロック®錠が生物学的に同等で

あることを確認した。

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アレロック顆粒 0.5% 2.5 臨床に関する概括評価

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7 歳以上の小児については、小児 AD 患者及び小児 AR 患者を対象にアレロック®錠にて臨床

試験を実施し、有効性及び安全性を確認した。アレロック®錠 2.5 及び 5 は、効能・効果「アレ

ルギー性鼻炎、蕁麻疹、皮膚疾患(湿疹・皮膚炎、皮膚瘙痒症)に伴う瘙痒」、用法・用量「通

常、7 歳以上の小児には 1 回オロパタジン塩酸塩として 5 mg を朝及び就寝前の 1 日 2 回経口投

与する。」にて承認事項一部変更承認申請を行い、2010 年 7 月に承認を取得した。 一方、2 歳以上 6 歳以下の小児については、小児 AD 患者及び小児 AR 患者を対象に服用しや

すい本剤にて臨床試験を実施した。 表 2.5.1.2-1 に臨床試験一覧を示した。

2.5.1.2.1 生物学的同等性 健康成人男性を対象に本剤とアレロック®錠のバイオアベイラビリティ比較試験(G0401 試

験)を実施し、生物学的に同等であることが示されたことから、成人に対する本剤の臨床推奨

用量は、アレロック®錠と同様に 5 mg/回、1 日 2 回投与であると判断した。

2.5.1.2.2 7 歳以上の小児を対象とした臨床試験(アレロック®錠) アレロック®錠を用いた 7 歳以上の小児を対象とした臨床開発計画は、「小児集団における医

薬品の臨床試験に関するガイダンス」14)を参考にし、小児の薬物動態試験、小児 AR 患者を対

象とした用量反応試験、小児 AD 患者を対象とした非劣性試験、小児 AR 患者を対象とした長

期投与試験の 4 試験を実施した。 はじめに小児での薬物動態の検討を行い、小児で成人と同様の血漿中 KW-4679 濃度が得られ

る投与量を推定した。次にアレロック®錠の臨床推奨用量の検討を行うため、小児 AR 患者を対

象にプラセボを対照薬とした二重盲検比較試験を実施した。その後、小児 AD 患者を対象に標

準治療薬との非劣性を検証する目的で二重盲検比較試験(用量反応試験)を実施した。プラセ

ボを対照薬とした臨床試験を小児 AD 患者を対象にして実施することは、倫理面から困難であ

ると判断し、用量反応試験は小児 AR 患者を対象に、標準治療薬が対照薬となる非劣性試験は

小児 AD 患者を対象に、それぞれ設定した。 更に、アレロック®錠を長期投与したときの安全性を検討する目的で、小児 AR 患者を対象に

12 週間の長期投与試験を非盲検にて実施した。 小児の年齢の下限は、アレロック®錠の製造販売後における使用成績調査において報告されて

いた年齢の下限と錠剤の嚥下能力を勘案して 6 歳としていたが、非劣性試験での対照薬の用

法・用量の年齢区分にあわせて 7 歳に設定した。 なお、これら 4 試験は、薬事法第 14 条 3 項及び第 80 条の 2 に規定する基準、並びに平成 9

年 3 月 27 日付け厚生省令第 28 号「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」及び平成 15年 6 月 12 日付け厚生労働省令第 106 号、平成 16 年 12 月 21 日付け厚生労働省令第 172 号、平成

18 年 3 月 31 日付け厚生労働省令第 72 号の「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令の一

部を改正する省令」の基準を遵守して実施した。

2.5.1.2.3 2 歳以上 6 歳以下の小児を対象とした臨床試験(アレロック®顆粒 0.5%) 本剤を用いた 2 歳以上 6 歳以下を対象とした臨床試験計画も「小児集団における医薬品の臨

床試験に関するガイダンス」14)を参考にし、小児における薬物動態試験を 2 試験、小児におけ

る用法・用量確認試験及び小児アレルギー性疾患患児を対象とした長期投与試験の 3 試験を実

施した。

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アレロック顆粒 0.5% 2.5 臨床に関する概括評価

CONFIDENTIAL - 10 -

2 歳以上 6 歳以下の小児被験者の薬物動態の検討は G0502 試験及び G0603 試験で実施し、更

に長期投与試験の G0804 試験でも血漿中 KW-4679 濃度を測定した。3 試験のデータを解析した

結果、2 歳以上 6 歳以下の小児 AD 被験者及び小児 AR 被験者に本剤 2.5 mg/回投与したときの血

漿中 KW-4679 濃度は、成人被験者にて既に承認されている用量の 5 mg/回投与したときの血漿

中 KW-4679 濃度推移と類似していた。 また、本剤の有効性データは、成人ではなく年長(7~16 歳)を対象とした小児アレロック®

錠試験と比較検討することとした。その理由は、①小児の年少(2~6 歳)と年長(7~16 歳)

は疾患経過が類似しており、治療結果の比較が可能である。②年長小児に対するアレロック®

錠試験は、小児適応で承認されたロラタジン及びセチリジンと同様の有効性項目(患者日記か

ら得られたデータ15,16))で評価している。③年長小児に対するアレロック®錠試験は、2 つの検

証試験(0421 試験及び 0422 試験)にて、アレロック®錠のプラセボに対する優越性及びケトチ

フェンフマル酸塩に対する非劣性が確認されていることからである。 また、安全性の検討は G0502 試験、G0603 試験及び G0804 試験で実施し、いずれの試験でも

重症度が高度な有害事象は発現せず、臨床上特に問題にはならないと考えられた。 なお、本剤で実施した 4 つの臨床試験は、薬事法第 14 条 3 項及び第 80 条の 2 に規定する基

準、並びに平成 9 年 3 月 27 日付け厚生省令第 28 号「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する

省令」及び平成 15 年 6 月 12 日付け厚生労働省令第 106 号、平成 16 年 12月 21日付け厚生労働

省令第 172 号、平成 18 年 3 月 31 日付け厚生労働省令第 72 号の「医薬品の臨床試験の実施の基

準に関する省令の一部を改正する省令」の基準を遵守して実施した。

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アレロック顆粒 0.5% 2.5 臨床に関する概括評価

CONFIDENTIAL - 11 -

表 2.5.1.2-1 臨床試験一覧

剤型 試験の

種類 試験 番号 試験デザイン 試験目的 対象 登録

被験者数用法・用量 投与期間 実施期間 試験報告書

の添付場所 顆粒剤 BA G0401 単施設

非盲検 クロスオーバー

薬物動態

安全性 健康成人 男性

20 名 各群10名

5 mg(錠剤)又は 5 mg(5 mg 包)(開発段階処

方)

単回 ×2 回

20 年 月 ~20 年 月

5.3.1.1-1

6 名 ・体重 20 kg 以上 40 kg 未満: 2.5 mg(錠剤)/回、 1 日 2 回

錠剤 PK 0420 単施設 非盲検

薬物動態

安全性 AD 又は AR 患者

(6~16 歳)

6 名 ・体重 40 kg 以上: 5 mg(錠剤)/回、 1 日 2 回

8 日間 (15 回反

復投与)

20 年 月 ~20 年 月

5.3.3.2-1

5 名 1.25 mg(250 mg 包)/回、 1 日 2 回(申請処方)

PK G0502 単施設 非盲検

薬物動態

安全性 AD 又は AR 患者

(2~6 歳) 5 名 2.5 mg(500 mg 包)/回、 1 日 2 回(申請処方)

8 日間 (15 回反

復投与)

20 年 月 ~20 年 月

5.3.3.2-4 顆粒剤

PK G0603 多施設共同 非盲検

薬物動態

安全性 有効性

AD 又は AR 患者

(2~6 歳)

91 名 2.5 mg(500 mg 包)/回、 1 日 2 回(申請処方)

2 週間 20 年 月 ~20 年 月

5.3.3.2-6

103 名 2.5 mg(錠剤)/回、 1 日 2 回

100 名 5 mg(錠剤)/回、 1 日 2 回

有効性 0421 多施設共同 プラセボ対照

二重盲検

有効性 安全性

AR 患者 (7~16 歳)

99 名 プラセボ(錠剤)/回、 1 日 2 回

2 週間 20 年 月 ~20 年 月

5.3.5.1-1

152 名 5 mg(錠剤)/回、 1 日 2 回

錠剤

有効性 0422 多施設共同 実薬対照 二重盲検

有効性 安全性

AD 患者 (7~16 歳)

153 名 ケトチフェンフマル酸塩 1 mg/回、1 日 2 回

2 週間 20 年 月 ~20 年 月

5.3.5.1-3

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アレロック顆粒 0.5% 2.5 臨床に関する概括評価

CONFIDENTIAL - 12 -

表2.5.1.2-1 臨床試験一覧(続き) 試験の

種類 試験 番号 試験デザイン 試験目的 対象 登録

被験者数用法・用量 投与期間 実施期間 試験報告書

の添付場所 17 名 ・体重 20 kg 以上

30 kg 未満: 初回投与量

2.5 mg(錠剤)/回、 1 日 2 回

増量 5 mg(錠剤)/回、 1 日 2 回

錠剤 安全性 0523 多施設共同 非盲検

安全性 有効性

AR 患者 (7~16 歳)

33 名 ・体重 30 kg 以上: 5 mg(錠剤)/回、 1 日 2 回

12 週間 20 年 月 ~20 年 月

5.3.5.2-1

顆粒剤 安全性 G0804 多施設共同 非盲検

安全性 有効性

AD 又は AR 患者

(2~12 歳)

103 名 2~6 歳:

83 名

7~12 歳:

20 名

初回投与量: ・2~6 歳:

2.5 mg(500 mg 包)/回、 1 日 2 回(申請処方)

・7~12 歳: 5 mg(1000 mg 包)/回、 1 日 2 回(申請処方)

増量(2~6 歳が対象) ・体重 15 kg 以上

20 kg 未満: 3.75 mg(750 mg 包)/回、

1 日 2 回(申請処方) ・体重 20 kg 以上:

5 mg(1000 mg 包)/回、 1 日 2 回(申請処方)

減量(7~12 歳が対象) 2.5 mg(500 mg 包)/回、 1 日 2 回(申請処方)

12 週間 20 年 月 ~20 年 月

5.3.5.2-3

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アレロック顆粒 0.5% 2.5 臨床に関する概括評価

CONFIDENTIAL - 13 -

2.5.1.3 治験相談(1.13-2)

2.5.1.3.1 小児アレロック®錠試験 小児での薬物動態試験(0420 試験)の終了後、臨床試験パッケージの妥当性について、医薬

品総合機構と対面相談を実施した 平成 年 月 日実施)。

相談事項は次の 2 点とした。 【相談事項 1】

【相談事項 2】

対面相談時の試験パッケージ案を図 2.5.1.3.1-1a に示した。

アレロック®錠の小児適応拡大の治験は、対象となる小児被験者の年齢の下限を 7 歳とした。

これは、7 歳児の平均体重が男子 24.2 kg、女子 23.6 kg と体重 20 kg 以上であること、また、7歳未満の低年齢児では錠剤の嚥下が困難な場合があること、AD の試験で予定している対照薬で

あるケトチフェンフマル酸塩ドライシロップの用法及び用量が、6 ヵ月以上~3 歳未満、3 歳~7歳未満、7 歳以上の 3 区分で設定されていること等から設定した。 この相談事項に対して医薬品総合機構より、以下の助言を得た。

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アレロック顆粒 0.5% 2.5 臨床に関する概括評価

CONFIDENTIAL - 14 -

以上の相談結果を受け、再度開発計画を見直し、試験パッケージを図 2.5.1.3.1-1b に示すとお

りに変更した。 • AD 患者を対象とした臨床試験は、AR 患者を対象とした用量反応試験で臨床推奨用量が定

まった後に実施する。 • 新たに AR 患者を対象とした長期投与試験を実施する。

b. 対面相談後

図 2.5.1.3.1-1 申請までの試験パッケージ

2.5.1.3.2 本剤の臨床試験 治験相談は実施していない。

申請

小児 AR 患者を 対象とした

二重盲検比較試験

小児 AD 患者を 対象とした

二重盲検比較試験

薬物動態試験

小児 AR 患者を 対象とした 長期投与試験

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CONFIDENTIAL - 15 -

2.5.1.4 申請を行う効能・効果、用法・用量

2.5.1.4.1 効能・効果 本申請の効能・効果は、「成人:アレルギー性鼻炎、蕁麻疹、皮膚疾患に伴う瘙痒(湿疹・

皮膚炎、痒疹、皮膚瘙痒症、尋常性乾癬、多形滲出性紅斑)、小児:アレルギー性鼻炎、蕁麻

疹、皮膚疾患(湿疹・皮膚炎、皮膚瘙痒症)に伴う瘙痒」とした。 健康成人男性を対象に本剤とアレロック®錠が生物学的に同等であることが示されたことか

ら、アレロック®錠で既に承認された成人の効能・効果と同様の効果が得られると考えられた。 小児は、7 歳以上の患者を対象とした小児アレロック®錠試験及び 2 歳以上 6 歳以下の患者を

対象とした本剤の臨床試験の対象疾患が AD 及び AR の 2 疾患であるが、以下の理由より本効

能・効果は妥当であると判断した。 アレルギー性鼻炎は、くしゃみ、水性鼻漏及び鼻閉を 3 主徴とする鼻粘膜のⅠ型アレルギー

性疾患と定義されている。好発時期の有無により「通年性」と「季節性」に分類されているが、

診断方法や治療方法で両者に大きな違いはない。季節性アレルギー性鼻炎は、花粉症に代表さ

れるが、花粉の飛散状況や飛散時期により鼻症状は大きく変動する。その一方、AR は、ダニや

ハウスダストが主な抗原であるため、季節的な影響を受けにくく鼻症状の変動も小さい。また、

2 歳以上の小児の有病率は、AR の方が高い。よって、アレルギー性鼻炎に対する評価は AR が

適していると考えた。 蕁麻疹及び皮膚疾患に伴う瘙痒に対し、中心的な役割を果たしている起因物質はヒスタミン

であり、オロパタジン塩酸塩の有するヒスタミン H1受容体拮抗作用等によって、これら疾患の

瘙痒を抑制することできると考えた。小児において、瘙痒を伴う代表的な皮膚疾患は AD であ

ることから、皮膚疾患に伴う瘙痒に対する評価は AD が適していると考えた。また、AD の瘙痒

に対し有効性が確認されることによって、蕁麻疹及び他の皮膚疾患に伴う瘙痒に対しても同様

な有効性が期待できると考えた。なお、成人では慢性蕁麻疹を対象とした比較試験を実施して

いるが、小児では患者が少なく実施は困難と考えた。

2.5.1.4.2 用法・用量 本申請の推奨用法・用量は、「通常、成人には 1 回オロパタジン塩酸塩として 5 mg(顆粒剤

として 1 g)を朝及び就寝前の 1 日 2 回経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。

通常、7 歳以上の小児には 1 回オロパタジン塩酸塩として 5 mg(顆粒剤として 1 g)を朝及び就

寝前の 1 日 2 回経口投与する。通常、2 歳以上 7 歳未満の小児には 1 回オロパタジン塩酸塩とし

て 2.5 mg(顆粒剤として 0.5 g)を朝及び就寝前の 1 日 2 回経口投与する。なお、体重が 20 kg以上の小児には、症状により 1 回オロパタジン塩酸塩として 5 mg(顆粒剤として 1 g)まで増

量することができる。」とした。 1) 成人に対する 1 回 5 mg 1 日 2 回の妥当性

本剤はアレロック®錠と生物学的に同等であることが示されたことから、本剤でもアレロッ

ク®錠で承認されている用法・用量と同様の有効性及び安全性が期待されると考えられた。よっ

て、本剤の成人における推奨用量は、オロパタジン塩酸塩として 1 回 5 mg(顆粒剤として 1 g)1 日 2 回であると考えられた。

2) 7 歳以上の小児に対する 1 回 5 mg 1 日 2 回の妥当性 本剤はアレロック®錠と生物学的に同等であることが示されたことから、アレロック®錠の 7

歳以上の小児を対象とした小児アレロック®錠試験で有効性及び安全性が検証された用法・用量

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アレロック顆粒 0.5% 2.5 臨床に関する概括評価

CONFIDENTIAL - 16 -

にて同様の有効性及び安全性が本剤でも期待されると考えられた。よって、用法・用量は、2010年 7 月に承認事項一部変更承認を取得したアレロック®錠の用法・用量に相当する 1 回オロパタ

ジン塩酸塩として 5 mg(顆粒剤として 1 g)1 日 2 回であると考えられた。 なお、本剤の試験にて 7 歳以上 12 歳以下の小児アレルギー患者 20 名に本剤 5 mg を投与した

ときの血漿中曝露量は、アレロック®錠で実施した 0420 試験と同様、成人被験者に本剤 5 mg を

投与したときに比べ高かったが、安全性では重症度で高度な有害事象の発現もなく、また、重

要な有害事象とした「肝機能異常」の発現も 1 名であり、安全性に大きな問題はないと考えら

れた。 3) 2 歳以上 6 歳以下の小児に対する 1 回 2.5 mg 1 日 2 回の妥当性

2 歳以上 6 歳以下の小児アレルギー患者 179 名に本剤 2.5 mg/回の 1 日 2 回が投与され、すべ

ての小児被験者を安全性評価対象及び有効性評価対象とした。 2 歳以上 6 歳以下の小児被験者に本剤 2.5 mg を投与したときの血漿中曝露量は、低体重の小

児被験者で高く、高体重の小児被験者で低くなる傾向があるものの、全体的には成人被験者に

本剤 5 mg を投与したときの曝露量と同様の値を示し、有効性及び安全性に影響を及ぼすほどの

違いではないと考えられた。 有効性では、投与 2 週後にすべての有効性評価項目で改善を示し、以降緩やかに減少を続け

るか又は投与 12 週間後まで減弱することなく安定していた。また、有効性が検証されている小

児アレロック®錠試験と比較可能である有効性評価項目では、G0804 試験のアトピー性皮膚炎の

程度及び瘙痒スコアの変化量は小児アレロック®錠試験と比較して小さかったが、AR の鼻局所

所見の変化量(G0603 試験及び G0804 試験)、AD に対する保護者の印象(G0603 試験及び G0804試験)及びアトピー性皮膚炎の程度の変化量(G0603 試験)は、小児アレロック®錠試験とほぼ

同様な値であった。 安全性では、重症度で高度な有害事象の発現はなく、重要な有害事象とした「傾眠」及び「肝

機能異常」の発現割合も 1%程度であり、長期投与による副作用の発現割合の増加や新たな有害

事象の発現は認められなかった。よって、薬物動態、有効性及び安全性の検討より、2 歳以上 6歳以下の小児における本剤の臨床推奨用量は、オロパタジン塩酸塩として 1 回 2.5 mg(顆粒剤

として 0.5 g)1 日 2 回であると考えられた。 4) 体重が 20 kg 以上の 2 歳以上 6 歳以下の小児に対する症状により適宜増量の妥当性

長期投与試験で、増量した小児被験者数は 8 名であり、2.5 mg/回から 3.75 mg/回が 5 名、2.5 mg/回から 5 mg/回が 3 名であった。

2 歳以上 6 歳以下の小児被験者に本剤の投与量を 5 mg に増量したときに推定される血漿中曝

露量を、7歳以上 12歳以下の小児被験者に 5 mg投与したときの血漿中曝露量と比較したところ、

体重 20 kg 未満の 2 歳以上 6 歳以下の小児被験者では 7 歳以上 12 歳以下の小児被験者の曝露量

を上回るものの、体重 20 kg 以上の 2 歳以上 6 歳以下の小児被験者ではほぼ同様の曝露量が得ら

れる可能性が示唆された。よって、2 歳以上 6 歳以下の小児では、体重が 20 kg 以上であれば、

症状により適宜 5 mg への増量が可能と考えられた。 なお、瘙痒スコア又は鼻の 3 主徴合計スコアの投与 12 週後/中止時の変化量は、増量時と比較

して減少(改善)が 3 名、不変が 3 名、増加(悪化)が 2 名であり、本剤との因果関係が否定

されなかった事象は「傾眠」のみであった。

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アレロック顆粒 0.5% 2.5 臨床に関する概括評価

CONFIDENTIAL - 17 -

2.5.2 生物薬剤学に関する概括評価

2.5.2.1 アレロック®錠 該当試験なし

2.5.2.2 アレロック®顆粒

2.5.2.2.1 KW-4679 顆粒(5 mg/包)1 包と KW-4679 5 mg 錠のバイオアベイラビリ

ティ比較試験(G0401 試験)(5.3.1.1-1) 健康成人男性(1 群 10 名、計 20 名)を対象として、KW-4679G(5 mg/包、開発段階処方)1

包及び KW-4679 5 mg 錠を絶食時に単回経口投与し、両製剤のバイオアベイラビリティを比較

した。 生物学的同等性の主要評価パラメータである Cmax及び AUC0-tについて、KW-4679 5 mg 錠に

対する KW-4679G の平均値の比の 90%信頼区間はそれぞれ 102.5~122.8 及び 98.0~105.0%と、

いずれも生物学的同等性の判定基準である 80~125%の範囲内であった。このことから、

KW-4679G(5 mg/包、開発段階処方)及び KW-4679 5 mg 錠は生物学的に同等であった。

2.5.2.2.2 溶出試験における同等性(3.2.P.2.2.1) G0401 試験で用いた KW-4679G(5 mg/包、開発段階処方)と KW-4679 5 mg 錠の溶出挙動の

同等性が確認された後、KW-4679G の開発段階処方の一部の成分の含有率を、わずかに変更し

申請処方とした。これらの変更水準は「経口固形製剤の処方変更の生物学的同等性試験ガイド

ライン」17)における B 水準であったことより、ガイドラインに従い、開発段階処方の製剤と申

請処方の製剤との溶出試験を実施した。その結果、両製剤の溶出挙動は同等であり、開発段階

処方の製剤と申請処方の製剤は生物学的に同等であるとみなした。

2.5.2.2.3 KW-4679G(5 mg/包)の申請処方製剤と KW-4679 5 mg 錠の生物学的同

等性 2.5.2.2.1及び2.5.2.2.2の結果より、KW-4679G の申請処方の製剤と KW-4679 5 mg 錠は生物学的

に同等と判断した。

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アレロック顆粒 0.5% 2.5 臨床に関する概括評価

CONFIDENTIAL - 18 -

2.5.3 臨床薬理に関する概括評価

2.5.3.1 アレロック®錠

2.5.3.1.1 小児における薬物動態(0420 試験)(5.3.3.2-1) 6~16 歳の小児アレルギー患者を対象として薬物動態試験を実施した。体重 20 kg 以上 40 kg

未満の被験者(6 名、体重 26.5±5.0 kg、年齢 8.5±2.3 歳:平均値±標準偏差値) に 2.5 mg 錠を、

体重 40 kg 以上の被験者(6 名、体重 48.1±6.1 kg、年齢 12.2±2.0 歳:平均値±標準偏差値)に 5 mg 錠を、いずれも 1 回 1 錠、1 日 2 回 7 日間及び 8 日目の朝に 1 回の計 15 回反復経口投与した。 初回投与後の血漿中 KW-4679 濃度は、投与後約 1 時間に Cmaxを示した後ほぼ一相性に消失し

た。2.5 mg 及び 5 mg 投与群の体重あたりの平均投与量は、それぞれ 0.097 及び 0.105 mg/kg とほ

ぼ同量であったが、2.5 mg 投与群の血漿中 KW-4679 濃度は 5 mg 投与群に比べて低く推移し、

2.5 mg 投与群の初回投与後の Cmax及び AUC0-12は 5 mg 投与群の 78.4%及び 64.0%であった。い

ずれの投与群においても反復投与による蓄積性は少なかった。初回投与後 12 時間までの

KW-4679 の尿中排泄率はいずれも投与量の約 60%であり、主排泄経路は尿中であった。

2.5.3.1.2 小児と成人の薬物動態の比較 0420 試験の 2.5 mg 投与群の血漿中 KW-4679 濃度を 5 mg 投与に用量補正し、更に健康成人で

の臨床第 I 相試験(試験番号:8901)及び生物学的同等性試験 2 試験(試験番号:DT-0201、G0401)の血漿中 KW-4679 濃度推移と比較した。小児の 0420 試験の 2.5 mg 投与群(5 mg に用量補正)、

5 mg 投与群、成人の 8901 試験の 5 mg 投与群、DT-0201 試験及び G0401 試験の 5 mg 投与群での

体重あたりの平均投与量は、それぞれ 0.194、0.105、0.086、0.082 mg/kg であった。この体重あ

たりの平均投与量は、小児の 2.5 mg 投与群(5 mg に用量補正)は成人に比べ 2.3~2.4 倍、小児

の 5 mg 投与群は成人に比べ 1.2~1.3 倍に相当したが、いずれも類似した血漿中 KW-4679 濃度

推移を示した。小児にアレロック®錠 5 mgを投与したときの Cmax及び AUC0-12は、それぞれ 81.57~127.9 ng/mL及び 228~292 ng·h/mLと推定され、KW-4679 の血漿中曝露量は成人に 5 mg を投

与したとき(Cmax:96.78~107.7 ng/mL、AUC0-12:240~282 ng·h/mL)と同程度であった(表 2.5.3.1.2-1参照)。

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アレロック顆粒 0.5% 2.5 臨床に関する概括評価

CONFIDENTIAL - 19 -

表 2.5.3.1.2-1 小児及び健康成人での KW-4679 の薬物動態パラメータ 0420 試験 8901 試験 DT-0201 試験 a)

G0401 試験 被験者数 6 6 6 6 40 対象 小児 小児 小児 成人 成人 投与量 (mg) 2.5 5 b) 5 5 5

体重あたりの 平均投与量 (mg/kg)

0.097 (0.07−0.12)

0.194 (0.15−0.25)

0.105 (0.09−0.12)

0.086 (0.08−0.09)

0.082 (0.07−0.10)

体重 (kg)

26.5 (20−34)

26.5 (20−34)

48.1 (40−57)

58.5 (55−62)

61.7 (52−75)

年齢 (歳)

8.5 (6−11)

8.5 (6−11)

12.2 (10−16)

22.3 (21−24)

23.1 (20−29)

tmax

(h) 1.03±0.06 1.03±0.06 1.33±0.52 1.00±0.32 0.86±0.40

Cmax

(ng/mL) 63.95±14.06 127.9±28.1 81.57±9.91 107.7±22.0 96.78±26.50

AUC0-12

(ng·h/mL) 146±21 292±42 228±20 282±50 240±43

a)1.13.2 医薬品製造承認事項一部変更承認に関わる資料「KW-467DT 5 mg錠と KW-4679 5 mg 錠の生物学的同等性試験」 b)2.5 mgを 5 mgに用量補正 平均値( 小値− 大値)又は平均値±標準偏差値

体重 20 kg 以上 40 kg 未満の小児(6~11 歳)、40 kg 以上の小児(10~16 歳)及び成人で、

体重あたりの CL/Fは、それぞれ 0.66、0.46 及び 0.31 L/h/kg、体重あたりの CLRはそれぞれ 0.39、0.29 及び 0.20 L/h/kg であり、低体重又は低年齢の小児ほど体重あたりの CL/F 及び CLRは大き

かった。血漿中 KW-4679 濃度推移の比較から小児と成人で消失相の半減期はほぼ同じと推定さ

れた。したがって、アレロック®錠 5 mg を投与した場合、特に低体重又は低年齢の小児で、体

重あたりの平均投与量が、高体重又は高年齢の小児又は成人に比べ 1.8~2.4 倍相当になるにも

かかわらず血漿中曝露量はほぼ同程度になる要因として、体重あたりの分布容積及びクリアラ

ンスが低体重又は低年齢の小児ほど大きいためと考えられた。

2.5.3.1.3 母集団薬物速度論的解析による小児の薬物動態(5.3.3.5-1) 小児被験者での臨床試験(0421 試験、0523 試験及び 0422 試験)では被験者あたり1~2 時点

の血漿中 KW-4679 濃度を測定し、NONMEM を用いた母集団薬物動態(PPK)解析により小児

での薬物動態を更に検討した。解析には 0420 試験及び健康成人での生物学的同等性試験 2 試験

(DT-0201 試験及び G0401 試験の標準製剤 5 mg 投与群)での血漿中 KW-4679 濃度も併合して

使用した。解析に用いた小児被験者数は 391 名、健康成人被験者数は 40 名、総時点数は 885 時

点で、このうち、小児 485 時点、健康成人 400 時点であった。 各被験者の Cmax及び AUC0-12をベイズ法により推定し、それぞれ年齢との関係を検討した。

その結果、小児被験者にアレロック®錠を 2.5 mg 投与したときの Cmax の平均値は 7 歳で 46.2 ng/mL、16 歳で 43.8 ng/mLであり、健康成人被験者に 5 mg 投与したときの Cmax(84.8 ng/mL)に比べ、それぞれ 46 及び 48%低かった。AUC0-12の平均値は 7 歳で 200 ng·h/mL、16 歳で 125 ng·h/mLであり、健康成人被験者に 5 mg 投与したときの AUC0-12(240 ng·h/mL )に比べ、それ

ぞれ 16 及び 48%低かった。一方、小児被験者にアレロック®錠を 5 mg 投与したときの Cmaxの

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アレロック顆粒 0.5% 2.5 臨床に関する概括評価

CONFIDENTIAL - 20 -

平均値は 7 歳で 91.4 ng/mL、16 歳で 89.6 ng/mLであり、健康成人被験者に 5 mg 投与したときに

比べ、いずれの年齢でも同等であった。AUC0-12 の平均値は 7 歳で 366 ng·h/mL、16 歳で 279 ng·h/mLであり、健康成人被験者に 5 mg投与したときに比べ、それぞれ 52及び 16%大きかった。

これらの解析結果から、小児被験者にアレロック®錠を 2.5 mg 投与したときの血漿中曝露量は、

成人被験者に 5 mg 投与したときに比べ低いものの、5 mg 投与したときは成人被験者の曝露量

を上回る可能性が示唆された。

2.5.3.2 アレロック®顆粒

2.5.3.2.1 小児における薬物動態(G0502 試験)(5.3.3.2-4) 2 歳以上 6 歳以下の小児アレルギー患者(体重 10 kg 以上)を対象として実施した。ステップ

1 では本剤 1.25 mg/回を、ステップ 2 では 2.5 mg/回を、いずれも 1 日 2 回 7 日間及び 8 日目の朝

に 1 回の計 15 回反復経口投与した。各小児被験者とも初回及び 8 日目投与後 1 及び 4 時間の血

漿中濃度を測定し、小児における薬物動態を各ステップ 5 名で検討した。 初回投与後 1 及び 4 時間、8 日目投与後 1 及び 4 時間の平均血漿中 KW-4679 濃度は、投与量

の増量に伴い増加することが示された。また、初回投与後と 8 日目投与後の 1 及び 4 時間の血

漿中 KW-4679 濃度から算出された蓄積率は 0.9~1.4 であり、いずれの投与量においても反復投

与による血漿中 KW-4679 濃度の蓄積性は少ないと考えられた。

2.5.3.2.2 小児と成人の薬物動態の比較 G0502 試験(2 歳以上 6 歳以下の小児被験者へ本剤を 2.5 mg 投与)、G0603 試験(2 歳以上 6

歳以下の小児被験者へ本剤を 2.5 mg 投与)、G0401 試験(健康成人被験者へ本剤を 5 mg 投与)

及び 0420試験(6歳以上 11歳以下の小児被験者へ KW-4679錠を 2.5 mg投与)の血漿中 KW-4679濃度推移を比較した(表 2.5.3.2.2-1)。

G0502 試験の 2 歳以上 6 歳以下の小児被験者で得られた投与後 1 及び 4 時間の血漿中濃度よ

り、2 歳以上 6 歳以下の小児被験者では投与初期の消失が 6 歳以上 11 歳以下の小児被験者や成

人被験者に比べ速かった。また、投与 4 時間後以降の血漿中 KW-4679 濃度を測定していなかっ

たことより、その後の血漿中 KW-4679 濃度推移の推定が困難であった。G0603 試験では G0502試験に比べ採血時点を多くし、2 歳以上 6 歳以下の小児被験者での薬物動態を詳細に検討した。

その結果、2 歳以上 6 歳以下の小児被験者に本剤を 2.5 mg 投与したときの血漿中 KW-4679 濃度

は、成人被験者に 5 mg 投与したときとほぼ同様であったが、成人被験者に比べ個体間変動が大

きかった。小児被験者での薬物動態を年齢別(2 歳以上 6 歳以下)又は体重別(体重 15 kg 未満、

15 kg 以上 20 kg 未満、20 kg 以上)に成人被験者と比較し、個体間変動の要因を検討した。 年齢別では 2 歳以上 3 歳以下の小児被験者の血漿中 KW-4679 濃度推移は成人被験者に 5 mg

投与したときとほぼ同様であったが、4 歳以上 6 歳以下の小児被験者での濃度推移は成人被験者

と比較して若干低値を示した。体重別では、15 kg 未満の小児被験者の濃度推移は成人被験者に

5 mg 投与したときとほぼ同様であったが、15 kg 以上 20 kg 未満及び 20 kg 以上の小児被験者で

の濃度推移は成人被験者と比較して少し低い傾向を示した。これらのことから、2 歳以上 6 歳以

下の小児被験者での薬物動態の個体間変動の要因として、年齢又は体重が関与していることが

推察された。

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アレロック顆粒 0.5% 2.5 臨床に関する概括評価

CONFIDENTIAL - 21 -

表 2.5.3.2.2-1 小児被験者及び健康成人被験者での血漿中 KW-4679 濃度 試験 G0502 試験 G0603 試験 0420 試験 G0401 試験 対象 小児 小児 小児 成人

被験者数 (名)

5 91 (46,46,44,45)a)

6 20

投与量 (mg/回)

2.5 2.5 2.5 5

体重(kg) (範囲)

15.12±2.21 (12.1~18.3)

18.12±3.07 (11.4~26.8)

26.53±4.97 (20.4~34.2)

62.23±6.23 (52.3~75.1)

年齢(歳) (範囲)

3.6±1.5 (2~6)

4.5±1.2 (2~6)

8.5±2.3 (6~11)

23.6±2.2 (20~27)

採血時点 血漿中 KW-4679 濃度(ng/mL) 1 時間後 138.98±26.30 58.61±25.82 63.95±14.06 82.51±14.16 4 時間後 11.68±5.00 18.70±8.48 8.84±0.55 21.02±3.98 8 時間後 - 3.556±1.831 1.23±0.17 5.96±1.68

12 時間後 - 2.394±0.855 0.47±0.07 1.73±0.53 平均値±標準偏差値 a)左から順に、1、4、8及び 12時間後のデータ数

2.5.3.2.3 母集団薬物速度論的解析による小児の薬物動態(5.3.3.5-2) 小児被験者での臨床試験(G0502、G0603 及び G0804 試験)で得られた血漿中 KW-4679 濃度

と健康成人被験者でのバイオアベイラビリティ比較試験(G0401 試験)の本剤投与時の血漿中

KW-4679 濃度を併合し、NONMEM を用いた PPK解析により小児被験者での薬物動態を詳細に

検討した。解析に用いた被験者数は 203 名(2~6 歳:183 名、7~12 歳:20 名)、健康成人被

験者数は 20 名、総時点数は 614 時点(2~6 歳:375 時点、7~12 歳:39 時点、健康成人:200時点)であった。

1 次吸収過程のある 1 コンパートメントモデルを用い、PPK パラメータとして ka、V/F 及び

CL/Fを算出した。個体間変動には指数誤差モデル、個体内変動には混合誤差モデルを使用した。

薬物動態パラメータ(V/F 及び CL/F)に対する共変量として年齢、体重、体表面積及び血漿中

クレアチニン濃度を検討したところ、体重及び血漿中クレアチニン濃度が CL/Fに対して有意な

共変量であった。V/Fに対して有意な共変量はなかった。 2.7.2.2.2.2 の検討で、小児被験者での薬物動態の変動要因として、年齢及び体重が推定された

が、PPK 解析により本剤の小児被験者での薬物動態に影響を与える因子として体重が抽出され

た。そこで、 終モデルを用いて 2 歳以上 6 歳以下の小児被験者には本剤を 2.5 mg、7 歳以上

12歳以下の小児被験者及び成人被験者には本剤を 5 mg投与したときのCmax及びAUC0-12をベイ

ズ法により推定し、それぞれ体重との関係を検討した。2 歳以上 6 歳以下の小児被験者に本剤を

2.5 mg 投与したときの Cmaxの平均値は、15 kg 未満、15 kg 以上 20 kg 未満及び 20 kg 以上の体重

別でそれぞれ 86.5、76.0 及び 66.9 ng/mLであり、高体重の小児被験者ほど低くなる傾向が認め

られた。また、これら体重別の Cmaxは健康成人被験者に 5 mg 投与したときの Cmaxの平均値(86.7 ng/mL)と比べ、それぞれ 1.00、0.88 及び 0.77 倍であり、15 kg 未満の小児被験者に 2.5 mg 投与

したとき Cmaxの平均値は健康成人被験者に 5 mg 投与したときと同程度の値を示したものの、15 kg 以上の小児被験者では体重の増加に伴い低くなる傾向が認められた。一方、7 歳以上 12 歳以

下の小児被験者に本剤を 5 mg 投与したときの Cmaxの平均値は 121 ng/mLであり、健康成人被験

者に 5 mg 投与したときの Cmaxの平均値に比べ 1.40 倍と高い値を示した。

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アレロック顆粒 0.5% 2.5 臨床に関する概括評価

CONFIDENTIAL - 22 -

同様に、小児被験者に本剤を 2.5 mg 投与したときの AUC0-12の各体重区分での平均値はそれ

ぞれ 293、249及び 208 ng・h/mLであり、高体重の小児被験者ほど小さくなる傾向が認められた。

また、これら体重別の AUC0-12は健康成人被験者に 5 mg 投与したときの AUC0-12の平均値(242 ng・h/mL)に比べ、それぞれ 1.21、1.03 及び 0.86 倍であり、20 kg 未満の小児被験者では健康成

人被験者に 5 mg 投与したときと同程度又はそれを若干上回る値を示したが、20 kg 以上の小児

被験者では健康成人被験者よりも若干低い値を示した。一方、7 歳以上 12 歳以下の小児被験者

に本剤を 5 mg 投与したときの AUC0-12の平均値は 362 ng・h/mLであり、健康成人被験者に 5 mg投与したときの AUC0-12の平均値に比べ 1.50 倍と高い値を示した。 これらの結果から、2 歳以上 6 歳以下の小児被験者に本剤 2.5 mg を投与したときの血漿中曝

露量は、低体重の小児で高く、高体重の小児で低くなる傾向があるものの、全体的には成人被

験者に 5 mg 投与したときの曝露量と同様の値を示し、有効性及び安全性に及ぼす程度の違いと

は考えられず、2 歳以上 6 歳以下の小児に対する本剤の推奨用量・用法は 2.5 mg/回の 1 日 2 回

が妥当と考えた。

2.5.3.2.4 小児における用法・用量設定の考察 今回の PPK解析に用いた小児被験者については有効性及び安全性に体重の影響は認められな

かったが、高体重の小児被験者への 2.5 mg 投与は成人被験者に 5 mg を投与したときの曝露量

を下回る可能性があり、十分な臨床効果が得られない場合も考えられた。そこで、本剤 2.5 mgを投与した 2 歳以上 6 歳以下の小児被験者のうち、血漿中曝露量が低い傾向を示した高体重の

小児被験者について、投与量を増量した場合の安全性を血漿中曝露量の観点から考察した。 2 歳以上 6 歳以下の小児被験者に本剤を 5 mg 投与した場合について、体重別の血漿中曝露量

を 終モデルから推定し、安全性が確認できている 7 歳以上 12 歳以下の小児被験者(G0804 試

験、5 mg 投与)の血漿中曝露量と比較した。体重 15 kg 未満及び 15 kg 以上 20 kg 未満の小児被

験者に本剤を 5 mg 投与したときの Cmaxは 7 歳以上 12 歳以下の小児被験者と比較し、それぞれ

1.43 及び 1.26 倍と高い値を示したが、体重 20 kg 以上の小児被験者の Cmaxは 7 歳以上 12 歳以下

の小児被験者の 1.11 倍とほぼ同様な値を示した。また、体重 15 kg 未満及び 15 kg 以上 20 kg 未

満の小児被験者の AUC0-12は 7 歳以上 12 歳以下の小児被験者と比較し、それぞれ 1.61 及び 1.37倍と高い値を示し、体重 20 kg 以上の小児被験者に本剤を 5 mg 投与したときの AUC0-12は 7 歳

以上 12 歳以下の小児被験者に 5 mg 投与したときと比較し 1.15 倍と、若干高い値を示した。 これらの結果から、2 歳以上 6 歳以下の小児被験者において本剤の投与量を 5 mg に増量した

場合に推定される血漿中曝露量を、安全性が確認できている 7 歳以上 12 歳以下の小児被験者に

5 mg 投与したときの血漿中曝露量と比較したところ、体重 20 kg 未満の小児被験者では 7 歳以

上 12 歳以下の小児被験者の曝露量を上回るものの、体重 20 kg 以上の小児被験者では AUC0-12

が若干高い値を示す程度でほぼ同様の曝露量が得られる可能性が示唆された。したがって、2歳以上 6 歳以下の小児において体重が 20 kg 以上であれば、症状により適宜 5 mg への増量が可

能と考えられた。

2.5.4 有効性の概括評価 既に国内においてアレロック®錠 2.5 及び 5 で成人のアレルギー性鼻炎、蕁麻疹及び瘙痒性皮

膚疾患に対して医薬品製造承認を取得している。また、7 歳以上の小児患者を対象とした小児

アレロック®錠試験では、プラセボを対照薬とした二重盲検比較試験(0421 試験)及びケトチ

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アレロック顆粒 0.5% 2.5 臨床に関する概括評価

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フェンフマル酸塩ドライシロップを対照薬とした二重盲検比較試験(0422 試験)にて、アレロ

ック®錠のプラセボに対する優越性及びケトチフェンフマル酸塩に対する非劣性が確認された。 2.5.2.2.1に示したように、本剤とアレロック®錠が生物学的に同等であることが示されたこと

より、成人及び 7 歳以上の小児に対する本剤の有効性はアレロック®錠と同様であると考えられ

た。 2 歳以上 6 歳以下の有効性は本剤の臨床試験の 2 試験(G0603 及び G0804 試験)にて検討し、

すべての有効性評価項目で改善を示し、投与 12 週間後まで減弱することなく安定していた。 また、本剤の試験と同一の評価指標を用いた小児アレロック®錠試験の成績と比較した結果、

G0804 試験のアトピー性皮膚炎の程度及び瘙痒スコアの変化量は小児アレロック®錠試験と比

較して小さかったが、AR の鼻局所所見の変化量(G0603 及び G0804 試験)、AD に対する保護

者の印象(G0603 及び G0804 試験)及びアトピー性皮膚炎の程度の変化量(G0603 試験)は、

小児アレロック®錠試験とほぼ同様な値であった。

2.5.4.1 アレルギー性鼻炎(5.3.3.2-6, 5.3.5.1-1, 5.3.5.2-1, 5.3.5.2-3) 7 歳以上の小児患者を対象とした小児アレロック®錠試験では、小児 AR 患者を対象とした二

重盲検比較試験(0421 試験)及び長期投与試験(0523 試験)にて AR に対する有効性を検討し

た。また、2 歳以上 6 歳以下の小児 AR 患者を対象とした本剤の臨床試験では、G0603 及び G0804試験の 2 試験にて AR に対する有効性を検討し、これら 2 試験の結果と AR に対するプラセボと

の優越性が示されている小児アレロック®錠試験(0421 試験)の 1 回 5 mg 1 日 2 回の成績を比

較検討した。

2.5.4.1.1 臨床試験デザイン

2.5.4.1.1.1 7 歳以上の小児を対象とした臨床試験(アレロック®錠) (5.3.5.1-1, 5.3.5.2-1)

0421 試験は、用量反応性及びプラセボに対する優越性の確認を目的とした二重盲検比較試験

とした。一方、0523 試験は、長期投与試験であることから対照薬を設定せず非盲検試験とした。 AR の診断は、両試験とも「鼻アレルギー診療ガイドライン 2002 年度版(改訂第 4 版)」18)

に従った。また、観察期間の鼻の 3 主徴(くしゃみ、鼻汁、鼻閉)合計スコアに関する基準を

設け、鼻症状を有する被験者を組み入れるようにした。更に、0421 試験では観察期間の鼻汁ス

コアに関する組入れ基準を加え、観察期間中に全被験者に対してプラセボを単盲検下で投与し、

アレロック®錠の薬効評価が十分に行える鼻症状を有する被験者が、アレロック®錠又はプラセ

ボを投与する期間(二重盲検期間)に移行できるようにした。 試験期間は、0421 試験では観察期間を 7 日間、二重盲検期間を 14 日間に、0523 試験では観

察期間を 7 日間、治験薬投与期間を 12 週間に設定した。 投与量は、0421 試験では高用量を 5 mg 1 日 2 回とし、公比 2 で設定した 2.5 mg 1 日 2 回の低

用量及びプラセボからなる 3 群間並行比較試験とした。0523 試験も同様に 1 回 5 mg 1 日 2 回で

設定することを考えたが、小児被験者に対して初めてアレロック®錠を長期投与する試験である

ことから、安全性に配慮し、体重区分別に投与量を設定した。つまり、高体重(体重 30 kg 以

上)の被験者には、初回から 1 回 5 mg 1 日 2 回で投与し、低体重(体重 20 kg 以上 30 kg 未満)

の被験者には 1 回 2.5 mg 1 日 2 回から投与を開始し、投与 6 週後来院時の 3 主徴合計スコアに

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アレロック顆粒 0.5% 2.5 臨床に関する概括評価

CONFIDENTIAL - 24 -

変化がなく、安全性上問題がないと治験責任医師が判断した場合は 1 回 5 mg に増量できる規定

を設けた。 有効性の主要評価項目は、0421 試験で「鼻の 3 主徴(くしゃみ、鼻汁、鼻閉)合計スコアの

観察期からの変化量」、副次的評価項目として、「各鼻症状(くしゃみ、鼻汁、鼻閉、日常生

活の支障度)の個別スコアの変化量」、「鼻局所所見の個別スコアの変化量」、「重症度スコ

アの変化量」を設定した。0523 試験は、副次的評価項目として 0421 試験と同様に「鼻の 3 主徴

(くしゃみ、鼻汁、鼻閉)合計スコアの観察期からの変化量」、「各鼻症状(くしゃみ、鼻汁、

鼻閉)の個別スコアの変化量」、「鼻局所所見の個別スコアの変化量」、「重症度スコアの変

化量」、「日常生活への支障度(勉強、睡眠、外出)の変化量」、「患者の印象」を設定した。

2.5.4.1.1.2 2歳以上 6歳以下の小児を対象とした臨床試験(アレロック®顆粒 0.5%) (5.3.3.2-6, 5.3.5.2-3)

G0603 試験は薬物動態にて本剤の臨床推奨用量を検討することが主な目的であり、また、

G0804 試験は本剤の長期投与時の安全性を確認することが主な目的であったため、副次的に有

効性を評価することとした。よって、可能な限り G0603 試験及び G0804 試験の有効性評価項目

を、プラセボに対する優越性が確認されている 0421 試験に揃えることとした。 G0603 試験の有効性評価項目は、「保護者の印象(くしゃみ、鼻水及び鼻づまりの鼻症状)」

及び「鼻局所所見の個別スコアの治験薬投与開始前からの変化量」を設定した。G0804 試験で

は、G0603 試験と同じ「保護者の印象」及び「鼻局所所見の個別スコアの変化量」の他に、類

薬で広く用いられている「鼻の 3 主徴(くしゃみ発作、鼻汁、鼻閉)スコアの治験薬投与開始

前からの変化」を設定した。 投与量は、両試験とも 2.5 mg/回であり、いずれも非盲検非対照試験で実施した。また、AR

の診断は「鼻アレルギー診療ガイドライン 2005 年度版(改訂第 5 版)」19)に従った。 投与期間は G0603 及び 0421 試験は 2 週間、G0804 試験は 12 週間とした。

2.5.4.1.2 有効性の全般的結果

2.5.4.1.2.1 7 歳以上の小児を対象とした臨床試験(アレロック®錠) 0421 試験では 302 名が無作為化され、そのうち未投与の 1 名、有効性評価未観察の 1 名を除

いた 300 名を有効性評価の主たる解析対象である FAS とした。その内訳は、プラセボ群 97 名、

2.5 mg 群 103 名、5 mg 群 100 名であった。有効性の解析では、主たる解析時点を 終評価時(投

与 2 週後、投与 2 週後が欠測の場合は投与 1 週後)とした。 主要評価項目である鼻の 3 主徴(くしゃみ、鼻汁、鼻閉)合計スコアの観察期からの変化量

について、観察期の鼻の 3 主徴合計スコアを共変量とした共分散分析を実施し、この共分散分

析モデルのもとで推定された各投与群の 小二乗平均値に対する Williams 検定を行った。その

結果、 終評価時における鼻の 3 主徴合計スコアの観察期からの変化量は、各群の 小二乗平

均値がプラセボ群(−0.88)> 2.5 mg 群(−0.95)> 5 mg 群(−1.38)であり、Williams 検定で想定

されている各群の平均についての単調性が成立していた。5 mg 群とプラセボ群の 小二乗平均

値の差(プラセボ群−5 mg 群)は 0.51(95%信頼区間:0.04~0.98)、Williams 検定の p 値は 0.019であり、5 mg 群ではプラセボ群に比して有意に鼻の 3 主徴合計スコアを減少させることが証明

された。一方、2.5 mg 群とプラセボ群の 小二乗平均値の差(プラセボ群−2.5 mg 群 )は 0.08(95%信頼区間:−0.39~0.54)、p 値は 0.375 であり、2.5 mg 群とプラセボ群に有意な差は認め

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アレロック顆粒 0.5% 2.5 臨床に関する概括評価

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られなかった。以上より、 終評価時における鼻の 3 主徴合計スコアの観察期からの変化量で

は 5 mg 群がプラセボ群より有意に改善したことが示された。 0421 試験と 0523 試験の「鼻の 3 主徴(くしゃみ、鼻汁、鼻閉)合計スコアの変化量」及び「各

鼻症状(くしゃみ、鼻汁、鼻閉)の個別スコアの変化量」を投与 2 週後のデータで比較検討し

た。その結果、0421 試験で臨床推奨用量であることが証明された 5 mg の有効性は、0523 試験

でもすべての評価項目で再現された。

2.5.4.1.2.2 2歳以上 6歳以下の小児を対象とした臨床試験(アレロック®顆粒 0.5%) 各試験の有効性評価対象被験者数は、G0603 試験で 42 名、G0804 試験で 45 名であった。G0603

試験及び 0421 試験は投与 2 週後(又は中止時)、G0804 試験は投与 2 週後及び投与 12 週後(又

は中止時)の有効性の結果を記載した。なお、0421 試験との比較は、投与期間及び試験デザイ

ンがそれぞれ異なるものの、3 試験で共通している投与 2 週後の結果を用いて実施した。 1)保護者の印象

投与前と比較した各評価時期の保護者の印象(くしゃみ、鼻水及び鼻づまりの鼻症状)が 2点以上(4 点:とても良くなった、3 点:良くなった、2 点:少し良くなった)の小児被験者の

割合は、G0603 試験の投与 2 週後で 81.0%、G0804 試験の投与 2 週後及び投与 12 週後で 80.0 及

び 97.8%であり、G0603 試験及び G0804 試験ともほぼ同様な結果であった。 2)鼻局所所見の個別スコアの変化量

投与前と比較した各評価時期の鼻局所所見(下鼻甲介粘膜の腫脹、下鼻甲介粘膜の色調、水

性分泌量及び鼻汁の性状)の変化量は、各所見とも G0603 試験の投与 2 週後で−0.5~−0.7、G0804試験の投与 2 週後及び投与 12 週後で−0.4~−0.6 及び−0.6~−1.2 であった。0421 試験の投与 2 週

後の変化量は、−0.4~−0.6 であり、G0603 試験及び G0804 試験ともほぼ同様な結果であった。 3)鼻の 3 主徴合計スコア

投与前と比較した投与 2週後及び投与 12 週後の鼻の 3 主徴合計スコアの各評価時期 3日間平

均値の変化量(平均値±標準偏差値)は、G0804 試験で−1.19±1.70 及び−2.32±1.81 であり、投与

6 週後まで経時的に減少し、その後 12 週後まで減弱することなく安定していた。 なお、0421 試験では鼻の 3 主徴合計スコアを「鼻アレルギー診療ガイドライン 2002 年度版(改

訂第 4 版)」18)を参考に設定したが、G0804 試験では 2 歳以上 6 歳以下の被験者にくしゃみ発作

の回数及び鼻をかむ回数を正確に記録することは困難と考え、被験者の保護者が客観的に評価

することができる FDA ガイダンス案「Allergic Rhinitis: Clinical Development Programs for Drug Products」20)に基づいて評価した。よって、両試験とも日誌による鼻の 3 主徴合計スコアを評価

しているが、評価方法が異なるため比較検討はできなかった。

2.5.4.2 皮膚疾患に伴う瘙痒(5.3.3.2-6, 5.3.5.1-3, 5.3.5.2-3) 7 歳以上の小児患者を対象とした小児アレロック®錠試験では、小児 AD 患者を対象にケトチ

フェンフマル酸塩ドライシロップを対照薬として、ケトチフェンフマル酸塩ドライシロップに

対する非劣性を検証する二重盲検比較試験(0422 試験)にて、皮膚疾患に伴う瘙痒に対する有

効性を検討した。また、2 歳以上の 6 歳以下の小児患者を対象とした本剤の臨床試験では、G0603及び G0804 試験の 2 試験の結果にて AD に対する有効性を検討し、これら 2 試験の結果と ADに対するケトチフェンフマル酸塩との非劣性が検証されている小児アレロック®錠試験(0422試験)の 1 回 5 mg1日 2 回の成績を比較検討した。

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アレロック顆粒 0.5% 2.5 臨床に関する概括評価

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2.5.4.2.1 臨床試験デザイン

2.5.4.2.1.1 7 歳以上の小児を対象とした臨床試験(アレロック®錠)(5.3.5.1-3) 7 歳以上 16 歳以下の小児 AD 患者を対象に、ケトチフェンフマル酸塩ドライシロップを対照

薬として、ケトチフェンフマル酸塩ドライシロップに対する非劣性を検証する二重盲検比較試

験(0422 試験)を設定した。ケトチフェンフマル酸塩ドライシロップは小児で湿疹・皮膚炎、

蕁麻疹、皮膚瘙痒症の適応を持ち、小児の代表的な瘙痒性皮膚疾患である AD の瘙痒に対し汎

用され有用性が確立されている薬剤である。また、国内で実施された同種同効薬の二重盲検比

較試験において対照薬として選定されることが多く、本領域の標準的な治療薬として評価され

ていること、更に薬理作用がアレロック®錠と類似していることから対照薬として選定した。ま

た、治験期間中の AD の治療薬剤に 軟膏(一般名:ヒドロコルチゾン酪酸エステル)

を基本外用薬として設定した。

AD の診断は、日本皮膚科学会「アトピー性皮膚炎の定義・診断基準(日本皮膚科学会)」21)

に準じた。瘙痒スコアは、日中と夜間のうち高い方のスコアが「軽度」以上の被験者のみを組

入れ可能とした。なお、瘙痒スコアの評価部位は、顔面及び頭頸部以外の部位とした。 試験期間は、観察期間を 7 日間、治験薬投与期間を 14 日間に設定した。観察期間は、基本外

用薬である 軟膏を塗布した。 投与量は、小児 AR患者を対象に実施した用量反応試験の結果から 1回 5 mg 1 日 2 回とした。

なお、ケトチフェンフマル酸塩ドライシロップは、承認されている 7 歳以上の用法・用量に基

づき 1 回 1 g(ケトチフェンとして 1 mg)を 1 日 2 回投与することとした。 有効性の主要評価項目は「瘙痒スコアの治験薬投与前からの変化」、副次的評価項目として、

「アトピー性皮膚炎の程度の治験薬投与前からの変化」、「瘙痒に対する印象」を設定した。 主要評価項目の非劣性仮説は、投与群間差(KW-4679 群−ケトチフェンフマル酸塩群)の両

側 95%信頼区間の上限が同等限界(非劣性マージン)として設定した 0.4 を超えないことによ

って検証した。 非劣性マージンの設定根拠には、アレロック®錠の成人患者を対象にした瘙痒性皮膚疾患に対

する第Ⅲ相一般臨床試験を参考とした。当該試験で治験薬投与前及び治験薬投与 2 週後の瘙痒

の程度が判定された AD患者 42 名の瘙痒スコア変化量平均値は 1.79、標準偏差値は 1.20 であっ

た。主要評価項目である瘙痒スコアは 0 から 4 の整数値でスコア化されるため、1 段階のスコア

の違いが識別できない範囲は±0.5 とみなすことができることから 0.5 を臨床的に等しいと考え

られる 大限の範囲と考えた。また、データが正規分布に従っているときの非劣性マージンの

考え方の 1 つとして標準偏差の 3 分の 1 がある22,23)。この考えを上記データに適用すると、非劣

性マージンとして 1.20/3=0.4 が考えられた。本治験では、より厳しい方を採用することとして、

0.4 を非劣性マージンとして設定した。

2.5.4.2.1.2 2歳以上 6歳以下の小児を対象とした臨床試験(アレロック®顆粒 0.5%) (5.3.3.2-6, 5.3.5.2-3)

G0603 試験は薬物動態にて本剤の臨床推奨用量を検討することが主な目的であり、また、

G0804 試験は本剤の長期投与時の安全性を確認することが主な目的であったため、副次的に有

効性を評価することとした。よって、可能な限り G0603 試験及び G0804 試験の有効性評価項目

を、ケトチフェンフマル酸塩に対する非劣性が確認された 0422 試験に揃えることとした。

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アレロック顆粒 0.5% 2.5 臨床に関する概括評価

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G0603 試験の有効性評価項目は、「保護者の印象(瘙痒)」と医師所見の「アトピー性皮膚

炎の程度の治験薬投与前からの変化」を設定した。G0804 試験では、G0603 試験と同様の「保

護者の印象(瘙痒)」及び医師所見の「アトピー性皮膚炎の程度の治験薬投与前からの変化」

の他に、0422 試験で用いた客観的に被験者の保護者が評価することができ、類薬で広く用いら

れている「患者日記(瘙痒スコア)の治験薬投与前からの変化」を設定した。 投与量は、両試験とも 2.5 mg/回であり、いずれも非盲検非対照試験で実施した。また、AD

の診断は、「アトピー性皮膚炎の定義・診療基準(日本皮膚科学会)」21)に準じた。 投与期間は G0603 及び 0422 試験は 2 週間、G0804 試験は 12 週間とした。

2.5.4.2.2 有効性の全般的結果

2.5.4.2.2.1 7 歳以上の小児を対象とした臨床試験(アレロック®錠) 0422 試験は 305 名が無作為化され、すべての被験者を有効性評価の主たる解析対象である

FAS とした。その内訳は KW-4679 群 152 名、ケトチフェンフマル酸塩群 153 名であった。 主要評価項目である 終評価時における瘙痒スコアの治験薬投与前からの変化量について、

治験薬投与前値を共変量とした共分散分析で解析した結果、KW-4679 群とケトチフェンフマル

酸塩群の 小二乗平均値の差(KW-4679 群−ケトチフェンフマル酸塩群)は−0.08(95%信頼区

間:−0.25~0.09)で、投与群間差の両側 95%信頼区間の上限が同等限界として事前に設定した

0.4 を超えておらず、KW-4679 群のケトチフェンフマル酸塩群に対する非劣性が証明された。

2.5.4.2.2.2 2歳以上 6歳以下の小児を対象とした臨床試験(アレロック®顆粒 0.5%) 各試験の有効性評価対象被験者数は、G0603 試験で 49 名、G0804 試験で 38 名であった。G0603

及び 0422 試験は投与 2 週後(又は中止時)、G0804 試験は投与 2 週後及び投与 12 週後(又は

中止時)の有効性の結果を記載した。なお、0422 試験との比較は、投与期間及び試験デザイン

がそれぞれ異なるものの、3 試験で共通している投与 2 週後の結果を用いて実施した。 1)保護者の印象

投与前と比較した各評価時期の保護者の印象(瘙痒)が 2 点以上(4 点:とても良くなった、

3 点:良くなった、2 点:少し良くなった)の小児被験者の割合は、G0603 試験の投与 2 週後で

91.8%、G0804 試験の投与 2 週後及び投与 12 週後で 92.1 及び 94.7%であった。0422試験の投与

2 週後の割合は 94.1%であり、G0603 試験及び G0804 試験とほぼ同様な結果であった。 2)アトピー性皮膚炎の程度

投与前と比較した各評価時期の顔面及び頭頸部以外のアトピー性皮膚炎の程度の変化量(平

均値±標準偏差値)は、G0603 試験の投与 2 週後で−0.8±0.6、G0804 試験の投与 2 週後及び投与

12 週後で−0.2±0.6 及び−0.7±0.7 であった。0422 試験の投与 2 週後の変化量は−0.9±0.6 であり、

G0603試験の変化量はほぼ同様であったが、G0804試験の変化量は 0422試験に比べ小さかった。 3)瘙痒スコア

投与前と比較した各評価時期の顔面及び頭頸部以外の部位の瘙痒に対する各評価時期 3 日間

の瘙痒スコアの平均値の変化量(平均値±標準偏差値)は、G0804 試験の投与 2 週後及び投与 12週後で−0.43±0.58 及び−1.02±0.83 であり、投与 6 週後まで経時的に減少し、投与 12 週後まで減

弱することなく安定していた。0422 試験の投与 2 週後の変化量は−0.79±0.84 であり、G0804 試

験の変化量は 0422 試験に比べ小さかった。

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アレロック顆粒 0.5% 2.5 臨床に関する概括評価

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2.5.4.2.3 長期投与における効果の持続(5.3.5.2-1, 5.3.5.2-3) 7 歳以上の小児における効果の持続は、アレロック®錠を 12 週間投与した際の AR を対象とし

た長期投与試験(0523 試験)で確認した。 有効性解析対象被験者は 50 名で、有効性評価項目である「鼻の 3 主徴合計スコア」は、アレ

ロック®錠の投与 2 週後より、体重区分に関係なくスコアが減少し、その効果は投与 12 週後ま

での各来院日で認め、アレロック®錠の効果が持続することを確認した。 2 歳以上 6 歳以下の小児における効果の持続は、本剤を 12 週間投与した際の小児 AD 患者及

び小児 AR 患者を対象とした長期投与試験(G0804 試験)で確認した。 投与 12 週後(又は中止時)の保護者の印象が 2 点以上の小児被験者の割合は 96.4%であった。

また、医師所見の変化(アトピー性皮膚炎の程度及び鼻局所所見)及び患者日記(瘙痒スコア

及び鼻の 3 主徴合計スコア)のそれぞれの投与前からの変化量は、投与 2 週後に減少した後、

緩やかに減少を続けるか又は投与 12 週後まで減弱することなく安定していた。

2.5.4.2.4 増量した小児被験者の有効性 G0804 試験では、2 歳以上 6 歳以下を対象に体重が 15 kg 以上の小児被験者に対して増量でき

る規定を設けて、増量時の有効性を検討した。増量した小児被験者 8 名の瘙痒スコア又は鼻の

3 主徴合計スコアの投与 12 週後/中止時のスコアは、増量時と比較して減少(改善)が 3 名、不

変が 3 名、増加(悪化)が 2 名であった。

2.5.4.2.5 有効性に関する結論

2.5.4.2.5.1 成人 本剤はアレロック®錠と生物学的に同等であることが示されたことから、アレロック®錠で承

認されている同様の有効性が、本剤でも期待されると考えられた。

2.5.4.2.5.2 7 歳以上の小児 本剤はアレロック®錠と生物学的に同等であることが示されたことから、7 歳以上の小児患者

を対象とした小児アレロック®錠試験で有効性が検証されている同様の有効性が、本剤でも期待

されると考えられた。以下に、7 歳以上の小児患者を対象とした小児アレロック®錠試験の有効

性の結論を記述する。 小児アレロック®錠試験の有効性は、7 歳以上 16 歳以下の小児 AR 患者及び小児 AD 患者を対

象とした試験にて評価した。まず、小児 AR 患者を対象として、プラセボを対照薬とした二重

盲検比較試験(0421 試験)を実施した。その結果、アレロック®錠の 1 回 5 mg 1 日 2 回投与に

よりプラセボに対して有意に鼻症状を改善した。次に、小児 AD 患者を対象として、ケトチフ

ェンフマル酸塩ドライシロップを対照薬とした二重盲検比較試験(0422 試験)を実施した。そ

の結果、瘙痒の改善効果でケトチフェンフマル酸塩ドライシロップに対する非劣性が証明され、

アレロック®錠 1 回 5 mg 1 日 2 回投与が有効であることが示された。長期投与による効果の持続

は 0523 試験で実施し、鼻症状の改善を投与 2 週後より認め、その効果は投与 12 週後の各来院

日まで持続していたことを確認した。また、0421 試験で臨床推奨用量であることが証明された

1 回 5 mg 1 日 2 回投与の有効性は、0523 試験でもすべての評価項目で再現されており、AR に対

する 1 回 5 mg 1 日 2 回投与の臨床上の有効性が示されたと考えた。

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アレロック顆粒 0.5% 2.5 臨床に関する概括評価

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以上より、アレロック®錠 1 回 5 mg 1 日 2 回投与は、AR の鼻症状に対する改善効果及び ADの瘙痒に対する改善効果を有することが示された。よって、アレロック®錠は小児アレルギー性

鼻炎及び皮膚疾患に伴う瘙痒に対して有効であると考えた。

2.5.4.2.5.3 2 歳以上 6 歳以下の小児 2 歳以上 6 歳以下の小児に対する有効性は、本剤の臨床試験にて小児 AD 患者及び小児 AR 患

者を対象として評価した。 1)AD

本剤の有効性は、保護者の印象、アトピー性皮膚炎の程度及び G0804 試験では瘙痒スコアの

変化量にて評価した。投与 2 週後にすべての有効性評価項目で改善を示し、以降緩やかに改善

を続けるか又は投与 12 週間後まで減弱することなく安定していた。また、小児アレロック®錠

試験(0422 試験)と同一の評価指標を用いた有効性評価項目では、G0804 試験のアトピー性皮

膚炎の程度及び瘙痒スコアの変化量は小児アレロック®錠試験と比較して小さかったが、保護者

の印象(G0603 試験及び G0804 試験)及びアトピー性皮膚炎の程度の変化量(G0603 試験)は

小児アレロック®錠試験とほぼ同様な値であった。 よって、2 歳以上 6 歳以下の小児 AD に対し、本剤は有効であると考えた。

2)AR 本剤の有効性は、保護者の印象、鼻局所所見及び G0804 試験では鼻の 3 主徴合計スコアの変

化量にて評価した。投与 2 週後にすべての有効性評価項目で改善を示し、以降緩やかに改善を

続けるか又は投与 12 週間後まで減弱することなく安定していた。また、小児アレロック®錠試

験(0421 試験)と同一の評価指標を用いた有効性評価項目では、G0603 試験及び G0804 試験の

鼻局所所見の変化量は、小児アレロック®錠試験とほぼ同様な値であった。 よって、2 歳以上 6 歳以下の小児 AR に対し、本剤は有効であると考えた。

3)増量 増量した小児被験者 8名の瘙痒スコア又は鼻の 3主徴合計スコアの投与12週後/中止時の変化

量は、増量時と比較して減少(改善)が 3 名、不変が 3 名、増加(悪化)が 2 名であった。ま

た、不変又は増加した小児被験者 5 名のうち、医師所見(アトピー性皮膚炎の程度、鼻局所所

見)の程度が減少(改善)した被験者数は 2 名であった。 よって、2歳以上 6歳以下の AD及び AR に対し、体重 15 kg以上 20 kg 以下の被験者は 3.75 mg/

回への増量、体重 20 kg 以上の被験者は 5 mg/回への増量投与は有効であると考えられた。 以上より、2 歳以上 6 歳以下の被験者の AD 及び AR に本剤 2.5 mg/回の 1 日 2 回の投与又は

3.75 mg/回の 1 日 2 回(体重 15 kg 以上 20 kg 以下)及び 5 mg/回の 1 日 2 回(体重 20 kg 以上)

への増量投与は有効であると考えられた。

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アレロック顆粒 0.5% 2.5 臨床に関する概括評価

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2.5.5 安全性の概括評価

2.5.5.1 非臨床試験の安全性情報 今回の小児の適応拡大にあたり、幼若ラット及び幼若イヌを用いた非臨床試験(薬物動態試

験、単回投与毒性試験及び 4 週間反復投与毒性試験)を 1996 年より新たに実施した。また、

HEK293 細胞を用いたクローン化 human ether-a-go-go related gene(HERG)電流測定試験の結果

を評価資料に追加した。 幼若ラット及び幼若イヌを用いた薬物動態試験結果から、幼若動物と成熟動物との間で薬物

動態に大きな違いがないことを確認した。 一方、幼若ラット及び幼若イヌを用いた単回経口投与毒性試験結果から、幼若動物の概略の

致死量は成熟動物に比して低いことが明らかとなった。更に、幼若イヌでは、単回投与時の成

熟イヌでは認められなかった間代性又は強直性痙攣、振戦、摂餌低下等が観察された。ただし、

これらの症状は、小児アレルギー患者の臨床用量での血漿中濃度に比して充分な高曝露下で観

察された変化であった。 幼若ラット及び幼若イヌを用いた 4 週間反復投与毒性試験では、無毒性量は成熟動物と同程

度であった。幼若ラットでは血糖の減少、血清乳酸脱水素酵素の上昇、血清ビリルビンの増加、

幼若イヌでは尿蛋白陽性、血清乳酸脱水素酵素の上昇が観察された。血糖、血清乳酸脱水素酵

素、血清ビリルビンの変化はいずれも軽微であり、休薬により回復性が確認され、関連する器

官・組織に病理組織学的変化が認められていないことから、幼若動物のみで観察されたこれら

の変化は重篤な毒性徴候ではないと判断している。尿蛋白の発現については軽度の腎臓の線維

化が認められているが休薬により出現しなくなることから腎臓への影響は回復性のある変化で

あると判断された。 HEK293 細胞を用いた HERG 試験の結果では、高濃度において KW-4679 は HERG 電流抑制作

用を示したが、成人並びに小児アレルギー患者の臨床用量での血漿中濃度と比べ明らかに高濃

度での結果であった。

2.5.5.2 安全性の評価に用いた臨床試験 7 歳以上の小児における安全性は、薬物動態試験(0420 試験)、比較試験 2 試験(0421 試験

及び 0422 試験)及び長期投与試験(0523 試験)の 4 試験で評価した。また、G0804 試験におけ

る 7 歳以上 12 歳以下の小児被験者も安全性の評価対象とした。 2 歳以上 6 歳以下の小児における安全性は、G0502 試験、G0603 試験及び G0804 試験の 3 試験

で評価した。なお、G0401 試験は、健康成人男性を対象としたアレロック®錠と本剤のバイオア

ベイラビリティ比較試験であるため、併合から除外した。

2.5.5.3 曝露状況及び対象となった小児被験者集団

2.5.5.3.1 小児アレロック®錠試験 アレロック®錠が投与された被験者 417 名(2 歳以上 6 歳以下:3 名(すべて 0420 試験)、7

歳以上 12 歳以下:414 名)を安全性評価対象とした。 0420 試験の被験者数は 12 名であった。投与量は、体重 20 kg 以上 40 kg 未満の被験者 6 名に

2.5 mg/回、体重 40 kg 以上の被験者 6 名に 5 mg/回を投与し、投与期間は 8 日間であった。

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アレロック顆粒 0.5% 2.5 臨床に関する概括評価

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0421 試験の被験者数は 203 名(2.5 mg/回:103 名、5 mg/回:100 名)であり、いずれも AR被験者であった。投与期間は 2 週間であった。

0422試験の被験者数は 152名であり、いずれもAD被験者であった。投与量は 5 mg/回であり、

投与期間は 2 週間であった。 0523 試験の被験者数は 50 名であり、いずれも AR 被験者であった。初回用量が 1 回 2.5 mg

の低体重群(体重 20 kg 以上 30 kg 未満)が 17 名、1 回 5 mg の高体重群(体重 30 kg 以上)が

33 名であり、いずれの群も投与期間は 12 週間であった。

2.5.5.3.2 本剤の臨床試験 本剤が投与されたすべての被験者 204 名(2 歳以上 6 歳以下:184 名、7 歳以上 12 歳以下:20

名)を安全性評価対象とした。 G0502試験の2歳以上6歳以下の被験者数は、ステップ1及びステップ2とも各5名であった。

投与量はステップ 1:1.25 mg/回、ステップ 2:2.5 mg/回であり、投与期間は 8 日間であった。 G0603 試験の 2 歳以上 6 歳以下の被験者数は 91 名(AD:49 名、AR:42 名)であった。投与

量は 2.5 mg/回であり、投与期間は 2 週間であった。 G0804 試験の 2 歳以上 6 歳以下の被験者数は 83 名(AD:38 名、AR:45 名)、7 歳以上 12

歳以下の被験者数は 20 名(AD:10 名、AR:10 名)であった。2 歳以上 6 歳以下の初回用量は

2.5 mg/回、7 歳以上 12 歳以下の被験者の初回用量は 5 mg/回であり、投与期間は 12 週間であっ

た。

2.5.5.4 有害事象 小児アレロック®錠試験の有害事象及び副作用は、症例報告書記載用語をもとに MedDRA/J

ver.11.0 の下層語に読み替え、対応する PT で表示した。また、本剤の臨床試験の有害事象及び

副作用は、症例報告書記載用語をもとに MedDRA/J ver.12.1 の下層語に読み替え、対応する PTで表示した。

7 歳以上の被験者(小児アレロック®錠試験)にて、有害事象の発現割合は全体 34.5%(144/417名)、5 mg/回 31.9%(96/301 名)、2.5 mg/回 43.7%(55/126 名)であった。また、副作用の発

現割合は全体 14.9%(62/417 名)、5 mg/回 14.3%(43/301 名)、2.5 mg/回 15.1%(19/126名)

であった。なお、0523 試験での低体重(体重 20 kg 以上 30 kg 未満)の増量被験者(2.5 mg/回か

ら 5 mg/回への増量)10 名に関しては、増量前に発現した有害事象及び副作用は 2.5 mg、増量

後に発現した有害事象及び副作用は 5 mg の集計対象に含めた。また、G0804 試験における 7 歳

以上 12 歳以下の有害事象の発現割合は 70.0%(14/20 名)であり、副作用の発現割合は 5.0%(1/20名)であった。

2 歳以上 6 歳以下の被験者における有害事象の発現割合は 48.9%(90/184 名)であり、7歳以

上の被験者と比較して高かった。なお、重症度で高度な有害事象の発現はなかった。また、副

作用の発現割合は、3.3%(6/184 名)であり、7 歳以上の被験者と比較して低かった。

2.5.5.4.1 比較的よく見られる有害事象 7 歳以上の被験者(小児アレロック®錠試験)にて、発現割合が も高かった有害事象は「鼻

咽頭炎」9.6%(40/417 名)であり、次いで「傾眠」6.0%(25/417 名)、「アラニン・アミノト

ランスフェラーゼ増加」4.6%(19/417 名)であった。

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アレロック顆粒 0.5% 2.5 臨床に関する概括評価

CONFIDENTIAL - 32 -

副作用で、発現割合が も高かった事象は「傾眠」5.3%(22/417 名)であり、次いで「アラ

ニン・アミノトランスフェラーゼ増加」4.3%(18/417 名)、「アスパラギン酸アミノトランス

フェラーゼ増加」1.9%(8/417 名)、「白血球数増加」1.7%(7/417 名)で、その他の副作用の

発現割合は 1%以下であった。 2 歳以上 6 歳以下の被験者にて、発現割合が も高かった有害事象は「鼻咽頭炎」20.7%(38/184

名)であり、次いで「膿痂疹」5.4%(10/184 名)であった「鼻咽頭炎」は、いずれの試験でも

も発現割合が高かった。「鼻咽頭炎」及び「膿痂疹」は MedDRA/J の器官別大分類で「感染

症および寄生虫症」に該当し、偶発的に発現したと判断され、すべて治験薬との因果関係が否

定された。 副作用で、発現割合が高かった事象は「血中尿素増加」及び「傾眠」であり、それぞれ 1.1%

(2/184 名)であった。

2.5.5.4.2 死亡及びその他の重篤な有害事象 1)死亡

7 歳以上及び 2 歳以上 6 歳以下の被験者では、死亡に至った有害事象はなかった。 2)その他の重篤な有害事象

7 歳以上の被験者では、重篤な有害事象は認められなかった。 2 歳以上 6 歳以下の被験者では、G0804 試験にて重篤な有害事象として「伝染性単核症」が 1

名に認められた。当該事象に対し、治験責任医師は偶発的にウイルス感染したと判断し、治験

薬との因果関係を否定した。

2.5.5.4.3 重要な有害事象 重要な有害事象は、中止に至った有害事象及び小児アレロック®錠試験で発現割合が高かった

「傾眠」、「アラニン・アミノトランスフェラーゼ増加」、「アスパラギン酸アミノトランス

フェラーゼ増加」を対象として集計した。なお、「アラニン・アミノトランスフェラーゼ増加」

及び「アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加」を併せて「肝機能異常」として検討し

た。 1)中止に至った有害事象

7 歳以上の被験者(小児アレロック®錠試験)にて、アレロック®錠が投与され中止に至った

有害事象は、0421 試験では「鼻咽頭炎」5 名、「下痢」・「食欲不振」・「悪心」1 名、「喘息」

1 名、「節足動物刺傷」1 名、「インフルエンザ」1 名、0422 試験では「傾眠」、「蕁麻疹」で

それぞれ 1 名、0523 試験では、「頭痛」・「悪心」で 1 名であった。重症度及びその経過から

も臨床上大きな問題となるものではないと考えた。 2歳以上 6歳以下の被験者にて、本剤が投与され中止に至ったのは 5名であり、いずれもG0804

試験であった。重症度別では、中等度が 3 名(「傾眠」、「アトピー性皮膚炎」及び「伝染性

単核症」)、軽度が 2 名(いずれも「鼻咽頭炎」)であった。「傾眠」以外は治験薬との因果

関係は否定された。重症度及び投与中止により回復していることからも臨床上大きな問題とな

るものではないと考えた。 2)傾眠

7 歳以上の被験者(小児アレロック®錠試験)にて、「傾眠」の有害事象及び副作用の発現割

合は、それぞれ 6.0%(25/417 名)及び 5.3%(22/417 名)であった。そのうち、5 mg/回の有害

事象及び副作用の発現割合はそれぞれ 5.6%(17/301 名)及び 5.0%(15/301 名)、2.5 mg/回の有

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アレロック顆粒 0.5% 2.5 臨床に関する概括評価

CONFIDENTIAL - 33 -

害事象及び副作用の発現割合はそれぞれ 6.3%(8/126 名)及び 5.6%(7/126 名)であった。また、

G0804 試験(7 歳以上 12 歳以下)では認められなかった。 アレロック®錠の投与による成人の「傾眠」の発現は、申請時で 11.6%(203/1746 名)、承認

時及び使用成績調査・特別調査で 674 件/9620 名であった。今回、小児アレロック®錠試験でも、

成人と同様に発現割合は高かったが、その発現は多くの場合、アレロック®錠投与開始直後に認

め、投与を中止することなく回復すること、また、症状の重症度は多くが軽度であること、長

期投与による影響が認められなかったことから、臨床上大きな問題ではないと考えられた。 2 歳以上 6 歳以下の被験者にて、「傾眠」の有害事象及び副作用の発現割合は、1.1%(2/184

名)であり、7 歳以上の被験者と比較して低かった。 3)肝機能異常

7 歳以上の被験者(小児アレロック®錠試験)にて、「アラニン・アミノトランスフェラーゼ

増加」の有害事象及び副作用の発現割合は、それぞれ 4.6%(19/417 名)及び 4.3%(18/417 名)

であり、「アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加」の有害事象及び副作用の発現割合

は、いずれも 1.9%(8/417 名)であった。また、G0804 試験(7 歳以上 12 歳以下)では、「ア

ラニン・アミノトランスフェラーゼ増加」及び「アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増

加」の有害事象及び副作用の発現割合は、いずれも 5.0%(1/20 名)であった。 アレロック®錠投与後の値は、「医薬品の副作用の重篤度分類基準について(平成 4 年 6 月 29

日、薬安第 80 号)」で、いずれもグレード 1 以下(100 未満)であり、薬剤性肝障害の「肝炎

型」及び「胆汁うっ滞型」にも該当しない。ALT 及び AST は、細胞壊死に陥った場合だけでは

なく、虚血や炎症により細胞内酵素が逸脱し、上昇する。しかし、無症状で一時的な ALT 上昇

では、炎症、細胞壊死、肝組織変化をあまり伴わないことも知られている24)。今回 4 試験での

ALT 及び AST の変化は著しく大きくないこと、黄疸等の臨床症状も認められなかったことから

細胞壊死に至るような肝機能の障害に該当する事象ではなかったと考えられた。また、長期投

与試験の 0523 試験では、1 名に認めたのみで、肝機能に関連する有害事象の発現は少なかった。

アレロック®錠を 12 週間継続投与して肝機能に関連する有害事象の発現が増大していないこと

は、これらの事象が肝機能そのものに影響をおよぼす程度の異常ではなかったものと考えられ

た。 以上より、「アラニン・アミノトランスフェラーゼ増加」及び「アスパラギン酸アミノトラ

ンスフェラーゼ増加」の有害事象の発現を多く認めたが、アレロック®錠投与後の検査値が著し

く高くなく、変動幅も大きくないこと、更に他の自覚症状及び他の臨床検査値異常等を認めて

いないことから、臨床上大きな問題ではないと考えられた。 2 歳以上 6 歳以下の被験者にて、「アラニン・アミノトランスフェラーゼ増加」の有害事象の

発現割合は、0.5%(1/184 名)であり、7 歳以上の被験者と比較して低かった。なお、「アスパ

ラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加」は認められなかった。

2.5.5.4.4 臨床検査値の評価 7 歳以上の被験者(小児アレロック®錠試験)にて、臨床検査値の評価は、治験薬投与前に測

定した値を基準にし、治験薬投与後の検査結果の推移から、治験責任医師又は治験分担医師が

異常変動の有無を判断し、異常変動と判定したものを有害事象とした。 臨床検査の有害事象の発現割合は 8.9%(37/417 名)であり、 も多かった有害事象は「アラ

ニン・アミノトランスフェラーゼ増加」4.6%(19/417 名)であり、次いで「アスパラギン酸ア

ミノトランスフェラーゼ増加」1.9%(8/417 名)、「白血球数増加」1.7%(7/417 名)であった。

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アレロック顆粒 0.5% 2.5 臨床に関する概括評価

CONFIDENTIAL - 34 -

また、投与前後の変動に一定の傾向がないかを探索的に検討するために投与前値との差の基本

統計量を算出し、Wilcoxon の 1 標本検定を行った。ALT 及び AST をはじめいくつかの検査項目

で変動は認められたものの、基準値を大きく外れる変動はなく、臨床的に意味がある変動はな

かったと考えられた。 本剤の臨床試験にて、G0502 試験及び G0603 試験では、観察期及び投与終了後(G0502 試験:

投与 8 日目、G0603 試験:投与 2 週後)又は中止時に臨床検査並びに尿検査を実施した。G0804試験では、観察期、投与 4 週後及び投与 12 週後又は中止時に臨床検査及び尿検査を実施した。 臨床検査の有害事象の発現割合は 5.9%(12/204 名)であり、 も多かった有害事象は「リン

パ球形態異常」2.0%(4/204 名)であり、次いで「アラニン・アミノトランスフェラーゼ増加」、

「血中カリウム増加」及び「血中尿素増加」がそれぞれ 1.0%(2/204 名)であった。また、投

与前後の変動に一定の傾向がないかを探索的に検討するために投与前値との差の基本統計量を

算出し、Wilcoxon の 1 標本検定を行った。p 値で 5%未満の変動を示した検査項目はいくつか認

められたものの、平均値が基準値から逸脱した検査項目は原疾患に影響される好酸球のみであ

り、臨床的に意義があると考えられる変動は認められなかった。

2.5.5.4.5 長期投与の安全性(5.3.5.2-1, 5.3.5.2-3) 小児アレロック®錠試験の 7 歳以上の被験者の長期投与時の安全性は、アレロック®錠を 12 週

間投与した際の小児 AR 患者を対象とした長期投与試験(0523 試験)で確認した。有害事象の

発現割合は 70.0%(35/50 名)であり、副作用の発現割合は 20.0%(10/50 名)であった。また、

G0804 試験(7 歳以上 12 歳以下)の有害事象の発現割合は 70.0%(14/20 名)であり、0523 試験

と同様であった。また、副作用の発現割合は 5.0%(1/20 名)であり、0523 試験と比較して低か

った。アレロック®錠及び本剤の 12 週間投与で、投与期間が長くなることによる副作用の発現

割合の増加や新たな有害事象の発現は認められなかった。 2 歳以上 6 歳以下の被験者の長期投与時の安全性は、本剤を 12 週間投与した際の小児アレル

ギー患者を対象とした長期投与試験(G0804 試験)で確認した。本剤の有害事象の発現割合は

79.5%(66/83 名)であり、7 歳以上の被験者とほぼ同様であった。本剤の有害事象の初回発現

は本剤投与 2 週までの期間に も多く認められ、本剤の 12 週間投与で、投与期間が長くなるこ

とによる副作用の発現割合の増加や新たな有害事象の発現は認められなかった。

2.5.5.4.6 増量時の安全性 G0804 試験にて、2.5 mg/回から 3.75 mg/回に増量した被験者数は 5 名、2.5 mg/回から 5 mg/

回に増量した被験者数は 3 名であった。3.75 mg/回への増量後に認められた有害事象は「鼻咽頭

炎」が 2 名、「嘔吐」及び「節足動物刺傷」がそれぞれ 1 名、また、5 mg/回への増量後に認め

られた有害事象は「傾眠」及び「手足口病」がそれぞれ 1 名であった。これらのうち「傾眠」

以外は、すべて治験薬との因果関係が否定された。

2.5.5.4.7 内因性要因及び外因性要因

2.5.5.4.7.1 小児アレロック®錠試験 有害事象及び副作用の発現頻度を、被験者背景(性別、年齢、体重)別、治験薬投与開始日

の併用薬使用の有無別に検討した。 被験者背景(性別、年齢、体重)別の検討では、有害事象及び副作用の発現割合は、性別で

は男児が少し高く、年齢、体重では発現割合に一定の傾向はなかった。また「傾眠」は有害事

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アレロック顆粒 0.5% 2.5 臨床に関する概括評価

CONFIDENTIAL - 35 -

象及び副作用ともに、高年齢児ほど発現割合が高く、「アラニン・アミノトランスフェラーゼ

増加」及び「アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加」は有害事象及び副作用ともに、

男児の発現割合が高くなった。しかし、いずれも安全性に臨床上問題となるような違いは認め

られなかった。 治験薬投与開始日の併用薬使用の有無別の検討では、有害事象の発現割合は「併用薬なし」

が少し高かったが、副作用の発現割合は「併用薬あり」及び「併用薬なし」ともほぼ同様であ

った。

2.5.5.4.7.2 本剤の臨床試験 有害事象の発現割合では初回用量別、年齢別及び試験別、また、副作用の発現割合では初回

用量別及び試験別で若干の相違が認められた。しかし、これらは評価対象被験者数又は投与期

間が相違することに起因するものであり、いずれの解析においても本剤の安全性に大きな相違

点はないものと考えられた。

2.5.5.4.7.2.1 内因性要因 1)疾患別(AD 及び AR)

疾患別の有害事象の発現割合は、大きな違いは認められなかった。また、副作用の発現割合

は、ほぼ同様であった。 2)年齢別(2、3、4、5、6、2~6 及び 7~12 歳)

年齢別の有害事象の発現割合は、7 歳以上 12 歳以下が他の年齢層と比較して高かった。これ

は、7 歳以上 12 歳以下は長期投与試験(G0804 試験)のみで実施したためと考えられた。7 歳

以上 12 歳以下を除く年齢層間で大きな違いは認められなかった。また、副作用の発現割合は、

各年齢層に違いは認められなかった。 3)体重別(2~6 歳の 15 kg 未満、15 kg 以上 20 kg 未満及び 20 kg 以上)

体重別の有害事象の発現割合及び副作用の発現割合は、大きな違いは認められなかった。 4)性別(男、女)

性別の有害事象の発現割合及び副作用の発現割合は、大きな違いは認められなかった。

2.5.5.4.7.2.2 外因性要因 1)初回用量別(2.5、1.25 及び 5 mg)

有害事象の発現割合は 1.25 及び 5 mg が 2.5 mg と比較して高かった。これらの原因は、評価

対象被験者数(1.25 mg:5 名、2.5 mg:179 名)と長期投与試験(G0804 試験)を実施した被験

者数の割合(2.5 mg:46.4%(83/179 名)、5 mg:100%(20/20 名))の違いが影響したものと

考えられた。また、副作用の発現割合は 1.25 mg が 2.5 mg 及び 5 mg と比較して高かった。これ

は、評価対象被験者数が 5 名と少なかったことによると考えられた。 2)投与開始日の併用薬使用の有無別

有害事象の発現割合では大きな違いは認められなかった。また、副作用の発現割合はほぼ同

様であった。

2.5.5.4.8 市販後使用経験(1.13.1-13, 1.13.1-14) アレロック®錠 5 及びアレロック®錠 2.5 の使用成績調査を 2001 年 6 月 1 日から 2004 年 3 月

31 日まで実施した。全国 1414 施設から 9724 名の登録があり、このうち 1400 施設から 9652 名の調査票を回収し、安全性及び有効性の検討を行った。

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アレロック顆粒 0.5% 2.5 臨床に関する概括評価

CONFIDENTIAL - 36 -

アレロック®錠の適応は成人であるが、安全性集計対象被験者のうち、15 歳未満の小児 227名(年齢:6~14 歳)2.88%(227/7874 名)にアレロック®錠が投与されていた。また、3 名は 7歳未満の幼児であり、いずれも 6 歳であった。15 歳未満の小児被験者における副作用は「傾眠」

が 8 名に認められており、年齢の内訳は 12 歳 2 名、13 歳 4 名、14 歳 2 名であった。副作用の重

篤性は「軽微」が 7 名、「軽微でない」が 1 名であり、転帰は不明の 1 名を除き「軽快」又は

「回復」であった。また、副作用の発現時期は 1 名を除いて 1~4 日目の早期に発現していた。 アレロック®錠の投与状況は、当該被験者 227 名のうち 37 名で、成人の通常用量(10 mg/日)

よりも低用量の 5 mg/日(5 mg×1/日又は 2.5 mg×2/日)又は 7.5 mg/日(2.5 mg 及び 5 mg/日)

が投与されていた。 また、当該被験者のうち、アレロック®錠投与前に体重を測定していた被験者は 71 名であり、

体重 20 kg 以上 30 kg 未満の 10 名(年齢:6~10 歳)のうち 7 名、また、体重 30 kg 以上 40 kg未満の 17 名(年齢:7~14 歳)のうち 6 名で、成人の通常用量(10 mg/日)より低用量(5~7.5 mg/日)が投与されていた。 アレルギー性鼻炎の有効性集計対象被験者(2660 名)のうち、15 歳未満の小児にアレロック®

錠が投与されていた被験者は 136 名であり、有効割合は 75.74%(103/136 名)、無効割合は 7.35%(10/136 名)であった。蕁麻疹の有効性集計対象被験者(2380 名)のうち、15 歳未満の小児に

アレロック®錠が投与されていた被験者は 29 名であり、有効割合は 93.10%(27/29 名)、無効

割合は 6.90%(2/29 名)であった。皮膚疾患に伴う瘙痒の有効性集計対象被験者(2358 名)の

うち、15 歳未満の小児にアレロック®錠が投与されていた被験者は 39 名であり、有効割合は

84.62%(33/39 名)、無効割合は 2.56%(1/39 名)であった。

2.5.5.4.9 安全性に関する結論

2.5.5.4.9.1 成人 本剤はアレロック®錠と生物学的に同等であることが示されたことから、アレロック®錠で承

認されている用法・用量と同様の安全性が、本剤でも期待されると考えられた。

2.5.5.4.9.2 7 歳以上の小児 本剤はアレロック®錠と生物学的に同等であることが示されたことから、7 歳以上の小児患者

を対象とした小児アレロック®錠試験で安全性が確認された用法・用量と同様の安全性が本剤で

も期待されると考えられた。以下に、7 歳以上の小児患者を対象とした小児アレロック®錠試験

の安全性の結論を記述する。 7 歳以上の被験者(小児アレロック®錠)の安全性は、薬物動態試験(0420 試験)、比較試験

(0421 試験及び 0422 試験)、長期投与試験(0523 試験)の 4 試験で評価した。アレロック®錠

が投与された被験者 417 名を安全性評価対象とした。また、G0804 試験における 7 歳以上 12 歳

以下の被験者 20 名を安全性評価対象とした。 有害事象の発現割合は全体 34.5%(144/417 名)であり、そのうち発現割合が も高かった有

害事象は、「鼻咽頭炎」9.6%(40/417 名)であり、次いで「傾眠」6.0%(25/417 名)、「アラ

ニン・アミノトランスフェラーゼ増加」4.6%(19/417 名)であった。投与量別では 5 mg/回 31.9%(96/301 名)、2.5 mg/回 43.7%(55/126 名)であった。また、G0804 試験における 7 歳以上 12歳以下の被験者の有害事象の発現割合は 70.0%(14/20 名)であった。

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アレロック顆粒 0.5% 2.5 臨床に関する概括評価

CONFIDENTIAL - 37 -

副作用の発現割合は 14.9%(62/417 名)であり、そのうち発現割合が も高かった事象は、

「傾眠」5.3%(22/417 名)であり、次いで「アラニン・アミノトランスフェラーゼ増加」4.3%(18/417 名)、「アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加」1.9%(8/417 名)、「白血球

数増加」1.7%(7/417 名)であった。投与量別では 5 mg/回 14.3%(43/301 名)、2.5 mg/回 15.1%(19/126 名)であった。また、G0804 試験における 7 歳以上 12 歳以下の被験者の副作用の発現

割合は 5.0%(1/20 名)であった。 重篤な有害事象又は重症度で高度な有害事象の発現は認められず、有害事象又は副作用の発

現頻度が性別、年齢、体重によらないこと、12 週間の範囲で長期投与による有害事象及び副作

用の増加が認められないことを確認した。また、投与期間が長くなることによる副作用の発現

割合の増加や新たな有害事象の発現は認められなかった。アレロック®錠の 1 回 2.5 mg 1 日 2 回

投与とアレロック®錠及び本剤の 1回 5 mg 1日 2回投与の安全性に臨床上問題となるような違い

は認められなかった。 以上より、7 歳以上の小児 AD 被験者及び小児 AR 被験者にアレロック®錠及び本剤 5 mg/回を

1 日 2 回投与しても安全性に臨床上特に問題ないものと考えた。

2.5.5.4.9.3 2 歳以上 6 歳以下の小児 2 歳以上 6 歳以下の被験者の安全性は、健康成人を対象とした G0401 試験を除いた薬物動態

試験(G0502)、用法・用量確認試験(G0603 試験)及び長期投与試験(G0804 試験)の 3 試験

で評価した。本剤が投与された 2 歳以上 6 歳以下のすべての被験者 184 名を安全性評価対象と

した。 有害事象の発現割合は 48.9%(90/184 名)であり、そのうち発現割合が も高かった有害事

象は「鼻咽頭炎」20.7%(38/184 名)であり、次いで「膿痂疹」5.4%(10/184 名)であった。副

作用の発現割合は 3.3%(6/184 名)であり、そのうち発現割合が高かった事象は「血中尿素増

加」及び「傾眠」がそれぞれ 1.1%(2/184 名)であった。疾患別、年齢別、体重別及び性別に

違いは認められなかった。また、7 歳以上の被験者で発現割合が高かった「傾眠」、「アラニ

ン・アミノトランスフェラーゼ増加」及び「アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加」

の発現割合は 0.0~0.5%であり、臨床上特に問題はないと考えられた。 重症度で高度な有害事象の発現はなかった。また、投与期間が長くなることによる副作用の

発現割合の増加や新たな有害事象の発現は認められなかった。 2.5 mg/回から3.75 mg/回及び2.5 mg/回から5 mg/回への増量後に認められた有害事象のうち、

1 名の「傾眠」以外は、すべて治験薬との因果関係が否定された。「傾眠」は 5 mg/回への増量

3 日目に認められたものの、投与中止により回復していることから、観察を十分に行うことに

より臨床的に問題にはならないと考えられた。 以上より、2 歳以上 6 歳以下の小児 AD 被験者及び小児 AR 被験者に本剤 2.5 mg/回の 1 日 2

回の投与又は 3.75 mg/回の 1 日 2 回(体重 15 kg 以上 20 kg 以下)及び 5 mg/回の 1 日 2 回(体重

20 kg 以上)への増量並びに 7 歳以上 12 歳以下に本剤 5 mg/回の 1 日 2 回の投与の安全性に臨床

上特に問題はないと考えられた。

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アレロック顆粒 0.5% 2.5 臨床に関する概括評価

CONFIDENTIAL - 38 -

2.5.6 ベネフィットとリスクに関する結論

2.5.6.1 本剤の臨床的位置づけ 小児のアレルギー性疾患は低年齢化又は遷延化傾向にあることより1)、成人で高い有効性が示

されているオロパタジン塩酸塩を、服用しやすい顆粒剤(アレロック®顆粒 0.5%)として 2 歳

以上 6歳以下の小児AR及び小児ADに代表されるアレルギー疾患への治療にも適正に使用でき

るようにすることは、臨床的な意義が高いと判断した。 オロパタジン塩酸塩の小児適応拡大にあたり、錠剤(アレロック®錠)及び服用しやすい顆粒

剤(アレロック®顆粒 0.5%)の臨床試験を計画した。 初に健康成人男性を対象にアレロック®顆粒 0.5%(以下、本剤)とアレロック®錠のバイオ

アベイラビリティ比較試験(G0401 試験)を実施し、本剤とアレロック®錠が生物学的に同等で

あることが示されたことから、本剤でもアレロック®錠で承認されている用法・用量と同様の有

効性及び安全性が期待できると判断した。 7 歳以上の小児については、小児 AD 患者及び小児 AR 患者を対象にアレロック®錠にて臨床

試験を実施し、有効性及び安全性を確認した。現在、アレロック®錠 2.5 及び 5 は、効能・効果

「アレルギー性鼻炎、蕁麻疹、皮膚疾患(湿疹・皮膚炎、皮膚瘙痒症)に伴う瘙痒」、用法・

用量「通常、7 歳以上の小児には 1 回オロパタジン塩酸塩として 5 mg を朝及び就寝前の 1 日 2回経口投与する。」にて承認事項一部変更承認申請を行い、2010 年 7 月に承認を取得した。 また、本剤はアレロック®錠と生物学的に同等であることが示されたことから、錠剤の 7 歳以

上の小児を対象とした小児アレロック®錠試験で有効性及び安全性が検証された用法・用量にて

同様の有効性及び安全性が本剤でも期待されると考えられた。 一方、2 歳以上 6 歳以下の小児については、小児 AD 患者及び小児 AR 患者を対象に服用しや

すい本剤にて臨床試験を実施した。

2.5.6.1.1 有効性

2.5.6.1.1.1 7 歳以上の小児 本剤はアレロック®錠と生物学的に同等であることが示されたことから、アレロック®錠の 7

歳以上の小児を対象とした小児アレロック®錠試験で有効性が検証された用法・用量にて同様の

有効性が本剤でも期待されると考えられた。 以下に、7 歳以上の小児患者を対象とした小児アレロック®錠試験から得られた有効性につい

て記述する。 1)アレルギー性鼻炎の鼻症状を改善する効果を有する。

小児 AR 患者を対象に、プラセボを対照薬とした二重盲検比較試験を実施した。その結果、

アレロック®錠の 1 回 5 mg 1 日 2 回投与は、プラセボに対して有意に鼻の 3 主徴(くしゃみ、鼻

汁、鼻閉)合計スコアを減少した。 小児のアレルギー性鼻炎は、成人と同様にくしゃみ、鼻汁及び鼻閉の 3 主徴が中心である。3

主徴の合計スコアを減少したことでプラセボに対する優越性が証明されたことで、アレロック®

錠 1 回 5 mg 1 日 2 回投与は、小児のアレルギー性鼻炎の鼻症状を総合的に改善する効果が期待

できると考えられた。

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アレロック顆粒 0.5% 2.5 臨床に関する概括評価

CONFIDENTIAL - 39 -

2)皮膚疾患に伴う瘙痒を改善する効果を有する。また、蕁麻疹を改善する効果が期待される。 小児 AD 患者を対象に、ケトチフェンフマル酸塩ドライシロップを対照薬とした二重盲検比

較試験を実施した。その結果、アレロック®錠の 1 回 5 mg 1 日 2 回投与は、瘙痒スコアを減少し、

その効果はケトチフェンフマル酸塩ドライシロップと同程度であった。 AD は小児の代表的な瘙痒性皮膚疾患である。小児 AD の難治化及び重症化を防ぐためには瘙

痒のコントロールが重要であるとされている。既に小児 AD の瘙痒に対し汎用され有用性が確

立されているケトチフェンフマル酸塩ドライシロップに対する非劣性が証明されたことで、ア

レロック®錠の 1 回 5 mg 1 日 2 回投与は、小児 AD をはじめとする皮膚疾患に伴う瘙痒の症状を

改善する効果が期待できると考えられた。 蕁麻疹は、小児では患者数が少なく臨床試験を実施していない。しかし、蕁麻疹も AD と同

様にヒスタミンが起因物質の一つであり、アレロック®錠の有するヒスタミン H1 受容体拮抗作

用による効果が期待される疾患群である。今回、小児 AD の瘙痒に対し有効性が確認されたこ

と及び成人で慢性蕁麻疹に対する有用性が確認されていることから、蕁麻疹に対しても同様な

有効性が期待できると考えた。

2.5.6.1.1.2 2 歳以上 6 歳以下の小児 非盲検試験で実施した本剤の臨床試験(G0603 試験及び G0804 試験)の成績と小児アレロッ

ク®錠試験と比較検討した結果、2 歳以上 6 歳以下の小児に本剤を投与したときの有効性は以下

のように考える。 1)アレルギー性鼻炎の鼻症状を改善する効果を有する。

2 歳以上 6 歳以下の小児 AR 患者 87 名(G0603 試験:42 名、G0804 試験:45 名)を対象に本

剤 2.5 mg/回を 1 日 2 回投与した。投与前と比較して、本剤の鼻局所所見(下鼻甲介粘膜の腫脹、

下鼻甲介粘膜の色調、水性分泌量及び鼻汁の性状)及び鼻の 3 主徴(くしゃみ、鼻汁及び鼻閉)

の合計スコアの減少は、投与 12 週後まで減弱することなく安定していた。 7 歳以上 16 歳以下の小児 AR 患者を対象に、プラセボとの優越性が示されている小児アレロ

ック®錠試験(0421 試験)と比較検討した結果、共通する有効性評価項目である鼻局所所見の

投与前からの変化量は 2 試験ともほぼ同様であった。よって、2 歳以上 6 歳以下の小児 AR に本

剤 2.5 mg/回の 1 日 2 回投与は有効であると考えられた。 2)皮膚疾患に伴う瘙痒を改善する効果を有する。また、蕁麻疹を改善する効果が期待される。

2 歳以上 6 歳以下の小児 AD 患者 87 名(G0603 試験:49 名、G0804 試験:38 名)を対象に本

剤 2.5 mg/回を 1 日 2 回投与した。投与前と比較して、本剤は、保護者の印象を改善し、また、

アトピー性皮膚炎の程度及び瘙痒スコアの減少を投与 12 週後まで維持した。 7 歳以上 16 歳以下の小児 AD 患者 152 名を対象としたケトチフェンフマル酸塩との非劣性が

示されている小児アレロック®錠試験(0422 試験)と比較した結果、G0804 試験の AD の有効性

評価項目の変化量のみが少なかったが、投与 12 週間後までの有効性の維持が確認できた。よっ

て、2 歳以上 6 歳以下の小児 AD に本剤 2.5 mg/回の 1 日 2 回の投与は有効であると考えられた。 蕁麻疹は、小児では患者数が少なく臨床試験を実施していないが、7 歳以上の小児と同様な

理由で、蕁麻疹に対しても成人と同様な有効性が期待できると考えられた。

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アレロック顆粒 0.5% 2.5 臨床に関する概括評価

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2.5.6.2 安全性

2.5.6.2.1 7 歳以上の小児 本剤はアレロック®錠と生物学的に同等であることが示されたことから、アレロック®錠の 7

歳以上の小児を対象とした小児アレロック®錠試験で安全性が検証された用法・用量にて同様の

安全性が本剤でも期待されると考えられた。 以下に、7 歳以上の小児患者を対象とした小児アレロック®錠試験から得られた安全性につい

て記述する。 1)長期間投与(12 週間)しても安全性上問題はない。

0421 試験及び G0804 試験にて、12 週間の長期投与試験を実施した。その結果、臨床的に問題

となる事象は認められず、アレロック®錠及び本剤の投与期間が長くなることにより、副作用の

発現割合の増加や新たな有害事象の発現は認められなかった。 2)臨床上安全性に問題となるような有害事象及び副作用の発現はない。

7 歳以上の被験者(小児アレロック®錠試験)にて、有害事象の発現割合は 34.5%(144/417 名)

であった。そのうち、発現割合が高かった事象は「鼻咽頭炎」9.6%(40/417 名)、「傾眠」6.0%(25/417 名)、「アラニン・アミノトランスフェラーゼ増加」4.6%(19/417 名)であった。ま

た、副作用は 14.9%(62/417 名)に認められた。そのうち、発現割合が高かった事象は「傾眠」

5.3%(22/417 名)、「アラニン・アミノトランスフェラーゼ増加」4.3%(18/417 名)、「アス

パラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加」1.9%(8/417 名)、「白血球数増加」1.7%(7/417名)であった。また、G0804試験における 7歳以上 12歳以下の有害事象の発現割合は 70.0%(14/20名)であった。 重篤な有害事象及び重症度で高度な有害事象は認められず、有害事象又は副作用の発現頻度

は性別、年齢、体重に関係なかった。また、アレロック®錠 1 回 2.5 mg 1 日 2 回投与とアレロッ

ク®錠及び本剤 1回 5 mg 1日 2回投与で安全性に臨床上問題となるような違いは認められなかっ

た。 「傾眠」は、成人と同様に発現割合が高かったが、その発現の多くはアレロック®錠の投与早

期に認められ、投与を中止することなく回復すること、また、多くが軽度であること、長期投

与による影響が認められなかったことから、臨床上大きな問題ではないと考えられた。 また、「アラニン・アミノトランスフェラーゼ増加」、「アスパラギン酸アミノトランスフ

ェラーゼ増加」は、アレロック®錠投与後の検査値が著しく高くなく、変動幅も大きくないこと、

他の自覚症状及び他の臨床検査値異常等を認められていないことから、肝機能に影響を及ぼす

程度の異常ではなく、臨床上大きな問題ではないと考えられた。

2.5.6.2.2 2 歳以上 6 歳以下の小児 本剤の臨床試験(G0502 試験、G0603 試験及び G0804 試験)の 3 試験の成績と小児アレロッ

ク®錠試験と比較検討した結果、2 歳以上 6 歳以下の小児に本剤を投与したときの安全性は以下

のように考える。 1)長期間投与(12 週間)しても安全性上問題はない。

2歳以上 6歳以下の小児AD被験者又は小児AR被験者に 12週間の長期投与試験を実施した。

その結果、臨床的に問題となる事象は認められず、本剤の投与期間が長くなることによる、副

作用の発現割合の増加や新たな有害事象の発現は認められなかった。

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アレロック顆粒 0.5% 2.5 臨床に関する概括評価

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2)臨床上安全性に問題となるような有害事象及び副作用の発現はない。 有害事象の発現割合は 48.9%(90/184 名)であり、発現割合が高かった事象は「鼻咽頭炎」

20.7%(38/184 名)、「膿痂疹」5.4%(10/184 名)であった。また、副作用の発現割合は 3.3%(6/184 名)であり、そのうち発現割合が高かった事象は「血中尿素増加」及び「傾眠」がそれ

ぞれ 1.1%(2/184 名)であった。疾患別、年齢別、体重別及び性別に違いは認められなかった。

また、7 歳以上の小児で発現割合が高かった「傾眠」、「アラニン・アミノトランスフェラー

ゼ増加」及び「アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加」の発現割合は 0.0~0.5%であり、

臨床上特に問題はないと考えられた。 2.5 mg/回から3.75 mg/回及び2.5 mg/回から5 mg/回への増量後に認められた有害事象のうち、

1 名の「傾眠」以外は、すべて治験薬との因果関係が否定された。「傾眠」は 5 mg/回への増量

3 日目に認められたものの、投与中止により回復していることから、観察を十分に行い、必要

に応じて適切な処置を行うことにより臨床上特に問題はないと考えられた。

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アレロック顆粒 0.5% 2.5 臨床に関する概括評価

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