第2回 生物多様性 -...
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第2回 生物多様性
動物生態学
生命の歴史DNAと環境絶滅
2013年4月22日版
補足説明
「教科書」ベゴンら「生態学」またはBegon, Townsend & Harper “Ecology”
高価 or 厚いので・・・図書館で、友達と共有などでもOK文書を全部読まなくても、図表は講義の捕足になる。石田のように、つまみ食いでもよい ^ ^ ;
今、7000円位
定価12600円
2 4月22日 進化と生物多様性 いろいろな生物多様性
文庫本まず、言葉としての
「生物多様性」について
生命の歴史DNAと環境絶滅
WHY と HOW
究極要因 と 至近要因
なぜ 今の世界に、これだけの生物がいるのか
WHY
進化論
進化のしくみ の説明
自然選択説(自然淘汰説)・生き物 には 変異 がある・生き物の 性質は 遺伝 する・次世代に残るのは 一部 だけ
・残った者 から 残った者 へと性質が受け継がれときどき、集団の性質が変化する ことによって新しい生き物が誕生して来たのだ ! とガテンがいく
HOW
遺伝的浮動 :たまたまと思われることもあり
新しいニッチ(生態的地位)に当てはまって行く ガラパゴス諸島
の小鳥の適応放散
元は1種だった水平進化(種分化)して、現在13種
パンダの親指
6 6月3日 日本の自然 野生動物と人 で ツキノワグマの形態と生態を詳しく紹介します。
ウィキペディアから拝借
~ Topics ~
生命の歴史DNAと環境絶滅
2009年の教科書 2012年の翻訳書
生態系(自然界)における、内分泌撹乱物質や放射線等の影響
エピゲネティクス = epigenesis + genetics
★★★★★
20世紀の進化概念
DNA が 生殖細胞において変化し、遺伝する
DNA が 体細胞においても変化し、遺伝する
21世紀の進化概念
遺伝子から表現形発現 = 発生における進化現象
1958年、DNA(二重螺旋構造の高分子)の発見
20世紀初頭から遺伝学が発達
例)ショウジョウバエ を使った突然変異実験
強いγ線を当て、さまざまな遺伝変異を起こす
遺伝子工学 ・・・ 20世紀最後の四半世紀
20世紀の進化概念20世紀の進化概念
放射線の一種
遺伝子組み換え技術
まだ、石田はかじりつつあるところ
放射線の影響は・・・・低濃度長 期内部被曝
人類未知の領域
福島の課題は、7回目の講義で紹介する
生命の歴史DNAと環境絶滅
1. 古生代のオルドヴィス紀末 (約4億4000万年前)2. 古生代のデボン紀後期 (約3億6500万年前)3. 古生代後期のペルム紀末、P-T境界(約2億4500万年前)4. 中生代の三畳紀末 (約2億1000万年前)5. ジュラ紀~白亜紀、K-T境界 (約6600万年前)
生命の歴史における「5つの大量絶滅」
『生命の多様性(Ⅰ)』EOウィルソン(1995): 48.
DJ Futuyma “Evolution” p.143 Evolution of Bioiversity
1. オルドヴィス紀末 およそ12%減少2. デボン紀後期 およそ12%減少3. ペルム紀末、P-T境界 およそ54%減少4. 三畳紀末 およそ12%減少5. 白亜紀、K-T境界 およそ12%減少
絶滅強度 を 推定する物差し
海に生息していた生物の 科数 の減少
『生命の多様性(Ⅰ)』EOウィルソン(1995): 49.
3. ペルム紀末の大絶滅における、種数の減少率を推定すると、 およそ77~96%減少
化石記録
1. オルドヴィス紀末 およそ2500万年2. デボン紀後期 およそ3000万年3. ペルム紀末 +4. 三畳紀末 およそ1億年5. 白亜紀、K-T境界 およそ2000万年
大絶滅から生物多様性が元に 回復するのに要した時間
『生命の多様性(Ⅰ)』EOウィルソン(1995): 51.
ヒト Homo sapiens が誕生してからおよそ150万年・・・
現在は、第6の大量絶滅 が起っている ?
本当?
第5まで、生物自体が原因となって起った大量絶滅はない ・・・多くは寒冷化? (ウィルソン)
参考
英ヨーク大学のメイヒューとジェンキンス、リーズ大学のベントンの3人は、英王立協会科学紀要B、2007年10月24日号に「化石記録における起原と絶滅、および地球温度と生物多様性、の長期変動に関係がある」という論文を発表した。
結論:地球が温暖化するときには絶滅地球が寒冷化するときには回復して来た
Peter J. Mayhew, Fareth B. Jenkins and Timothy G. Benton. 2007.A long-term association beteween global temperature and biodiversity,
origination and extinction in the fossil record.Proceedings of the Royal Society B 275: 47-53.
生物多様性の危機(「生物多様性国家戦略」)環境省 2007.11
1. 人間活動が直接与える負の影響2. 人間活動の低下が与える負の影響3. 外来種による影響
環境省生物多様性センターホームページhttp://www.biodic.go.jp/nbsap.html
註: 人間が意図的、非意図的に運ぶ
比喩『個々の生物種を飛行中の飛行機のリベットに例える→1本ぬけても大丈夫、1本1本ぬけていって、どこまで大丈夫だろうか → どこかで墜落する』
種の絶滅も1種がぬけても、すぐには、目にみえる影響はないかもしれない。しかし、1種ずつぬけていくことが続けば、いずれ大きな変化を起こす引き金が引かれる。
『持続不可能性』の中で サイモン・レビンは複雑な自然のしくみが、こわれるときの様子を砂の山に例えている。砂を落として行くと、砂山はだんだん高くなっていく。どこかで、砂山の山肌に必ず崩壊が起きる。いつ、どこが崩壊するか、正確に予想できない。
あるいは、山崩し ゲームを思い浮かべてもよい。
2 4月22日 進化と生物多様性いろいろな生物多様性
文庫本
遺伝子の多様性 ~ 景観の多様性多様度生物の系統
生物のいろいろな単位・レベル異なる階層の「生物多様性」
“Ecology” Begon Tawnsend Harper (2006)Chap 21 Patterns in Species Richness, p.602 definition
生物多様性 と 種の多さ:
種の多さ = 一定の地区に生息する種数
生物多様性 と 種の多さ 同義ではない
種の多さ は、生物多様性のなかで一番単純でわかりやすい
種内の遺伝的多様性、群集の多様性、環境(砂漠・湿地・森林・海洋など)ごとの多様性、など、
生物多様性 自体 に 多様な意味がある
α、β、γ 多様性α 生息地ごとのβ 近隣の生息地が追加されるに従って種数が増える率 γ 広い地域 ウィルソン、p.233
α、β、γ 多様性をシンプソンの多様度指数で表した場合
Dγ = D α + D β
D = 1 - Σ Pi2
“Ecology” Charles J Krebs (2001)Chap 22 Community organization 1: Biodiversity, p.434
群集: ある場所にいっしょに生きている複数種からなる集団、お互いの関係もほとんど無関係から強い関係まで
群集を構成する種数は、場所によって異なる。
熱帯では、他の地域よりも群集を構成する種数が多い
大きく、大陸に近い島ほど、群集を構成する種数は多い
ふつう、特定の分類群、例えば鳥類などの種数を、群集の種数の代表の値として用いる
ふつう、一時的にいる種は除いて、定住者を数える
数
種内の多様性 遺伝子レベル
ダフネ島のガラパゴスフィンチ。同種の同年齢の個体間にくちばしの太さの違いがある。
旱魃の前
旱魃の後
埼玉県奥秩父突出峠のウグイスの嘴の長さn=260, 1989~1995
mm
mm
埼玉県奥秩父突出峠のウグイスの脚の長さと体重n=~300, 1989~2012
種内の多様性 個体群レベル
北海道のオオアカゲラ
亜種
奄美大島のオオアカゲラ
日本で身近な小鳥のコゲラ
種内の多様性 個体群レベル
北海道のコゲラ
亜種
奄美大島のコゲラ西表島のコゲラ
コゲラの翼の地理変異
種間の多様性 種数
生態の多様性 <-> 形態の多様性
5cm~2m
5g~100kg
種間の多様性 種数
Handbook of Birds of the World から
生態の多様性 <-> 形態の多様性
Handbook of Birds of the World から
Handbook of Birds of the World から
生態の多様性 <-> 形態の多様性
遺伝子の多様性 ~ 景観の多様性多様度生物の系統
異質性 と 多様度指数
< <?
種の多さ1種 < 2種 = 2種
<!
種の多さ3種 = 3種
「多彩」 “colourful !”
シャノン-ウィナーの多様度指数
H’ = -Σ Pi・(log Pi)
<
H’ = 0.225 H’ = 0.473n=3 H’(max)=4.77
例 : イリオモテヤマネコ、オリイコゲラ・・・・
National Geographic News April 14, 2008
一番長生きの木 = 長生きの生物2004年にスウェーデンの標高900mほどの山地に生えるトウヒ(針葉樹)で確認された。地上部は、樹齢600年程度。根は生き続け、別の幹が育つ。この個体の、根の古い部分は9550年ほど。他にも、5000~6000年の個体が見つかった。炭素同位体測定で、年齢判定。11000年前まで氷河に覆われていた地方。
それ以前は、北アメリカ西部の高地に生えるブリストルマツのおよそ4650年が最長とされていた。幹の年輪を数えた。
一番高い木
2006年に、米カリフォルニア州北部にあるレッドウッド国立公園内で見つかった、コーストレッドウッド(セコイア)の高さは約115.2m。現存の木で、最高。それまでギネスブックに載っていた記録112.5m。
1872年に、オーストラリアのユーカリで130mを超えた記録がある。
National Geographic News April 14, 2008
一番長生きの木 = 長生きの生物2004年にスウェーデンの標高900mほどの山地に生えるトウヒ(針葉樹)で確認された。地上部は、樹齢600年程度。根は生き続け、別の幹が育つ。この個体の、根の古い部分は9550年ほど。他にも、5000~6000年の個体が見つかった。炭素同位体測定で、年齢判定。11000年前まで氷河に覆われていた地方。
それ以前は、北アメリカ西部の高地に生えるブリストルマツのおよそ4650年が最長とされていた。幹の年輪を数えた。
地上に現存する最大の動物は、アフリカゾウ 約5トン現存する 最大の動物は?化石だと?
ゴリアスオオツノコガネ:コガネムシ科ハナムグリ亜科 Cetoniidae に属する体長95mm 内外の巨大な甲虫の総称;アフリカ産.
固有種
ある地方にだけ生息している種
日本列島の固有種 の 例 (鳥獣)
ニホンザル 下北半島の個体群は、最北のサルカモシカ 本州以南ヤマネ 本州以南
ヤマドリ 狩猟の対象アオゲラ 本州以南ノグチゲラ 沖縄島北部だけルリカケス 奄美大島だけ
スズメ が 減っている ?
九州で捕獲(狩猟)されたスズメ類の数、飯田繁 (2004)
0
375,000
750,000
1,125,000
1,500,000
1965 1975 1985 1995
九州
ヨーロッパのイエスズメも激減している
「子連れスズメが少なくなっている」 三上修 (2008)
“ブリテン島のコアカゲラは10分の1に減った”
第3次生物多様性国家戦略「3つの危機」 環境省 2007.11
1. 人間活動が直接与える負の影響2. 人間活動の低下が与える負の影響3. 外来種による影響
環境省生物多様性センターホームページhttp://www.biodic.go.jp/nbsap.html
人間も生態系の一部
第3次生物多様性国家戦略「4つの危機」 環境省 2012
1. 開発など人間活動による危機2. 自然に対する働きかけの縮小による危機3. 外来種など人間により持ち込まれたもの による危機4. 地球温暖化や海洋酸性化など地球環境の 変化による危機
環境省生物多様性センターホームページhttp://www.biodic.go.jp/biodiversity/
昨年見直し
今回1つ増えた
第3次生物多様性国家戦略「4つの課題」
1. 生物多様性に関する理解と行動2. 担い手と連携の確保3. 生態系サービスでつながる「自然共圏」 の認識4. 人口減少等を踏まえた国土の保全管理5. 科学的知見の充実
5つの基本戦略
横瀬町の棚田
奥秩父の森 スギ・ヒノキの人工林と雑木林の混在
地中海の深海底 の 無酸素環境で生きている 多細胞生物 を 新発見 by Italian & Danish Biologists
R. Danovaro et allll. BMC Biology 2010, 8:30
Figure 1 Metazoans retrieved from the deep hypersaline anoxic LʼAtalante basin. (a) Light microscopy (LM) image of a Copepod exuvium (stained with Rose Bengal); (b) LM image of dead nematode (stained with Rose Bengal); (c) LM image of the undescribed species of Spinoloricus (Loricifera; stained with Rose Bengal); (d) LM image of the undescribed species of Spinoloricus stained with Rose Bengal showing the presence of an oocyte; (e) LM image of the undescribed species of Rugiloricus (Loricifera, non stained with Rose Bengal) with an oocyte; (f) LM image of the undescribed species of Pliciloricus (Loricifera, non stained with Rose Bengal); (g) LM image of moulting exuvium of the undescribed species of Spinoloricus. Note the strong staining of the internal structures in the stained loriciferans (c and d) vs. the pale colouration of the copepod and nematode (a, b). The loriciferan illustrated in Figure 1e was repeatedly washed to highlight the presence of the internal oocyte. Scale bars, 50 μm.
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50μm
~ Topics ~
R. Danovaro et allll. BMC Biology 2010, 8:30
海 人類にとっては未知の世界が多く残っている
多細胞の「中型底性動物」(数μm~1mm)が、地球上の多細胞(後生)生物量の6割
を占めると言われている。後世動物の25門中22門が、それ。内6門は体細胞
記載されている種の大多数を占める昆虫は、海中にはいない
分類単位の 門 の数では、ほとんどが海中にいる
abundance
★
生物多様性は「強い」ただし、人間にとって都合のよい強さ では必ずしもない
「生物多様性とは、星やガスやちりが宇宙空間に漂って出来る星雲や銀河のように、明確な境界線をもたず、ぼんやりとした広がりをもつ、一言では説明できない複雑な概念なのである。」
「自然は結局、複雑適応系の一つであって、環境ストレスにさらされれば変化をとげて新しいシステムへ移行するのであろう。しかし、人類が依存しているサービスを維持する点においては脆弱である。」