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第11回 標準 Wiener 過程とその応用
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標準 Wiener 過程
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標準 Wiener 過程
• 以下の条件を満たす確率過程 を標準 Wiener 過程という. – – 定常独立増分 – は平均ゼロ・分散 で正規分布
– 連続標本経路を持つ
ランダムウォークによる 標準 Wiener 過程の近似
• ステップ後のランダムウォークの平均と分散は以下の通り.
• のとき, なので,単位時間あたり1だけ動くランダムウォークは標準 Wiener 過程の良い近似になる.
任意の時間ステップに対する 標準 Wiener 過程
• 時間を と定義する.このとき,同一時刻における分散は ではなく,
となる. • 従って,時間間隔を で与える場合には,歩幅を に設定すると標準 Wiener 過程に良く似た確率過程が作られる.
標準 Wiener 過程の作成例
• どの経路も分散の期待値が同じになっている.
確率微分方程式
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Langevin 方程式
• 以下の式のように White Noise (白色雑音)と呼ばれる確率過程が含まれる方程式を Langevin 方程式という.
• W(t) は,平均がゼロであり,その相関関数がデルタ関数となっているような関数である.すなわち,デタラメな量である.
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確率微分方程式
• 実際には理想的な White noise を作ることはできないことが知られている.そこで, White noise の代わりに, White noise にきわめて近い標準 Wiener 過程という確率過程で置き換える.
• 標準 Wiener 過程 B(t) には, dB(t)=W(t)dt がほぼ成り立つという性質がある.そこで, Langevin 方程式を次のように書き表す. これを確率微分方程式(Stochas8c Differen8al Equa8on)という.
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解析解がわからないときは 数値計算
• もっとも簡単な数値計算は下に示した Euler-‐Maruyama スキームである.
• これは差分法をそのものであるがオーダーは と 良いものではない.これは Ito の公式が適用されていないため 程度の精度しかない.
• もっとよい公式としてミルシュタインスキーム( )などがある.
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€
O(Δt)
Ornstein-‐Uhlenbeck 過程
• Langevin がブラウン運動の性質を得るために導入した方程式.
• 現在の速さに比例して加速され(一般には減速),一定の大きさのばらつき(熱ゆらぎ)が与えられる.
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Ornstein-‐Uhlenbeck 過程
• 粘性が高いほうがゼロに近づくスピードが速い.
12 0 200 400 600 800 1000
0.0
0.5
1.0
1.5
2.0
幾何ブラウン運動
• 株価の変動に広く使われているモデル. • 株価の変動量は現在の値に比例して大きくなろうとするが,変動がばらつく度合いも株価に比例して大きくなるというモデル.
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幾何ブラウン運動の解
• 伊藤の公式を使うと,以下のように解を求めることができる.
• この解を用いて,幾何ブラウン運動の振る舞いをシミュレートすることができるが,今回は Euler-‐Maruyama scheme で得られた解を用いる.
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幾何ブラウン運動(その1)
• の場合.
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€
2c 2 >σ
幾何ブラウン運動(その2)
• の場合.
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€
2c 2 <σ
Fokker-‐Plank 方程式
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Fokker-‐Plank 方程式
• 粒子の振る舞いを記述する Langevin 方程式が与えられると,それをもとにして粒子の確率密度分布を計算する方程式である Fokker-‐Plank 方程式を導出することができる.
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ランダムウォークの場合
• p=1/2 のランダムウォークは,簡単な計算からその連続極限において以下のような確率微分方程式になることがわかる.
すなわち, Wiener 過程の定数倍である.定数Dは時間ステップと1ステップの距離の取り方によって決まる(揺動散逸定理).
• ランダムウォークが Wiener 過程と密接と関係しているために, Wiener 過程で記述される確率微分方程式において,ランダムウォークは基本的な役割を担う.
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ランダムウォークの場合
• p=1/2 のランダムウォークの場合, Fokker-‐Plank 方程式は,
• すなわち,拡散方程式となる.つまり,ランダムウォークの確率密度分布は拡散方程式の解となる.
• ランダムウォーカーが最初に1点に集中していた場合には,これまでみてきた正規分布関数が解になる.
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