第1回 オリエンテーション 本講義の概要ishiken/education/twu/01...1-1 4月11日...
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第1回 オリエンテーション動物と環境
本講義の概要 &
自然科学としての生物学の基本1進化と進化論、生物多様性
2016年前学期2016年4月11日版
1-1 4月11日 オリエンテーション:本講義の概要紹介
・自己紹介 ・講義内容 と 方針 ・成績評価 ・生物学とはなにか
1-2 4月11日 進化と進化論、生物多様性1
生物学(自然科学)の基本的な考え方
2 4月18日 DNA、遺伝学、生態学
毎回 スライド 多数 (だいたい100枚弱) 今日は65枚・・
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講義スケジュール(計画)1 4月11日 オリエンテーション:本講義の概要紹介 自然科学としての生物学の基本1(進化と進化論、生物の多様性) 2 4月18日 生物学の基本2(単細胞~脊椎動物への進化、動物界) 3 4月25日 生物学の基本3(DNA,遺伝学、生態学) 4 5月 9日 脊椎動物の多様性1(形態,系統・体の造り) 5 5月16日 脊椎動物の多様性2(形態,姿や色彩) 6 5月23日 脊椎動物の多様性3(行動,繁殖様式) 7 5月30日 脊椎動物の多様性4(行動,種間相互作用) 8 6月 6日 脊椎動物の多様性5(生態,生息地・食物・分布) 9 6月13日 脊椎動物の多様性6(生態,個体関係・社会性) 10 6月20日 生物の数と分布(生態学の基礎) 11 6月27日 生態系のしくみ(群集と生物間相互作用) 12 7月 4日 生態系のしくみ(共生) 13 7月11日 日本の自然(森林の国,ドングリとツキノワグマやカケス) 14 7月18日 生態系の管理(気候変動,動物と人,外来種など) これからの地球、人類、日本の社会(J. ダイアモンドDVD他) ※授業内容、予定 → 毎週、ホームページ(プレゼンpdfも掲載)で確認してください。
みなさんの希望や講義の進捗状況に応じて、講義の順番や内容の一部を変更することがあります。
講義の方法:毎回 スライド 多数 (だいたい100枚前後)
・文字、イラスト ・写真も多数 ・DVDなども(講義開始前も) ・講義はよく聴く ・各自のノートは要約、キーワードのみにして & ・スマホの電源は切る ようお薦めします
・・・
生物学、生態学の基本的な概念や知識を習得してもらう 重要用語を覚え、適切に説明できるようなるとなおよい
身近な日本の事例・研究例も紹介する 石田の研究、最近の生態・保全関連の話題も紹介
この授業の目標、目的 :
・・・ みなさんが、これから歩む人生の 少しでも 糧になればよい
迷える子羊になったとき
狼に食べられてしまわないように
~ Topics ~
石田の最近の話題、最新の論文、生物の話題 etc.
例えば、今週:昆虫サイボーク?!Insect–computer hybrid legged robot with user-adjustable speed, step length and walking gait Feng Cao, Chao Zhang, Hao Yu Choo and Hirotaka Sato (2016) JRS Interface , Published 30 March 2016.DOI: 10.1098/rsif.2016.0060
必読書(半教科書)は2つ
中村桂子『あなたのなかのDNA』
第3回(再来週)までに目を通しておくこと
レイチェル・カーソン 『沈黙の春』 原文で読んでもよい (電子書籍でもOK)
後半で使います。
講義の予定、関係資料(授業で使ったプレゼンのPDFなど)、連絡事項をポータルサイトに掲載 以下のURLにも一部、掲載する予定
石田への連絡メール [email protected]
件名(subject)の初めに必ず『東女大生物学:』等と付けてください。名前、学籍番号を忘れずに!
http://forester.uf.a.u-tokyo.ac.jp/~ishiken/education/twu/
「石田 健のページ」 でウェブ検索すると
たいてい 最初に出てきます。
など・・・・
新年度のホームページの調整は、順次します。 先の予習は、去年の情報などを参照してください。
http://forester.uf.a.u-tokyo.ac.jp/~ishiken/education/twu/
石田健のページ > 講義 > 東京女子大学生物学講義
15 7月25日? 学期末試験
成績評価
受講生多いので期末試験に決定 試験の形式、方法などについて、追って、説明する。 資料持ち込みはなし、事前の試験問題の紹介もなし。 ただし、講師のホームページにヒントはたくさんあると思います。
出席は「任意」。聴いてなくても、紹介する本を読んで理解していれば、単位はとれるようなレポートになるはず。ただし、 大学の方針と基準には準拠します。
~ Topics ~
アゴラ編集部 教材利用許諾済み
~ Topics ~
さて・・・ なぜ、こんなにたくさんの
生き物がいるのか? 進化のしくみ(How) DNAと環境 (も1つのHow) いろいろな「多様性」
あなたは 何者? わたしは 何者? ひと の ルーツ
・生物学とはなにか
コゲラ ウグイスと並んで各地で よく観察される鳥
心不在焉 視而不見
・生物学とはなにか
見る方法を少し解説する
★
西欧文明が優越してきた理由 J. ダイアモンド すぐれた家畜の獲得・・・地理的利得
好適な気候帯沿いに移住可能・・・地理的利得
生態学・生物学の考え方を人類史に応用した1例
気候変動 戦争 ・・・
★
講義の後半に、時間がとれたら? 第一 ~ 三話 の DVD をみせる予定。
科学としての生態学による疑問と答えの一例
DVD 上映 J.ダイアモンド『銃・病原菌・鉄』 第一話 文明の始まり
個体から生態系まで個体 個体群 群集 生態系 景観
分子 DNA 細胞 器官 個体 個体群 群集 生態系 景観 地域 地球 宇宙
生態学
生物学
狭義広義
エコ
人間社会
スケールの考え方、階層性自然科学で重要な基本概念 2~3
生理学
生態学
生理学
行動学遺伝学
進化学
C. Krebs “Ecology” p.2 から再描画この講義の範疇+社会学
保全生態学、生態系管理、合意形成、リスク管理
来週この辺りも簡単に説明
分布
1H5W の WHY と HOW
複雑 動的
科学 の 疑問 と 答え
生態学の場合(詳しくは来週以降)
数
1H5W の WHY と HOW
複雑 動的
関係
1H5W の WHY と HOW
複雑 動的 こわれやすい
生物とは
・進化の産物である どの生き物も親から生まれた子 つまり、子には必ず親がいる という関係 『卵が先 か 鶏が先 か』 ・(地球の)生物はぜ~んぶ、親戚という関係
その意味でも、生物はみんな関係がある過去の関係
生態学では、今の関係BACK GROUND
生命の歴史
進 化
生命の歴史 = 事実としての進化太陽の誕生 およそ50億年前 地球の誕生 およそ45億年前 生物の誕生 およそ38億年前
生物の消滅 およそ??億年後 地球の消滅 およそ50億年後 太陽の爆発 およそ50億年後
HOW
● RNA(DNA)の合成(裸のRNA, DNA)
● ヒト の 誕生
~
生命の歴史上,重大なできごと
● RNA(DNA)の合成(裸のRNA, DNA) 生命の情報が複製される, 伝達されるしくみ(物質的な基礎)ができた・・・約38億年以上前 ● 細胞(核なし) 生命の情報が薄まらない, 自己複製する基本単位ができた,生物の誕生・・・約38億年前 △ 酸素を生産する生物(シアノバクテリア)が生まれ,エネルギー効率増大し,再生産が加速した.おなじ量の糖を分解して得るエネルギー量は,硫黄や硫化水素を利用する生物が得るエネルギーの約18倍. 情報複製が加速され,進化の速度も加速したはず・・・約30億年前 ★ 真核細胞の誕生,核の中にDNAが包みこまれた,遺伝子でないDNAが増大.突然変異の蓄積が急加速.「がらくた」DNA がたくさん,自然選択にかからないそのようなDNAは,後々,大きく異なる生物を生み出す 可能性を秘めていたのではないか・・・20億年余り前 ● 細胞共生(ミトコンドリア,葉緑素),異なる特長が合わさり, 生殖能力のより高い生物が出現したことになる・・・?億年前 ● 有性生殖の出現,遺伝子が混ぜ合わされることにより多様性が増す.一方で,有害な(細胞を死なせるような)遺伝子が発現するのを抑えたり,DNAの集合としてのまとまりを維持したりするのにも役立っていると言われる ・・・10億年余り前 ● 多細胞(群体)が生まれ,さらに細胞の分化が起こった. 細胞間の共生,分業が生まれた・・・約6億年前
進化の暦 38億年を1年365日に例えると・・・
● RNA(DNA)合成=生命の誕生 ● 細胞誕生(38億年前) △ シアノバクテリア誕生 (8億年目) ★ 真核細胞の誕生 ( 18億年目) ● 細胞共生開始 (?億年目) ● 有性生殖出現 ( 28億年目) ● 多細胞 (32億年目)
● 脊椎動物誕生/植物や動物の上陸 ● 哺乳類と爬虫類が分かれた ● 恐竜誕生 ● ヒト誕生
1月1日0時0分 3月17日20時12分38秒 6月21日21時28分25秒
9月25日22時44分13秒 11月3日8時50分32秒
11月12日23時22分6秒 11月30日6時18分57秒 12月7日21時47分22秒 12月31日20時32分31秒
系統樹ナショナルジオグラフィック誌から
WHY と HOW
究極要因 と 至近要因
生態学 生物の分布と数の関係についての 生物科学
種 垂直進化、水平進化 種分化、適応放散 系統樹
WHY と HOW
なんで、こんなに いろいろな生き物(種数)がそこらじゅうに(分布)うじゃうじゃ(数)といるのだろう?
生物は常に進化しており、別の種になっている 垂直進化、水平進化 種分化、適応放散 系統樹
種A 種B
種A”
種C’
種C
時間
今
昔
種A’ 垂直
水平
進化論
進化のしくみ の説明
自然選択説(自然淘汰説)
・生き物 には変異がある ・生き物 の性質は遺伝する ・次世代を残すのは 一部だけ
・残った者 から 残った者 へと性質が受け継がれ ときどき、性質が変化する ことによって
新しい生き物が誕生して来たのだ ! とガテンがいく
進化
チャールズ・ダーウィン 進化論『種の起原』
原著のテキストはウェブで読める 初版(1959)から第6版(1972)まで そのほか、ダーウィンのノート・手紙 など全文書オンライン
http://darwin-online.org.uk/
生物の 種数 : 現在までに記載されている種数は、およそ150万種
昆虫75万種余り、原生動物3万種 その他の動物28万種余り 高等植物25万種、菌類7万種など
菌類、細菌などは、ほんの一部に記載努力が向けられただけ
1千万 ~ 1億種 いるという推定値がある 本当のところは、不明
『生命の多様性(Ⅰ)』EOウィルソン(1995): 210.
数
分布
陸上では、ほとんどが地下2mていどの土壌から、地上50m程度までの樹冠にいる。地下500m~標高8000mていどの範囲に分布。深海は、8000m以上の深さで魚も見つかっている。
記載されている種の大多数(種数)は、地上にいる生物 昆虫は、海水中にはいない (海上に浮くウミアメンボや気水にいるシオユスリカは例外的)
分類単位の 門 の数では、ほとんどが海中にいる
E.O.ウィルソンは『生命の多様性』の中で、地球の中心から地軸に沿って宇宙に向かって歩いたら見える風景として描写
素潜りで水深100m以上も「下」まで往復できる人が数人いる ・・・・ 50mを超えると暗黒の世界、海に溶け込むように感じるらしい
生物の分布と数の関係
陸上生態系では、低緯度(熱帯地方)ほど種数は多い
生物の分布と数の関係
大きな面積の島ほど種数は多い 大陸に近い島ほど種数は多い
砂漠よりも草原、草原よりも森林に、種数は多い 近縁種が多くの種に分化し、多様な形態をしている 湖がある(タンガニーカ湖など)
R. Danovaro et al. BMC Biology 2010, 8:30
海 人類にとっては未知の世界が多く残っている
多細胞の「中型底性動物」(数µm~1mm) が、地球上の多細胞(後生)生物量の6割
を占めると言われている。 後世動物の25門中22門が、それ。内6門は体細胞
記載されている種の大多数を占める昆虫は、海中にはいない
分類単位の 門 の数では、ほとんどが海中にいる
abundance
“Ecology” Begon Tawnsend Harper (2006) Chap 21 Patterns in Species Richness, p.602 definition
生物多様性 と 種の多さ: 種の多さ = 一定の地域に生息する種数
生物多様性 と 種の多さ は 同義ではない
種の多さ は、生物多様性のなかで一番単純でわかりやすい
種内の遺伝的多様性、群集の多様性、環境(砂漠・湿地・森林・海洋など)ごとの多様性、など、
生物多様性 自体 に 多様な意味が含まれる
「生態学」 21章 種の豊富さとパターン 785頁
DJ Futuyma “Evolution” p.143 Evolution of Bioiversity
1. オルドヴィス紀末 およそ2500万年 2. デボン紀後期 およそ3000万年 3. ペルム紀末 + 4. 三畳紀末 およそ1億年 5. 白亜紀、K-T境界 およそ2000万年
大絶滅から生物多様性が元に 回復するのに要した時間
『生命の多様性(Ⅰ)』EOウィルソン(1995): 51.
ヒト Homo sapiens が誕生してからおよそ150万年・・・
『持続不可能性』の中で サイモン・レビンは 複雑な自然のしくみが、こわれるときの様子を 砂の山に例えている。 砂を落として行くと、砂山はだんだん高くなっていく。どこかで、砂山の山肌に必ず崩壊が起きる。いつ、どこが崩壊するか、正確に予想できない。
あるいは、山崩し ゲームを思い浮かべてもよい。
<!
種の多さ3種 = 3種
「多彩」 “colourful !”
シャノン-ウィナーの多様度指数
H’ = -Σ Pi・(log Pi)
n 種いる群集でi , 1 〜 nPi , i番目の種の個体数割合
各種の個体数が均等なほど大きい値となる生物学的根拠はない
<
H’ = 0.225 H’ = 0.473n=3 の場合、H’(max)=4.77
でも、しかし・・・・1
これは「希少種」かもしれない
少数でも特別の役割を持つかもしれない
例 : イリオモテヤマネコ、オリイコゲラ・・・・
適応、キツツキの特徴 絶滅
ダーウィンは、『種の起原』第3章 生存闘争 の冒頭で、「キツツキとヤドリギに、もっともはっきりとした形で、この適応がみられる」と書いている。
キツツキを、「木を登り、樹皮下の昆虫をとらえることに適応しているという点で、これ以上の例はないが、主として果実を食べたり樹液をなめたりしているキツツキもいる」、と例証として示している。
WHY なぜそのように進化したのか? HOW どのように適応しているのか?
1. 対趾足と鋭い爪 2. 堅くて尖った尾 3. 長い舌と舌先の構造・アルカリ性の唾液 4. 嘴・骨格・皮膚
キツツキの舌
キツツキの舌先
キツツキのつつき行動と内部形態の特徴
キツツキの打撃の衝撃を緩衝する構造
おしまい