光学基礎 - ugs.kochi-tech.ac.jp · 光学基礎 高知工科大学!...
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光学基礎
高知工科大学 システム工学群1年4Q科目 担当教員 野中弘二
システム工学群専門基礎講義③ 2012/12-‐2013/02
注意:曜日振替日程の影響でテスト予定日程変更 小テスト1 2012年12月21日(済) 小テスト2 2013年2月1日 本テスト 2013年2月8日
講義内容
1. 光の性質:光波、光線、光子 進む向き(屈折/反射)、エネルギー、パワー
2. 幾何光学(光線光学): 光波の進む向きをベクトルと行列で簡単に扱う
3. 波動光学: 波として取り扱う現象 (回折、波束、反射率、干渉、偏光)
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光の進み方:光路長最短の法則
屈折率差で速度が変化:波面の進行方向(光路)変化 屈折率を考慮した光路長最短の経路をとおる
頂角αのプリズムで屈折する光の進み方
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頂角α(x) のプリズム光の進み方 x
z
偏角δ(x)
tanΦ=tan(90°-‐δ)=w/(n-‐1)d
偏向ビームが光軸を横切る距離 焦点距離fm =(SL-‐hm+dm)+R/(n-‐1) 曲率半径と屈折率に関係する
Φ(x) 偏角δ(x)
Φ(x)
頂角α(x) 斜面に入る光の進み方 x
z
偏角δ(x)
δはスネルの法則 斜面入射角θ Ξ=(90°-‐δ)は入射面と 入射光線ベクトルのなす角
ξ(x) 偏角δ(x)
Φ(x)
ξ(x)
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基底ベクトル:光の進み方を表すベクトル
演習6:レンズで屈折する光の進み方
厚みがSL=(1.5cm)で屈折率がn(=1.5)、曲率半径R(=10cm)のレンズ
①システム行列 ②中心から2cmずれたところに光軸に平行に 入った光の出点の位置ズレ ③ 平行ビームの偏角δ ④ レンズの焦点距離Fを求めよ
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境界面の作用を表す行列表示
Rは正 Rは負
曲率
Rは正 Rは負
曲率
ベクトル量に作用を及ぼす光学媒体:行列
物点から出た光が再び集まる場所:結像点 →フェルマの原理によれば物点から像点までの 光路長同じ(システム行列による波面の変換)
1 0
1- nL
R2
1
1
0
-SL
nL
1
1 0 n
L-1
R1
1
c d
ba
入射 転送 出射 システム
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複数の境界面のある光学素子:レンズ
両凸レンズ:平凸レンズ:平凹レンズ メニスカスレンズ(凸、凹) システム行列を考えてみよう!
1 0
1- nL
R2
1
1
0
-SL
nL
1
1 0 n
L-1
R1
1
c d
ba
演習6:レンズで屈折する光の進み方
厚みがSL=(1.5cm)で屈折率がn(=1.5)、曲率半径R(=10cm)のレンズ
①システム行列 ②中心から2cmずれたところに光軸に平行に 入った光の出点の位置ズレ ③ 平行ビームの偏角δ ④ レンズの焦点距離Fを求めよ
1 0
1-1.5
-10 1
1
0
-1.5
1.5
1
1 01.5-1
10 1
19/20 -1
19/2039/400
±2
0
19/20 -1
19/2039/400
±19/10
±39/200
±1.9
±cos78.8°
①
③ξ=78.8°
偏角δ=+11.2°
②光軸から2cm離れて入って出力は1.9cm離れて出てくる:0.1cm内側にズレ
④システム行列より屈曲率a=39/400 :焦点距離 F=1/a=400/39=>10.26cm
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システム行列でわかること 様々な経路から入射した基底ベクトル出点、方位 光軸に平行な光入射すると:偏角、焦点距離(屈折力)
1 0
1- nL
R2
1
1
0
-SL
nL
1
1 0 n
L-1
R1
1
c d
ba
偏角δ=90-ξ
±X1
0
c d
b a
±cX1+0
±aX1+0
±X2
-cosξ
屈折力 F=1/a
システム行列による「近軸光線」 わかること:様々な経路から入射した基底ベクトル出点、方位 光軸に平行な光cosξ=0入射→偏角、焦点距離(屈折力)
偏角δ=90-ξ
±X1
0
c d
b a
±cX1+0
±aX1+0
±X2
-cosξ
F=1/a
近軸(δ小さい):X/sinδ≒X・tanξout=F
δ
δ X
θ(x) X θ(x)
近軸(θ小さい) :-‐X/sin2θ(x)≒X・tanξout=F
O 曲率 中心
レンズ
鏡
±1
0
c d
b a
±c
-cosξ
*近軸で無い(大きい鏡)とずれてくる→収差:Z=AX2の放物面鏡を使用
±1
0
1 0
1 -2n/R
±1
-cosξ
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教科書p41の解釈 球面鏡への近軸光線:入射は曲面での屈折(空気-‐ガラス間) 統一的表記可能:反射は負の屈折率媒質への屈折(空気-‐空気間)
偏角δ=90-ξ
±X1
0
c d
b a
±cX1+0
±aX1+0
±X2
-cosξ
θ(x) X θ(x)
O 曲率 中心
曲面への屈折行列(レンズ)
曲面への反射行列(鏡)
1 0
1 (n2-n1)/R
1 0
1 (-n1-n1)/R
S
RはSに統一可能 R
1 0
1 (n2-n1)/R
1 -s/n
1 0T
S
さて! 球面光学系での結像理論 屈折行列Sの統一的表記:曲面での屈折(空気-‐ガラス間)
次は転送行列Tの統一的拡張: レンズ内、空間とも
物体から像までシステム行列の拡張p45(転送行列の±、空間の±の起点に注意): 光(物体)-‐>空間-‐レンズ-‐空間-‐>光(像) シュライエルマッヘルの方程式p46 理想結像条件(歪んでない)では→
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光学系の主要点:横倍率、焦点、主点、節点
xob
-cosξob
c-as2
0
b+as1
a
xim
-cosξim
*物体の位置xobから発せられる光がS1離れたシステム行列Sのレンズを通りS2離れた ところで位置にximに集光し(て像を作った?)
1 0
1- nL
R2
1
1
0
-SL
nL
1
1 0 n
L-1
R1
1
c d
ba
システム行列S
シュライエルマッヘルの方程式 (空気中n=1で理想光学系の場合)
M 0
1/M 1/f
c-as2
0
b+as1
a
厚みがある場合の距離の基準点: 倍率M=1の物体/像対称のとき 平行光と屈折光が交わる点:主点H レンズの中心を通る光が(仮想的に)折れる点:節点N M=∞ レンズ表面から前側焦点SF1 M=0 レンズ表面から後側焦点SF2 主点から 前焦点距離 f1=SF1-‐SH1=-‐1/a 主点から 後焦点距離 f2=SF2-‐SH2=1/a
理想光学系の結像条件と像倍率 シュライエルマッヘルの方程式 が簡単になる理想光学系の場合 →同じ点では光線の角度により 到達位置が歪まない(像がぼけない)はず!
1行2列が0→
!
d + cs1n1"b2
s2n2
+ as1n1
s2n2
= 0
・n1,n2は空気なので1とし
レンズからの距離l1,l2 をs で表し b,c,を l で置き換えていく ・ガウス行列ではbc-‐ad=1を利用してdを表す
!
l2 " l1 + al2l1 = 01"l1
+1l2
= a =1f2
残ったaとl1,l2 の式は 中高で幾何的に学ぶ 焦点距離と物体、像の関係式と一致 →レンズの結像式 p54 倍率Mはl1,l2の等比△の比より
!
M =( f2 + z2)( f1 + z1)
=l2l1
!
l1 = s1 " sH1l2 = s2 " sH 2
!
b =1 " asH1c =1+ asH1
!
bc " ad =1
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レンズ曲率、距離と焦点、倍率 単レンズの場合 (理想光学系、空気中n=1、レンズ厚みSL、屈折率nLの場合)
1 0
1- nL
R2
1
1
0
-SL
nL
1
1 0 n
L-1
R1
1Φ
1+Φ
2-Φ
1Φ
2・sL/n
L
1-Φ1sL/n
L
1-Φ2sL/n
L
-sL/nL
!
a = "1f1
=1f2
= #1 + #1 " #1#2sLnL
= (nL "1)1R1"1R2
$
% &
'
( ) +
nL "1( )2
nL•
sLR1R2
薄肉レンズの場合 (レンズ厚みSL=0、屈折率nL)
複数のレンズの合成:組み合わせレンズ
両凸レンズ:平凸レンズ:平凹レンズ メニスカスレンズ(凸、凹)
様々な組み合わせレンズのシステム行列を考えてみよう!
組み合わせレンズ(空間あり)の場合≒厚みのあるレンズ ( 空間では空気中n=1 厚みS0 レンズ内ではn=nL 厚みSL )
1
0
-s/n
1a2b2
c2d2
a1b1
c1d1
atotal
btotal
ctotal
dtotal
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レンズと空間の組み合わせ:焦点 組み合わせレンズ(空間あり)の場合 p59 (理想光学系、レンズ1, 空間は空気中n=1厚みS0 レンズ2)
各々の屈折力Dj
レンズ密着(S0=0)の場合
!
atotal = "1
F1total=
1F2total
=1f j 2j=1
N
#
D = Djj#
!
atotal = "1
F1total=
1F2total
= a1b2 + a2 (c1 " a1s0 )
=b2f12
+c1f22
#
$ %
&
' ( "
s0f12 f22
)1f12
+1f 22
#
$ %
&
' ( "
s0f12 f 22
1
0
-s0
1a2b2
c2d2
a1b1
c1d1
!
a1d2 + c2(c1 " a1s0) b1d2 + c2(d1 " b1s0 )a1b2 + a2 (c1 " a1s0 ) b1b2 + a2(d1 " b1s0)#
$ %
&
' (
演習7:レンズ配置と焦点、倍率、物体と像の関係
1. 厚い単レンズのシステム行列 (曲率半径 R1=10cm, R1=10cm レンズ厚みSL=2 屈折率nL=1.5 のメニスカスレンズの焦点距離)
2. 厚い単レンズの焦点距離、曲率半径(記載間違いあり↓修正しました) (レンズ1 曲率半径がともにRで,レンズ厚みSL=3のメニスカスレンズで屈折率nL=1.52場合) 焦点距離100cmを得るために必要な曲率半径
3. 組み合わせレンズの合成焦点距離 (レンズ1 平凸 曲率半径+5,屈折率1.5、レンズ厚みSL=0 レンズ2 平凹 曲率半径-‐5,屈折率1.5、レンズ厚みSL=0) 合成焦点距離200cmを得るために必要なレンズ1とレンズ2の間隔S0
4. 像の位置と焦点距離、倍率 両面の曲率半径が等しいレンズ(前後対称)に ①平行光を入射、後方9.8cmに点像)(SF2)、 ②レンズの前側頂点の前方14.8cmにある物体(S1) がレンズ後側頂点後方29.8cm(S2)に倒立実像を結んだ。 レンズ主点からの距離l1,l2 と焦点距離f、像倍率Mを求めよ。
→質問があったため p260の解答をp54の図を活用して説明します。 ⑴SF2=9.8, S1=14.8, S2=29.8, l1 =f1+z1=f1-‐(14.8-‐9.8)=-‐(f2+5),対称性より同様に l2 =f2+z2=f2+20 これを右上の式に代入すると未知数f2だけの式となりf2=10が得られ、l1 =-‐15、 l2 =30、M=-‐2 が求まる
教科書p69-‐70より
!
l2 " l1 + al2l1 = 01"l1
+1l2
= a =1f2
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12
zO
物体像
F
S1=l1
S2=l2
反射系の結像
1
0
S1
n
1
1 0
-2
R 1
1-2s2/R
L
1-s2/R
1
0
S2
n
1 -2n
R
!
s1n +
s2n
"
# $
%
& ' 1 ( s1R"
# $
%
& '
!
1"l1
"1l2
= a = "2R
=1f2
・鏡の曲率半径Rからの距離l1,l2 はS1、S2と同じ ・理想光学系はシュライエルマッヘルの方程式の 1行2列=0なので レンズと同様に処理すると
入射空間n=1 反射(擬似的屈折空間)n=-‐1 と考えると レンズの式と統一可能
利点:レンズより曲率同じで屈折力大 点光源から平行ビーム作りやすい 屈折率の波長分散n(λ)がないので色にじみ(収差)がない
LEDと曲面ミラー
利点: レンズより曲率同じで屈折力大 点光源から平行ビーム作りやすい (放物面がベター) 屈折率の波長分散n(λ)ないので 色にじみ(収差)ない
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13
zO
物体
像 Fz
O
物体像
F
演習8:球面反射鏡による物体と像の関係
1 球面鏡:凹面鏡、凸面鏡 ①(理想光学系、空気中、曲率半径 12cm の凸面鏡) ②(理想光学系、空気中、曲率半径 20cm の凹面鏡) 1-‐1. システム行列(空気中なので n=1) 1-‐2. 鏡の 焦点距離、焦点の位置、節点の位置
1
0
S1
n
1
1 0
-2
R 1
1-2s2/R
L
1-s2/R
1
0
S2
n
1 -2n
R
!
s1n +
s2n
"
# $
%
& ' 1 ( s1R"
# $
%
& '
2. 凹面鏡で実像が観測される物点の範囲
教科書p69-‐70より
空気中なので n=1
!
1"l1
"1l2
= a = "2R
=1f2