現場ではたらく ビル管 interview ·...
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87設備と管理/2012年 11 月号
なぜビル管理業界ではたらこうと思ったのですか? 以前,私はフランチャイズのラーメン屋の新規店オープンの立ち上げ業務をしていました.あるとき,ショッピングセンターにようやく進出できてテナントとして入ったのですが,支配人が,各テナントの売上や館内の概況,競合の状況などもすべて把握しており尊敬を覚えました. したがって,ビル管理業界に転職したかったというよりも,ショッピングセンターの支配人になりたいと思ったのが正確な言い方です. 希望通りショッピングセンターに配属されたものの,転職したばかりの頃は,経験がないものですから知識でカバーしようと思い,一生懸命に勉強して,ビル管理技術者と危険物取扱者の資格を取得しました.エリア担当の玉山さんから:私は30年ほど
前に電気主任技術者の資格を取って以来,設備の仕事をしてきました.なにか壊れたら修繕するというのが好きで,肌に合っているんです. 業務はウニクス専属というわけではなく,エリア一帯の営繕修理をしたり,なにかトラブルがあった時に指示を出したり,直接出向いて解決しています.ウニクスには,消防設備点検と特殊建築物定期検査などで(4棟あるので),月に1~2回程度点検に出向いていますね.ウニクス南古谷について教えてください ウニクス南古谷は,ヤオコー(スーパーマーケット)を核店舗とした郊外型のショッピングセンターです.シネマ棟など4つの棟に全部で47店
舗が入店しています.日々,どのような業務をしていますか? 弊社は,(株)ウニクス様より管理運営業務を委託されておりますが,そのなかでリーシングと言って,テナントを誘致する以外の業務はすべてこなしています. 前職では,自分の店の売上だけを考えていればよかったのですが,この仕事をするようになって,ショッピングセンター全体(すべてのテナント)の売上アップ,客足などを考えるようになりました.そのため,いまでは,お客様がウニクスで快適な時間を過ごせているかという観点で仕事をするようにしています. そして,こういった仕事をしているからこそ,出会えた数多くのテナントオーナーには感謝していますね.一つの企業を背負っている方とお話しすることは,パワーを感じるし,視野も広がりました.ほかにもテナントの従業員と「今日はよく売れた」「今日は雨で客の出足が遅かった」など横のつながりが深く,一体感ある雰囲気の中で仕事ができることも楽しいです. テナントからは気軽に相談をされており,たとえば,脚立では届かないところの電球が切れた,といったお手軽なものから集客のアイディアまで幅広いです. 前職は,外に目を光らせなければならない仕事でしたから,競合店がどこそこにいつ新規オープンするとか,○○フェアを始めたとかそういった情報には敏感です.自ら足を運んで調査し,報告書を店長会(月に1回/47店舗)に提出するといっ
今月は,ショッピングセンターの支配人になりたい!という動機でビル管理業界に転職した新日本ビルサービスの中尾さんを訪ねました. 同社は,建物の管理業務だけではなく,テナントとの定例会議,販促のイベント立案まで行うというビルメンテナンス業界では稀有な存在. ショッピングセンターの売上をアップさせることが一番の目標.売上がアップするということはお客様がウニクスで快適に過ごしていただけたという証ですから,とおっしゃる元営業マンの中尾さんにインタビューしました.
第14回 ウニクス南古谷 中尾 高志 さん(新日本ビルサービス 株式会社)
現場ではたらくビル管◦INTERVIEW
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たこともしていますね.害虫対策はどのようにしていますか? 2か月に1回,害虫防除の調査をしています. テナントの調査報告書から,害虫防除の希望箇所があがってくると,私自身が見に行き,たとえばグリーストラップがきちんと清掃されているか,などをチェックします.問題があるようでしたら,写真を添付して「この部分を掃除しておくように」と指示書を出します. それでも改善されない場合は,是正報告書として,写真を添付して,ウニクス本部に提出します. 自分は新日本ビルサービスの人間ですから,こういったところに営業チャンスがあると考えています.清掃が苦手な飲食店には,我が社の清掃部門を紹介できるわけですから…. そもそも,テナントが困ったらまず私に相談がきます.たとえば「排水管が破裂してしまった,どうしよう」などです. でも理想を言えば,破裂する前にこちらが発見しケアをしてあげれば,コストも安く済むし,お客様に迷惑をかけることもなくなるので,テナントにとっても私たちにとっても良いことです.「攻め」の意識が強いですね まだまだ受け身ですよ. でも受け身にならざるをえないのには訳があって,自分の知識が少なかったり,やらなくてもコトが進んでいったり,自社の商品や設備の仕組みがわかっていなかったり…だと思います. 自分の会社では,こんなこともできる,あんなこともできるとアンテナを張り巡らせば,ビル管
理の仕事の幅はもっと広がりますし,もっと需要が出てくるはずです.正直,業務が広すぎて追い切れていないんですよね. もし個人ができなければ,チームや会社全体でバックアップをしなくてはなりません.そのあたりが,我が社がもっと強く大きくなれるポイントだと思っていますね.報告書に写真を添付するのは良いですね デジカメは絶えず持ち歩くようにしています. 百聞は一見にしかず.なにか壊れたとき,客の入り具合,など,本社やウニクス本部への報告書には写真を添付するようにしています.報告される側も写真を見たほうが,わかりやすいはずです. 毎日,平均30枚程度は撮影します.週末はたいていイベントがあるので100〜200枚程度とります.イベントはウニクスから指示が入るのですか? いえ,私たちがイベントの企画を行います. 先週はテナントであるスポーツ用品店が,サッカーの予選大会を行いました.ボーリングのピンを立てて,たくさん倒れたチームが優勝!といった具合です. 参加者は,地域の子どもサッカーチームで,トーナメント表の作成や参加連絡の是非,経費などはテナント主導でお願いをし,私たちはイベントの告知をして集客につなげます.いままでで一番苦労したことを教えてください レアケースだと思いますが,あるテナントで,出入口のガラス扉の存在にお客様(お子様)が気づかなくて,割ってしまったことがあります. どこの負担で修理をするか,早急に判断しなくてはならず悩みました. 法律上は,お客様による破損ですからお客様負担にもできるし,テナントの中から外へ出る際の事故でしたのでテナント責任ということにもできるし,外から見れば共有部のガラスドアですからウニクス負担ということにもできました. 三者それぞれに理由があり,判断が難しかったです.お客様としては子どもがケガをしているのに金銭負担までしろというのか!とご立腹で,テナントは困っていました.
エリア担当の玉山さん.頼りになります.
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結局,お客様第一主義というポリシーをもつウニクスが負担をしました. こういった複合施設は修繕も大切ですが,トラブルが起こったときに潤滑油となり,間に入って物事を解決する方向にもっていく役割も大切です.御社の良いところを教えてください 会社がアットホームなところですね.社長との距離が近いです. 社長には毎週1回,週間報告を提出するのですが,誰もがそれを見ることができるので,中途の私でも,社員全員の仕事ぶりがわかり親近感をもつことができます.誰かの失敗や教訓を,社員全員が共有できるところが良いですね.玉山さんより:垣根がないところですね.週
間報告は社長も提出します.社長が報告書を出すということは,一生懸命仕事をしていることの証.トップが毎週出しているんだから私たちがサボるわけにはいきません(笑) 上のやる気が下に伝わってくるんです.口だけ言ったって若い人は付いてきません.上が一生懸命頑張っているから,下は付いてくるんです.まず自分自身がやる気をみせないと.「気」が大切です.気があれば行動は自然と付いてきます.トラブルがあった時に,率先して動く上司がいれば,部下は自然とその行動が身に付きます. 個人個人がレベルアップすれば,その個人が集まる会社もレベルアップして大きくなる.いま,我が社には,良い「気」が流れていると思います.新人にはどのように指導していきたいですか? 業務が多岐にわたるので,専門に特化しなくてよいから,浅く広く楽しく!を教えたいですね.そして本人が「これに特化したい」というところをみつけてもらって「じゃあこの分野はお前に任せるぞ」と一任したいのが理想です.玉山さんより:一緒に仕事をしている姿を見
て覚えてほしいですね.もちろん質問されたら教えますよ.でも頭ごなしに教えたって無駄なんです.この仕事が楽しくないと思う人は,いくら頭が優秀でも長続きしないと思います.トラブルが起きると,興味をもって「どうしてこうなってしまったのだろう」って思える人じゃないと成長は
難しいです. もうひとつは資格取得の奨励です.本人が勉強してるといっても,資格を取ってなければ勉強しているうちに入りません.休日はどのように過ごしていますか? 職業病だと思いますが,他のショッピングセンターに行くと,ついつい新しい設備に目がいきます.駐車場の身障者ゲートだったり,認証システムだったり,屋上緑化の方法だったり…. 近々の大改修を控え,どういった提案をウニクスにできるかがポイントになると思っています. オーナーの利益に直結できる設備・システム・情報にアンテナを張って,いつまでも我が社に管理をしてほしいと思うような,そういうビル管理技術者になりたいと思っています.
ウニクス南古谷 外観
建物で最も重要なものは何かと問われたら,私は防災だと思います.いざというときに人命を守ってくれる建物でなくてはいけません. 実は,この仕事を始めて2年目に,誤報で,早朝に2日続けて消防車を呼んでしまったことがありました.1日目は消防士さんも「こんなこともありますよ」と言ってくれたのですが,2日目はこてんぱんに叱られました. 40歳を過ぎた大の男が,こんなに怒られたのですから,ここはしっかり反省して,消防設備の資格を勉強して全部取得しました.もうあんな恥ずかしい思いは嫌ですからね. 私たち設備員は消防士の出先機関,防災意識をきちんともったうえで,建物の電気が止まらないように,快適な空調や衛生設備を整えることが私たちの仕事だと思います.
●エリア担当の玉山さんより●