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ESRI Discussion Paper Series No.99 沖縄県における保育士賃金の決定要因:経営主体別の賃金プロファイル と非営利賃金プレミアムのミクロデータによる検証 by 清水谷諭・野口晴子 April 2004 内閣府経済社会総合研究所 Economic and Social Research Institute Cabinet Office Tokyo, Japan

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ESRI Discussion Paper Series No.99

沖縄県における保育士賃金の決定要因:経営主体別の賃金プロファイル

と非営利賃金プレミアムのミクロデータによる検証

by

清水谷諭・野口晴子

April 2004

内閣府経済社会総合研究所 Economic and Social Research Institute

Cabinet Office Tokyo, Japan

Page 2: by2002 年から始まった「待機児童ゼロ作戦」では保育所等において2002 年度中に5 万人、 さらに2004 年度までに10 万人の合計15 万人の受入児童数増大を図るとしている。

ESRIディスカッション・ペーパー・シリーズは、内閣府経済社会総合研究所の研

究者および外部研究者によって行われた研究成果をとりまとめたものです。学界、研究機関等の関係する方々から幅広くコメントを頂き、今後の研究に役立てることを意図して発表しております。 論文は、すべて研究者個人の責任で執筆されており、内閣府経済社会総合研究所の見

解を示すものではありません。

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沖縄県における保育士賃金の決定要因:

経営主体別の賃金プロファイルと非営利賃金プレミアムのミクロデータによる検証1

清水谷 諭2

(一橋大学経済研究所助教授・前内閣府経済社会総合研究所研修企画官)

野口 晴子3

(東洋英和女学院大学助教授・内閣府経済社会総合研究所客員主任研究官)

2004 年 4 月

1 本論文は、内閣府経済社会総合研究所『沖縄県における保育サービス供給の実証分析―「沖縄県における保育サービス市場研究会」報告書―』の一部をベースに書き改めたものである。研究会の作業において、データ収集に御協力いただいた沖縄県福祉保健部青少年・児童家庭課及び内閣府経済社会総合研究所に感謝申し上げたい。さらに、有益なコメントをいただいた沖縄県福祉保健部青少年・児童家庭課、琉球大学の澤野孝一朗氏、内閣府経済社会総合研究所でのセミナーの参加者に感謝申し上げたい。なお、本論文に示される見解は内閣府ないし日本政府の見解ではない。残った誤りは著者の責任である。 2 連絡先:〒186-8630 東京都国立市中 2-1 一橋大学経済総合研究所、 E-mail : [email protected] 3 連絡先:〒226-0015 神奈川県横浜市緑区三保町 32 東洋英和女学院大学国際社会学部、 TEL 045-922-5511, E-mail : [email protected]

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要 旨

沖縄県は、大都市部以外でありながら待機児童問題が極めて深刻であり、認可保育所の

供給不足が著しい。そこで、本論文は、沖縄県における保育士の非常の豊富なミクロデー

タを用いて、経営主体別に保育士の賃金決定要因の解明を試みた。特に焦点を当てたのは、

(1)一般職の公務員と同じ俸給表に基づいて決定されている公立保育所と比較して、私

立認可保育所の賃金プロファイルがどのような形状をし、それがどのように説明されるの

か、

(2)私立認可保育所と認可外保育所を比較して、保育サービス市場におけて非営利賃金

プレミアムが存在するか、存在するとすればどの程度か、の 2 つの点である。

実証分析の結果、以下の点が明らかになった。

まず、賃金プロファイルについては、公立保育所では一般の公務員と同じ俸給表によっ

て決定され、傾きが急勾配であるのに対して、私立認可保育所はよりフラットである。し

かし、同じ公立保育所でも、非常勤保育士の賃金プロファイルはフラットであり、常勤保

育士との間で大きな差がある。一方、私立認可保育所では両者の間で大きな勾配の差はな

い。常勤保育士と非常勤保育士の間では職務内容に大きな違いはないことから、公立保育

所の常勤保育士の賃金プロファイルだけが急勾配であることを説明するのは難しい。

次に、非営利賃金プレミアムについては、様々な要因をコントロールした上でも、私立

認可保育所は認可外保育所と比較して明らかに賃金が高い。賃金格差の要因分解を行うと、

年齢、経験年数といった人的資本的な要素よりも、総開園時間や施設規模(雇用者数)と

いった経営方針の違いが格差の拡大に寄与している。

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1. はじめに

保育サービス需要は、核家族化の進行や女性の社会進出の増加など、ライフスタイルの

変化に伴って、増加傾向にある。政府も保育サービスの充実に積極的に取り組んでおり、

2002 年から始まった「待機児童ゼロ作戦」では保育所等において 2002 年度中に 5 万人、

さらに 2004 年度までに 10 万人の合計 15 万人の受入児童数増大を図るとしている。

しかし、そうした政策努力に関わらず、むしろ待機児童数は増加に転じている。児童の

年齢や地域によっては、保育サービス需要に対して、供給が追いつかない「待機児童問題」

が依然深刻化している4。待機児童問題は東京・大阪などのいわゆる大都市部の低年齢児

(0-2 歳児)で特に顕著にみられる(内閣府物価政策課(2003))。

大都市部以外で待機児童問題が深刻である唯一の例外が沖縄県である。むしろ、沖縄県

は待機児童問題が最も深刻な都道府県の中の 1 つであるといえる。

2003 年 4 月 1 日現在、公表された沖縄県の待機児童数は 2051 人で、前年 4 月 1 日現在

の 1621 人よりも大幅に増加している5。待機児童数だけで見ると、人口の多い東京都(5,208

人)や大阪府(3,863 人)、神奈川県(2,944 人)に次いで全国で 4 番目に多くなっている。

しかし待機児童問題の深刻さを測るためには、待機児童数を保育所の定員で割った「待

機率」をチェックしなければならない。全国第 1 位の神奈川県(11.1%)に次いで、沖縄

県は全国第 2 位(8.3%)となっている。これは大阪府(5.9%)や東京都(3.3%)を大き

く上回っている。

沖縄県の保育サービス市場をみた場合、深刻な待機児童問題以外にも本土と異なる次の

2 つの大きな特徴がある。

まず、保育サービスの供給面の特徴として、認可外保育所の利用者が認可保育所の利用

者を上回っている。大都市部では認可外保育所を利用している世帯も多いものの、利用者

の半分以上を占めているというのは沖縄県だけであろう。

さらに、保育サービス需要の背景として、沖縄県の出生率が全国一であり、出産年齢が

比較的若く、若い母親への出産育児サポートの必要が特に高い(富永(2003))。また離婚

率も全国一であり、子供の有無が離婚の意思決定に及ぼす影響が相対的に弱く、母子家庭

の割合も全国平均を大幅に上回っている(富永(2003))。

4 厚生労働省の定義では、「待機児童」とは、(1)保育所入所申込書が市区町村に提出され、(2)入所要件に該当している者の中で、(3)実際に入所を行っていない児童を指す。 5 厚生労働省「保育所の状況(平成 15 年 4 月 1 日)等について」による。更に詳細な情報については、http://www.mhlw.go.jp/houdou/2003/08/h0819-3.html を参照。

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このように、(1)大都市部以外で待機児童問題が深刻である、(2)半数以上の利用者

が認可外保育所を利用している、(3)出生率・離婚率が極めて高い、といった点におい

て、沖縄県の保育サービス市場は本土にない非常に特徴のある市場であり、いくつかの点

で、日本全国が近い将来直面するような課題をすでに含まれている。言い換えれば、沖縄

県の保育サービス市場で得られた実証分析の結果は、沖縄県だけでなく日本全国に対して

も非常に大きな政策的インプリケーションをもたらすことになる。

待機児童問題解決のためには、より高品質・低コストの保育サービスを十分確保する必

要がある。そのためには、新規参入の促進とともに既存保育所の一層の効率化が不可欠で

ある。保育サービスは労働集約的であり、保育士の賃金水準は保育コストに大きな影響を

与える。従って保育サービス供給増加政策を企画立案する際にも、経営主体別の賃金構造

の実態解明はその基礎となる。

特に焦点を当てなければならないのは、次の 2 点である。こうした論点の実証的解明は、

待機児童問題が深刻な沖縄県では特に喫緊の課題である。

第 1 は、一般職の公務員と同じ俸給表に基づいて決定されている公立保育所と比較して、

同じ認可保育所でも私立認可保育所の賃金プロファイルがどのような形状をしているか、

それがどのように説明されるのかという点である。これによって、認可保育所の効率化の

手がかりを得ることができる。

第 2 は、理論的にも政策的にもインプリケーションが大きい保育サービス市場における

非営利賃金プレミアムが存在するか、存在するとすればどの程度かという点である。これ

によって、新規参入政策の手がかりを得ることができる。

しかし、これまで保育サービス市場の実証分析自体、極めて少ないのが現状である。し

かもこうした先行研究も県別のデータを使ったものがほとんどであり6、労働者や施設の

属性を十分にコントロールするだけの豊富なミクロデータを用いて解明を試みたものは

皆無に近い。この現状では実証に基づいた政策の企画立案から程遠い。

唯一の例外は内閣府物価政策課(2003)及びそれを発展させた Noguchi, Shimizutani and

Suzuki (2003a, 2003b)、清水谷・野口(2004a, 2004b)である。この研究は関東近辺 10 都県

から保育士レベルの詳細なデータを収集し、上の 2 つの論点を中心に、経営主体別に保育

士の賃金決定要因の解明を行っている。本論文は、この先行研究と同様の方法で沖縄県で

保育士レベルのミクロデータの収集を行い、同様の方法で保育士の賃金決定要因の検証を

行う。 6 例えば周(2002)。

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本論文の構成は以下のとおりである。第 2 節では経営主体別の賃金プロファイル及び非

営利賃金プレミアムについて、理論的背景と先行研究を示す。第 3 節では使用するミクロ

データを説明する。第 4 節では、公立・私立認可保育所について、経営主体別に標準的な

Mincer 型の賃金関数の推計を行う。第 5 節では、得られた推計結果をもとに経営主体別に

賃金プロファイルを描くとともに、公立・私立認可保育所の間の賃金格差の要因分解を行

う、第 6 節では、非営利賃金プレミアムの検証を行うため、私立認可保育所と認可外保育

所の賃金関数を推計し、賃金格差の要因分解を行う。第 7 節では、これまでの実証結果を

総括し、政策的インプリケーションを導く。

2. 経営主体別の賃金プロファイルの違いと非営利賃金プレミアム

本節では、本論文で焦点を当てる経営主体別の賃金プロファイルの違いと非営利賃金プ

レミアムの理論的背景について説明する。

まず、経営主体別の賃金プロファイルの検証には、次の 2 つの意義がある7。本論文

は、同じ認可保育所である公立と私立認可保育所の違いに焦点を当てる。

第 1 は、いわゆる二重労働市場論が保育労働市場に当てはまるかどうかである。

認可保育所のうち、公立保育所の常勤保育士の賃金体系が一般公務員の事務職俸給表

に従っているために、賃金プロファイルが非常に急になっている8。しかし、同じ認可

保育所でも私立認可保育所の賃金プロファイルについてはほとんど明らかになってい

ない。

仮に、私立認可保育所の常勤保育士の賃金プロファイルの傾きも勾配が急であれば、

保育労働市場では年齢が高いあるいは経験年数が豊富な保育士ほど賃金が高いという

人的資本論(human capital theory)で賃金が決定されていることになる。しかし、私立認可

保育所の賃金プロファイルの傾きがそれほど急でない場合には、むしろ二重労働市場

(Dickens and Lang (1985))によって特徴付けられる。

二重労働市場論は同じ労働市場が primary 市場と secondary 市場に分割されていると

する考え方である。このうち primary 市場では、年齢や経験年数などの人的資本によっ

て賃金が決定され、かつその市場で働くことができる労働者の数は限られている(「割

り当て」が行われている)。一方、secondary 市場では、賃金が年齢や経験年数によって

7 この部分は Noguchi, Shimizutani and Suzuki (2003a)及び清水谷・野口 (2004a)に拠っている。 8 ただし、2000 年より公立保育所の保育士の給与は地方公務員の行政職から福祉職に準ずるようになった(総務省調べ)ため、状況は徐々に変わりつつある。

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左右されにくく、労働者も職を見つけることが比較的容易である。

保育労働市場の場合、公立保育所の賃金プロファイルが急である上、公立認可保育所

へ入所するためには、年齢制限など入所資格が厳しく、競争率も高い。また、公立認可

保育所と他の経営主体の保育所との間で雇用は流動的ではない。従って、公立保育所へ

の雇用は割り当てがなされていると考えてよい。その意味では、公立保育所は primary

市場としての特徴を明らかに備えている。しかし、私立認可保育所についてもそれがあ

てはまるかは明らかでない。

第 2 は、そもそも人的資本論が保育労働市場に当てはまるかどうかである。それを検

証するため、公立と私立認可保育所で常勤保育士と非常勤保育士の賃金プロファイルを

比較する。一般に常勤保育士と非常勤保育士の間では職務内容に大きな違いはないとさ

れている。従って、もし人的資本論が成り立つのであれば、公立保育所の非常勤保育士

の賃金プロファイルの傾きも急であるはずである。

しかし、それが当てはまらない場合は、そもそも人的資本論が想定するように、保育

士の生産性が年齢や経験年数によって上昇するという考え方はそもそも成り立たない

ことになる。アメリカにおける代表的な研究である Blau(1992)は、保育士の年齢は賃

金に大きな影響を与えないとしている。その場合には、そもそも公立保育所の常勤保育

士の賃金プロファイルが急勾配であることは正当化されないことになり、そうした賃金

構造が招く高コストが保育サービス供給のボトルネックを招いている大きな要因の1

つということになる。

これまでの唯一の先行研究である Noguchi, Shimizutani and Suzuki (2003a)及び清水

谷・野口(2004a)は、(1)私立認可保育所の賃金プロファイルは公立保育所に比べて

よりフラットであること、(2)公立保育所は年齢や経験年数に応じて賃金が上昇する

人的資本論によって説明される primary 市場であること、(3)それに対して、私立認可

保育所は secondary 市場であると結論付けている。同時に、(4)同じ公立保育所でも、

非常勤保育士の賃金プロファイルはフラットであり、常勤保育士との間で大きな差があ

ること、(5)私立認可保育所では両者の間で大きな勾配の差はないことも見いだして

いる。常勤保育士と非常勤保育士の間では職務内容に大きな違いはないことから、結論

として、公立保育所の常勤保育士の賃金プロファイルだけが急勾配であるのは説明する

ことが難しいとしている。

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次に、非営利賃金プレミアムの検証についても、次の 2 つの大きな意義がある9。本

論文は、同じ私立保育所である私立認可保育所と認可外保育所の違いに焦点を当てる。

第 1 は、競争政策的意義である。認可外保育所への営利法人の参入は以前から認めら

れてきた。それに加え、厚生労働省は 2000 年以後、認可保育所の設置主体の制限撤廃、

保育所最低定員の引き下げ、設備基準の弾力化などさまざまな供給増加策を打ち出した。

中でも、原則市町村や社会福祉法人にのみ認められていた設置主体制限は撤廃され、株

式会社や他の非営利主体にも認可保育所への参入が初めて認められた10。しかし営利主

体による認可法人への参入はいまだに極めて少ないのが現状である。

保育サービスは労働集約的であるため、賃金構造の違いが全体のコスト構造の違いに直

接反映する。従って、賃金コスト以外の様々な参入に対する障害・規制のあり方に加え、

経営主体による賃金コスト構造及びその格差の解析は保育サービス産業の供給増加政策

あるいは競争政策の企画立案に不可欠な重要な基礎にもなる。

さらに、私立認可保育所と認可外保育所の賃金格差の検証は、政策的意義のみならず、

学術的にも大きな意義がある。アメリカの先行研究では、非営利主体が収益を外部に分配

してはならないとする「利益再分配制約」と呼ばれる特有の制度的要因(例えば Borjas et.

al (1983)、Hansmann (1980))、あるいは非営利主体の経営者が質の高いサービスを提供す

ることを選好する(例えば Newhouse (1970))ことにより、非営利主体の賃金が高いとする仮

説がある。それに対して、非営利主体の労働者は賃金報酬よりも非金銭的対価を重視する

ために、むしろ非営利主体の提供する賃金が低いとする仮説(Preston (1989)、

Rose-Ackerman (1996)など)が提示されている。

この対立する仮説をめぐってこれまで多くの実証研究が行われてきているものの、これ

までのところアメリカでは明確な結論は得られていない11。中でも、保育労働市場につい

ては、Mocan and Tekin (2000)は非営利プレミアムの存在を確認している一方、Mocan and

Viola (1997) はいったんセレクション・バイアスを調整すると非営利プレミアムは確認で

きないとしている。

このような政策的・学術的意義にもかかわらず、驚くべきことに、日本では保育労働市

場における非営利プレミアムの検証は、ほとんど行われてきていない。我々の知る限り非

営利賃金プレミアムの存在を確認したのは、Noguchi, Shimizutani and Suzuki (2003b) 及び

9 この部分は Noguchi, Shimizutani and Suzuki (2003b)に拠っている。 10 「保育所の設置認可等について」(厚生省児童家庭局長通知平成 12 年 3 月 30 日)「第一 保育所設置認可の指針 二 認可申請に係る審査等 (三)社会福祉法人以外の者による設置認可申請」による。 11 先行研究については Ruhm and Borkoski (2000)が要領よくまとめている。

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清水谷・野口(2004b)だけである12。ただし、これらの研究も首都圏を対象としているため、

認可外保育所のサンプルが必ずしも十分に確保されていない。しかし、沖縄県では、認可

外保育所のシェアが例外的に高いために、非営利賃金プレミアムを検証する上で大きな利

点がある。

3. データ

前節で議論した 2 つの論点を検証するために、本論文では、2003 年に沖縄県から収

集した「沖縄における保育サービス調査」のミクロデータを用いる。このデータは、内

閣府経済社会総合研究所「沖縄県における保育サービス市場研究会」の作業として収集

されたものである。調査時期は 2003 年 7 月で、対象地域は沖縄県の 41 全市町村である。

ここで用いられた調査票は、本土と比較可能にするために、内閣府物価政策課(2003)

の調査票と基本的に同じである。2002 年夏に 10 都県の 729 市町村を対象に行った同研

究会の調査票は、質問票の詳細な内容、実現可能性、回収率などを保育政策担当者と十

分相談し、調査内容についても改訂を重ねた上で作成されたものである。

今回の沖縄県での調査に当たっては、内閣府経済社会総合研究所が沖縄県庁及び市町

村担当者の方々の深い御理解と御協力を得た。調査を実施する前には、沖縄県庁を実際

に訪問し、調査への協力を求めた。そのため、本論文で使用するデータは回収率が非常

に高いだけでなく、質問に対する回答もかなり正確であることが期待できる。

この調査は 2 段階からなっている。まず、市町村に対してそれぞれの管内における保育

所数、入所者数、保育料、運営費とその内訳(公立認可、私立認可及び認可外それぞれ合

計)など市町村レベルで回答可能な内容について質問を行った13。

さらに、保育所ベースのデータとして、各保育所のサービスの内容及び保育所に勤務す

る労働者全員の一人一人の年齢、性別、経験年数、資格、賃金、労働時間などのデータを

収集した。

41 市町村のうち、38 市町村から回答を得た。市町村ベースでの回答率は実に 92.7%で

あり、この種の調査としては非常に高い。このうち、130 か所の公立保育所から 1,986 名、

153 か所の私立認可保育所から 3,309 人、316 か所の認可外保育所(うち補助金を受けて

いる保育所が 94 か所、受けていない保育所が 222 か所)から 2,064 人、の合計約 7,400 名

12 介護労働市場では Noguchi and Shimizutani (2002)が非営利プレミアムを見いだしている。 13 詳細な質問内容については内閣府(2004)を参照されたい。

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の保育士のデータを得ることができた14。

沖縄県における調査の特徴は、内閣府物価政策課(2003)では認可外保育所のサンプル

数は 60 だったのに対して、316 か所の認可外保育所からの回答を得ることができたとい

う点である。このデータの利用によって、労働者や施設の詳細な属性をコントロールした

上で、認可外保育所も含めた経営主体別の賃金決定要因の違いが初めて明らかになる。

以下では、賃金プロファイル、非営利賃金プレミアムの順で実証を行う。

4. 経営主体別の賃金プロファイルの推計方法と推計結果

本節では、まず公立と私立認可保育所間の賃金決定要因の比較検証を行う。この 2 つの

タイプの保育所は同じ認可保育所でありながら、公立保育所の賃金プロファイルが比較的

よく知られているのに対し、私立認可保育所の賃金構造については、これまで研究が少な

いのが現状である。

ここで用いる賃金関数は労働経済学で頻繁に用いられる半対数型の標準的な Mincer 型

の賃金関数である。

(1) ii6

52

432

21i

ßXOTHER*

EDU*EXP*EXP*AGE*AGE*ln W

τα

ααααα

+++

++++=

ここで iln W は i 番目の労働者の賃金の自然対数、AGE、EXP、EDU はそれぞれその労働

者の年齢、経験年数及び教育水準である。OTHER はそれ以外の労働者の属性、 iX はその

労働者が属する施設の属性を示している。さらに推計結果からは省略するものの、市町村

ダミー及び施設ダミーも説明変数に含まれている。 61 -αα 及び β は推定するパラメータで

ある。 iτ は賃金に影響しうる観察されない属性である。

ここでは、(1)を公立保育所、私立認可保育所それぞれ別々に最小二乗法で推計する15。

しかも、各経営主体の中で、常勤保育士と非常勤保育士の雇用形態にサンプルを分けて推

計を行う。

ここで用いるデータは、前節で説明したデータセットから欠損値のある者を除き、公立

認可の 1,125 名(常勤保育士 809 名、非常勤保育士 316 名)、私立認可保育所の 1,883 名(常

14 経営主体が不明な保育士も合わせると合計 7,520 名である。 15 公立保育所、私立認可保育所及び認可外保育所の選択に当たって、観察されない属性がセレクション・バイアスを引き起こしている可能性を検証するため、Heckman の 2 段階推定法を用いた推計も行った。しかしセレクション・バイアスは確認できなかった。従って以下では、最小二乗法による推計結果を用いて議論を進める。

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10

勤保育士 1,238 名、非常勤保育士 645 名)の保育士のデータである。

図表 1 は労働者及び施設の属性についての基本統計量を示している。

まず、常勤保育士の平均月給16をみると、公立保育所は私立認可保育所よりも 42.9%

(127,238 円)高い。しかし、非常勤保育士では、公立認可と私立認可の違いはほとんど

なく、むしろ私立認可の方が高い。つまり、平均月給では常勤保育士で差が大きく、非常

勤保育士では差が小さい。ここで、非常勤保育士とは、常勤ではないものの 1 日実労働時

間 6 時間以上、月 20 日以上勤務の者を指す(無資格者も含む)長時間勤務非常勤保育士、

1 日 6 時間未満または月 20 日未満勤務の者を指す(無資格者も含む)短時間勤務非常勤

保育士を含む。平均労働日数は常勤・非常勤保育士ともに私立認可の方がやや多く、逆に

労働時間は私立認可のほうがやや短い。

賃金以外の労働者の属性をみると、常勤保育士の場合、年齢や経験年数は公立保育所で

明らかに長い。公立保育所の常勤保育士の平均年齢は 42.8 歳、平均勤続年数は 18.9 年で

ある。一方、私立認可保育所の常勤保育士の平均年齢は 35.9 歳、経験年数は 11.5 年であ

る。しかし、非常勤保育士については、常勤保育士と比べると、経営主体間での年齢や経

験年数の差は小さい。

教育水準や資格では、それほど大きな違いはない。どちらのタイプの保育所も、常勤保

育士、非常勤保育士とも短大卒が全体の 7-8 割を占めている。また、どちらの雇用形態

でみても、有資格者は 8-9 割を占めている17。

次に施設の属性をみると、従業員規模は、私立認可保育所のほうが公立認可保育所より

もやや大きい。特別保育事業の実施については、一時保育について私立認可保育所の実施

割合が高い。総開園時間については、経営主体による差はほとんどないもの、私立認可保

育所が若干長い。つまり、私立認可保育所の方が通常の保育サービスを補完する役割をよ

り多く担っているといえる。設立年月をみると、設営 t る公立保育所は 1975 年以前に、

私立認可保育所は 1975 年から 1985 年の間に設立された保育所の割合が高い。私立認可保

育所の方が入所定員の弾力化を実施している割合が高く、分園がある割合も高い。

16 「沖縄における保育サービス調査」では、実際に支払われているベースに応じて、月給、日給、時給データについて質問している。さらに一月当たりの就労日数、1 日あたりの平均労働時間についても質問しており、それぞれのベースに引きなおすことが可能である。しかし中には、就労日数、平均労働時間についてのデータが欠損している場合があり、換算することが不可能なデータもある。公立認可保育所では、月給ベースでは本文中にあるように 1,125 名が確保できるのに対し、日給および時給ベースでは 1,082 名と若干サンプル数が減少する。ここでは最大限のサンプル数を確保するために、月給ベースのデータを用いた。 17 残念ながら、我々のデータセットでは既婚と未婚の区別や家族構成などについての変数はない。

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以上まとめると、公立保育所の常勤保育士は私立認可と比べて平均賃金は明らかに高く、

また年齢や経験年数も長い。従って、基本統計量をみると、保育労働市場は二重労働市場

であることが示唆される。しかし、これは非常勤保育士の場合にはあてはまらない。これ

らの特徴を別にすれば、教育水準と資格の点では公立保育所と私立認可保育所の間には大

きな差はない。施設属性をみると、私立認可保育所の従業員規模の方がやや大きく、一時

保育の実施割合が高く、総開園時間も長いなど、定型的な保育サービスを補完する役割を

担っている。

図表2は(1)の推計結果を示している。ここでは二重労働市場の検証を念頭に置くため、

以下では特に年齢、経験年数の係数に着目する。

まず、公立認可保育所における常勤保育士の年齢の係数をみるとプラスで統計的に有意

であり、その二乗はマイナスである。これは、公立認可保育所の常勤保育士の賃金体系が

日本の労働市場で頻繁に観察される年功賃金であることを示している。

一方、私立認可保育所では年齢の係数は小さくむしろマイナスで有意になっている。こ

れは公立保育所の常勤保育士の賃金が年功賃金である性格が強いのに対して、私立認可保

育所ではこの傾向は当てはまらないことを示している。また、こうした傾向は非常勤保育

士については当てはまらない。非常勤保育士では、係数の大きさは小さいものの、私立認

可保育所でわずかにプラスかつ有意である。

賃金に及ぼす影響が経営主体や雇用形態によって異なる点は、年齢よりもむしろ経験年

数についてより強く当てはまる。常勤保育士については、経験年数の係数は、公立保育所

の方が大きい。非常勤保育士についても、公立保育所の方が大きいものの、公立と私立認

可保育所の差は常勤保育士に比べて小さい。

一方、教育水準の影響をみると、私立認可保育所の非常勤保育士で係数が大きい。短大

卒や専修学校卒の係数は私立認可保育所の非常勤保育士のみ有意である。有資格者の係数

は公立の非常勤保育士を除いてプラスで有意である。また、施設の属性については、明確

な結論が得られていない。

5. 経営主体別・雇用形態別の賃金プロファイルと賃金格差の要因分解

次に、前節での推計結果をもとに、経営主体別・雇用形態別の賃金プロファイルを描く

とともに、公立・私立認可保育所間の賃金格差の要因分解を行う。

まず、図表 3 は、図表 2 の推定値の結果を用いて、経営主体別・雇用形態別の賃金プロ

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ファイルを描いたものである。このうち、図表 3-1、3-3 は年齢と賃金の関係を、図表

3-2、3-4 は経験年数と賃金の関係を示している。

図表 2 の結果からも予想されるように、まず明らかなのは、公立保育所の常勤保育士の

賃金プロファイルは急勾配であるという点である。私立認可保育所の常勤保育士の場合も

傾きはみられるものの、公立保育所に比べると明らかに緩やかである。同時に、非常勤保

育士の賃金プロファイルはいずれも、年齢や経験年数とともによりフラットである。

次に、図表 2 の結果を用いて、雇用形態別に公立保育所と私立認可保育所の間の賃金格

差を検証したのが図表 4 である。具体的には、賃金格差を次のように要素量の違いで説明

される部分と、要素価格の違いによって説明される部分に分解する。

(2) ( ) ( )∑∑∑∑ θλ+δ−θλ+δ=− 11i

11i

22i

22i

1i

2i XXWW

( ) ( ){ } ( ) ( ){ }1i

121i

121i

2i

21i

2i

2 XXX λθ−θ+δ−δ+λ−λθ+−δ= ∑∑∑∑

ここで ( ) ( ){ }∑∑ λ−λθ+−δ 1i

2i

21i

2i

2 XX はそれぞれの要素の量的な違いで説明される部分、

( ) ( ){ }1i

121i

12 X λθ−θ+δ−δ ∑∑ はそれぞれの要素の価格の違いで説明される部分である。

図表 4 によると、全ての説明変数で説明される賃金格差は常勤保育士の場合、公立と私

立認可保育所で 127,644 円(43%ポイント)である。これに対して、非常勤保育士の場合

は-1,590 円(-0.4%ポイント)である。

これを投入された要素量と要素価格に分解すると、常勤保育士の場合は要素量及び要素

価格とも賃金格差を拡大させる方向に働いている。しかし公立と私立認可保育所の非常勤

保育士を比較した場合は、要素量と要素価格がお互いに打ち消しあい、結果として賃金格

差を小さくしていることがわかる。

図表 5 はそれぞれの説明変数の寄与ごとに賃金格差を変数ごとにさらに分解したもの

である。常勤保育士の場合、これまでの議論から予想されるように、年齢や経験年数の寄

与がかなり大きい。言い換えれば、私立認可保育所に比べると、公立保育所は年齢や経験

年数が豊富な常勤保育士をより多く雇っており、かつより高い賃金を支払っている。

一方、非常勤保育士の場合、年齢や雇用者数(規模)が賃金格差の拡大に寄与している

のに対し、経験年数、就業日数や就業時間、及び、総開園時間が賃金格差を大きく縮小さ

せる方向に働いている。

以上の実証結果を踏まえると、次の点が明らかになる。

まず、賃金プロファイルについて、年齢や経験年数といった人的資本に対する評価が公

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立保育所において顕著に高いと同時に、それが公立保育所の中でも特に常勤保育士のみに

当てはまることが明確である。これは内閣府物価政策課(2003)とも全く整合的である。

保育士は、年齢に応じて生産性が急激に上昇することが暗黙のうちに前提とされ、公立

認可保育所の保育士の賃金は一般の公務員に適用される行政職俸給表に基づいている。し

かし、一般に常勤保育士と非常勤保育士の間では職務内容に大きな違いはないとされてい

ることから、保育士の賃金決定要因として、人的資本論が想定するような要素はあてはま

りにくい。従って、公立保育所の常勤保育士の賃金プロファイルだけが急勾配であるのは

説明することが難しいであろう。

6. 保育サービス市場における非営利賃金プレミアムの推計と要因分解

次に、私立認可保育所と認可外保育所のデータを用いて、保育サービス市場における非

営利賃金プレミアムの存在の検証を行う。

まず、基本統計量を用いて、私立認可保育所と認可外保育所の賃金を比較すると(図表

6)、常勤保育士、非常勤保育所ともに明らかにプレミアムを確認することができる18。プ

レミアムの大きさは、常勤保育士の場合には約 5-6 割(日給ベースで 54.3%ポイント、

時給ベース 64.1%ポイント)、非常勤保育士の場合にも約 3-4 割(日給ベースで 44.8%ポ

イント、時給ベースで 30.4%ポイント)にも上っている。

次に労働者の特性を見ると、就労日数や就労時間は、常勤保育士の場合は認可外保育所

の方が、非常勤保育士では私立認可保育所の方が長い。年齢及び経験年数については、常

勤保育士ではあまり大きな差はないのに対し、非常勤保育士では認可外保育所の方が、年

齢も高く経験年数も長い。教育水準や保育士資格保有比率をみると、私立認可保育所の方

が高い。大学卒業者の割合は認可外保育所の方が若干高いものの、短大卒の比率は認可外

保育所の常勤保育士で約 50%(非常勤保育士では約 37%)であるのに対して、私立認可

保育所では約 8 割を占める。また、有資格保有者の割合でも、認可外保育所の常勤保育士

では約 63%(非常勤保育士では約 35%)にとどまっているのに対して、私立認可保育所

18 賃金プロファイルの検証でも明らかなように、公立保育所の労働市場は他の経営主体と流動的でないために、ここでは、非営利主体として私立認可保育所を取り上げ、認可外保育所との間の賃金格差の比較に焦点を当てる。また、認可外保育所において、日給・時給ベースでは図表 6 に示されるように、1,095 名(常勤 875 名、非常勤 220 名)が確保できるのに対し、月給ベースでは 1,045 名(常勤 831名、非常勤 214 名)と若干サンプル数が減少する。従って、認可外及び私立認可保育所の比較には、最大限のサンプル数を確保できる日給及び時給ベースのデータを用いた。

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では約 8-9 割が保育士資格を持っている。

次に、施設の特性では、いくつかの点で明らかな違いが見られる。従業員の規模は、明

らかに私立認可保育所のほうが大きい。また、特別保育事業の実施については、私立認可

保育所の方が、延長保育、障害児保育、緊急・一時保育などを実施している割合が高く、

認可外保育所では幼児教育を実施している比率が約 4-5 割と私立認可保育所よりも高い。

総開園時間は私立認可保育所の方が認可外保育所よりも若干長い。

本論文が採用する推計方法は、(1)と同じ半対数型(semi-logarithmic)の賃金関数である。

(3) iii ßXW τ++= D

である。 iW は i 番目の労働者の賃金の対数、 iX は i 番目の労働者の賃金を決定する様々

な要因で、年齢などの人的資本に関係する変数や施設の特性に関する変数を含む。ß は推

定するパラメータであり、D は認可外保育所を示すダミー変数である。 iτ は賃金に影響

する観察されない要素を示す。

ところが、(3)をそのまま推計すると推計値にバイアスがかかる。なぜなら、労働者の

所属と観察されない特性の間で内生性の問題が生じるからである。私立認可保育所と認可

外保育所のどちらに所属するかは労働者の特性にも影響されうるし、雇用者の方も、雇い

入れたい労働者の特性は異なることが予想される。そのため、労働者が非営利・営利主体

を選択するにあたってのセレクション・バイアスを調整するために、これも頻繁に用いら

れる Heckman の 2 段階推定法を用いる(Lee (1978) and Heckman (1979))。

まず、第 1 段階の推計として、労働者が私立認可保育所か認可外保育所かどちらに選ぶ

傾向があるかを検証するために、以下のようなプロビット推計を行う。

(4) ii*i uY += γZ

1Zi = if 0Z*i ≥ or γ≤− ii Yu

0Zi = if 0Z*i < or γ>− ii Yu

where ),0(~u 2i uN σ

ここで、 iY は観察された労働者の属性、γは推計されたパラメータで認可外保育所を選ぶ

傾向を示す。 *iZ は実際には観察されないものの、それぞれの労働者がどちらのタイプの

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保育所を選んだかは明らかである。 iZ は実際に認可外保育所に勤務している労働者を 1、

私立認可保育所に勤務している労働者を 0 とする二値変数である。 iu は誤差項である。

次に、第 2 段階として、私立認可保育所及び認可外保育所のそれぞれについて、それぞ

れの労働者の賃金(対数)を労働者や施設の特性を示す変数である iX 及びセレクション・

バイアスを調整するために下のように定義される iλ で回帰する。

(5) 111i

11i

1i XW ω+θλ+δ=

222i

22i

2i XW ω+θλ+δ=

where 0)()( 21 == ii EE ωω

)/Y(/)/Y( uiui1i σγΦσγφ−=λ and )]/Y(1/[)/Y( uiui

2i σγΦ−σγφ=λ

ui1iuu1

1 /)u,cov(/ σε=σσ=θ and ui2iuu2

2 /)u,cov(/ σε=σσ=θ

ここで上付きの添え字の 1 は認可外保育所を、0 は私立認可保育所を示す。 iλ はある労

働者が認可外保育所を選ぶ傾向を示す selectivity 変数の平均値、φは標準正規分布の確率

密度関数、Φは標準正規分布の累積密度関数を示す。 1θ 及び 2θ はどちらの主体を選ぶか

に影響する賃金と観察されない特性との間の相関を示す。 01 >θ なら

)E(W0]Z|E[W 1i

*i

1i >≥ となり、認可外保育所で働く傾向にある労働者は、私立認可保育所

で働くよりも認可外保育所で働いた方が高い賃金を得られる(観察されない)傾向がある

ことを示す。逆に、 02 <θ なら )E(W0]Z|E[W 2i

*i

2i >< であり、私立認可保育所で働く傾向

にある労働者は、認可保育所で働くよりも私立認可保育所で働いた方が高い賃金を得られ

る(観察されない)傾向があることを示す。

図表 7 は推計結果を示している。初めの列は、第 1 段階の推計、つまり、認可外保育所

(営利主体)で働く労働者を 1、私立認可保育所(非営利主体)で働く労働者を 0 とする

プロビット推計の結果を示している。労働者の特性を見ると、私立認可保育所の常勤保育

士は、年齢が若いと同時に経験年数が長い。また、教育水準が高く、保育士資格保有比率

が高い。また、私立認可保育所の非常勤保育士も短大卒や保育士有資格者が多い。

一方、施設の特性を見ると、私立認可保育所の従業員規模の方が大きく、また障害児保

育や緊急・一時保育を実施している。総開園時間については、常勤保育士では私立認可保

育所の方が長い一方、非常勤保育士では逆に短い。

さらに、図表 7 の残りの列は、セレクション・バイアスを調整した賃金関数の推計結果

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を示している。推計結果の中に明示されていないものの、説明変数の中には地域特性や補

助金の違いなどを考慮するため、市町村ダミーが含まれている。

推計結果によると、年齢の影響は有意ではない。経験年数の係数は私立認可保育所、認

可外保育所ともプラスで有意であるものの、私立認可保育所の係数の方が大きい。教育水

準をみると、大卒の場合は認可外保育所の係数が有意に大きい一方、短大卒、専修学校卒

の場合は私立認可保育所の係数の方が大きい。保育士資格をもっている場合には、認可外

保育所の方がより賃金が高い。

一方、施設の特性を見ると、認可外保育所では、企業規模が大きくなるほど賃金は高く

なる傾向があるのに対し、私立認可保育所には当てはまらない。認可外保育所では、休日

保育、病後児保育、幼児教育などの特別保育事業を実施している保育所で賃金が高く、ま

た、総開園時間が長い方が、賃金が高くなる。

以上の推計結果を踏まえて、賃金格差の要因分解を行ったのが図表 8 である。賃金格差

の要因分解の方法は(2)と同じである。

図表 8 によると、全ての説明変数で説明される賃金格差は、日給、時給ベースでそれぞ

れ、常勤保育士の場合は 55.6%及び 68.8%、非常勤保育士の場合は 37.5%、46.3%である。

これを投入された要素量と要素価格に分解すると、常勤保育士の場合は要素価格よりもむ

しろ要素量によって、非常勤保育士の場合は要素量よりもむしろ要素価格によってもたら

されていることがわかる。

さらに、具体的にどの変数が賃金格差に寄与しているかをみるために、それぞれの説明

変数が量的な面、価格の面それぞれでどの程度寄与しているのかを更に細かく分解したの

が図表 9 である。図表の中の数字は、プラスの場合には賃金格差を拡大させる方向に、マ

イナスの場合は縮小させる方向に寄与していることを示している。

これによると、常勤保育士の場合には、様々な施設の属性、就業日数及び就業時間ある

いは雇用者数(従業員規模)における要素量による寄与が大きい。一方、非常勤保育士の

場合には、要素価格における就業日数及び就業時間の寄与が大きい。

この結果は、非営利賃金プレミアムは、年齢、経験年数といった人的資本的な要素より

もむしろ就業日数・就業時間といった経営方針の違いによってもたらされていることを示

している。言い換えれば、日本の保育サービス市場においては、非営利賃金プレミアムの

存在は明確に確認され、それは人的資本的な要素よりも、営利・非営利主体の経営方針の

違いによるものであるといえる。

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7. 結論とインプリケーション

本論文ではこれまでにない豊富で包括的な沖縄県における保育士のミクロデータを用

いて、経営主体別に賃金関数を推計した。その上で、経営主体による賃金プロファイルの

違いと非営利賃金プレミアムに注目して実証分析を行った。

得られた結果は、関東近辺 10 都県で同様のデータを収集し検証した内閣府(2003)あ

るいはそれを発展させた Noguchi, Shimizutani and Suzuki (2003a, 2003b)及び清水谷・野口

(2004a, 2004b)とも整合的である。つまり、

(1)公立保育所では一般の公務員と同じ俸給表によって決定されているため、賃金プロ

ファイルが急勾配であるのに対して、私立認可保育所や認可外保育所はよりフラットであ

る。従って、二重労働市場論に基づくと、公立保育所は年齢や経験年数に応じて賃金が上

昇する人的資本論によって説明される primary 市場であるのに対して、私立認可保育所や

認可外保育所は secondary 市場である。しかし、同じ公立保育所でも、非常勤保育士の賃

金プロファイルはフラットであり、常勤保育士との間で大きな差がある。私立認可保育所

や認可外保育所では両者の間で大きな勾配の差はない。一般に常勤保育士と非常勤保育士

の間では職務内容に大きな違いはないとされていることから、保育士の賃金決定要因とし

て、人的資本論が想定するような要素はあてはまりにくい。

(2)私立認可保育所と認可外保育所の賃金を比較すると、常勤保育士、非常勤保育所と

もに明らかに非営利賃金プレミアムを確認することができる。この非営利賃金プレミアム

の要因分解を行うと、賃金格差の拡大をもたらしているのは、就業日数・就業時間など経

営方針の違いによるもので、公立保育所とその他の保育所の賃金格差でみられたような人

的資本的な要素に対して評価の違いによってもたらされたわけではない。

まず、賃金プロファイルについて得られた結果をもとにすれば、保育士の賃金決定要因

として、人的資本論が想定するような要素はあてはまりにくく、従って、公立保育所の常

勤保育士の賃金プロファイルだけが急勾配であるのは説明するのが難しいということに

なる。公立保育所の常勤保育士の賃金体系は、基本的に行政職俸給表に基づいており、一

般の事務職と同じように年功賃金体系を採用している。従って、特定の技能をもった保育

士の実情に合った賃金体系とはかけ離れている。従って、現在多くの自治体で進められて

いる福祉職俸給表への転換は、公立保育所の高賃金・高コスト体質の改善にとって急務で

あり、ひいては深刻化する待機児童問題解決の 1 つの大きな糸口となるであろう。

次に、非営利賃金プレミアムについて得られた結果をもとにすれば、認可外保育所の参

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入が進めば、保育サービスのコストが全体的に引き下げられるというインプリケーション

が得られる。しかしここでは 2 つの点に留意しなければならない。

1 つ目は、本論文が対象とした認可外保育所には、自治体から補助金を得ている準認可

保育所と全く補助金を得ていない保育所の両方が含まれている。準認可保育所にしても自

治体から一定の補助金を得て経営を行っているものの、その金額は私立認可保育所に比べ

るとかなり低い。従って、認可外保育所と比べた私立認可保育所の賃金の高さとサービス

の質の高さは、補助金の格差を反映している可能性がある。従って、認可外保育所の参入

を促進し、保育のサービスの供給不足を解消していくためには、補助金のイコールフィテ

ィングを含めた競争条件の見直しを進めていく必要があろう。

2 つ目は、認可外保育所は明らかに賃金コストが低いといっても、仮にサービスの質も

低いとなると、低コストだけでは保育サービス市場全体の効率性の向上にはつながらない。

従って、今後の課題として、経営主体間で保育サービスの質の定量的比較を行い、その経

営主体が低コストで高品質の保育サービスを提供しているのかを検証していく必要があ

ろう。

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(参考) (参考)変数 公立 私立認可 認可外 公立 私立認可 認可外

(N=809) (N=1,238) (N=875) (N=316) (N=645) (N=220)平均 平均 平均 平均 平均 平均

(標準偏差) (標準偏差) (標準偏差) (標準偏差) (標準偏差) (標準偏差)

I. 労働者の属性月給(諸手当を含む税込み賃金総額) 324,497.500 197,259.800 123,791.600 130,662.000 131,705.100 84,011.740

(116,869.900) (46,006.890) (61,603.890) (29,824.560) (32,040.460) (62,769.810) 月給(諸手当を含む税込み賃金総額)の自然対数 12.604 12.175 11.671 11.740 11.737 11.145

(0.452) (0.196) (0.378) (0.334) (0.379) (0.698) 日給(諸手当を含む税込み賃金総額) b/ 15,774.650 8,875.401 5,310.089 6,903.677 5,965.270 4,447.278

(8,003.340) (5,241.731) (3,631.813) (6,542.249) (1,425.918) (3,846.822) 日給(諸手当を含む税込み賃金総額)の自然対数 9.558 9.054 8.511 8.743 8.658 8.220

(0.484) (0.227) (0.379) (0.339) (0.301) (0.596) 2002年4月中の就労日数 20.923 22.533 23.796 21.035 22.084 20.472

(2.441) (2.763) (2.083) (2.671) (2.995) (5.956) 2002年4月の一日平均労働時間 7.815 7.474 8.240 7.649 7.153 6.210

(0.971) (1.468) (1.226) (0.966) (1.558) (2.471) 男性=1 0.005 0.015 0.023 0.006 0.028 0.061

(0.070) (0.120) (0.150) (0.079) (0.165) (0.240) 年齢 42.801 35.883 35.822 32.585 31.332 38.013

(10.219) (8.686) (10.415) (8.883) (10.216) (11.700) 年齢の二乗 1,936.222 1,362.965 1,391.584 1,140.478 1,085.893 1,581.297

(805.047) (649.637) (816.407) (648.268) (815.699) (1,012.420) 経験年数 18.879 11.539 9.682 6.044 4.115 7.384

(10.651) (7.475) (8.085) (5.271) (4.282) (6.538) 経験年数の二乗 469.710 188.970 159.043 64.228 35.234 97.087

(352.636) (206.438) (240.504) (113.028) (87.788) (166.634) 大学卒 0.005 0.020 0.036 0.009 0.017 0.079

(0.070) (0.141) (0.186) (0.097) (0.130) (0.270) 短大卒 0.808 0.818 0.505 0.690 0.758 0.371

(0.394) (0.386) (0.500) (0.463) (0.429) (0.484) 専修学校卒 0.145 0.116 0.196 0.199 0.115 0.148

(0.352) (0.321) (0.397) (0.400) (0.319) (0.356) 保育士資格有資格者 0.885 0.899 0.630 0.807 0.784 0.367

(0.319) (0.301) (0.483) (0.395) (0.411) (0.483)

II. 施設の属性雇用者数 18.246 22.130 9.768 19.190 23.197 8.869

(7.096) (6.035) (5.621) (7.455) (5.785) (5.511) 雇用者数(自然対数) 2.831 3.056 2.114 2.875 3.113 2.003

(0.386) (0.301) (0.591) (0.419) (0.253) (0.605) 特別保育事業の実施(休日保育) 0.017 0.013 0.058 0.038 0.005 0.066

(0.130) (0.113) (0.233) (0.191) (0.068) (0.248) 特別保育事業の実施(一時保育) 0.143 0.523 0.231 0.130 0.602 0.253

(0.351) (0.500) (0.422) (0.337) (0.490) (0.436) 特別保育事業の実施(幼児教育) 0.000 0.174 0.473 0.000 0.237 0.441

(0.000) (0.380) (0.500) (0.000) (0.426) (0.498) 総開園時間 11.044 11.688 11.113 11.002 11.834 11.124

(0.652) (0.773) (1.142) (0.563) (0.903) (1.482) 総開園時間(自然対数) 2.400 2.456 2.411 2.397 2.468 2.420

(0.059) (0.070) (0.077) (0.051) (0.087) (0.062) 1975年以前に設立 0.569 0.151 0.082 0.579 0.121 0.074

(0.496) (0.358) (0.275) (0.494) (0.326) (0.263) 1975年から1985年の間に設立 0.349 0.699 0.296 0.329 0.701 0.245

(0.477) (0.459) (0.457) (0.471) (0.458) (0.431) 1985年から1995年の間に設立 0.032 0.074 0.432 0.041 0.102 0.402

(0.176) (0.262) (0.496) (0.199) (0.303) (0.491) 1995年以後に設立 0.051 0.076 0.191 0.051 0.076 0.279

(0.219) (0.265) (0.393) (0.220) (0.265) (0.450) 土地の所有区分(借地) 0.052 0.367 0.307 0.035 0.330 0.380

(0.222) (0.482) (0.462) (0.184) (0.471) (0.486) 保育所入所定員弾力化実施の有無 0.868 0.974 0.263 0.858 0.977 0.223

(0.339) (0.159) (0.441) (0.350) (0.151) (0.417) 分園あり=1 0.000 0.014 0.013 0.000 0.050 0.004

(0.000) (0.116) (0.112) (0.000) (0.217) (0.066)

注)a/ 長時間非常勤保育士及び短時間非常勤保育士を含む。b/ 公立認可保育所において、日給ベースでは1,082名(常勤769名、非常勤313名)と若干サンプル数が減少する。

図表1: 基本統計量(公立と私立認可保育所)

非常勤保育士 a/(N=1,190)

常勤保育士(N=2,913)

Page 25: by2002 年から始まった「待機児童ゼロ作戦」では保育所等において2002 年度中に5 万人、 さらに2004 年度までに10 万人の合計15 万人の受入児童数増大を図るとしている。

公立 私立認可 公立 私立認可変数 係数 係数 係数 係数

(標準誤差) (標準誤差) (標準誤差) (標準誤差)

I. 労働者の属性2002年4月中の就労日数 -0.005 0.001 0.051 a 0.068 a

(0.004) (0.002) (0.007) (0.003)2002年4月の一日平均労働時間 -0.017 a -0.009 a 0.144 a 0.102 a

(0.008) (0.003) (0.024) (0.006)男性=1 0.079 0.129 a -0.004 0.116 a

(0.101) (0.029) (0.195) (0.053)年齢 0.020 a -0.018 a 0.011 0.007 c

(0.009) (0.004) (0.014) (0.005)年齢の二乗 -0.0001 0.0003 a -0.0002 -0.0001 a

(0.0001) (0.00005) (0.0002) (0.0001)経験年数 0.041 a 0.025 a 0.021 a 0.012 a

(0.005) (0.002) (0.010) (0.006)経験年数の二乗 -0.001 a -0.0004 a -0.002 a -0.0003

(0.0001) (0.00008) (0.0005) (0.0003)大学卒 0.157 c 0.047 c -0.020 0.244 a

(0.105) (0.029) (0.148) (0.074)短大卒 0.051 0.016 0.081 0.151 a

(0.038) (0.018) (0.059) (0.037)専修学校卒 0.050 0.020 0.042 0.166 a

(0.040) (0.020) (0.064) (0.044)保育士資格有資格者 0.052 b 0.025 a 0.023 0.063 a

(0.029) (0.013) (0.054) (0.026)

II. 施設の属性雇用者数(自然対数) 0.028 0.009 -0.002 -0.178 a

(0.034) (0.015) (0.080) (0.050)特別保育事業の実施(休日保育) -0.085 -0.004 -0.880 a 0.202 b

(0.064) (0.032) (0.271) (0.125)特別保育事業の実施(一時保育) -0.088 a 0.015 b 0.048 -0.026

(0.037) (0.009) (0.081) (0.023)特別保育事業の実施(幼児教育) - -0.008 - 0.036 b

(-) (0.010) (-) (0.022)総開園時間(自然対数) -0.347 0.060 -0.013 0.183

(0.301) (0.065) (0.703) (0.185)1975年から1985年の間に設立 0.006 0.026 a 0.045 -0.196 a

(0.021) (0.012) (0.038) (0.034)1985年から1995年の間に設立 -0.036 0.010 0.162 b -0.153 a

(0.049) (0.018) (0.088) (0.047)1995年以後に設立 0.047 0.056 a 0.213 b -0.143 a

(0.062) (0.018) (0.111) (0.048)土地の所有区分(借地) -0.013 0.004 -0.394 a 0.002

(0.043) (0.008) (0.086) (0.022)保育所入所定員弾力化実施の有無 -0.027 -0.002 -0.158 a 0.024

(0.038) (0.024) (0.064) (0.061)分園あり=1 - 0.013 - 0.069

(-) (0.031) (-) (0.050)切片 12.257 a 11.881 a 9.274 a 9.472 a

(0.747) (0.183) (1.703) (0.470)

自由度修正済み決定係数 0.816 0.654 0.533 0.705

注)a/ 長時間非常勤保育士及び短時間非常勤保育士を含む。(1) 説明変数には施設ダミー及び市町村ダミーを含む。(2) カッコ内は標準誤差を示す。a-cはそれぞれ5%、10%、15%の統計的有意水準を示す。

常勤保育士

図表2: 経営主体及び雇用形態別の賃金関数の推計結果(公立と私立認可保育所)

非常勤保育士 a/

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図表3-1:経営主体別・雇用形態別の年齢-賃金プロファイル(公立)

0

100,000

200,000

300,000

400,000

500,000

600,000

15 20 25 30 35 40 45 50 55 60 65年齢

月給

常勤保育士 非常勤保育士

図表3-3:経営主体別・雇用形態別の年齢-賃金プロファイル(私立認可)

0

100,000

200,000

300,000

400,000

500,000

600,000

700,000

15 20 25 30 35 40 45 50 55 60 65 70年齢

月給

常勤保育士 非常勤保育士

図表3-2:経営主体別・雇用形態別の経験年数-賃金プロファイル(公立)

0

100,000

200,000

300,000

400,000

500,000

600,000

0 10 20 30 40

経験年数

月給

常勤保育士 非常勤保育士

図表3-4:経営主体別・雇用形態別の経験年数-賃金プロファイル(私立認可)

0

100,000

200,000

300,000

400,000

500,000

600,000

700,000

0 10 20 30 40経験年数

月給

常勤保育士 非常勤保育士

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対数値 金額(円)

常勤保育士

(1) 公立保育所の賃金の推定値 12.606 325,053(2) 私立認可保育所の賃金の推定値 12.176 197,410(3) 要素量による賃金格差 0.268 72,651(4) 要素価格による賃金格差 0.162 54,993(5) 当該保育所の賃金格差 0.430 127,644

非常勤保育士 a/

(1) 公立保育所の賃金の推定値 11.732 130,063(2) 私立認可保育所の賃金の推定値 11.737 131,653(3) 要素量による賃金格差 -0.143 -13,563(4) 要素価格による賃金格差 0.138 11,973

(5) 当該保育所の賃金格差 -0.004 -1,590

注)a/ 長時間非常勤保育士及び短時間非常勤保育士を含む。

図表4: 賃金格差の要因分解(公立と私立認可保育所)

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常勤保育士就業日数及び就業時間 -1,891 -67,051 -68,942男性 -99 -273 -372年齢 27,775 255,253 283,028経験年数 44,552 39,264 83,816教育水準 -293 8,887 8,594保育士資格 -191 7,977 7,786雇用者数(規模) -1,364 21,276 19,912サービス内容 7,995 -12,522 -4,527総開園時間 2,509 -138,370 -135,861他の施設の属性 a/ 3,381 -20,463 -17,082地域ダミー -9,724 81 -9,643切片 0 -39,067 -39,067

合計 72,651 54,993 127,644

非常勤保育士 b/就業日数及び就業時間 2,445 -14,809 -12,364男性 -8 -299 -307年齢 1,182 52,282 53,464経験年数 -292 -3,793 -4,086教育水準 -214 -5,853 -6,067保育士資格 59 -3,708 -3,649雇用者数(規模) -392 54,354 53,962サービス内容 -4,555 2,939 -1,616総開園時間 1,725 -100,283 -98,558他の施設の属性 a/ 4,007 3,449 7,456地域ダミー -17,519 31,204 13,685切片 0 -3,509 -3,509

合計 -13,563 11,973 -1,590

注)a/ 「他の施設の属性」は設立年、土地の所有区分、定員弾力化の実施の有無及び分園の有無を含む。b/ 長時間非常勤保育士及び短時間非常勤保育士を含む。

要素量による格差 要素価格による格差 賃金格差 (合計)

図表5: 賃金格差に対する各要因の寄与(公立と私立認可保育所)

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定義

平均 標準偏差 平均 標準偏差 平均 標準偏差 平均 標準偏差 平均 標準偏差 平均 標準偏差

1. 労働者の特性

賃金総額(月給:諸手当を含む税込み額) 167,529.600 (63,909.620) 123,703.500 (61,349.130) 197,259.800 (46,006.890) a 119,391.500 (47,211.410) 82,680.830 (63,457.910) 131,705.100 (32,040.460) a

賃金総額(月給:諸手当を含む税込み額)(自然対数) 11.972 (0.376) 11.671 (0.377) 12.175 (0.196) a 11.584 (0.549) 11.125 (0.703) 11.737 (0.379) a

賃金総額(日給:諸手当を含む税込み額) 7,424.746 (4,968.644) 5,305.497 (3,614.908) 8,875.401 (5,241.731) a 5,579.354 (2,409.684) 4,428.822 (3,916.934) 5,965.270 (1,425.918) a

賃金総額(日給:諸手当を含む税込み額)(自然対数) 8.835 (0.399) 8.511 (0.378) 9.054 (0.227) a 8.546 (0.443) 8.210 (0.604) 8.658 (0.301) a

賃金総額(時給:諸手当を含む税込み額) 1,040.277 (903.546) 658.424 (444.410) 1,302.191 (1,035.692) a 921.796 (782.033) 786.094 (848.398) 966.890 (754.001) a

賃金総額(時給:諸手当を含む税込み額)(自然対数) 6.806 (0.494) 6.424 (0.390) 7.065 (0.375) a 6.691 (0.456) 6.463 (0.614) 6.767 (0.361) a

2003年4月中の就労日数 23.053 (2.577) 23.790 (2.078) 22.533 (2.763) a 21.645 (4.063) 20.359 (6.044) 22.084 (2.995) a

2003月の一日平均労働時間 7.791 (1.425) 8.239 (1.231) 7.474 (1.468) a 6.894 (1.884) 6.132 (2.467) 7.153 (1.558) a

男性 0.018 (0.133) 0.023 (0.150) 0.015 (0.120) a 0.037 (0.189) 0.064 (0.245) 0.028 (0.165) a

年齢 35.859 (9.429) 35.824 (10.395) 35.883 (8.686) 33.052 (11.040) 38.095 (11.816) 31.332 (10.216) a

年齢の二乗 1,374.693 (722.423) 1391.287 (814.474) 1362.965 (649.637) 1214.166 (900.255) 1590.241 (1024.839) 1085.893 (815.699) a

経験年数 10.783 (7.776) 9.714 (8.069) 11.539 (7.475) a 4.890 (5.107) 7.164 (6.482) 4.115 (4.282) a

経験年数の二乗 176.724 (221.219) 159.397 (239.640) 188.970 (206.438) a 49.963 (115.918) 93.145 (166.843) 35.234 (87.788) 大学卒 0.027 (0.161) 0.035 (0.185) 0.020 (0.141) a 0.034 (0.180) 0.082 (0.275) 0.017 (0.130) a

短大卒 0.688 (0.464) 0.503 (0.500) 0.818 (0.386) a 0.660 (0.474) 0.373 (0.485) 0.758 (0.429) a

専修学校卒 0.151 (0.358) 0.200 (0.400) 0.116 (0.321) a 0.119 (0.324) 0.132 (0.339) 0.115 (0.319) 保育士資格有資格者 0.788 (0.409) 0.632 (0.483) 0.899 (0.301) a 0.674 (0.469) 0.350 (0.478) 0.784 (0.411) a

園長 0.050 0.217 0.103 (0.304) 0.012 (0.109) a 0.008 (0.090) 0.032 (0.176) 0.000 (0.000) a

主任保育士 0.077 0.266 0.097 (0.296) 0.062 (0.242) a 0.000 (0.000) 0.000 (0.000) 0.000 (0.000) a

2. 施設の属性

私立認可保育所 0.586 (0.493) 0.000 (0.000) 1.000 (0.000) 0.746 (0.436) 0.000 (0.000) 1.000 (0.000) 認可外保育所 0.414 (0.493) 1.000 (0.000) 0.000 (0.000) 0.254 (0.436) 1.000 (0.000) 0.000 (0.000) 雇用者数 16.995 (8.467) 9.729 (5.611) 22.130 (6.035) a 19.583 (8.434) 8.986 (5.565) 23.197 (5.785) a

雇用者数(自然対数) 2.664 (0.644) 2.110 (0.591) 3.056 (0.301) a 2.834 (0.608) 2.016 (0.608) 3.113 (0.253) a

特別保育事業の実施(延長保育) 0.596 (0.491) 0.402 (0.491) 0.733 (0.443) a 0.688 (0.464) 0.386 (0.488) 0.791 (0.407) a

特別保育事業の実施(休日保育) 0.032 (0.175) 0.058 (0.234) 0.013 (0.113) a 0.020 (0.139) 0.064 (0.245) 0.005 (0.068) a

特別保育事業の実施(夜間保育) 0.027 (0.162) 0.053 (0.223) 0.009 (0.094) a 0.028 (0.164) 0.045 (0.209) 0.022 (0.146) a

特別保育事業の実施(障害児保育) 0.301 (0.459) 0.072 (0.259) 0.462 (0.499) a 0.422 (0.494) 0.059 (0.236) 0.546 (0.498) a

特別保育事業の実施(緊急・一時保育) 0.404 (0.491) 0.235 (0.425) 0.523 (0.500) b 0.509 (0.500) 0.236 (0.426) 0.602 (0.490) a

特別保育事業の実施(病後児保育) 0.009 (0.092) 0.013 (0.111) 0.006 (0.075) a 0.018 (0.135) 0.036 (0.188) 0.012 (0.111) a

特別保育事業の実施(幼児教育) 0.298 (0.458) 0.473 (0.500) 0.174 (0.380) a 0.289 (0.454) 0.441 (0.498) 0.237 (0.426) a

総開園時間 11.451 (0.982) 11.116 (1.137) 11.688 (0.773) a 11.650 (1.132) 11.114 (1.508) 11.834 (0.903) a

総開園時間(自然対数) 2.438 (0.076) 2.411 (0.077) 2.456 (0.070) a 2.456 (0.084) 2.420 (0.062) 2.468 (0.087) a

1975年以前に設立 */ 0.123 (0.329) 0.083 (0.277) 0.151 (0.358) a 0.108 (0.310) 0.068 (0.253) 0.121 (0.326) a

1975年から1985年の間に設立 0.531 (0.499) 0.293 (0.455) 0.699 (0.459) a 0.587 (0.493) 0.255 (0.437) 0.701 (0.458) a

1985年から1995年の間に設立 0.221 (0.415) 0.430 (0.495) 0.074 (0.262) a 0.180 (0.385) 0.409 (0.493) 0.102 (0.303) a

1995年以後に設立 0.125 (0.331) 0.194 (0.396) 0.076 (0.265) a 0.125 (0.331) 0.268 (0.444) 0.076 (0.265) a

土地の所有区分(借地) 0.344 (0.475) 0.312 (0.464) 0.367 (0.482) a 0.339 (0.474) 0.364 (0.482) 0.330 (0.471) a

保育所入所定員弾力化実施の有無 0.681 (0.466) 0.266 (0.442) 0.974 (0.159) a 0.782 (0.413) 0.209 (0.408) 0.977 (0.151) a

分園あり 0.013 (0.114) 0.013 (0.111) 0.014 (0.116) 0.038 (0.192) 0.005 (0.067) 0.050 (0.217) a

月給セレクション項 (lambda profit) - - 0.072 (0.017) -0.030 (0.012) - - 0.511 (0.048) 0.198 (0.022)日給セレクション項 (lambda profit) - - 0.068 (0.017) -0.0003 (0.008) - - 0.442 (0.040) 0.119 (0.013)時給セレクション項 (lambda profit) - - 0.066 (0.016) -0.012 (0.010) - - 0.460 (0.042) -0.213 (0.010)

注1 a-c はANOVAのF値をもとに、認可外保育所と私立認可保育所の間の差が5%、10%、15%水準で統計的に有意に異なることを示す。

注2 */レフェレンス変数として回帰分析からは削除。

注3 延長保育の実施ダミーは、回帰分析の中で総開園時間とMulticolinearityをおこすため、図表2以降の分析には投入しなかった。

注4 認可外保育所において、月給ベースでは1,045名(常勤831名、非常勤214名)と若干サンプル数が減少する。

図表6: 基本統計量(私立認可と認可外保育所)

常勤保育士合計 常勤保育士 非常勤保育士合計 非常勤保育士認可外保育所 私立認可保育所 認可外保育所 私立認可保育所

(N=220) (N=645)(N=2,113) (N=875) (N=1,238) (N=865)

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変数係数 標準誤差 係数 標準誤差 係数 標準誤差 係数 標準誤差 係数 標準誤差

I. 常勤保育士

1. 労働者の特性2003年4月中の就労日数 0.257 (0.050) a -0.044 (0.017) a -0.061 (0.008) a -0.046 (0.017) a -0.065 (0.007) a

2003月の一日平均労働時間 0.207 (0.102) a 0.020 (0.016) -0.010 (0.003) a -0.093 (0.015) a -0.241 (0.004) a

男性 -1.877 (0.701) a 0.244 (0.068) a 0.053 (0.019) a 0.256 (0.069) a 0.055 (0.021) a

年齢 0.111 (0.076) c -0.0004 (0.009) -0.0002 (0.004) -0.001 (0.009) -0.004 (0.004) 年齢の二乗 -0.001 (0.001) -0.00004 (0.0001) 0.00004 (0.0001) -0.00003 (0.0001) 0.0001 (0.0001) c

経験年数 -0.166 (0.055) a 0.010 (0.006) c 0.021 (0.002) a 0.011 (0.006) b 0.023 (0.002) a

経験年数の二乗 0.004 (0.002) a -0.00002 (0.0003) -0.0002 (0.0001) a -0.00004 (0.0002) -0.0003 (0.0001) a

大学卒 -1.955 (0.709) a 0.117 (0.064) b -0.044 (0.035) 0.092 (0.059) c -0.015 (0.035) 短大卒 -2.157 (0.418) a -0.030 (0.044) 0.045 (0.017) a -0.045 (0.043) 0.075 (0.019) a

専修学校卒 -2.120 (0.456) a -0.001 (0.048) 0.034 (0.018) b -0.020 (0.048) 0.067 (0.020) a

保育士資格有資格者 -1.634 (0.358) a 0.070 (0.040) b 0.042 (0.010) a 0.080 (0.040) a 0.008 (0.012) 園長 1.042 (0.706) c -0.042 (0.068) 0.787 (0.083) a -0.030 (0.067) 0.763 (0.080) a

主任保育士 1.002 (0.339) a 0.066 (0.030) a 0.125 (0.015) a 0.059 (0.029) a 0.117 (0.018) a

2. 施設の属性雇用者数(自然対数) -5.300 (0.583) a 0.165 (0.024) a 0.011 (0.011) 0.164 (0.023) a -0.007 (0.012) 特別保育事業の実施(休日保育) 7.687 (1.619) a 0.258 (0.091) a -0.028 (0.017) c 0.268 (0.089) a 0.011 (0.018) 特別保育事業の実施(夜間保育) -3.774 (0.862) a -0.144 (0.098) c -0.156 (0.027) a -0.165 (0.096) b -0.134 (0.031) a特別保育事業の実施(障害児保育) -4.299 (0.629) a -0.183 (0.076) a -0.011 (0.008) -0.181 (0.076) a 0.007 (0.009) 特別保育事業の実施(緊急・一時保育) -0.977 (0.320) a -0.048 (0.033) c 0.030 (0.010) a -0.039 (0.032) 0.041 (0.010) a特別保育事業の実施(病後児保育) 2.897 (1.958) c 0.736 (0.235) a -0.035 (0.027) 0.687 (0.236) a -0.065 (0.028) a特別保育事業の実施(幼児教育) 3.313 (0.388) a 0.077 (0.030) a -0.013 (0.008) c 0.066 (0.029) a 0.005 (0.009) 総開園時間(自然対数) -10.820 (1.826) a 0.443 (0.200) a -0.041 (0.067) 0.210 (0.149) 0.020 (0.072) 1975年から1985年の間に設立 -0.067 (0.593) 0.017 (0.050) 0.032 (0.010) a 0.019 (0.049) -0.016 (0.012) 1985年から1995年の間に設立 2.790 (0.696) a 0.032 (0.048) 0.018 (0.017) 0.020 (0.046) -0.013 (0.018) 1995年以後に設立 -0.168 (0.587) -0.026 (0.057) 0.025 (0.017) c -0.039 (0.055) -0.015 (0.019) 土地の所有区分(借地) 0.206 (0.234) 0.033 (0.027) -0.002 (0.007) 0.024 (0.027) -0.026 (0.008) a保育所入所定員弾力化実施の有無 -1.223 (0.276) a -0.121 (0.033) a -0.001 (0.021) -0.109 (0.033) a -0.027 (0.022) 分園あり -0.406 (293.896) 0.035 (0.064) 0.004 (0.020) 0.028 (0.061) -0.071 (0.024) a定数項 35.321 (5.296) a 7.909 (0.609) a 10.165 (0.203) a 7.393 (0.502) a 10.042 (0.213) aセレクション項 (lambda profit) - - 0.323 (0.027) a 0.095 (0.005) a 0.318 (0.028) a 0.106 (0.004) aLog-likelihood

認可外保育所 私立認可保育所

図表7:賃金関数の推計結果(私立認可と認可外保育所)

第1段階の推定 日給 時給認可外保育所 私立認可保育所

賃金関数 賃金関数賃金関数 賃金関数

879.665 -651.405 750.425-141.756 -664.105

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II. 非常勤保育士

1. 労働者の特性2003年4月中の就労日数 -0.213 (0.076) a -0.030 (0.008) a -0.008 (0.006) -0.032 (0.008) a 0.003 (0.007) 2003月の一日平均労働時間 -0.429 (0.211) a 0.079 (0.023) a 0.111 (0.012) a -0.112 (0.023) a -0.105 (0.013) a

男性 3.649 (1.805) a 0.253 (0.160) c 0.119 (0.062) b 0.268 (0.164) c 0.133 (0.078) b

年齢 0.287 (0.297) 0.020 (0.020) 0.008 (0.010) 0.014 (0.020) 0.001 (0.006) 年齢の二乗 -0.004 (0.0035) -0.0003 (0.0002) -0.0002 (0.0001) -0.0002 (0.0002) -0.0001 (0.0001) c

経験年数 0.217 (0.226) 0.007 (0.025) 0.013 (0.006) a 0.007 (0.023) 0.018 (0.008) a

経験年数の二乗 -0.0067 (0.0120) 0.0002 (0.001) -0.0003 (0.0003) 0.0004 (0.0010) -0.0005 (0.0004) 大学卒 -0.181 (4.080) 0.087 (0.188) 0.251 (0.096) a 0.100 (0.189) 0.141 (0.112) 短大卒 -2.293 (1.334) b -0.167 (0.107) c 0.147 (0.062) a -0.198 (0.107) b 0.073 (0.049) c

専修学校卒 -0.957 (1.849) -0.240 (0.164) c 0.152 (0.069) a -0.214 (0.167) 0.083 (0.060) 保育士資格有資格者 -2.378 (1.137) a 0.072 (0.097) 0.055 (0.020) a 0.044 (0.099) 0.066 (0.028) a

園長 - - -0.110 (0.275) - - 0.104 (0.263) - -主任保育士 - - - - - - - - - -

2. 施設の属性雇用者数(自然対数) -6.163 (1.652) a 0.028 (0.082) -0.218 (0.058) a 0.050 (0.076) -0.222 (0.064) a

特別保育事業の実施(休日保育) 5.944 . 0.376 (0.160) a 0.155 (0.039) a 0.221 (0.161) 0.154 (0.045) a

特別保育事業の実施(夜間保育) 0.982 . -0.076 (0.325) 0.111 (0.064) b -0.026 (0.344) 0.628 (0.130) a

特別保育事業の実施(障害児保育) -6.512 (2.321) a 0.201 (0.130) c 0.024 (0.022) 0.227 (0.166) 0.082 (0.026) a特別保育事業の実施(緊急・一時保育) -6.226 (2.364) a -0.037 (0.095) -0.032 (0.026) -0.029 (0.091) 0.047 (0.022) a特別保育事業の実施(病後児保育) 0.085 (902.041) 0.410 (0.286) -0.050 (0.045) 0.511 (0.283) b -0.147 (0.063) a特別保育事業の実施(幼児教育) 7.093 (2.039) a 0.350 (0.103) a 0.021 (0.019) 0.290 (0.099) a 0.069 (0.022) a総開園時間(自然対数) 22.028 (10.630) a -0.565 (0.807) 0.215 (0.208) -0.803 (0.744) -1.204 (0.222) a1975年から1985年の間に設立 -1.828 (42.924) -0.418 (0.163) a -0.202 (0.036) a -0.357 (0.171) a -0.267 (0.046) a1985年から1995年の間に設立 2.822 (42.916) -0.387 (0.159) a -0.181 (0.040) a -0.364 (0.174) a -0.243 (0.049) a1995年以後に設立 1.339 (42.933) -0.276 (0.161) b -0.163 (0.041) a -0.234 (0.166) -0.133 (0.055) a土地の所有区分(借地) -1.837 (1.161) c 0.248 (0.086) a 0.003 (0.020) 0.195 (0.092) a -0.068 (0.025) a保育所入所定員弾力化実施の有無 -6.013 (2.008) a -0.251 (0.122) a 0.009 (0.035) -0.208 (0.123) b -0.126 (0.051) a分園あり 2.010 . -2.191 (0.243) a 0.072 (0.043) b -2.098 (0.241) a -0.060 (0.047) 定数項 -29.042 (48.636) 9.485 (1.886) a 8.096 (0.490) a 9.691 (1.720) a 11.327 (0.582) aセレクション項 (lambda profit) - - 0.442 (0.040) a 0.119 (0.013) a 0.460 (0.042) a 0.229 (0.010) aLog-likelihood

注1 a-cはそれぞれ5%、10%、15%での有意水準を示す。全ての推計には施設ダミー及び市町村ダミーを含む。注2 全ての回帰分析は市町村ダミーにより調整済み。

-14.549 -143.883 -120.729 -152.269 36.193

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対数値 金額(円)

I.常勤保育士

1. 日給

(1) 私立認可保育所の賃金の推定値 9.069 8,695.195(2) 認可外保育所の賃金の推定値 8.512 4,632.089(3) 要素量の違いによる賃金格差 0.481 4,859.386(4) 要素価格の違いによる賃金格差 0.076 -796.279(5) 認可外保育所と私立認可保育所の賃金格差 0.556 4,063.107

2. 時給

(1) 私立認可保育所の賃金の推定値 7.106 1,409.754(2) 認可外保育所の賃金の推定値 6.417 578.502(3) 要素量の違いによる賃金格差 0.470 499.051(4) 要素価格の違いによる賃金格差 0.218 332.201(5) 認可外保育所と私立認可保育所の賃金格差 0.688 831.252

II.非常勤保育士

1. 日給

(1) 私立認可保育所の賃金の推定値 8.760 6,344.488(2) 認可外保育所の賃金の推定値 8.386 4,883.434(3) 要素量の違いによる賃金格差 -0.242 -1,279.973(4) 要素価格の違いによる賃金格差 0.617 2,741.027(5) 認可外保育所と私立認可保育所の賃金格差 0.375 1,461.055

2. 時給

(1) 私立認可保育所の賃金の推定値 6.725 854.626(2) 認可外保育所の賃金の推定値 6.263 679.502(3) 要素量の違いによる賃金格差 -0.406 -828.161(4) 要素価格の違いによる賃金格差 0.868 1,003.285(5) 認可外保育所と私立認可保育所の賃金格差 0.463 175.124

 図表8 賃金格差の要因分解(私立認可と認可外保育所)

Page 33: by2002 年から始まった「待機児童ゼロ作戦」では保育所等において2002 年度中に5 万人、 さらに2004 年度までに10 万人の合計15 万人の受入児童数増大を図るとしている。

要素量による部分 要素価格による部分 賃金格差合計 (円)

I.常勤保育士1. 日給就業日数及び就業時間 1,540.589 -17,690.193 -16,149.604男性 -0.162 -7.919 -8.081年齢 8.216 688.972 697.188経験年数 408.078 1,923.289 2,331.367教育水準 357.598 944.459 1,302.057保育士資格 404.125 1,068.319 1,472.444管理者(主任保育士・園長) -1,520.552 1,755.636 235.084雇用者数(規模) 1,170.124 2,988.372 4,158.496サービス内容 775.649 -774.054 1.594総開園時間 179.989 11,256.858 11,436.848他の施設の属性 a/ 1,974.221 980.484 2,954.705地域ダミー -162.910 1,606.169 1,443.258切片 0.000 -5,570.520 -5,570.520セレクション項 -275.578 33.848 -241.730合計 4,859.386 -796.279 4,063.107

9,633.627b/ 4,304.837c/

2. 時給就業日数及び就業時間 748.069 -8,343.837 -7,595.768男性 0.825 -3.558 -2.733年齢 -0.746 -29.821 -30.567経験年数 47.381 224.290 271.672教育水準 54.089 155.884 209.973保育士資格 -4.628 -1.501 -6.130管理者(主任保育士・園長) -225.643 262.853 37.210雇用者数(規模) -68.781 -116.199 -184.980サービス内容 49.866 -16.620 33.246総開園時間 27.427 1,893.046 1,920.473他の施設の属性 a/ -52.056 -15.734 -67.790地域ダミー -34.655 191.378 156.724切片 0.000 6,124.227 6,124.227セレクション項 -42.096 7.791 -34.304合計 499.051 332.201 831.252

-5292.975b/ 865.556c/

図表9-1: 非営利賃金プレミアムの要因分解

Page 34: by2002 年から始まった「待機児童ゼロ作戦」では保育所等において2002 年度中に5 万人、 さらに2004 年度までに10 万人の合計15 万人の受入児童数増大を図るとしている。

図表9-2: 非営利賃金プレミアムの要因分解

要素量による部分 要素価格による部分 賃金格差合計 (円)

II.非常勤保育士1. 日給就業日数及び就業時間 -224.137 5,485.374 5,261.237男性 -6.783 12.724 5.941年齢 6.060 -1,135.392 -1,129.332経験年数 65.586 -373.818 -308.232教育水準 111.987 990.864 1,102.851保育士資格 88.587 211.276 299.864管理者(主任保育士・園長) 0.000 155.386 155.386雇用者数(規模) -878.881 -1,047.995 -1,926.876サービス内容 -123.467 -367.664 -491.131総開園時間 79.934 -8,075.919 -7,995.985他の施設の属性 a/ -123.439 3,207.422 3,083.982地域ダミー 53.243 -117.276 -64.034切片 0.000 4,605.339 4,605.339セレクション項 -328.662 -809.292 -1,137.954合計 -1,279.973 2,741.027 1,461.055

-3,144.284b/ 2,599.009c/

2. 時給就業日数及び就業時間 148.734 321.344 470.078男性 -1.756 -0.657 -2.413年齢 8.001 -512.851 -504.850経験年数 27.945 -30.478 -2.533教育水準 9.668 151.080 160.749保育士資格 22.164 72.445 94.610管理者(主任保育士・園長) 0.000 7.601 7.601雇用者数(規模) -338.294 -632.808 -971.102サービス内容 5.385 95.401 100.786総開園時間 -155.090 -7,087.899 -7,242.989他の施設の属性 a/ -222.260 283.331 61.070地域ダミー -34.019 -101.848 -135.867切片 0.000 8,515.751 8,515.751セレクション項 -298.639 -77.128 -375.767合計 -828.161 1,003.285 175.124

-8,340.627b/ 550.891c/

注:a/ 「他の施設の属性」は設立年、土地の所有区分、定員弾力化の実施の有無及び分園の有無を含む。b/ 合計値から切片の要素価格による影響を差し引いた数値を示す。c/ 合計値からセレクション項による影響を差し引いた数値を示す。