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1 May 22, 2015 ・本資料は情報提供を唯一の目的としたものであり、金融商品の売買や投資などの勧誘を目的としたものではありません。 本資料の中に銀行取引や同取引に関連する記載がある場合、弊行がそれらの取引を応諾したこと、またそれらの取引の実 行を推奨することを意味するものではなく、それらの取引の妥当性や、適法性等について保証するものでもありません。 ・本資料の記述は弊行内で作成したものを含め弊行の統一された考えを表明したものではありません。 ・本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成されていますが、その正確性、信頼性、完全性を保証するものではあ りません。最終判断はご自身で行っていただきますようお願いいたします。本資料に基づく投資決定、経営上の判断、そ の他全ての行為によって如何なる損害を受けた場合にも、弊行ならびに原資料提供者は一切の責任を負いません。実際の 適用につきましては、別途、公認会計士、税理士、弁護士にご確認いただきますようお願いいたします。 ・本資料の知的財産権は全て原資料提供者または株式会社三菱東京 UFJ 銀行に帰属します。本資料の本文の一部または全部 について、第三者への開示および、複製、販売、その他如何なる方法においても、第三者への提供を禁じます。 ・本資料の内容は予告なく変更される場合があります。 BTMU Global Business Insight EMEA & Americas 1. メキシコにおける M&A の基礎知識(2アンダーソン・毛利・友常法律事務所 角田太郎/川上晋平 2. アフリカにおけるデジタル経済の興隆 KSM NEWS & RESEARCH 3.ペルー経済の現状と見直し ~今年は回復見込むも銅への依存上昇はリスクにも~ 公益財団法人 国際通貨研究所 経済調査部 上席研究員 森川 央 4. 主要各国の経済指標 2 7 10 14

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May 22, 2015

・本資料は情報提供を唯一の目的としたものであり、金融商品の売買や投資などの勧誘を目的としたものではありません。

本資料の中に銀行取引や同取引に関連する記載がある場合、弊行がそれらの取引を応諾したこと、またそれらの取引の実

行を推奨することを意味するものではなく、それらの取引の妥当性や、適法性等について保証するものでもありません。

・本資料の記述は弊行内で作成したものを含め弊行の統一された考えを表明したものではありません。

・本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成されていますが、その正確性、信頼性、完全性を保証するものではあ

りません。最終判断はご自身で行っていただきますようお願いいたします。本資料に基づく投資決定、経営上の判断、そ

の他全ての行為によって如何なる損害を受けた場合にも、弊行ならびに原資料提供者は一切の責任を負いません。実際の

適用につきましては、別途、公認会計士、税理士、弁護士にご確認いただきますようお願いいたします。

・本資料の知的財産権は全て原資料提供者または株式会社三菱東京 UFJ 銀行に帰属します。本資料の本文の一部または全部

について、第三者への開示および、複製、販売、その他如何なる方法においても、第三者への提供を禁じます。

・本資料の内容は予告なく変更される場合があります。

BTMU Global Business Insight EMEA & Americas

1. メキシコにおける M&A の基礎知識(2) アンダーソン・毛利・友常法律事務所 角田太郎/川上晋平

2. アフリカにおけるデジタル経済の興隆 KSM NEWS & RESEARCH

3.ペルー経済の現状と見直し ~今年は回復見込むも銅への依存上昇はリスクにも~ 公益財団法人 国際通貨研究所 経済調査部 上席研究員 森川 央

4. 主要各国の経済指標

… 2 … 7 … 10 … 14

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2

1.メキシコにおける M&A の基礎知識(2)

(前回のレポートは以下 URL をクリックして本文をご参照下さい。)

http://www.bk.mufg.jp/report/insemeaa/BW20150424.pdf

本稿は、2 回に分けて、M&A に関連するメキシコの法制度を紹介しようとするものであり、前号では、外

資規制、M&A の手法(会社設立・買収と資産取得の比較)及び独占禁止法について解説した。本号では、前

号に引き続き、メキシコにおける M&A の基礎知識として、選択可能な会社形態やデューデリジェンスのポイ

ントについて解説したい。

1.メキシコにおける会社形態

日本企業がメキシコへの進出を検討する場合、その会社形態としては、大きく(1)駐在員事務所・支店、

(2)現地法人の 2 つに分けられる。

(1)駐在員事務所・支店

駐在員事務所とは、メキシコにおいて営業活動を行わず利益が発生しない拠点をいう。そのため、商流・物

流管理や日墨間の取次業務のほか、メキシコ進出に向けての情報収集・基盤整備等に活用されるケースが見ら

れるが、メキシコで本格的にビジネスを行う場合には適さない。また、支店は、営業活動を行うことができる

が、現地法人と異なり、独立した法人格が認められず、日本の本社が支店の活動に関して無制限に責任を負う

ことになる。そのため、メキシコへ進出するに当たって、支店の形態が採用されることは稀であり、通常、現

地法人の新規設立・買収によることとなる。

(2)現地法人(「S.A.」、「S.de R.L.」及び「SAPI」)

メキシコには様々な会社形態が存在するが、中でも伝統的な会社形態としてよく用いられるのは、①

Sociedad Anónima(以下「S.A.」という。)と②Sociedad de Responsabilidad Limitada(以下「S.de R.L.」と

いう。)である。いずれもメキシコ商事会社一般法に基づき設立され、出資者が出資額を限度とした間接有限

責任しか負わないことがポイントである。

一般的な特徴として、①S.A.は日本の株式会社に、②S.de R.L.は合同会社に類似すると言われ、①S.A.はガ

バナンスの観点から優れており、大規模な会社に適しているのに対し、②S.de R.L.は簡素な組織形態から設

立・運営コストに優れており、中小規模の会社に適している。なお、メキシコにおいては、資本金を増減する

場合、原則として定款の変更が必要となるが、一定の最低固定資本金額を定め、その範囲内で定款変更を行わ

ずに資本金を変更することができる可変資本(Capital Variable: C.V.)制度が認められている。S.A.と S.de R.L.

ともに、この可変資本制度を採用することが多く、その場合、それぞれ S.A.de C.V.及び S.de R.L.de C.V.と表

記される。

これに対して、2005 年に公布されたメキシコ証券市場法により新たに導入された会社形態として、③

Sociedad Anónima Promotora de Inversión(以下「SAPI」という。)がある。③SAPI は投資促進会社と言わ

れ、法形式的には S.A.の一形態であるが、証券市場法の特則により、通常の S.A.に比べて、少数出資者の権

利が強化されるとともに、多様な種類株式を発行できるようになり、さらに重要なことに、出資者間の権利関

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係について出資者間契約により柔軟に規律できるようになった。

このような特徴から、③SAPI はジョイントベンチャーの組成に適した会社形態として、近年、プライベー

トエクイティ投資において利用が増加していたが、2014 年 6 月に商事会社一般法が改正され、①S.A.につい

ても③SAPI に類似した規制緩和が行われた結果、今では、①S.A.と③SAPI の差異はかなり小さくなっている。

現在の①S.A.、②S.de R.L.及び③SAPI の主な異同をまとめると表のようになる。

【表】S.A.、S.de R.L.及び SAPI の比較

①S.A.

(株式会社)

②S.de R.L.

(合同会社)

③SAPI

(投資促進会社)

根拠法令 商事会社一般法 商事会社一般法 証券市場法で特則を規定

最低資本金 なし。ただし、実務上、

5 万ペソ以上とされること

が多い。

なし。ただし、実務上、3,000

ペソ以上とされることが多

い。

特則なし

出資者

持分は Share(株式)であり、

2 名以上の出資者が必要。証

券が発行される。

持分は Partnership Interest

(出資者権)であり、出資者

は 2 名~50 名。証券は発行さ

れない。

特則なし

出資持分の

譲渡

原則事由(ただし、定款で

譲渡制限可)

※2014 年の改正により、タ

グアロング、ドラッグアロ

ング等の柔軟な譲渡制限の

設定が可能となった。

総資本の過半数の持分権者

の同意が必要。持分権者以外

の第三者に譲渡しようとす

る場合、他の持分権者は買取

権を有する。

原則自由(ただし、定款で

譲渡制限可)

※タグアロング、ドラッグ

アロング等の柔軟な譲渡制

限の設定が可能

機関 株主総会

-定時総会:決算・事業報告、

役員の選解任・報酬等を決

-臨時総会:増減資、組織変

更、合併・分割、定款変更

等の重要事項を決議

取締役・取締役会

監査役・監査役会

持分権者総会

執行役員・執行役員会

監査役・監査役会(任意)

取締役会が必要

(単独取締役は不可)

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決議要件 <決議要件>

定時総会:原則として、出

席株主の議決権の過半数の

賛成が必要。

臨時総会:原則として、総

資本の 50%以上の賛成が必

<決議要件>

原則として、出席持分権者の

議決権の過半数の賛成が必

要。ただし、定款の変更につ

いては総資本の 75%以上(会

社目的の変更や持分権者の

義務を加重する変更は全会

一致)の賛成が必要

特則なし

資金調達 公募増資(上場)・種類株の

発行可能

※2014 年改正により、議決

権制限株式、無議決権株式、

拒否権・優先議決権付株式

等を発行できることが明記

され、柔軟な種類株式の発

行が可能となった。

※S.A.のうち、株式を公開し

て い る も の は Sociedad

Anónima Bursátil(SAB)と

呼ばれ、証券市場法の規律

を受ける。

公募増資(上場)不可、種類

持分の発行可能

公募増資(上場)・種類株の

発行可能

※議決権制限株式、無議決

権株式、拒否権・優先議決

権付株式、優先・劣後株式

等を発行できることが明記

されており、柔軟な種類株

式の発行が可能

※株式を公開する場合は

SAB となる。

出資者間契約 定款の定めにかかわらず有

※2014 年の改正前は、出資

者間契約の内容が定款の規

定と異なる場合には、定款

の規定が優先され、また、

議決権行使を制限する合意

は無効とされていた。

出資者間契約の内容が定款

の規定と異なる場合には、定

款の規定が優先される。

定款の定めにかかわらず有

効(議決権行使を制限する

合意も可能)

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少数出資者権 持株比率に応じて、以下の

少数出資者権が認められ

る。

(a)総資本の 25%以上:1 名

以上の取締役・監査役の選

任、役員の責任追及訴訟、

株主総会の延期、株主総会

決議の無効・取消訴訟

(b)総資本の 33%以上:株主

総会の招集

※2014 年の改正前は、(a)の

うち取締役・監査役の選任

以外は、総資本の 33%以上

を保有していることが必要

であった。

― 持株比率に応じて、以下の

少数出資者権が認められ

る。

(a)総資本の 10%以上: 1 名

以上の取締役・監査役の選

任、株主総会の招集・延期

(b)総資本の 15%以上:役員

の責任追及訴訟

(c)総資本の 20%以上:株主

総会決議の無効・取消訴訟

(3)組織変更

メキシコでは、ある会社形態で会社を設立しても、その後、一定の手続を経ることで他の会社形態に組織変

更を行うことが可能である。例えば、既存の②S.de R.L.に外部から出資を受け入れる場面で、会社の運営・持

分等に関する事項について出資者間で合意をしたいというようなケースにおいては、まず②S.de R.L.から①

S.A や③SAPI に組織変更することが考えられる。また、②S.de R.L.はそもそも中小規模の会社を念頭に置い

たシンプルな会社形態であることから、経営規模の拡大に応じて、将来の上場も視野にガバナンスの充実した

①S.A や②SAPI に組織変更したいといった要請が生じることもあり得る。

組織変更の手続は、(i)株主総会又は持分権者総会を開催して組織変更の決議を行い、(ii)当該決議に係る議

事録を商業登記所に登録するとともに、(iii)債権者異議手続として、組織変更につき公告を行う。組織変更は、

当該会社が、(a)債権者からの同意取得、(b)債務の弁済又は(c)債権額に相当する担保提供のいずれかを行う場

合には、(ii)の登録完了と同時に効力を生じるが、これらの措置を行わない場合には、(ii)の登録から 3 ヶ月を

経過する日に効力を生じ、債権者は当該 3 ヶ月の間に組織変更の差止めの訴えを提起することができる。

2.メキシコにおけるデューデリジェンスのポイント

現地法人を新規に設立する場合には問題とならないが、M&A によりメキシコ企業を買収する場合には、企

業価値を適正に把握するとともに、過大なリスクを承継することのないよう、対象会社に対して、綿密なデュ

ーデリジェンス(DD)を行う必要がある。

メキシコにおける法務 DD のプラクティスは、対象会社の事業内容や依頼する法律事務所にもよるが、国

際的なそれと大きく乖離する点は少ないように思われる。一般的な調査項目としては、会社組織、契約関係、

資産(知的財産を含む。)、環境、労務、訴訟・紛争(税務上の手続を含む。)、その他事業内容に応じて業務上

の許認可・腐敗防止等が挙げられるが、中でも環境、労務、税務の分野において深刻な問題が発見されること

が多い。

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(1)環境

環境について、メキシコは自然環境の保護に対して非常に厳格な態度をとっており、連邦・州・自治体それ

ぞれのレベルにおいて複雑な規制が設けられている。特に、メキシコで、工場の操業や資源開発等、環境汚染

を生じるおそれのある事業活動を行うには様々な許認可の取得を要するが、法務 DD においては、これら許

認可の欠如や期限切れが発見されることが多い。また、メキシコで環境汚染が発生した場合、事業者は、行政

責任(過料・操業停止・許認可の取消し等)や刑事罰(懲役等)の対象となるほか、民事上の回復義務・損害

賠償の責任を負う可能性があるため、環境責任に結びつく可能性のある訴訟や行政手続の有無に留意する必要

がある。

(2)労務

労務については、一般的に、メキシコ企業では労働法違反が散見されることが多く、複数の労働訴訟を抱え

ていることも珍しくない。また、メキシコには「労働者利益分配金(PTU)」と呼ばれる特有の制度があり留

意が必要である。PTU とは、毎年、会社の税引前利益の 10%を従業員に分配しなければならないとするもの

であるが、従前は、人材派遣会社への業務委託という形式をとることにより、その支払を調整するという対応

が実務上広く行われていた。しかしながら、近年の労働法改正により、このような対応は労働法違反とみなさ

れるリスクが高まっており、PTU の未払債務が生じていないかは法務 DD における重要な調査項目となって

いる。

(3)税務

税務について、メキシコでは税制の改正が頻繁に行われることもあり、税務処理について問題を抱えている

会社が多い。そのため、潜在的な租税債務に結びつく税務訴訟・手続の有無について慎重に調査する必要があ

る。

3.結語

以上、メキシコにおける M&A の基礎知識として、実務的なポイントや直近の改正にも触れつつ、関連する

基本的な法制度の概要を解説した。本稿で述べた内容はあくまで基礎知識に過ぎないものであり、実際にメキ

シコで M&A を行うに当たっては、現地の法律事務所の助言・協力を受けるべきことは言うまでもないが、案

件を効率的に進めるためには、日本の担当者自身もメキシコの法制度についてある程度の理解を有しているこ

とが望ましい。冒頭で述べたとおり、日本企業によるメキシコ進出は今後ますます増加・多様化していくもの

と思われるが、メキシコでの M&A に関する初期的な検討や現地法律事務所とのやりとりに当たって、本稿を

ご参照いただければ誠に幸いである。

記事提供:アンダーソン・毛利・友常法律事務所 角田太郎/川上晋平

(2015 年 5 月 12 日作成)

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2. アフリカにおけるデジタル経済の興隆

概要

世界の発展途上地域と見なされ、ビジネスの対象としては注目されることが少ないアフリカだが、デジタ

ル経済では世界でも先進的なイニシアチブに事欠かない。特にモバイルでは、アフリカの「進歩の遅さ」が逆

に世界でも先進的な試みを生み出すという興味深い現象が見られている。このようなアフリカの状況を知るこ

とは、新たなビジネス・チャンスをつかむための助けになると思われる。

エボラ出血熱などの感染症の流行やイスラム過激派の台頭などによる政情不安、あるいは根強い貧困問題

など、アフリカ諸国は多くの難題を抱えており、投資先として注目されることは少ないとされる。しかしなが

ら実はデジタル経済では、アフリカ諸国は世界でも先進的なイニシアチブに事欠かず、特にケニアやナイジェ

リアでは、将来有望なスタートアップ企業が相次いで出現している。例えばケニアでのモバイル決済の普及率

は 75%に達している。ナイジェリアでは、インターネット・トラフィックの 88%がモバイルによるものであ

る。この割合は、米国では 30%にすぎない。またルワンダでは、2017 年までに世界初のキャッシュレス経済

となるための大規模計画が開始されている。

このような根本的な変化は全て、携帯電話の爆発的な普及に関係したものだ。アフリカは、確かに固定イン

ターネットでは後れを取ったが、モバイル・インターネットでは決して遅れていない。アフリカでの携帯端末

数は、人口 11 億人に対し既に 8 億 8000 万台に達しており(携帯事業者団体 GSMA の統計による)、固定電話

の 1,400 万回線を圧倒している。スマートフォン(スマホ)普及はまだまだだが、その将来性は大きく、2020

年には世界のスマホ台数の 80%は新興市場が占めると予測されている。

このようなモバイルの普及を受け、幾つかのスタートアップ企業が成功しており、その数はアフリカ全域で

増加の一途をたどっている。その一つであるウガンダの Remit(https://remit.ug/)の創設者である Stone

Atwine 氏は、アフリカ人はモバイル・ネーティブだと指摘した上で「アフリカ人以上にモバイルのメカニズ

ムを理解できる人々はいない」とまで語る。アフリカでは、通信網がもともと他のアフリカ諸国より発達して

いるケニア、市場のポテンシャルが高いナイジェリア(現在、人口約 1 億 8000 万人、2050 年には 4 億人以上

の見込み)、そして南アフリカ共和国などがデジタル経済の中心地となっているが、ルワンダやウガンダ、ま

たはセネガルなどもデジタル経済の発展にかなりの力を入れている。

カメルーン出身で、セネガルで事業を開始した Ted Boulou 氏は、アフリカ市場へのアプローチの仕方につ

いて、次のように語る。「アフリカ市場にアプローチするには二つの方法がある。一つは、欧米の国民のよう

に消費する比較的富裕な中産階級が出現するまで待つというものだ。その場合、欧米のコンセプトをコピーし

さえすればいいが、時間がかかる。もう一つは、全ての人々をターゲットとするものだが、その場合欧米の学

校で学んだことは全て忘れて、現実に直面しなければならない(つまり、製品開発やマーケティングにおいて、

欧州の伝統的な方法とは異なる全く別の視点を持つ必要がある)」。

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Boulou 氏自身も、Somtou(http://www.somtou.com/)という中小商店に向けたターンキーソリューシ

ョンを開発した。Somtou では、タブレット端末とレジの中間に位置する非常に丈夫で単純な端末を利用し、

中小商店主は、販売した全ての商品をスキャン・記録・追跡することができる。これにより保存されたデータ

は、大企業の関心を引くものでもある。Boulou 氏は「コカ・コーラは、販売にどのような影響を与えるかを

知らずに、アフリカの辺境で看板を出すことはないだろう。Somtou なら、そのようなデータがリアルタイム

で入手できる」と指摘する。加えて、Somtou の端末は太陽光発電パネルを備えており、至るところで利用で

きるように設計されている。

このようなアフリカにおけるデジタル経済発展の背景の理由を挙げるとすると、これまで基本的と見なされ

ていたインフラが不足していたことが挙げられる。上述したが、アフリカ全体での固定電話回線数は 1,400 万

回線にすぎない。米国・マンハッタンだけでも、同じ数の回線がある。アフリカ大陸の面積を考えてみれば、

固定電話インフラは実質的にはないといってよいだろう。アフリカが、固定インターネットで後れを取ったの

は当然のことだ。しかし、このようなインフラ不在がかえってモバイルの急速な普及を促した。

前述の Atwine 氏が指摘したように、アフリカの人々はモバイル・ネーティブなのだろう。固定電話が日

本で普及を始めたときのことを想像してもらいたい。もたらした影響は巨大なものだったはずだ。アフリカの

人々は、それを飛び越えてモバイル時代に突入したのだ。衝撃は、固定電話が日本にもたらした影響をも上回

るものであるに違いない。

このような携帯電話の普及を背景に、モバイル・バンキングの普及が始まったわけだが、これにも、銀行イ

ンフラの未整備という背景がある。日本での成人 10 万人当たりの現金自動預払機(ATM)設置台数は 133 台、

世界平均は 44 台だが、ケニアではわずか 7 台にすぎない。また、アフリカ全体の銀行口座の保有率は 2〜3

割にとどまっている。携帯を財布代わりに使用する下地がそろっていたわけで、本格的キャッシュレス社会へ

と進化する可能性をはらんでいる。もちろん手数料の問題など、今後解決されなければならない問題は多いと

思われるが、モバイル決済に対するニーズは大きいはずだ。

類似の既存技術が普及していたせいで、ある先端技術の普及が遅れるという現象はしばしば見られるもので、

例えばミニテル(ビデオテックス)が普及していたことから、フランスでのインターネットの普及が 2000 年

ごろと他国より遅れたケースを指摘できる。これとは逆に、アフリカでのモバイル・バンキングの普及には、

技術・インフラ面で白紙に近かったことがプラスに働いているといえよう。

このようなアフリカでのモバイルの発展から得られる教訓を一言で言えば、陳腐な言い方だが、逆転の発想

ということになろう。「進歩の遅さ」を逆手にとって、時代の先端に踊り出るというわけだ。アフリカの場合、

モバイルの発展は固定電話インフラの不在により強いられたもので自発的なものではないという事情はあろ

うが、今後は積極的な逆転の発想が相次いで出現する可能性をはらんでおり、われわれにとっても参考となる

可能性は大きい。

上述したことと関連するが、アフリカでのデジタル経済の発展から得られる教訓としては、既存技術、ある

いは時代遅れになったと見なされる技術の見直しがあろう。その例としては、Saya が挙げられる。

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(http://allthingsd.com/20120916/ghanaian-start-up-saya-brings-modern-messaging-to-feature-phones/)

2011 年創設の Saya は「2G の WhatsApp」(メッセンジャーアプリケーション)と呼ばれ、アフリカでのス

マホの普及が遅れていることを背景に(逆転の発想である)、2G 上でのショートメッセージサービス(SMS)

を利用したチャット・システムを開発した。当初は、ガーナで業務を展開していたが、ナイジェリア、ケニア

に続いて、アジア・中南米・中東など 30 カ国・地域に相次いで進出、アクティブ・ユーザー数は 8,000 万人

に達した。Saya は 2014 年に米通信サービスの Kirusa に買収されたが、アフリカ人の創業者たちは依然とし

て経営に携わっている。

Saya のように、既存技術あるいは時代遅れと見なされる技術に手直しを加えることにより、新たなサービ

スをつくり出すという姿勢は発想が勝負だが、意外なビジネス・チャンスにつながりそうだ。日本では現在顧

みられなくなったが、アフリカの人々にとっては十分有益な技術・製品が多くあるのではないだろうか。基本

的なインフラが使用不可能となる緊急時・災害時向け製品の開発などが日本で進められているが、アフリカで

も日常的なニーズに応えるものがありそうだ。

余談ながら、フランスには SIGFOX というスタートアップ企業がある。先に、NTT ドコモ・ベンチャーズ

の出資を受け、フランスのスタートアップ企業としては史上最高となる 1億ユーロの増資に成功した。SIGFOX

は、エネルギーをほとんど必要としない超低速モバイル・ネットワーク(通信速度 1 キロビット毎秒以下、到

達距離が非常に長い 868 メガヘルツの周波数帯を利用しており、帯域幅は 100 ヘルツ程度)を、モノのインタ

ーネット向けに開発・敷設している。同社のネットワークは、現在では大方の通信事業者が顧みない 20 世紀

初頭の無線通信技術に想を得たものだが、モノのインターネットという新時代のコンセプト向けに設計されて

おり、まさに逆転の発想を体現した企業といえそうだ。

以上、アフリカにおけるデジタル経済の発展ぶりを紹介してきたが、本格的発展には問題も多く残されてい

る。特に財政面での困難は大きい。アフリカ外からの投資家にとっては、アフリカでのニーズが分かりづらい

ことから、投資にためらいがちとなり、その結果、せっかくのアイデアが生かされない可能性は大きい。また

モバイル・バンキングにしても、アフリカでの利用額が少額であるケースが多いことから手数料が問題になる

とみられ、これを抑える工夫が必要である。他方、基本的と見なされるインフラが不在であることは弱点に転

換する可能性を常に秘めている。将来超高速ブロードバンドが主流となった場合、モバイルではなく固定回線

の方が有利であり、その場合アフリカにおける固定回線の不在が再びハンディキャップとなる可能性は捨てら

れない。

記事提供:KSM NEWS & RESEARCH

フランス・パリを拠点として情報提供・ビジネス支援を行う。ニュースレター編集・配信、政治・

経済・ビジネス関連の調査、情報クリッピング、翻訳・通訳などを主な業務とし、創業 30 年来のデ

ータおよびノウハウの蓄積を利用して幅広く質の高いサービスの提供に務めている。

(2015 年 3 月 17 日作成)

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3. ペルー経済の現状と見通し

~今年は回復見込むも銅への依存上昇はリスクにも~

1.ペルー概観~近年の高成長の背景 ペルーは人口約 3,100 万人、国内総生産(GDP)は 2,030 億ドル、ラテンアメリカ世界で第 7 位の規模の経

済である。一人当たり GDP は約 6,600 ドルであり、中所得国の一角を占める。1

かつては政情の安定しない高インフレ国であったが、2000 年代に入ってからは資源価格の上昇という追い

風を受け、高成長を遂げている。最近 10 年の平均成長率は 6.4%とラテンアメリカ社会の中でも高い。2014

年は成長率の大幅な低下(2.4%)に見舞われたが、見通しは明るく 2015 年には再び 4%台の成長に復帰する

と期待されている。

‐1.0%0.0%1.0%2.0%3.0%4.0%5.0%6.0%7.0%

ブラジル チリ コロンビア メキシコ ペルー ラ米

図1:ラ米諸国の成長率

2003‐13年平均

2014年見込

2015年予想

(注)予測は民間コンセンサス予測他。一部中央銀行予測値を含む。

(資料)Thomson Reuters Datastream、世界銀行

年間成長率

産業は第 1 次産業(農、魚、鉱業)が中心である。鉱業は金、銀、銅、亜鉛などを産出している。また、ペ

ルーは山国のイメージが強いが、太平洋に面しており、漁業も盛んである。第 1 次産業の GDP に占めるウェ

イトは 20%(2012 年)と高く、製造業も一次産品関連のシェアが大きい。

2000 年代に入ってからは経済運営も堅実である。中央銀行は独立性を高め、インフレ目標を明示している。

現在の目標は 2%±1%であるが、近年、目標から大きく外れたのは世界金融危機があった 2008年だけである。

0%

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2001 2003 2005 2007 2009 2011 2013

図3:財政状況

公的負債(右)

中央政府財政収支(左)

GDP比 GDP比

(資料)Thomson Reuters Datastream

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2001 2003 2005 2007 2009 2011 2013

図2:インフレ、対外負債・外貨準備

対外債務(右)

外貨準備(右)

インフレ率(左)

億ドル前年比、%

(注)インフレ率は、首都リマの消費者物価上昇率。

(資料)Thomson Reuters Datastream

財政政策も同様である。2000 代前半は赤字だったものの赤字幅を縮小させ、2006 年からは黒字に転換し

1データは全て 2013年

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た(中央政府の収支)。その後、赤字に転じたのは 2009 年と 2014 年の 2 年だけである。公的負債はかつて GDP

の 5 割弱であったが、順調に圧縮され 2014 年は GDP 比 20.1%となっている。

ペルーへの評価は投資資金の流れにも表れている。地下資源開発が主であるが、ペルーには直接投資が安定

的に流入している。短期資金の流入は抑制されており、急激な資金の巻き戻しに翻弄されるリスクは小さい。

そして外貨準備は輸入の 5年分という潤沢な水準になっており、対外債務に匹敵する額になっている(図 2)。

こうした材料を反映して、ペルーのソブリン CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)の国債保証料は比

較的安定している。ブラジルの CDS 国債保証料が 2014 年 7 月から 100 ベーシスポイント 2以上、上昇し 300bp

弱に達しているのに対し、ペルーは同期間 50bp 上昇したに過ぎず、水準も 100bp 強に留まっている。ペルー

の国際収支危機への耐性は高まっていると評価できよう。

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2004 2006 2008 2010 2012 2014

図4:長期資本流入額

その他投資

ポートフォリオ投資

直接投資

億ドル

(資料)Thomson Reuters Datastream

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2014 2015

図5:ソブリンCDS(5年)

ペルー

ブラジル

(資料)Thomson Reuters Datastream

bp

2.2014 年の成長率は急減速~背景には一時的要因も

好調なペルー経済であったが、2014 年は急減速に見舞われた。実質 GDP 成長率は 2013 年の 5.8%から 2.4%

へと急減速となった。しかもこの減速は想定されていなかった減速であった。1 年前(2014 年 4 月時点)のコ

ンセンサス見通しは 5.3%であった。

想定外の減速となった原因は、第 1 次産業の不振である(図 6)。第 1 次産業の産出額(GDP)は 2014 年

4-6 月から急速に鈍化し、年末まで悪化が続いている。それに付随して、素材関連の製造業の生産も大きく減

少している。

この原因としては、①鉱山稼働率の低下、②イワシ漁の不漁、③地方政府の公共投資減少、④資源価格の下

落による交易条件の悪化、が挙げられる。このうち④以外は一時的な要因と考えられる。

21ベーシスポイント=0.01%、100ベーシスポイントは 1%に相当する。bpと略記。

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2012 2013 2014 2015

図6:産業別GDP

第1次産業(左) 第2次、3次(左)

素材関連製造業(右)

(注)産業別月次GDP指数(3ヵ月移動平均) (資料)Thomson Reuters Datastream

前年比 前年比

まず銅鉱山については、ペルーの主要銅鉱山で拡張とメンテナンスが重なり操業が低下していた。しかし、

拡張工事は終わりつつあり、主要鉱山は今後増産に向かう計画である。2015 年はペルー全体で約 15%の増産

が計画されている。そして、2016 年、2017 年は 3 割弱の拡大が続く見通しで、銅産出量は 2014 年の 120 万ト

ンから 2017 年には 2 倍近い 230 万トンになる見通しである。

2014 年のイワシ漁はエルニーニョ現象の発生により、漁獲高が 2013 年に比べ半減していた。政府が資源確

保のために漁期を短縮したことも影響した。2015 年は反動で漁獲増が見込めるだろう。但し、気象庁の「エ

ルニーニョ監視速報(No.270)」によると、エルニーニョ現象は一旦終息しているものの、「(2015 年)夏まで

に再びエルニーニョ減少が発生する可能性の方がより高い。」となっており、漁獲高が 2013 年並みにまで回復

するかは不明で、状況を見守る必要がある。

そして、2014 年は地方選挙があったため、地方の公共事業の実施が鈍かった。全体の 7 割を占める地方政

府の公共事業が 1 割減となっていたためである。2015 年は 2013 年の水準に戻るだけで 1 割増となり、景気回

復を支援することになると期待できる。

3.2015 年は回復へ。但し銅への依存上昇は長期的なリスク

2015 年は 2014 年の成長を抑えた一時的要因が剥落するため、成長率の反発が期待できる。ペルーの財政は

健全であるため、首都の地下鉄建設、高速道路網整備などのインフラ整備の推進が景気回復を支援するだろう。

ペルーの実質成長率について、民間エコノミストの平均予想は 2015 年 4.1%、2016 年 5.0%となっており、

中南米主要 7 ヵ国(アルゼンチン、ブラジル、チリ、コロンビア、メキシコ、ペルー、ベネズエラ)で最も高

い成長率になると期待されている(図 1 参照のこと)。

しかし、短期的には高成長への回帰が期待できるペルーであるが、銅への依存が高まっていくことは、長期

的にはリスクに転化してしまう可能性があることに注意が必要である。

前節でも触れたように、ペルーは銅への依存が高く、今後更に依存が高まる見通しである。銅の増産はもち

ろん、実質 GDP の増加となるが、2012 年以降は価格が低下しているため交易条件が悪化している。そのため、

交易利得の減少を通し、実質国内総所得(GDI)は、実質 GDP ほど伸びていないことに留意する必要がある。

資源価格の上昇期であった 2003~2007 年と、2010~2011 年は GDI が GDP の伸びを上回っていた。これは、

交易条件の改善により交易利得が増加していたためである(図 8)。

しかし、資源価格が低下したリーマンショック時(2008~2009 年)と 2012 年以降は、交易損失が減少し

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GDI の伸びが GDP の伸びを下回る時期となっている。2014 年の実質 GDI 成長率はマイナスに終わった可能

性もある。

現在も資源価格の低迷は続いており、銅価格はピーク時から約 4 割、銀に至っては 6 割強下落している。2015

年も見かけの数字(GDP 成長率)ほどは所得が伸びず、景気回復の実感は薄い年になる可能性がある。

そして、銅増産により、世界的な銅の需給が更に緩み、価格低下に拍車をかける恐れもあろう。銅生産にお

けるペルーのシェアは 7.6%であり世界第 3 位である(2012 年)。2017 年に倍増した場合、生産量は中国を抜

き世界第 2 位になるだろう。中国景気の減速ぶりを考えると、供給過剰が深刻化するリスクが高い。中期的に

は、成長モデルが行き詰まる可能性も念頭に置いておくべきだろう。

0%

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2002 2004 2006 2008 2010 2012

図7:実質国内総生産と実質国内所得

GDI

GDP

前年比

(資料)Thomson Reuters Datastream

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2002 2004 2006 2008 2010 2012

図8:交易利得

億2007年ソル

(資料)Thomson Reuters Datastream

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2011 2012 2013 2014 2015

図9:鉱物価格

(資料)Thomson  Reunters Datastream

(2011/1=100)

記事提供:公益財団法人 国際通貨研究所

経済調査部 上席研究員

森川 央

(2015 年 4 月 6 日作成)

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4. 主要各国の経済指標

米国 単位 20 12 20 1 3 2 0 1 4 2 0 1 4 / 3Q 20 1 4 / 4Q Feb- 1 5 M ar - 1 5 Apr - 1 5 備考

実質GDP成長率 % 2.3 2.2 2.4 5.0 2.2 季節調整済み、前期比、年率表示

インフレ率 % 2.1 1.5 1.6 1.8 1.3 0.0 -0.1 消費者物価指数(CPI)、前年同期比、Qは各期末日

貿易収支 十億ドル -537.6 -476.4 -504.7 -123.9 -127.0 -35.9 -51.4

経常収支 十億ドル -460.8 -400.3 -410.6 -98.9 -113.5

政策金利 % 0.00-0.25 0.00-0.25 0.00-0.25 0.00-0.25 0.00-0.25 0.00-0.25 0.00-0.25 0.00-0.25 FF金利誘導目標

外国為替相場 対円 86.38 102.23 119.50 109.69 119.50 119.67 119.96 119.73 各期末日(LONDON市場の午後4時30分時点)レート

失業率 % 8.1 7.4 6.2 5.9 5.6 5.5 5.5 5.4 Qは各期末日

(出所:三菱東京UFJ銀行経済調査室、米商務省、米労働省、連邦準備理事会など)

EU 単位 20 12 2 0 1 3 2 0 1 4 2 0 1 4 / 3Q 20 1 4 / 4Q Feb- 1 5 M ar - 1 5 Apr - 1 5 備考

実質GDP成長率 % -0.7 -0.4 0.9 0.2 0.3 ユーロ圏、前期比

インフレ率 % 2.2 0.8 -0.2 -0.1 -0.3 -0.3 -0.1 0.0 消費者物価指数(HICP)、ユーロ圏、前年比

貿易収支 十億ユーロ 85.2 157 196 46.9 63.5 22.0 ユーロ圏

経常収支 十億ユーロ 119.9 185.1 211.3 65.8 90.4 26.4 ユーロ圏

政策金利 % 0.75 0.25 0.05 0.05 0.05 0.05 0.05 0.05 各期末日レート

外国為替相場 対ドル 1.3217 1.3145 1.2146 1.2620 1.2146 1.1211 1.0738 1.1194 各期末日(LONDON市場の午後4時30分時点)レート

失業率 % 11.3 12.0 11.6 11.5 11.4 11.3 11.3 ユーロ圏

(出所:三菱東京UFJ銀行経済調査室、EUROSTAT、ECBなど)

ブラジ ル 単位 20 12 20 1 3 2 0 1 4 2 0 1 4 / 3Q 20 1 4 / 4Q Feb- 1 5 M ar - 1 5 Apr - 1 5 備考

実質GDP成長率 % 1.8 2.7 0.1 -0.6 -0.2 前年同期比

インフレ率 % 5.8 5.9 6.4 6.8 6.4 7.7 8.1 8.2 拡大消費者物価指数(IPCA)、前年比、Qは各期末日

貿易収支 億ドル 194 23 -40 19 -33 -28 5 5

経常収支 億ドル -542 -812 -913 -194 -298 -71 -57

政策金利 % 7.25 10.00 11.75 11.00 11.75 12.25 12.75 13.25 各期末日レート

外国為替相場 対ドル 2.0475 2.3593 2.6539 2.4477 2.6539 2.8546 3.2063 3.0069 各期末日(LONDON市場の午後4時30分時点)レート

失業率 % 5.5 5.4 4.8 4.9 4.3 5.9 6.2 Qは各期末日

(出所:三菱東京UFJ銀行経済調査室、地理統計院(IBGE)、ブラジル中銀など)

トルコ 単位 20 12 20 1 3 2 0 1 4 2 0 1 4 / 3Q 20 1 4 / 4Q Feb- 1 5 M ar - 1 5 Apr - 1 5 備考

実質GDP成長率 % 2.1 4.2 2.9 1.9 2.6 前年同期比

インフレ率 % 8.9 7.5 8.9 9.2 8.8 7.6 7.6 7.9 消費者物価指数(CPI)、前年同期比

貿易収支 百万米ドル -84,083 -99,859 -84,555 -21,716 -17,529 -4,687 -62

経常収支 百万米ドル -48,535 -64,658 -45,846 -6,744 -14,789 -3,529 -4,961

政策金利 % 5.50 10.00 8.25 8.25 8.25 7.50 7.50 7.50 各期末日レート

外国為替相場 対ドル 1.7862 2.2603 2.3320 2.2786 2.3320 2.5109 2.6115 2.6757 各期末日(LONDON市場の午後4時30分時点)レート

失業率 % 8.4 9.0 9.9 10.4 10.5 11.2

(出所:三菱東京UFJ銀行経済調査室、トルコ中銀など)

ロシ ア 単位 20 12 20 1 3 2 0 1 4 2 0 1 4 / 3Q 20 1 4 / 4Q Feb- 1 5 M ar - 1 5 Apr - 1 5 備考

実質GDP成長率 % 3.4 1.3 0.6 0.7 0.2 前年同期比

インフレ率 % 6.6 6.8 7.8 8.0 11.4 16.7 16.9 16.4 前年同期比

貿易収支 十億米ドル 191.7 179.0 185.6 45.9 39.9 14.9 16.5

経常収支 十億米ドル 71.3 33.0 56.7 11.4 15.4 23.5

政策金利 % 8.25 5.50 17.00 8.00 17.00 15.00 14.00 14.00 各期末日レート(2013年9月より1週間物入札レポ金利に変更)

外国為替相場 対ドル 30.500 32.877 58.950 39.522 58.950 61.934 58.188 51.444 各期末日(LONDON市場の午後4時30分時点)レート

失業率 % 5.7 5.6 5.3 4.9 5.3 5.8 5.9

(出所:三菱東京UFJ銀行経済調査室、ロシア中銀など)

南ア フリ カ 単位 20 12 20 1 3 2 0 1 4 2 0 1 4 / 3Q 20 1 4 / 4Q Feb- 1 5 M ar - 1 5 Apr - 1 5 備考

実質GDP成長率 % 2.2 2.2 1.5 2.1 4.1 前期比、年率表示

インフレ率 % 5.6 5.7 5.3 5.9 5.3 3.9 4.0 各期末月、前年同期比

貿易収支 100万ランド -39,578 -73,584 -95,270 -26,904 -20,240 -8,730 480

経常収支 100万ランド -164,548 -197,179 -206,680 -68,146 -41,514

政策金利 % 5.00 5.50 5.75 5.75 5.75 5.75 5.75 5.75 各期末日レート

外国為替相場 対ドル 8.473 10.551 11.562 11.305 11.562 11.667 12.168 11.959 各期末日(LONDON市場の午後4時30分時点)レート

失業率 % 24.9 24.1 24.3 25.4 24.3 年間データは、第4四半期の値

(出所:三菱東京UFJ銀行経済調査室、南ア準備銀行など) ( 作成日:2 015 年5 月1 9日)

(編集・発行) 三菱東京 UFJ 銀行 国際業務部 (照会先)橋本 昌太郎 北村 広明

(e-mail): [email protected]

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