biofilm viability assay kit - dojindobiofilm formation assay kitにてご確認ください。(2)...

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はじめに 保存条件 必要なもの ( キット以外 ) キット内容 操作 B603 : Biofilm Viability Assay Kit Issued on November 27, 2019 Technical Manual バイオフィルム薬剤感受性試験 Biofilm Viability Assay Kit 0–5 o C で保存してください-プレートリーダー (450 nm の吸光フィルター ) -コニカルチューブ -インキュベーター ( 37 o C) -生理食塩水 20–200 µl のマルチチャンネルピペット -安全キャビネット 100–1000 µl20–200 µl マイクロピペット バイオフィルムは、微生物とその代謝物である細胞外多糖から構成される集合体で、あらゆる環境に存在しています。 医療器具内の細菌汚染やう蝕・歯周病の感染症はバイオフィルムが要因とされており、様々な分野でバイオフィルムの 関与が指摘されています。バイオフィルムの中へは抗生物質等が浸透しにくく、バイオフィルムに生息する微生物に対 する薬剤効果が低減するため、バイオフィルムによる汚染は深刻な問題となっています。そのためバイオフィルム形成 阻害能を有する薬剤や食品成分の探索が注目を集めています。 Biofilm Viability Assay Kit はバイオフィルム内の生菌の代謝活性を測定することで、バイオフィルム内微生物に対す る薬剤効果を確認するキットです。エネルギー代謝活動に関与する補酵素である NADH(NADPH) mediator を介して WST を有色の formazan へと還元します。この還元能を利用することで微生物の代謝活性を検出します。蓋に固定さ れたペグにバイオフィルムを形成させるため、洗浄・発色操作によりバイオフィルムが剥がれることがなく、多検体を 簡便に測定することが可能です。 1 Biofilm Viability Assay Kit の測定原理 使用上のご注意 ・キットの中の試薬は、室温に戻してからご使用ください。 ・キットには滅菌済みの 96-well Plate 10 枚添付されています。開封後は使用時まで滅菌状態を保ち、各工程 で新しい 96-well Plate をご使用ください。 ・還元剤が存在すると WST が還元されて発色し、バックグラウンドが上昇することがあります。 ・還元能のある薬剤を用いる場合は、薬剤自身による発色の有無を確認してください。 ・気泡は測定値のバラツキの原因となりますので、ご注意ください。 ・バイオフィルム形成のための培地や培養時間および発色に要する時間は微生物種や代謝活性により異なります (表 1 参照)。 ・菌種によっては安全キャビネット内でご使用ください。 96-peg Lid (1) 96-well Plate ①の各ウェルに菌懸濁液 180 μl を入れ、 96-peg Lid を被せてインキュベーター内で 37 o C で培養 する(ペグ上にバイオフィルムが形成される)。 ※バイオフィルム形成用培地、インキュベート時間は微 生物種に依存します。バイオフィルム形成条件は B601 Biofilm Formation Assay Kit にてご確認ください。 (2) 96-well Plate ②、 96-well Plate ③の各ウェル に滅菌生理 食塩水 200 μl を、 96-well Plate ④の各ウェル に被検 物質 含む培地 200 μl を入れる。 被検物質調製用培地は微生物種に依存します。 (3) 96-well Plate ②、 96-well Plate ③に手順 ( 1) 96-peg Lid を順次浸して洗浄する 。続けて 96-well Plate ④に 96-peg Lid を被せてインキュベーター内で 37 o C で培養 する。 ※洗浄の際は、 96-peg Lid を緩やかに生理食塩水に浸し、 激しい振とうは避けてください。 (4) 滅菌 コニカルチューブ内で WST solution 990 μl Electron mediator reagent 110 μl を混合し、 Mueller- Hinton broth(MHB) 培地を 20.9 ml 加えて、発色試薬とする。 (5) 96-well Plate ⑤、 96-well Plate ⑥の各ウェル に滅菌生 理食塩水 200 μ l を、 96-well Plate ⑦の各ウェル に手順 (4) で調製した発色試薬 200 μl を入れる。 (6) 96-well Plate ⑤、 96-well Plate ⑥に手順 ( 3) 96- peg Lid を順次浸して洗浄する 1 。続けて 96-well Plate ⑦に 96-peg Lid を被せてインキュベーター内で 37 o C で培養 する 2 1 洗浄の際は、 96-peg Lid を緩やかに生理食塩水に浸し、激しい 振とうは避けてください。 96-well Plate 菌懸濁液 96-well Plate 96-well Plate 96-well Plate 96-well Plate 96-well Plate 被検物質溶液 滅菌生理食塩水 滅菌生理食塩水 発色試薬 滅菌生理食塩水 滅菌生理食塩水 (1) (2) , (3) (5) , (6) 使用上のご注意 使用上のご注意 96-well Plate 100 tests WST Solution 1 ml×1 Electron Mediator Reagent 0.12 ml×1 96-peg Lid ×1 96-well Plate ×10 2 発色に要する時間は、微生物種や被検物質により異なります。 ※発色試薬の菌汚染にご注意ください。 (7) 96-peg Lid を取り外し、 マイクロプレートリーダーで 450 nm の吸光度を測定する。 (7) 吸光度測定 (450 nm )

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Page 1: Biofilm Viability Assay Kit - DojindoBiofilm Formation Assay Kitにてご確認ください。(2) 96-well Plate ②、96-well Plate ③の各ウェルに滅菌生理 食塩水200 μlを、96-well

はじめに

保存条件

必要なもの( キット以外 )

キット内容

操作

B603 : Biofilm Viability Assay KitIssued on November 27, 2019

Technical Manual

バイオフィルム薬剤感受性試験

Biofilm Viability Assay Kit

0–5 oC で保存してください。

-プレートリーダー (450 nm の吸光フィルター ) -コニカルチューブ-インキュベーター (37 oC) -生理食塩水- 20–200 µl のマルチチャンネルピペット -安全キャビネット- 100–1000 µl、20–200 µl マイクロピペット

 バイオフィルムは、微生物とその代謝物である細胞外多糖から構成される集合体で、あらゆる環境に存在しています。医療器具内の細菌汚染やう蝕・歯周病の感染症はバイオフィルムが要因とされており、様々な分野でバイオフィルムの関与が指摘されています。バイオフィルムの中へは抗生物質等が浸透しにくく、バイオフィルムに生息する微生物に対する薬剤効果が低減するため、バイオフィルムによる汚染は深刻な問題となっています。そのためバイオフィルム形成阻害能を有する薬剤や食品成分の探索が注目を集めています。 Biofilm Viability Assay Kit はバイオフィルム内の生菌の代謝活性を測定することで、バイオフィルム内微生物に対する薬剤効果を確認するキットです。エネルギー代謝活動に関与する補酵素である NADH(NADPH) は mediator を介してWST を有色の formazan へと還元します。この還元能を利用することで微生物の代謝活性を検出します。蓋に固定されたペグにバイオフィルムを形成させるため、洗浄・発色操作によりバイオフィルムが剥がれることがなく、多検体を簡便に測定することが可能です。

図 1 Biofilm Viability Assay Kit の測定原理

使用上のご注意 ・キットの中の試薬は、室温に戻してからご使用ください。・キットには滅菌済みの 96-well Plate が 10 枚添付されています。開封後は使用時まで滅菌状態を保ち、各工程 で新しい 96-well Plate をご使用ください。・還元剤が存在すると WST が還元されて発色し、バックグラウンドが上昇することがあります。・還元能のある薬剤を用いる場合は、薬剤自身による発色の有無を確認してください。・気泡は測定値のバラツキの原因となりますので、ご注意ください。・バイオフィルム形成のための培地や培養時間および発色に要する時間は微生物種や代謝活性により異なります (表 1 参照)。・菌種によっては安全キャビネット内でご使用ください。

96-peg Lid

(1) 96-well Plate ①の各ウェルに菌懸濁液 180 μl を入れ、  96-peg Lid を被せてインキュベーター内で 37 oC で培養 する(ペグ上にバイオフィルムが形成される)。※バイオフィルム形成用培地、インキュベート時間は微  生物種に依存します。バイオフィルム形成条件は B601   Biofilm Formation Assay Kit にてご確認ください。

(2) 96-well Plate ②、96-well Plate ③の各ウェルに滅菌生理 食塩水 200 μl を、96-well Plate ④の各ウェルに被検物質を 含む培地 200 μl を入れる。※被検物質調製用培地は微生物種に依存します。

(3) 96-well Plate ②、96-well Plate ③に手順 (1) の 96-peg  Lid を順次浸して洗浄する※。続けて 96-well Plate ④に  96-peg Lid を被せてインキュベーター内で 37 oC で培養 する。※洗浄の際は、96-peg Lid を緩やかに生理食塩水に浸し、  激しい振とうは避けてください。

(4) 滅菌コニカルチューブ内で WST solution 990 μl と    Electron mediator reagent 110 μl を混合し、Mueller-   Hinton broth(MHB)培地を20.9 ml加えて、発色試薬とする。

(5) 96-well Plate ⑤、96-well Plate ⑥の各ウェルに滅菌生 理食塩水 200 μl を、96-well Plate ⑦の各ウェルに手順 (4) で調製した発色試薬 200 μl を入れる。

(6) 96-well Plate ⑤、96-well Plate ⑥に手順 (3) の 96- peg  Lid を順次浸して洗浄する※ 1。続けて 96-well Plate ⑦に 96-peg Lid を被せてインキュベーター内で 37 oC で培養 する※ 2。※ 1洗浄の際は、96-peg Lid を緩やかに生理食塩水に浸し、激しい

 振とうは避けてください。

96-well Plate ① 菌懸濁液

96-well Plate ②

96-well Plate ③

96-well Plate ④

96-well Plate ⑤

96-well Plate ⑥

被検物質溶液

滅菌生理食塩水

滅菌生理食塩水

発色試薬

滅菌生理食塩水

滅菌生理食塩水

(1)

(2) , (3)

(5) , (6)

使用上のご注意使用上のご注意

96-well Plate ⑦

100 testsWST Solution 1 ml×1

Electron Mediator Reagent 0.12 ml×196-peg Lid ×1

96-well Plate ×10

※ 2発色に要する時間は、微生物種や被検物質により異なります。

※発色試薬の菌汚染にご注意ください。

(7) 96-peg Lid を取り外し、マイクロプレートリーダーで 450 nm の吸光度を測定する。

(7)

吸光度測定 (450 nm)

Page 2: Biofilm Viability Assay Kit - DojindoBiofilm Formation Assay Kitにてご確認ください。(2) 96-well Plate ②、96-well Plate ③の各ウェルに滅菌生理 食塩水200 μlを、96-well

株式会社同仁化学研究所熊本県上益城郡益城町田原 2025-5熊本テクノリサーチパーク 〒 861-2202Tel:096-286-1515( 代表 ) Fax:096-286-1525 E-mail: [email protected] URL: www.dojindo.co.jp

本製品は試験・研究用途です。臨床診断用途には使用できません。ご質問・ご要望は下記までお問い合わせください。

ドージン・イースト ( 東京 )東京都港区芝大門 2-1-17 朝川ビル 7F 〒 105-0012Tel: 03-3578-9651 ( 代表 ) Fax: 03-3578-9650フリーダイヤル :0120-489548 フリーファックス :0120-021557

B603 : Biofilm Viability Assay Kit

図 2S. aureus バイオフィルム薬剤効果

Minocycline によるバイオフィルム薬剤感受性試験実験例:Staphylococcus aureus(1) 培養した菌懸濁液を MHB 培地で約 107 CFU/ml となるように希釈し播種用菌液とした。

(2) 96-well Plate ①の各ウェルに播種用菌液 180 μl を入れた。96-peg Lid を被せ、37℃で 24 時間インキュベートした。

(3) 96-well Plate②の各ウェルにMHB培地 180 μlを入れた。手順(2)の 96-peg Lidを被せ、37℃で 72時間インキュベー トした。

(4) 96-well Plate ③、96-well Plate ④の各ウェルに滅菌生理食塩水 200 μl を入れた。MHB 培地で 1000 μg/ml     Minocycline ( 被検物質 ) を調製し、フィルター滅菌濾過した。96-well Plate ⑤上で MHB 培地と 1000 μg/ml     Minocycline を用いて Minocycline の 2 倍希釈系列 ( 各ウェルに 200 μl) を調製した。

 (1000, 500, 250, 125, 62.5, 31.2, 15.6, 7.8, 3.9, 1.95, 0.98, 0 μg/ml)(5) 手順 (3) の 96-peg Lid を 96-well Plate ③、96-well Plate ④に順次浸して、2 回洗浄した。続けて 96-well Plate ⑤ に 96-peg Lid を被せ、37℃で 24 時間インキュベートした。

(6) 滅菌コニカルチューブ内で WST solution 990 μl と Electron mediator reagent 110 μl を混合し、MHB 培地を 20.9  ml 加えて、発色試薬とした。

(7) 96-well Plate ⑥、96-well Plate ⑦の各ウェルに滅菌生理食塩水 200 μl を入れた。96-well Plate ⑧の各ウェルに発 色試薬 200 μl を入れた。

(8) 手順 (5) の 96-peg Lid を 96-well Plate ⑥、96-well Plate ⑦に順次浸して、2 回洗浄した。続けて 96-well Plate ⑧ に 96-peg Lid を被せ、37℃で 24 時間インキュベートした。

(9) 96-peg Lid を取り外し、マイクロプレートリーダーを用い 2–24 時間インキュベート時の 450 nm の吸光度を測定 した。

 ※発色試薬のみの吸光度を測定し、ブランクとして差し引いた。

4-Isopropyl-3-methylphenol の S. mutans バイオフィルムに対する MBEC(最小バイオフィルム撲滅濃度)が約 250 μg/ml であることが確認できた。

参考文献 1) T. Tsukatani, et al., J. Microbiol. Biotech. Food Sci., 2016, 6, 677–680

表 1 実験例 2

Enriched BHI:hemin 5 μg/ml、 menadione 0.5 μg/mlを含むenriched BHI broth(3.7% brain heart infusion、0.5% yeast extract、0.05% cysteine)

本キットは福岡県工業技術センター生物食品研究所との共同開発品です。

図 3 S. mutans バイオフィルム薬剤効果

Minocycline の S. aureus バイオフィルムに対する MBEC(最小バイオフィルム撲滅濃度)が約1000 μg/ml であることが確認できた。

実験例

Minocycline Concentration (μg/ml)

Abs

orba

nce

(460

nm)

4-Isopropyl-3-methylphenol Concentration (μg/ml)

Abs

orba

nce

(460

nm)

1 10 100 1000

1

2

3

2h3h5h24h

1 10 100 1000

3h5h8h24h

菌種 菌希釈培地接種菌濃度

[CFU/ml]

培養時間

[h]被検物質希釈用培地 培養雰囲気

Pseudomonas aeruginosa Brain heart infusion broth 106 24 MHB 好気条件下

Escherichia coil Brain heart infusion broth 107 24+72 MHB 好気条件下

Staphylococcu mutans TSB+2% Sucrose 107 24+72 TSB+2% Sucrose 嫌気条件下

Porphyromonas gingivalis Enriched BHI 107 24+72 Enriched BHI 嫌気条件下

1

2

3