“企画力・クラフト力・現場力・実現力” ntt ドコモ/ 3秒クッキ … ·...

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005 CM 通信 No.4650 / 2012 . 8 . 23 THU.        “企画力・クラフト力・現場力・実現力” NTT ドコモ/ 3 秒クッキング」シリーズ、Cannes Lions 2015 で受賞 FILM CRAFT 部門=GOLDBC&E 部門=GOLDFILM 部門=SILVER Cannes Lions 2015 において、フィルム・クラフト部門とブランデッ ド・コンテント & エンターテインメント部門で GOLD、フィルム部門 SILVER を受賞したのがプロモーションムービー「NTT ドコモ/フル LTE & PREMIUM 4G 3 秒クッキング:爆速エビフライ篇、爆速餃子篇」(東急エージェンシー NTT アド+ AOI Pro.)。 同ムービーは、「フル LTE」および「PREMIUM 4G」といった通信技術に根ざしたサービスの 訴求を、荒唐無稽な “3 秒クッキング” というアプローチによって紹介するもので、国内外で多く の話題を集めた。特に第 1 弾として先に公開した「爆速エビフライ篇」の認知度は高く、Cannes Lions の贈賞式では会場から「シュリンプ!」の 掛け声が飛んだほか、スクリーン上映された際に は大爆笑と喝采の渦が巻き起こったという。CD企画・コピーを手掛けた川地哲史氏と、プロデュー サーの加藤久哉氏(AOI Pro.)は現地での熱狂的 な反響を目の当たりにして〈カンヌでの受賞自体、 ビックリし過ぎてすぐには実感が湧きませんでし た。とにかく嬉しいという言葉に尽きます〉と口 を揃える。

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       CM 通信 No.4650 / 2012 . 8 . 23 THU.       

005

           CM 通信 No.4650 / 2012 . 8 . 23 THU.       

“企画力・クラフト力・現場力・実現力”

「NTTドコモ/ 3秒クッキング」シリーズ、Cannes Lions 2015で受賞

FILM CRAFT部門=GOLD、BC&E部門=GOLD、FILM部門=SILVER

 Cannes Lions 2015 において、フィルム・クラフト部門とブランデッ

ド・コンテント&エンターテインメント部門で GOLD、フィルム部門

で SILVER を受賞したのがプロモーションムービー「NTTドコモ/フル

LTE & PREMIUM 4G / 3秒クッキング:爆速エビフライ篇、爆速餃子篇」(東急エージェンシー

+NTTアド+AOI Pro.)。

 同ムービーは、「フル LTE」および「PREMIUM 4G」といった通信技術に根ざしたサービスの

訴求を、荒唐無稽な “3 秒クッキング” というアプローチによって紹介するもので、国内外で多く

の話題を集めた。特に第 1弾として先に公開した「爆速エビフライ篇」の認知度は高く、Cannes

Lions の贈賞式では会場から「シュリンプ!」の

掛け声が飛んだほか、スクリーン上映された際に

は大爆笑と喝采の渦が巻き起こったという。CD・

企画・コピーを手掛けた川地哲史氏と、プロデュー

サーの加藤久哉氏(AOI Pro.)は現地での熱狂的

な反響を目の当たりにして〈カンヌでの受賞自体、

ビックリし過ぎてすぐには実感が湧きませんでし

た。とにかく嬉しいという言葉に尽きます〉と口

を揃える。

006

       CM 通信 No.4650 / 2012 . 8 . 23 THU.                   CM 通信 No.4650 / 2012 . 8 . 23 THU.       

 映像領域で日本勢が苦戦する中、フィルム・クラフトとブランデッド・コンテント&エンターテ

インメントの両部門でGOLDを獲得したことは大きなポイント。ブランディングとして機能するも

のでありながら、クラフト力・現場力・実現力の高さも高く評価されたこととなり、川地氏は〈「3

秒クッキング」シリーズは、Web上で Buzz を派生するものをつくる、というのがミッションでした。

具体的には再生回数 100 万回を達成すること。古今東西のバイラルムービーの潮流はかなり研究し

てましたね。その上で、まさに “ブランデッド・コンテンツ” を目指して取り組んだので、結果受賞

できて…それもGOLDを…凄く嬉しい〉と喜

びを表す。

企画を実現に導くための「実験」

 「3秒クッキング」シリーズの生命線ともい

えるのが、3秒で調理を敢行する特殊な “装

置”。その開発・制作を担ったのが茅沼光明氏

(GIVS)。〈実は…クライアントへのプレゼン

では、具現性などは考えずに半ばイキオイで

企画を提案してしまったんですが、その案に

GOサインが出た…。正直「どうしよう…」と

ゾッとしたことを覚えています。そこから、準備期間を経て撮影にはいるまで、内心気が気じゃなかっ

た(苦笑)。「実現できなかったら、クビだな」と。それを救ってくれたのが、“装置” を造り上げて

くれた茅沼さん〉と川地氏。

 また、加藤プロデューサーも〈どんな方向性に転がっていったとしても、“装置” だけは先に動き

始めておかなくてはと思い、川地さんから企画内容を聞いた後、真っ先に連絡を取ったのが茅沼さ

ん。「とにかくテストを始めて下さい」と伝えました。以後、毎日茅沼さんと電話で話しましたが、「で

きます」とは言ってくれない(笑)。言って欲しいのに…。ただ、10年来の付き合いということもあり、

茅沼さんの話し方のニュアンスによって状況が読み取れる部分があったので、「やってくれるだろう」

という感触は得ていました〉と振り返る。

 一方の茅沼氏は、企画の実現に向けて「実験」を繰り返す日々を送っていた。〈見切り発車ではなく、

しっかりとした実験結果が出るまで、OK/NGの判断を下さないのが “茅沼スタイル”。僕らが不安

左から:加藤久哉氏、茅沼光明氏、川地哲史氏

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になるような状態では出さない。「これぞプロ

フェッショナル」という姿勢ですね〉と加藤氏。

エビフライ→餃子=スケールも難易度もアップ

 ただし、“装置” を使って「一瞬で何かを調

理する」ことは決まっていたが、その “何か”

がまだ決定していなかった。茅沼氏は〈どん

な料理になるにせよ、「これは難しいものにな

る」という予感だけはありました。メニュー

の候補をいろいろと挙げてもらいましたが、

やはり難しいものばかりで…(笑)。その中に

エビフライがあった。これだったらなんとか

なるかもしれない、と。…ですが、「的に当てる」

ための作業は困難を極めました〉と述懐する。

 茅沼氏を含めたスタッフの試行錯誤が功を

奏して “爆速エビフライ篇” は完成するが、

同篇の最後にディレクターの森義仁氏(AOI

Pro.)がシャレで入れた “次回は餃子” とい

う予告表示が思わぬ展開を見せることに。〈“爆

速エビフライ篇” の人気に火がついたことで急遽第 2弾の制作が決まり、クライアントから「次は

ぜひ餃子で」というオーダーがあった〉と川地氏。

 “爆速餃子篇” は、屋外セットや使用する火量など、大幅にスケールアップしている。〈そもそも「餃

子はできません」と最初に断りを入れておいたんです。なのに、餃子になった(苦笑)。半べそ状態

でテストしましたが、超えなければいけない壁の高さ・厚さが半端無かった。餃子は皮の真ん中に

タネが当たって包み込まれる、という一連の流れが必須なわけです。しかも、最後はキャッチャー

のミットに収まるという…難題だらけ(苦笑)。ひたすら 10倍のハイスピードで撮影しながら、確認・

試行し、プログラムの改良・改善に向けた繰り返しを続けました〉(茅沼氏)

次回はナポリタン !?

 加藤氏は〈バイラルさせるためには「実写」が大前提と考えていたため、CGという選択肢は基本

的になかった。その意味でも、茅沼さんの開発力・技術力が無くては実現しなかった。「MVP」ですね。

たぶん海外の人たちにはできないと思います。1つの「ジャパンクオリティ」と言えるのでは〉とも。

 Cannes Lions での受賞、国内外での話題性も含め、次の “爆速○○” が気になるところ。餃子篇

の最後には “次回はナポリタン” という予告が…。川地氏は〈次は無いという前提で、「どうやってつ

くるんだ!」と思わせるような無茶苦茶なメニューとしてナポリタンにしました〉と話す。〈茅沼さ

んには、パスタを製麺するプロセスからお願いしたい(笑)〉という加藤氏に対し、茅沼氏は〈3秒

で調理するのは無理…いや、たとえいくら時間があったとしても無理だと思います(笑)〉と即答した。

「NTTドコモ/フル LTE & PREMIUM 4G/ 3秒クッキング:爆速エビフライ、爆速餃子」Ag+Pr:東急エージェンシー+NTTアド+AOI Pro. / CD&Pl&CW:川地哲史/AD&Pl:長谷川大輔/d&Pl:佐藤茉央里/ Pl:小副川陽子/Acct:熊澤真一、松本翼/ P:加藤久哉/ PM:寺田周平/Dir:森義仁/Ca:船津雅美/ VE:小野木勇生/ L:坂本真章/ System:茅沼光明/ ST:永井一尋/HM:大平秀剛/ Food:石原英典/Rec:羽住進也/M:Shingo Suzuki / Edit:足達一秀

撮影に使用した “3秒クッキング装置”〈撮影はHSカメラ/ノーマルカメラ/GoPro を併用しました。ちなみに、餃子篇に登場するキャッチャーは AOI Pro. の制作スタッフです〉(加藤氏)