固形悪性腫瘍に対するt細胞動員型免疫療法による … (wilms’ tumor 1)...
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固形悪性腫瘍に対するT細胞動員型免疫療法による ワクチン開発 研究責任者: 宇高恵子 (高知大・医・免疫学 教授) コーディネータ: 藤本茂 (JSTイノベーションサテライト高知) JST A-STEP 新技術説明会 2/10/2011
がんワクチン 丸山ワクチン a-GalCer ペプチドワクチン
免疫系 の進化 悪性腫瘍 の目印
NK NKT CTL → → B
腫瘍細胞
研究背景
NKレセプター
T細胞 レセプター TCR
抗体
脊椎動物
遺伝子組み換えによる 多様な抗原レセプター
1アミノ酸の違いも見分ける
先鋭な識別ができる 抗原特異的クローンを、 選択的に千倍以上に増やす
MICA,B
ULBPs
ストレス分子 を認識して殺す ↑
殺すか、どうかは 殺される側の都合 で決まる!
CD1d
ペプチド MHC class I
プロテアソーム 蛋白分解酵素群
蛋白質 がん抗原 ウイルス 抗原
TAP ペプチド トランスポーター
HLA分子
ペプチド
細胞傷害性T細胞
CTL
T細胞レセプター
がん細胞
殺傷
ウイルス
ウイルス感染細胞
抗体
化学合成して 免疫原とする :ペプチドワクチン
ヒト白血球抗原 ヒトごとに形が異なる 遺伝子型がある 臓器移植で型合わせ をするのは、このHLA型 ↓ 患者さんのHLA型に 結合するペプチドを使う
蛋白質は、アミノ酸(20種類)が、連なったもの ↓ 分解される時には、まず いくつかの断片(ペプチド)に 切られ、個々のアミノ酸に分解
HLA-A2
HLA-A24
このペプチドは、HLA-A24に
このペプチドは、HLA-A2に結合
腫瘍抗原 蛋白質
アミノ酸
a. 可変状態 (1または 9番目)
初期 状態
最終 状態
HMM (隠れマルコフモデル)
c.
結合データ のプール
・・・
データの部分集合を重複を許して選ぶ (独立に50回)
HMM HMM HMM ・・・
50のモデル を独立に訓練
課題: 10万個のランダムなペプチドにつき結合能を予想 させる
SDPLGGVMA HRFLVCAAP WEQLKGGWS ・ ・ TYIGDLMNA
50のHMMによる予想が最も食い違うペプチドを選ぶ
MHC分子
ペプチド
ペプチドを 合成し 結合能 を測定
結合データ を加える
b. 訓練後のモデルの一例 (主な3経路のみを示す)
Query and Bagging (Qbag)法
HLA結合性ペプチド予想プログラム(NECとの共同開発) 質問学習法
→数種のHLA型に 共通に結合する、 ごくまれなペプチド の絞り込みが可能!
WT1 (Wilms’ tumor 1) 腫瘍抗原 Wilm’s 腫瘍の1割に、loss of function 変異: ∴ tumor suppressor 白血病、 7割の固形悪性腫瘍で変異のないWT1が大量発現・・・阪大杉山ら 正常では、骨髄、腎臓、胚細胞、中皮細胞、幹細胞で少量作られる 腫瘍幹細胞にも高発現
細胞の増殖を促す遺伝子群の転写因子 ∴ Oncogene 増殖制御の bottleneck となっている
→ 免疫を回避する変異腫瘍細胞が出にくい!
茶色に染まっているのが WT1+ がん細胞 →
高知大 腺様のう胞がん症例
前臨床試験(マウス) Udaka、Oka et al., J Immunol 164, 1873-1880、2000
ペプチド免疫療法の発達
1.第1世代 HLA class I 結合性ペプチドのみ → 腫瘍特異的 CTLを増やす 2.第2世代 HLA class I 結合性ペプチド → 細胞傷害活性↑の + 免疫賦活剤 CTLを、たくさん増やす 3.第3世代 HLA class I 結合性ペプチド → 腫瘍の部位へ +HLA class II 結合性ペプチド 選択的にCTLを動員 + 免疫賦活剤 固形腫瘍も崩す! 4.第4世代 HLA class I 結合性ペプチド → 免疫寛容に対抗し +修飾HLA class II 結合性ペプチド 強力にThを誘導 + 免疫賦活剤
静止CTL effector CTL
Th1
IL2, IFNg
help
腫瘍特異的CTL
アジュバント(免疫賦活剤)の工夫
第1世代 ワクチン
第2世代 ワクチン
MHC-I 結合性 ペプチド
百日咳菌 (第3者抗原)
臨床効果 抗固形悪性腫瘍(免疫単独他治療なし) 3ヶ月後における評価
第1世代ワクチン 第2世代ワクチン WT1 235Y in Montanide W10+Wc (百日咳全菌体) 4/19 (21%) SD 10/31 (32%) SD以上 前立腺がんでは、5/13(38%)SD以上 うち、3例で、long PR
研究成果
WT1ペプチド 百日咳全菌体ワクチン 5x108 個を 4箇所に分けて皮内注射 →48時間後の反応
ペプチドを Montanide ISA51(FIA)に懸濁 数箇所に分けて皮内注射 →48時間後の反応
数ヶ月~2年、丘疹が残る 毎週数ヶ所ふえる
F1-2cm 程度の発赤、丘疹 1週間後に軽度色素沈着程度 BCGのように、潰瘍を作らない
繰り返し免疫が可能
KB07-006
0
100
200
300
400
500
600
700
800
no pep HER2-
63
235Y W10 W302
peptide on APCs
sp
ots
per
1x10
4 c
ell
s
HLA-A*2402
ELISPOT法により計測した、HLA-A*24:02+
腺様嚢胞がん症例(SD判定)の末梢血単核球中の ペプチド特異的 IFN-g 産生細胞の数
W10ペプチド免疫 免疫前 3回免疫後
免疫学教室 ・ T細胞機能のモニター ・ 有害事象検討・報告・お知らせ
「癌ワクチン臨床研究」 高知大中央事務局
造血器腫瘍 グループ
悪性神経膠腫 グループ
骨軟部腫瘍
頭頚部 腫瘍
前立腺癌 グループ
栃木県立 がんセンター 大阪市立大 札幌北楡H 沖縄県立中央
整形外科
脳神経外科
血液・呼吸器内科
耳鼻咽喉科
泌尿器科
血液腫瘍 臨床試験 ネットワーク
高知大 WT1ペプチド免疫療法 多施設第 I/II 相臨床研究ネットワーク
鳥取大 岡山東H
疾患別事務局
北島H、幡多H 済生会松山H
放射線部 薬剤部
肺がん グループ
呼吸器内科 高知大、松山H
AML MDS
:症例登録開始
新潟大
0
0.2
0.4
0.6
0.8
1
1.2
1.4
1.6
1.8
2
PS
A n
g/m
l
KB07-003 NC(37w)
W10+Wc start
○:Cr↑により休薬
end
0
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
0.7
0.8
PS
A n
g/m
l
KB07-005 CR(30w)
W10+Wc start
end235Y start W10
start
Taxoterestart
大腿骨
病的骨折
放射線療法
腸骨転移あり
52歳
59歳
前立腺がん 5/13(38%) SD以上 うち3例で、 long PR
0
200
400
600
800
1000
1200
1400
1600
PS
A n
g/m
lWTP-K04 NC(7Mo)
W10+Wc start
end
53歳
KB07-19 gliomatosis cerebri, grade 3-4
2008年6月 2008年9月 2008年12月 2009年3月
2007年12月 2008年1月 2008年2月 2008年4月
RECIST:SD
WT1免疫療法開始
11ヶ月後 8ヶ月後 5ヶ月後
3ヶ月後 1ヶ月後
15ヶ月後
64歳男性 ’07 9月全身痙攣 手術不能 放射線療法+TMZ中止
発症後35ヶ月生存
有害事象 (安全性の評価) 重篤な有害事象 口腔SCC、放射線治療後3ヵ月の症例。免疫注射後、転移部の 紅斑、疼痛が起きていた。3回免疫後、口腔底腫瘍部が融解し 皮膚穿孔、蜂窩組織炎を発症、入院治療 CTCAE grade2 までの有害事象、いずれも治療不要、回復 蛋白尿 9例 免疫以前よりあり、原疾患、合併症関連 血清creatinineの上昇 1例 血清Kの低下 1例 好中球の減少 (nadir 1050/μl) 1例 Hbの減少 1例 注射部の紅斑 ほとんどの症例でみられた 数日で消失、治療不要
Th
CTL
tumor
Th
CTL
腫瘍内に浸潤したTh 細胞は、CTLを呼び込む 血管内皮細胞のMHC-II に提示された 腫瘍抗原を認識して、Th が腫瘍内に浸潤 → IFN-g を分泌 (IFN-g KOでは I-TAC↓) ↓ IFN-g を受けた内皮細胞が、強力なケモカイン I-TAC等を分泌 → CXCR3を発現するCTLが 腫瘍内に呼び込まれる IFN-g
IFN-g
IFN-g
I-TAC
I-TAC
0
200
400
600
800
1000
3 5 7 9 11 13 15 17 19 21 23 25
tum
or
siz
e (
mm
2)
days after tumor inoculation
PBS
0
200
400
600
800
1000
3 5 7 9 11 13 15 17 19 21 23 25
tum
or
siz
e (
mm
2)
days after tumor inoculation
DO11.10
0
200
400
600
800
1000
3 5 7 9 11 13 15 17 19 21 23 25
tum
or
siz
e (
mm
2)
days after tumor inoculation
OT-1
0
200
400
600
800
1000
3 5 7 9 11 13 15 17 19 21 23 25
tum
or
siz
e (
mm
2)
days after tumor inoculation
DO11.10+OT-1
Th のみ
CTL のみ Th and CTL
先に腫瘍を植え、腫瘍が樹立されてから、養子免疫開始
0
10000
20000
30000
40000
50000
60000
70000
80000
90000
1.E-11
1.E-10
1.E-09
1.E-08
1.E-07
1.E-06
1.E-05
pro
life
rati
on
(c
pm
)
peptide concentration (M)
OVII
OVII+
bOVIIbG
bOVII+bG
bOVII+bPβ
PbOVIIbPβ
PbOVII+bPβ
Th誘導性 MHC class II 分子結合性ペプチドの修飾 → Th 誘導効率を500倍程度上げることが可能
野生型 ペプチド
修飾 ペプチド
0
10
20
30
40
50
60
70
80
90
100
50.50.050
CD
69
+a
mo
ng
CD
4 c
lon
e c
ells
(%
)
peptide concentration (μM)
imm2
imm1
conventional
adjuvant alone
PBS
in vivo ペプチド免疫によるTh 誘導効率は、 ペプチドの修飾により、大幅に向上 (抗原提示細胞上でのペプチド密度を高める工夫をした)
野生型ペプチド
修飾1
修飾2
細胞傷害性T細胞の誘導活性を↑ 腫瘍制御効果を、従来の2割→4割弱まで向上
血管内→固形腫瘍組織へ、積極的にT細胞を動員し、 固形腫瘍や、骨髄のストローマに潜んだ腫瘍も制御可能 免疫寛容に傾いた、腫瘍特異的Thも、効率よく活性化 特に、in vivo ペプチド免疫による誘導活性が高い
抗原ペプチドの置換体に代えれば、Thペプチドの修飾により 抗原特異的 Treg の誘導が可能
新技術の特徴、従来技術・競合技術との比較
想定される用途
1.固形悪性腫瘍に対する免疫療法 2.造血器悪性腫瘍に対する免疫療法 3.ペプチドのMHC class II 分子への結合活性測定法 a. ペプチド免疫療法適応患者のスクリーニング b. 任意の抗原について、Th誘導性ペプチド同定技術の開発 4.抗原特異的、免疫抑制性T細胞(制御性T細胞)誘導法
実用化に向けた課題
1.悪性腫瘍患者を対象とした試験治療を遂行する 人手(特にT細胞機能のモニター要員)と資金が不足 特に、Th 誘導型の免疫療法については、新たに 臨床試験を始める必要がある GMPグレードのペプチドが必要 2.抗原特異的、免疫抑制性T細胞(制御性T細胞)誘導法 アレルギーや自己免疫疾患のモデル動物における 治療効果について、さらに研究が必要 →共同研究のパートナーが必要です!
本技術に関する知的財産権
発明の名称 : 細胞傷害性T細胞の誘導方法、細胞傷害性 T細胞の誘導剤、およびそれを用いた医薬組成物およびワクチン 出願番号 : WO/2009/066462 出願人 : 日本電気株式会社、高知大学 発明者 : 宮川知也、宇高恵子
発明の名称 : 癌の治療薬 出願番号 : WO/2008/096831 出願人 : (財)阪大微研会、高知大学 発明者 : 石橋正英、宇高恵子 発明の名称 : ヘルパーT細胞誘導性ポリペプチドの改変 出願番号 : 特願2011-273922 出願人 : 高知大学 発明者 : 宇高恵子
想定される技術移転
1.固形悪性腫瘍に対する免疫療法薬の開発 製薬化を目指した臨床試験 2.造血器悪性腫瘍に対する免疫療法薬の開発 製薬化を目指した臨床試験 3.ペプチドのMHC class II 分子への結合活性測定法を利用した a. ペプチド免疫療法適格患者のスクリーニング法の開発 b. 任意の抗原に対するTh誘導性ペプチドの開発研究 4.アレルギーあるいは自己免疫疾患の治療薬の開発 抗原特異的制御性T細胞誘導法の開発
お問い合わせ先 〒783-8505 高知県南国市岡豊町小蓮 高知大・医・免疫 宇高恵子 TEL: 088-880-2317 FAX: 088-880-2320 udaka@kochi-u.ac.jp
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