hfncの⽣理学的効果 ⽕曜icu勉強会 2017/07/04・換気量の効率↑...
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HFNCの⽣理学的効果
⽕曜ICU勉強会2017/07/04
臨床⼯学部 井上愛
AmJRespirCritCareMed2017195(9):1207-1215
・⿐咽頭死腔洗い流し・吸気停⽌時の送気・換気量の効率↑・上部気道抵抗↓・呼吸仕事量↓・吸気ガスの加湿⇒分泌物の乾燥防⽌と
粘液繊⽑による喀痰クリアランス↑⇒去痰補助・患者使⽤への抵抗 少
HFNC(High Flow Nasal Cannula)効果
RevPortPneumol.2013;19(5)211-217
AmJRespirCritCareMed2014;190:282-288
Ø抜管後48時間以内の再挿管リスクHFNC↓
(3.8%vs21.2%,P=0.005)
【⽅法】イタリアICU2施設、RCT抜管直前のP/F⽐<300mmHg ベンチュリーマスク(n=52)vs. HFNC(n=53) 48時間使⽤
【⽅法】フランス、ベルギーICU23施設、RCT⾼CO2⾎症のないP/F⽐<300mmHg HFNC(n=106)vs. 通常マスク(n=94)vs. NPPV(n=110)
NEnglJMed2015;372:2185-96
Ø 90⽇死亡率HFNC↓(12%vs.23%vs.28%,P=0.02)
Ø P/F⽐≦200の挿管率HFNC↓
(P=0.009)
【⽅法】スペインICU7施設の多施設無作為化試験(2012年9⽉~2014年10⽉)抜管後の再挿管の低リスク患者HFNC(n=264)vs. COT(n=263)
Ø抜管後72時間以内の再挿管リスクHFNC↓(4.9%vs.12.2%,P=0.004)
JAMA2016;315:1354–1361
Introduction
HFNCで挿管率・90⽇死亡率改善。⇒しかし、⽣理学的メカニズムの証明は不⼗分
AHRF:急性低酸素呼吸不全(Acute Hypoxemic Respiratory Failure)
AHRF患者では①吸気努⼒↓ ⇒呼吸筋の消耗↓②肺気量↑ ⇒VT/呼気終末肺気量↓
重症患者における 挿管率↓JApplPhysiol(1985)2002;93:201–206.
AmJ RespirCritCareMed2011;183:1193–1199.
【⽅法】⼼臓疾患を患う乳児(n=14),細気管⽀炎の乳児(n=14)に対する、HFNCの⽣理学的影響調査横隔膜電気的活性と⾷道内圧変化を測定
AHRF患者①吸気努⼒↓②肺気量↑
Ø ⾷道内圧↓⇒吸気努⼒↓
PediatrPulmonol2015;50:713–720.
胸腔内圧≒⾷道内圧
呼吸器ケア 2016vol.14no.1(95)
経肺圧=気道内圧ー胸腔内圧≒気道内圧ー⾷道内圧
①肺胞の過膨張②肺胞の虚脱
がわかる!
AHRF患者①吸気努⼒↓②肺気量↑
Thorax2016;71:759–761.
【⽅法】無作為クロスオーバー研究1⽇15時間の間⻑期の酸素療法(LTOT)を使⽤しているCOPD患者 n=30LTOTvs.HFNC、Electricalimpedanceplethysmography(EIT)使⽤。Ø HFNC使⽤群の⽅が、EELV(EndExpeiratoryLungVolume:呼気終末肺気量)↑
で調べていこう!
AHRF患者に対して①吸気努⼒↓⇒⾷道内圧↓②肺気量↑ ⇒EELV↑(EIT)
⽅法【⽬的】
⽣理学的パラメータのHFNC効果検討
【デザイン】イタリアMonzaのSan Gerardo病院ICUAHRF患者(n=15)HFNC vs. FM(facial mask)でのクロスオーバー研究
【適応】呼吸困難発症or悪化(1週間以内)P/F≦300mmHg(標準FMにて酸素投与下)
⽅法(Exclusion)• 挿管または気管切開• 妊娠または授乳中• ⾎⾏動態が不安定• 気胸• 急性⼼原性肺⽔腫• 慢性閉塞性肺疾患• 既往歴に⿐外傷・⿐中隔湾曲• EIT使⽤禁忌(ex. 植込み型除細動器)• EITベルトを巻けない(ex. 創傷包帯・胸部ドレーン)• ⾷道カテーテルの位置決めができない(⾷道⼿術後)
⽅法(デバイス)
半横臥位、RASSスコア:0(鎮静なし)設定FiO2:標準FMでSpO2 90-95%
FM12L/min
HFNC40L/min
×15⼈
測定 測定① 20分 ② 20分
①②の施⾏順は、コンピュータにて①→② or ②→①ランダム化
⽅法(デバイス)
AIRVO 2(Fisher&Paykel社)酸素配管のみで駆動設定可能流量:2-60L/min設定可能FiO2:0.21-0.95(FiO2:FM12L=HFNC40L)
⽅法(測定)
①⽣理学的データ(⾎液ガス・呼吸数・⾎⾏動態)②⾷道内圧データ③EITデータ
⽅法(⾷道内圧)
⼼拍(⼼臓アーチファクト)(+)⾃発呼吸の吸気圧波形(+)→(-) 胃→⾷道まで引き抜く
引⽤:http://imimed.jp/spot/advancing_avea.html
CopperSurgical社製
⾷道下部1/3
専⽤のデータ収集システム(Powerlab AD instruments)に記録
- ⾷道
内圧
Pes(
cmH2
O)
⾷道内圧
PTPmin
1.1分間平均圧⼒時間積分(呼吸代謝仕事量): PTPmin 2. 1呼吸あたりの圧⼒時間積分(呼吸代謝仕事量) :PTP3.吸気時の⾷道内圧平均変動(吸気努⼒):ΔPes4.動的終末呼気経肺圧
:PL,ee=気道内圧ー呼気終末⾷道内圧5. 動的終末吸気経肺圧
:PL,ei=気道内圧ー吸気終末⾷道内圧6. ドライビング経肺圧: ΔPL=(PL,ei)-(PL,ee)
呼気終末Pes
吸気終末Pes
ΔPL
(気道内圧:FM0,HFNC2.5cmH2O計算)
ΔPes
PTP=pressure-timeproductperbreath,PTPmin=pressuretimeproductperminute,⊿Pes=inspiratoryesophagealpressureswing,⊿PL=drivingtranspulmonarypressure,PL,ee=dynamicend-expiratorytranspulmonarypressure,PL,ei=dynamicend-inspiratorytranspulmonarypressure
EIT(電気インピーダンストモグラフィー)
8-32個の電極が内臓したベルトを胸郭(第5・6)に巻く
呼吸器ケア 2016vol.14no.1(95)
⾮侵襲的⻑時間使⽤可迅速動的な情報収集可換気量の時間的変化が可視(画像10-60枚/秒)
画像解像度(低)胸郭の組成や胸郭外成分の影響受けやすい⽇本で市販、認可 ×
メリット
デメリット
⽅法(EIT)
EITデータ:20Hz電流下での断層データを50msecごとに収集専⽤のソフトウェア(Dräger EIT Data Analysis Tool and EITdiag)にて分析保存
PulmoVista® 500(DrägerMedicalGmbH社)
16個の電極内臓ベルト
⽅法(収集項⽬:EIT)
1. ⼀回換気量:Vtglob,Vtnon-dep,Vtdep2. 分時換気量:MV3. 補正後MV:Mvcorr =患者MV×患者PaCO2/404. 呼気終末肺インピーダンス変化
:ΔEELIglob , ΔEELInon-dep, ΔEELIdep5. 不均⼀性の指数:GI(Global inhomogeneity index)6. 吸気と呼気のピーク気流:PIFglob , PIFnon-dep, PIFdep
PEFglob , PEFnon-dep, PEFdep7. 吸気・呼気時間:Ti・Te,サイクルタイム:Ttot
Glob:global(全体),non-dep:nondependent regions(⾮依存領域),dep:dependent regions(依存領域)
VT:tidalvolume,⊿EELI=changeofend-expiratorylungimpedance,PIF=peakinspiratoryflow,PEF=peakexpiratoryflow, Ti=inspiratorytime;Te=expiratorytime,Ttot=totalcycletime.
⽅法(検定⽅法)
• 直接的な肺気量は測定できず、肺気量の影響を受ける胸の電気インピーダンスの変化を想定。• HFNC中のEIT測定値は、FM時のベースラインからの
インピーダンス変化率で算出。• 正規分布変数:t検定• ⾮正規分布変数:Wilcoxon符号付順位検定• 有意差あり(p<0.05)
結果(患者)
性別 :⼥性40%酸素化 :全員P/F≦200 うち≦100(n=3,20%)胸部x線:両側胸部浸潤 n=7 (47%)
ΔPes↓ :吸気努⼒↓VT/ ΔPes ↑:動的コンプライアンス↑
FMよりHFNCの⽅が
結果(吸気努⼒・動的コンプライアンス)
⾷道内圧変化
↓→
FMよりHFNCの⽅がPTP↓ :呼吸代謝仕事量 /回↓PTPmin↓:呼吸代謝仕事量/分↓
結果(呼吸代謝仕事量)
平均圧⼒時間積分
結果(分時換気量)
MV↓=(RR↓)×(VT→)MVCORR↓
FMよりHFNCの⽅が
補正後MV
結果(PTPmin↓,Mvcorr↓の関係性)
⇒CO2クリアランス↑(上気道ウォッシュアウト)⇒吸気の呼吸仕事量↓⇒CO2産⽣↓換気の必要性↓
ΔPTP, ΔMVcorr:⽐例関係(R2=0.46, p<0.01)
PTPmin↓>Mvcorr↓ (32±12%vs. 18±15%; P<0.05)
PTPmin↓,RR↓との関連は、有意差なし (P=0.147)
結果(酸素化・ガス交換)
FMよりHFNCの⽅が
PaO2/setFiO2↑(酸素化↑)PaCO2→pH→
結果(呼気終末肺インピーダンス変化量)
FMよりHFNCの⽅が
ΔEELIglob,non-dep,dep↑(肺気量↑)ΔEELIglob↑:PEEP発⽣
⇒酸素化↑VT→局所の肺損傷↓
呼気終末排気量
結果(経肺圧・換気均⼀性)
FMよりHFNCの⽅が PL,ee↑PL,ei↑:肺胞性虚脱↓ΔPL ↓(有意差×)
FMよりHFNCの⽅が GI index↓:肺全体の換気均⼀性↑⇒肺の密度均⼀性↑
不均⼀性換気指数
経肺圧
結果(吸気・呼気ピーク気流,時間)
FMよりHFNCの⽅がPEFglob↓ :PEFdep↓
⇒依存性肺領域における肺コンプライアンス↑PIFglob↓ :有意差なし
Ti/Ttot↓:最⼤吸気圧→吸気努⼒↓⇒呼吸筋の張⼒時間指数↓
ピーク気流
結果(HFNC効果)
PaCO2のベースライン: ΔPes(P=0.008)
PTP (P<0.05)で相関
PaO2のベースライン: ΔPes(P=0.042)
PTP(P=0.35)で相関×
Discussion(酸素化・肺気量)
u酸素化↑:低酸素drive↓⇒呼吸負荷↓
u呼気終末肺気量↑:PEEP↑⇒P/F↑、低酸素drive↓⇒呼吸負荷↓
u設定FiO2と肺胞FiO2の違いFM :患者吸気流量>FM流量
⇒設定FiO2>気管/肺胞FiO2HFNC:患者吸気流量<HFNC流量
⇒設定FiO2≒肺胞FiO2⇒同じFiO2設定でも、実際の投与濃度FM<HFNC
Discussion(吸気努⼒)u動的肺コンプライアンス↑:吸気時の動きやすさ↑
吸気努⼒↓uMvcorr↓∝PTP↓, Mvcorr↓<PTPmin↓
:CO2クリアランス↑吸気努⼒↓uRR↓はPTPmin↓と関連×
:吸気努⼒↓以外のメカニズムとRRは関連uPaCO2ベース↑∝PTP↓(呼吸努⼒↓)
:重度のCO2クリアランス障害に効果的⇒AHRF患者(死腔率⾼い)に効果的
吸気努⼒↓⇒呼吸器での代償不全による⻑期化↓⇒挿管率↓⇒⽣存率↑
Discussion(肺傷害)u PL,ee↑PL,ei↑:肺胞性虚脱↓(PEEP)
ΔPL↓ :肺傷害↓(ΔPL↑,リクルートメント↓:肺傷害悪化↑)VT/呼気終末肺気量↓(VT→):肺歪み↓肺傷害↓
u換気不均⼀性↓:肺胞崩壊範囲↓肺胞壁張⼒↓ 肺傷害↓
<今後の課題>⾃発呼吸による肺傷害をどう最低限抑えるか。
Disccussion(結果まとめ)パラメータ ↑↓ 影響
酸素化 ↑ 呼吸負荷↓
呼気終末肺気量 ↑ PEEP↑、呼吸負荷↓
分時換気量(MV,Mvcorr) ↓ 吸気努⼒↓
動的肺コンプライアンス ↑ 吸気努⼒↓
PTP ↓ 吸気努⼒↓
VT/呼気終末肺気量 ↓ 肺傷害↓
換気不均⼀性 ↓ 肺傷害↓
LimitationuEITは肺の⼀部(約50%)のみカバー
肺容量の増加検出×(腹部測定×)HFNCの研究少ない今回クロスオーバー研究(⾃⼰データ⽐較)⇒精度↑
u測定時間が短い肺容量とガス交換を平衡させるのに必要な最短時間(覚醒下)
u客観的な呼吸困難の測定主観的な呼吸困難(快適性)評価をしていない
Limitationu⾷道内圧の分析のみのPTP評価
従来PTPes:胸壁の静⽌反動圧⼒時間曲線も使⽤⇒胸壁コンプライアンス・VTの絶対値の直接的計測×⇒HFNC・FM下では、胸壁コンプライアンス→VT→⇒PTP、PTPes直線的に相関するであろう
un数が少ない
u設定FiO2、肺胞FiO2の解離同じFiO2設定でも、実際の投与濃度FM<HFNC
Editorialu呼気終末肺気量↑
肺胞崩壊部位のリクルートメントを⽰すのではなく、以前開いていた肺胞部位の膨張であることは、決定的には⽰せない。
u肺胞FiO2の計測不能
u対象患者間でのHFNC効果は異なるu肺傷害患者(⇒HFNCによる換気削減)
⇒呼吸負荷↑による挿管前の肺傷害↑を防⽌できるのでは?
ConclusionsuHFNCは、AHRF患者において様々な⽣理学的効果を⽰した。
u今回の⽣理学的効果は、AHRF患者のClinical outcomeにポジティブな影響を与えるかもしれない。
私⾒
uPEEPきちんとかかっていそうu肺胞崩壊部位が多い患者へのHFNCは効果△u肺傷害が起こる前の予防的使⽤はやはり⼤切uきちんと⽣理学的根拠を知った上でHFNCの使⽤が⼤切
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