ドメインオントロジーを用いた 要求獲得法の提案...1...
Post on 19-Mar-2020
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背景
• 情報システムの構築にはシステムを利用する予定の業務(ドメイン)の知識が必須.
• ドメイン知識を業務の専門家だけから直接に得るのはコストや時間がかかりすぎる.
• 「書き物」になっているドメイン知識を用いて「意味」まで考慮した要求分析を(半)自動的に行うのは困難.
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プロジェクト全体の目的と方針• 計算機処理可能なドメイン知識(表現)を用
いて,意味を考慮した要求分析を行う.– 表現としてオントロジーを用いる.
• 可能な限り意味処理を自動的に行う.– 再現率の重視 (疑わしきは罰する!)
• ドメイン知識は既存のリソースから可能な限り自動抽出する.– 既存の情報システムに関する文書
– 既存の辞書やシソーラス
本発表では本件には触れない.
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ゴールの青写真
SpecificationDocumentManual…
DomainOntologyAs Knowledge ofDomain Experts
Requirements Analysis
Mining(Natural LanguageProcessing)
Semantic ProcessingFor Requirements
OntologyOn Internet
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本発表の論点
• 要求仕様書の機械的な分析支援.
• 字面の情報で可能な限り意味まで踏み込んだ分析をする方法.
• 特殊な記述様式(半形式言語や厳格な形式仕様)の仕様書を想定しない.
• 低コストな方法で意味まで考慮した意味処理を実現する! (軽量化意味処理)
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要求分析で考慮すべき特性
• 矛盾
– 矛盾した記述で設計・実装したら大変.
• 欠落事項
– 後段での要求追加は回避したい.
• コレクトネス
– 客の要望に合致してないと,そもそも意味無し.
• 非曖昧性
– 後段での誤解・誤実装の原因となる.
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オントロジー: 意味解釈の基盤
• 有名な定義formal explicit specification of shared conceptualization
• 本研究では,
– 要求項目の意味付けに使える構造
– 意味付けをする構造上で計算をする機構
として使う.
• オントロジー ⇒ シソーラス + 推論規則
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要求仕様書とオントロジの関係
要求仕様書
Domain OntologyC D
A
E
B
1. aaa2. bbb3. ccc(t)
require
F: 対応付け関数
attrE = t
この上で各種の計算(推論)をするこ
とで意味処理を代用する.
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オントロジーのデータ構造Concept
quality
function
object
environment
constraint
actor
platform
Relationship
is-a(generalize)
has-a(aggregate)
synonym
antonym
contradict
cause
apply
require
support
perform
2 1{ordered}
symmetric reflective transitive
要求分析に都合がよい型を導入.
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例
Ontologyof a Library
Req. Listof a LibrarySystem
system name : String = library system : requirements list
sentence : String = a copy of a book shall be checked out. mandatory : Boolean = true
#1 : leaf
sentence : String = books shall be highly available for members. mandatory : Boolean = false
#2 : leaf
sentence : String = books shall be able to be added. mandatory : Boolean = true
#3 : leaf
<<object>>a copy of a book
<<object>>a book
<<function>>add
<<apply>>
<<function>>add
<<apply>>
<<function>>check out
<<function>>return
<<apply>>
<<apply>>
<<constraint>>deadline
<<object>>member account
<<require>>
<<actor>>member
<<quality>>availability
<<contradict>>
<<constraint>>expire date
#3 : map item#1 : map item #2 : map item
<<object>>publication
<<object>>magazine
<<perform>>
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意味処理の方針
• 要求仕様書の「文全体」の意味には立ち入らない.
– 例えば否定文の否定部分は扱わない.
• 文を構成する「単語」レベルの意味に注目する.
• 注目する意味は,前述のように,1. 矛盾 2. 抜け 3. ニーズにあってない 4. 曖昧 の4点.
• 意味的に疑わしい部分は可能な限り抽出.
– 誤判定ならば,分析者が却下すればよい.
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要求分析手順の明確化
• 軽量化意味処理のアイディアに基づき実際に分析を進める手順が必要.
– アイディアだけでは実際に分析者が分析を行うのは困難.
• 全自動とはいかないので,自動化できる部分と人がやる部分の切り分けの明確化が必要.
• 要はCASEツールの仕様が必要.
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手順の概要1. 要求仕様を単文(要求項目)に整形
2. 要求項目とオントロジを対応付け
3. メトリクス(後述)に基づき要求仕様の現状の「意味的な良さ」を判定
• 十分に良ければ分析終了
4. 「良くない」と判定された部分を修正.• 良くするためにどんな意味を追加/削除すればよい
かを提示.
• 提示に基づき要求仕様を変更
5. 2.に戻る.
青字の部分は自動化,他は人手が必要.
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メトリクス要求仕様書の「良さ」を判定するための数値
• コレクトネス: – 要求仕様が当該ドメインの意味要素に包含されてい
る度合い.
• 完全性: – 当該ドメインに含まれるべき意味が包含されている度
合い.
• 無矛盾性:– 当該ドメイン上で相互に矛盾する概念が含まれている
割合.
• 非曖昧性:– 相互に関連が少ない概念と対応付かない要求項目の
割合
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メトリクスの直感的な説明 1/2ドメインオントロジ要求仕様
1. 音楽が再生できる.
2. 音量を変更できる.・・・・
8. 写真を撮影できる.・・・・・
インコレクトな要求である可能性
playlist
不完全の原因になっているかも.
不完全の原因になっているかも.
不完全の原因になっているかも.
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メトリクスの直感的な説明 2/2ドメインオントロジ要求仕様
1. 早いアカウント処理ができる.
2. 沢山のアカウントを扱える.・・・・・
9. 本を廃棄できる.・・・・・
曖昧な可能性がある.
早い
矛盾の原因になっているかも.
book
廃棄
沢山矛盾
a copy of a book
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各特性の改善法• コレクトネスが低ければ
– 当該ドメインに相応しくない概念は自動的に抽出できる.
– それを削除するように要求文を人が書き換える.
• 完全性が低ければ– 既存の概念が必要とするにもかかわらず要求仕様で言及されて
いない概念は自動抽出可能.
– それを追加するように要求文を書き換える.
• 無矛盾性が低ければ– どの部分がどんな相矛盾する概念を含むかは自動抽出可能.
– それを排除するように要求文を書き換える.
• 曖昧ならば– どの文がどんな相互に関係ない概念と関連付いているかは自動
的に指摘可能.
– それに基づき要求文を書き直す.
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比較実験
• 目的: – 前述の分析手順が要求分析の有効なガイドと
なっているかを確認.
• 要は手順が与えられたほうがマシに要求分析が行われるか否かを確認.
• 問題– PC上で動作する音楽プレーヤー
• 被験者– 学部学生 S1, S2 (ガイドあり) S3 (なし)
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結果の概要
S1 初期 Step 1 Step 2
要求項目数 11 24 39写像概念数 14 21 35コレクトネス(%) 91 96 97完全性(%) 12 29 46無矛盾性(%) - 100 100曖昧性(%) 100 50 49
S2 初期 Step 1 Step 2
要求項目数 11 25 25写像概念数 13 26 26コレクトネス(%) 90 100 100完全性(%) 11 22 22無矛盾性(%) 100 100 100曖昧性(%) 80 100 100
S3 初期 Step 1
要求項目数 6 16写像概念数 14 40コレクトネス(%) 83 100完全性(%) 12 35無矛盾性(%) 100 98曖昧性(%) 100 100
手順に従った被験者
自由にやらせた被験者
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考察ガイドされたほうが・・・・
• 個々の要求文を単純に書く傾向がある.– 概念数/文: S1=0.9 S2 =1.1 < S3=2.5
• 概念と文との対応付けは分析者の主観にまかせても,それほど問題はないようだ.
• メトリクスで改善を促進するのはそれなりに成功しているようだ.
• ガイドが無い被験者(S3)もオントロジを幅優先探索して改
善を模索していた.ガイドも基本的にはこの方針であるため,不自然なものではないだろう.
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