制震ブレース...
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QSP06-1 (20160928)
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制震ブレース
「ブレースリー®」 製品マニュアル
ver.1.3
目次
1. 本製品マニュアルの目的 ..................................................................................................2
2. ブレースリーの特徴 .........................................................................................................2
3. 製品仕様概要 ....................................................................................................................2
4. 壁倍率認定について .........................................................................................................6
5. ブレースリーの性能 .........................................................................................................7
5.1 ブレースリーの単体性能() .........................................................................................7
5.2 ブレースリー付き壁の制震性能 ................................................................................8
5.3 ブレースリー付き建物の加振実験 ..........................................................................10
6. ブレースリーの配置 .......................................................................................................11
7. ブレースリーの使用条件 ................................................................................................12
8. 各部の標準納まり ...........................................................................................................13
9. 外周壁の標準納まり .......................................................................................................14
10. ブレースリーの施工 ....................................................................................................15
11. 制震効果の算定 ...........................................................................................................18
11.1 簡易算定グラフ....................................................................................................18
11.2 物件毎の地震波応答解析について .......................................................................19
12. ブレースリーの取り換えが必要なケース(有償対応) ..............................................20
13. 製品保証について .......................................................................................................20
製造元: 理研軽金属工業株式会社
〒422-8530
静岡県静岡市駿河区曲金 3 丁目 2 番 1 号
TEL:054-281-1111 FAX:054-281-1160
http://rikenkeikinzoku.co.jp/
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1. 本製品マニュアルの目的
本製品マニュアルは,ブレースリーの採用をご検討頂く立場である設計事務所・工務店・
建材商社の皆様にブレースリーが有する機能・目的を正しく理解して頂くために用意したも
のです。また,本製品マニュアルで設計・施工をして頂けるようにもなっています。なお,
掲載した技術情報は保証値として扱われるものではなく,ブレースリーが一般に有する値と
なります。
2. ブレースリーの特徴
ブレースリーは木造軸組工法用制震ブレースです。耐震と制震の二つの機能を有していま
す。
耐震は,国土交通大臣認定「壁倍率 2.4(認定番号 FRM-0469)」を取得しています。
制震は,ブレースリーに内蔵された履歴ダンパーの塑性変形によるエネルギー吸収を利用
しているため,気温や速度変化の影響をほとんど受けずに安定した減衰性能を発揮し,地震
の揺れを 30~50%低減します。ブレースリーは減衰性能が高いために最低4ヵ所の取り付け
で制震効果があります(制震効果や取付本数は,建物や地震波により異なります)。
ブレースリーは,アルミ押出形材を使用しているため経年劣化は起きにくく,少ない部材
構成で低価格を実現しました。
ブレースリーという商品名は,お客様に親しんでもらえるように,ブレース(筋かい)と
スリー(安全・安心・安価)を併せて名付けました。低価格・高性能なブレースリーの普及
を目指し,地震被害を低減することで,環境・人・社会に貢献していきたいと考えています。
3. 製品仕様概要
名称 材質 表面処理
筋かい材 アルミニウム合金 A6N01S-T5 陽極酸化塗装複合皮膜*1
履歴ダンパー アルミニウム合金 A6063S-T5 生地
スチフナー アルミニウム合金 A6063S-T5 生地
専用金物 アルミニウム合金 A6063S-T5 陽極酸化塗装複合皮膜*1
本体組立ビス C0+なべ 6×16 SUS XM7 生地
本体組立ビス C0+なべ 6×50 SUS XM7 生地
ドリリングタッピンネジなべ 6×25 SUS410 生地
ドリリングタッピンネジ皿 6×25 SUS410 生地
四角穴付丸木ねじ 5.8×63 SUS XM7 生地
注*1 切断小口および穴加工部は生地
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ブレースリー部品構成
筋かい材
履歴ダンパー
スチフナー
2628
2950
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専用金物 a
専用金物 b
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ドリリングタッピンネジなべ
ドリリングタッピンネジ皿
四角穴付丸木ねじ
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4. 壁倍率認定について
・ ブレースリーは壁倍率 2.4 倍(認定番号:FRM-0469)を取得しています。以下の適用範
囲,軸組等の寸法を守ってください。
・ ブレースリーを使用した耐力壁の適用範囲は,建築基準法施行令 40 条から 49 条(ただ
し,第 48 条第 2 項は除く)に準拠する。
・ ブレースリーは,外周壁および間仕切壁において用いられるものとする。
・ 建築基準法施行令 46条第 4項の表1に定める軸組または昭和 56年建設省告示第 1100号
に定める軸組を併用する場合は,倍率 5 を限度としてそれぞれの倍率を加算できるものと
する。
・ ブレースリーは,必ず,同一構面(同一方向)に対称に用いること。
適用範囲
軸組等の寸法
部位 寸法等
柱 105mm×105mm 以上
120mm×120mm 以下
土台 105mm×105mm 以上
間柱 30mm×105mm 以上
柱の間隔 910mm 以上
1000mm 以下
横架材間の
内法寸法
2677mm 以上
2813mm 以下
構造型式 木造
工法 在来軸組工法
階数 2 階建て以下
延床面積 500 ㎡以下
高さ 13m 以下
軒高 9m 以下
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5. ブレースリーの性能
5.1 ブレースリーの単体性能(1)
・ ブレースリー単体の性能は,変位ストローク 16mm の場合,強度 22kN 以上,繰り返し 3
回で最大荷重から 20%以上の強度低下なし,等価粘性減衰性能 40%以上。
・ ブレースリー単体の性能は,変位ストローク 10mm の場合,強度 20kN 以上,繰り返し 9
回で最大荷重から 20%以上の強度低下なし。
・ ブレースリーに使用されているアルミ部材は,材料及びその許容応力度については国土交
通省告示 409 号による。
ブレースリーの荷重-変形量
減衰定数-変位振幅 ◆変位振幅-繰り返し数
(1)
ブレースリーには履歴ダンパー2個が内蔵されているので,ここでは履歴ダンパー2個の性能
をブレースリー単体性能として表記した。
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5.2 ブレースリー付き壁の制震性能
・ ブレースリー付き壁の交番荷重試験を基に,ブレースリー付き壁の制震性能を示す。以下
に示す性能は,公的機関で行った試験体 3 体の平均値である。
性能評価試験
壁の荷重-層間変形角
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層間変形角 荷重(引張と圧縮の平均)
ブレースリー 木筋かい*1
×10-3rad kN/m kN/m
0 0.00 0.001 1.08 0.832 2.15 1.563 3.13 2.185 4.82 3.28
7.5 6.32 4.3110 7.18 5.1515 8.28 6.1520 8.87 6.5030 9.65 6.4440 9.33 5.1060 7.80 1.20
注*1 木筋かい材:45×90mm
ブレースリーの変形量と ◆ 壁の等価粘性減衰定数と
壁の層間変形角との関係 壁の層間変形角との関係
壁のスケルトンカーブ
壁の層間変形角-地震回数
・ 「層間変形角-地震回数」は累積疲労損傷側で評価した。一質点系のモデルの地震波応答
解析と履歴ダンパーの疲労強度からサイクルカウントを行った。
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5.3 ブレースリー付き建物の加振実験
制震性能と耐久性を確認するために,実際の地震波で揺らす加震実験を行った。実験体は,
2 階建て建物を想定した一坪模型で,東西南北の各面に 1 本ずつ制震ブレースを取り付けた
もの(制震実験体)である。比較のために制震ブレースを木筋かい(ベイマツ 45×90mm,
金物:(株)タナカ 2 倍筋かいリベロⅡ)に置換した実験体(標準実験体)も用意した。実験
体は 2 階の質量を想定した錘 800kgf を載せた。実験方法は,実験体を振動台に取り付け,
三次元同時加震を行った。地震波は,東北地方太平洋沖地震(K-NET 仙台)と兵庫県南部地
震(JMA 神戸)を使用し,加速度の再現は源波の 50%~125%とした。振動台は,UR 都市
機構の三次元振動台を使用した。実験結果から,図のような模擬建物の応答特性が得られた。
制震実験体は,履歴減衰のエネルギー吸収効果で,頂部変位量が標準実験体よりも小さかっ
た。制震ブレースの有効性が証明された。また,図に示すように JMA 神戸 125%を 4 回繰り
返しても変位の増幅や破壊は認められず,十分な耐久性を有していることが分かった。
模擬建物 ◆ 地震波について
◆ 模擬建物の応答特性
慣性力-層間変形角
<制震試験体> <標準試験体>
K-NET仙台 独立行政法人防災科学技術研究所が運用する全
国強震観測網の仙台観測所で記録された地震波
JMA 神戸 神戸海洋気象台で記録された地震波
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6. ブレースリーの配置
・ ブレースリーは建築物の最上階を除く各階に 4 ヶ所以上(X 方向,Y 方向にそれぞれ 2 カ
所以上)配置すること
・ ブレースリーは同一構面(同一方向)に偶数本を対象に取り付けること。
・ ブレースリーは偏心しないようにバランスよく取り付けること。
・ ブレースリーは上階の荷重を受け持つ部分にバランスよく取り付けること
標準配置 (4ヶ所配置)
4 分割法を参考に,1/4 側端部に配置すること。
その他の配置 (8ヶ所以上配置)
・ 販売元に問合せをしてください。
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7. ブレースリーの使用条件
・ 建物の設計は建築士が行ってください。リフォームの場合はそれに加えて,一般社団法人
日本建築防災協会に登録された耐震診断士による耐震診断を行ってください。
・ ブレースリーを取付けることができる建物の条件は,階数≦2,延べ面積≦500 ㎡,高さ
≦13m,軒高≦9m です。
・ ブレースリーの専用金物は,必ず,柱・土台・梁に取り付けてください。
・ 軸組の柱脚・柱頭等の接合部が先行破壊しないこと(平 12 建告 1460 号)。耐力壁とし
て扱わない場合も,耐力壁と同等以上の接合金物を取り付けること。
・ 耐力壁がバランスよく配置されていること(平 12 建告 1352 号)。偏心率 0.3 以下,も
しくは4分割法で確認すること。
・ 床や屋根の水平構面に十分な剛性があること。床の標準仕様は品確法の床倍率1以上で,
耐力壁線間は 8m 以下としてください(床倍率 1 の例:構造用合板 12mm 厚以上または
構造用パネル1級・2級以上,ネタ@340mm 以下転ばし,N50@150mm 以下)。
・ 大壁で壁厚 105mm 以上の場合,厚さ 45mm 以下の木筋かいとたすき掛けできます。ブ
レースリー同士のたすき掛けは不可とします。
・ ブレースリーを外周壁に用いる場合は,ブレースリーは外装材側に取り付けてください。
内装材と接していますと,内装材に結露が発生する可能性があります。
・ ブレースリーと木筋かいをたすき掛けする場合でブレースリーを外周壁に用いる場合も,
ブレースリーは外装材側に取り付けてください。
・ 寒冷地(平成 25 年省エネ基準(2)の地域区分 1,2,3)で使用する場合は,内部結露を防止
するために,断熱材の室内側に新省エネ基準(3)相当の防湿層を設けてください。
・ ブレースリーの性能を確実に発揮させるためブレースリーに配管等の部材を接触させな
いでください。離間距離は 100mm 以上確保してください。
(2)
平成 25 年省エネ基準,経済産業省・国土交通省告示,第1号 (3)
新省エネ基準,平成 4 年,建設省告示,第 451 号
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8. 各部の標準納まり
下端詳細図
上端詳細図
間柱切欠き詳細図
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9. 外周壁の標準納まり
・ ブレースリーの耐久性を確保するために,ブレースリーを取り付ける部分の外周壁を以下
の構造とする。
一般地域
・ 防風層(4)を外装材側に貼り付ける。
・ 防水紙と外装材の間に通気層を設ける。
寒冷地
・ 上記に加えて,寒冷地(平成 25 年省エネ基準(5)の地域区分 1,2,3)の場合は内部結露を防
止するために断熱材の室内側に新省エネ基準(6)相当の防湿層を設ける。
(4)
防風層:透湿防水シート,アスファルトフェルト等 (5)
平成 25 年省エネ基準,経済産業省・国土交通省告示,第1号 (6)
新省エネ基準:平成 4 年,建設省告示,第 451 号
防湿層
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10. ブレースリーの施工
・ 施工は施工手順書に従って行ってください。取り付け時間は 1 本で 1 時間程度です。
・ 木ねじ施工時は,躯体の木材の割れ防止のために先穴を空けて施工してください。先穴径
は,針葉樹(スギ,ヒノキ,マツ,サワラ等)は 3.6mm,広葉樹(キリ,トチ,ケヤキ,
ナラ等)は 4.6mm,先穴深さは 38mm です。
・ 間柱を設置する場合は,間柱に切り欠きを設けてブレースリーを避けて設置して下さい。
・ ブレースリーに追加工しないでください。
・ ブレースリーは壁内隠ぺい部を前提とした仕様のため,ブレースリー設置部に漏水などな
いよう施工してください。
・ ブレースリーの性能を確実に発揮させるため,ブレースリーに配管等の部材を接触させな
いでください。離間距離は 100mm 以上確保してください。
・ ブレースリーは壁面と平行になるように取り付けてください。斜めの状態やねじれた状態
で取り付けないでください。
・ 用途以外には使用しないでください。
・ ブレースリーに改造やその他加工,分解などを行わないでください。
・ 施工時の怪我や事故などに十分注意してください。
・ リフォームの場合は内装材および外装材が無い状態での施工になることをご了承くださ
い。
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耐震等級1
0
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30
40
50
60
70
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100
50 100 150 200 250
二階
床の
揺れ
%
延べ床面積 m2
4本
8本
12本
置換ケース
ブレースリー
(15坪) (30坪) (45坪) (61坪) (76坪)
【条件】総二階建て
軽い建物
0
10
20
30
40
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50 100 150 200 250
二階
床の
揺れ
%
延べ床面積 m2
4本
8本
12本
追加ケース
ブレースリー
(15坪) (30坪) (45坪) (61坪) (76坪)
11. 制震効果の算定
11.1 簡易算定グラフ
・ 二階床の揺れと延べ床面積のと関係をもとに,制震効果の概略を調べることができる。
置換ケース:壁量計算後に2倍筋かいをブレースリーに置き換える場合
追加ケース:壁量計算後にブレースリーを追加する場合
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耐震等級3 【条件】総二階建て
軽い建物
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二階
床の
揺れ
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延べ床面積 m2
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置換ケース
ブレースリー
(15坪) (30坪) (45坪) (61坪) (76坪)
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二階
床の
揺れ
%
延べ床面積 m2
4本
8本
12本
追加ケース
ブレースリー
(15坪) (30坪) (45坪) (61坪) (76坪)
11.2 物件毎の地震波応答解析について
必要に応じて有料にて物件毎の地震波応答解析を行います。費用は標準的な家で 30 万円で
す。
置換ケース:壁量計算後に2倍筋かいをブレースリーに置き換える場合
追加ケース:壁量計算後にブレースリーを追加する場合
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12. ブレースリーの取り換えが必要なケース(有償対応)
・ 火災にさらされた場合
・ 層間変形角 1/30 を超えた場合
・ 大規模半壊の場合(被害認定基準運用指針/内閣府)
・ 不慮の事故で破損した場合
13. 製品保証について
・ ブレースリーは,地震による建物の揺れの低減を期待したものです。建物の倒壊・損傷を
防ぐことを保証するものではありません。建物の倒壊・損傷は補償の対象外とさせて頂き
ます。
・ 保証内容の詳細については製品保証書を参照してください。
-以上-
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