小学校英語活動レポート⑮ 中学校英語と小学校外国語活動の違 … · ttal l...

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1.小中連携って何をすることなの?小学校外国語活動が必須となり,今年で 4

年目を迎えた。現在までに,様々な方法で小中連携が推進されてきている。しかし,時に大事な視点が抜けていることがある。それは

「目標の共有から始める」ということである。ちなみに以下の小学校外国語活動の目標の

①~⑥に入る語はおわかりであろうか。

これが小学校外国語活動の目標である。この目標を知らずして,授業参観も出前授業もできない。①は 7 文字入り,中学校外国語科の目標と同じである。②は小学校特有のキーワードであり,中学校の目標にはない。では③と④にはどんな言葉が入るであろうか。実は小学校外国語活動でやることは,この③と④なのである。ここには,「音声」と「表現」が入る。つまり小学校外国語活動では「外国語の音声」と「基本的な表現」について指導すればいいということになる。その 2 つに⑤

(=慣れ親しみ)ながら,⑥(=素地)とつながるのである。

この「目標の共有」なしでは,中学校の先生が小学校外国語活動の授業を参観しても,小学校への出前授業を行ったとしても,小学校でやっていることが,なかなか理解されなかったり,誤解を生んだ小中連携になってしまうことにもなりかねない。ぜひとも小中連携をこの「目標の共有」から始めていきたい。

2.小学校外国語活動と中学校英語の違い① 〜「慣れ親しむ」と「覚えこませる」〜

次に小学校外国語活動と中学校英語の違いについて確認してみたい。

まず,小学校外国語活動では,授業のねらいを「慣れ親しむ」と捉えればよい。たとえば,定番ゲームにキーワードゲームがある。ペアになり,両者の間に消しゴムをひとつ置く。そして,児童は教師の後に,英単語をリピートしていく。そこにひとつキーワードを決めておき,そのキーワードが発せられたときには,目の前の消しゴムをとるという,非常に楽しく,盛り上がるゲームである。実は遊びのような活動にも,ちゃんとしたねらいが存在するのである。ここでは「語彙に慣れ親しみ」,音声を繰り返すことから,「外国語の音声に慣れ親しむ」ことにつながる。小学校外国語活動でのねらいのほとんどは「○○に慣れ親しむ」なのである。

では中学校では「慣れ親しむ」で終えていいだろうか。当然,否である。中学校には中学校のねらいがあり,それが「覚えこませる」であったり,「定着させる」であったりする。小 学 校 で は 教 師 の 後 に,cat-cat, dog-dog, snake-snake, … などと繰り返して慣れ親しんでいればいいが,中学校では,たとえば単語リストを用意して,ペアで覚えたかどうかチェックさせる活動を仕組んだり,1 週間後,2 週間後,1 か月後に定着しているだけの学力を保障しなくてはいけない。そういった違いが小中の英語教育では存在するのである。

3.小学校外国語活動と中学校英語の違い② 〜「グラマーベース」と「タスクベース」〜

小学校英語活動レポート⑮中学校英語と小学校外国語活動の違いって何?〜小中連携を意識して!〜

瀧沢 広人埼玉県小鹿野町立小鹿野小学校 

(   ①   ),言語や文化について(  ②  )に理解を深め,積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成を図り,外国語の( ③ )や基本的な

( ④ )に(  ⑤  )ながら,コミュニケーション能力の( ⑥ )を養う。

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19教科研究 TOTAL ENGLISH No.123

次に大きな違いの 2 つ目として,中学校はグラマーベース,小学校はタスクベースということを取り上げてみたい。

中学校では,「一般動詞」「be 動詞」「人称代名詞」「3 人称単数現在形」「疑問詞」「現在進行形」などを題材にからめつつも,基本的にはグラマーベースで授業は進む。

しかし小学校外国語活動は「夢の時間割を作ろう」「ランチメニューを作ろう」「アルファベットクイズを作ろう」「私の夢宣言」というようなタスクが用意されている。そしてそのタスクに向けて,必要な語彙や表現を学習していくというイメージとなる。ここが

「体験的に」と言われる所以でもある。ただし,中学校でも工夫次第では,タスク

ベースの授業はできる。TOTAL ENGLISH では,Chapter の終わりに Chapter Project がある。言ってみれば,Chapter Project がその Chapterのタスクとなるのである。

たとえば,中学 1 年生の Chapter 1 Projectは「自分のことを伝えよう」である。これは,タスクではないだろうか。そして Lesson 1は「好きなものは?」と題して,好きなスポーツや食べ物をいう言い方を学習する。Lesson 2 では「先生に聞いてみよう」と題して, ペ ッ ト や 趣 味 の 話 題 を 取 り 上 げ る。Lesson 3 では「初めまして」と題して,出身地や住んでいるところを学習する。こうした学習を積んでいき,Chapter 1 Project で「自分のことを伝えよう」となるのである。

先 生 方 の 中 に は, 最 初 に こ の Chapter Project を確認してから,Lesson の指導をするという先生がいる。ゴールをより明確にした,教材研究のひとつの在り方となる。

4.小学校外国語活動でのタスク活動 〜Hi, friends! 2 桃太郎劇〜

さて,小学校 6 年生の最大の難関は桃太郎劇である。私はここをタスクベースの授業を意識して行った。まず,児童に次のように語

り,大きなタスクを与えることから始めた。

その後,B6 の紙を配り,「英語劇を成功させるためにはどんな点に注意したらいいか」を 1 人 ひ と り に 考 え さ せ, 発 表 さ せ た。ちょっと外国語活動の授業よりも特別活動の授業に近いが,こんな授業もあっていいのでは,という思いで 20 分くらい時間を使い,児童の気持ちを高めることとした。なぜなら,これをしておかないと,いいかげんな気持ちで英語劇をしてしまいそうな様子がイメージされたからである。

その後は,桃太郎の歌を英語版で歌い,おばあさんが大きな桃と出会い,桃太郎が桃から出てくる場面までを児童とともに文字なしで行った。これが第 1 時である。

以降の授業の様子は省略するが,大きなタスクは教師が与え,「じゃ,どうしたら英語劇が成功するだろうか」という小さなタスクは児童から出させることで,「日本一の桃太郎劇をしよう」というタスクを克服していくように進めて行った。

5.小学校 6 年生の最後は卒業スピーチで 〜私にとっての終わりイメージ〜

今年も卒業スピーチで 35 時間目の授業を終えた。原稿は見ずに,ジェスチャーを入れながらのスピーチである。授業を持った学年には毎年行っている。そして児童に先輩のスピーチビデオを見せて言う言葉は,「先輩たちを超えなさい」である。こうして行った今年のスピーチは確実に先輩を超えている。Hello. My name is…. I’m 12 years old. My birthday is.... I like basketball. I have two dogs. I want to be a nurse in the future, because I want to help sick people. Thank you.

小学校英語活動レポート⑮日本一の桃太郎劇をしよう。日本全国の

6 年生がこの桃太郎劇をやります。どの小学生よりも,上手な桃太郎劇を,みんなにはやってもらいたいと思います。

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