看取りのケア - tokushima...

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看取りのケア エンゼルケア

2014年2月14日

緩和ケアセンター 坂本 佳也 (緩和ケア認定看護師)

看取りの文化的意味

よき死に向けての心得と作法

「人の生き死に」についての考え方

看取りと文化

文化とは・・・私たちの「生活様式の全体」 それぞれの民族・地域・社会に固有の文化がある

学習によって伝習されることを意味する

日本では・・・日本固有の文化

民族の文化

習慣 しきたり 風習

宗教 仏教

死にまつわる日本固有の文化 (習慣・しきたり・風習)

(例)死水・死化粧・死装束・北枕・湯灌・逆さ水

通夜・夜伽・納棺・出棺・香典・焼香・枕飾り

不断香・枕飯・経帷子・友引・戒名

法事・供養・香典返し・忌み明け・回向

死者への様々な思いを込めたお別れの儀式

死装束

民間風習や、民族儀礼が

自然と生活の中に取り込まれ、

違和感なく行われてきた背景には・・・

宗教や文化を通じて、 様々な儀礼的行為を生み出し、 それを実施してきたのかも・・・?

人は死を受け入れるために

医療の中の看取り

資料:厚生労働省「平成20年人口動態統計年報(確定数)

<死亡場所の推移>

「家」で家族・親族の中で看取りが行われていた時代

その地域独特の古い慣習を幼い頃から知っている

教えによって、看取りの伝承を受け継ぐことができた

高度成長時代の到来、核家族化の進行 地域や家族システムは細分化 「家」は看取りを行える場所ではなく、療養の場は病院 遺体となった本人は、「家」に帰らず、 直接葬祭場へ搬送

葬儀会社の用意する・・・○〇セット ○〇パック 文化の喪失と看取りの安全装置

医療の中の看取り

① 悲しみとコミュニケーション

② 看取りの場作り

③ 終末期の医療処置についての説明

④ 看取りを通して自分の「死」に向き合う

看取りの各段階のケア

①意志決定へのケア ②予期悲嘆ケア

③緩和ケア ④全人的ケア

⑤家族の心労へのケア

⑥終末期 せん妄へのケア

⑦悲嘆ケア

ターミナル ターミナル ターミナル 臨死・臨終期 命終期 死後の処置 死亡後の 前期 中期 後期 家族へのケア

ケア

ターミナルステージの分類 (終末期)

最後にくる, 終わりの, 最終的な 〈病気が〉末期的な;不治の 〈患者・医療などが〉末期の

〈病院・病室が〉末期患者のための

意味

• ターミナル前期

(月単位の問題・6~1ヶ月の生命予後)

• ターミナル中期

(週単位の問題・数週間の生命予後)

• ターミナル後期

(日にち単位の問題・数日の生命予後)

• 死亡直前期

(時間単位の問題・数時間の生命予後)

臨死期のケア

臨死期患者の身体的変化

家族を呼ぶタイミング

生命予後が日にち単位の 患者の身体的変化の観察ポイント

① 食事をしなくなり、水分をごく少量のみ取るようになる

② 口腔内の乾燥が持続する

③ 尿量が減少する

④ 排泄が困難になり、床上での排泄になる

⑤ 強い全身倦怠感が持続する

⑥ 血圧が低下する

⑦ 頻脈になったり、あるいは徐脈になったりする

⑧ 発熱があり、解熱しないこともある

⑨ 喘鳴が出現する

⑩ せん妄が持続する

⑪ 傾眠状態になる

生命予後が時間単位の 患者の身体的変化の観察ポイント

① 水分を取ることも困難になる

② 便失禁が見られる

③ 血圧がさらに低下する

④ 脈拍の緊張が弱くなり、触れなくなる

⑤ 手足が冷たくなる

⑥ 呼吸状態が変化し、呼吸リズムが不規則になる

⑦ 昏睡状態になる

看取りが近くなったときのケアポイント

① これから患者さんに起こることを

わかりやすい言葉で説明する

② 急変の可能性があることを説明する

③ 家族が落ち着いてそばに付き添える環境を作る

④ 家族にとって負担にならない範囲で、

できるケアを手伝ってもらう

⑤ 看取り時にそばに付いたほうがよい家族を確認する

⑥ たとえ看取りに必要な家族が間に合わなくても、

患者さんにとっての安楽を最優先することを確認しておく

臨死期のケア

家族の悲嘆への支援

家族は 「第二の患者」

予期悲嘆・・・ 愛する人との死別が現実になる前に その時のことを想定して嘆き悲しむこと

病的悲嘆反応を示す恐れがある人

① 故人に完全に依存していた人

② 故人にアンビバレントな患者を抱いていた人

③ 感情を表出できない人

④ 人生の危機に同時に陥ってしまう人

⑤ うつ病の既往歴のある人

⑥ 喪失体験を乗り越えるのが難しかった経験を持つ人

(特に両親との死別に問題ある人)

⑦ 家族や社会からの支えが得られない人

⑧ 死別前に健康に問題がある人

⑨ 若くて、幼い子供がいる人

死後のケア エンゼルケア

死亡確認後一切のケア エンゼルメイク・グリーフケア 死後の身体部分の整え

死後のケアとは、「死亡確認後のケア」を意味する

遺体を清潔にする 生前の外観をできるだけ保つ 死後に起こる変化を 目立たないようにする

エンゼルケア

死後の処置

エンゼルケアとは

エンゼルメイク 医療行為による侵襲や病状などによって失われた生前の面影を、可能な範囲で取り戻すための “ケアの一環としての死化粧”

エンゼルケアの意義

「私らしく尊厳をもって 人生を終えたい」

喪失する悲しみを抱え、 患者さんのためにできることを、 最期までやり遂げられて

見送れた

患者さん ご家族

人々が死に向きあい、 死生観を養う場面をつくる

エンゼルケアの目的

① 身体を清潔にする

② 死によって生じる外観の変化を

できるだけ目立たないようにする

③ その人らしく整える

④ 病原菌の飛散を防ぐ

ご遺体の尊厳についての基本的な考え方 ・ 清潔なお体であること ・ 清潔な着衣を身につけていること ・ 陰部がおおわれていること(プライバシーの保護)

声かけ・説明時の話し方

• はっきりと発音

• 声は適度な大きさ

• やや低めの声を意識する

• マニュアルを読みあげるように話さない

• いつもの話し方をがらりと変える必要はない

ケアに入る前に・・・告知時の対応

臨終の告知直後

• 主治医が臨終を告げたとき、看護師も亡くなった患者さん、ご家族に向かって心を込めて丁寧にお辞儀

• 言葉以外のコミュニケーションを意識する

・・・・・・・・(無理に声かけをしない)

不用意な言動に注意する

看護師が立つ位置に注意する

変更前 変更後

医師 家族 看護師

エンゼルケアの流れ • 医療機器の除去を行い、ベッド柵を外し、椅子の用意

• 悲しみの時間(お別れ時間)の提供

• 退院までの流れの説明

• ルート類、気管カニューレ、CVカテーテル、ドレーン、胃瘻等の抜去、ストーマ等のケア

• 創部(褥創、手術創等)のケア

• 顔の各部位の清掃(目周囲・鼻腔・口腔・ひげそり)

• 義歯の装着

• 洗髪・清拭・陰部のケア(洗浄・排泄のケア)・詰め物・着替え

• 目と口・頬の補整・顎閉じ

• エンゼルメイク(化粧)・ヘアケア・爪切り

• 全身の整え

• その他一切のケア(声かけ、傾聴、所作など)

お別れ(お過ごし)の時間

余韻の時間をもつために

家族水入らずでお過ごしいただく時間を、 「お過ごしの時間」と言ってはどうでしょう?

器械類やお口に入っているものを、 取り外してよろしいですか?

しばらくの時間、○○さまを囲んで、皆さまでお過ごし下さい。 30分後くらい経ちましたら(○時ころに)お声かけしますので、 ご希望の着物や洋服などがありましたらご準備願います。 何かございましたらお声をかけて下さい。

医療機器の除去を行った後、 ベッド柵を外し、椅子の用意を行う

お別れ(お過ごし)の時間の間に行うこと (死亡退院チェックリストをもとに)

• エンゼルケア(セット)の準備 • 患者さんの家族へIDカード・内服薬の返却準備 • 家族に「支払確認誓約書」の準備 • 死亡診断書の確認(手渡し分1部は家族へ) • 注射薬・麻薬の確認→返納手続き • 栄養管理室への連絡 • 処置伝票・個人別消費伝票の処理 • 実施オーダー入力の確認 • カルテ記載(死亡当日と死亡退院が同日であれば、 退院後まとめての記載でもよい)

臨終の告知後に、主治医より病状の経過・病理解剖について説明

エンゼルケアの準備物

• 清拭備品 (ややぬるめの湯、フェイスタオル、バスタオル、バケツ等) • 着替え、紙おむつ、尿パット • 消毒薬、包交セット(防水処置用品を含む) • 化粧品セット • 頭髪セット(櫛、ヘアーブラシ、ヘアーウォーターなど) • 剃刀または電気剃刀・電気剃刀用シェービング剤 • 入れ歯安定剤 • 爪切り • ごみ袋・ディスポーザブル手袋、マスク、プラスチックエプロン • セーフティーセット • 白布、腕固定用クリップ

*青字は家族に準備をお願いする

死亡診断書

<用紙右>医療者が記入 医師がPC内に死亡診断書を記入 プリントアウトされた内容を確認 (名前・生年月日・死亡時間・記入した医師の印鑑) 右半分に貼付する (貼付したあと中央に診断書を記入した医師の 割印を2箇所行う)

<用紙左> 提出した際に 家族が記入

書式 : A3用紙(白地に黒字)

病理解剖の有無 病理解剖あり

・ 病理解剖承諾書

・ 支払確認誓約書

・ 事務処理

<昼間>

解剖の予定時間に、着替え・ケアの準備物と一緒に降りる

家族は家族控え室(霊安室横)にて待機していただく

解剖終了後、清拭・着替えなどのケアを行い、搬送車へ

お見送り

<夜間>

翌日に病理解剖を行うため、ケア(清拭・病衣へ着替え)を行い、

霊安室(冷蔵庫)へ遺体安置を行い、翌日の予定を説明し、

ケアで必要なものを預かり、家族に帰宅していただく。

予定時間に病理解剖が開始

カルテ記載 <例> • 時刻 • ○○医師により、死亡確認。 • ○○と○○に見守られ永眠される。 (病理解剖がない場合) • エンゼルケアを施行し、 ○○とともに死亡退院される (病理解剖がある場合) • 清拭施行し、○時 病理解剖室へ • ○時 病理解剖終了し、 エンゼルケア施行後、○○とともに退院される

• 医療機器の除去を行い、ベッド柵を外し、椅子の用意

• 悲しみの時間(お別れ時間)の提供

• 退院までの流れの説明

• ルート類、気管カニューレ、CVカテーテル、ドレーン、胃瘻等の抜去、ストーマ等のケア

• 創部(褥創、手術創等)のケア

• 顔の各部位の清掃(目周囲・鼻腔・口腔・ひげそり)

• 義歯の装着

• 洗髪・清拭・陰部のケア(洗浄・排泄のケア)・詰め物・着替え

• 目と口・頬の補整・顎閉じ

• エンゼルメイク(化粧)・ヘアケア・爪切り

• 全身の整え

• その他一切のケア(声かけ、傾聴、所作など)

エンゼルケアの流れ

退院までの流れの説明(1)

おからだをきれいにして、着替えなどの身支度を行います。

これから退院までの流れについて、 どなたにご説明すればよろしいでしょうか?

どのように(どんな方法で)お帰りなりますか?

私にお願いします。

どのようにって、普通どうするんですか?

退院までの流れの説明(2)

普通の車で帰れるんですか?

(葬儀会社の場合) 着替えなど退院の準備の時間を入れて、

○時ころとお伝え下さい

帰りは何時頃になりますか?

葬儀会社が準備する車で帰られる方が多いですが、 自家用車の方もいらっしゃいます。

問題ありません。

入院中のお支払いについてですが、後日精算になります。 恐れ入りますが、「支払確認誓約書」のご記入をお願いします。 退院時に用紙をお預かりしますので、ご記入をお願いします。

• 抜去時は、一声かけて

• 処置や作業はゆっくりと

• 頭部から足もとの順に抜去する

• 創傷処理はいつもの同様に

お体をきれいにする前に、 カテーテルやチューブ類を取り外しますが、よろしいですか?

人工肛門・胃瘻・ペースメーカーは?

<人工肛門> • バックを装着する場合:消毒・清拭後バック装着 • バックを装着しない場合 縫合する場合 ドレッシング剤を貼って密閉 縫合しない場合 消毒・清拭後ドレッシング剤で密封

縫合については、医師が家族の意向を聞いておく

<胃瘻> • 器具を取り去るかどうかなどの対応は医師と決めておく また、家族の意向の確認も必要

<ペースメーカー> • 基本は切開して取り除く • 取り除かなくとも火葬はできるが、地域によっては除去することが必要 • 火葬の際に破裂したペースメーカーは、家族がみられる前に除去している

人工肛門・胃瘻に使用する器具は火葬には問題なし

褥瘡のある方の処置

ステージⅡ以上の褥瘡ができた場合は

患部を清拭もしくは消毒した後、ラップで密閉する。 (ラップ療法とは違い、臭気や浸出液をおさえるために ラップのまわりをテープで完全に密閉する)

エンゼルケアの流れ • 医療機器の除去を行い、ベッド柵を外し、椅子の用意

• 悲しみの時間(お別れ時間)の提供

• 退院までの流れの説明

• ルート類、気管カニューレ、CVカテーテル、ドレーン、胃瘻等の抜去、ストーマ等のケア

• 創部(褥創、手術創等)のケア

• 顔の各部位の清掃(目周囲・鼻腔・口腔・ひげそり)

• 義歯の装着

• 洗髪・清拭・陰部のケア(洗浄・排泄のケア)・詰め物・着替え

• 目と口・頬の補整・顎閉じ

• エンゼルメイク(化粧)・ヘアケア・爪切り

• 全身の整え

• その他一切のケア(声かけ、傾聴、所作など)

• 口腔ケアは、通常行っている順序で

• 義歯の装着が難しい場合は、頬の内側から外側へ

膨らむようにマッサージを行い、滑りやすくして装着

• 口唇は乾燥防止のため、

リップクリームや保湿クリームを塗布

• 眼脂や皮脂はこすらず、

湿らせたコットンなどをのせ、軟らかくして除去

• セーフティーセットを用いて、咽頭を充填する。

• 電気カミソリの使用

(シェーバーを垂直に当てると剃りやすい)

• カミソリを使用する場合は、クリームを用いる

口と目の汚れは、臭いのもとになることがありますので、 きれいに致しますね。

死後硬直 死後硬直の流れ

骨格筋弛緩→(死後3時間ころ)顎関節→上肢→下肢→(数日後)弛緩

筋硬直の死亡前の関与因子

性別 男性>女性 周囲温度 高い>低い

年齢 青年期>小児 壮年期>老人

季節 夏>冬

死亡前の経過 急死>長期闘病

筋量 筋の多い体型>痩せ 全身痙攣 +>-

体温 高体温>低体温(平熱) 下顎呼吸 +>-

• できれば洗髪を行う

• 陰部洗浄・清拭は通常通り(手浴・足浴もできれば)

• 体位交換の際には、不自然な体位にならないよう、

体幹や四肢をしっかり支える

• 一般的な流れとして、上肢→上半身→下肢→陰部

• 便や尿が貯留している場合は、排泄を援助する

• セーフティーセットを用いて、直腸へ充填する

• 清拭と並行して、ご家族が準備された衣類を更衣する

身体をきれいにさせていただきます。 どなたか、一緒にされませんか?

肌はどんどん乾燥し、弱くなっていきますので、 強い摩擦や圧迫は避けて下さい。

そっと静かに触れたり、優しくさすったりするのは大丈夫です。

死後に身体に起こる主な変化

おからだは、時間の経過とともに いろいろな変化が生じるのは自然なことで、異常事態ではありません。

顔面の蒼白化 (30分~)

カテーテル・ 針抜去部位の皮下出血傾向(1時間~)

腐敗(6時間~) 腹腔内、胸腔内、 全身へと広がる

体温低下(直後~)

臭気の発生

皮膚 ・乾燥(直後~)

・脆弱化(直後~)

筋の弛緩と硬直 (硬直は1時間~)

弛緩後、顎関節、上肢、 下肢と硬直がすすむ

黄疸の人の肌色の変化 (24時間~)

24~36時間程度:黄色→淡緑色 36~48時間程度:淡緑色→淡緑灰色

( )内は死後時間の発生時間の 目安 ※変化の度合いや時間には個人差があります

エンゼルケアの流れ • 医療機器の除去を行い、ベッド柵を外し、椅子の用意

• 悲しみの時間(お別れ時間)の提供

• 退院までの流れの説明

• ルート類、気管カニューレ、CVカテーテル、ドレーン、胃瘻等の抜去、ストーマ等のケア

• 創部(褥創、手術創等)のケア

• 顔の各部位の清掃(目周囲・鼻腔・口腔・ひげそり)

• 義歯の装着

• 洗髪・清拭・陰部のケア(洗浄・排泄のケア)・詰め物・着替え

• 目と口・頬の補整・顎閉じ

• エンゼルメイク(化粧)・ヘアケア・爪切り

• 全身の整え

• その他一切のケア(声かけ、傾聴、所作など)

蒸しタオルをしたあと、 お顔のこわばりをほぐすマッサージを兼ねて、

クレンジングをさせていただきます。

• 口元のゆがみや眉間のしわ・こわばりがある方も少なくなく、マッサージで整える

• 蒸しタオルとマッサージでのクレンジング効果があり、

皮膚の汚れを取るため、メイクがしやすくなる

• 開始してからご家族の様子を見て、「なさいませんか?」とすすめてみる

• くぼんだ輪郭の部分に、

コットンを少しずつ重ね入れ輪郭を整える

詰め物を使用し、目と口の補整を行います。

クレンジングマッサージと蒸しタオル <マッサージの手を動かす方向> • 軟らかいクリームあるいはクレンジングオイルを使用

• 筋肉の走行を意識しつつ、中心から外側へ

• 肌を傷めないようにごく弱い力で

• クレンジングを意識して小鼻や鼻裏などを丁寧に

家族がどのようにお感じになるかが大切

<蒸しタオルの効果> • 鼻を塞がないように、耳の裏や首までしかっりと覆う

気持ちよさそうと感じるからか、

家族はホッとした表情なる効果が・・・

エンゼルメイク

クレンジングマッサージ 汚れの除去 穏やかな表情

ファンデーション 乾燥予防 肌色変化のカバー 血色をプラス

パウダー 化粧くずれを防ぐ

アイライン・マスカラ 穏やかに閉じている目元に

アイブロウ その人らしい眉

チーク 血色をプラス

リップ 乾燥防止 変色のカバー その人らしさ

できるだけ○○さんらしい穏やかなお顔に メイクさせていただきたいと思います。

• ご本人の化粧道具を使うかどうか声をかけ、

準備していただくのもよい。

• 開始してからご家族の様子を見て、

「なさいませんか?」とすすめてみる

• 乾燥を防ぐため、

クリーム(リキッド)ファンデーションが適切

• ご家族の誰かに口紅やチークなど

塗っていただけるように促す

• 口が開いてしまう場合、顎の下に

タオルを丸めて置き、頭部の枕を高く保つ

チークや口紅をお願いできませんか?

エンゼルケアの流れ • 医療機器の除去を行い、ベッド柵を外し、椅子の用意

• 悲しみの時間(お別れ時間)の提供

• 退院までの流れの説明

• ルート類、気管カニューレ、CVカテーテル、ドレーン、胃瘻等の抜去、ストーマ等のケア

• 創部(褥創、手術創等)のケア

• 顔の各部位の清掃(目周囲・鼻腔・口腔・ひげそり)

• 義歯の装着

• 洗髪・清拭・陰部のケア(洗浄・排泄のケア)・詰め物・着替え

• 目と口・頬の補整・顎閉じ

• エンゼルメイク(化粧)・ヘアケア・爪切り

• 全身の整え

• その他一切のケア(声かけ、傾聴、所作など)

手を組ませること・顔にかける白い布

• 退院時に組まなくても、後で組ませることはできる

(組まなければ縛らなくてもいい)

• 顔を白い布を使って覆うのは、家族に伺う

家族の意向に沿うことが大切

手はどうされますか?

白い布をかけられますか? ご家族のハンカチでもかまいません。

退院時にお渡しするもの

• 患者さんの家族へIDカード・内服薬の返却準備

• 家族に「支払い確認誓約書」の準備

• 死亡診断書の確認(手渡し分1部は家族へ)

自家用車で帰られる場合は、ご遺体と同行される方に渡す

• 支払確認誓約書

退院時にお預かりするもの

病室から迎えの車までの移送

• ご遺体の搬送経路が決まっているため、

• お迎えの葬儀業者は搬送用ストレッチャーを準備し病室へ来室

• お見送りの移動の際には、普通の掛け物をご遺体の上へかけて廊下を移動するとよい

• エレベーターなどでは、ご遺体の関係者以外の同乗は避ける

• 搬送時は、足から

• 坂道は下り方向へ足を向ける

ベッドよりストレッチャーに移動していただきますので、 恐れ入りますが、ご家族の皆さんの手を貸していただけますか?

お見送り • お見送りは無言でお辞儀。

• あるいは、葬儀会社の人に「よろしくお願いします」と声をかけた後、家族へお辞儀

• 車が見えなくなるまでお辞儀をして見送る

・・・・・・・・・・・

ともに死を見つめ、

亡くなった瞬間もその人を大切にするケアによって、

“死後の処置”は“看取りのケア”にかわる。

患者さんの最期の姿が「その人らしく」あるために、

看護師が「その人らしさ」を把握している必要がある。

そして、看護師のだけの感覚によるものではなく、

家族も一緒にそう思えることを目指すことが大切である。

亡くなっていく人から命の尊さを学ぶことにおいて、

私たち看護師の果たす役割はとても大きい。

最後に

ご静聴ありがとうございました

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