第3学年 の実践 - choshi...-1-第3学年 の実践 第3学年 1組国語科学習指導案...

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第3学年の実践

第3学年1組 国語科学習指導案

指導者 渡邊 篤子

1 単元名 ポエムノートを作ろう(特設)

2 単元について

本単元は,「ポエムノートを作ろう」(特設)と「様子を思い浮かべて読んでみよう」(教

育出版 ひろがる言葉 3年下)とを組み合わせて実践するように設定した。教材「夕日が

せなかをおしてくる」「ゆうひのてがみ」「いちばんぼし」の3つの詩を声に出して楽しみ

ながら読み,言葉から浮かんでくる情景を想像し読み味わえるようにしたい。そして,いろ

いろな詩集から好きな詩を選んで視写し,情景を想像しながら吹き出しを書いたり,自作の

詩を書いたりすることで,言葉に即して情景やその移り変わりを想像しながら読む力を育て

ることが学習のねらいである。

教材の3つの詩は,いずれも夕日のころの時間を象徴的に表した作品である。1日の終わ

りにどんなことを思い出すか,感じるか想像しながら音読したり,群読をしたりするなど工

夫することで,イメージを広げ,更に自分だけのポエムノート作りをし,詩の世界に浸らせ

楽しませたい。

本学級の児童は,2年生では,作品の持つイメージをしっかりとらえ,それを声に表現す

ることの楽しさを通して詩へ親しんできた。

実態調査では詩を好きな児童が85%,また,詩の勉強が楽しいと感じている児童は80

%と多く,詩に対する興味・関心が高いことがうかがえる。詩の勉強で一番楽しい時は,音読や群

読など読むときで,2番には,作るときをあげている。そして,好きな詩がありますかとい

う質問には,42%の児童があると答え,「かえるのぴょん」「かもつれっしゃ」など3年

生になって最初に学習した詩の題名やその他の詩を具体的にあげている児童もいた。詩に対

して心ときめくものを感じる児童が多いことがわかる。そうしたときめきを大切にし,いろ

いろな形の詩にふれ,自分たちの自由なイメージを広げながら,新しい詩の世界との出会い

を楽しみ,これからの学習への期待をふくらませていきたい。

指導にあたっては,個人差を考慮し,教師自作のポエムノートを提示し,書くことが苦手

な児童には,コメントカードを用意したり,部分視写をさせたりするなど必要に応じて個別

に支援を行う。更に作品をまとめてポエムノートを作り,友達にも読ませるという目的を持

たせることで,活動の意欲が高まることを期待している。また,校内の図書室だけでなく,

市の図書館などから借りたいろいろな種類の詩集を進んで読むことで,詩の楽しさに浸り,

今まで以上に広がる世界を感じ取らせたい。

3 単元の目標

〈 児童 〉

・言葉の美しさや楽しさを味わい,情景を想像しながら詩を読んだり,視写したり詩を作っ

たりし,ポエムノートを作る。

〈 教師 〉

・想像の世界を楽しみながら詩に親しもうとしている。 (関心・意欲・態度)

・言葉に即して,情景やその移り変わりを想像しながら読むことができる。 (読むこと)

・情景を考えて声の大きさや速さを工夫しながら音読することができる。

(言語についての知識・理解・技能)

4 指導計画(全7時間)

〇第1次 ・3つの作品を音読し,気がついたことやそれぞれの詩の表現方法について話

し合い,音読や群読の仕方を工夫し視写する。 3

〇第2次 ・好きな詩を選んで視写したり自作の詩を作ったりして,自作のポエムノート

を作る。 3(本時2/3)

・目次や後書きなどをつけてポエムノートを完成させる 1

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5 本時の指導

(1)本時の学習活動

・好きな詩を選んで視写し,自分が想像した挿絵や感想を入れたり,自作の詩を作ったりす

る。

(2)学習指導上のねらい

・ポエムノートを作る活動を通して詩を読み味わい,言葉から浮かんでくる情景を想像して

読む力を育てる。

(3)展開

時配 学習活動と内容 教師の支援と留意事項 ◇評価(方法) 資 料

5 1 前時までに学習した3 ・自分の好きな詩を音読することにより

つの詩を音読する。 詩のリズムを楽しみ,授業への方向付

・夕日がせなかをおしてくる けをする。

・ゆうひのてがみ

・いちばんぼし

2 本時の学習の活動を確 教師が作

認する。 ったポエ

ムノート

自分だけのポエムノートをつくろう。

38 3 前時までの活動の続き ・好きな詩には付箋を貼るなど,活用の 詩集

を行い,ポエムノートを 仕方へのアドバイスは適宜行う。 付箋

作る。

・詩を視写する。 ・詩を読んでいて分からない言葉があっ 上質紙

・言葉から浮かんでくる たら,国語辞典を使って調べるよう助 色鉛筆

情景を想像して挿絵を 言する。

入れる。

・詩の感想を書く。 ・感想はコメントカードを用意しておき, コメント

・自作の詩を書く。 使いたい児童には使用させる。 カード

・感想が書けない児童には,短い言葉で のり

もよいこととする。

・視写が苦手な児童には,短い詩を紹介

し意欲付けする。

・児童一人一人の反応や,活動状況をよ

く観察し,必要な支援を行っていく。

2 4 今日の活動を振り返り, ◇ 好きな詩集から気に入った詩を選んで

次時の活動の確認をする。 視写し,挿絵と感想を入れてポエムノ

ートが作れていたか。(観察・作品)

6 単元で使用する学習資材

・教師が作ったポエムノート

・詩集(公正図書館より借用)

・「今日からできる!授業のスキルアップ3年」 日本標準 滝井 章 卯月 啓子 編著

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7 指導の実際と考察

(1)単元の目標にせまるための手だてと児童の変容

○目的をもって「読む」ための教材の工夫について

本単元「ポエムノートを作ろう」は,いろいろな詩集から好きな詩を選んで視写し,情景

を想像しながら吹き出しを書いたり,自作の詩を書いたりして,自分だけの詩集を作るとい

う活動であった。いろいろな形の詩にふれ,自分たちの自由なイメージを広げながら,新し

い詩世界との出会いを楽しむ中で,言葉に即して情景やその移り変わりを想像しながら読む

力を育てていくことをねらいとして設定した。

指導にあたっては,児童に活動のゴールをイメージさせるために,教師が実際に手作り詩

集を作成し,提示することにした。これにより,児童は学習の見通しをもって活動に取り組

むことができ,どの児童も完成のイメージをもちながらスムーズに活動ができた。提示した

詩集の中には,「おならうた」や「おおきな木」など児童が興味をひくような内容のものを

選んだ。詩にあまり興味をもたない児童でも,「こんな詩もあるんだ!」「こんな短くても

詩なんだ!」「こんな書き方の詩もあるんだ」など,目から鱗的な内容のものを授業の導入

で提示したので,「もっとおもしろい詩はないかな?」と意欲的に詩の本を読む姿が見られ

た。

また,校内の図書室より60冊,市の図書館より60冊を借りてきて,廊下に詩のコーナ

ーを作り展示して,児童が自由に詩集を読めるようにした。視写が終わるまでは,本に名前

を書いた付箋を貼っておき,すぐわかるようにもした。

ポエムノートは,詩を読み味わい,言葉から浮かんでくる情景を想像して読ませるために,

視写だけでなく,挿絵を入れるとともに感想も入れるようにした。自分だけのポエムノート

ということで,児童は感じたままを自由にかき,楽しみながら活動できていたように思う。

<教師の自作のポエムノート>

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○一人一人への支援の工夫について

詩を読むことや書くことに抵抗がある児童に対して,まず,活動への見通しをもたせるた

めに全体への見本の提示の後,教科書教材にある三つの詩「夕日がせなかをおしてくる」「ゆ

うひのてがみ」「いちばんぼし」を全体で読み味わった後,視写して挿絵や感想を入れてポ

エムノートを作る活動を行った。やり方を全員がわかってから好きな詩を視写していったの

で,スムーズに活動することができた。

書くことが苦手な児童には,コメントカードを用意したり,部分視写をさせたりするなど

個別に支援を行った。コメントカードは数種類用意し,好きな物を選べるようにした。また,

書く力のある児童には,自作の詩も書いてみるよう助言した。読んでいて難しい言葉などが

あったときは,国語辞典を置いておきすぐ調べられるようにもした。

<好きな詩を選んでポエムノートを作る活動> <コメントカード>

○単元の指導を終えて

本単元では,ポエムノートを作る活動を通して詩を読み味わい,言葉から浮かんでくる情

景を想像して読む力を育てることを目標として指導を行った。

児童が作ったポエムノートにより評価した結果,全員の児童が好きな詩を選び視写し,簡

単な感想を書くことができていた。また,その中で,さらに自作の詩を進んで作成していた

児童は全体の41%ほどであった。普段,書くことに非常に抵抗のある児童も,熱心に取り

組み視写することができた。

事前の実態調査で,詩はあまり好きではないと答えていた児童が4人いたが,1人に減っ

ていた。また,詩の勉強はあまり好きではないと答えていた児童も6人いたが,これも1人

にへっていた。そして,詩は難しいと感じていた児童が多かったが,いろいろな詩に出会う

ことにより,詩を身近に感じるとともに,詩の楽しさに浸ることができたように思う。この

ことは,教材の工夫やコメントカードの工夫のほか,さまざまな詩の本をたくさん用意した

とがよかったように思う。単元が終了するまで「詩のコーナー」として,廊下に展示してあ

ったので,国語の授業時間だけでなく,朝の読書や休み時間に読んだり,手に取ったりする

児童が多かった。この単元だけでなく,機会あるごとに市の図書館から借りてきていたので,

自分から市の図書館へ行き本を借りてくる児童が増えてきた。児童の学ぶ環境づくりも大切

だとあらためて感じた。

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<児童の作品>

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(2)課題と改善の方策

〇課題

・ポエムノート作りをし,友達にも読ませるという目的を持たせることで活動の意欲が高ま

り,言葉の重視と体験の充実が図れた。しかし,説明体験や発表体験の基盤作りが国語科

の重要な課題という点から考慮すると,まとまった一連の課題探求過程を追求すべく学習

計画の工夫が要求される。

・国語力を高めるための個々を伸ばす評価を生かした指導に磨きをかけていきたい。

〇方策

・国語科に限らず,各教科,領域,教育課程外での創意工夫により言語体験の充実を図る。

・観察における評価は固定化せず各児童に応じ適切且つ柔軟な評価ができるよう更に研究を

深めていく。

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