女性生殖器 - kms.ac.jpanatomy2/histology30.pdf · 出生時 100万個/卵巣 出生前...

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復習

女性生殖器の概要

女性生殖器(Female reproductive organ)

概略: A)内生殖器 1)卵巣(ovary) 2)卵管(uterine tube) 3)子宮(uterus) 4)膣(vagina) 妊娠時のみ形成されるもの 5)胎盤(placenta) 6)臍帯 (umbrical cord)

B)外生殖器(外陰部)

;大陰唇、小陰唇、

陰核、膣前庭

1)卵巣 2)卵管

3)子宮

4)膣

外陰部

出生時 100万個/卵巣

出生前

思春期 〜 性成熟期 細胞質不等分裂

原始生殖細胞

第ニ減数分裂 中期で分裂停止

受精 →第ニ減数分裂の再開

第一減数分裂 前期で分裂停止

卵 巣 内

約10個の卵胞/周期 が成長段階に入る

出生

排卵

☆卵細胞は、卵巣中で卵胞単位で育つ 卵胞の成長

;原始卵胞→一次卵胞→二次卵胞→成熟(グラーフ)卵胞

注)教科書によって、卵胞の分類は異なる

原始卵胞

一次卵胞

成熟(グラーフ)卵胞

二次卵胞

今日学習すること 女性生殖器 ①子宮の構造 月経周期(子宮周期)に伴う子宮内膜の変化 ②膣の構造 ③胎盤の構造と働き ④乳腺の構造

3 子宮(Uterus) ○位置、形、大きさ :骨盤腔のほぼ中央、膀胱の後ろ、直腸の前、西洋梨形、全長7cm、前傾前屈 ○ 区分 ○子宮体:上2/3 *子宮底:左右の卵管が侵入する所より上部 *子宮峡部:子宮体と子宮頚の移行部 ○子宮頚:下1/3

尿管

子宮円索

膀胱子宮窩 直腸子宮窩

直腸子宮ヒダ

前唇

後唇

前膣円蓋

後膣円蓋 子宮底

子宮体

子宮峡部

子宮頚

3 子宮(Uterus) ○ 区分 ○子宮頚:下1/3 ○膣上部 ○膣部 :腟内に突出した部分

膣上部 子宮頚

子宮底

子宮体

子宮峡部

膣部

前頭断(後方からみる)

子宮の姿勢:前傾前屈

前屈 前傾

○子宮後屈→子宮体軸が頚軸に対して後方に屈曲 ○子宮後傾→子宮頚軸が膣の長軸に対して後方に屈曲

子宮を支える構造

子宮頚 膀胱子宮靭帯;前方を膀胱及び恥骨と結ぶ 仙骨子宮靭帯;後方を仙骨下部と結ぶ 基靭帯(子宮頚横靭帯);側方を骨盤側壁と結ぶ 子宮体 子宮円索;卵管付着部の下〜鼠径輪・鼠径管〜大陰唇皮下 →妊娠時、子宮体部の後屈を防ぐ

膀胱子宮靭帯

仙骨子宮靭帯

基靭帯 (子宮頚横靭帯)

子宮円索

○子宮体の組織構造 ○子宮内膜:性周期で厚さが変わる ○粘膜上皮 ○粘膜固有層 ○筋層 ○漿膜

子宮内膜

粘膜上皮

粘膜固有層

筋層

○子宮体の組織構造 ○子宮内膜:性周期で厚さが変わる ○粘膜上皮:(単層円柱) ○線毛細胞 ○分泌細胞

線毛細胞 分泌細胞

○子宮体の組織構造 ○子宮内膜:性周期で厚さが変わる ○粘膜上皮:(単層円柱) ○線毛細胞 ○分泌細胞 *粘膜上皮は粘膜固有層へ 落ち込み、(子宮)腺 (単一管状腺)を形成 (この上皮は粘膜上皮と よく似ているが、主に 分泌細胞で形成される) ○粘膜固有層 ○子宮腺

粘膜固有層

○子宮体の組織構造 ☆子宮内膜は機能的に2層に分けられる ○(基底)層:性周期で変化が起こらない子宮内膜の深部 子宮腺の腺底、(基底)動脈 ○(機能)層:性周期で厚さ、構造が変化、子宮腺、(ラセン)動脈

基底層

機能層

基底動脈 ラセン動脈

○子宮体の組織構造 ○筋層 非常に厚い(1cm以上)、 不明瞭な平滑筋層(4層) 中間の2層に(弓状)動脈が走る ○漿膜

筋層

膣上部 子宮頚

子宮底

子宮体

子宮峡部

膣部

膣上部(単層円柱) 膣部(重層扁平)

○子宮頚の組織構造 ○子宮内膜 ○上皮 :単層円柱 (膣部では重層扁平) ○固有層 ○子宮頚腺 :(アルカリ)性 粘液を分泌 ○筋層:平滑筋 ○漿膜(膣部では持たない)

*ナボット卵 :子宮頚腺の開口部が閉塞 されてできる貯留嚢胞

ナボット卵

重層扁平上皮

単層円柱上皮

移行帯

間質

○月経周期(子宮周期) :平均28日を一周期とする子宮内膜変化のサイクル、 エストロゲン、プロゲステロンに依存 ○増殖期 ○分泌期 ○月経期

機能層

基底層

増殖期 分泌期 月経期

28日 14日 5日

月経周期

5日 1日

月経の開始の日を第1日

○月経周期(子宮周期) ○増殖期:月経終了〜排卵まで、機能層が増殖して再生(←エストロゲン)

機能層

基底層

増殖期 分泌期 月経期

28日 14日 5日 1日

○月経周期(子宮周期) ○分泌期:排卵〜月経直前まで、子宮内膜の肥厚 (子宮腺の発達・分泌促進と粘膜固有層の浮腫) (→受精卵の着床に適した環境) (←プロゲステロン、エストロゲン)

機能層

基底層

増殖期 分泌期 月経期

28日 14日 5日 1日

グリコーゲン↑

無定形基質↑

○月経周期 ○月経期:機能層の壊死・剥離(←エストロゲン↓ 、プロゲステロン↓)

機能層

基底層

増殖期 分泌期 月経期

28日 14日 5日 1日

月経の機序 ○血管攣縮説;エストロゲンとプロゲステロン↓によるラセン動脈の間欠的な収縮 →血流阻害による機能層の虚血壊死と崩壊 ○アセチルコリン説;エストロゲンとプロゲステロン↓によるアセチルコリン↑ (コリンエステラーゼ活性↓) →動静脈吻合部弛緩→動脈血の静脈洞への流入→破綻

ラセン動脈

動静脈吻合

静脈洞

4 膣(vagina) ○位置:子宮下部にある筒、長さ約7cm ○機能:交接器、産道

後膣円蓋

前膣円蓋

直腸子宮ヒダ

膀胱子宮窩

尿道

外尿道口

膣口

深会陰横筋 浅会陰筋膜 内肛門括約筋

4 膣(vagina) ○位置:子宮下部にある筒、長さ約7cm ○機能:交接器、産道 ○組織 ○粘膜:輪状ヒダ ○筋層:平滑筋 ○外膜:疎性結合組織

膣粘膜すう

膣すう柱

4 膣(vagina) ○組織 ○粘膜:輪状ヒダ ○(非角化重層扁平)上皮:細胞質内にグリコーゲンを蓄積 *剥離した上皮は膣の内腔に(グリコーゲン)を供給 →デーデルライン桿菌が乳酸発酵(→膣内酸性化) →病原性細菌の侵入・増殖を防ぐ(膣の(自浄)作用) ○粘膜固有層:緻密な結合組織(深層では疎性結合組織) ○筋層:平滑筋 ○外膜:疎性結合組織

膣粘膜すう

膣すう柱

膣 HE染色 1.上皮(重層扁平上皮) 2. 粘膜固有層

4. 筋層 *. 静脈

膣の拡大像

1.上皮(重層扁平)

角化していない

2.粘膜固有層

3.基底膜

4.静脈

5 胎盤(placenta) ○役割:母体の血液と胎児の血液を直接混ぜることなく物質交換し、 また、内分泌器官としても働く ○(ガス交換)(肺) ○(栄養供給)(腸管) ○(老廃物排泄)(腎臓) ○(ホルモン分泌)(内分泌腺) ○胎盤の形成 :母体由来の組織と 胎児由来の組織 からできる ○構造:円盤状

5 胎盤(placenta) ○構造:基底脱落膜と絨毛膜板に 囲まれた母体血のプール に絨毛膜板からの絨毛膜絨毛が 樹状に伸び出した構造 絨毛の樹は、基底脱落膜からの 胎盤中隔で不完全に仕切られる

絨毛膜板

基底脱落膜

絨毛膜絨毛

胎盤中隔

5 胎盤(placenta) ○構造 A.絨毛膜板:胎児由来の組織、 胎児側の面は羊膜 B.絨毛膜絨毛:胎児由来の組織 C.絨毛間腔:ラセン動脈から母体血液が 流入(母体血のプール) D.基底脱落膜:母体由来の組織、 子宮内膜が肥大したもの

絨毛膜板

基底脱落膜

絨毛膜絨毛

胎盤中隔

5 胎盤(placenta) ○絨毛膜絨毛の組織構造について ○栄養膜:細胞性の膜 ○(栄養膜合胞体)細胞 ○(ラングハンス)細胞 ○基底膜 ○結合組織 :胎児血管、ホーフバウエル細胞 (=胎盤マクロファージ)

胎児血管

結合組織

栄養膜

5 胎盤(placenta) ○絨毛膜絨毛の組織構造について ○栄養膜:細胞性の膜 ○(栄養膜合胞体)細胞 :絨毛の表面を覆う合胞体性栄養膜(栄養膜合胞体層)を構成、 細胞の境界がない、妊娠末期で厚くなる、 合胞体結節(=こぶ状の突出) ○機能:胞胚着床時に子宮内膜を浸食、 (絨毛性ゴナドトロピン)(hCG)、(プロゲステロン)分泌 ○(ラングハンス)細胞 :細胞性栄養膜 (栄養膜細胞層) を構成、 妊娠末期では 少なくなる

栄養膜合胞体細胞 ラングハンス細胞

合胞体結節

妊娠黄体の維持

子宮内膜の分泌促進、浮腫状にする

5 胎盤(placenta) ☆栄養膜合胞体細胞による 胞胚着床時の子宮内膜浸食

ヒアルロニダーゼによる

栄養膜細胞層

栄養膜合胞体細胞(層)

胚盤胞腔

卵黄嚢

栄養膜細胞

中胚葉 絨毛膜

羊膜

第14日

受精後

栄養膜合胞体層

5 胎盤(placenta) ○絨毛膜絨毛の組織構造について ○結合組織 :胎児血管、 ホーフバウエル細胞 (=胎盤マクロファージ)

ホーフバウエル細胞

ラングハンス細胞 栄養膜合胞体細胞

細胞質は酸好性で空胞を持つ

明るい大きな核を持つ 暗い小さな核を持つ

5 胎盤(placenta) ○構造 ○絨毛間腔 :ラセン動脈から母体血液が流入 (母体血のプール) *絨毛の表面には所々、 (フィブリノイド)が付着する

フィブリノイド

5 胎盤(placenta) ○構造 ○基底脱落膜 :母体由来の組織、子宮内膜が肥大したもの ○緻密脱落膜(層):絨毛間腔に面した表層 ○脱落膜細胞:線維芽細胞が変化したもの ○海綿脱落膜(層):深層、子宮腺拡張

緻密脱落膜

海綿脱落膜

子宮腺

脱落膜(胎盤中隔)

5 胎盤(placenta) ○構造 ○基底脱落膜 :母体由来の組織、子宮内膜が肥大したもの ○緻密脱落膜(層):絨毛間腔に面した表層 ○脱落膜細胞:線維芽細胞が変化したもの ○海綿脱落膜(層):深層、子宮腺拡張

脱落膜

脱落膜細胞

5 胎盤(placenta) ☆母体と胎児間の物質交換は、(合胞体性)栄養膜、基底膜、 絨毛の結合組織、毛細血管壁を介して行われ、物質の移動・ 透過に対して選択性をもつ、これを血液ー胎盤関門という

(合胞体性)栄養膜

基底膜

結合組織 毛細血管壁

5 胎盤(placenta) *絨毛の形成:胚子の栄養膜が子宮内膜に侵入し、突起を伸ばすことで始まる その後、中胚葉結合組織、胎児血管が絨毛内に侵入

一次絨毛 三次絨毛

絨毛の横断面図

二次絨毛

胚盤胞腔

卵黄嚢

栄養膜細胞

中胚葉 絨毛膜

羊膜

第14日

栄養膜合胞体層

6 臍帯(umbilical cord) ○形と大きさ:1〜1.5cm径、 ○構造 ○表面:羊膜 ○内部 ○膠様組織(Wharton‘s jelly) ○臍動脈:(2)本、(静脈)血 ○臍静脈:(1)本、(動脈)血

臍帯

50〜60cm長のヒモ状

単層立方上皮

乳腺(Mammary gland) ○構成:腺房終末→導管→乳管洞→乳頭に十数本の乳管が開口 (乳腺:複合管状胞状腺) ○特徴;思春期は導管だけで妊娠すると腺房が発達 腺葉の間に脂肪組織と線維性結合組織 ○腺細胞:単層立方、分泌期に乳蛋白カゼイン(開口分泌)と 乳脂肪(アポクリン分泌)を腺腔に分泌 ○筋上皮細胞

乳管の開口

乳管洞

導管

はっきりした終末部 は認められない

実習について

子宮 サル HE染色 ○子宮内膜 ○子宮筋層 (○子宮外膜)

子宮内膜 子宮筋層

子宮 サル HE染色 ○子宮内膜 ○単層円柱上皮 ○粘膜固有層 ○子宮腺

子宮内膜

粘膜固有層

子宮腺

筋層

子宮 サル HE染色 ○子宮内膜 ○粘膜固有層 ○ラセン動脈

粘膜固有層

子宮内膜

膣 サル HE染色 粘膜ヒダ、非角化重層扁平上皮、粘膜固有層、筋層、(外膜)

粘膜固有層

筋層(平滑筋)

非角化重層扁平上皮

胎盤 ヒト HE染色

絨毛膜板

絨毛膜絨毛

羊膜

絨毛間腔

胎盤 ヒト HE染色

絨毛膜絨毛

ラングハンス細胞 栄養膜合胞体細胞 明るい大きな核を持つ 暗い小さな核を持つ

胎盤 ヒト HE染色

絨毛膜絨毛

ホーフバウエル細胞

細胞質は酸好性で空胞を持つ

胎盤 ヒト HE染色

脱落膜細胞

やや大きい細胞、明るい球形核、細胞質はややピンク色に染まる

胎盤 ヒト HE染色

フィブリノイド

胎盤 HE染色 胎生 3ヶ月

1.絨毛膜板 2.絨毛 3.絨毛間腔 4.フィブリノイド

参考

絨毛拡大像 胎生 3ヶ月 HE染色 1.栄養膜合胞体層 2.栄養膜細胞層 3.胎生結合組織 4.胎児の毛細血管 (有核赤血球) 5.母胎の赤血球

参考

参考

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