「生物多様性を探るために」~トンボの統計解析からわかったノシメトンボと生物多様性について~...

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All Analytics Championship Powered by SAS ~データサイエンス・アドベンチャー杯(2014年3月8日(土)開催) アイデア賞受賞作品

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トンボの統計解析からわかったノシメトンボと生物多様性ついて

生物多様性を探るために

北海道札幌旭丘高等学校 生物部

1年 宇久村 三世

参加理由

• データの解析方法をマスターしたいと思ったから

• 自然の仕組みを知り、見た目にはわからない 生態系の仕組みを客観的に表したいから

• 生物多様性は重要

→ 大量のデータを集めて分析し、

研究を進めていく必要がある

トンボにした理由

• 「勝ち虫」 → 兜や刀の鍔に

• 豊作をもたらす → 銅鐸に

• ことわざ や 童謡の題材に

• 不退転の決意を表す

日本人にとって身近な生物

• 一生のうちに幅広く多様な環境を利用

• 産卵場所、ヤゴや成虫の生息場所も多様

トンボにした理由

トンボが水辺の環境指標になる

• 本校生物部が行ってきた、2009~2013年の

トンボ相の定量調査の結果である

• 5~9月に月3回(年15回)の調査を5年間行った

• 石狩川下流域の沼や雨水調節池の5地点で行った

• それぞれの地点で造成後の経過年数が異なる

→ 一度に十数年の変動がわかる

• 5年間で、28種、13,584個体のトンボを採集した

所有のデータ(トンボ相の定量調査の結果)

調査結果

調査結果

• この結果は日本学生科学賞の中央審査会で発表

この変動の要因となっている種を探そう!

調査結果

所有のデータ(トンボ相の定量調査の結果)

<解析方法(JMP)>

値の大きさと変動の様子を調べる

① 多様度指数のCV・平均値を種ごとに計算

2つにグループ分け

② 自由度とt値からp値を種ごとに計算し、

全体の多様度指数との相関を調べた(p<0.05)

⇒ノシメトンボ、オオルリボシヤンマ、

クロイトトンボ、ナツアカネ に絞った

所有のデータ(トンボ相の定量調査の結果)

散布図では・・・ ノシメトンボだけ 違うグループに!

所有のデータ(トンボ相の定量調査の結果)

<解析結果>

右下・・・多様度指数の平均が高い・CVが小さい

ノシメトンボ・・・相関が最大

⇒ 高い値で小さく変動している

⇒ 全体の変動に大きく関係している

ノシメトンボの採集で

全体の多様性の変動がわかる?

<解析方法(JMP)>

① 和文表題の論文からトンボ関係の論文のみを抽出

② その論文数が全体の何%を占めるのか調べた

③ 奈良先端科学技術大学院大学(松本研究室)の

「茶筌」で、抽出した論文タイトルを単語に分割

④ ③の結果、トンボの研究に多く用いられている

テーマを調べた

⑤ 「生物多様性」「ノシメトンボ,アカネ」が題に使用さ

れている論文の発行年を結合し、経年変化を見た

JSTタイプBのデータ

<解析結果>

② トンボ研究の論文数・・・172本→約0.005%

「ノシメトンボ,アカネ」・・・11本→約0.0003%

「生物多様性」・・・257本→約0.008%

JSTタイプBのデータ

私達のような定量調査は他にない!

④ トンボ研究では、幼虫(ヤゴ)に関することが多い

JSTタイプBのデータ

⑤ 「生物多様性」「ノシメトンボ,アカネ」が

タイトルに使用された件数の経年変化

生物多様性が注目されてきて、研究も増えている

ノシメトンボの研究は、まだまだ少ない

JSTタイプBのデータ

まとめ・考察

<まとめ>

•5年間のトンボ相の定量調査

→ ノシメトンボが多様性変動に

大きく関係している

•JSTタイプBのデータ

→ トンボの研究はまだ少ない

→ ノシメトンボやアカネの研究も少ない

→ 生物多様性の研究は増えてきている

<考察>

•生物多様性は重要であり、ノシメトンボは

多様性と大きく関わっている

•今後もっとノシメトンボや生物多様性についての

研究を増やしていくべきである

まとめ・考察

参考・謝辞

<参考>

•田久浩志ほか,2006,JMPによる統計解析入門第2版

•「茶筌」:奈良先端科学技術大学院大学

情報科学研究科 自然言語処理学講座 (松本研究室)

<謝辞>

•統計解析やJMPの使用方法などを教えていただいた

北海道大学 地球環境科学研究院 の片平浩孝先生、

的確なアドバイスを下さった顧問の綿路先生、

トンボの調査に協力していただいた方々に、

改めてお礼申し上げます

アドベンチャー杯にかける意気込み

• この機会にデータの解析方法をマスターし、生物多様性などの自然の仕組みを解明したい

• 自然のためになるようなことをしたい

• 言葉で表せない、自然のことを客観的に

表したい

分析のプロセス

1. 所有のデータ(トンボ相の定量調査の結果)の分析

Shannon-Wiener の多様度指数を、

調査年・地点・種ごとに計算

多様度指数のCV・平均値を種ごとに計算

2つにグループ分け

多様度指数のp値を各種で計算し、

全体の多様度指数との相関を求める(p<0.05)

⇒ノシメトンボ、オオルリボシヤンマ、

クロイトトンボ、ナツアカネ の4種に絞った

CV・平均値の散布図でのこの4種の位置を見た

ノシメトンボだけ違うグループに!

分析のプロセス

<1のまとめ>

ノシメトンボ・・・平均値が高い・CVが小さい・

相関が最大

⇒ 高い値で少しずつ変動している

⇒ 全体の変動に大きく関係している

ノシメトンボの採集で全体の多様性の変動がわかる?

分析のプロセス

2. JSTタイプBのデータの分析

トンボ関係の論文を抽出

全体の何%なのか?

奈良先端科学技術大学院(松本研究室)の「茶筌」で

論文タイトルを単語に分割

どんなテーマがトンボの研究には多いのか?

分析のプロセス

分析のプロセス

<考察>

•生物多様性は重要であり、ノシメトンボは

多様性と大きく関わっている

•今後もっとノシメトンボや生物多様性についての

研究を増やしていくべきである

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