⽯油製品卸価格指標の現状について...rim社の価格アセスメントの特徴...

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⽯油製品卸価格指標の現状について 平成28年11⽉7⽇ 資源エネルギー庁 資源・燃料部 ⽯油流通課 資料5

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⽯油製品卸価格指標の現状について

平成28年11⽉7⽇資源エネルギー庁資源・燃料部⽯油流通課

資料5

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価格指標・スポット取引に求められる役割・期待

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①価格を発⾒・参照するニーズと、②取引のニーズという2種類の機能がある。価格指標の信頼性向上のためには、現物・先物市場の厚みを増やすことが重要。現物・先物市場ともに、利⽤者のニーズを踏まえた使いやすさの向上が求められる。

①系列卸価格交渉の参考情報 需給を適切に反映した価格指標は、元売と

販売業界の双⽅にとって⾃主的・合理的な経営判断を⾏うために不可⽋な情報インフラ

・2008年以降の市場連動⽅式・2014年以降でも、価格調整交渉の際の重要情報として使われている

②社会的厚⽣の最適化・価格指標が需給で決まる本来の価格より低いと、精製元売会社の収益を圧迫する。

・価格指標が需給で決まる本来の価格より⾼いと、消費者やSSの利益を損ねる。

元売・商社にとって販売の選択肢 商社・SSにとって仕⼊れの選択肢

• 取引の柔軟性(価格・量)のメリット• 契約取引等の契約関係と⽐べて安定性

とのトレードオフ(系列取引と⽐べて)取引相⼿の義務履⾏の信頼性(製品受渡し、⽀払)の確保が重要

価格の発⾒・参照のニーズ(価格指標) (現物)スポット取引のニーズ

経営のボラティリティの緩和・ストックの価値を固定在庫評価損の回避等

・フローの価値(売上・仕⼊・利益)を固定、将来の販売価格が固定された時の、仕⼊れ価格変動リスク回避

先物取引のニーズ

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⼀般的に海上スポット価格(元売・商社間などのタンカー単位での⼤⼝取引価格)は、陸上スポット価格(製油所・油槽所からタンクローリーで出荷される時点での⼩⼝取引価格=タンクでの貯蔵等の運営費やマージン含む)より低くなるはず(左図参照)だが、陸上スポット価格が海上スポット価格を下回る逆転現象の常態化が⾒られたことがあった。このため、価格指標としての信憑性に疑念が呈された。他⽅で、海上スポット価格が実際に⾼いとの指摘も⾒られる。いずれにせよ、各価格指標のアセスメント⼿法について、ユーザーの信頼を⼀層得ていくことが重要。

海上スポット価格と陸上スポット価格の関係

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※スポット価格データより資源エネルギー庁作成

製油所

油槽所②製油所出し

海上価格

①製油所出し陸上価格

③油槽所出し陸上価格

・本来、②海上価格<③陸上価格

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価格アセスメントの多様化の進展 本年に⼊り、欧⽶の複数の価格アセスメント会社が⽇本での⽯油製品価格調査に参⼊。(P.6参照)

①主に相対取引から情報⼊⼿する社、②市場型取引をベースとする社によって、価格情報⼊⼿⽅法に価格アセスメント会社による多様化が進展。

相対取引(カスタマイズ可能)

市場型取引(規格化された取引)(含む、コンピュータ取引マッチング)

例 ・流通事業者間の個別取引・東京商品取引所(TOCOM)の⽴会外取引

・TOCOM・JCRME(Japan Commodity Risk Management Exchange)社のTT(OIL SPOT Market Transfer to TOCOM)(本年7⽉開始)

・JOX(J-oil exchange)・Platts Window(本年4⽉〜海上取引、本年中に陸上取引も開始予定)

契約条件 売り⼿・買い⼿の相対交渉により決定するため、カスタマイズが可能

標準化・規格化されており、擦り合わせの⼿間を省⼒化できる。また、価格を⽐較しやすい。

取引の相⼿⽅ 特定された相⼿⽅ 不特定の相⼿⽅

価格アセスメント会社 Rim

・TOCOM(TOCOMの現物市場)・OPIS(Oil Price Information Service)(JOX市場、TT市場)

・Platts(Platts window)・Rim(JOX市場、TT市場)

取引市場相対取引

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Rim社の価格アセスメントの特徴

リム ローリーラックのアセスメント

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Web上でのリアルタイム取引情報公開

リム ローリーラックのマーケット・コメンタリー

リム情報開発(Rim社)は内外原油から⽯油製品を対象とし、各油種のスポット市場に焦点を当て、需給状況、取引詳細を発信。会員購読企業数は延べ2,000社。

独⾃の取材に基づき取得した⽯油製品などエネルギー情報を、編集⽅針に沿って精査し相場を表⽰。

国内外リアルタイム取引情報「売り」「買い」唱えならびに「成約」情報を掲載。

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Platts社の価格アセスメントの特徴 Platts社(S&P Global Platts社)は、世界19カ所に展開する世界的な価格アセスメント会社。

Platts Window上であらかじめ決められた時間帯に成⽴した実名の取引をベースにアセスメントを⾏うことにより、信頼性を担保。現在、3カ所(京浜・中京・阪神)の受渡しを前提としたマッチング市場を提供。

Platts WindowはICEのeWindowのシステムを導⼊しており、⾼速化、短時間での⼤量なデータ処理が可能。

PlattsのeWindowシステムの画⾯

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TT市場( JCRME社)とOPIS社の価格アセスメントの特徴 TT市場の特徴:匿名の取引。標準化された製品(現物)を売買。現在、2カ所(京浜・阪神)の受渡しを

前提としたマッチング市場を提供。OPIS社がその⽇の取引価格を集計して公表。

個別にカスタマイズした相対取引も、別途ノン・スタンダード市場として提供。

カウンターパーティリスクを遮断するため、TOCOMの取引業者(現在6社)が仲介⼈として関与。

なお、OPISは⽶国で数千もの卸価格をデータベース化したラック価格調査を実施。現在では、30,000以上のラック価格を毎⽇公表。⽶国⻄海岸などで重要なベンチマークとなっている。

OPIS社の価格レポートの例

TT陸上ガソリン

発注Lot数 成約Lot数

合計 3,838 174

TT陸上灯油

発注Lot数 成約Lot数

合計 2,065 47

TT⽯油取引 取引状況【陸上】発注、成約状況 期間:2016/7/27~9/30

TT市場の決済スキーム※成約はスクリーン上で通知されるが、参加者及び商品取引業者につい

ては、⾮公開。

TT市場のインターネット上の取引画⾯

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(取引単位(1Lot)は10㎘)

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価格指標の構築に向けた各社の取組 本年に⼊り、①欧⽶の複数の価格アセスメント会社が⽇本での⽯油製品価格調査に参⼊する動きや、②⽇本

の価格アセスメント会社がIOSCO(証券監督者国際機構)のPRA(Price Reporting Agency)原則遵守の報告書を開⽰する等の動きが⾒られるようになった。また、③TOCOMも新たな商品市場開設の⽅向性を発表。

こうして始まった複数の卸価格指標間での競争が今後活性化され、市場参加者の信頼を得られるよう、改善が重ねられることが重要。更なる信頼性向上のために求められることは何か。

⽇時 各社の動向2016年3⽉3⽇・10⽇ Rim社が海上スポット価格レポートのアセスメント・メソドロジーの説明会を開催

2016年3⽉10⽇ TOCOMが⽯油製品のスポット価格を参照する新たな商品市場開設(より期近の取引まで対象となる差⾦決済型の市場開設)の検討着⼿について発表

2016年4⽉ 7⽇ Rim社がIOSCOが定めるPRA原則遵守に係る第三者による検証結果を公表

2016年4⽉12⽇・13⽇ Platts社が海上スポット価格調査⼿法に関するユーザ向け説明会を開催。4⽉中に海上スポット価格調査、2016年内に陸上スポット価格調査を開始する⽅向性を公表

2016年4⽉18⽇・21⽇ Rim社が陸上スポット価格レポートのアセスメント・メソドロジーの説明会を開催(また、陸上アセスメントメソドロジーの意⾒交換会を8⽉9⽇に⼤阪で、9⽉15⽇に東京で開催)

2016年4⽉25⽇ Platts社が海上スポット価格の調査・公表を開始2016年4⽉26⽇ OPIS社が海上スポット価格の試⾏的な調査・公表を開始

2016年7⽉27⽇ JCRME社がクリアリング機能を利⽤した現物スポット市場(TT市場)を開設

2016年9⽉13⽇ Platts社が12⽉から陸上スポット価格の調査を開始することを発表

2016年10⽉11⽇ JCRME社がTT市場の流動性確保や利便性を⾼めるための意⾒交換会を開催

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論点6 取引に係る価格指標の整備について

・ 適正な卸価格指標は⽯油業界及び消費者の双⽅の便益に資する。需給を反映した卸価格指標の更なる信頼性向上が必要ではないか。

(価格指標に求められる役割・期待) 国内需給を適切に反映した卸価格指標は、元売、SS業界及び消費者にとってどのような機能が求め

られているか。(社会的厚⽣の最適化、⾃主的・合理的な経営判断を⾏うために不可⽋な情報インフラ等)

(価格指標の更なる信頼性向上) 価格指標の信頼性向上のために、①国内外の多様な価格調査機関(PRA)同⼠の競争活性化

と改善のサイクルの構築、 ②価格調査機関によるIOSCO(証券監督者国際機構)の「PRA原則」の遵守徹底が必要ではないか。

(現物・先物スポット市場の流動性改善) 価格指標の信頼性向上のために現物・先物スポット市場の厚みを増やすには、どのような⼿法が考え

られるか。 先物市場を活⽤することにより顧客のニーズに応える・⾃⾝の経営のボラティリティを緩和する等の新た

なビジネスモデルは、どのような⽅法があるか。

第1回資料から再掲