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TRANSCRIPT
長寿命化に向け
ての橋梁の
点検と維持管理の課題
熊本大学大学院自然科学研究科
山尾
敏孝
2013
.9.1
920
13年
度
一般社団法人
熊本県測量設計コンサルタンツ協会主催
第10回
技術
発表
会お
話の内容
1 橋
梁の
劣化
によ
る損
傷
2 橋
梁点
検の
概要
3 点
検と
維持
管理
の留
意事
項4 橋
梁の
点検
と補
修の
事例
5点
検と
維持
管理
の課
題
・荷
重全
体に占
める変
動荷
重の割
合が
大きく、疲
労の
影響
を受
けや
すい。
・塗
装や
被膜
が劣
化した場合
には
腐食
の影
響を受
けや
すい
1)疲
労損
傷2)腐
食損
傷3)高
力ボル
トの
遅れ
破壊
や摩
耗4)地
震や
洪水や
火災、車両
の衝
突などの突
発的
な損
傷
鋼橋
の劣
化要
因と損
傷事
例
1鋼橋の劣化による損傷
橋長
:約20m
2径間単純トラス橋
供用
開始:1950年頃
落橋
:2007年11月
香川
県と徳
島県
の県
境(大
影谷
川)
民家
1軒
と国
道を繋
ぐ橋
梁
(a) 鋼
橋の
致命
的損
傷事
例
福岡
県橋
長:
89.90
m幅
員:
15.70
m径
間数
:3径
間完
成年
:昭
和5年
,昭
和49年
(b) コ
ンクリート橋
の致
命的
損傷
事例
鋼橋
の疲
労損
傷
部材
に繰
り返
し荷
重が
作用
すると、作
用する荷
重が
小さくとも静的
荷重
による破
壊とは
違った状
況を示
し、
部材
の局
所に微
細なき裂
が発
生し、さらに繰
り返
すとき裂
が進
行し破
壊に至
る。
*繰
り返
し作
用する応
力の
振幅
と変
動範
囲*
繰り返
し回
数*
部材
の形
状および残
留応
力の
状態
疲労
寿命
:疲
労で破
壊するまでの
荷重
の繰
り返
し回
数
(a)疲
労損
傷の
要因
き裂
による破
断:
脆性
破壊
と延
性破
壊鋼
は亀
裂が
生じても十
分なじん性
を有
する
微細
な亀
裂発
生即
,破
壊に至
らず
応力
範囲
と疲
労寿
命の
関係疲
労限
度
時間
強度
:
繰り返
し回
数を決
めると、
これ
に対
して破
壊しない
応力
または
応力
範囲
が決
まる値
疲労
限度
:何
回繰
り返
し応
力を与
えても破
壊しな
い応
力
疲労
強度
:疲
労限
度+
時間
強度
S-N線
図
(1)プ
レートガーダー橋
(I桁
橋)
(b)橋
梁形
式別
の疲
労損
傷事
例
(2)トラス橋
図2.7
トラス橋
の床
組部
材の
損傷
事例
トラス斜
材の
渦励
振によ
る疲
労損
傷事
例き裂
塗装
除去
後
主構
:ピン結
合トラスの
アイバ
ー破
断
端横
桁と縦
桁の
交差
部:縦
桁フランジの位
置の
端横
桁ウェブ内
に生
じるき裂
主構
と床
組の
剛性
の違
いにより生
じる部
材間
の相
対的
な挙
動
(3)ア
ーチ橋
上路
アーチ橋
では
、疲
労損
傷は
支柱
の上
下端
の接
合部付
近に
集中
。これ
は桁
が橋
軸方
向に移
動しや
すい構
造となっており、
アーチリブと補
剛桁
の橋
軸方
向の相
対的
な変位
差により発生
(a)損
傷図
横桁
端部の亀
裂も
しくは
ガセット部
の腐食
高力
ボル
ト,リベット継
ぎ手
部の
緩み
,脱
落,
及び腐
食
支柱
(垂直
材)取
付けガセット溶
接部
のき裂
アーチリブの
変形
によ
るクラウン付
近の
き裂
き裂
アーチリブ
補剛
げた
き裂
垂直
材 (b)支
柱上
下端
部
(4)鋼
床版
鋼床
版の
疲労
損傷
部位
①デッキプレートと閉断
面リブの
溶接
部③
デッキプレートと垂直
補剛
材の
溶接
部⑤
コーナープレートの溶
接部
⑥閉
断面
リブの
高力ボ
ルト継
手部
①
③
②
①
⑤⑥
④
⑦④ ④
④⑦
⑦
⑦横
リブ・横
桁の
高力
ボル
ト継
手部
④縦
リブと横
リブの交
差部
②閉
断面
リブの
突合わ
せ溶
接部
道路
標識
の疲
労き裂
鋼製
ラーメン橋
脚の
疲労
き裂
損傷
(a)箱
型鋼
製橋
脚(b
)き裂
写真
(5)そ
の他
の構
造物
の疲
労損
傷
腐食
と損
傷事
例
水滴下での鉄さびは、鋼材表面に形
成される水の層と大気か
らの
酸素
が腐
食反
応により生
成
属結
合状
態にある鉄
がイオン化
して水
和する反応
(アノード反
応)
リング状
のさびが
発生
(1)塗
膜の
ない場
合
(a)鋼
材の
腐食
とメカニズム
細孔
部の
腐食
進行
に伴
う膨
れの
形成
(2)塗
膜が
ある場
合
塗装
は、塗
膜により金
属表
面へ
の腐
食性
物質
の到
達を遮
断すること
により鋼
材の
さびを防
止する技
術
右図
に示
すように、塗膜
に細孔
の欠
陥が
あると金
属表
面の
微小部
分が
露出し、そ
の細
孔部
でさびが
発生
大気
中の
腐食
への
影響
因子
・湿
度,温
度,降
雨量
,日
照,汚
染物
質(海
塩粒
子,亜
硫酸
ガス等
)等
腐食
速度
が決
定
・さびは
水と酸
素の
存在
で発
生.湿
度は
腐食
の直
接的
要因
で影
響は
大
・大
気中
の海
塩粒
子は
空気
中に飛
散する海
水の
微粒
子で,風
により運
ばれ
て鋼
材に付
着
不動
態被
膜を破
壊し,腐
食を促
進
・亜
硫酸
ガスは
大気
中の
酸素
および水
と反
応
硫酸
,劣
化促
進剤
に変
化
(b)腐
食の
影響
因子
致命
的損
傷(落
橋や
第3
者被
害に
直結
する
損傷
)に
至る
鋼橋
部材
の腐
食は
鋼橋
の発
生部
位や進
行状
態
機能
に重
大な影
響
腐食
発生
部材
断面
減少
強度
や剛
性の
低下
繰返
し応
力の
作用
疲労
破壊
が早
まり・進
行加
速
(c)腐
食の
影響
(d)鋼
材の
腐食
と維
持管
理
道路
橋の
架替
え理
由の
調査
結果
と上
部構
造の損
傷
架替
え理
由(1691橋
)上
部構
造の
損傷
(鋼
橋69橋)
鋼材
の腐
食51%
床版
の損
傷48%
その
他1%
上部
構造
の損
傷17%
下部
構造
の損
傷3%
耐荷
力不
足12%
耐震
対策
3%
改良
工事
(道
路線
形,河
川改
修,都
市計
画)
40%
その
他6%
機能
上の
問題
(幅
員狭
小,交
通容
量)19%
(e)腐
食の
損傷
事例
・桁
端部
の支
承部
付近
の伸
縮装
置(桁
の変
形吸
収、路
面の
連続
性保
持)
装置
の排
水機
能が
不十
分な場
合
部位
から雨
水等
が漏
水し腐
食が
発生
一般
的に、滞
水や
塵埃
が堆
積しや
すく
通気
性が
よくない狭
隘な箇
所で発
生
(1)プ
レートガーダー橋
内の
腐食
(a)主
桁,対
傾構
,横
構の
全面
腐食
(b)主
桁下
フランジ上
面の
腐食
(d) 桁
端部
の腐
食(c
)横桁
ウェブの
局部
腐食
による断
面欠
損
・構
造的
に雨
水が
集水
し、漏
水しや
すい部
位で腐
食発
生
・下
路式
のトラス橋
やアーチ橋
では
垂直
材や
斜材
等が
床版
を貫
通する部
位
滞水
や塵
埃の
堆積
により常
時湿
潤状
態
局部
腐食
が進
行して破
断
(2)トラス橋
・アーチ橋
の腐
食の
事例
トラス斜
材の
床版
貫通
部の
局部腐
食
(3)そ
の他
の腐
食損
傷
床版
コンクリートの
打継
部やひび割
れ発
生部か
らの漏
水
→床
版内
の雨
水にアル
カリ成
分有
,滞
水→アル
カリに弱
い塗
装系
では
塗膜
が早
期に劣
化→腐
食発
生
鋼桁
上部
や箱
桁内
部の腐
食
(a)高
力ボル
トの
遅れ
破壊
と破
壊事
例遅
れ破
壊は
静的
な荷
重が
継続
的に加
えられ
ている状
態で、ある時
間経
過し
た後
に見
かけは
ほとんど変
形すること
なくして突
然脆
性破
壊を生
じる現
象
原因
は、水
素脆
化による割
れと応
力腐
食による割
れなど
遅れ
破壊
の発
生位
置不
完全
ネジ部
からの
破断
ナットの
かか
り部
が多
くボル
トの
首下
部・
不完
全ネジ部
遅れ
破壊
の非
破壊
検査
法1)手
動たたき点
検、2)超
音波探
傷法
高力
ボル
トの
遅れ
破壊
その
他の
損傷
事例
★国
土交
通省
の「橋
梁定
期点
検要領
(平
成16年
3月
)」を参
考に,
熊本
県として実
施・継
続可
能な内
容とする
《《コスト縮
減,内
容の
簡素化
を図
る》》
★点
検結
果は
デジタル化
する事
とし,マネジメントに利
用しや
すい
結果
が得
られ
る内
容とする
①損
傷の
進み
具合
が表
現できる
②損
傷の
ひろが
り(局
部的
:全体的
)が表
現できる
★点
検の
主目
的を以
下の
2点
とする
①重
大な損
傷の
発見
②各
種マネジメントの
ための
データ蓄
積
県の
橋梁
点検
マニュアル
の基
本方
針
2橋梁点検の概要
(1)点
検の
主目
的
背景
目的急
速に
高齢化
が進
む管
理橋
梁に
対し
て,
従来
の事
後保
全型
の維
持管
理を
継続
した
場合
,維
持管
理コ
スト
が膨
大と
なり
,安
全性
・信
頼性
の確
保の
ため
の適
切な
維持
管理
を続
ける
こと
が困
難と
なる
恐れ
があ
る
今後
老朽
化す
る熊
本県
内の
道路
橋の
急速
な増
大に
対応
する
ため
,従
来の
対処
療法
的な
修繕
およ
び架
替え
から
予防
的な
修繕
およ
び長
寿命
化修
繕計
画に
基づ
く架
替え
へと
円滑
な政
策転
換を
図る
橋梁
の長
寿命
化並
びに
橋梁
の修
繕・
架替
えに
係わ
る費
用の
縮減
を図
りつ
つ,
地域
の道
路網
の安
全性
・信
頼性
を確
保す
るこ
とを
目的
(2)橋
梁の
長寿
命化
の計
画の
背景
と目
的(2
)橋梁
の長
寿命
化の
計画
の背
景と目
的
•『点
検』
損
傷の
進み
具合
のみ
を評
価して記録
•『診
断』
点
検結
果をもとにして,部
材の
健全
性や
主要
な損
傷に対
す
る所
見・処
方,対
策案
などを記
載
必
要な措
置を示
唆する成
果
(損
傷の
進み
具合
のみ
を評
価する損
傷度
を補完
)
損
傷の
種類
や状
態,部
材の
重要
度,損
傷の
進行
状況
など
を総
合的
に判
断
点検
の作
業内
容
(1)『点
検』と『診
断』で構
成•損
傷の
種類
国
交省
に準
拠(26種
類)
•損
傷の
評価
損
傷は
,単
純に損
傷の
進行
状況
のみ
を評価
し,
損傷
度(A~
E)として表
現する
〔国
交省
における『損
傷の
程度
』と同
等〕
損傷
度概
念一
般的
状況
A〔良
好〕
損傷
が特に認
められ
ない
B〔ほ
ぼ良
好〕
損傷
が小
さい
C〔軽
度〕
損傷
がある
D〔顕
著〕
損傷
が大
きい
E〔深
刻〕
損傷
が非
常に大
きい
(2)点
検内
容について
材料
番号
損傷の種類
国交省
熊本県
天草市
熊本市
宇城市
鋼
01
腐食
○(5
)○
(5)
○(5
)○
(5)
○(5
)02
亀裂
○(3
)○
(3)
○○
(3)
03
ゆるみ・脱落
○(3
)○
(3)
○○
(3)
04
破断
○○
○○
05
防食機能の劣化
○(3~
4)○
(3)
○(3
)
コンク
リート
06
ひびわれ
○(5
)○
(5)
○(5
)○
(5)
○(5
)07
剥離・鉄筋露出
○(4
)○
(3)
○○
(3)
○(3
)08
漏水・遊離石灰
○(4
)○
(3)
○(5
)○
(3)
○(3
)09
抜け落ち
○○
○○
10
コンクリート補強材の損傷
○(3
)○
(3)
○(3
)11
床版ひびわれ
○(5
)○
(5)
○(5
)○
(5)
○(5
)12
うき
○○
その他
13
遊間の異常
○(3
)○
(3)
14
路面の凸凹
○(3
)○
(3)
○○
(3)
15
舗装の異常
○○
○
16
支承の機能障害
○○
○○
17
その他
○○
共通
18
定着部の異常
○(3
)○
(3)
○○
(3)
19
変色・劣化
○○
20
漏水・滞水
○○
21
異常な音・振動
○○
○
22
異常なたわみ
○○
○
23
変形・欠損
○(3
)○
(3)
24
土砂詰り
○○
25
沈下・移動・傾斜
○○
○
26
洗掘
○(3
)○
(3)
○○
(3)
損傷の種類の合計
26
19
13
526
損傷
の種
類と評
価区
分類
の比
較例
局部
的に
D等
級(
顕著
)
腐食【B:90%,D:10%】
と記録される状況の例
全体
的に
はB
等級
(ほ
ぼ良
好)
【B
等級
の一
般的
な状
況】
錆は
表面
的で
あり
、著
しい
板厚
の減
少は
視認
でき
ない
【D
等級
の一
般的
状況
】
鋼材
表面
に著
しい
膨張
が生
じて
いる
か、
また
は明
らか
な板
厚減
少が
視認
でき
るが
、損
傷箇
所の
面積
は小
さく
局部
的で
ある
損傷
のイメージ
(3)点
検の
判定
基準
(健
全度
)について
国土
交通
省:
(下
表)
損傷
状況
を把
握したうえで,構造
上の
部材区
分あるいは
部位
毎,損
傷種
類毎
の対
策区
分で判
定区
分による判
定
対策
区分
の判
定区
分
判定
区分
判定
の内
容
A損
傷が
認め
られ
ない
か,
損傷
が軽
微で
補修
を行
う必
要が
ない
B状
況に
応じ
て補
修を
行う
必要
があ
る
C速
やか
に補
修な
どを
行う
必要
があ
る
E1
橋梁
構造
の安
全性
の観
点か
ら,
緊急
対応
の必
要が
ある
E2
その
他,
緊急
対応
の必
要が
ある
M維
持工
事で
対応
する
必要
があ
る
S詳
細調
査の
必要
があ
る
(4)点
検の
判定
基準
(健
全度
)について
熊本
県:
・健
全度
は,点
検結
果(損
傷度
区分
の評
価結
果)を基
にして,
全く損
傷が
なく健
全な状
態を《健全
度=
100》
健全
度(H
I)=
100 -
損傷
評価
点(D
G)
ここに,
HI:
Hea
lth In
dex ,
DG:D
amag
e G
rade
・健
全性
の評
価単
位は
,橋梁
/径
間/工
種/
部材の
いずれ
も可
能,橋
梁単
位の
評価
は各
径間
の低評
価を採
用
熊本
市:
熊本
県の
マニュアル
に準
拠.健
全度
は表
10の
評価
(5)予
防保
全と維
持補
修
大切
な資
産で
ある
道路
スト
ック
を長
く大
事に
保全
し,
安全
で安
心な
道路サ
ービ
スの
提供
やラ
イフ
サイ
クル
コス
トの
縮減
等を
図る
ため,
定期
的な
点検
によ
り,
早期
に損
傷を
発見
し,
事故
や架
け替え
,大
規模
な修
繕に
至る
前に
適切
な対
策を
実施
(a)
効果
(b)
劣化
曲線
とライフサ
イクル
コスト縮
減
ケー
ス1;
予防保
全型
の補
修ケ
ース
2;
事後
保全
型の
補修
(c)コスト縮
減効
果
予防保全を基本とした長寿命化修繕計画の実施により,従来
の事後保全的な管理と比較し大幅なコスト縮減が可能となる。
コス
ト縮
減効果
の比
較
標準
的な
橋梁
(橋
長36mの
単純
鋼板
桁)
の点
検結
果を
基に
して
試算
した
結果
1)事
後保
全型
の事
業費
(部
材取
替え
が必
要に
なっ
た時
点で
補修
を実
施し
た場
合)
50
年間
の総
費用
は約
3.0 億
円と
なる
2)予
防保
全型
の事
業費
(致
命的
な損
傷を
受け
る前
に適
切な
対策
を実
施し
た場
合)
50
年間
の総
費用
は約
1.6億
円と
なる
3)コ
スト
縮減
効果
は5
0年
間で
3.0-1.6=
1.4億
円と
なる
Q 点
検結
果か
ら補
修技
術の
選択
する
場合
の留
意点
は?
防食機能の低下
鋼I桁橋・鋼箱桁橋
主桁
(桁端部)
鋼箱桁橋
主桁
(桁内部)
鋼トラス橋
斜材・鉛直材
鋼橋全般
連結部
(ボルト・リベット継手
)
ゆるみ
・脱
落鋼
橋全
般連
結部
(ボ
ルト継
手)
床版の疲労
鋼橋
全般
RC
床版
(下
面)
鋼橋
全般
RC
床版
(橋
面)
鋼橋の損傷内容と部位と補修
(a)損
傷内
容
補修
にあ
たって
は,
損傷
内容
,損
傷部
位お
よび
損傷
によ
る劣
化が
どの
ように
進行
する
かを
十分
把握
して
おく
必要
があ
る.
3点検と維持管理の留意事項
種別
構造
形式
致命
的損
傷に
よる
影響
構造
上重
要な
部位
部材
【鋼橋】
■H桁
■I桁
■箱
桁■
トラ
ス桁
■RC・PC床版
・ ・ ・【コンクリート橋】
■ボックスカル
バー
ト■
プレ
キャ
スト
床版
橋(RC,PCプレテン)
■T桁橋(RC,PC)
H桁
落橋
通行
止め
第3
者被
害
主桁
(H桁
)横桁(支点部,中間部)
床版デッキプレート
I桁落
橋通
行止
め第
3者
被害
主桁ウェブ(補剛材含む)
主桁下フランジ(補剛材含む)
横桁・(支点部)
対傾構・横構(ガゼット含む)
箱桁
落橋
通行
止め
第3
者被
害
主桁ウェブ(補剛材含む)
主桁下フランジ(縦リブ含む)
主桁上フランジ
(箱桁内部,縦リブ含む)
ダイヤフラム
横リブ(箱桁内部)
トラ
ス桁
落橋
通行
止め
第3
者被
害
上,下弦材
斜材,端柱(ガセット含む)
垂直材
床桁
上,下横構(ガゼット含む)
縦桁
橋門構
RC・
PC床版
通行
止め
第三者被害
RC・
PC床
版(
張出し
部含
む)
(b)構
造上
の重
要な部
位・部
材の
致命
的損
傷
重要
部位
:桁
端部
致命
的損
傷:防
食機
能低
下損
傷による影響
:落橋
,通
行止
重要
部材
:コンクリート床
版致
命的
損傷
:材
料・疲労
劣化
損傷
による影
響:通
行止
,第
3者
被害
(c)腐
食マップ
(1)プ
レートガーダー橋
(2)プ
レートガーダー橋
排水装置の
泥の堆積
,伸
縮継
手本体
の発
錆・腐
食
床版
損傷
部の
漏水
による主
桁,
対傾
構,横
構の
発錆
・腐
食
端対
傾構,端横桁
部材
の発錆・腐
食
支承
部の
発錆
・腐
食,支
承機
能の
劣化,泥・ゴミの堆積
高力
ボルト,リベット継手部
の塗
膜の
劣化
発錆
・腐
食
桁端
部の
上・下
フランジ,ウェ
ブ,端
補剛
材の
発錆
・腐
食
鋼I桁
橋における重
要点
検部
位
(4)ラ
ンガー桁
橋
高力
ボルト継手部の
内部
における発
錆・腐食
コンクリート埋込み
部材
の発錆・腐
食
高力
ボルト,リベット継手部
の塗
膜の劣化
発錆・腐食
床版
損傷
部か
らの
漏水
による補
剛桁
,床
組部材の
発錆・腐食
路面
からの雨水,泥の跳ね返り
による補
剛桁,格点部の
腐食
支承
部の発錆
・腐食,支承機
能の
劣化,泥・ゴミの堆積
伸縮継手本
体の発錆・腐食,
端対
傾構
,端横桁
部材の発
錆,腐
食
下路
アーチ橋
におけ
る重
要点
検部
位
滞水
しや
すい部材の水
平面
における発
錆・腐食
ひび割
れ損
傷
(d) 損
傷の
劣化
過程
・経
時性
イメージ
※目視検点で経時性を把握困難な場合,瞬時に致命的損傷に至る
劣化
過程
健全
期部
位・部
材は
健全
であり,
性能
上の
問題
が無
い状態
損傷進展期
損傷
が発
生しているが
,性
能上
の問
題が
無い状態
損傷加速期
損傷
が進
行し,性
能低
下している状
態
機能劣化期
著しい損
傷により,性
能低
下が
大きく,
安全
性が
低下
している状態
機能不全
交換期
損傷
が著
しく,使
用限
界を超
え,安
全性
も消
失しているため,
優先
対策
or使
用制
限する必
要が
ある状
態
○
(1)鋼
トラス橋
斜材
・鉛直
材【防
食機
能低
下】
(2)鋼
橋全
般連
結部
ボルト継
手【防
食機
能低
下】
ポッ
トホ
ール
床版
下面
の状
態
床版
下面
の状
態
床版
下面
の状
態
(3)鋼
橋全
般RC床
版の
橋面
【床
版の
疲労
】各劣化過程に対する維持管理シナリオ
劣化過
程想
定する維
持管
理シナリオ
健全
期特にシナリオではなく,日常的に心がけるべき事項
や,
建設
時のわずかな配
慮で長
寿命
化可
能となる事
項を記
載.
損傷進展期
健全
期~
損傷
進展
期で予
防保
全的
に維
持・補
修対
策を行
なう予
防保
全型
シナリオに準
じる場
合を想
定して
対策
例を記
載.
損傷加速期
損傷
により機
能低
下した段
階で
事後
保全
的に維
持・補
修対
策を行
なう,事
後保
全型
シナリオに準じる場合
を想
定して対
策例
を記
載.
機能劣化期
健全
性を回
復するには
取替
え等
の
大規模な維持・補修対策
が必
要が
あるため,
更新
型シナリオに準
じる場
合を想
定して対
策例
を記
載.
機能不全
交換期
使用
限界を超
えるだけでなく,安
全性も失
われ
ているため,
最優先対策
,使用制限
する必
要が
ある状
態の
対策
例を記
載.
(a)損
傷の経
時性
に着
目した維
持管
理
×一時点の点検データに基づき,
供用
期間
の健
全性
を評
価・判
定
○定
期点
検や補
修・補
強履
歴に基
づき,
構造上重要な部材・部位の
損傷の経時性(経年変化)を把握
点検周期,補修・補強の時期や方法などを適切な決定
橋梁
管理
者は今
後も勉
強が必
要
安全
で効
率的
な維
持管
理の実
現
(a)ASRの
事例
(b)塩
害の
事例
損傷
要因
ごとの
事例
4橋梁の点検と補修の事例
構造
形式
ごとの
事例
(c)ラーメン橋
の事
例(d)トラス橋
の事
例(e)アーチ橋
の事
例
(熊
本県
から資
料提
供)
(a)ASRの事
例
昭
和50
年架
設、橋
長16m
A
1橋台
はコンクリートを表
面に打ち足して補修しているが、それが
再度
アル
カリ骨
材反
応により劣
化している。特
に上
半分
とウイング
部。
A
2橋台
は前
面にアル
カリ骨
材反
応によると思
われ
る1~
2㎝程
度の
大きなひびわ
れが
あり、錆
汁も見られ
る
鋼
桁の
塗装
劣化
がひどく、腐
食も見
られ
る。
伸
縮装
置はない(エラスタイトの上にオーバーレイ)。
A
1側支
承は
補修
により埋
没し機
能を有
せず。
A2側
沓座
が欠
損。
地
覆も全
面に重
大なひびわ
れが
多数
あり、鉄
筋露
出も見
られ
るため
、今
回評
価対
象とした(アル
骨以
外に火
山性
ガスによる劣
化の
可能
性あり)。
橋
名板
が取
り外
されていてない(竣
工年
月だけある)。
(a)ASRの事
例(1)点
検結
果
(2)診
断結
果
ひび割
れ補
修工(注
入、充
填)
ひび割
れ補
修工(注
入、充
填)
(a)ASRの事
例(b)塩
害の事
例
本橋は昭和48
年に竣
工したPC
橋、36
年が経過している感潮区
間の橋梁である。
高欄に被り不足による鉄筋露出、欠損が見受けられた。
主桁下面に被り不足による鉄筋露出、剥離、遊離石灰が見受
けられ
た。A1橋
台被覆材のひび割
れが見受けられた。詳細調
査が必要。
A2橋
台に温度変形、乾燥収縮と思
われる0.2~0.8mmのひび
割れ
が見
受けられ
た。
(b)塩
害の事
例(1)点
検結果
(2)診
断結果
表面
保護
工
断面
修復
工
(b)塩
害の事
例
橋梁
諸元
正面
側面
(c)PC2径間Tラーメン橋の事例
主な変
状
床版
(張出
端部
):ひび割
れ、遊
離石
灰
水切
り:剥
離・鉄
筋露
出橋
座:土
砂堆
積
主桁
(箱
桁内
):糞
堆積
(c)PC2径間Tラーメン橋の事例
正面
側面
橋梁
諸元
(d)鋼2径連続トラス橋の事例
主な変
状
主構
:防
食機
能の
劣化
主構
:腐食
床版
:補
強鋼
板の
劣化
床版
:剥
離・鉄
筋露
出
支承
:腐
食
(d)鋼2径連続トラス橋の事例
補修
前
補修
後
塗替え塗装
水切
り材設置
断面
修復工
塗替え塗装
防護
柵・伸
縮取替え
橋面
防水工
塗替
え塗装
(d)鋼2径間連続トラスの事例
(e)鋼アーチ橋の事例
(a)点
検・
点検
員の技
術力
にバ
ラツ
キが
あり
、構
造や
劣化
要因
等の
知見
不足等
があ
る。
・損
傷・
劣化
の見
落と
し、
劣化
要因
の取
違い
・自
治体
職員
に橋
梁の
専門
技術
者が
不足
・長
寿命
化計
画策
定(橋
梁点
検も含
む)に対
する予
算不
足
対策
:点
検技
術研
修を実
施し、橋
梁点
検の
精度
向上
橋梁
に関
する
専門
知識
のア
ップ
損傷
の発
生要
因と
経時
変化
を推
定・
正確
把握
健全
度評
価法
と優
先度
の決
定構
造体
健全
度と
道路
の安
全性
の健
全度
の区
別橋
梁の劣
化度
の予
測腐
食,中
性化
,塩
害,ア
ル骨
これまでの点
検結
果、聞
き取
り調
査やアンケート調
査から判
明し
た点検、維持補修に関する問題点や課題をまとめた。
5 点
検と
維持
管理
の課
題(b)補
修設
計・
設計
基準類
の未
整備
、業
務委
託歩
掛の
未整
備・
古い
橋梁は
、図
面等
のデ
ータ
が無
く、
補修
設計
時に
苦労
・調
査法
及び
頻度
のバ
ラツ
キ(
安価
及び
適数
か)
・補
修設
計レ
ベル
のバ
ラツ
キ(
費用
や構
造、
耐用
年数
など
から
設計
の妥
当性
)・
補修
材料や
補修
工法
が多
種多
様で
ある
ため
、材
料選
定や
工法
選定に
判断
を迷
う・
現場
(施
工会
社)任
せの
設計
(現
場で
施行
でき
ない
図面
)
対策
:設
計歩
掛や
工事
の標
準歩
掛の
整備
が必
要補
修補
強の
設計
事例
等の
研修
が必
要橋
梁管
理についての
管理
方針
が明
確でない
予算
の確
保と危
機管
理に対
する意
識の
向上
道路
管理
費の
平準
化や
コス
ト縮
減に
向け
た取
組み
.特
に15m未
満の
橋梁
自治
体の
予算
に対
応し
た管
理体
制,観
察保
全等
(c)補
修工
事・
積算
基準
(歩掛
)が不
十分
のた
め、
発注
時、
時間
と労
力を
要す
る・
品質
規格・
施工
品質
管理
の未
整備
であ
る
対策
:工
事の
実施
事例
の収
集と
技術
研修
(d)そ
の他
・「
点検→調
査→設
計→工
事→点
検」
を持
続的
に記
録・
利活
用す
るシ
ステ
ム・
今後
、橋
梁以
外の
舗装
等の
土木
構造
物に関
しても、点
検,更
新の
時期
を迎
えるの
で、維
持費
の増
大が
予想
される
対策
:継
続的
に改
善で
きる
橋梁
管理
体制
の構
築自
治体
OBの
ノウハ
ウ活
用,その
運営
組織
づくり
地域
住民
との
連携
二次
・詳
細点
検における大
学等
研究
機関
の活
用
橋梁
技術
者に求
められ
るもの
橋梁の維持管理・更新に携わるには
・設計にかかわる方は,道路橋示方書に書かれている内容の
把握が最低必要.
・大卒だけでなく,大学院レベルの鋼構造知識が必要であり,
かつ現場経験が要求される.
・今後は新設より既存の橋梁維持管理に関する仕事が増える.
・点検結果から部材ごとの劣化予測モデルの構築,的確な補
修技
術の
選択
(構
造,
設計
・建
設手
法,
整備
履歴
,環
境)
橋梁の維持管理シナリオの想定
(予
防保
全,
早期
対策
,事
後保
全,
更新
)損傷発
見時,重要部材・部位か経年変化の推定
致命的
損傷に対する段階を把握できる力
【例】致命
的損傷
に近
い段階
→多
額な対
策費
用社会
的影
響小
→更
新型
も視野
に入
れる
今後
の維
持管
理の
動向
道路等の社会イン
フラに対する維
持管
理すべき資
産としての位置
付け
が不明確であり
,社会インフラ
は国
民共有の財
産であることか
ら,
適切な維持管理
のためのコスト
と仕
組みが必要
.
社会
イン
フラの
維持管
理・更
新の課
題
①維
持管
理・更
新関
する
知の
体系
化知
を体
系化
.維
持管
理・
更新
は,
責任
とリ
スク
評価
と専
門家
の三
つが
噛み
合っ
て成
立.
②人
材確
保・育
成の
重要
性.
幅広
い知
見と
関心
を有
する
技術
者が
不足
.
③制
度の
構築・
組織
の支
援制
度の
構築
では
、点
検・
診断
につ
いて
の法
的制
度の
義務
付け
が不
十分
.
④入
札・
契約制
度の
改善
およ
び国
民の
理解
・協
力を
求め
る活
動,
リス
クコ
ミュニ
ケー
ショ
ン,
もの
の本
質を
伝え
るこ
と。
大切
なこ
とは「
国民
にど
うし
ます
か」
を問
うこ
と.
維持
管理
のメ
リッ
トを
周知
する
工夫
が重
要.
<土木学
会誌より抜粋>
技術
者の
人材
養成
につ
いて
橋梁
の維持
管理
に関
する
技術
的な
ご相
談を
受
けま
す.
大学
では
,技
術者
と橋
梁関
係の
技術
者養
成に
向け
て取
り組
んで
いま
す.
また
,社
会人
の学
び直
しの
支援
もし
ます
.仕
事を
しな
がら
でも
大学
院や
博士
課程
にも
入学
でき
,種
々の
支援
シス
テム
があ
りま
すの
で,
ご希
望や
ご相
談が
あり
まし
たら
以下
まで
ご連
絡く
ださ
い.
<山
尾>
電話
:096-342-3533
Fax:
096-342-3507
メー
ルア
ドレ
ス:
今日はご清聴ありがとうございました