6 スピーキングテスト · 2018-03-29 · 図1 communication language ability (cla)...

19
第 6 章 スピーキングテスト 曲 明 テストは、教員が学習者であったときに受けてきたものを模倣して作っていることが多 く、必ずしもテスト理論やテスト作成のトレーニングを受けてから作っているわけではな いと言われている(根岸, 2007)。しかし、スピーキングテストの場合は特に難しいのは、 他の語彙、文法のテストと比べて、日本で中国語教育に携わっている教員自身がほとんど スピーキングテストを受けた経験がないということである。 そこで、第 6 章では、まずコミュニケーション能力とは何か、スピーキングテストの種 類、評価方法、評価尺度、日本国内外の中国語スピーキングテスト、スピーキングテスト のタスク例について紹介する。 6.1 コミュニケーション能力とは スピーキング能力について考えるのに多くの示唆を与えてくれるのが一連のコミュニケ ーション能力についての研究である。この節では、コミュニケーション能力の概念に関わ る理論研究や主張を紹介する。これらの言語能力観を時系列的に概観することによって、 一般的に言われているコミュニケーション能力とは何かについてまとめる。 1960 年代までは言語能力の概念は構造主義を基盤としていた。1960 年代から、Chomsky の変形生成文法(Transformational Generative Grammar)は言語能力観に大きな影響を与 えた。彼の理論は人間の脳構造に、言語の「普遍的構造原型」があり、人間の子どもも、 大人もあらゆる言語を習得し、理解できるということである。 Chomsky の理論を批判したのは社会言語学者たちである。Hymes (1972) は言語使用の実 用的目的に寄与しない言語理論は無意味なものであると主張した。言語研究理論に社会言 語学的な視座が必要であるため、Hymes はコミュニケーション能力 (communicative competence)は、文法的知識だけではなく、運用力、社会文化的適切さに関する知識も含む ものとして、「伝達能力」という概念を提唱した。 1980 年代、コミュニケーション能力の理論的枠組みを作ったのは Canale and Swain (1980)であった。彼らはコミュニケーション能力は「文法能力 (grammatical competence)」、 「 談 話 の 能 力 (discourse competence) 」 、 「 社 会 言 語 学 的 能 力 (sociolinguistic competence)」、 「方略的能力 (strategic competence)」から構成されるとして、これらの 下位能力について詳しく論じた。応用言語学の分野では、この定義が今でも広く使われて いる。 Canale らのモデルを最も発展させたのは Bachman (1990)である。Bachman は言語テスト

Upload: others

Post on 09-Jul-2020

0 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

Page 1: 6 スピーキングテスト · 2018-03-29 · 図1 Communication Language Ability (CLA) のモデル:Bachman (1990) さらに、Bachman (1990) は広義の言語能力(language

第 6章 スピーキングテスト

曲 明

テストは、教員が学習者であったときに受けてきたものを模倣して作っていることが多

く、必ずしもテスト理論やテスト作成のトレーニングを受けてから作っているわけではな

いと言われている(根岸, 2007)。しかし、スピーキングテストの場合は特に難しいのは、

他の語彙、文法のテストと比べて、日本で中国語教育に携わっている教員自身がほとんど

スピーキングテストを受けた経験がないということである。

そこで、第 6 章では、まずコミュニケーション能力とは何か、スピーキングテストの種

類、評価方法、評価尺度、日本国内外の中国語スピーキングテスト、スピーキングテスト

のタスク例について紹介する。

6.1 コミュニケーション能力とは

スピーキング能力について考えるのに多くの示唆を与えてくれるのが一連のコミュニケ

ーション能力についての研究である。この節では、コミュニケーション能力の概念に関わ

る理論研究や主張を紹介する。これらの言語能力観を時系列的に概観することによって、

一般的に言われているコミュニケーション能力とは何かについてまとめる。

1960 年代までは言語能力の概念は構造主義を基盤としていた。1960 年代から、Chomsky

の変形生成文法(Transformational Generative Grammar)は言語能力観に大きな影響を与

えた。彼の理論は人間の脳構造に、言語の「普遍的構造原型」があり、人間の子どもも、

大人もあらゆる言語を習得し、理解できるということである。

Chomsky の理論を批判したのは社会言語学者たちである。Hymes (1972) は言語使用の実

用的目的に寄与しない言語理論は無意味なものであると主張した。言語研究理論に社会言

語学的な視座が必要であるため、Hymes はコミュニケーション能力 (communicative

competence)は、文法的知識だけではなく、運用力、社会文化的適切さに関する知識も含む

ものとして、「伝達能力」という概念を提唱した。

1980 年代、コミュニケーション能力の理論的枠組みを作ったのは Canale and Swain

(1980)であった。彼らはコミュニケーション能力は「文法能力 (grammatical competence)」、

「 談 話 の 能 力 (discourse competence) 」 、 「 社 会 言 語 学 的 能 力 (sociolinguistic

competence)」、 「方略的能力 (strategic competence)」から構成されるとして、これらの

下位能力について詳しく論じた。応用言語学の分野では、この定義が今でも広く使われて

いる。

Canale らのモデルを最も発展させたのは Bachman (1990)である。Bachman は言語テスト

Page 2: 6 スピーキングテスト · 2018-03-29 · 図1 Communication Language Ability (CLA) のモデル:Bachman (1990) さらに、Bachman (1990) は広義の言語能力(language

分野の研究者であり、彼はテストで測る能力として、意思伝達言語能力 1(communicative

language ability)という概念を提唱した。意思伝達言語能力は三部分から構成されると

した、すなわち、①広義の言語能力(language competence) ②方略的能力 (strategic

competence) ③心理生理的メカニズム (psychophysiological mechanism)である。この 3

つの能力に「一般的な知識(knowledge of the world)と文脈的状況 (context of the

situation)」が組み合わさり、言語が話されるのである(図 1を参照されたい)。

図 1 Communication Language Ability (CLA) のモデル:Bachman (1990)

さらに、Bachman (1990) は広義の言語能力(language competence)の概念を下記のよう

に論じた( 図 2 を参照されたい)。図 2 のモデルにおいて、広義の言語能力は「編成能力

(organization competence)」と「語用論的能力 (pragmatic competence)」から構成され

る。「編成能力」は言語の構造やその構成について処理する能力である。この能力は、語彙

や統語、音韻体系を扱う「文法的能力(grammatical competence)」と、代名詞や接続詞な

ど文をつなげる時に用いる規則を扱う「テクスト能力(textual competence)」から構成さ

れる。広義の言語能力のもう一つの下位能力である「語用論的能力」は、言語とそれが示

す実物の関係を表現したり、コミュニケーションの文脈との関係を表現したりする能力で

ある。「語用論的能力」は「発語内能力 (illocutionary competence)」と「社会言語的能

1 この節の用語に対する日本語訳及び翻訳は馬場哲生(1997)を参考した。正確さを期するた

め、英語による原語も合わせて示した。

一般知識

方略的能力

心理/生理的メカニズム

文脈の状況

言語能力

Page 3: 6 スピーキングテスト · 2018-03-29 · 図1 Communication Language Ability (CLA) のモデル:Bachman (1990) さらに、Bachman (1990) は広義の言語能力(language

力 (sociolinguistic competence)」から構成されるとする。「発語内能力」は実際の言語

が意味するメッセージを言語機能に応じて使い分ける能力である。「社会言語的能力」は社

会的に適切な形式を選んで発話する能力である。

図 2 言語能力に含まれる下位項目:Bachman (1990)

Bachman (1990) のモデルは Canale and Swain (1980) が示した伝達能力の構成要素を

踏まえながら、言語能力の概念をさらに詳しく述べた。言語テスト分野の主要な文献とし

て取り上げられるようになった。

これまで述べてきたように、コミュニケーション能力は様々な要素が絡み合い、相互作

用しながら構成されている。そのため、言語知識の中の文法能力、語彙能力だけでは、言

うまでもないが、コミュニケーション能力全体を扱うことは出来ない。しかし、現実の外

国語教育、評価を見ると、文法、語彙能力にばかり焦点が当たっているのではないかと思

われる。このような理論的背景から、言語教育の分野では、1990 年代からタスク中心の言

語教育が発展され、言語テスト分野でも筆記試験などによる抽象的な知識の証明ではなく、

受験者に当該タスクを実行することを要求するコミュニカティブ的なテストへの関心が高

まってきた。

現実の外国語教育現場、特に第二外国語の教育現場における教室の規模、使える人的、

物的資源によって、現在行われているスピーキングテストはすべてがコミュニカティブ的

なテストであるわけではない。また、テストの目的によって、様々な種類のスピーキング

テストが行われている。次の節ではスピーキングテストの種類を紹介する。

6.2スピーキングテストの種類

Luoma (2004) はスピーキングテストを以下のように分類している。①間接測定法

言語能力

語用論的能力 組織的能力

社会言語的能力 発語内能力 文法能力 テクスト的能力

Page 4: 6 スピーキングテスト · 2018-03-29 · 図1 Communication Language Ability (CLA) のモデル:Bachman (1990) さらに、Bachman (1990) は広義の言語能力(language

(indirect measurement) ②半直接測定法 (semi-direct measurement) ③直接測定法

(direct measurement) である。

「間接測定法」とは、他のテスト形式、ペーパーテスト、クローズテストなどを用いて

スピーキング力を測ろうとするものである。文復唱テスト、口頭並べ替えテストは、この

類ものである。テストの妥当性、波及効果などの観点から、間接測定法を批判する論が多

い。「半直接測定法」は、録音、録画された受験者の発話を評価する方法である。会話の相

手とのやりとりがなく、機械を利用して受験者の音声を録音し、評価する。このタイプの

テストは現実社会でのコミュニケーション状況から離れていて、テストの妥当性が低いが、

しかし、テストの時間を短くできることや、テストの実施、管理をしやすいことから、信

頼性と実用性が高いとされる。「直接測定法」は、対話者とのやりとりの中から発話を引き

出すタイプのテストである。具体例として、インタビューテスト、ペアテスト、グループ

テストなどが挙げられる。インタビューテストは、スピーキングテストの中で最も一般的

に行われているものである。しかし、コミュニケーションの方向は一方的で、質問者と受

験者の関係が非対称的である。また、大規模教室において用いる場合、インタビューテス

トでは時間がかかりすぎるというテストの実用性に関する問題もある。ペア /グループテ

ストは二人(グループの場合は三、四人になる)の受験者を同時に面接する方法である。ペ

ア/グループテストは受験者のストレスを軽減し、インタビューテストに比べて双方向の釣

り合いのとれた発話が生まれる。問題点として、受験者の発話が組む相手に影響されると

指摘されている (Fulcher, 1996)。

テストの形式にはそれぞれ特徴があり、一長一短がある。教育現場でテストの形式を考

えるとき、テストの目的、使える人的、物的資源を考えた上でスピーキングテストの種類

を選択すべきであろう。

6.3スピーキングテストの評価方法

スピーキング能力の評価基準の設定には二つのタイプが認められる。一つは全体的評価

(holistic evaluation)で、もう一つは分析的評価(analytic evaluation)である。

全体的評価とは個別的な項目には着目せずに、全体として一つの点数を出す方法である。

しかし、全体の点数と言っても、「良かった」、「まあまあ良かった」、「あまり良くなった」

のように本当に「印象」で判断しているわけではない。全体的評価はいくつかのレベルを

作り、それぞれのレベルの言語行動の特徴を記述するバンドを用いる。そのバンドの記述

には、複数の観点が含まれる。例えば、C.TEST (北京語言大学が開発した中国語スピーキ

ングテストである。詳細は 6.3節を参照されたい) の全体的評価の評価項目には「流暢さ」、

「語彙」「文法」、「発音」、「話題の範囲(内容)」が含まれている。具体的には、C.TESTの A

級のバンドは以下のようになっている。「発音は自然で正しく、言葉の表現は正確で適切で

ある。中国語で流暢に議論ができる。話題の範囲が広く、複雑な会話ができる」である。

全体的評価は、個別的な項目を採点しなくて良いので、採点者にとって楽な方法である。

Page 5: 6 スピーキングテスト · 2018-03-29 · 図1 Communication Language Ability (CLA) のモデル:Bachman (1990) さらに、Bachman (1990) は広義の言語能力(language

しかし、各評価項目の中でレベルに差があったとしても、すべて単一の全体的評価しか表

されないため、どのような点を改めれば、その人のパフォーマンスが向上するかという診

断的情報が得られないと指摘されている(馬場,1997)。

分析的評価は、複数の観点を立ち、文法、語彙、発音、流暢さ、内容などの評価項目ご

とに評価する方法である。一般に、全体的評価に比べて分析的評価の方が信頼性が高いと

されている。また、診断的な情報が得られやすく、被験者へのフィードバックもしやすい

とされている。ただ、分析的評価の下位評価項目が多すぎると、短い時間内にたくさんの

レベル判断をしなければいけないため、採点者の負担が重くなる。全体的評価でも、分析

的評価でも、スピーキングテストの信頼性を高めるためには、採点する前の採点者トレー

ニングはとても重要な作業である。

また、どちらの評価方法を採用しても、評価尺度を有効に使用するために以下の 2 点に

注意したいと思われる。一つはインフォームドアセスメント(informed assessment)の考

え方である。インフォームドアセスメントとは、評価の目的や基準に関して、実施者と受

験者との間でしっかりとした知識の伝達・合意がなされているような評価のあり方である。

例えば、発音、語彙、文法、流暢さなどの下位項目を用いて評価する際に、下位項目の名

前だけではなく、それぞれの評価ポイントの詳細、語彙はどのような観点で評価されるの

か、文法はどのような観点で評価されるのかなど、受験者に事前に説明しておく必要があ

る。さらにテストサンプルを用いて、テストパフォーマンスの善し悪しも受験者に開示し

て説明をしていけば、受験者は評価基準、テスト実施者の意図を推察し、それに合わせて

自ら受験準備や対策に取り組むことができる。

もう一つ、評価尺度の有効的な使い方はテストの前に学習者の一人一人に評価尺度の記

述に基づいて自己目標を決めさせることである。形成的評価としてスピーキングテストを

行う際に、自己目標を決めさせることは教育の一環としてとても有効な方法である。例え

ば、「長いポーズをとらない」、「会話を止めることがないように、コミュニケーションスト

ラテジーの使い方を練習しておき、積極的に使う」、「『はい』、『いいえ』だけではなく、

文で答える」などテスト前に目標を立てて、テスト後に目標達成度を自己評価させると自律

的な学習につながるだろうと思われる。

6.4スピーキング能力をどう測るのか

近年、日本国内外において、利害関係が高い (high stakes) 中国語スピーキングテスト

がいくつか開発されてきた。中国政府及び大学によって開発されたものには HSKK、BCT、ATSC、

C-TESTなどがある。日本国内で開発されたものには中国語検定試験二次試験がある。6.3.1

節では、上記各試験の概要、用いるタスク、評価尺度について簡単に紹介し、6.4.2節では、

教育現場で使えるようなスピーキングテストのタスク例を紹介する。

6.4.1日本国内外の中国語スピーキングテスト

Page 6: 6 スピーキングテスト · 2018-03-29 · 図1 Communication Language Ability (CLA) のモデル:Bachman (1990) さらに、Bachman (1990) は広義の言語能力(language

(1)HSKK(Hanyu Shuiping Kouyu Kaoshi)

HSKは、中国教育部国家漢語弁公室が主催し、漢語を非母語とする者の中国語水準を測る

ための国家試験である。HSKK は HSK のスピーキングパートで、受験生のスピーキング能力

を判定するテストである。初、中、高級の三つのレベルがある。受験者の発話が録音され、

その録音に基づいて評価する半直接テストである。HSKKの試験内容は三つの部分からなる。

①復唱:放送を聴いて、その文書を復唱する。②聞き取り:質問を聞いて、それについて

簡潔に答える。絵を見て話す:問題用紙にある 1 枚の絵を見ながら、それについて話す。

③読み取り、質問に答える:問題用紙に書かれた質問に対して答える。評価項目及び評価

観点は以下に示す通りである。文法(文型の多様性、正確さ)、語彙(正確さ、豊富さ)、話

題の展開(首尾一貫したまとまった内容が言えるかどうか)、発音(聞き取れるかどうか、

ピンイン、語調の把握)である。

(2)中国語検定試験二次試験

中国語検定試験は日本中国語検定協会により開発されたテストである。その準一級、一

級では、一次試験合格者を対象に、二次試験でスピーキングのテストが課される。試験で

求められる能力は、全体的に社会生活に必要な中国語を習得し、通常の文章の中国語訳・

日本語訳、また簡単な通訳ができることである。通訳する際、単に単語を知っているとい

うことから一歩先に進んで、熟語や慣用句にも精通していることに加えて、時事問題にも

対応できる力が求められる。試験のタスクタイプは以下の三つがあり、①試験官の質問に

答える、②与えられた日本語の文を中国語に翻訳する、③あるテーマについて自分の意見

を述べる、である。また、ホームページ上に公開された受験案内によれば、スピーキング

テストの評価項目は以下のようになる。「語彙と文法を運用する力および発音の状況、中国

語によるコミュニケーション能力、翻訳力」である。

(3)ATSC (Automated Test of Spoken Chinese)

ATSC は中国語版 Versant と呼ばれ、近年、北京大学とアメリカのテスト開発会社によっ

て共同開発された電話によるスピーキングテストである。被験者は電話でテストを受け、

テスト終了 2 分後に評価結果が出るという半直接テストである。問題のタスクタイプは以

下の 5 つがあり、①文を朗読する ②聞いた文を復唱する ③聞かれた質問に答える ④

提示された単語やフレーズを並べ替えて、口頭で文を作る ⑤読んだ文の意味を自分の言

葉に置き換えて説明するである。評価方法は分析的評価を採用している。評価尺度の下位

項目には、文法 、語彙、流暢さ、発音が含まれている。

(4)BCT(Business Chinese Test)

BCT は全世界で行われている中国語標準テストであり、第一言語が中国語ではない人の、

ビジネス活動における中国語のコミュニケーション能力を重点的に測定するものである。

スピーキングテストは「聞く・話す」能力に重点をおき、職場でのリアルなビジネスシ

ーンで使えるように工夫している。テストの形式はテープを使った半直接テストである。

テープの中には、幾つかの話題について、録音がされている。受験生は問題用紙を見なが

Page 7: 6 スピーキングテスト · 2018-03-29 · 図1 Communication Language Ability (CLA) のモデル:Bachman (1990) さらに、Bachman (1990) は広義の言語能力(language

らそれを聞いて、問題に適切な答えを解答(自分の答えを録音)していく。評価方法は分

析的評価を採用している。評価尺度の下位項目には文法、語彙、発音、流暢さ、適切さ、

タスクの遂行能力が含まれている。

(5)C-TEST

C-TEST は北京語言大学漢語試験研究所が主催しているスピーキングテストである。イン

タビューの形式を用いる直接テストである。試験官との実際の会話を通して中国語でのコ

ミュニケーション能力を測定されるので、中国語版の TOEIC 試験とも呼ばれる。インタビ

ューは 3 段階で構成されている。まずウォーミングアップの段階で簡単な質疑応答をし、

各受験者のおおよそのレベルを推定する。その後レベル判定の段階に入り、受験者それぞ

れのレベルに応じて、そのレベル相応の質疑応答が行われる。最後がクールダウンの段階

であり、受験者のレベルにふさわしい会話をする。F 級から専門級の 7 つのレベルがある。

F、Eは初級、D、Cは中級、B、Aは高級、その上に専門級がある。評価方法は全体的

評価法を採用している。評価項目には発音、語彙、文法、受け答えの適切さ、言語機能、

話題の範囲が含まれる。

6.4.2 スピーキングテストの具体例

スピーキングテストで用いるタスクは大きく分けると、2種類がある。一つはモノローグ

タスクで、もう一つはインタラクティブタスクである。モノローグタスクは話し相手がい

ない、いわゆるインタラクションのないタスクである。音読、復唱、スピーチ、絵(写真)

の描写などのテストはモノローグタスクを用いている。これと対照的に、インタラクティ

ブタスクは話し相手とのインタラクションがあるタスクである。目の前にいる対話者との

やり取りの中から受験者のスピーキングパフォーマンスが引き出される。その場でテスト

の採点を行うこともあるが、ビデオなどで録音(録画)をして、テスト後に評価すること

も多い。6.3.2では、教育現場で使えるスピーキングテストのタスクの例を紹介する。

(1)文復唱テスト(听后重复)

【内容】

受験者に音声で提示された文を繰り返して言ってもらう。

【テストの実施手順】

1. テストの内容について説明を行う。

Page 8: 6 スピーキングテスト · 2018-03-29 · 図1 Communication Language Ability (CLA) のモデル:Bachman (1990) さらに、Bachman (1990) は広義の言語能力(language

2. テストを実施する。

CALL教室などで一斉に大人数で行うことが可能である。コミュニカティブなテストでは

ないが、簡単に実施できるので、実用性が高い。

3.学生の音声を録音し、テスト終了後に評価する。

【問題例】

・我女儿 6岁了。(10秒)

・他爱吃桔子。(10 秒)

・这个手机是我的。(10 秒)

・一年有四个季节。(10 秒)

(筆者案)

【評価基準と評価例】

2点 正確に文を復唱することができる。

1点 復唱した文に間違いがある。

(2)口頭並べ替えテスト(口头排序)

【内容】

一つの文をいくつかの単位にばらして、音声で提示する。受験者はそれを聞きとり、そ

れらの単語を口頭で並べ替えて、正しい語順の文にする。

【テストの実施手順】

1.テストの内容について説明を行う。

文復唱のテストを行います。はじめに音声を流します。音声は一回しか流しませんの

で、よく聞いてください。そのあと 10秒以内に聞いた文を復唱してください。これか

ら練習問題を流します。練習してみてください。

音声:我昨天没去看中国电影。

受験者:(我昨天没去看中国电影。)

Page 9: 6 スピーキングテスト · 2018-03-29 · 図1 Communication Language Ability (CLA) のモデル:Bachman (1990) さらに、Bachman (1990) は広義の言語能力(language

2.テストを実施する。

文復唱テストと同様、口頭並べ替えテストの作成と実施も比較的容易で、CALL 教室など

で一斉に大人数で行うことが可能である。テストとして、実用性が高い。ただし、テスト

の形式が実際のコミュニケーションを反映していないので、妥当性はやや低くなる。

3. 学生の音声を録音し、テスト実施後に評価する。

【問題例】

・她 医院 去 没。(10 秒)

・来 再 下次 欢迎。(10秒)

・买 去 我 票 火车。(10秒)

・喜欢 排球 打 我 不。(10 秒)

(筆者案)

【評価基準と評価例】

2点 正確に文を並べ替えることができる。

1点 並べ替えた文に間違いがある。

(3)音声を聞いて質問に答えるテスト(听后回答)

【内容】

音声で流れてきた質問を聞いて、その質問に答える。

【テストの実施手順】

1.テストの内容について説明を行う。

口頭並べ替えテストを行います。4、5個の単語の音声を流します。それを聞いて、10

秒以内にそれらの単語を口頭で並べ替えて、正しい語順の文にしてください。これか

ら練習問題を流します。練習してみてください。

音声:你,我,比,大。

受験者:(你比我大。)

今から中国語の質問の音声を流します。その質問に 10秒以内で答えてください。

Page 10: 6 スピーキングテスト · 2018-03-29 · 図1 Communication Language Ability (CLA) のモデル:Bachman (1990) さらに、Bachman (1990) は広義の言語能力(language

2.テストを実施する。

テストは CALL教室などで一斉に大人数で行うことが可能である。各レベルの学生に適用

できる。

3.学生の音声を録音し、テスト後に評価する。

【問題例】

・你会说英语吗?(10秒)

・你每天几点起床?(10 秒)

・你家都有什么人?(10 秒)

・你星期天一般干什么?(10 秒)

(筆者案)

【評価基準と評価例】

2点 質問に正しく答えることができる。

1点 答えに文法や語彙の間違いがある。

(4)自分の言葉で説明するテスト(复述所听的内容)

【内容】

中国語の短い文章を聞いて、その内容を自分の言葉で説明する。

【テストの実施手順】

1.テストの内容について説明する

2.テストを実施する。

このテストも CALL教室などで一斉に大人数で行うことが可能である。初級の学生には若

干難しく、中、上級の学生に向いている。音声を聞きながら、メモを取っても良いことに

すれば、テストの難易度を下げることができる。テストの妥当性を高めるためには、普段

の授業でも、聞いた中国語、読んだ中国語を自分の言葉に置き換えてまとめたり、説明し

たりする練習を行うことが大切であろう。

3. 学生の音声を録音し、テスト後に評価する。

「复述」テストを行います。今から中国語の短い文章の音声を流します。それを聞い

て、その内容を自分の言葉で 20秒以内に説明してください。

Page 11: 6 スピーキングテスト · 2018-03-29 · 図1 Communication Language Ability (CLA) のモデル:Bachman (1990) さらに、Bachman (1990) は広義の言語能力(language

【問題例】

・妈妈今天过生日。妞妞给妈妈画了一张画,并在上面写了祝妈妈生日快乐的祝词。爸爸给

妈妈买了一束鲜花,还做了一顿丰盛的晚餐。妈妈很高兴。一直说谢谢妞妞和爸爸。

(筆者案)

【評価基準と評価例】

3点 聞いた内容について自分の言葉で正確に話すことができ、発話は流暢である。

2点 聞いた内容について自分の言葉で話すことができるが、表現に誤りがある。発話には

不自然なポーズや繰り返しがあるが、意味は伝達できている。

1 点 聞いた内容について自分の言葉で話すことができるが、表現に間違いが多い。意味の

理解を妨げる程の長いポーズがあったり、発話がたどたどしくなったりする。

(5)写真(絵)の内容を描写するテスト(看图说话)

【内容】

試験官に示された写真(絵)の内容について説明する。また、写真 (絵)を見ながら、試

験官の質問に答える。

【テストの実施手順】

1. テストの内容について説明する

2.テストを実施する。

テストは公平であるように、すべての学生に同じ写真(絵)を見せるべきである。または

同じような写真(絵)を何枚か用意して、学生にランダムに選ばせることも可能である。

その場合は、写真(絵)の内容の難易度に差がないように気を付けるべきである。テストの

妥当性を高めるためには、写真(絵)の内容は学生にとってよく知っている、もしくは見慣

れているものにすべきである。学生のアウトプットを求める際、初級者には文の数を指定

し、中、上級の学習者には制限時間(30秒~1分くらいの間に、できるだけ多くの中国語を

使って、写真(絵)の内容を説明する)を決め、話してもらっても良い。

3. その場で評価するか、もしくは学生の音声を録音(録画)し、テスト後に評価する。

写真 (絵) の内容を説明するテストを行います。これから写真(絵)を渡します。準備時間を

1分ほど設けますので、写真(絵)をよく見て、その内容を把握してください。そのあと、

四つ以上の中国語の文を使って、写真 (絵) の内容を説明してください。

Page 12: 6 スピーキングテスト · 2018-03-29 · 図1 Communication Language Ability (CLA) のモデル:Bachman (1990) さらに、Bachman (1990) は広義の言語能力(language

【写真(絵)の例】

・ 簡単な写真(絵)

两个男孩在踢足球。一个男孩戴着帽子,一个男孩没戴帽子。

・複雑な写真(絵)

質問例

奈奈实的家里有 5 口人,有爷爷,奶奶,爸爸,妈妈,和奈奈实。下面画的是奈奈实家里的

家庭成员在星期天的早晨的时候的样子。请描述每个家庭成员都在做什么。

発話例

房间里有床,桌子,椅子和电脑。

発話例

两个男孩在踢足球,一个戴着帽子,一个没戴帽子。

Page 13: 6 スピーキングテスト · 2018-03-29 · 図1 Communication Language Ability (CLA) のモデル:Bachman (1990) さらに、Bachman (1990) は広義の言語能力(language

(絵・鵜川奈々実 作)

・複数枚の写真(絵)問題

複数の連続した絵を用意すれば、ストーリーテリングになる。1 枚の絵を描写するのと、

複数枚連続した絵を描写するのとでは、測れる能力は異なってくる。中、上級の学生向き

のテストである。

【評価基準と評価例】

3点 写真(絵)について、正しい表現を用いて、内容に合った説明をしている。

2 点 説明は写真(絵)の内容に大体合っている。文法、語彙に間違いはあるが、意味の理解

には支障がない。

1 点 説明が写真(絵)の内容に合っていないところがある。表現に間違いが多く、意味が理

解できない箇所もある。

(6)スピーチテスト(对所定题目发表自己的意见)

【内容】

試験官が提示したテーマについて、スピーチを行う。30 秒、1 分間など一定の発話時間

を設定することが多い。

【テストの実施手順】

1.テストの内容について説明する

Page 14: 6 スピーキングテスト · 2018-03-29 · 図1 Communication Language Ability (CLA) のモデル:Bachman (1990) さらに、Bachman (1990) は広義の言語能力(language

2. テストを実施する。

テストはひとりずつ行うため、大規模の教室では時間がかかりすぎることがある。スピ

ーチのテーマは学生にとって身近で、話しやすいものにすべきである。準備時間の長さに

よって、学生のパフォーマンスが変わるため、適切な準備時間を設定する。普段の授業で

スピーチの練習を行う際に、三~四人のグループを作って活動させると、時間の節約がで

きる。テーマを決める際、「どこで誰が誰に向かって発話するのか」といったテストの文

脈を明示的に示さなければいけない。

3.その場で評価するか、もしくは学生の音声を録音(録画)し、テスト後に評価する。

【問題例】

・请向同班同学介绍你的爸爸或妈妈。

・班上来了中国的交换学生,请向他们介绍你为什么要学习汉语?

・你现在在中国留学,请给你的同班同学做一个自我介绍。

・请给新生介绍一下你们社团活动的内容。

(筆者案)

【評価基準と評価例】

3点 発音は正しく、自然なリズムで話を続けることができる。意味の理解を妨げる

語彙と文法の間違いがほぼない。

2点 発音の間違いや言い淀みが少々見られる。意味の理解を妨げる語彙と文法の間違いは

少ない。

1点 発音の間違いが多い。文章を組み立てる際に、言葉を選んだり、修正したりするため

の不自然なポーズが挟まる。語彙、文法に不適切なところが多い。

(7)インタビューテスト(回答考官所问的问题)

【内容】

一方は試験官、もう一方は学習者であるような、対面式の話しことばによるインタラク

ションがあるテストである。インタビューテストは、スピーキングテストの方法の中で、

最も一般的に行われているものである。

スピーチテストを行います。スピーチのテーマを読んで 1分ほど準備してください。その

後スピーチを始めてください。スピーチの時間は 1分です。発話量も評価されますので、

時間内にできるだけたくさん話してください。

Page 15: 6 スピーキングテスト · 2018-03-29 · 図1 Communication Language Ability (CLA) のモデル:Bachman (1990) さらに、Bachman (1990) は広義の言語能力(language

【テストの実施手順】

1.テストの内容について説明する

2.テストを実施する。

スピーチテストと同様、テストはひとりずつ行うため、大規模の教室では時間がかかり

すぎることがある。質問をする際に、「はい」、「いいえ」だけで答えられるような質問は避

けた方が良い。対面式テスト全般に言えることではあるが、質問の内容を理解できない時

やどう答えれば良いのかがわからない時に、意味の確認をしたり、もう一度言ってもらっ

たりするなど、教員に助け舟を出してもらえるように、普段からコミュニケーションスト

ラテジーの使用を練習した方が良い。

3.その場で評価するか、もしくはビデオで録音(録画)をし、テスト後に評価する。

【質問例】

例①

教員:你喜欢吃什么?

学生:我喜欢吃日本菜和中国菜。

教員:中国菜里,你最喜欢吃什么菜?

学生:我最喜欢饺子和拉面。

教員:你吃过中国的饺子吗?

学生:吃过,在北京的时候吃过。

(筆者案)

例②

教員:你今天是怎么来的?

学生:我是坐电车来的。

教員:早上几点出发的?

学生:早上 8 点出发的。

教員:电车里人多吗?

学生:电车里人很多。

インタビューテストを行います。先生が質問をしますので、それに答えてください。一つ

の質問につき 10秒の応答時間があります。10秒を過ぎますと、応答中でも次の質問に移

ります。質問の内容について理解できないとき、意味の確認をしたり、聞き返ししたりし

てもかまいません。

Page 16: 6 スピーキングテスト · 2018-03-29 · 図1 Communication Language Ability (CLA) のモデル:Bachman (1990) さらに、Bachman (1990) は広義の言語能力(language

(筆者案)

【評価基準と評価例】

スピーチテストのように全体的評価で行うことも可能だが、評価の観点を決めて、分析

的評価で行うことも可能である。

発音:聞き手が容易に理解できる明瞭さで発音されているか。

正しさ:文法と語彙に間違いがないか。

適切さ:きちんと質問に答えているか。

発話量:発話量は十分であるか。

コミュニケーションスキル:相手の発話について分らないことを聞き返したり、確認した

りするなどコミュニケーションストラテジーを用いて会話を続けることができているか。

【評価カードの例】

氏名: 学籍番号:

発音 正しさ 適切さ 発話量 コミュニケーション 合計

3 2 1 3 2 1 3 2 1 3 2 1 3 2 1

(8)ペア(グループ)テスト(小组讨论)

【内容】

学習者二人(ペアテスト)、もしくは三~四人(グループテスト)での会話が評価されるテ

ストである。様々なタスクが使われる。本節では、インフォメーションギャップタスク、

ディスカッションタスク、ロールプレイタスクを紹介する。インフォメーションギャップ

タスクは初級の学習者向きで、ロールプレイやディスカッションタスクは中、上級の言語

学習者に向いているとされる。

【テストの実施手順】

1.テストの内容について説明する

2.テストを実施する

受験者人数:2~4人。

トピックの選定:受験者たちにとって、熟知している話題でありながら、すべての受験者に

とって、バイアスがかからないようなものを選ぶ。

ペア(グループ)テストを行います。タスク・カードをよく読んで、二人(三人)で協

力してタスクを完成させるように会話してください。持ち時間は 2分です。

Page 17: 6 スピーキングテスト · 2018-03-29 · 図1 Communication Language Ability (CLA) のモデル:Bachman (1990) さらに、Bachman (1990) は広義の言語能力(language

時間:受験者の言語習熟度によって時間を決めるべきである。一般的には、準備時間 1~2

分、会話時間 2~5分前後である。

会話の進行:受験者のみで行う。ただし、発話者に偏りが見られたり、会話が停滞していた

りした場合、試験官が介入して、調節することができる。

課題の提示方法:カードで課題を提示することが多い。カードには話し合うべき話題のほか

に、関連質問が書かれていることもある。

3.その場で評価するか、もしくはビデオで録音(録画)をし、テスト後に評価する。

【タスク例】

・インフォメーションギャップタスク

「什么时候」、「什么」、「谁」、「哪儿」などの疑問詞を用いてお互いに先の週末の出来事に

ついて聞きあってください。

Aのカード:先週の土曜日、彼女と札幌に行った。新しい携帯電話を買い、夕飯はパスタ

を食べた。

Bのカード:先週の日曜日、家にいた。テレビを見て、中国語の宿題をして、夕飯は餃子

を作った。

(筆者案)

Aのカード:あなたは日曜日にBと映画を見に行きたいです。見たいのは中国の映画です。

映画は日曜日の午後 2 時と 5 時二回上映されます。映画館は新宿の東口から

歩いて 10分のところにあります。Bは映画館の場所を知らないので、教えて

あげる必要があります。Bを誘うために、あなたから話を始めてください。

Bのカード:あなたは中国の映画を見たことがありません。一度見てみたいと思っていま

す。日曜日の午後 3時まで用事がありますが、3時以降ならフリーで、映画を

見に行けます。新宿には初めて行きますので、ひとりで映画館に行けるか自

信がありません。Aと一緒に行きたいと思っています。

(筆者案)

・ロールプレイタスク

Aのカード:あなたは北京へ旅行に行きました。お土産としてウーロン茶を買おうとして

います。値段を聞いてください。2000円以下でしたら、二つ買ってください。

Bのカード:あなたはお土産ショップの店員です。ウーロン茶は 1個 1980円です。二つ買

うと、10%割引になります。

(筆者案)

Page 18: 6 スピーキングテスト · 2018-03-29 · 図1 Communication Language Ability (CLA) のモデル:Bachman (1990) さらに、Bachman (1990) は広義の言語能力(language

・ディスカッションタスク

共通の友人の李さんは日本人のガールフレンドができました。明日彼女とデートします。

李さんは二人に以下の質問をしてきました。二人で話しあって、一つの意見にまとめて、

李さんにアドバイスをしてください。

質問:男性として、私(李さん)はデートのすべての費用を出す必要がありますか?

もし費用を全部出す必要がない場合、どれぐらい出せばよいのでしょうか?

(筆者案)

「仕事を探す際の基準」について三人で話し合い、最後にグループ全体の意見としてもっ

とも大切な条件を二つ決めてください。

例:会社の立地(公司的所在地)、給料や待遇(工资待遇)、仕事の内容(工作的内容)、自

分の専攻との関係(和自己专业的关系)、会社の知名度(公司的知名度)、規模(公司的大

小,规模)、社会への貢献度(对社会的贡献)

これらの要素を参考にして、他人の意見をよく聞いた上で自分の意見を述べ、最後に皆で

グループ全体の意見をまとめてください。

(筆者案)

【評価基準と評価例】

下記の観点について 5 段階で評価する。

1.語彙: 語彙の使用は適切であるか。レパートリーが豊富であるか。

2.文法:文法上の間違いがないか。多様な構文を使えるか。

3.コミュニケーションスキル:発話に行き詰まった時、コミュニケーションストラテジー

を効果的に使用し、話を続けることができるか。

4.発音:中国語のリズムとイントネーションは自然であるか。個々の音は曖昧ではなく、

聞き手が容易に理解できる明瞭さで発音されているか。

【評価カード例】(三人の場合)

氏名: 学籍番号:

語彙 文法 コミュニケーション 発音 合計

5 4 3 2 1 5 4 3 2 1 5 4 3 2 1 5 4 3 2 1

氏名: 学籍番号:

語彙 文法 コミュニケーション 発音 合計

5 4 3 2 1 5 4 3 2 1 5 4 3 2 1 5 4 3 2 1

氏名: 学籍番号:

語彙 文法 コミュニケーション 発音 合計

Page 19: 6 スピーキングテスト · 2018-03-29 · 図1 Communication Language Ability (CLA) のモデル:Bachman (1990) さらに、Bachman (1990) は広義の言語能力(language

5 4 3 2 1 5 4 3 2 1 5 4 3 2 1 5 4 3 2 1

参考文献

英語:

Bachman, L.F.1990. Fundamental Considerations in Language Testing. Oxford: Oxford University Press.

Bachman, L.F. and A.S. Palmer 1996. Language Testing in Practice. Oxford: Oxford University Press.

Canale, M. and M. Swain. 1980. Theoretical Bases of Communicative Approaches to Second Language Teaching and

Testing. Applied Linguistics. 1.

Fulcher, G. 1996. Testing tasks: issues in task design and the group oral. Language Testing, 13(1),

Hymes, D. H. 1972. On Communicative Competence. Sociolinguistics Hamondsworth Penguin.

Luoma, S. 2004. Assessing Speaking. Cambridge: Cambridge University Press.

日本語:

輿水優 2005.『中国語の教え方・学び方―中国語科教育法概説―』.日本大学文理学部叢書

靜哲人 2002.『英語テスト作成の達人マニュアル』.大修館書店

根岸雅史 2007.『スピーキングテストをどう作る』.Teaching English now VOL.8. 三省堂

根岸雅史・東京都中学校英語教育研究会 2007.『コミュニカティブ・テスティングへの挑戦』..三省堂.

馬場哲生 1997.『英語スピーキング論―話す力の育成と評価を科学する』.河源社.

中国語:

国家汉语国际推广领导小组办公室 2008. [編] «国际汉语教学通用课程大纲».外语教学与研究出版社.

刘润清、韩宝成 2000.《语言测试和它的方法(修订版)》.外语教学与研究出版社

王佶旻 2011.《语言测试概论》.北京语言大学出版社

王佶旻 2002. 三类口语考试题型的评分研究. «世界汉语教学»第 4 期

张凯 1998. 语言测验和乔姆斯基理论. «世界汉语教学»第 2 期

张凯 1999. 汉语水平考试题库的描述性参数. «世界汉语教学»第 3 期

付記:本稿は、科学研究費助成金基盤研究(B)「コンピュータ適応型中国語テストの開発

と検証」(研究番号 15H03225)による研究成果の一部である。