会議の議論に勝つ!弁護士が教える上手に反論する技術【ディスカヴァービジネス書スクール1限目】:木山...
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会議の議論に勝つ! 弁護士が教える 上手に反論する技術
2014年4月23日 弁護士 木山 泰嗣 き やま ひろつぐ
―アジェンダ―
1.ご挨拶
2.反論する技術とは?
3.具体例
4.反論の視点
5.会議で理不尽なことをいわれたら……
6.まとめ
課題
1 ご挨拶
→プロフィール
木山泰嗣(きやま ひろつぐ) 1974年横浜生まれ。弁護士(鳥飼総合法律事務所パートナー)。上智大学法学部法律学科卒。税務訴訟及び税務に関する法律問題を専門にしています。青山学院大学法科大学院客員教授(租税法など。法学部では「法学ライティング」を担当)。上智大学法科大学院「文章セミナー」講師。単著の合計は30冊。
主な著書に『小説で読む民事訴訟法』(法学書院)『センスのよい法律文章の書き方』(中央経済社)『超入門 説明術』(日本実業出版社)『プロ弁護士の武器と盾になる話し方』(PHP研究所)『分かりやすい「所得税法」の授業』(光文社新書)などがあります。
→国税当局等との間で「課税の問題」について 争う仕事をしています。
質問①
あなたは反論するのが
得意ですか? 苦手ですか?
その理由も教えてください。
質問②
反論という言葉を聞いたときのイメージは、次のどちらですか? A ケンカ(バトル)をする B ふつうの会話をする
2.反論する技術とは?
→「反論する技術」は、
コミュニケーションの1つの方法であり、
ものごとや、会話や、やりとりを、
円滑に進めるための技術です。
2.反論する技術とは?
◎ 時と状況に応じて、
上手に対応を考えることが、
「反論する技術」です。
(具体的には…… ?)
①質問をする②話をまとめる③不明な点をみつけて指摘する
…など、
バトル(徹底抗戦)のための反論ではなく、キャッチボールをしながら、目的を達成するための「コミュニケーション」技術です。
3.具体例(質問③)
「これは絶対に儲かります。いま一部資産家のなかで話題になっているんです。成功している方たちも続出しています。仕組みはちょっと複雑なのですけど、要は、あなたが投資した額が、1年後には倍になって返ってくるということです。どうです? あなたもぜひ始めませんか? PYZを」
と、よくわからない金融商品への投資をすすめられた。パンフレットは細かい字がびっしりと書かれていて、その仕組みもわからない。
あなたは、どのように切り返しますか?
4.反論の視点
1 状況に応じて、対応を決める。 2 目的との関係で、対応を決める。
(1)相手が全く知らない人で 「単なる勧誘行為」を受けている場合
(回答例)
→「結構です。お引き取りください」
(理由) 結論がでている以上、余計なことはいわない。 (目的) 時間をかけずに、帰ってもらう(断る)。
(1)相手が全く知らない人で 「単なる勧誘行為」を受けている場合
(回答例)
→①「そんな商品があるんですか。すごいですね」 →②「PYZですか」 →③「いつから始められたんですか?」 「そんなに儲かるんですか?」
(2)相手が取引先・お客様など知っている人で、ついでに出た話の場合
(理由)①(興味はなくても)相手の立場を尊重し、ほめる。②(興味はなくても)よくわからない言葉なので触れてみる。③(興味はなくても)話を続けるために、質問をする。
(目的) コミュニケーションをとる(会話を続ける)。
(2)相手が取引先・お客様など知っている人で、ついでに出た話の場合
(回答例)
→①「失敗例は、ないのですか?」 「(ない場合)それはなぜですか?」→②「あなたはいくら儲かったのですか?」→③「よくわからないので、その仕組みを 図に書いて説明してください」
(3)うさんくさい相手なので、 打ち負かしたい場合
(理由)①リスクを確認する(成功例と失敗例)。 根拠を質問する。②合理性があるかを質問して確認する。③相手に説明をさせる。図に書いてもらう。 (目的) 相手を打ち負かす。
(3)うさんくさい相手なので、 打ち負かしたい場合
(4)しつこくて、勝ち誇っている 相手なので、引いてもらいたい場合
(回答例)→①「そもそもPYZって何ですか。 意味がわからないのですけど」
→②「PYZというのは何の略ですか? それからパンフレット○頁の○行目の 意味を教えてください」
→③「よくわかりませんでした。 もう1度、最初から説明してください」
(4)しつこくて、勝ち誇っている 相手なので、引いてもらいたい場合
(理由)
①そもそも何なのか、本質を相手が理解しているかを質問する。②用語や商品の意味を正確に理解しているかを質問する。③しつこく何度もしゃべらせて、相手を疲れさせる。
(目的) 相手に自滅してもらう。
(5)まとめ
◎1 触れるべきものと、 触れるべきではないものを峻別する
→あらかじめ相手から返ってくる答えを 予想して考える (=地雷を踏まない 裁判:不用意な主張・反論はしない)
(5)まとめ
◎2 自分がどうしたいか? →目的を考える (=効果を考える 裁判:着地点(ゴール)を考え、訴訟戦略を練る)
(5)まとめ
◎3 相手がもちかけた話は、相手に処理してもらう
→相手にしゃべらせる。 (=相手が自滅するのを待つ 裁判:立証責任のある人が証明する)
5.会議で理不尽なことを言われたら……
→裁判の技術を活用した「反論する技術」 (シーン1)それで、このまえ頼んでおいた○○は、まだですか?
(あなたの心の中)①そんなこと頼まれていないんだけど。②それ、このまえ自分でするといっていたじゃないか。
5.会議で理不尽なことを言われたら……
(回答例)・申し訳ございません。 いま初めて聞いたので教えていただきたいのですが、 ○○とは何のことでしょうか? (裁判:求釈明をする)
・すみません。○○については、○○さんが ご担当されると認識しておりましたので、 わたしのほうでは進めておりません。 (裁判:事実誤認を指摘する)
5.会議で理不尽なことを言われたら……
(シーン2) ○○さんもいっていたように、 ××という反対論もありますが…
(あなたの心の中)①××なんていってないのだけど。②××といったかもしれないけど、 反対しているわけじゃないのだけど。③全面的に反対しているわけではないのだけど。
5.会議で理不尽なことを言われたら……
(回答例)・いま「××という反対論」というご指摘がありましたので、 補足させていただきます。 わたしの考えは、△△というものです。 (裁判:主張を明確にする) ・ご指摘いたしました××については、あくまで問題点を整理 する趣旨であり、結論に反対という意味ではございません。 (裁判:趣旨を明らかにする) ・反対には理由があります。現状では××という問題点があり ます。これがクリアできるかどうか、本件の最大の問題点は ここにあると考えます。 (裁判:争点を設定する)
5.会議で理不尽なことを言われたら……
(シーン3)
○○さんのように斬新な意見もあるわけですが…
(あなたの心の中)①そんな異端児のような扱いをしなくても いいじゃないか。②ほめているようで、少数意見だから 採用しないというニュアンスだぞ。
5.会議で理不尽なことを言われたら……
(回答例)・○○さんとお話する機会があったのですが、 ○○さんも「××」といっていました。 (裁判:独自説ではないことを伝える) ・その点についてなのですが、○○先生の 論文にも同じことが書いてあります。 (裁判:権威を引用する) ・補足いたします。こちらの資料をご覧ください。 (裁判:証拠を示す)
5.会議で理不尽なことを言われたら……
(シーン4)この点については、どうなのかね。
(あなたの心の中)①そこまでは調べてなかったよ。②なんだか意地悪なことを聞いてくるなあ。③どうでもいいことをいうなあ。
5.会議で理不尽なことを言われたら……
(回答例)・ご指摘をありがとうございます。 その点については詳しく調べてみます。 (裁判:回答を留保する) ・問題点のご指摘をありがとうございます。 重要な点だと思いますので、早急に検討いたします。 (裁判:追って主張する) ・大きな問題点ではないと思います。 なぜなら、××だからです。 (裁判:必要な限度で反論する)
5.会議で理不尽なことを言われたら……
(シーン5)いろいろな考えがあるようだから、また次の機会に検討をしましょう。
(あなたの心の中)①議論の収集がつかなくなったので、 検討を避けたな。②むずかしい問題だと思われたかもしれないな。
5.会議で理不尽なことを言われたら……
(回答例)・今日の議論ではいろいろな考えが提示されましたので、 議論を整理してみたいと思います。 (裁判:主張を整理する) ・整理すると、問題点は次の3点に集約されるはずです。 このうち、1つめの問題、2つめの問題については、 大きな意見の相違はありません。3つめの問題を どう考えるかになります。 (裁判:争点を整理する) ・さまざまな意見がありましたが、2つの考えに大別できると 思います。その対立の原因は、××にあると考えます。 (裁判:対立軸を明確にする)
6.まとめ
① 反論はキャッチボール
(技術を学べばこわくない)
② 感情的にならずに理性的に対応する
(淡々と問いに答え、質問をする)
③ 説得力があるかどうかは第三者が判断する
(相手との戦いだと思わない)
課題
今日の授業の感想を教えてください。 これは活用できそうだと思った 「反論する技術」を教えてください。
今日は、 ありがとう ございました。