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知的資産経営
3S(整理・整頓・清掃)改善活動を武器に食肉のスペシャリストを目指す飲食店に『安心』『品質』『鮮度』の高い食肉を笑顔とともにお届け
支援機関:愛媛信用金庫 支援内容:新たな経営手法への取り組み 支援区分:知的資産経営
株式会社 ことぶき精肉店【企業概要】
社 名/株式会社 ことぶき精肉店代 表 者/代表取締役 伊藤 忠昭業 種/食肉の販売、飲食店に対するコンサル
ティング、焼肉・ステーキ.comの運営 焼肉店の経営所 在 地/西条市朔日市851-4資 本 金/10,000,000円設 立/昭和40年従 業 員/75名
1.事業内容
食肉の卸が主体で、小売の直営店舗4店舗を有する。今回新たに外食産業(焼肉店)に参入した。今後はさらに3店舗の新規出店を構想しており、多店舗展開を志向している。卸部門については仕入ルー
トの充実により、高品質の食肉を安く提供できることを武器に、全国へと販売網を拡大させており、将来的には全国8ヶ所の営業所の設置を視野に入れている。
2.事業背景
先代が昭和40年に創業し、平成8年法人化した。直営小売店(4店舗)にプラスして卸の充実へと舵を切り基礎を固めた。現在全国各地に800店を超える得意先がありそのうち飲食店は600軒を超え、県内の焼肉店におけるシ ェ ア は60 % を 占めるまでになっている。 このような状況下、当社は飲食店向けに販売促進セミナーを開催する傍
ら、メニュー構成や経営ノウハウ等の情報発信基地、モデル店舗として、1号店となる『やきにくの蔵』を、平成22年11月13日オープンさせた。
新店舗の3Sについて打ち合わせ中 オープンした焼肉店
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株式会社 ことぶき精肉店
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知的資産経営
3.事業、技術、商品の特徴 食肉のプロフェッショナルとして仕入れルートは豊富で、加えて、目利きのできる従業員が厳しい目で仕入れにあたっている。また、トレーサビリティはいうに及ばず在庫管理には気を配り、加工場の3S改善及び衛生管理のチェック体制を確立するなど、日々の地道な努力を続けている。
配送は、市内及び近郊の得意先であれば、昼までに注文をもらうと夕方には加工して届ける体制が できている。 県外のお客様については、翌日到着を厳守し、商品の鮮度維持と得意先の機会損失を防ぐように配慮 している。
4.支援内容及び効果
事業が拡大を続け、新たに飲食店の経営に進出する計画を作成しているときに、日頃から交流がある当金庫の支店長の「ともすれば足元のことがなおざりになりがちなので、一度当金庫の地域事業振興部の担当者と意見交換をしたらどうか」という提案が発端で、21年11月に初めて顔合わせをした。新しい飲食店のことを話しているとき担当者が「その計画を進めるためにも一度3S(整理・整頓・清掃)調査をしましょう」と社長に提案したところ、2つ返事で「やってください」ということになった。11月末に早速、第1回の調査を実施することになった。このスピードこそが伊藤社長の良い持ち味である。 調査報告書はA4サイズ、30ページを超えるものであり、微に入り細を穿った調査結果を読んで社長は驚かれた。当金庫から、“忙しい12月の年末商戦真っ只中ではあるが、急遽従業員を集めて説明会を開きたい”と提案すると、喜んで説明会を開催してくれ、従業員全員で指摘事項を共有し、改善に着手することとな った。 22年2月に2回目の調査及び説明会を実施した。説明会が開かれるときには従業員全員が改善意欲を持 つようになっていたので、素直に指摘事項を受け入れてくれた。従業員全員がもう一度初心に戻り
指摘事項に取り組んだうえで、4月に第3回目の調査を行った。 その3回目の説明会の前に、社長と幹部3人に、機械製造メーカーの工場とQC発表大会を見学してもらった。それによって、“自分たちが進めている3S改善が全ての基礎になる”ことを確信し、同行した幹部の意気も上がった。3回目の説明会ではますます従業員の熱意が高まっていることが感じられ、3S改善活動に確かな手ごたえを得ることができた。 この機械製造メーカーの3S改善活動は、経営活動の一環として当たり前に続けられており、当社を支えるものとなっている。
他社の3S取組み現場を見学
現場調査の様子
隅々まで気配りができていない
作業場の隅の清掃が終わり電灯コードに付着していた油とホコリがきれいに拭かれるまでになった
気付きの変化
5ヵ月後
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知的資産経営 5.今後の展望
当社は、卸・小売部門において企業基盤を確立し、今回、外食産業への進出を果たした。今後は、多店舗化を目指して全員が一丸となって取り組んでいる。 また、卸部門は、県外の得意先への対応策として関西営業所を皮切りに順次営業所の設置も計画している。 現在の不況下で、当社はこのように新たな事業領域を構築し果敢に打って出る攻めの経営を貫こうと
している。 そのためには、人材の育成が欠かせない課題である。伊藤社長は、“現在、地道に進めている3S改善活動が実践的な従業員教育である”と認識されている。3S改善活動に倦まず弛まず前向きに取り組む企業風土をつくり上げることが計画の達成には欠かせないものであるという認識のもと、強力に3S改善活動を推進していこうとしている。
後工程をしてくれる業者さんのことまで気配りできていない
平成21年11月時点の状況
表に積み上げられることはなく改善されているが、まだ畳み方が十分ではない
平成22年4月の改善状況
ダストボックスは床に直置きである
カラークリートが剥げていると気がついていても放置されている
営業車がただ並べているだけである
意識して整然と並べられている
従業員全員の気配りがきれいにしている
自分たちでダストボックスにキャスターをつけて使いやすく改善している
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株式会社 ことぶき精肉店
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知的資産経営
愛媛信用金庫の支店長の引き合わせがあったからこそ“3S改善活動”に出会えました。3回の調査をしてもらって解ったことは“整理・整頓・清掃”は、職場をきれいにするだけでなく、スタッフの気付きを促すことになるということです。
3Sと改めて言われなくても知っていることであり、日頃口うるさく“やっとけよ”と言っているのでできているつもりでいました。だから調査をお願いしたときは簡単な報告があるくらいと高をくくっていましたが、報告書を読んで初めて自分たちがやっていたことは手緩いものであることを思い知ら
拠点を利用した事業者の声
されました。 弊社は以前に経営革新計画を作成し承認を受けていますが、経営の基本の基本である3S調査を6ヶ月の間に3回徹底的にやってもらい従業員の意識が徐々に変わっていることを理解できました。 今では、幹部社員が熱心に改善に取り組んでくれており、このように自発的に動いてくれることが重要なことであると思っています。 飲食店に進出する前に、基本の基本である3S改善活動に気付かせてくれた当金庫の支店長に感謝しています。また、金融機関は資金のことだけでなく、このようなマネジメントの基本を提供してくれることはとても大事であると実感しました。
当金庫の支店長から“元気な企業がある。一度会ってみませんか”という連絡がありお伺いしました。積極的な社長でその思いを語る姿勢に引きこまれました。 新しく飲食業に進出される意気込みを聞くうちに、今のうちに足元を固めるために3Sをチェックし、改善活動をすることがいいのではないか、という思いになりその場で提案しました。社長も直ぐ“OK”ということで、調査を3回するという前提でスケジュール等を設計し第1回目の調査を11月末に実施しました。このときは、大手スーパーを定年退職した精肉のベテランと当金庫の若手課長代理の3人で半日がかりで実施しましたが、その報告書はA4サイズで30ページを超え指摘事項も多岐にわたるものでした。年末の忙しい中無理を承知で報告会を持たせてもらいましたが、20名弱の従業員さんが集まり初めての調査報告書に接し、遠慮のない指摘に驚いていたのが印象的でした。
Staff Voice
コーディネーター 德丸 登
2回目、3回目と回を重ねるごとに説明会に参加する従業員さんが増え、全員の真剣さが本物になるとともに指摘事項は減っていきました。最後の3回目も我々は真剣に調査をし、端々の細かなところに手が届いていないという指摘をしましたが、それに対して従業員さんは素直に受け止めてくれました。この様子に接し、3S改善意識とその実践に格段の進歩を遂げていることがわかりました。 スケジュール的にも『やきにくの蔵』の開店に
間に合うように3Sの基礎を共有できたことが、なにより良かったと実感しています。 3S改善活動は終わりのない経営改善の実践の一環ですが、このペースで少しずつ階段を上り、より一層高い処を目指してほしいと切望しています。
代表取締役伊藤 忠昭
説明会の様子