30p-0437 アルツ イマー型 知症モデルラットの 間記 障...
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30P-0437アルツハイマー型認知症モデルラットの空間記憶障害と海馬のアポトーシスに対する telmisartanの効果◯鬼村 理香1,2,内田 佳菜子 1,2,原口 珠実1,2,白井 友紀子1,2,進藤 太郎3,4,窪田 香織 1,2,桂林 秀太郎1,2,高崎 浩太郎1,2,三島 健一 1,2,西村 良二3,4,岩崎 克典 1,2,藤原 道弘1,2(1福岡大薬,2臨床疾患薬理学教室,3福岡大医,4精神医学教室)
Telmisartanは、PPARγの部分アゴニストであり、アンギオテンシン II受容体拮抗作用を有する高血圧治療薬である。Telmisartanを服用する高血圧患者は、認知症になりにくい事が大規模臨床試験で報告されている。そこで、本研究ではPPARγに着目し、本剤の学習記憶障害に対する影響を明らかにするために、アポトーシスを生じるアルツハイマー型認知症モデルラット(ADラット)を用いて、行動薬理学的ならびに組織化学的検討を行った。 ADラットは、椎骨動脈を電気焼灼により永久結紮した後に 10分間の 4血管結紮法による処置を行い、同時に虚血日を含めた 7 日間 beta-amyloid (Aβ)を脳室内に投与をすることにより作製した。このラットに 3 mg/kgの telmisartanを虚血後 7日間反復経口投与し、空間記憶障害を 8方向放射状迷路課題にて、海馬 CA1領域のアポトーシスを TUNEL染色法にてそれぞれ検討した。 0.5%hydroxyethyl celluloseの反復経口投与をした vehicle群では、ADラットの学習記憶改善はなかったが、telmisartanの反復経口投与では改善された。また、AD ラットの海馬 CA1 領域のアポトーシスは抑制された。この作用が PPARγに依存するかを確認するために、telmisartan 投与前に PPARγ拮抗薬であるGW9662 を脳室内投与したところ、telmisartan の空間記憶障害改善作用、海馬CA1領域のアポトーシス抑制作用は拮抗された。これらの結果から、telmisartan は PPARγ活性化作用を介して海馬 CA1 領域のアポトーシスを抑制することによって、空間記憶障害を改善することが示唆された。