【平成30年度】第1回食品産業戦略会議 食品製造業...
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農林水産省 食料産業局 /Food Industry Affairs Bureau. Ministry of Agriculture, Forestry and Fisheries.
目次
1
食料産業局
1.食品製造業の現状と労働力不足をめぐる
背景等について ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2
2.食品製造現場における機械化の現状について ・・・ 5
3.食品産業生産性向上フォーラムについて ・・・・・・・ 8
4.職員のモチベーションを高めるための取組について・・ 10
5.今年度のテーマについて ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11
農林水産省 食料産業局 /Food Industry Affairs Bureau. Ministry of Agriculture, Forestry and Fisheries.
食品製造業は、我が国のリーディング産業とされてきた、自動車産業に次ぎ、電機産業や電子産業を上回る規模の産業。
ただし、1人当たりの付加価値額が相対的に低い。 将来労働力人口の不足が確実視される中、食品製造業が持続的に成長していくためには、働き方改革や生産性の向上が急務。
(1)食品製造業の現状
○ 食品製造業と他産業との比較(常時従業者数、売上高、付加価値額)
資料:「平成28年企業活動基本調査(平成27年度実績)」(経済産業省)本調査は、従業員50人以上又は資本金額若しくは出資金額3,000万円以上の会社を調査対象としている。
2
1.食品製造業の現状と労働力不足をめぐる背景等について
企業数(社)
常時従業者数(人)
売上高(億円)
1人当たりの付加価値額(千円)
全産業 28,759 100% 14,471,054 100% 6,824,021 100% 8,591 -
製造業 12,891 44.8% 5,280,149 36.5% 2,832,226 41.5% 11,372 1.32倍(-)
輸送用機械器具製造業
1,334 4.6%
(10.3%)1,048,624
7.2%
(19.9%)702,813
10.3%
(24.8%)13,528
1.57倍(1.19倍)
食品製造業 1,482 5.2%
(11.5%)611,069
4.2%
(11.6%)204,078
3.0%
(7.2%)6,351
0.74倍(0.56倍)
電気機械器具製造業
771 2.7%
(6.0%)394,656
2.7%
(7.5%)178,322
2.6%
(6.3%)9,894
1.15倍(0.87倍)
電子部品・デバイス・電子回路製造業
649 2.3%
(5.0%)352,614
2.4%
(6.7%)187,333
2.7%
(6.6%)10,571
1.23倍(0.93倍)
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(2)食品産業における欠員率の状況
3
2.1
1.3
3.0
0.0
0.5
1.0
1.5
2.0
2.5
3.0
3.5
2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016
(%)
(年)
調査産業計
製造業
食料品、飲料、たばこ・飼料製造業
資料:厚生労働省「雇用動向調査(産業、企業規模、職業別欠員率)」を基に農林水産省作成したものに加筆注1 :「欠員率=(未充足求人数/6月末日現在の常用労働者数)×100」で算出
2016年における欠員率でみると、「食料品、飲料、たばこ・飼料製造業」の欠員率は全産業の1.5倍。全製造業と比較しても2倍以上高い。
2014年以降、他産業よりも急速に欠員率が悪化している。
1.食品製造業の現状と労働力不足をめぐる背景等について
農林水産省 食料産業局 /Food Industry Affairs Bureau. Ministry of Agriculture, Forestry and Fisheries.
食料産業局
1.食品製造業の現状と労働力不足をめぐる背景等について
(3)労働災害の発生状況
食料品製造業の労働災害発生件数は、他の製造業
と比べ著しく多い。
食品製造業では、特に転倒やはさまれ・巻き込まれなどの
労働災害が多い。
食料品製造業における事故型別労働災害発生状況
資料:厚生労働省「労働災害統計」(平成28年12月末累計)
0
1,000
2,000
3,000
4,000
5,000
6,000
7,000
8,000
9,000
食料品製造
繊維工業
衣服その他の繊維
木材・木製品
家具・装備品
パルプ等
印刷・製本
化学工業
窯業土石
鉄鋼業
非鉄金属
金属製品
一般機械器具
電気機械器具
輸送機械製造
電気・ガス
その他の製造
平成28年業種別労働災害発生状況(件数)
資料:厚生労働省「労働災害統計」(平成28年12月末累計)
675
2349
369348
127220
1679
1056
5 1
400
52 7 1 2 5 66 2
666
26 50
500
1000
1500
2000
2500
墜落・転落
転倒
激突
飛来・落下
崩壊・倒壊
激突され
はさまれ・巻き込まれ
切れ・こすれ
踏み抜き
おぼれ
高温・低温の物との接触
有害物等との接触
感電
爆発
破裂
火災
交通事故(道路)
交通事故(その他)
動作の反動・無理な動作
その他
分類不能
(件数)
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2.食品製造現場における機械化の現状について
(1)食品機械の販売動向
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食品機械の国内販売額は、上昇基調で安定的に推移している。 飲食料品製造業向けのロボット出荷金額は、40億円前後で推移している。
資料:日本食品機械工業会発表資料 資料:日本ロボット工業会発表資料
438,568 442,832 448,205
517,546 521,408
0
100,000
200,000
300,000
400,000
500,000
600,000
2012年 2013年 2014年 2015年 2016年
(単位:百万円)
食品機械の国内販売額 飲食料品製造業向けのロボット国内出荷額
4,339
3,505
4,220
4,871
0
1,000
2,000
3,000
4,000
5,000
6,000
2014年 2015年 2016年 2017年
(単位:百万円)
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2.食品製造現場における機械化の現状について
(2)生産工程別の人員分布及び機械導入率
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食料品製造業の製造工程では、「食品製造・加工」、「包装・充填」、「原料処理」の3工程に人手が集中している。
機械導入率の高いいずれの工程とも、現在も多くの人員が分布していることから、専用機械では自動化・省人化が困難な作業内容が、製造現場に多く残されている。
資料:北海道経済産業局『「食料品製造業へのロボット導入の促進」に関する調査報告書』
生産工程別の人員分布 生産工程別の機械化導入率
資料:北海道経済産業局『「食料品製造業へのロボット導入の促進」に関する調査報告書』
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(1)工程間をつなぐ自動化ニーズに対応した機械
近年の人手不足の状況を受けて、食品メーカーの製造現場では、前工程、後工程にかかわらず、省力化・省人化への対応が課題となってきており、生産工程の自動化を図る機械へのニーズが高くなっている。
特に製造現場における一連の生産ラインにおいては、生産工程のメインとなる機械の「つなぎ部分(保管・搬送・移動)」で、人手をかけて作業を行っていることが意外と多く、こうしたつなぎ部分を自動化できる機器・装置類へのニーズが高くなっている。
(2)前工程における低価格機械
■「原料処理」や「食品製造・加工」などの前工程は、不定形、軟弱なものを扱うことに加え、食品メーカーごとに生産手法が異なる部分であり、それぞれの食品メーカーの生産手法に合わせたカスタマイズなどが要求される。
他方、個別ニーズに応じたカスタマイズを行う場合には追加で費用が発生するなど、価格が高くなる傾向にある。このため、オーバースペックに陥らず、低価格で購入できる、食品メーカーの使い方に適合した機械の導入に対するニーズが高くなっている。
(3)食品機械メーカーへの期待が大きい工程について
2.食品製造現場における機械化の現状について
資料:北海道経済産業局『ものづくりから始まる北海道食・モノ・語り』
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(1)開催状況
農林水産省では、本年3月から、食品製造業の生産性向上に関する専門家の講演、生産性向上の取組事例紹介、生産性向上支援業者(メーカー等)のプレゼンテーション、講演者や支援業者との交流等を内容としたフォーラムを全国9か所で開催。
■開催場所・時期 ■参加者の状況(業種別)
東京(3月)、高松(5月)、金沢(6月)、大阪(7月)、札幌(8月)仙台(9月)、広島(10月)、名古屋(11月予定)、福岡(12月予定)
■プログラム
○基調講演
生産管理のコンサルタント、ロボットの専門家等による生産性
向上に向けた講演
○生産性向上に向けた先進事例紹介
食品事業者や機器メーカー等による、食品工場における生産
性向上取組事例の紹介
○生産性向上支援事業者によるプレゼンテーション生産性向上支援事業者(ロボット・厨房機器メーカ-、ソフトウェア、ロボットSIer、コンサルタント、研究機関等)による、食品工場の機械化・自動化、生産管理、人材不足対応、製造技術向上等に関する提案
○交流会講演者、プレゼン企業とフォーラム参加者(食品事業者)が、
企業ニーズや解決策の提案等について活発に意見交換
(人)0 10 20 30 40 50 60
3.食品産業生産性向上フォーラムについて
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(2)フォーラム参加者の主な関心事項
フォーラムの参加者は、工場の機械・ロボットによる自動化やIT等による生産効率化及び工程の見直しによる無駄の排除等に高い関心を示しており、これらに係る支援策へのニーズも高い。
3.食品産業生産性向上フォーラムについて
<今後のフォーラムで聞きたいテーマ>
0 50 100 150 200 250
機械・ロボットによる自動化
IT(情報技術)やIoT
を利用した生産効率化
工程の見直しによる無駄の
排除
生産技術の向上
社員教育による意識改革・
効率性向上
食品の廃棄ロスの削減
<今後、生産性向上に向けて自社で取り組みたいこと>
0 50 100 150
機械・ロボットによる自動化
IT(情報技術)やIoTを
利用した生産効率化
社員教育による意識改革・
効率性向上
工程の見直しによる無駄の排
除
生産技術の向上
食品の廃棄ロスの削減
資料:食品産業生産性向上フォーラム参加者アンケート
(人) (人)
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4.職員のモチベーションを高めるための取組について
農林水産省では、食品産業における働き方の現状、課題について議論するための検討会を設置し、本年3月に「食品産業の働き方改革早わかりハンドブック」を作成。
食品産業事業者の気づきと改善に向けての着手を促すためのチェックリストに始まり、課題解決のヒントや企業の取組事例を紹介。
資料:農林水産省「食品産業の働き方改革早わかりハンドブック」
意識を変える
1.職場の働き方や従業員の抱える問題について定期的に把握している。
2.経営方針の中で「どのような働き方を目指すか」等を明示している。
3.従業員から働き方改革の取組について提案がある。
行動を変える
4.従業員の労働時間を把握している。
5.週休2日も取っており、年次有給休暇も取得しやすい。
6.時間外労働について、仕事の仕方を見直すことにより減少傾向にある。
7.突然の休みや柔軟な勤務時間に対応できる支援体制がある。
従業員を守り、育てる
8.過去に発生した労働災害に学び、類似災害の発生が防げている。
9.ハラスメントが発生していない職場である。
10.ここ数年のうち、育児・介護を理由に離職した従業員はいない。
11.パート・アルバイトが短期間で離職することなく、継続して勤務している。
12.従業員が学び育つための仕組み・風土がある。
■食品産業の働き方チェックリスト ■■ハンドブック掲載企業事例
三州製菓株式会社
取組内容
1.女性が活躍できる組織・体制整備2.ダイバシティ経営推進3.ワーク・ライフ・バランスの推進4.全員活躍経営の仕組み作り
取組成果
1.女性が開発した商品が売上の12%を占める大ヒット
2.有給取得率83%、男性の育児休暇取得率100%、女性役員50%
3.正社員登用制度では女性性社員の27%がパート社員から正社員に登用
4.77歳までの継続雇用性
資料:農林水産省「食品産業の働き方改革早わかりハンドブック」
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5.今年度のテーマについて
○ 具体的な検討項目(案)
①食品製造現場における労働力不足の現状
②食品製造現場における機械化の現状
③ AI、センサー等を活用した最先端機械の研究状況及び近い将来開発可能な機械
④皮むき、切断といった基本工程機械の研究状況及び近い将来開発可能な機械
⑤作業工程の見直しや動線の合理化による省力化の取組
⑥職員のモチベーションを高める取組
⑦今後、各社で実施すべき課題克服に向けた取組と国としての取組の整理
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