平成29年度税制改正に関する経済産業省要望 概 要 · 研究開発税制を...

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平成29年度税制改正に関する経済産業省要望 平成28年8月

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平成29年度税制改正に関する経済産業省要望 【 概 要 】

平成28年8月 経 済 産 業 省

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Ⅰ.第4次産業革命を中心とした「攻めの経営」の推進 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2

Ⅱ.地域経済・中小企業の活力強化 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 19

Ⅲ.グローバル化に対応した事業環境整備 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 38

Ⅳ.車体課税の抜本見直し ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 52

Ⅴ.制度整備・改善 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 59

Ⅵ.新設・延長・拡充 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 62

Ⅶ.共同要望(他省庁主管) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 65

目 次

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Ⅰ.第4次産業革命を中心とした「攻めの経営」の推進

2

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研究開発税制 (法人税・所得税・法人住民税)

要望内容

延長・拡充

現行制度

○第4次産業革命を強力に推進するため、AIやビッグデータ等を活用した高付加価値なサービス開発を支援。

○ビジネスモデルが大きく変貌し、経営の不確実性が高まる中、あらゆる産業の様々な研究開発投資をしっかり後押しし、GDP目標の着実な実現を図るため、研究開発投資の増減に応じて支援にメリハリをつける仕組みを導入するとともに、中小企業向け支援を強化する等の充実を図る。

【適用期限:上乗せ措置については、平成28年度末まで】

① 「試験研究」の定義中に、「サービス開発」を追加する。 ②増加型の廃止に伴って、総額型の控除率について、試験研究費の増減に準じてメリハリがつく仕組み等を導入する。 ③上乗せ措置のうち、高水準型については延長する。 ④オープンイノベーション型の運用改善を行う。

試験研究費の定義について(租税特別措置法) 製品の製造又は技術の改良、考案若しくは発明にかかる試験研究のために要する費用で政令で定めるものをいう。

上乗せ措置 【C 増加型】 試験研究費が過去3年平均より増加した場合の控除制度

【D 高水準型】 試験研究費の対売上比率が10%を超えた場合の控除制度

選択

本体(恒久措置)

控除率:8~10%(大企業) ※中小企業者等(資本金1億円以下の法人等)の場合 一律12%

控除率: 相手方が大学・特別研究機関等の場合⇒30% 相手方がその他(民間企業等)の場合⇒20%

控除上限 (法人税額)

A:25%

B:5%

C又はD:10%

【A 総額型】 試験研究費総額にかかる 控除制度

【B オープンイノベーション型】 大学、国の研究機関、企業等との共同・委託研究等の費用(特別試験研究費)総額にかかる控除制度

③延長

①サービス開発を追加

②控除率の仕組み変更

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工学的・ 自然科学的手法

情報(データ)の収集

提供サービスの設計、 シミュレーション等

サービス現場への適用、効果検証

○サービスは無形性等の特性を持つため、従来、その付加価値はサービス提供者の経験則(「暗黙知」)に依存しており、サービス産業の生産性は低い。

○サービス産業の生産性を飛躍的に向上させるためには、データの収集・分析等の工学的・自然科学的な手法により「暗黙知」を「形式知」に変換することでサービスの付加価値を高める研究開発が必須。

(参考1)研究開発税制において新たに支援すべき“サービス開発”

データの分析、 データベース化等

観測

分析

設計

適用

【工学的・自然科学的手法によるサービス開発】

①既存サービスを再設計し、既存サービスの提供価値自体を高める

②新規サービスを設計し、新たな顧客価値を提供する

研究開発税制の対象に加えるための要件

工学的・自然科学的な手法(データの収集・分析等)を伴う研究開発によって、

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(参考2)研究開発税制の対象に追加するサービス開発の事例

飲食サービスの例

料理の提供時間の短縮や最適化等、付加価値を高めるための研究開発。 骨伝導イヤホンマイクやセンサー等を駆使して、従業員の行動に関するあらゆるデータを収集し、3D空間に

おける分析によって、最適な従業員の行動や店舗空間を見つけ出す。

農業支援サービスの例

熟練農家の「ノウハウ」を、データとして収集・分析することで、熟練農家の農作業の「判断」を見える化し、若者など非熟練農家の農作業にかかる「判断」を支援するサービスの開発。 熟練農家に装着したカメラや農地に設置したセンサー等から収集したデータを分析し、最適な農作業の「判

断」を非熟練農家に助言できるサービスを生み出す。

熟練農家に アイカメラの装着

農地に各種センサー設置

アイカメラの映像やセンサー等の情報と合わせて、熟練農家の注視時間、注視場所を抽出、これをもとに「判断」をパターン化

従業員にセンサー等を装着 3D空間(仮想空間)で従業員の行動を分析

料理の提供時間の短縮や最適化等に資する最

適なモデルと その効果分析

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(1)業種別 研究開発税制適用企業数 (2)業種別 研究開発税制適用額

(出典) (1)及び(2)は、平成26年度財務省「租税特別措置の適用実態調査結果に関する報告書」 (3)は、総務省「科学技術研究調査」平成27年調査結果(平成26年度実績)

化学 10.6%

輸送用機械 4.2%

機械 8.6%

産業用電気 機械 6.6%

食料品 6.5%

ゴム製品 1.0% 窯業等

2.0% 理化学機械

2.3%

他の製造業 24.7%

卸売業 12.7%

サービス業 11.5%

運輸通信公益

0.8%

その他 8.5%

化学 16.2%

輸送用機械 35.1%

機械 8.8%

産業用電気機械

7.9%

食料品 1.6%

ゴム製品 1.5%

窯業等 1.4%

理化学機械 1.4%

他の製造業 12.8%

卸売業 1.9%

サービス業 1.7%

運輸通信公益 6.5%

その他 3.3%

9,087社 6,746億円

○研究開発税制は、製造業を中心としつつも、サービス業や卸売業等、幅広い業種で活用されている(企業数ベース)。

○金額ベースでも、実際の研究開発投資額と比べて、研究開発税制の業種別利用状況に基本的には著しい差がある訳ではない。

(参考3)研究開発税制の活用状況(最新の平成26年度実績)

(3)業種別研究開発投資構成比 (金額ベース)

化学工業, 5.5%

医薬品製造業, 11.0%

輸送用機械器具製造業, 20.9%

業務用機械器具 製造業, 7.8% 電気機械器具製造

業, 8.2%

情報通信機械器具 製造業, 12.0%

その他製造業, 21.0%

非製造業, 13.5%

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大企業 :2,866社, 31.5%

中小企業:6,221社, 68.5%

平成23年度 平成24年度 平成25年度 平成26年度

研究開発税制を活用している企業数 7,396社 8,003社 8,930社 9,087社

研究開発税制を活用している中小企業数 5,290社 5,528社 6,067社 6,221社

中小企業における研究開発税制活用金額 288億円 283億円 322億円 364億円

中小企業の割合 71.5% 69.1% 67.9% 68.5%

○研究開発税制を活用している企業は、9,087社。そのうち約7割(6,221社)は中小企業(税法上は資本金1億円以下)。

(出典)「26年度財務省・租税特別措置の適用実態調査の結果に関する報告書」を基に作成。

(参考4)中小企業における活用状況(平成26年度実績)

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対前年 伸び率

1.57% 0.92% 7.40% 4.56% 3.77% -1.42% -12.1% 0.22% 2.18% -0.83% 4.28% 7.05%

(参考5)研究開発投資にかかる政府目標

○安倍政権が「新3本の矢」の1つとして掲げた「2020年頃の名目GDP600兆円達成」の目標や、日本再興戦略改訂2016(閣議決定)等に基づく「今後5年間での民間研究開発投資の対GDP比3%」目標の達成には、民間企業の研究開発投資を年平均約5%増としていくことが必要。

H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H32

502 503 505 509 513 490 474 481 474 474 482 490 600

【名目GDPの推移(金額:兆円)】

11.8 11.9 12.7

13.3 13.8 13.6

12.0 12.0 12.3 12.2 12.7

13.6

18.0 2.34 2.36

2.52 2.62 2.70 2.79 2.53

2.50 2.59 2.57

2.63

2.77 3.00

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

3.0

0

2

4

6

8

10

12

14

16

18

20

H15fy H16fy H17fy H18fy H19fy H20fy H21fy H22fy H23fy H24fy H25fy H26fy H32fy

民間研究開発投資(兆円)

民間RD費 対GDP比率(%)

※我が国の研究開発投資総額は年間約18兆円であり、平成28年の第3四半期よりGDP計算に加算される。

H27~H32の 6年間で年

平均4.8%増加し続けることが必要

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○第4次産業革命の到来に伴う、産業構造とグローバルな企業競争環境の劇的な変化の中で、我が国の企業が今後も競争力を維持・強化していくためには、従来よりもさらに不確実性が高く、難しい研究テーマへの研究開発投資が求められる。

(参考6)これからの民間企業の研究開発投資

企業の研究開発投資について

IoT・ビッグデータ・人工知能等による変革は、従来にないスピードとインパクトで進行。 ①大量生産・画一的サービスから、個々のニーズに合わせたカスタマイズ生産・サービスへ(個別化医療、即時オーダーメイ

ド服、各人の理解度に合わせた教育) ②社会に眠っている資産と、個々のニーズを、コストゼロでマッチング(Uber、Airbnb等) ③人間の役割機能のサポートや代替(自動走行、ドローン施工管理・配送) ④新たなサービスの創出、製品やモノのサービス化(設備売り切りから、センサーデータを活用した稼働・保全・保険サービス

へ)、ネット社会からリアル社会への進出(グーグルのロボット製造等)、データ共有によるサプライチェーン全体での効率性の飛躍的向上(生産設備と物流・発送システムの統合)

第4次産業革命の到来

「第4次産業革命」のもとで、企業の競争力の源泉となる研究開発投資は、AI(人工知能)、自動運転など、従来よりも技術難易度が高く、不確実性の高い研究テーマへの投資。

そもそも、企業にとって、研究開発投資は「今すぐには稼げない投資」。

そのため、業績変動等の影響により優先順位が低くなる。特に、中長期の研究ほど影響を受けやすい。

さらに・・

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(参考7)日米主要企業の研究開発投資比較

○米国では、グローバル市場で競争力を有するマイクロソフトやグーグル等の新進気鋭の企業が研究開発投資を積極的に行っており、大きな利益を生み出している。

○第4次産業革命の中で日本企業がグローバルに競争していく相手はこうした企業であり、さらなる継続的かつ積極的な研究開発投資が必須。

社名 研究開発費2014年度

(単位:億円)

対売上高研究開発費率%

利益率% 時価総額 2015年決算期 (単位:兆円)

マイクロソフト 12,878 12.9 29.9 48.3

インテル 12,334 20.6 27.7 16.8

グーグル 10,511 14.9 25.0 57.8 ジョンソン&ジョンソン 9,081 11.4 29.3 33.3

ファイザー 8,884 16.8 28.6 20.2 ゼネラルモーターズ 7,911 4.7 1.0 5.5

メルク 7,861 17.4 18.7 16.2

フォード 7,378 4.8 2.4 6.0

シスコシステム 6,626 12.6 22.9 15.8

アップル 6,458 3.3 28.7 66.1

米国の研究開発投資額上位10社) 日本の研究開発投資額上位10社)

社名 研究開発費 2014年度

(単位:億円)

対売上高研究開発費率%

利益率% 時価総額 2016年5月時点

(単位:兆円)

トヨタ自動車 8,902 3.7 10.1 18.9

本田技研工業 5,940 5.0 5.0 5.5

日産自動車 4,486 4.4 5.0 4.8

ソニー 4,115 5.7 0.8 3.9

パナソニック 4,052 5.9 5.0 2.4

デンソー 3,504 9.2 8.3 3.8

武田薬品工業 3,386 21.5 4.8 3.8

東芝 3,125 5.3 2.6 1.0

日立製作所 2,229 3.4 6.6 2.3

キヤノン 2,110 8.3 9.8 4.1

(出典)EUROPEAN COMMISSION 「The 2015 EU Industrial R&D Investment Scoreboard」 (データは2014年度実績)、「米国会社四季報」、「会社四季報」より経済産業省作成。 ※研究開発費の為替レートは、「129.80円/ユーロ」で試算(2015年3月31日時点)。米国の時価総額の為替レートは、「112.47円/ドル」で試算(2016年3月31日時点)

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(参考8)諸外国の研究開発税制の動向

○多くの国が法人税率を引き下げつつ研究開発税制の深掘り等を実施している。

日本 総額型:恒久

上乗せ型:時限

租税特別措置法

2014 増加型の控除率について、増加率に応じて大きくなる(最大30%)制度に改組(改正前は、一律5%)

2015 総額型の控除上限率の恒久化及び引上げ(20%→25%)、OI型の控除率の大幅な拡充(12%→20%または30%)ほか

米国 恒久措置

内国歳入法 2015 従前時限措置だった研究開発税制を恒久化(2016年より措置)

英国

恒久措置

法人税法

2008 大企業向け追加損金算入割合を引上げ(25%→30%) 2008~2012 中小企業向け追加損金算入割合を引上げ (50% → 75%:08fy → 100%:11fy → 125%:12fy) 2013 大企業向けの税額控除制度の導入

仏国

恒久措置

フランス税法

2013 従前の措置に加え、中小企業が革新的な技術開発に要した一定の支出に対して20%の税額控除の創設

2015 税額控除率を20%から40%に引上げ

韓国 恒久措置 ※重点分野は

時限措置

租税特例制限法

2008 重点分野(新成長動力及び源泉技術研究開発)に対する税額控除を創設 2013 中堅企業の類型を設け、優遇控除率を適用(以前は、大企業と同率)

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企業のベンチャー投資促進税制(新事業開拓事業者投資損失準備金)(法人税・法人住民税・事業税)

○事業拡張期にあるベンチャー企業への投資を活性化するための、事業会社によるベンチャーファンドを通じたベンチャー投資を支援する準備金制度について、地方におけるベンチャー投資を拡大するため、地方ファンドの規模要件の見直し等を行った上で延長する。

要望内容

○適用期限を2年間延長する。(平成30年度末まで) ○組合の主たる事務所が東京都以外にあるものは、ファンド規模要件を概ね10億円以上とし、目標内部収益率を10%以上と

する等、要件を緩和する。

拡充・延長

【適用期限:平成28年度末まで】

認定 ベンチャー

ファンド

出資

事業拡張期の ベンチャー企業

企業

出資・ハンズオン支援 (経営・技術指導)

税制上の支援措置

投資計画認定

損失準備金として損金算入

【認定要件(概要)】 ○ファンド要件 →投資事業有限責任組合であること →ファンド規模が概ね20億円以上で

あること →実施期間が10年以下であること →目標内部収益率が15%以上である

こと ○投資計画要件 →新事業開拓事業者※1への投資で

のみで構成されている計画であること ※1新事業開拓事業者の要件 ・大規模法人グループに属さないこと ・株式会社であること ・非上場・非登録会社であること ・風俗営業を行っていないこと ・暴力団等ではないこと

現行制度

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5.6 13.1 7.1 17.4 8.7 7.4 7.6 5.4 9.3

11 16

21

27

21

45

35

6

28

0

5

10

15

20

25

30

35

40

45

50

0

5

10

15

20

25

北海道 東北地方 関東地方 東京都 中部地方 近畿地方 中国地方 四国地方 九州 ・沖縄地方

平均規模(億円)

総ファンド数(本)

(参考)ベンチャー投資に関する現状と課題

○1982年~2015年までの各地方において設立したファンド規模の平均

地方において20億円規模のファンドは極めて少ない。

■地域別のベンチャーファンドの実情

○平成26年1月20日の制度開始後、認定件数は徐々に増加。 ○我が国のベンチャーファンドは東京に一極集中しており、かつ規模要件でも地域間格差が顕在。

[地域別ファンド平均規模]

出所:ベンチャー白書2015

東京都以外の地方で投資活動を行うベンチャーファンド(地方ファンド)は、ファンド規模が小さく、組成されているファンドの数も少ない傾向にある。そうした状況を勘案し、所要の見直しを講じる必要がある。

現行制度のファンド規模

改正要望のファンド規模

認定年月日

認定を受けた投資事業有限責任組合の名称

無限責任組合員の名称 所在地

1 平成26年 11月28日

リード・グロース3号投資事業有限責任組合

・リード・キャピタル・マネージメント株式会社 ・LCP3号有限責任事業組合

東京都

2 平成27年 4月10日

次世代日本先端技術育成ファンド投資事業有限責任組合

・合同会社ユーグレナSMBC日興リバネスキャピタル

東京都

3 平成27年 4月15日

ファストトラックイニシアティブ2号投資事業有限責任組合

・株式会社ファストトラックイニシアティブ 東京都

4 平成28年 5月12日

CatalyST1号投資事業有限責任組合

・カタリストキャピタル株式会社 東京都

平成28年6月24日

地方創生新潟1号投資事業有限責任組合 ・新潟ベンチャーキャ

ピタル株式会社 新潟県

6 平成28年7月29日

SBIベンチャー投資促進税制投資事業有限責任組合

・SBIインベストメント株式会社 東京都

■認定ファンド一覧(平成28年8月1日現在)

年間認定件数は徐々に増加

(本) (億)

(東北地方は、東日本大震災の復興の観点等から大規模ファンドが設立されたことが平均値を押し上げていると推測される)

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特定事業再編投資損失準備金制度の延長 (法人税、法人住民税、事業税)

要望内容

延長

現行制度

○第4次産業革命に対応し、企業の機動的な事業再編を促進するため、同業種間の事業統合を支援する準備金制度の適用期限を延長する。

【適用期限:平成28年度末までに計画認定をうけたもの】

○産業競争力強化法の計画(特定事業再編計画)認定を受けた事業の切り出し・統合を行う企業(下図の事業会社A、B)は、統合会社への出融資額の7割を限度に損失準備金を積み立て、損金に算入することができる。

○積み立てた準備金は、原則、積立期間(10年間)終了日の翌事業年度から均等額を取り崩し、所得の計算上、益金に算入していくことになる。

○準備金制度について、適用期限を2年延長する(平成30年度末まで)。

産業競争力強化法の計画認定 (特定事業再編計画)

特定事業再編投資損失準備金制度

※産業競争力強化法創設以降の利用状況 件数 :10件(5計画) 業種 :機械製造業、産業用電気機械器具製造業、 非鉄金属製造業、水産加工業 等 投融資額(推計):3,900億円

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組織再編成税制等の見直し (所得税、法人税、法人住民税、事業税)

要望内容

見直し

現行制度

○我が国ではスピンオフは、課税繰延措置が受けられないことが重大な障害となって、現実的にはほぼ実施不可能となっている。

○第4次産業革命に対応し、企業の機動的な事業再編を促進するためには、スピンオフを課税繰延の対象とする等の税制措置を行うことが必要。

○現行税制では、スピンオフに際して以下のとおり課税が発生。 ①分割型分割の場合 ・法人レベルでの課税関係 移転する資産に対する譲渡損益課税がなされる。 ・株主レベルでの課税関係 一般株主に対し、みなし配当課税がなされる。 ②子会社株式の現物配当の場合 ・法人レベルでの課税関係 子会社株式に対する譲渡損益課税がなされる。 ・株主レベルでの課税関係 一般株主に対し、配当課税がなされる。

○特定事業を切り出して独立会社とするスピンオフの円滑な実施を可能とする等の税制措置を講じる。

移転する資産に対する譲渡損益について課税が発生

A社がB社株を現物配当

一般株主にみなし配当課税がなされる

A社 B事業

A社 B社

A社

B社

A社 B社 A社がB社株を現物配当

一般株主に配当課税がなされる

子会社株式に対する譲渡損益について課税が発生

一般株主

一般株主

B事業をB社として分離設立

【期限の定めなし】

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高度外国人材等の保有する国外財産に係る相続税等の見直し (相続税・贈与税)

相続人 受遺者 受贈者 被相続人 贈与者

国内に 住所あり

国内に住所なし

日本国籍あり

日本国籍 なし 5年以内に国内

に住所あり 5年超国内に住所なし

国内に住所あり ② ①

国内に住所なし 5年以内に国内に住所あり

5年超国内に住所なし ③

国内財産・国外財産ともに課税

国内財産のみに課税

現行制度

要望内容

○日本で就労する外国人が死亡した場合(上記①②)、日本で就労する外国人が国外財産を取得した場合(上記③)について所要の制度整備を行う。

拡充

日本に企業内転勤等により家族帯同で在留している外国人が在留中に死亡した場合、国外財産にも課税

○現行の相続税・贈与税制では、日本で就労する外国人が国内で死亡した場合等に、国外財産に対し本国で課される以上の税負担が生じる懸念があり、来日の阻害要因となっている。

○高度外国人材等が我が国で働きやすい環境を構築するため、高度外国人材等の保有する国外財産に係る相続税・贈与税の見直しを図る。

日本に企業内転勤等により単身赴任で在留している外国人が在留中に死亡した場合、国外財産にも課税

日本に企業内転勤等により在留している外国人の親族等が外国で死亡した場合、国外財産にも課税

16

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国内外の 財産を相続

国外財産

日本

日本に駐在する外国人

国内財産 国外財産

外国に住む親族

外国

相続時課税

日本で死亡すると欧州にある財産に対しても日本の相続税が課税されるので、日本駐在を中断して帰国した。

日本に駐在する外国人死亡時の相続税のイメージ 問題となった事例

<欧州出身者>

日本への出向契約書の中で、日本で死亡した場合の日本の相続税について会社と駐在員のどちらが負担するか揉めた。

<米国出身者>

日本赴任期間中に亡くなった際に日本の相続税が課されないようにするため、赴任前に主要財産を親族に贈与しなくてはならない。

<欧州出身者>

日本への駐在 の阻害要因

(参考1)外国人に対する相続税・贈与税の課税関係

○現行制度では、日本に住む外国人が死亡すると、国外に住む親族に国外の財産を相続する場合であっても、日本の相続税の課税対象となることがあり、日本への移住をためらわせる原因となっている。(贈与でも類似の問題あり。)

日本に駐在する外国人 外国に住む親族

国内財産

日本 外国

死亡

国内外の 財産を保有

<赴任時>

<死亡時>

相続時課税

日本に赴任して2か月後に死亡。全世界財産に日本の相続税が課され、日本の相続税支払いのため、母国にある自宅の売却を余儀なくされた。

<欧州出身者>

17

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(参考2)政府施策との関係

○高度外国人材等の受け入れは、成長戦略においても明確にその必要性が唱えられている。 ○相続税等の見直しにより外国人が来日する際の障害を取り除くことで、高度外国人材等の受け入

れを推進することができる。

これらの日本の税法の改正により、日本で就労する外国人およびその雇用者である多国籍企業の間において大きな懸念が生じている。(略) 当該改正は、日本の国際化への取組みおよびその将来にとって不可欠な外国の知的資本および多国籍企業による対内投資を呼び込む能力に長期的に悪影響を及ぼす可能性がある。

在日米国商工会議所意見書(「高度な技能を持った外国人にとって日本がより魅力的な場所となるために、 相続税・贈与税の課税対象者の改正を」(平成27年11月))

2-3.多様な働き手の参画 (2)新たに構ずべき具体的施策 ⅳ) 外国人材の活用 第4次産業革命の下での熾烈なグローバル競争に打ち勝つためには、高度 IT 人材のように、情報技術の進化・深化に伴い幅広い産業で需要が高まる高度外国人材について、より積極的な受入れを図り、我が国経済全体の生産性を向上させることが重要である。 このため、高度外国人材の受け入れに向けた前向きなメッセージを積極的に発信するとともに、自国外での就労を目指す高度外国人材にとって我が国の生活環境や本邦企業の賃金・雇用人事体系、入国・在留管理制度等が魅力的なものとなるよう、更なる改善を図り、これらの人材が長期にわたり我が国で活躍してもらえるような戦略的な仕組みを構築する。 (略) ⑤ 外国人受入れ推進のための生活環境整備 外国人の受入れ推進のためには、在留管理制度上の取組のみならず、外国人が日本で生活していくために必要な環境整備を進めていく必要がある。

日本再興戦略2016(平成28年6月2日閣議決定)

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Ⅱ.地域経済・中小企業の活力強化

19

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所得拡大促進税制の見直し (法人税・所得税・法人住民税)

要望内容

拡充

○中堅・中小企業の賃上げを強力に後押しし、 「成長と分配の好循環」を地域の中堅・中小企業にもたらすため、これら企業に対する所得拡大促進税制の支援措置を強化する(税額控除率の拡充等)。

○中堅・中小企業の税額控除の倍増等を実現し、賃上げのための環境 整備を強力に進める。

○大企業向け支援措置のあり方については、足下の賃上げ動向等を踏まえて所要の見直しを検討する。

給与等 支給額 の総額

平成24年度 (基準事業年度)

平成27年度 (前事業年度)

平成28年度 (適用年度)

24年度から の増加額

【要件①】給与等支給額※1の総額:平成24年度から一定割合(下図)以上増加

【要件③】平均給与等支給額※2:前事業年度を上回る

【要件②】給与等支給額の総額:前事業年度以上 24年度から の増加額 【要件①】

【要件②】

(【要件③】も満たせば)

※1 国内雇用者への支払給与。役員給与は含まず、パート・アルバイトへの給与を含む。通常の賃 金のほか、残業手当・賞与を含む。退職手当は含まない。 ※2 国内雇用者への支払給与のうち、継続雇用者に限った雇用者一人あたりの月割りの平均給与 (対象を継続雇用者に限ることで、新規採用等により平均給与等支給額が下がるのを防ぐ。)

《平成27年度改正後(現行)》

賃上げ増加額の20%を税額控除 (中堅企業は法人税額の20%、中小企業は40%が上限)

《平成29年度改正後(要望)》

増加額の10%を税額控除 (法人税額の10%(中小は20%)が上限)

増加額の10%を税額控除 (法人税額の10%が上限)

中堅・中小企業(拡充)

大企業(継続)

現行制度

≪要件①給与総額増加要件の一定割合≫ (雇用者給与等支給増加割合)

大法人 4%

5%

2% 2% 3%

H28 H29 H24 H27 H26 H25 H28 H29 H24 H27 H26 H25

中小法人

2% 2% 3% 3% 3%

20

※税額控除の対象に社会保険料の増加分を追加。

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(参考1)大企業と中堅・中小企業の賃金水準の格差等について

○従業員規模が大きい企業と従業員規模が小さい企業の賃金格差は依然として大きい。 ○資本金規模別の労働分配率についても、資本金1億円未満の企業においては労働分配率が約

80%、1~10億円未満の企業においては約70%であり、大企業と比べ、中堅・中小企業は賃上げ余力に乏しい。

(出典) 法人企業統計調査(財務省)より次のとおり計算 労働分配率=人件費÷付加価値額 人件費=役員給与+役員賞与+従業員給与+従業員賞与+福利厚生費 付加価値額=人件費+支払利息等+動産・不動産賃借料+租税公課+営業純益

労働分配率の推移

(出典)賃金構造基本統計調査(厚生労働省)

所定内賃金 労働者数1,000人以上の企業との差額(月額)

所定内賃金の推移(月額)

21

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○事業主の社会保険料(法定福利費)の負担率は年々増加しており、平成28年度は推計16.2%、従業員1人当たり年間約76万円に。

○企業の社会保険料負担の売上総利益に占める割合も年々増加しており、特に中堅・中小企業では、比率が高い。

○中小企業の求める支援策として、「社会保険料負担の軽減」と「法人税等の税負担の軽減」が挙げられている。

(参考2)中堅・中小企業の社会保険料負担について

(出典) 左上:経済産業省作成 ※負担率は、健康保険料、厚生年金保険料、介護保険料、児童手当拠出 金、雇用保険料、労災保険料、一般拠出金の合算(厚生年金保険料は、各年度4月時点の料率で算出) ※支払額は、賃金構造基本統計調査(全国・一般労働者・所定外と賞与含む)をもとに推計 右上:法人企業統計(財務省)、国民経済計算年報(内閣府)より経済産業省作成 ※国民経済計算年報より実行社会保険料率を簡便に計算した上で、それを法人企業統計(福利厚生費を含む)に乗じることで、社会保険料負担を算出。中小企業は資本金1億円未満、中堅企業は1~10億円未満、大企業は10億円以上 左下:平成27年度最低賃金引き上げの影響に関する調査(日本商工会議所)

事業主の社会保険料(法定福利費)負担の現状 売り上げ総利益に占める社会保険料負担の割合(資本金規模別)

最低賃金引き上げに対応するために必要と考える支援策

22

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【固定資産税】 経営強化法の

認定を受けた設備

先端設備

(工業会等による確認)

(A類型)

現行制度

【上乗せ措置】

機械装置

【通常措置】 【通常措置】

器具備品 建物附属設備

拡充

先端設備

(工業会等による確認)

(A類型)

※「器具備品、建物附属設備」の例

○器具備品 - 冷蔵機能付き陳列棚及び陳列ケース -業務用冷蔵庫 等 - その他のもの(ロボットスーツ等) ○建物附属設備 - 電気設備・空調・給湯設備 等

- 昇降機設備 等

例:介護支援ロ ボットスーツ 例:高効率空調

【固定資産税】 経営強化法の

認定を受けた設備

拡充

中小企業投資促進税制

生産ライン等の改善に資する設備

(経産局による確認) (B類型)

(経営強化法の認定)

生産ライン等の改善に資する設備 (B類型) 拡充

拡充案

ソフトウェア等

経営強化法関連

機械装置 ソフトウェア等

固定資産税

特例

30%特償

税額控除7%

即時償却

税額控除10%※

(3年間)

半分に減免

中小・小規模事業者の「攻めの投資」を支援する税制措置 (法人税・所得税・法人住民税・事業税・固定資産税)

○中小・小規模事業者の「攻めの投資」を後押しするため、中小企業等経営強化法の枠組みに沿っ

て、中小企業投資促進税制を抜本拡充し、サービス業の生産性向上を強力に支援。これに対応した形で固定資産税の特例対象も拡大。

○具体的には、対象設備について、高効率の冷蔵陳列棚、省エネ空調等の器具備品・建物附属 設備を追加する。

要望内容

○対象設備を追加(器具備品・建物附属設備の追加等) ○経営強化法の枠組みに沿って、先端設備等について、

中小企業投資促進税制、固定資産税の特例を拡充。 ○2年間延長(平成30年度末まで)

【上乗せ措置】

拡充

※資本金3000万円以下の法人に適用

例:高効率冷蔵陳列棚 23

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○中小企業投資促進税制は、中小企業における生産性向上等を図るため、一定の設備投資を行った場合に、 税額控除(7%)又は特別償却(30%)の適用を認める措置。(上乗せ措置は税額控除10%又は即時償却)

○上乗せ措置を含めて延長するとともに、サービス産業の生産性向上を促進するため、対象設備に、高効率の冷蔵陳列棚、省エネ空調等の器具備品・建物附属設備を追加し、税制措置を強化する。

中小企業投資促進税制 (法人税・所得税・法人住民税・事業税)

【適用期間:平成28年度末まで】

拡充

現行制度

対象業種 ほぼ全業種(娯楽業、風俗営業等を除く)

対象事業者 中小企業者等(資本金1億円以下)

対象設備

機械・装置 すべて(1台160万円以上)

器具・備品 電子計算機(複数台計120万円以上)デジタル複合機(1台120万円以上)

試験又は測定機器(複数台計120万円以上)

工具 測定工具及び検査工具(複数台計120万円以上)

ソフトウェア 複数基計70万円以上

貨物自動車 車両総重量3.5t以上

内航船舶 取得価額の75%

通常措置の対象業種・設備

上乗せ措置の要件・適用対象設備

特別償却 税額控除

個人事業主 資本金3,000万以下の中小企業 即時償却 10%

資本金3,000万超の中小企業 即時償却 7%

※通常措置の対象設備のうち、一定の要件を満たす設備が上乗せ措置の対象。

税制措置の内容

税制措置の内容

特別償却 税額控除

個人事業主 資本金3,000万以下の中小企業 30% 7%

資本金3,000万超の中小企業 30% 措置無し

先端設備

生産ライン等の改善に資する設備

投資利益率が5%以上となる投資計画に記載された設備

→申請者が作成する簡素な設備投資計画を、税理士等がチェックし、

経済産業局が確認。

最新モデルであること、旧モデルと比べて年平均1% 以上生産性が向上するなど一定の要件に該当する設備 →工業会等がメーカーから申請をうけて確認

(通称:A類型)

(通称:B類型)

要望内容 対象設備の追加(器具備品・建物附属設備の追加)等の拡充を図った上で、2年間延長(平成30年度末まで) 24

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○認定経営力向上計画に基づき、中小企業者等が取得する生産性を高める設備について、3年間、固定資産税を1/2に軽減する措置。

○サービス産業の生産性向上を促進するため、中小企業投資促進税制の拡充と合わせ、現在対象となっている機械装置に加え、高効率の冷蔵陳列棚、省エネ空調等の器具備品・建物附属設備を対象設備に追加。

中小企業等経営強化法に係る固定資産税の特例 (固定資産税)

支援措置

【適用期間:平成30年度末まで】 現行制度

要望内容

○固定資産税の特例について、対象設備を追加(生産性を高める器具備品・建物附属設備)

経営力向上計画

申請事業者

中小企業者等

事業分野別 推進機関

申請 認定 優良事例の提供

経済産業大臣 (基本方針の策定)

主務大臣 (事業分野別指針の策定)

認定計画に基づき、生産性を高めるための

機械装置を取得した場合、3年間、固定資

産税を1/2に軽減

普及啓発 人材育成

支援機関 申請を サポート

例 ・商工会議所・商工会 ・金融機関 ・税理士、診断士等の専門家

【中小企業等経営強化法の計画認定スキーム】

拡充

25

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(参考1)サービス業の投資喚起の必要性と設備追加の必要性

○設備別の設備投資額の割合を見ると、卸小売業やサービス業では、現行税制の対象となっている機械装置以外(建物附属設備や器具備品)の設備投資が大きい。

○これらの設備を対象に追加し、中小企業の生産性向上を推進する「中小企業経営強化法」の枠組みに沿って投資を行う中小企業には、中小企業投資促進税制上の即時償却や固定資産税特例等の措置を講じる。

69% 16%

10% 5%

製造業

19%

13%

16%

52%

卸・小売業

20%

60%

14%

6%

サービス業

(出所)内閣府「民間企業投資・除却調査」※建物は除いて算出

○中小企業の設備別投資割合(業種別)

介護サービス

・介護業務の生産性向上と介護職員の負担軽減

-介護ロボットやICT等の活用 等

【介護支援ロボットスーツ】

・ICT投資・設備投資・省エネルギー投資に関する事項

- 労働環境や作業効率、 エネルギー 効率等の改善 等

○経営強化法の事業分野別指針における設備例

その他 (車両等)

器具備品

機械装置

その他(車両等)

その他 (車両等)

機械装置

建物附属設備

建物附属設備 機械装置

器具備品

建物附属設備

器具備品

旅館業

【高効率空調】

卸・小売業

・仕入活動及び経費管理に関する IT及び施設の利用

- 設備の省エネルギー及び省力化の推進 - IT・ロボットの活用による棚卸作業の効率化 等

26

【高効率冷蔵陳列棚】

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0% 10% 20% 30% 40%

未利用企業

即時償却等 利用企業

9%増

36%増

○平成26年度の適用件数は6万件超、減収額は約760億円。即時償却等を利用する企業の設備投資の

平均伸び率は通常の企業よりも高い結果。

○中小企業の労働生産性は伸び悩んでおり、大企業との差は拡大傾向にある。

(参考2)中小企業投資促進税制の利用状況、中小企業の労働生産性

0

200

400

600

800

01234567

23fy 24fy 25fy 26fy

適用件数 減収額(右軸)

適用件数と減収額の推移 (万件) (億円)

設備投資額の伸び率(H24とH26の比較、一社あたり)

労働生産性(従業員一人あたり付加価値額)の推移

547

1,330

570

1,212

200

400

600

800

1000

1200

1400

08 09 10 11 12 13 14

製造業 中小企業 製造業 大企業

非製造業 中小企業 非製造業 大企業

差が拡大傾向

(万円)

(出所)財務省 法人企業統計年報

○本措置を利用する中小企業者の声

・浮き沈みが激しい業界におり先は見えない。何年も償却期間を残したくないので即時償却ができる、今の制度はありがたい。この税制があることで、より早く、良い設備投資ができた。(建築材料卸売業)

(出所)中小企業庁アンケート調査 27

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商業・サービス業・農林水産業活性化税制 (法人税・所得税・法人住民税・事業税)

○商業・サービス業・農林水産業を営む中小企業等の活性化を図るため、一定の要件を満たした 経営改善設備の取得を行った場合に、特別償却又は税額控除の適用を認める措置。

○消費税率の引き上げに向けて、経営改善の取組を行う事業者の設備投資を後押しするため、本税制の延長が必要。

【適用期間:平成28年度末まで】

○本税制は、商業・サービス業者等が経営改善設備(※1)を取得した場合に、取得価額の30%特別償却又は7%税額 控除(※2)ができる措置。

(※1) 認定経営革新等支援機関等(商工会議所等)による、経営改善に関する指導に伴って取得する下記の設備をいう。 1台30万円以上の器具・備品(ショーケース、看板、レジスター等) 1台60万円以上の建物附属設備(空調施設、店舗内装等)

(※2) 税額控除の対象法人は、資本金が3,000万円以下の中小企業等又は個人事業主に限る。

経営改善指導等

経営改善指導等に基づく 設備投資

中小商業・サービス業

税制措置 (特別償却30%又は税額控除7%)

都道府県中小企業団体中央会 商工会議所

商工会 商店街振興組合連合会

認定経営革新等支援機関 等

相談 経営改善指導等を行う機関

【活性化に資する設備の例】

照明設備(ダウンライト) シャンプー台設備

理容椅子

冷蔵オープンショーケース

・店舗内のイメージアップ、集客力の拡大

【本税制のイメージ図】

現行制度

延長

要望内容 3年間延長(平成31年度末まで) 28

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中小企業者等の法人税率の特例 (法人税、法人住民税)

現行制度 【本則:期限の定めなし】 【租税特別措置:適用期限 平成28年度末まで】

○中小企業者等の法人税率は、年800万円以下の所得金額について19%に軽減されている(本則)。

○当該税率は時限的な措置として、更に15%に軽減されている(租税特別措置)。

延長

○中小企業者等の法人税率について、年間800万円以下の所得金額に対する税率は、15%に軽減されている(軽減税率)。

○国際的な経済環境の変化等により、景気の先行きに不透明さが増す中、アベノミクスの地域・中小企業への波及を支えるため、大企業とのイコールフッティングも踏まえ、本措置の延長が必要。

要望内容

○適用期限を2年間延長する(平成30年度末まで)。

対象 本則税率 租特税率

大法人 (資本金1億円超の法人) 所得区分なし 23.4% -

中小法人 (資本金1億円以下の法人)

年800万円超の所得金額 23.4% -

年800万円以下の所得金額 19% 15%

29

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30

(参考)中小軽減税率の利用状況、地域の経済状況

○平成26年度の適用件数は約80万者、減収額は約1200億円。幅広い業種に利用されており、本措置が無くなった場合、賃金・雇用や、設備投資に影響がある。

○2016年に入ってから、北海道を除く全地域で景況感が悪化。景気の先行きに不透明感がある中、地域経済を支える中小企業の事業活動の基盤を支える本措置は引き続き重要。

0

500

1000

1500

60

65

70

75

80

85

23fy 24fy 25fy 26fy適用件数 減収額(右軸)

適用件数と減収額の推移 (万件) (億円)

(出所)中小企業庁アンケート調査(平成27年度)」

7.6

10.6

17.8

38.7

48.4

55.4

0 10 20 30 40 50 60

研究開発に影響がある

広告等の販促費用に影響がある

新たな製品・サービスの展開に影響がある

債務の返済に影響がある

設備投資に影響がある

従業員の賃金・雇用に影響がある

法人税の軽減税率がない場合の影響

n=3,503 (複数回答)

0

5

10

15 (DI、%p) 北陸

東 北

北海道 関東甲信越 近 畿

中 国

四 国

九州・沖縄

全国 +4

15 Ⅱ

16 Ⅱ

15 Ⅱ

16 Ⅱ

15 Ⅱ

16 Ⅱ

15 Ⅱ

16 Ⅱ

15 Ⅱ

16 Ⅱ

15 Ⅱ

16 Ⅱ

15 Ⅱ

16 Ⅱ

15 Ⅱ

16 Ⅱ

16 Ⅱ

15 Ⅱ

東海

地域別業況判断DIの推移

期間:2015年4-6月期~2016年4-6月期 (注)「中小企業」(資本金2千万円以上1億円未満)だけでなく、「大企業」(同10億円以上)及び「中堅企業」(同1億円以上10億円未満)を含む

(出所)日銀「地域経済報告」

(出所)財務省「適用実態調査報告書」(平成26年度)

30

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6,000

8,000

10,000

12,000

14,000

16,000

18,000

20,000

22,000(円)

安倍政権発足時

2012/12/26 10,230円

2016年7月29日16,569円

平成25年平均 13577円

平成26年平均 15460円

平成27年平均 19288円

取引相場のない株式の評価方式に関する見直し (相続税、贈与税)

日経平均株価の推移

類似業種比準方式による株価の算出方法

    上場企業

    の業種別 (配当)(利益) (簿価純資産) (斟酌率)    平均株価

b c d 大会社 0.7A× B C D × 中会社 0.6

5 小会社 0.5

b,c,d:評価会社の1株当たりの金額B,C,D:上場企業の業種別の1株当たりの金額

+ × 3 +

類似業種比準価額 =

類似業種 の株価

類似業種の株価(上場会社の平均)と、各比準要素(配当、利益、純資産)

に関する、評価対象会社と上場会社との比率を用いて、株価を求める方式。

株価上昇により上昇

○取引相場のない株式の評価については、企業の組織形態が業種や規模、上場・非上場の別により多様であることに留意しつつ、相続税法の時価主義の下で、比較対象となる上場会社の株価並びに配当、利益及び純資産という比準要素の適切なあり方について早急に総合的な検討を行う。

【平成28年度与党税制改正大綱(抜粋)】

上場企業のグローバル連結経営の進展

A社(自動車製造業) B社(小売業)

海外割合

売上高 69%

営業利益 44%

総資産 57%

海外割合

営業収益 35%

営業利益 14%

有形固定資産 26%

株価は一時は 約2倍の水準に到達

○上場企業の株価の上昇に伴い、中小企業の中には、業績に大きな変化のない状況下であっても、想定外に 株価が高く評価されることにより、円滑な事業承継に影響を来す可能性が生じている。

○上場会社のグローバル連結経営の進展や株価の急激な変動が、中小企業の円滑な事業承継を阻害することなく、中小企業等の実力を適切に反映した評価となるよう見直しを行う。

現行制度

要望内容 取引相場のない株式の評価方式について、中小企業等の実力を適切に反映した評価となるよう見直しを行う。 31

新規

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※推計株価は、本年と平成24年時ともに、配当:1、利益:10、純資産:100の中小企業を想定して試算した値に関する伸び率 ※平成24年比で、赤は上昇、緑は低下していることを示す。 ※27年のAは前年平均株価(26年)。28年のAは、前年平均株価(27年平均)が高いことから、今年2月若しくは4月の株価。

○平成28年の株価を平成24年時点と比較すると、類似業種株価(A)が大きく上昇しており、比準要素(配当・利益・純資産)の水準の上昇を勘案しても、非上場企業の株価が高く算出される。

(参考)平成27年時と平成24年時の比較

A:株価 B:配当 C:利益 D:純資産 推計株価

建設業 163% 100% 140% 107% 128%

製造業 120% 94% 106% 91% 118%

卸売業 127% 88% 100% 92% 131%

小売業 135% 97% 100% 108% 133%

飲食店業 123% 51% 87% 82% 154%

(参考)類似業種株価・比準要素の変化

○計算に要する数値の水準比較(平成28年時と平成24年時の比較)

A:株価 B:配当 C:利益 D:純資産 推計株価

建設業 192% 121% 167% 123% 128%

製造業 129% 106% 112% 95% 120%

卸売業 132% 95% 100% 95% 134%

小売業 176% 103% 104% 115% 166%

飲食店業 141% 44% 78% 79% 195% 株価水準は、昨年よりも下がっているが、

推定株価は、昨年と同程度の水準に算出される状態。

32

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○後継者が、経済産業大臣の認定を受けた非上場会社の株式等を現経営者から相続又は贈与により取得した場合において、相続税・贈与税の納税が猶予される措置。

○今後の事業承継ニーズの増大に対応するため、雇用要件見直しや生前贈与へのインセンティブ強化等により、円滑な事業承継に向けて早期に取り組む中小企業に対する税制支援を強化する。

○後継者が納付すべき相続税のうち、相続により取得した非上場株式等(注)に係る課税価額の80%に対応する額が納税猶予される。

(注)相続前から後継者が既に保有していた議決権株式等を含め、発行済議決権株式総数の2/3に達するまでの部分に限る。

相続税の納税猶予制度 贈与税の納税猶予制度

○後継者が納付すべき贈与税のうち、贈与により取得した非上場株式等(注)に係る課税価額の全額に対応する額が納税猶予される。

(注)贈与前から後継者が既に保有していた議決権株式等を含め、発行済議決権株式総数の2/3に達するまでの部分に限る。

○相続税・贈与税の申告期限から5年間は、以下の要件を満たして事業を継続することが必要。

①雇用の8割以上を5年間平均で維持 ※平成25年度改正(平成27年1月施行)前は、雇用の8割以上を毎年維持

②後継者が代表を継続

③先代経営者が代表者を退任(有給役員として残留可) (贈与税) ※平成25年度改正(平成27年1月施行) 前は先代経営者が役員を退任

④対象株式を継続して保有

⑤上場会社、資産管理会社、風俗関連事業を行う会社に該当しないこと 等

事業承継税制の見直し (相続税、贈与税) 拡充

現行制度

要望内容

【 期限の定めなし】

雇用要件の見直しや生前贈与へのインセンティブ強化等のための見直しを行う。 33

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中小企業の経営者年齢の分布(年代別) 図1

0

5

10

15

20

25

30歳~ 45歳~ 60歳~ 75歳

(万人)

1995年

2000年

2005年

20年間で経営者年齢の 山は47歳から66歳へ移動

2010年

2015年

(出典)中小企業庁委託「中小企業の成長と投資行動に関するアンケート調査」(2015年12月、株式会社帝国データバンク)、 (株)帝国データバンク「COSMOS1企業単独財務ファイル」、「COSMOS2企業概要ファイル」再編加工

経営者の平均引退年齢の推移 図2

○中小企業経営者の年齢のピークは66歳に。(図1) ○また、経営者の平均引退年齢も上昇している。直近の経営者の平均引退年齢は、中規模企業で

67.7歳、小規模事業者では70.5歳となっている。(図2)

(出典)中小企業庁委託「中小企業の事業承継に関するアンケート調査」 (2012年11月、(株)野村総合研究所)

(参考1)経営者年齢の分布及び平均引退年齢の推移について

34

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(参考2)事業承継税制の認定件数の推移

○雇用要件の緩和など事業承継税制の新制度が施行された平成27年の認定件数は推計456件。過去6年間の年平均件数173件に対して約2.6倍となっている。

○先代経営者の役員退任要件等が緩和されたことによる影響から、特に贈与税の認定件数が増加しており、計画的な事業承継の促進に繋がっている。

※相続税の納税猶予は平成20年10月、贈与税の納税猶予は平成21年4月から施行。 ※平成28年3月末までに認定がなされた案件について、相続日又は贈与日を基準として作成。 ※相続税は、相続開始の5ヶ月後以降に経済産業局に申請がなされるため、平成28年3月末までに申請ができるのは平成27年10月末までに相続が開始した10ヶ月分。このため、平成27年11月1日~平成27年12月31日の2ヶ月分についても、同数の認定がなされるものと推計し30件(154件×2/10)を上乗せ。

(出典)中小企業庁 執行状況データベース

57

165 89 63 89 126 151 154

29

67 73

69 69

47

272

0

50

100

150

200

250

300

350

400

450

500

平成20年 平成21年 平成22年 平成23年 平成24年 平成25年 平成26年 平成27年

贈与税 相続税

認定件数

平成21年~ 平成26年の 年平均件数

(173件)

198件 195件 158件 136件 156件 194件

426件

456件 (推計)

新制度 旧制度 平成27年1月 新制度施行

30 (推計)

(参考)認定実績 相続税:894件 贈与税:626件 (~H28.3まで)

・後継者は先代経営者の親族に限定 親族外承継を対象化

・雇用の8割以上を「5年間毎年」維持 雇用の8割以上を「5年間平均」で評価

・先代経営者は贈与時に役員を退任 先代経営者が代表者を退任(有給役員で残留可)

平成27年1月施行の主な拡充事項

35

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○中小企業経営者の高齢化により、事業承継の円滑化に向けた取組は「待ったなし」の状況。 ○人手不足を踏まえた雇用要件の見直し、早期かつ計画的な取組の促進のための生前贈与へのインセンティブ

の強化等を図る。その他、税制利用企業の負担の軽減のための手続きの簡素化等を行う。

(参考3)事業承継税制の見直しについて

2.早期かつ計画的な取組の促進 1.人手不足の中での雇用要件の見直し

早期・計画的な事業承継に向けた取組を行う中小企業者について、贈与税の納税猶予の強化を図る。

小規模事業者においては、特に雇用要件が高いハードルになっているため、小規模事業者について、雇用維持割合の緩和を行う。

・その他、災害や世界経済危機等の経済状況の激変にも対応できるよう、雇用要件の弾力化を図る。

・生前贈与の場合の税制上の措置の強化を図る。 ・生前贈与後に先代が亡くなると相続税の納税猶予に切り替わるが、その際に再度、中小企業・非上場要件が課されているため、見直しを図る。

(出所)(独)中小企業基盤整備機構「中小企業業況調査) (出典)中小企業庁委託「中小企業における事業承継に関するアンケート・ヒアリング調査」を再編加工 36

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個人事業者の事業用資産に係る事業承継時の負担軽減措置の創設等(相続税、贈与税、所得税、個人住民税)

○個人事業者は需要の開拓や個人の能力の発揮、自立的で個性豊かな地域社会の形成に貢献する重要な存在であり、個人事業者の「事業の持続的な発展」のため、事業承継の円滑化が必要。

○先代経営者から後継者への事業用資産の承継を円滑に進めるための措置を講じる。

①顧客との信頼関係に基づく国内外の需要開拓

②創業等を通じた個人の能力の発揮

③自立的で個性豊かな地域社会の形成

純資産4,800万円※超の個人事業者が 所有する事業用資産の構成

土地39.9%

建物25.6%

機械・器具備品4.8%

商品・製品

・原材料等6.8%

事業用債権5.3%

その他事業用

資産3.1%

有価証券2.4%

現預金12.1%

※4,800万円:相続人が配偶者と子供2人の場合の相続税の基礎控除額

事業承継 の円滑化

事業継続に不可欠な事業用資産の 承継に伴う相続税負担の軽減が必要

<目的実現のための施策>

(小規模基本法第3条)

小規模基本法 第16条

事業の持続的な発展

<政策目的>

(小規模基本法第3条) 建物25.6%

個人事業者の意義

新設

○個人事業者の事業承継に係る税制上の措置については、現行制度上、事業用の宅地について特例措置があり、既に相続税負担の大幅な軽減が図られていること、事業用資産以外の資産を持つ者との公平性の観点に留意する必要があること、法人は株式等が散逸して事業の円滑な継続が困難になるという特別の事情により特例が認められているのに対し、個人事業者の事業承継に当たっては事業継続に不可欠な事業用資産の範囲を明確にするとともに、その承継の円滑化を支援するための枠組みが必要であること等の問題があることに留意し、既存の特例措置のあり方を含め、引き続き総合的に検討する。

【平成28年度与党税制改正大綱(抜粋)】

現行制度

要望内容 【個人事業者の事業用資産に係る事業承継時の負担軽減措置の創設】 ○個人事業者について、先代経営者から後継者への事業用資産の承継を円滑に進めるための措置を講ずる。

【小規模企業等に係る税制のあり方の検討】 ○個人事業主、同族会社、給与所得者の課税のバランス等にも配慮しつつ、個人と法人成り企業に対する課税のバランスを図るための

外国の制度も参考に、今後の個人所得課税改革において所得の種類に応じた控除と人的な事業に配慮した控除の役割分担を見直すことを含め、所得税・法人税を通じて総合的に検討する。

(出典)中小企業庁委託「中小企業における事業承継に関するアンケート・ヒアリング調査」を再編加工

37

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Ⅲ.グローバル化に対応した事業環境整備

38

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○我が国企業の「稼ぐ力」向上に向けた「攻めの経営」を促すべく、 昨年に引き続き、役員給与における多様な業績連動報酬等の導入を促進する。

「攻めの経営」を促す役員給与等に係る税制の整備(所得税、法人税、住民税、事業税)

現行制度 【 期限の定めなし】

○ 内国法人が役員に対して支給する給与のうち、以下に掲げる給与のいずれにも該当しないものについては損金の額に算入されない。

① 定期同額給与(法人税法第34条第1項第1号) 1ヶ月以下の一定期間ごとに同額で支給するもの。

② 事前確定届出給与(同項第2号) 事前の届出に従い、所定の時期に確定額を支給するもの。 平成28年度税制改正により、譲渡制限付株式(いわゆるリストリクテッド・ストック)も本給与として支給可能に。

③ 利益連動給与(同項第3号) 利益に連動して支給する給与で、一定の要件を満たすもの。 平成28年度税制改正により、対象となる指標(ROE等)の追加・明確化。

○役員給与における多様な業績連動報酬等の導入を一層促進するため、譲渡制限付株式の対象となる株式の範囲を自社や完全親会社の株式以外にも拡大するなどの所要の措置を講ずる。

要望内容

見直し

平成28年度税制改正で整備されたリストリクテッド・ストックを始めとした 業績連動報酬等について、その普及および円滑な執行が課題。

39

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○平成28年度税制改正において、株式報酬や業績連動報酬といった役員給与について、以下の内容が措置されている。

(参考)「攻めの経営」を促す役員給与等に係る税制の整備 (平成28年度税制改正)

○役員に支給した一定の株式報酬(リストリクテッド・ストックによる給与)を届出が不要となる事前確定届出給与の対象とする等の制度整備が行われた。

○利益連動給与の算定の基礎となる利益の状況を示す指標の範囲について明確化が行われた。

改正概要

役員給与として支給された一定の譲渡制限付株式(いわゆ

るリストリクテッド・ストック)による給与を届出が不要となる事前確定届出給与の対象とする制度整備が行われた。

併せて、リストリクテッド・ストックの交付に係る経済的利益について、株式交付日ではなく譲渡制限解除日にその日における価額により課税されることの明確化等が行われた。

法人税法上、損金算入となる「利益連動給与(同法第34条第1項第3号)」の算定の基礎となる利益の状況を示す指標の範囲について、純粋な利益指標(営業利益、経常利益等)に加え、ROE、ROA等の一定の利益関連指標が含まれることの明確化が行われた。

株式報酬

業績連動報酬

【参考】リストリクテッド・ストックとは

一定期間の譲渡制限が付された現物株式を報酬として付与するもの。 当該期間中は株式の譲渡が制限されるため、役員のリテンション効

果があり、また、株主目線の経営を促す効果を有する。 欧米では、譲渡制限期間中に一定の勤務条件等を付し、条件が満

たされない場合に株式が没収される等の設計とすることが一般的。

譲渡制限期間

株式付与

制限解除

リテンション効果

株式保有を続ける限り、 中長期の株価向上インセンティブが継続

40

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株主総会期日設定の柔軟化に対応する法人税の申告期限の見直し (法人税、法人住民税、法人事業税)

○持続的な企業価値の向上や中長期投資を促進させるためには、企業と投資家の建設的な対話を充実させる必要があり、グローバルな観点から最も望ましい対話環境整備を図ることが肝要。

○現状、日本は欧米諸国と比べ、「決算から株主総会までの期間が短い」、「総会日が集中している」 等により、株主・投資家の対話期間や企業の情報開示の準備期間が十分ではない状況。

○株主・投資家の対話期間等を欧米諸国並に確保する方策としては、総会日を7月以降(3月決算)にすることが有効であり、それを円滑にするための環境整備として法人税の申告期限延長が必要。

要望内容

○上場企業の株主総会期日設定の柔軟化を進め、企業と株主・投資家の対話期間を欧米諸国並に確保できるようにするため、法人税の申告期限の見直しを行う。

その他

現行制度

○会社法上、会社は柔軟に総会日の設定が可能。

※3月決算企業が、例えば「決算日から4か月後」の7月末に株主総会を開催することも可能(8月以降の総会開催も可能)。

○法人税法上、内国法人は一般に「決算日から3か月以内」(原則は2か月以内。特例により1か月延長可 )に、確定した決算に基づく申告を行わなければならない。

※3月決算企業は一般に6月末までに法人税の申告をしなければならない。

○よって、例えば、3月決算企業が7月に株主総会を開催する場合であり、かつ、その株主総会で決算を確定しなければならない場合は、法人税の申告期限(6月末)に間に合わないリスクが生じる。 (取締役会で決算が確定される場合は問題は生じない)

【 期限の定めなし】

41

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(参考1)株主総会日程に関する国際比較

○日本の「決算日から定時株主総会開催日までの日数」は、諸外国(約4~5か月)に比べて短い。 ○株主総会の開催日について諸外国(米英仏独蘭)の主要企業と比べると、日本の総会日が突出し

て集中していることがうかがえる。

※各国の主要指標の対象企業が2015年1月1日~12月31日の間に開催した定時株主総会 の数を分母とし、各日における定時株主総会開催数を分子としたもの。

○各国別の定時株主総会の集中率 ○決算日から定時株主総会開催日までの日数

諸外国は決算日から総会日まで 平均4~5か月を確保(日本は2.8か月)

※1 表中の数字は、定時株主総会開催日の決算日からの所要日数を記載している。 ※2 表中「日本」の点線の下の日数は、2014年3月末日決算の東証上場企業2,358社の平均値。 ※3 日本以外については、時価総額別に業種に偏りがないよう抽出した10社の平均値。

(出所)株式会社ICJ作成

日本

オランダ(蘭)

独国

仏国

英国

米国

日本 諸外国

42

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(参考2)海外機関投資家からの声

○Erik Breen 国際コーポレートガバナンスネットワーク(ICGN)議長(2015.12.2)

日本企業は3月末決算で6月株主総会となっており、決算から株主総会までの期間が短すぎる。欧州

ではもっと長い。情報に基づく対話や議決権行使には時間の猶予が必要である。最初に7月総会を行っ

た企業を表彰してはどうか。そのような企業はICGN報告書にも記載したい。SpeedではなくQualityで競

争すべき。

○アジア・コーポレート・ガバナンス・アソシエーション(ACGA※)の意見書(2014.12)

私たち機関投資家のコンセンサスとして、日本における議決権行使の時間的猶予は相対的に短く、日本のコーポレート・ガバナンスに関する認識にネガティブな影響を与えている。

私たちは、年次株主総会及び決議のためにより多くの時間を割くため、各企業にイニシアティブの幅を持たせることが望ましいと考える。

私たちは、基準日をもっと遅く設定することにより、年次株主総会が開催される時期を事業年度末後4か月超等に拡大することが可能になるという案を支持している。

※ACGA(アジア・コーポレート・ガバナンス協会)は、約70の欧米等の機関投資家が参加する業界団体で、アジアにおけるガバナンスの長期的な向上に取り組んでいる。

※ 「統合報告フォーラム~持続的価値創造を支える経営・ガバナンスと企業報告~」(主催:国際統合報告評議会(IIRC)・日本公認会計士協会・株式会社日本取引所グループ・株式会社東京証券取引所)における発言概要。

○Olivia Kirtley 国際会計士連盟(IFAC) 会長(2015.12.2)

2つのコードをつなぐのは対話である。非財務情報も含む質の高い情報の作成に十分な時間を取るべ

きであり、透明性の高い網羅的な情報を開示すべきである。株主総会まで十分な時間をとることで、株

主総会での議論は価値あるものとなる。時間的余裕についても真剣に検討していただきたい。

※ 「統合報告フォーラム~持続的価値創造を支える経営・ガバナンスと企業報告~」(主催:国際統合報告評議会(IIRC)・日本公認会計士協会・株式会社日本取引所グループ・株式会社東京証券取引所)における発言概要。 43

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国際課税の見直し ①BEPS(Base Erosion and Profit Shifting)を踏まえた国内の制度整備に係る配慮

○BEPSプロジェクトを踏まえた国内制度整備の検討に当たっては、日本企業の健全な活動を抑制し、国際競争力の低下を招くことがないよう十分な配慮を要望する。

○特に、外国子会社合算税制(行動3)、過大支払利子税制(行動4)や移転価格税制(行動8)に係る国内制度整備に当たっては、企業に過度な負担を与えないような制度の構築を要望する。

その他

今後、法改正の要否を含め検討 今後検討

租税条約の拡充の中で対応

28年度税制改正で

対応

参加予定

27年度税制改正で対応済

対応 済み

既存の枠組みで

対応

OECDで 対応

行動3

行動4

行動8

行動9

行動10

行動12

行動6

行動7

行動13

行動15

行動1

行動2

行動14

行動5

行動11

効果的なC

FC

ルール(外国

子会社合算税制)の構築

利子等の損金算入を通じ

た税源侵食の制限

移転価格税制(①無形資

産)

移転価格税制(②リスクと

資本)

移転価格税制(③他の租税

回避の可能性が高い取引)

タックス・プランニングの

報告義務

租税条約濫用の防止

恒久的施設(PE)認定の

人為的回避の防止

移転価格関連の文書化の

再検討

多国間協定の開発

電子商取引課税

ハイブリッド・ミスマッチ

の効果の無効化

相互協議の効果的実施

有害税制への対抗

BEP

S

の規模や経済的効果

指標の集約及び分析方法

の策定

ベスト 共通 改正 改正 改正 ベスト ミニマ 改正 ミニマ - - 共通 ミニマ ミニマ -

※ベスト:ベストプラクティス 共通:共通アプローチ 改正:既存スタンダードの改正 ミニマ:ミニマムスタンダード 対応済み 今後の対応を検討

要望内容

BEPSプロジェクト最終報告書の内容と日本の対応状況

44

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現行制度

○BEPSプロジェクトを踏まえた外国子会社合算税制の見直しに当たっては、軽課税国を利用した課税逃れを的確に防止しつつ、日本企業の過度な負担により国際競争力の低下を招くことがないよう、合理的で簡素な制度とする。

○また、現行制度では合算の対象とされる軽課税国での航空機リース事業の取扱い等、現行税制において、日本企業の海外展開に影響を及ぼしている事項について適正化を行う。

要望内容

拡充

【期限の定めなし】

国際課税の見直し ②外国子会社合算税制の見直し (所得税・法人税・個人住民税・法人住民税・事業税)

○外国子会社合算税制とは、我が国企業が軽課税国に実体のない子会社を設置して租税回避を行うことを防止する制度。

日本の 税率で課税

親会社A (日本)

子会社B (軽課税国)

親会社Aの所得を 子会社Bに移転

(租税回避)

軽課税国の 税率で課税

日本の 税率で課税

親会社A (日本)

軽課税国の 税率で課税

外国子会社の所得を親会社に合算した場合

子会社Bの所得を 親会社Aの所得に合算

子会社B (軽課税国)

軽課税国の外国子会社を活用した租税回避

所得 (100) 所得

(50)

所得 (50)

所得 (50)

所得 (100)

所得 100×税率30% =納税額 30

所得 50×税率 0% =納税額 0

所得 (100+50)×税率30% =納税額 45

所得 50×税率 0% =納税額 0

外国子会社合算税制を適用

外国子会社合算税制により、所得移転・租税回避を防止 45

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○欧米多国籍企業による過度な課税逃れを防止すべく、国際課税ルールの再構築を目的とした「BEPSプロジェクト」をOECDが立ち上げ。昨年10月に、対応策に関する最終報告書を取り纏め。

○各対応策は規範性の高いもの(ミニマムスタンダード)から低いもの(ベストプラクティス)まで様々。国内の制度整備の在り方は各国の裁量に委ねられる。

(参考1)BEPSプロジェクトの概要

BEPSプロジェクト最終報告書について

OECD加盟国

G20各国

BEPSプロジェクト最終報告書

(2015/10公表)

問題とされた多国籍企業のタックスプラン

ニング

①過度な租税逃れを問題視 ②取りまとめ

③各国税制の調和を図るべく 税制のベストプラクティスを提示

④各国で国内法への導入を検討

BEPSプロジェクト (OECD)

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○外国子会社合算税制に関して、BEPSプロジェクト最終報告書はあくまでもベストプラクティスの提示に留まり、実際の導入・改正は各国の裁量に委ねられている状況。

○改正にあたっては、日本企業の海外展開の状況や、平成28年度与党税制改正大綱において産業競争力や経済への影響に留意する必要性が謳われていること等を、十分に踏まえる必要がある。

(参考2)外国子会社合算税制の置かれている状況

平成28年度与党税制改正大綱

第三 検討事項

12 外国子会社合算税制については、喫緊の課題となっている航空機リース事業の

取扱いやトリガー税率のあり方、租税回避リスクの高い所得への対応等を含め、外

国子会社の経済実体に即して課税を行うべきとするBEPS(税源浸食と利益移転)

プロジェクト最終報告書の基本的な考え方を踏まえ、軽課税国に所在する外国子会

社を利用した租税回避の防止という本税制の趣旨、日本の産業競争力や経済への

影響、適正な執行の確保等に留意しつつ、総合的な検討を行い、結論を得る。

47

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○日本企業は世界各地に29,000社もの子会社を展開。数百社を超える海外子会社を保有する企業も存在。

(参考3)日本企業の海外展開の状況

法人税率 国・地域名 40.75% 米国(3,720社) 34.61% インド(751社)

30% オーストラリア(558社)、フィリピン(547社)、メキシコ(502社)、ペルー(32社) 29.65% ドイツ(764社)

25% 中国(6,825社)、マレーシア(926社)、オランダ(451社)、パナマ(100社) 24.2% 韓国(922社) 22% ベトナム(889社)、スウェーデン(80社)、スロバキア(25社) 20% タイ(2,318社)、英国(875社)、ロシア(186社)、トルコ(85社) 19% ポーランド(110社)、チェコ(106社)、ハンガリー(66社)

17.92% スイス(99社) 17% シンガポール(1,335社)、台湾(1,055社)、スロベニア(11社)

16.5% 香港(1,298社) 12.5% アイルランド(44社)

0% ケイマン諸島(62社)、バミューダ(15社)、バーレーン(13社)

出典)法人税率は「2015 Global Tax Rate Survey」(KPMG International)、進出企業数は「海外進出企業総覧 2016(国別編)」(週刊東洋経済)より経産省作成。 日本企業の出資比率が合計で10%以上の日系現地法人について、進出企業数の多い主な国名を記載。

トリガー税率(20%未満)

日本の法人税率(29.97%)

約15,800社

約4,300社

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非製品ガスに係る石油石炭税の還付の延長 (石油石炭税)

現行制度

○海外との事業環境のイコールフッティングを図り、国内へのガソリン等の供給基盤である製油所等の維持・強化に向けた投資を促すため、非製品ガスに係る石油石炭税の還付制度を延長する。

要望内容

○適用期限を3年間延長する。(平成31年度末まで)

延長

【適用期限:平成28年度末まで】

石油精製業者に期待される取組

石油コンビナートの国際競争力強化 (製品輸出や石油化学生産の体制強化等)

災害にも強い全国石油供給網の構築

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(参考1)制度の必要性:事業環境のイコールフッティングの実現

○我が国では、原油の輸入段階で石油石炭税が課税されるため、精製過程で生じる商品価値がなく販売されない非製品ガス分についても一旦課税されている。

○他方、他国(ほとんどの国で非製品ガスへの課税なし)からの輸入品については、その販売時のみに課税されるため、我が国の石油製品は、非製品ガスへの還付制度がない場合、不利な競争条件となる。(※ 輸出市場でも同様)

石油石炭税負担の格差について

(注1)製品にならないガス(非製品ガス)分を考慮した 石油石炭税負担額(2800円/KL÷95%≒2950円/KL)。 (注2)輸入段階で石油石炭税が課税される。 (注3)輸出製品には本体に係る石油石炭税(2800円/KL)のみ免税される。

輸入段階での原油 (原料)への課税

非製品ガス への課税

米国 なし(注1) なし イギリス なし なし フランス なし なし ドイツ なし なし シンガ ポール なし なし 中国 なし なし 韓国 あり(注2) あり 台湾 なし なし

欧州・アジア主要国の輸入段階での 原油課税と非製品ガス課税状況

(注1)輸入原油(2015年処理原油の約2割)への関税あり 0.25¢/ガロン → 100円/$で、約65円/KL (注2)関税(3%)と輸入賦課金(16ウォン/L)がある。 非製品ガスに係る税負担は約145円/KL(2015年度 平均価額。原油36,077円/KL、為替0.1042円/ウォン。 関税と輸入賦課金の合計約2,749円/KL)

非製品ガス(▲5)

輸出

原油 100

<国内生産> ガソリン等

95

<輸出品> ガソリン等

石油石炭税 (実質負担)

150円/KL(注3)

石油石炭税負担 2,950円/KL(注1)

石油石炭税 2,800円/KL

国内

<海外生産品> ガソリン等

税負担なし (アメリカ・韓国

を除く)

税負担格差 150円/KL

<輸入品> ガソリン等

<海外生産品> ガソリン等

石油石炭税 負担ゼロ

石油石炭税 2,800円/KL

(注2)

競合

輸入品との競争

競合

海外(輸出市場)

税負担格差 150円/KL

輸入

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(参考2)制度の必要性:石油の供給基盤の維持・強化

○中国・東南アジア等では、ガソリン等の需要増加が見込まれるが、需要見込みを上回るペースで供給力が拡大。今後、我が国への石油製品の輸入圧力は高まる可能性。

○将来にわたり、平時・有事問わず石油製品の安定供給を確保して行くためには、国内石油精製業が海外の競合相手に負けない競争力を維持するとともに、災害時の対応力を強化していく必要。

国内需要量・石油製品輸入量の推移

(出典)資源エネルギー統計等より集計

強い供給基盤の構築に向けた対策

‐ 製油所間・石化工場との連携 ‐ 石化シフトによる生産性向上 ‐ 製油所の稼働信頼性の向上 ‐ 輸出能力の強化 等

製油所の競争力強化

‐ 製油所・油槽所の耐震・液状化対策 ‐ サプライチェーン全体のBCP整備及び 訓練による災害対応能力強化 等

災害時の対応能力強化

国内の石油の安定供給確保 51

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Ⅳ.車体課税の抜本見直し

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○簡素化・ユーザー負担軽減による国内市場活性化、国内の産業・雇用基盤の維持・強化、環境対策の促進(グリーン化)の観点から、自動車税の税率引下げ、エコカー減税及びグリーン化特例の延長・見直し、税制の簡素化を含む車体課税の抜本的見直しを行う。

53

28年(2016年)4月

自動車取得税

自動車重量税

自動車税

軽自動車税

29年(2017年)4月

グリーン化特例の延長・見直し

環境性能割導入

31年(2019年)10月

環境性能割導入

エコカー減税

エコカー減税

グリーン化特例

グリーン化特例の延長・見直し

エコカー減税の延長・見直し

エコカー減税の延長・見直し 廃止

自動車の保有に係る税負担の軽減に関する総合的な検討、必要な措置の実施

27年(2015年)4月

(創設)

グリーン化特例

車体課税の抜本的見直し (自動車税、軽自動車税、自動車取得税、自動車重量税) 新設・拡充・延長

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なお、消費税率10%への引上げの前後における駆け込み需要及び反動減の動向、

自動車をめぐるグローバルな環境、登録車と軽自動車との課税のバランス、自動車に

係る行政サービス等を踏まえ、簡素化、自動車ユーザーの負担の軽減、グリーン化を

図る観点から、平成29年度税制改正において、安定的な財源を確保し、地方財政に影

響を与えないよう配慮しつつ、自動車の保有に係る税負担の軽減に関し総合的な検討

を行い、必要な措置を講ずる。

(参考)平成28年度税制改正大綱(抜粋)

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<簡素化・ユーザー負担軽減による国内市場活性化> 自動車は消費者の経済・社会活動を支える生活必需品(就業人口の約半数は通勤・通学手段が自動車のみ)。 しかし、保有段階で自動車重量税と自動車税又は軽自動車税の2つが課税されるなど、自動車ユーザー、特に地方にとって複雑かつ過大な負担

となっており、自動車ユーザーの車離れ、国内市場低迷の一因。

<国内の産業・雇用基盤の維持・強化> 不透明な景気情勢や漸進的な円高の中、国内販売は2014年4月の消費税8%増税以降、28ヶ月中25ヶ月で対前年同月比マイナスを記録する

など自動車の国内販売・生産は継続的な低迷傾向。 自動車産業は裾野が広く、関連産業を含め500万人超を雇用、自動車製造業の出荷額は主要製造業の約2割(約53兆円)を占めるなど他産業

への生産波及効果も大きい。 国内販売・生産台数の低迷は国内の雇用や生産基盤の維持を困難にし、中小企業、地方経済含む日本経済全体に影響大。

<環境対策の促進> エコカー減税(自動車取得税)とグリーン化特例(自動車税・軽自動車税)は平成29年3月31日、エコカー減税(自動車重量税)は4月30日が期限。 これまでの優遇税制により、自動車の燃費等は着実に向上。気候変動、環境・エネルギー制約に対応するため、不透明な景気情勢や漸進な円高

という経済情勢にも配慮しつつ、引き続き、環境性能に優れた自動車の普及促進が不可欠。特に、次世代自動車は有望な成長産業。

車体課税の抜本的見直し 低迷する国内販売・生産の底上げのため、上記考えに基づき、税制の簡素化、より一層のユーザー負担の軽減、グリーン化を可能とする、恒久的

措置を含む車体課税の抜本的な見直しが必要。

基本的な考え

車体課税の抜本的見直し (自動車税、軽自動車税、自動車取得税、自動車重量税) 新設・拡充・延長

自動車の国内販売台数推移(2013年4月~2016年7月)

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要望内容 平成28年度与党税制改正大綱等を踏まえ、以下の要望を行う。

1.自動車税・軽自動車税 ○自動車税(排気量割)について ・税率の引き下げ(排気量1000cc以下の負担水準が軽自動車 の3倍程度になっているところを2倍程度とする等)。 ・初年度月割課税の廃止。 ○グリーン化特例について ・自動車税・軽自動車税のグリーン化特例を現行制度のまま 継続・延長。

※1:平成17年排ガス規制75%低減、※2:電気自動車等は、電気自動車、燃料電池自動車、プラグイン・ハイブリッド自動車、クリーンディーゼル自動車、天然ガス自動車

【現行グリーン化特例】

【自動車税(乗用車)】 (適用期限:平成28年4月1日から平成29年3月31日)

減税率(1年分)

排ガス規制☆☆☆☆(※1)

電気自動車等(※2)

▲75%軽減 平成32(2020)年度燃費基準+10%

平成27(2015)年度燃費基準+20% ▲50%軽減

排気量割: ~1000cc :29,500円/年 1001cc ~1500cc :34,500円/年 1501cc ~2000cc :39,500円/年

【軽自動車税(乗用車)】 (適用期限:平成28年4月1日から平成29年3月31日)

減税率(1年分)

排ガス規制☆☆☆☆(※1)

電気自動車等(※2) ▲75%軽減

平成32(2020)年度燃費基準+20% ▲50%軽減 平成32(2020)年度燃費基準達成 ▲25%軽減

2.自動車取得税 ○消費税10%引上げ延期に伴う自動車取得税の廃止及び環境

性能割の導入延期を受け、自動車取得税のエコカー減税を延長。 28年度与党大綱で決定していた環境性能割(次頁参照)の課税 水準と同程度に負担を軽減。また、減税区分を簡素化。

3.自動車重量税 ○自動車重量税のエコカー減税の基本構造を恒久化。

当分の間税率(旧暫定税率)の廃止を前提としつつ、さらなる ユーザー負担の軽減、簡素化、グリーン化。

○自動車重量税のエコカー減税について、自動車取得税同様に、 負担を環境性能割の課税水準と同程度に軽減。

【登録車・軽自動車】 (適用期限:平成27年5月1日から平成29年4月30日)

減税率 車検1回目

(~3年) 車検2回目

(~5年) 排ガス規制☆☆☆☆(※1)

電気自動車等(※2) 免税 免税

平成32(2020)年度燃費基準+20%

平成32(2020)年度燃費基準+10% ▲75%軽減 平成32(2020)年度燃費基準達成 ▲50%軽減

平成27(2015)年度燃費基準+5% ▲25%軽減

【現行エコカー減税(自動車重量税)】

【登録車・軽自動車】 (適用期限:平成27年4月1日から平成29年3月31日)

減税率

排ガス規制☆☆☆☆(※1)

電気自動車等(※2) 平成32(2020)年度燃費基準+20% 非課税

平成32(2020)年度燃費基準+10% ▲80%軽減 平成32(2020)年度燃費基準達成 ▲60%軽減

平成27(2015)年度燃費基準+10% ▲40%減税

平成27(2015)年度燃費基準+5% ▲20%減税

【現行エコカー減税(自動車取得税)】

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対象車 税率

電気自動車等 非課税

平成32(2020)年度燃費基準+10% 非課税

平成32(2020)年度燃費基準達成 1%

平成27(2015)年度燃費基準+10% 2%

上記以外 3% 軽自動車は2%

※税率区分は、2年ごとに見直し

【制度の概要】 1.自動車税・軽自動車税として取得時の課税。 2.取得価額に対して省エネ法の燃費基準値の達成度に応じて0~3%の間で課税。

現行の自動車取得税(1096億円*)に比べて、2割程度(約890億円)の規模縮減

<登録車・軽自動車>

非課税範囲の拡大 (現行取得税は平成32(2020)年度燃費基準+20%から非課税)

※平成27年度地方財政計画

自動車取得税については、平成26年度与党税制改正大綱等を踏まえ、消費税率10%への引上げ時である平成29年4月1日に廃止するとともに、自動車税及び軽自動車税において、自動車取得税のグリーン化機能を維持・強化する環境性能割をそれぞれ平成29年4月1日から導入することとされた。先の税調において、消費税10%への引き上げ時期の延期(平成31年10月1日)に伴い、環境性能割の導入も平成31年10月1日に延期されることが決定。

(参考1)環境性能割

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税 目 税率 経年車 国税/地方税

取得段階

自動車取得税

登録車(自家用) 取得価額の3% ― 都道府県税

(うち7割を 市町村に譲与) 登録車(営業用)

軽自動車 取得価額の2% ―

保有段階

自動車重量税

登録車 エコカー:2,500円/0.5t・年

非エコカー:4,100円/0.5t・年※1

13年超:5,400円/0.5t・年※2

18年超:6,300円/0.5t・年 国税 (うち4割を

市町村に譲与) 軽自動車

エコカー:2,500円/年(定額) 非エコカー:3,300円/年(定額)

13年超:3,800円/年(定額) 18年超:4,400円/年(定額)

自動車税 登録車

総排気量に応じて定額で課税 例: ~1,000cc・・・29,500円/年 1,001~1,500cc・・・34,500円/年 1,501~2,000cc・・・39,500円/年 6001cc超・・・111,000円/年

13年超15%重課 都道府県税

軽自動車税 軽自動車 10,800円※3 13年超20%重課 市区町村税

※1 2015年度燃費基準を満たす車について、平成29年4月30日までに新車に係る新規検査を受ける場合には、本則税率2,500円/0.5t・年を適用 ※2 自動車重量税の13年超の経年車に対しての税率は平成28年度以降は5,700円/0.5t・年 ※3 平成27年4月1日以後に新規取得される新車から適用(平成27年3月31日以前に取得された車は7,200円)

(参考2)車体課税の仕組み

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Ⅴ.制度整備・改善

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Ⅴ.制度整備・改善

○ 印紙税のあり方の検討 (印紙税)

近年の電子取引の増大等を踏まえ、印紙税の現代的意義を含め、そのあり方を抜本的に見直す。

○ 国庫補助金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入等 (所得税、法人税、個人住民税)

国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の新規補助事業を本制度の適用対象とする。

○ 租税条約ネットワークの拡充

日本企業による取引や投資の実態、要望等を踏まえ、我が国の経済の活性化や我が国課税権の適切な確保に資するよう、租税条約ネットワークを迅速に拡充すべくその内容や交渉相手国の選定について具体的な検討を行う。

○ 原料用石油製品等の非課税化(原料用途免税の本則化) (揮発油税、地方揮発油税、石油石炭税)

石油化学製品用のナフサ等に係る揮発油税及び石油石炭税について、国際的なイコールフッティングの観点から非課税化(免税措置等の本則化)を図る。

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○ 地方法人課税の見直し (法人住民税、法人事業税、固定資産税、事業所税)

地方法人課税について、国・地方の法人税の改革において、住民税や固定資産税、事業所税を含む地方税全体のあり方とその中での法人課税のあり方を見直す。

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Ⅴ.制度整備・改善

○ 電気事業者の分社化に伴い外部化するグループ会社間取引を控除する収入割の特例措置 (事業税)

電気供給業に係る法人事業税の課税標準たる収入金額の算定に当たって、電気供給に関連して必要となる取引で、電気事業者の分社化に伴い外部化したグループ会社間取引となるもの等に係る収入について、収入金額から控除する措置を創設する。

○ 電気・ガス供給業に係る法人事業税の課税方式の変更 (事業税)

システム改革の進展に鑑み、他の一般の企業における課税条件とのイコールフッティングを図るため、電気・ガス 供給業に係る法人事業税について、現行の収入金額を課税標準とする方式から、他の一般の企業と同様の課税方式へ と見直しを図る。

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Ⅵ.新設・延長・拡充

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Ⅵ.新設・延長・拡充

○ 信用保証協会が受ける抵当権の設定登記等の税率の軽減の延長 (登録免許税)

有担保保証に係る中小企業者等の利用負担を軽減し、資金繰りの円滑化を図るため、信用保証協会が受ける抵当権の設定登記等の税率の軽減措置について、適用期限の延長(2年間)を図る。

○ 熊本地震による被害等を踏まえた所要の税制上の措置 (法人税 等)

熊本地震による被害、復旧・復興の状況等を踏まえ、所要の税制上の措置を検討する。

○ 特定都市再生建築物等の割増償却制度の延長 (法人税、所得税、法人住民税、事業税、個人住民税)

中心市街地活性化の核となる民間事業における建物等取得後の減税措置について、適用期限の延長(2年間)を図る。

○ 地域未来投資促進税制(仮称)の創設 (所得税、法人税)

地域経済を牽引する中核企業による地域の強みを活かした事業拡大を支援するため、改正を検討している企業立地促進法に基づき、地域中核企業等による未来投資を支援する。

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○ 中小企業等の貸倒引当金の特例の延長 (法人税、法人住民税、事業税)

事業協同組合等が取引先の倒産により弱体化することや他の組合員や債権者へ連鎖的に影響を及ぼすことを防止し、組合の健全な発展と組合員の利益保護を図るため、中小企業等の貸倒引当金の特例について、適用期限の延長(2年間)を図る。

○ コージェネレーションに係る課税標準の特例措置の延長 (固定資産税)

エネルギーの安定供給の確保等を図るため、分散型エネルギーであるコージェネレーション(熱電併給)設備に係る固定資産税の軽減措置について、適用期限の延長(2年間)を図る。

○ 低公害自動車に燃料を充てんするための設備に係る課税標準の特例措置の延長 (固定資産税)

低公害車の燃料供給インフラの整備を促進するため、水素充てん設備及び天然ガス充てん設備に係る固定資産税の軽減措置について、適用期限の延長(2年間)を図る。

○ 電気供給業に係る託送料金を控除する収入割の特例措置 (事業税)

電力の自由化市場の公平な競争環境を促進・発展させ、また他の事業との課税の不公平を一部是正するため、電気供給業に係る法人事業税の課税標準たる収入金額の算定に当たって電気を供給するために必要な託送料金に相当する額を控除する措置について、適用期限の延長(3年間)を図る。

○ 特定の用途に供する石炭に係る石油石炭税の軽減措置の延長・拡充(苛性ソーダ製造のための自家発電用石炭) (石油石炭税)

国内で製造される苛性ソーダと海外で製造される苛性ソーダとの国際競争環境のイコールフッティングを図るため、苛性ソーダ製造用電気の自家発電に利用される石炭に係る石油石炭税の免税措置について他の燃料種に拡大等するとともに、適用期限の延長(3年間)を図る。

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Ⅵ.新設・延長・拡充

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Ⅶ.共同要望(他省庁主管)

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Ⅶ.共同要望(他省庁主管)

○ 企業年金等の積立金に対する特別法人税の撤廃 (法人税、法人住民税)

企業年金をはじめとする年金資産にかかる特別法人税を撤廃することにより、企業年金の普及・充実を促し、社会保障の維持と経済成長の両立を図る。

商品先物と上場株式等との損益通算を認める等、金融商品に対する個人からの投資環境を整備することで、市場機能を活性化することによって、我が国企業の成長を支える産業金融システムを強化する。

○ 金融所得課税の一体化(金融商品に係る損益通算範囲の拡大) (所得税、個人住民税、住民税(利子割))

○ 沖縄振興関連税制の延長等 (法人税、法人住民税、事業税、事業所税 等)

沖縄振興関連税制の延長等を図る。

○ 福島復興関連税制の見直し (所得税、法人税 等)

現在検討中の帰還困難区域の取扱いに関する政府方針に沿って、必要な税制上の特例措置を講じる。

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○被災自動車の代替取得に係る非課税措置の延長 (自動車取得税)

被災自動車の所有者等が平成31年3月31日までに取得した代替自動車に係る自動車取得税を非課税とする。

Page 68: 平成29年度税制改正に関する経済産業省要望 概 要 · 研究開発税制を 活用している企業数 7,396社 8,003社 8,930社 9,087社 研究開発税制を

○ 農林漁業用A重油の石油石炭税の免税・還付措置の延長 (石油石炭税)

農林漁業の生産資材であるA重油の低廉かつ安定的な供給の確保等を図るとともに輸入品と国産品の競争条件のイコールフッティングを確保するため、農林漁業用A重油の石油石炭税の免税・還付措置について適用期限の延長(3年間)を図る。

○ 質の高い住宅ストック形成の促進に向けた既存住宅のリフォームに係る特例措置の拡充 (所得税、固定資産税)

増改築による長期優良住宅の認定基準が本年2月に制定されたことを受け、長期優良住宅化リフォームを行う場合(耐震改修・省エネ改修と併せて耐久性向上改修を行う場合)の特例措置の拡充や省エネ改修について適用要件の合理化などを図る。

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○ 長期保有土地等に係る事業用資産の買換え等の場合の課税の特例措置の延長 (所得税、法人税)

長期保有(10年超)の土地等を譲渡し、新たに事業用資産(買換資産)を取得した場合の課税の特例について、適用期限の延長(3年間)を図る。

Ⅶ.共同要望(他省庁主管)