2016年5月19日 参議院経済産業委員会・再エネFIT法改正案...

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参議院経済産業委員会・FIT法改正案 (参考人質疑用資料) 〜 審議に向けた視点と、 「施行に係る運用面での課題」・「次の課題」〜 本法案は、早期の成立・施行が望まれる。 しかし、「施行に係る運用面での課題」として詰めるべき点や、「次の課 題」として検討しておくべき論点も多々ある。 本日は、こうした点について大きく4点ほど提起するので、これらの趣 旨を踏まえられた上で、附帯決議の形で国会から政府に指示されたい。 平成28年5月19日 NPO法人社会保障経済研究所 代 表 石 川 和 男

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Page 1: 2016年5月19日 参議院経済産業委員会・再エネFIT法改正案 参考人質疑向け提出資料

参議院経済産業委員会・FIT法改正案

(参考人質疑用資料)

〜審議に向けた視点と、

「施行に係る運用面での課題」・「次の課題」〜

本法案は、早期の成立・施行が望まれる。

しかし、「施行に係る運用面での課題」として詰めるべき点や、「次の課

題」として検討しておくべき論点も多々ある。

本日は、こうした点について大きく4点ほど提起するので、これらの趣

旨を踏まえられた上で、附帯決議の形で国会から政府に指示されたい。

平成28年5月19日

NPO法人社会保障経済研究所

代 表 石 川 和 男

Page 2: 2016年5月19日 参議院経済産業委員会・再エネFIT法改正案 参考人質疑向け提出資料

1.コスト大幅低減と並行可能な再エネ推進を!

<日本における再エネ推進上の最大の課題は・・・>

◎「再エネ賦課金」の全体額の抑制による一般家庭・企業の負担軽減をどう実現するか?

◎『再エネ賦課金減免措置』の適切な継続による電力多消費企業の負担軽減をどう実現するか?

(出所)再生可能エネルギー導入促進関連制度改革小委員会配付資料等を基に衆議院経済産業調査室作成

(出所)2015.9.11再生可能エネルギー導入促進関連制度改革小委員会資料

日本は、「ドイツ(再エネ先行国)だけ」を見習い過ぎてきたが、これは猛省点。

<電源構成(発電電力量ベース;2014年)>

○ 独 :再エネ26%、水力10%、原子力16%、化石燃料等49%

○ 仏 :再エネ 4%、水力13%、原子力77%、化石燃料等 6%

◎独+仏:再エネ17%、水力11%、原子力42%、化石燃料等30%

日本は、「ドイツ(再エネ先行国)+フランス(原子力先行国)」を見習うべし。

Page 3: 2016年5月19日 参議院経済産業委員会・再エネFIT法改正案 参考人質疑向け提出資料

『原子力と再エネの抱き合わせ(ブレンド)』を制度化

①“再エネは高い!”との悪評が増長することを、確実に回避したい。

②本改正案による太陽光入札制度だけでは、再エネに係る大幅なコスト削

減はとても無理。

③『原子力発電所の高稼働率稼働』によって捻出される財源で、再エネ賦

課金の大幅引下げ、『減免10割』を目指す。

④また、その財源で、再エネ接続などに寄与する送電インフラ投資も推進。

☆原子力規制の運用改善(バックフィットの適正化など)が必須。

→政治主導で「原子力規制委員会・規制庁」の改革を!!

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2.FIT終了後にも安定継続する再エネ事業体制を!

<再エネ業界は大規模から中小零細・個人まで多種多様だが・・・>

(1)FIT買取期間(10〜20年)以降も、再エネ事業は安定継続されるべき。

(2)FITは、再エネが国内で定着するまでの一時的補助策でしかない。

(3)FIT終了後こそ再エネ事業は本場、との認識が必要。

(出所)2016.1.19調達価格等算定委員会資料

『再エネ事業者の集約化促進策』を制度化

①電力・ガス会社など大手エネルギー事業者への再エネ設備集約を促進。

②体力なき中小事業者の持つ再エネ設備の永続的な有効活用を企図。

③財源論は、前記1.を活用。

Page 5: 2016年5月19日 参議院経済産業委員会・再エネFIT法改正案 参考人質疑向け提出資料

3.再エネのバックアップ電源(火力)の経営安定化策を!

<太陽光・風力は、当面の技術では独り立ちできない........

(1)太陽光・風力の増加には、火力によるバックアップ機能の強化が不可欠。

(2)太陽光・風力の増加には、稼働率低下する火力の経営を維持する方策が必須。

(出所)2015.3.30長期エネルギー需給見通し小委員会資料

『火力発電に係る投資回収システム』を制度化

①主に天然ガス火力・石油火力の経営安定化のための仕組みを構築。

②総括原価方式に代わる規制的手法を導入。

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4.その他(施行に係る運用面での留意点など)

①太陽光・風力のコスト低減の加速化:買取価格決定プロセスの大改革

(出所:2016.4.1再生可能エネルギー導入促進関連制度改革小委員会資料)

→日本の異状を直視し、せめて独・仏・英と比べて遜色ない買取価格水準を本気かつ短期で志向。

→次回の買取価格決定までに、“調達価格等算定委員会”での査定方法を大幅見直し。

②入札対象の機動的な追加:入札制度に係る省令・ガイドラインで明記

→入札対象とする太陽光発電設備の規模を見直す周期を6〜12ヶ月で設定。

→その際、太陽光発電設備の内外の市場動向を十分に反映。

③安全・環境対策の追加:新認定制度に係る省令・ガイドラインで明記

→地震や豪雨など自然災害の経験を踏まえ、安全対策を強化。

→景観や周辺環境などの環境アセスメント(自治体アセスの活用含む)を制度化。

④既認定未稼働案件の取扱い:行政内部で新体制を構築

→既認定未稼働案件の処理は行政当局が「前面」に出て善処。

→各経済産業局が「前面」に出る体制を構築。

Page 7: 2016年5月19日 参議院経済産業委員会・再エネFIT法改正案 参考人質疑向け提出資料

《まとめ》

◎化石燃料輸入で外国に支払っている国民のお

カネを、国内の再エネ推進に利用。

→国民のカネは、極力、国内で回す。

◎「すぐ逃げる再エネ関係筋」は不要。

→「最後まで責任持つ再エネ事業者」が必要。

◎原子力・火力は、将来の『再エネ100%化』

までの過渡的電源としてフル活用。

→再エネと原子力・火力は、対立から協調へ。

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『3年後見直し』(附則第20条)までに据えるべき視座

再エネの普及増は、「電気の需要家」の負担増をもたらす

→「電気の需要」にだけ負担を課すことの是非を再検証すべき。

→「他のエネルギーの需要」と負担をシェアすることを検討すべき。

FITは電力・ガス“システム改革”(≒自由化)とは整合せず

→エネルギー間競争(電気 vsガスなど)の公平性を確保していくべき

→電源間競争(再エネ vs火力など)の適格性を確保していくべき

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<参考:石川家(東京電力管内)の場合・・・>