2012年の児童福祉法改正では、障害児 障害児入所...

7 3 26 18 18 18 18 18 よりよい 障害児入所施設の あり方とは 図1…障害児入所施設の概要(第6回障害児入所施設の在り方に関する検討会 参考資料1)より 障害児入所施設は、2012 年に施行された児童福祉 法改正により、それまで障害種別ごとであった施設が障 害児入所施設として再編され、このうち医療の提供の有 無により「福祉型」と「医療型」の2つに分類されました。 なかでも福祉型については、18 歳以上の入所者が150 0人(いわゆる「過齢児問題」)にのぼるなか、障害児入所 施設(本来は18歳未満者が対象)の指定を受けているこ とをもって障害者支援施設の指定基準を満たすものとみ なす措置が2021年 3 月末までとなっているなど、あ り方について検討する必要があります。こうした課題に ついて、「障害児入所施設の在り方に関する検討会」が、 2020 年 1 月 24 日に報告書(案)を取りまとめました。 その内容をみながら、法人に求められる機能を考えます。 <<障害者自立支援法>> (医)とあるのは医療の提供を 行っているもの 【市町村】 ○障害児支援の強化を図るため、従来の障害種別で分かれていた体系(給付)について、通 所・入所の利用形態の別により一元化。 児童デイサービス <<児童福祉法>> 【市町村】 障害児通所支援 ●児童発達支援 ●医療型児童発達支援 ●放課後等デイサービス ●居宅訪問型児童発達支援 ●保育所等訪問支援 【都道府県】 障害児入所支援 ●福祉型障害児入所施設 ●医療型障害児入所施設 <<児童福祉法>> 【都道府県】 知的障害児通園施設 難聴幼児通園施設 肢体不自由児通園施設(医) 盲児施設 ろうあ児施設 知的障害児施設 第一種自閉症児施設(医) 第二種自閉症児施設 肢体不自由児施設(医) 肢体不自由児療護施設 重症心身障害児施設(医) 重症心身障害児(者)通園事業(補助事業) 2012 年児童福祉法改正による障害児施設・事業の一元化について 図1 WAM ー 2020.3 2 特集 特集

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障害児入所施設の現状と課題

 2012年の児童福祉法改正では、障害児

支援の強化を図るため、従来、障害種別で分

かれていた体系(給付)について、通所・入

所の利用形態

の別により一

元化され、市

町村が担う障

害児通所支援

と、都道府県

が担う障害児

入所支援に分

かれた(図

1)。

 障害児入所

施設は、主に

障害の重い児

童を受け入れ

る役割を担っ

てきたが、法

改正後は、医

療の提供の有

無によって

「福祉型」(2

019年3月

時点で260

施設)と「医療

型」(同268

施設)の2つに

再編されている。

 その後、201

4年7月にとりまと

められた「今後の障害児支援の在り方につい

て」においては、障害児入所施設の担うべき

機能として①社会的養護機能、②発達支援機

能、③自立支援機能、④地域支援機能、の4

つに整理された。

 障害児入所施設に入所する児童の状況(表

/2019年3月26日時点)をみると、入所

児童数(18歳以上で引き続き入所している者

も含む。以下同)は福祉型が6944人(う

ち18歳未満5444人、18歳以上1500

人)、医療型が2万1424人(うち18歳未満

3283人、18歳以上1万8141人)とな

っている。

 入所経路については、福祉型・医療型とも

に家庭からが最も多くなっており、ともに半

数を超えている。続いて、福祉型は、児童相

談所一時保護所、児童養護施設、乳児院から

よりよい障害児入所施設のあり方とは

図1…障害児入所施設の概要(第6回障害児入所施設の在り方に関する検討会 参考資料1)より

 障害児入所施設は、2012 年に施行された児童福祉法改正により、それまで障害種別ごとであった施設が障害児入所施設として再編され、このうち医療の提供の有無により「福祉型」と「医療型」の2つに分類されました。なかでも福祉型については、18 歳以上の入所者が1500人(いわゆる「過齢児問題」)にのぼるなか、障害児入所施設(本来は18 歳未満者が対象)の指定を受けていることをもって障害者支援施設の指定基準を満たすものとみなす措置が2021年 3 月末までとなっているなど、あり方について検討する必要があります。こうした課題について、「障害児入所施設の在り方に関する検討会」が、2020年 1月24日に報告書(案)を取りまとめました。その内容をみながら、法人に求められる機能を考えます。

<<障害者自立支援法>>

(医)とあるのは医療の提供を行っているもの

【市町村】

○障害児支援の強化を図るため、従来の障害種別で分かれていた体系(給付)について、通所・入所の利用形態の別により一元化。

児童デイサービス<<児童福祉法>> 【市町村】

障害児通所支援   ●児童発達支援  ●医療型児童発達支援  ●放課後等デイサービス  ●居宅訪問型児童発達支援  ●保育所等訪問支援

【都道府県】

障害児入所支援   ●福祉型障害児入所施設  ●医療型障害児入所施設

<<児童福祉法>> 【都道府県】

知的障害児通園施設

難聴幼児通園施設

肢体不自由児通園施設(医)

盲児施設ろうあ児施設

知的障害児施設第一種自閉症児施設(医)第二種自閉症児施設

肢体不自由児施設(医)肢体不自由児療護施設

重症心身障害児施設(医)

重症心身障害児(者)通園事業(補助事業)

通所サービス

入所サービス

2012 年児童福祉法改正による障害児施設・事業の一元化について図 1

WAMー2020.3 ●2

特集特集

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wampdfスタンプ

上4年未満11%となっており、4年未満で約

半数となっている。他方で、在籍年数が20年

以上となっている30代、40代、50代の入所者

も一定数存在している。また、医療型では18

歳以上の入所者が多くなっている。とくに福

祉型については、障害児入所施設の指定を受

けていることをもって障害者支援施設の指定

基準を満たすものとみなす経過措置が、

2021年3月末までとされており、この措

置について検討する必要があった。

 これらの課題について、2019年2月から

検討を行ってきた「障害児入所施設の在り方

に関する検討会」は、2020年1月24日、報

告書(案)をとりまとめ、2月10日に公表した。

障害児グループホーム(仮)の創設、

「過齢児」の経過措置終了等を提示

 報告書では、福祉型、医療型それぞれの課

題と方向性を、以下のように示している。

︿福祉型障害児入所施設﹀

発達支援機能

①家庭的な養育環境の推進

 児童福祉法第3条の2に規定する「良好な

家庭的環境」において養育されるよう、ユニ

ット化等によりケア単位の小規模化を推進す

べきである。小規模化により、職員の専門性

を高める支援の確保および職員の孤立化・密

室化を防ぐための体制強化が必要になること

から、小規模化に取り組む施設に対するさら

なる支援を図るとともに、新たに地域小規模

障害児入所施設(障害児グループホーム)(仮)

の順となっており、医療型は、GCU(新生

児治療回復室)、医療機関、他の医療型障害

児入所施設からの順となっている。

 入所児童に占める被虐待児の割合をみる

と、福祉型で3~5割程度、医療型で1・5

~4割程度で、全体では3割強となるなど(図

2)、社会的養護を必要とする児童が多く含

まれている。2017年8月にとりまとめら

れた「新しい社会的養育ビジョン」において

は、障害児入所施設も社会的養護の役割を担

っているという認識を深める必要もある、と

されている。

 これに加え、18歳以上の障害児入所施設入

所者への対応(いわゆる「過齢児問題」)が

ある。入所児童の在籍年数を18歳時点でみた

場合、福祉型では1年未満6%、1年以上2

年未満11%、2年以上3年未満24%、3年以

表・図2…障害児入所施設の現状(第6回障害児入所施設の在り方に関する検討会 参考資料2)より

指定事業所数定    員現    員 児童数   措 置   契 約 18歳以上

52832,87428,3688,7274,5494,17819,641

208(72)21,188(7,434)19,268(6,737)2,213(648)630(169)

1,583(479)17,055(6,089)

57(16)3,395(1,358)2,122(967)1,036(190)311(68)725(122)

1,086(777)

82621891631115226

障害児入所施設指定事業所数、児童数 速報値

重症心身障害児肢体不自由児自閉症児 合 計医療型

入所児童数(現員)18歳以上1,50018,141(6,866)

児  童5,4443,283(838)

指定事業所数福祉型

医療型

260268(88)

合  計6,94421,424(7,704)

福祉型

378343415190

肢体不自由児

7155787053178

ろうあ児6

10873686535

盲児467464313303

自閉症児235

7,6216,5585,1003,3511,7491,458

知的児

障害児入所施設の現状表

※ 括弧内は国立病院機構の施設数または人数の内数※ 重症心身障害児の定員には療養介護も含まれている。出典:厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課障害児・発達障害者支援室調べ(平成 31 年 3 月 26 日時点)

41.8%

35.1%

49.2%

33.3%

16.6%

42.9%

15.6% 14.9%

31.5%

60%

50%

40%

30%

20%

10%

0%

被虐待児(被虐待児童、疑い)が入所児童に占める割合

知的 盲ろう 福・肢体 福・自閉 医・肢体 医・自閉 医・重症 国・重症 全体

被虐待児童図 2

参照:平成28・29年度厚生労働科学研究事業「障害児入所支援の質の向上を検証するための研究」総合研究報告書(回収率:57.3%)

WAMー2020.3 ●23 ●WAMー2020.3

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